特許拒絶査定不服審判
2024-013205
ウェットティシュー包装体用キャップ及びウェットティシュー包装体
- 審判番号
- 2024-013205
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-146017
- 請求日
- 2024年08月15日
- 審決日
- 2026年03月31日
- 公報発行日
- 2026年06月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】日本製紙クレシア株式会社
- 【請求人代理人】松浦 正明
- 【請求人代理人】生塩 智邦
- 審判長/審判官
- 審判長 金丸 治之
- 審判官 稲葉 大紀
- 審判官 宮地 匡人
- 分類
- P18 .121-Z (B65D)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-146017「ウェットティシュー包装体用キャップ及びウェットティシュー包装体」拒絶査定不服審判事件〔令和4年3月11日出願公開、特開2022-41018〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和2年8月31日を出願日とする出願であり、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。
令和6年 2月15日付け:拒絶理由通知
同年 3月22日 :意見書、手続補正書の提出
同年 6月10日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
(同年 6月18日 :原査定の謄本の送達)
同年 8月15日 :審判請求書、手続補正書の提出
第2 令和6年8月15日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和6年8月15日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された(下線部は令和6年8月15日提出の手続補正書に示された補正箇所である。)。
「ウェットティシューを収納し、その天面に前記ウェットティシューを出し入れ可能な開口を有する包装袋に、着脱可能なウェットティシュー包装体用キャップであり、
前記ウェットティシュー包装体用キャップは、前記包装袋の前記開口の周縁を、内側から挟持する蓋体と外側から挟持する蓋受け部とを備え、
前記蓋体は、前記包装袋の前記開口を封止する天面部と、前記天面部から下方に延設された差込部とを備え、
前記天面部の表面には、前記ウェットティシューを取り出すための細孔が穿設された取出し口と、前記取出し口を封止する開閉蓋とを備え、
前記開閉蓋には、取出し口を封止するための密閉部を備え、
前記蓋体の前記差込部は、その外周面にネジ面を備え、
前記蓋受け部は、その内周面に前記蓋体の前記ネジ面と螺合可能なネジ面を備え、
前記差込部の前記ネジ面と前記蓋受け部の前記ネジ面との間に前記包装袋の前記開口の前記周縁が配置された状態で、前記差込部の前記ネジ面と前記蓋受け部の前記ネジ面とが互いに螺合することによって、前記蓋受け部が前記蓋体の前記差込部に取りつけられ、前記蓋体の前記差込部と、前記蓋受け部とが、前記包装袋の前記開口の前記周縁を挟持することによって、前記ウェットティシュー包装体用キャップが前記包装袋に装着され、
前記蓋体の前記差込部から前記蓋受け部を取り外すことにより、前記蓋体の前記差込部と、前記蓋受け部とが、前記開口の前記周縁を開放することによって、前記ウェットティシュー包装体用キャップが前記包装袋から取り外される、
ウェットティシュー包装体用キャップ(ただし、蓋受け部を蓋体の差込部と螺合したときに蓋受け部の外周部が蓋体の内部に収まる構造のものを除く)。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲の記載
本件補正前の、令和6年3月22日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「ウェットティシューを収納し、その天面に前記ウェットティシューを出し入れ可能な開口を有する包装袋に、着脱可能なウェットティシュー包装体用キャップであり、
前記ウェットティシュー包装体用キャップは、
前記包装袋の前記開口の内側周縁に配置される差込部と、前記差込部の天面に設けられた前記ウェットティシューを取り出す取出し口を有する天面部と、を有する蓋体と、
前記包装袋の前記開口の外側周縁に配置される、前記蓋体と別体の蓋受け部と、
を備え、
前記蓋体の前記差込部は、その外周面にネジ面を備え、
前記蓋受け部は、その内周面に前記蓋体の前記ネジ面と螺合可能なネジ面を備え、
前記差込部の前記ネジ面と前記蓋受け部の前記ネジ面との間に前記包装袋の前記開口の前記周縁が配置された状態で、前記差込部の前記ネジ面と前記蓋受け部の前記ネジ面とが互いに螺合することによって、前記蓋受け部が前記蓋体の前記差込部に取りつけられ、前記蓋体の前記差込部と、前記蓋受け部とが、前記包装袋の前記開口の前記周縁を挟持することによって、前記ウェットティシュー包装体用キャップが前記包装袋に装着され、
前記蓋体の前記差込部から前記蓋受け部を取り外すことにより、前記蓋体の前記差込部と、前記蓋受け部とが、前記開口の前記周縁を開放することによって、前記ウェットティシュー包装体用キャップが前記包装袋から取り外される、
ウェットティシュー包装体用キャップ(ただし、蓋受け部を蓋体の差込部と螺合したときに蓋受け部の外周部が蓋体の内部に収まる構造のものを除く)。」
2 補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「蓋体」と「蓋受け部」について、上記のとおり限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。
(2)引用文献に記載された発明等
ア 引用文献1
(ア)原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、米国特許出願公開第2012/0223178号明細書(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに次の記載がある。なお、「・・・」は省略を意味し、下線は当審で付したものである。以下同様。
「[0002] The present disclosure generally relates to a flexible package including a dispensing fitment. More specifically, the present disclosure relates to a dispensing package that includes a standup flexible pouch that includes the dispensing fitment such that the dispensing package serves as a canister replacement for a roll of wipes on a coreless roll.
