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商標拒絶査定不服審判

2024-013343

アイピイエスエステ、アイピイエス

審判番号
2024-013343
法域
商標
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
商願2023-060093
請求日
2024年08月19日
審決日
2024年12月05日
公報発行日
2025年05月30日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】アイ ピース,インコーポレイテッド
  • 【請求人代理人】稲葉 良幸
  • 【請求人代理人】田中 克郎
  • 【請求人代理人】石田 昌彦
  • 【請求人代理人】遠藤 祐吾
  • 【請求人代理人】中河 香一郎
審判長/審判官
  • 審判長 高野 和行
  • 審判官 清川 恵子
  • 審判官 白鳥 幹周
分類
T18 .13 -Z (W44) / T18 .272-Z (W44)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法3条1項3号商標法4条1項16号
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第3条第1項第3号、商標法第4条第1項第16号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

商願2023- 60093拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 1 手続の経緯 本願は、令和5年6月1日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和5年11月 8日付け:拒絶理由通知書 令和6年 2月14日 :意見書の提出 令和6年 5月13日付け:拒絶査定 令和6年 8月19日 :審判請求書の提出 2 本願商標 本願商標は、「iPSエステ」の文字を標準文字で表してなり、第44類「衛生管理及び美容,スキンケア美容,ヘアトリートメント美容,ボディケア美容,メイクアップ,美容に関する情報の提供」を指定役務として登録出願されたものである。 3 原査定の拒絶の理由(要旨) 本願商標は、「iPSエステ」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「iPS」の文字は、「iPS細胞」を認識させ、これは「体細胞から作られる多能性幹細胞。体細胞に数種類の因子を加え、培養することでできる。再生医療や疾患メカニズムの研究、創薬に用いる。」の意味を有し、また、「エステ」の文字は、「エステティックまたはエステティック‐サロンの略。」であり、「エステティック」の文字は、「美顔・痩身・脱毛・マッサージなどを行う全身美容。」の意味を有する語である。 また、本願の指定役務を取り扱う業界において、「iPS」の文字が、「iPS細胞」を意味する語として使用されている実情、「iPSエステ」の文字が、「iPS細胞を用いたエステ(美容)」程の意味合いで使用されている実情、及び、iPS細胞を用いた化粧品や美容が提供されている実情がある。 上記から、本願商標は、全体として、「iPS細胞を用いたエステ(美容)」程の意味合いを認識させるというのが相当であり、これをその指定役務中、「iPS細胞を用いたエステ(美容)に関する役務」に使用しても、これに接する取引者、需要者は、役務の質を表示したものとして認識するにとどまるといえ、本願商標は、単にその役務の質を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものといえる。 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。 4 当審の判断 (1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について 本願商標は、「iPSエステ」の文字を標準文字で表してなるものであり、その外観上、「iPS」の文字と「エステ」の文字とを結合したものと、容易に看取し得るものである。 そして、その構成中「iPS」の文字は、そのうち「i」の文字のみが小文字であるという態様も相まって、「体細胞から作られる多能性幹細胞。」(出典:「広辞苑 第七版」)を意味する「iPS細胞」を容易に想起させるといえるものであって、それ以外の語を想起させるというべき事情は見当たらないものである。 また、「iPS細胞」は、原審提示の情報にあるように、再生医療や美容医療などの医療分野を中心に、将来的に広く利活用されることが期待されており、研究が進められているものであって、その製作に世界で初めて成功した日本人がノーベル賞を受賞したこと(参考:「中外製薬」のウェブサイト https://www.chugai-pharm.co.jp/ptn/bio/genome/genomep06.html)などもあり、我が国において、その意味も含め、一定程度広く知られているといえるものである。 そして、本願商標の構成中、「エステ」の文字は、「エステティックまたはエステティックサロンの略」を意味する語として、また、「エステティック」は「美顔・痩身・脱毛・マッサージなどを行う全身美容」などを意味する語として(出典:同上)、それぞれ広く一般的に使用、理解されているものであるから、本願商標全体としては、「iPS細胞による全身美容」又は「iPS細胞を用いるエステティックサロン」ほどの意味合いを容易に認識させるものといえる。 