特許拒絶査定不服審判
2024-012627
医療システム、および、医療システムの動作方法
- 審判番号
- 2024-012627
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-108725
- 請求日
- 2024年08月02日
- 審決日
- 2025年07月30日
- 公報発行日
- 2025年10月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】朝日インテック株式会社
- 【請求人代理人】田邊 淳也
- 審判長/審判官
- 審判長 南 宏輔
- 審判官 藏田 敦之
- 審判官 萩田 裕介
- 分類
- P18 .121-Z (A61B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-108725「医療システム、および、医療システムの動作方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年 1月13日出願公開、特開2022- 6490〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和2年 6月24日の出願であって、その手続の経緯の概要は以下のとおりである。
令和6年 2月 8日付け:拒絶理由通知書
令和6年 4月 8日 :意見書、手続補正書の提出
令和6年 5月27日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
令和6年 8月 2日 :審判請求書、手続補正書の提出
第2 本願発明
本願の請求項1ないし6に係る発明は、特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。
「医療システムであって、
生体内に挿入される医療デバイスと、
前記医療デバイスの先端に設けられ、前記生体内において前記生体に高周波を流す先端電極と、
前記生体の外側に配置され、前記先端電極から前記生体に流された高周波によって発生する磁界を検出する磁気センサと、
前記磁気センサから出力された磁界情報を用いて、前記生体の内部画像を生成する画像生成部と、を備える、
医療システム。」
第3 原査定における拒絶の理由
原査定の拒絶の理由の概要は、この出願の請求項1~6に係る発明は、本願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の引用文献1~3に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものを含む。
引用文献1:国際公開第2015/129756号
引用文献2:Woo Chul Jeong. et al.,Focused Current Density Imaging Using Internal Electrode in Magnetic Resonance Electrical Impedance Tomography (MREIT),IEEE Transactions on Biomedical Engineering,2014年02月21日,61,1938-1946
引用文献3:特開2018-205102号公報
第4 引用文献
1 引用文献1
(1)原査定の拒絶の理由で引用された、本願出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である国際公開第2015/129756号(以下「引用文献1」という。)には、次の事項が記載されている(下線は当審において付加した。)。
ア 「技術分野
[0001] 本発明は、対象物の断層画像を取得する画像生成装置、導電率取得装置、画像生成方法及びプログラムに関する。
本願は、2014年2月25日に出願された特願2014-034335号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
背景技術
[0002] 電気インピーダンストモグラフィ(以下、EIT(Electrical Impedance Tomography)と記載する)測定装置は、体表面上に貼付した電極対から微弱電流を流すとともに、体表面上に生じた電位差から、生体内の導電率分布または導電率変化の分布を画像化する技術である。
EIT測定は、対象物に微弱電流を流すだけでその断層画像を取得できるので、X線CT(Computed tomography)と比較して、被曝の問題がなく、小型化や長時間測定、リアルタイムの測定が容易であるという利点がある。
[0003] EIT測定では、一般的に、8個から64個程度の電極を用いる。これらの電極を対象部位の周囲の体表面に貼付し、かつ、当該電極に対して個々に接続された信号ケーブルを引き回して、測定用回路に接続する。近年では、これら複数の電極並びに信号ケーブルをモジュールとして単一化し、電極の着脱、測定装置のセッティングを容易にする方法が試みられている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
先行技術文献
特許文献
[0004]特許文献1:特開2012-228514号公報
特許文献2:特表2009-523037号公報
発明の概要
発明が解決しようとする課題
[0005] しかしながら、上述のEIT測定においては、いずれも、体表面上に複数の電極を貼付する作業を要する。したがって、モジュール化によりある程度容易化されたとしても、測定作業者(オペレータ)には、少なからず一定の負担が生じる。また、測定対象者(被検者)によっては、電極の貼付の際に身体的な負担が強いられる場合もある。
[0006] 本発明の態様は、対象物の状態をより簡易的かつ高精度に取得することができる画像生成装置、導電率取得装置、画像生成方法及びプログラムを提供することを目的としている。
[0007] 本発明の一態様は、複数の電極と、複数のセンサセルと、前記複数の電極を介して供給された交流電流で生じた磁界の強度に基づいて測定対象物の断層画像を提供するコントローラであり、前記複数のセンサセルを介して前記磁界の強度が取得される、前記コントローラと、を備える、ことを特徴とする画像生成装置である。