[0003] Flexible packaging is known to offer significant value and sustainability benefits to product manufacturers, retailers and consumers as compared to solid, molded plastic packaging containers. Flexible packaging provides many consumer conveniences and benefits, including extended shelf life, easy storage, microwavability and refillability. Flexible packaging has proven to require less energy for creation and creates fewer emissions during disposal.」
(当審訳:[0002] 本開示は、概して、分配器具を備えた可撓性パッケージに関する。より具体的には、本開示は、分配器具が取り付けられたスタンドアップ可撓性パウチを備える分配パッケージに関するもので、分配パッケージは、コアレスの拭き取り布一巻きの収納容器の代替として機能する。
[0003] 可撓性パッケージは、硬い、成形されたプラスチック包装容器に比べて、製品製造業者、小売業者、および消費者側に、大きな価値及び持続可能性の利点を提供することが知られている。可撓性パッケージは、保存期間の延長、容易な保管、電子レンジへの対応及び詰め替え性を含む、多くの消費者の利便性と利益とを提供する。可撓性パッケージは、生成に必要なエネルギーが少ないことが証明されており、処分中の放出量も少ない。)
「[0019] FIGS.1 and 2 illustrate a dispensing package 10 for storing and dispensing a product. In the embodiment shown in FIGS. 1 and 2, the dispensing package 10 is particularly useful for dispensing a series of pre-moistened wipes 12 that are contained on a coreless roll 14 as is well known. The wipes 12 are joined to each other along lines of perforation and can be separated and used as desired. The dispensing package 10 includes a reclosable lid 16 that is formed as part of a dispensing fitment 18. In the embodiment shown, the lid 16 creates an air tight seal with the outer sealing ring of the dispensing fitment 18 to prevent the wipes 12 from becoming dried out during storage when the lid 16 is in the closed position (not shown).」
(当審訳:[0019] 図1および図2は、製品を保管し分配するための分配パッケージ10を示している。図1及び図2に示す実施例において、分配パッケージ10は、よく知られているように芯なしロール14上に含まれる予め湿らされた拭き取り布12の一連を分配するために特に有用である。拭き取り布12は、ミシン目の線に沿って互いに接合されており必要に応じて分離して使用することができる。分配パッケージ10は、分配器具18の一部として形成された開閉可能な蓋16を備えている。図示の実施形態では、蓋16が閉位置(図示せず)にあるとき、蓋16は、分配器具18の外側のシールリングと気密性シールを形成して、拭き取り布12の保管中の乾燥を防止する。)
「[0026] FIG. 5a illustrates a third embodiment of the dispensing fitment 18. In this embodiment, the dispensing fitment 18 includes a locking ring 44 and a cover member 46. The cover member 46 includes an attachment flange 48 that extends below a sealing ring 50, As can be understood in FIG. 5b, the attachment flange 48 is positioned within the open interior 38 of the standup pouch 24. The locking ring 44 is positioned along the exterior surface of the standup pouch and includes a series of threads 45 that engage corresponding threads 47 on the attachment flange 48. Rotation of the locking ring 44 entraps the wall 35 between the locking ring 44 and the attachment flange 48. In this manner, no heat sealing is required and a mechanical attachment is created by the threaded interaction between the locking ring 44 and the attachment flange 48.」
(当審訳:[0026] 図5aは、分配器具18の第3の実施形態を示す図である。この実施形態では、分配器具18は、係止リング44とカバー部材46とを有する。カバー部材46は、シールリング50の下方に延在する取付けフランジ48を含む。図5bで理解されるように、取付けフランジ48は、スタンドアップパウチ24の内部空間38内に配置される。係止リング44は、スタンドアップパウチの外面に沿って配置され、取付けフランジ48上の対応するネジ山47と係合する一連のネジ45を含む。係止リング44の回転は、係止リング44と取付けフランジ48との間に壁35を捕捉する。このようにして、ヒートシールは必要とされず、機械的な取付けが、係止リング44と取付けフランジ48とのネジの相互作用により生成される。)
「I claim:
・・・
16. A dispensing package for a series of pre-moistened wipes, comprising: a standup pouch formed from a flexible material, the standup pouch defining an open interior, a closed bottom end and an open top end; and a dispensing fitment attached to the standup pouch at the open top end, the dispensing fitment including an outer sealing ring, a reclosable lid and an attachment flange, wherein the resealable lid engages the outer sealing ring and the attachment flange is attached to the standup pouch.