加えて、原審提示の情報にあるように、美容に関する分野においては、「iPS細胞の培養上清液を利用した美容」が提供されている実情や、「iPS細胞の培養上清液を原材料に使用してなる化粧品」が製造、販売されている実情が認められ、さらに、上述のとおり、「iPS細胞」は「幹細胞」の一種であるところ、別掲の情報にあるように、同分野においては、「幹細胞(幹細胞培養液)を用いた美容」が「幹細胞エステ」と称されて提供されている実情も認められる。 以上のことからすると、本願商標をその指定役務に使用したときは、これに接する取引者、需要者は、その役務が「iPS細胞(iPS細胞の培養液)を用いた全身美容」又は「iPS細胞(iPS細胞の培養液)を用いた美容を提供するエステサロン」であるという、その役務の質を表示したものと理解、認識するというのが相当であるから、本願商標は、役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標といえる。 また、本願商標を、その指定役務中、上述の役務以外の役務に使用するときは、それがあたかも上述のごとき役務であるかのごとく、役務の質の誤認を生ずるおそれがあるといえる。 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。 (2)請求人の主張について ア 請求人は、「iPS細胞」は再生医療を実現するために最先端の技術を用いて開発されたものであり、極めて専門的、技術的な取り扱いが必要になるものである一方、原審が提示する情報の多くは、いわゆる「美容医療」に関するものであり、本願の指定役務とは似て非なるものであって、また、本願商標「iPSエステ」から「iPS細胞培養上清液を使用したボディケア美容」といった観念が一義的に想起されるとは到底考えられず、「iPS細胞と何らかの関連があるエステ、iPS細胞という新しいバイオ技術を利用したエステティックサロン」といった程度の極めて抽象的な観念が暗示的に生じ得るにとどまる旨主張する。 また、請求人は、「iPSエステ」の文字が「iPS細胞を用いたエステ」ほどの意味合いで一般的に使用されている実情もなく、将来的に一般的に使用される蓋然性もない旨主張する。 しかしながら、本願商標は、それ自体としては使用例がほぼ見受けられないとしても、上記(1)のとおり、本願商標を構成する各語の意味に加え、「iPS細胞」が、再生医療や美容医療などの医療分野を中心に、将来的に広く利活用されることが期待されており、研究が進められている実情、美容に関する分野において「iPS細胞の培養上清液を利用した美容」が提供されている実情、「iPS細胞の培養上清液を原材料に使用してなる化粧品」が製造、販売されている実情、及び、「幹細胞(幹細胞培養液)を用いた美容」を「幹細胞エステ」と称して提供している実情があることに照らせば、本願商標をその指定役務に使用するときには、これに接する取引者、需要者において、その役務が「iPS細胞(iPS細胞の培養液)を用いた全身美容」又は「iPS細胞(iPS細胞の培養液)を用いた美容を提供するエステサロン」であることを表示するものとして一般に認識されるものであり、将来も含め、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものというべきものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのは適当でないとともに、自他役務識別力を欠くものというのが相当である。 また、本願商標の指定役務は、上記2のとおり、主に美容に関するものであるところ、それらの役務「美容」と「美容医療」とは、いずれも容姿を美しくすることを目的とするものであって、その需要者層を一定程度共通にすると考えられることから、本件の判断において「美容医療」の分野における語の使用実情等を参酌することが全く適切でないということはできない。 イ 請求人は、構成中に「iPS」、「エステ」又は「細胞」の文字を有する商標に係る登録例を挙げ、本願商標もそれらと同様に登録を認められるべきである旨主張する。 しかしながら、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであるか否かの判断は、当該商標登録出願の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様と指定商品・指定役務との関係や、その商品又は役務の分野における取引の実情をも踏まえて、個別具体的に判断されるべきものであるところ、請求人の挙げた登録例は、商標の構成態様が本願商標とは異なるものである点において、本願とは、事案を異にするものというべきであり、また、過去の登録例が存在することをもって、上記判断が左右されるものではない。 ウ したがって、請求人の上記ア及びイの主張は、いずれも採用することができない。 (3)まとめ 以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、登録することができない。 よって、結論のとおり審決する。

審決本文(J-PlatPat)

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