商標拒絶査定不服審判
2024-013128
ボイス
- 審判番号
- 2024-013128
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2023-061670
- 請求日
- 2024年08月13日
- 審決日
- 2025年05月20日
- 公報発行日
- 2025年08月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】日本メナード化粧品株式会社
- 【請求人代理人】中村 知公
- 審判長/審判官
- 審判長 豊瀬 京太郎
- 審判官 清川 恵子
- 審判官 目黒 潤
- 分類
- T18 .261-Z (W03) / T18 .262-Z (W03) / T18 .263-Z (W03)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2023-61670拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和5年6月6日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和5年12月18日付け:拒絶理由通知書
令和6年 2月19日 :意見書、手続補正書の提出
令和6年 5月10日付け:拒絶査定
令和6年 8月13日 :審判請求書の提出
2 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第3類に属する願書に記載のとおりの商品を指定商品として登録出願されたものであり、その後、本願の指定商品については、原審における上記1の手続補正書により、第3類「かつら装着用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,つけまつ毛用接着剤,塗料用剥離剤,靴クリーム,靴墨,つや出し剤,せっけん類,歯磨き,化粧品,香料,薫料,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙」と補正されたものである。
3 原査定の拒絶の理由(要旨)
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するものとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第6567815号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、令和3年12月24日に登録出願、第3類「化粧品」及び第35類「化粧品の小売又は卸売の業務において行なわれる顧客に対する便益の提供」を指定商品及び指定役務として、同4年6月7日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本願商標について
本願商標は、「ボイス」の文字と「VOICE」の文字を上下二段に横書きした構成よりなるところ、「VOICE」の文字は「(人間の)声,音声」等(出典:「ランダムハウス英和大辞典 第2版」株式会社小学館)を意味し、「ボイス」の文字は「VOICE」の欧文字の読みを片仮名表記したものと容易に理解できるものである。
そうとすると、本願商標は、その構成文字に相応して、「ボイス」の称呼を生じ、「声」の観念を生じるものといえる。
イ 引用商標について
引用商標は、別掲2のとおり、「the voice」の欧文字と「.」(ピリオド)とを結合して「the voice.」と一連に表示してなるものと容易に看取されるものである。
そして、その構成中の「the」の文字は、「その,例の,問題の」等(出典:「新英和中辞典 第7版」株式会社研究社)を意味する英語の定冠詞であり、「voice」の文字は、上記アのとおり、「(人間の)声,音声」等を意味する語である。
また、その構成中の「the」の文字は、「強いて訳さないでよい場合が多い」(出典:前掲書)とされているように、これを省略して表記ないし称呼することもあり、「.」(ピリオド)は「横書きの文の末尾に付する点。終止符。」(出典:「広辞苑 第七版」株式会社岩波書店)を意味するものであり、特に具体的な意味や読みを有するものとはいい難いことから、「the」及び「.」ともに、出所識別標識として特段の印象や記憶に残るものということはできない一方で、「voice」の文字部分については、引用商標の指定商品・指定役務との関係において、例えば、商品の品質(役務の質)や原材料を表すなど、自他商品役務の識別力を有しないという理由は見いだせない。
そうすると、引用商標の構成態様においては、「voice」の文字部分が、取引者及び需要者に対し、商品役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与え得るといえるものであり、これを要部として分離、抽出し、他人の商標と比較して、商標の類否を判断することが許されるというべきである(以下「voice」の文字部分について「引用商標の要部」という場合がある。)。
してみれば、引用商標は、全体の文字部分から「ザボイス」の称呼を生じるほか、引用商標の要部より、「ボイス」の称呼を生じ、「声」の観念を生じるものといえる。
ウ 本願商標と引用商標の比較
本願商標と引用商標は、それぞれ上記ア及びイのとおりの構成よりなり、本願商標と引用商標は、全体の外観において、構成文字や「.」(ピリオド)の差異等を有するものの、本願商標と、引用商標の要部との比較においては、片仮名の有無と大文字と小文字の差異があるものの、それぞれを構成する欧文字5文字が、同じ綴りからなるものであるから、両者は外観上、近似した印象を与えるものである。
そして、称呼においては、両者は、「ボイス」の称呼を同じくし、また、観念においては、両者は、「声」の観念を同じくするものである。
そうすると、本願商標と引用商標とは、本願商標と、引用商標の要部との比較において、外観上近似した印象を与えるものであり、また、称呼及び観念を同一にするものであるから、これらの外観、称呼及び観念によって、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、本願商標と引用商標は、商品及び役務の出所について誤認混同を生じるおそれのある、互いに類似の商標というのが相当である。
エ 本願の指定商品と引用商標の指定商品及び指定役務との類否について
本願の指定商品中、第3類「化粧品」は、引用商標の指定商品及び指定役務である第3類「化粧品」及び第35類「化粧品の小売又は卸売の業務において行なわれる顧客に対する便益の提供」と同一又は類似する商品である。
オ 小括
上記アないしエによれば、本願商標は引用商標と類似する商標であり、かつ、その指定商品も、引用商標の指定商品及び指定役務と同一又は類似するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、「the」の文字は英語表現上、「特定のものを表す」、「1つしかないものを表す」、「名詞が文中で2回以上使われる時」、「文法的に決められている」際に用いられる冠詞であり、単に「voice」では、「誰が発したかは分からない声」、あるいは、「複数存在する声のどれか一つ」の意味合いを生じるが、「the voice」では、「沢山の意見の中の特定の意見、或いは一つしかない唯一の意見」の意味合いを生じる旨、また、語尾にピリオド(.)を配し、その外観全体からも一つの文章と理解できる引用商標は、同様に構成全体をもって要部として把握されるべきものである旨主張している。
しかしながら、引用商標の構成中「the」の部分は、次に続く名詞中の特定のものを限定する機能を有する定冠詞であり、上記(1)イのとおり、「強いて訳さないでよい場合が多い」とされているように、次に続く名詞に対する限定性ないしは指示性の弱い語であり、また、引用商標の構成中の「.」は、その位置から、アルファベットなどの横書きの文の末尾に付する点である終止符(ピリオド)を認識させるものであり、それを認識させる以上に、格別の観念を生じない。
そうすると、「the」及び「.」は、出所識別標識としては強い印象を与えるものとはいえず、引用商標に係る需要者、取引者が、「the voice.」のうち「voice」の部分のみに着目することは十分あり得るものというべきである。
イ 請求人は、本願商標と同じく「THE○○」と「○○」で構成される商標が併存登録されている事例、「THE」の文字のみからなる登録例、「.」の記号を語尾に配した登録例、「THE」及び「.」を含めた標章全体を要部として認定した審決例等を挙げ、本願商標も登録されるべきである旨主張する。
しかしながら、商標の類否判断は、対比する商標について個別具体的に判断されるべきものであるところ、請求人の挙げる登録例及び審決例と本願商標とは、商標の具体的構成等において本願とは事案を異にするものであり、本願商標と引用商標の類否については上記(1)ウのとおりであるから、これらの登録例及び審決例をもって、上記判断が左右されるものではない。
ウ したがって、請求人の上記ア及びイの主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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