・・・
19. The dispensing package of claim 16 further comprising a locking ring, wherein the locking ring attaches the flexible material of the standup pouch to the attachment flange of the dispensing fitment.
・・・
21. The dispensing package of claim 19 wherein the locking ring includes a series of threads that engage a corresponding series of threads formed on the attachment flange.」
(当審訳:特許請求の範囲
・・・
請求項16 以下を含む、一連の予め湿らされた拭き取り布の分配パッケージ。
可撓性材料で形成されたスタンドアップパウチ。このスタンドアップパウチは、内部空間、閉鎖底端部及び開放頂端部で形成される。
スタンドアップパウチの開放頂端部に取り付けられる分配器具。この分配器具は、外側のシールリングと、再封鎖可能な蓋と、取付けフランジを含むものであり、再封鎖可能な蓋が外側のシールリングと係合し、取付けフランジがスタンドアップパウチに取り付けられている。
・・・
請求項19 係止リングを更に含み、係止リングは、スタンドアップパウチの可撓性材料を分配器具の取付けフランジに取り付けることを特徴とする、請求項16に記載の分配パッケージ。
・・・
請求項21 係止リングは一連のネジ山を有し、この一連のネジ山は、取付けフランジに形成された対応する一連のネジ山と係合することを特徴とする、請求項19に記載の分配パッケージ。)
「
[図:0001435665000001.jpg]
[図:0001435665000002.jpg]
・・・
[図:0001435665000003.jpg]
[図:0001435665000004.jpg]
」
(イ)引用文献1に記載された事項
上記(ア)から、次の技術的事項が把握される。
a 請求項16の記載も踏まえると、FIG. 1より、スタンドアップパウチ24は、内部空間38に予め湿らされた拭き取り布12、14を収容することが看取できる。
b [0019]の「図示の実施形態では、蓋16が閉位置(図示せず)にあるとき、蓋16は、分配器具18の外側のシールリングと気密性シールを形成して、拭き取り布12の保管中の乾燥を防止する。」という記載は、FIG. 1及びFIG. 2に示される実施形態に関するものであるが、FIG. 5a及びFIG. 5bに示される実施形態においても同様に、「蓋16は、分配器具18の外側のシールリングと気密性シールを形成して、拭き取り布12の保管中の乾燥を防止する」ものであることは明らかである。
(ウ)引用文献1に記載された発明
上記(ア)、(イ)から、引用文献1には、分配パッケージ10に含まれる「分配器具18」について、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「スタンドアップパウチ24の開放頂端部に取り付けられる分配器具18であって、(請求項16、FIG. 1及びFIG. 5b)
スタンドアップパウチ24は、内部空間38、閉鎖底端部及び開放頂端部で形成され、内部空間38に予め湿らされた拭き取り布12、14を収容し、(請求項16、上記(イ)a)
分配器具18は、係止リング44とカバー部材46を有し、([0026]及びFIG. 5a)
カバー部材46は、シールリング50と、再封鎖可能な蓋16と、取付けフランジ48を含み、シールリング50の下方に延在する取付けフランジ48は、スタンドアップパウチ24の内部空間38内に配置され、再封鎖可能な蓋16は、外側のシールリング50と気密性シールを形成して、拭き取り布12の保管中の乾燥を防止し、(請求項16、[0019]、[0026]、上記(イ)b及びFIG. 5a)
係止リング44は、スタンドアップパウチ24の外面に沿って配置され、取付けフランジ48上の対応するネジ山47と係合する一連のネジ45を含み、係止リング44と取付けフランジ48との間にスタンドアップパウチ24の壁を捕捉するため、ヒートシールは必要とされず、機械的な取付けが、係止リング44と取付けフランジ48とのネジの相互作用により生成される、([0026]、FIG. 5a及びFIG. 5b)
分配器具18。」
イ 周知技術
(ア)本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2008-100748号公報には、次の記載がある。
「【0001】
本発明は、ウェットティッシュ等の湿潤シートを収納する保湿容器に関する。」
「【0018】
<実施の形態1>
図1乃至図4に示すように、この保湿容器は、湿潤シートを収納する容器本体1と、この容器本体1に形成された湿潤シートの取出口2と、この取出口2を開閉する容器本体1にヒンジ結合された開閉蓋3とを具備する。」
「【0021】
図1乃至図4に示すように、容器本体1の上端は天壁1cで閉じられ、この天壁1cには、図2乃至図4に示すように取出口2より大きい開口部1dが形成され、この開口部1dが覆板6で遮蔽される。覆板6は弾性を有する軟質材で略円形に形成され、その中央に取出口2が形成される。開口部1dは湿潤シートが容易に通過しうる大きさを有し、取出口2は湿潤シートが絞られた状態で通過しうる大きさを有する。覆板6が軟質材で作られているので、取出口2はピンホール状に形成しても湿潤シートを取り出すことが可能である。」
「【0028】
図5及び図6に示すように、上記嵌合部材7には、シール部材12が密着しうる環状突起7bが形成される。開閉蓋3が閉じた時にシール部材12が環状突起7bに当接することにより、取出口2が密閉され、湿潤シート8からの含浸液の揮散が防止される。また、開閉蓋3の内面には、シール部材12の外周縁と環状突起7bとに対応するように、環状の押圧部3bが環状リブとして形成される。開閉蓋3が閉じられると、図5に示すように、押圧部3bがシール部12を環状突起7bに押圧し、これにより取出口2の回りはより高度に密封され、湿潤シート8からの含浸液の揮散が防止される。」
「【図1】
[図:0001435665000005.jpg]
」
「【図5】
[図:0001435665000006.jpg]
」
同じく、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2010-247899号公報には、次の記載がある。
「【0001】
本発明は、ウェットシートやウェットティッシュ等の家庭用薄葉紙を収納する家庭用薄葉紙収納容器に関する。」
「【0019】
取出部110は、例えば、図1、図3に示すように、蓋103の天面部103aにおける凹部104のほぼ中央側に形成された取付口106に配設されている。なお、取付口106の周囲には、取出部110を囲うように円筒環形状に立設された円筒環状部105が設けられている。
そして、取出部110は、図2に示すように、容器本体101の外側に凸となる略球面形状を呈する面部111と、面部111の略中央となる頂部に形成された開口である取出孔112と、面部111の外周を成し、蓋103における取付口106に係着する係着部113と、を有している。
この取出部110は、例えば、シリコンゴムにより成型されてなる弾性変形可能な略ドーム状の部材である。シリコンゴムは、耐久性に優れており、家庭用薄葉紙Pを詰め替えて家庭用薄葉紙収納容器100を繰り返し使用する場合でも、取出部110の弾性変形性は維持されるので、長期に亘って好適に家庭用薄葉紙Pを取り出すことを可能にする。また、シリコンゴムは、耐薬品性に優れているので、ウェットタイプの家庭用薄葉紙Pに染み込まされている薬液が含有するアルコールなどによって変質してしまうことがなく、長期に亘る使用が可能になる。
なお、取出部110に用いる材料は、シリコンゴムであることに限らず、軟質樹脂材料であるスチレン-ブタジエン系、ポリエステル系、ポリエチレン系、ウレタン系等の熱可塑性エラストマーを使用することができる。またその他、任意の樹脂材料で取出部110を形成してもよい。」
「【図1】
[図:0001435665000007.jpg]
」
(イ)上記(ア)の特開2008-100748号公報の【0021】、【図1】及び【図5】、特開2010-247899号公報の【0019】及び【図1】から見て、次の事項が周知技術である認める。
「ウェットティシューを包装する容器において、ウェットティシューを取り出すための細孔が形成されること。」
(3)引用発明との対比
本件補正発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「予め湿らされた拭き取り布12」、「スタンドアップパウチ24」、「開放頂端部」、「分配器具18」は、それぞれ、本件補正発明の「ウェットティシュー」、「包装袋」、「包装袋」の「天面」の「前記ウェットティシューを出し入れ可能な開口」、「ウェットティシュー包装体用キャップ」に相当する。そうすると、引用発明の「内部空間38、閉鎖底端部及び開放頂端部で形成され、内部空間38に予め湿らされた拭き取り布12を収容」する「スタンドアップパウチ24の開放頂端部に取り付けられる分配器具18」は、本件補正発明の「ウェットティシューを収納し、その天面に前記ウェットティシューを出し入れ可能な開口を有する包装袋に、着脱可能なウェットティシュー包装体用キャップ」との関係において、「ウェットティシューを収納し、その天面に前記ウェットティシューを出し入れ可能な開口を有する包装袋に、取り付け可能なウェットティシュー包装体用キャップ」に限り一致する。
引用発明の「スタンドアップパウチ24の外面に沿って配置され」る「係止リング44」は、本件補正発明の「外側から挟持する蓋受け部」に相当する。
引用発明の「外側のシールリング50と、再封鎖可能な蓋16」は、本件補正発明の「前記包装袋の前記開口を封止する天面部」に相当し、引用発明の「シールリング50の下方に延在」して「スタンドアップパウチ24の内部空間38内に配置され」る「取付けフランジ48」は、本件補正発明の「前記天面部から下方に延設された差込部」に相当する。そして、引用発明の「取付けフランジ48」を含む「カバー部材46」は、「係止リング44」「との間に、スタンドアップパウチ24の壁を捕捉する」ものであるから、本件補正発明の「前記包装袋の前記開口の周縁を、内側から挟持する蓋体」に相当する。
引用発明の「カバー部材46」の「シーリング50」に囲まれた領域は、本件補正発明の「前記ウェットティシューを取り出すための細孔が穿設された取出し口」との関係において、「前記ウェットティシューを取り出すための取出し口」に限り一致する。
引用発明の「再封鎖可能な蓋16」は、本件補正発明の「前記取出し口を封止する開閉蓋」に相当する。また、引用発明の「再封鎖可能な蓋16」は、「外側のシールリング50と気密性シールを形成して、拭き取り布12の保管中の乾燥を防止」するものであるから、「外側のシールリング50と気密性シールを形成」する部分は、本件補正発明の「取出し口を封止するための密閉部」に相当する。
引用発明の「係止リング44」が「取付けフランジ48上の対応するネジ山47と係合する一連のネジ45を含」むことは、本件補正発明の「前記蓋体の前記差込部は、その外周面にネジ面を備え、前記蓋受け部は、その内周面に前記蓋体の前記ネジ面と螺合可能なネジ面を備え」ることに相当する。そして、引用発明の「係止リング44」が「取付けフランジ48上の対応するネジ山47と係合する一連のネジを含」むことで、「係止リング44と取付けフランジ48との間にスタンドアップパウチ24の壁を捕捉する」ことは、本件補正発明の「前記差込部の前記ネジ面と前記蓋受け部の前記ネジ面との間に前記包装袋の前記開口の前記周縁が配置された状態で、前記差込部の前記ネジ面と前記蓋受け部の前記ネジ面とが互いに螺合することによって、前記蓋受け部が前記蓋体の前記差込部に取りつけられ、前記蓋体の前記差込部と、前記蓋受け部とが、前記包装袋の前記開口の前記周縁を挟持することによって、前記ウェットティシュー包装体用キャップが前記包装袋に装着され」ることに相当する。
以上のことから、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
<一致点>
「ウェットティシューを収納し、その天面に前記ウェットティシューを出し入れ可能な開口を有する包装袋に、取り付け可能なウェットティシュー包装体用キャップであり、
前記ウェットティシュー包装体用キャップは、前記包装袋の前記開口の周縁を、内側から挟持する蓋体と外側から挟持する蓋受け部とを備え、
前記蓋体は、前記包装袋の前記開口を封止する天面部と、前記天面部から下方に延設された差込部とを備え、
前記天面部の表面には、前記ウェットティシューを取り出すための取出し口と、前記取出し口を封止する開閉蓋とを備え、
前記開閉蓋には、取出し口を封止するための密閉部を備え、
前記蓋体の前記差込部は、その外周面にネジ面を備え、
前記蓋受け部は、その内周面に前記蓋体の前記ネジ面と螺合可能なネジ面を備え、
前記差込部の前記ネジ面と前記蓋受け部の前記ネジ面との間に前記包装袋の前記開口の前記周縁が配置された状態で、前記差込部の前記ネジ面と前記蓋受け部の前記ネジ面とが互いに螺合することによって、前記蓋受け部が前記蓋体の前記差込部に取りつけられ、前記蓋体の前記差込部と、前記蓋受け部とが、前記包装袋の前記開口の前記周縁を挟持することによって、前記ウェットティシュー包装体用キャップが前記包装袋に装着される、
ウェットティシュー包装体用キャップ。」
<相違点1>
取出し口が、本件補正発明では、「前記ウェットティシューを取り出すための細孔が穿設され」て形成されたものであるのに対し、引用発明では、そのように特定されていない点。
<相違点2>
本件補正発明の「ウェットティシュー包装体用キャップ」が、包装袋に「着脱可能」であり、「前記蓋体の前記差込部から前記蓋受け部を取り外すことにより、前記蓋体の前記差込部と、前記蓋受け部とが、前記開口の前記周縁を開放することによって、前記ウェットティシュー包装体用キャップが前記包装袋から取り外される」のに対し、引用発明の「分配器具」は、そのように特定されていない点。
<相違点3>
本件補正発明の「ウェットティシュー包装体用キャップ」が、「(ただし、蓋受け部を蓋体の差込部と螺合したときに蓋受け部の外周部が蓋体の内部に収まる構造のものを除く)」ものであるのに対し、引用発明の「分配器具」は、そのように特定されていない点。
(4)判断
ア 相違点1について
上記(2)イ(ウ)に示すように、ウェットティシューを包装する容器において、ウェットティシューを取り出すための細孔が形成されることは周知技術である。ここで、引用発明の分配器具18の「カバー部材46」についても、「拭き取り布12の保管中の乾燥を防止」するものであることより、保管する拭き取り布12として、ウェット状態の拭き取り布12を含むことは明らかであり、当該引用発明の分配器具18の「カバー部材46」に、ウェットティシューを包装する容器に関する上記周知技術を適用する動機付けは十分存在するものである。
そうすると、引用発明の「カバー部材46」に、この周知技術を適用することで、相違点1に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。
イ 相違点2について
引用発明の「分配器具18」は、「ヒートシールは必要とされず、機械的な取付けが、係止リング44と取付けフランジ48とのネジの相互作用により生成される」ものであるし、通常、ネジによる取付けは、ネジを緩めて取り外すことができるから、引用発明も、「係止リング44」と「取付けフランジ48」との間のネジを緩めることにより、「分配器具18」は「スタンドアップパウチ24」から取り外すことができるものである。
そうすると、相違点2は、実質的な相違点ではない。
ウ 相違点3について
引用発明の「分配器具18」の「係止リング44」と「カバー部材46」について、引用文献1のFIG. 5a及びFIG. 5bには、螺合したときに係止リング44の外周部がカバー部材46の内部に収まる態様が図示されているが、引用文献1の[0026]には、螺合したときに係止リング44の外周部がカバー部材46の内部に収まる構造であることについて、説明がされているわけでもなく、当該構成が必須のものあるとは認められない。そうすると、「カバー部材46」の構成については、「取付けフランジ48上の対応するネジ山47と係合する一連のネジ45を含み、」「機械的な取付けが、係止リング44と取付けフランジ48とのネジの相互作用により生成される」限りにおいて、適宜設計し得るものといえる。
そうすると、引用発明の「分配器具18」を、「係止リング44」の外周部が「カバー部材46」の内部に収まらない構成とすることで、相違点3に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
エ 作用効果について
上記相違点1~3を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
オ 小括
したがって、本件補正発明は、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
3 本件補正についてのむすび
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
令和6年8月15日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1、2に係る発明は、令和6年3月22日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1、2に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、上記第2の[理由]1(2)に記載のとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、本願発明は、本願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
引用文献1:米国特許出願公開第2012/0223178号明細書
3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1に記載された発明は、上記第2の[理由]2(2)ア(ウ)に記載したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、上記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、「蓋体」と「蓋受け部」に係る限定事項を削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに「蓋体」と「蓋受け部」に係る限定事項を付加したものに相当する本件補正発明について、上記第2の[理由]2(4)に記載したとおり、当該「蓋体」と「蓋受け部」に係る限定事項の判断のために周知技術を認定し、本件補正発明が引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとするものであるから、本願発明は、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2024-013205