[0008] また、本発明の一態様は、測定対象物から離れた位置に配された電極を介して当該測定対象物に交流電流を入力する交流電流入力部と、前記測定対象物から離れた位置に配された磁気センサを介して、前記交流電流入力部により入力された交流電流に基づいて生じた磁界の強度を取得する磁界情報取得部と、前記磁界情報取得部が取得した磁界の強度に基づいて前記測定対象物の断層画像を生成する画像生成部と、を備えることを特徴とする画像生成装置である。」
イ 「発明を実施するための形態
[0022] <第1の実施形態>
[全体構成]
以下、第1の実施形態に係る画像生成装置を、図面を参照して説明する。
図1は、第1の実施形態に係る画像生成装置の概要を示す図である。
図1に示す画像生成装置1は、検知部10と、駆動部11と、本体部(コントローラ)20と、を備え、測定対象者(被検者)Xの断層画像を取得可能である。
[0023] 検知部10は、使用時において測定対象者Xの周囲を囲うように、環状に形成される。ここで、「環状」は、対象物の少なくとも一部を囲む全体的な形状を意味し、対象物を完全に連続的に囲む形状に限定されない。また、「環状」は、円環に限定されず、様々な形態をとり得る。例えば、環状は、部分的な開放区間を有する環状や、円環以外の全体形状を有する環などを含むことができる。検知部10は、後述するように、複数の電極とセンサ(複数の磁気センサ、複数のセンサ、複数のセンサセル、複数のセンサヘッド)とを有する。本体部20は、測定対象者Xに対する各種検知信号を検知部10から取得する。本体部20は、この検知信号に基づき、測定対象者Xの、検知部10が配される面の断層画像(検知部10の軸方向の位置に従って設定される面に対する被検者Xの断層画像)を取得することができる。」
ウ 「[0029] [検知部の構造]
図3は、第1の実施形態に係る検知部の構造を示す第1の図である。また、図4は、第1の実施形態に係る検知部の構造を示す第2の図である。
図3には、検知部10の側面の構造を示している。また、図4には、図3における面A-A’の断面構造を模式的に示している。図3、図4に示すように、検知部10は、ベース体(ベースフレーム、環状筐体)101と、電極102と、磁気センサ103と、を備えている。
[0030] 本実施形態において、ベース体101は、使用時において測定対象者Xの周囲を囲うように(測定対象者の少なくとも一部を囲むように)、環状に形成されている。ベース体101は、駆動部11(図1)に取り付けられている。駆動部11による駆動制御に基づいてベース体101の測定対象者Xとの相対位置が変化する。ベース体101は、例えば、アクリル樹脂等で形成される。ベース体101の材料としては、様々な材料が適用可能である。ベース体の材料は、好ましくは、実質的に絶縁体であって、かつ、実質的に非磁性体材料である。また、ベース体101は、円形環状に限定されない。ベース体101の全体形状は、例えば、楕円形であったり、一部が間欠された構造であったりしてもよい。あるいは、ベース体101は、全体形状を変更可能な構造を有してもよく、開閉可能な構造を有してもよい。
[0031] 電極102は、面A-A’の同一面内において、ベース体101の周方向に沿ってベース体101に一定間隔ごとに複数取り付けられている。電極102の配置は、様々に変更可能である。電極102は、例えば、銅、アルミ、ステンレスなどの導電性を有し、かつ、実質的に非磁性体の材料で形成される。電極102の材料は、上記例に限定されない。
[0032] 磁気センサ103(複数のセンサセル、複数のセンサヘッド)は、電極102と同様に、面A-A’の同一面内において、ベース体101の周方向に沿ってベース体101に一定間隔ごとに複数取り付けられている。複数の磁気センサ(複数のセンサヘッド)103は、複数の電極102が配される面と同一面内に配される(図3)。磁気センサ(センサヘッド)103の配置は、様々に変更可能である。
また、本実施形態において、磁気センサ103は、常温でありながら超高感度な磁気センサである光ポンピング原子磁気センサを用いる。光ポンピング原子磁気センサは、極低温状態を要するSQUID(Superconducting Quantum Interference Device)と同程度の(10-15T(テスラ)オーダー)の磁場を観測することができる。
[0033] 図4に示すように、交流電流入力部201は、交流駆動回路201Aを制御して、複数の電極102のうちの2つの電極102間に交流電流を流す。交流駆動回路201Aは、交流電源及び定電流回路(或いは定電圧回路)を有する回路であって、交流電流入力部201による制御に応じて、高周波(例えば数kHz~数MHzオーダー)の交流電流を出力可能とする。これにより、交流電流は、電極102から空中に放射される成分が高まるため、電極102を測定対象者Xの体表面に直接貼付することなく交流電流を測定対象者Xの内部に流すことができる。また、上記周波数帯は、人体を測定対象物とした場合において、インピーダンスの変化が顕著となることが知られている(図11(b)参照)。
なお、図示していないが、交流電流入力部201は、交流駆動回路201Aと、複数の電極102のうちの任意の2つの電極102と、を選択して接続可能な切替部を有する。交流電流入力部201は、交流駆動回路201Aと、複数の電極102の各々と、の接続を順次切り替えながら測定者Xに交流電流を流す処理を行う。
このように、交流電流入力部201は、測定対象者Xの特定の断層面を囲う複数の位置に配された電極102を介して交流電流を入力する。
[0034] また、図4に示すように、磁界情報取得部202は、磁気センサ103と接続されるとともに、磁気センサ103で検知された磁界の強度をデータ(磁界強度情報)として取得する。なお、図示を省略しているが、磁界情報取得部202も磁気センサ(センサセル、センサヘッド)103の全てと並列に接続されており、磁気センサ103が配された各箇所に発生した磁界の強度を同時に取得可能としている。また、磁気センサ103と磁界情報取得部202との間の接続には、バンドパスフィルタ、増幅器、A/D(Analog/Digital)変換器等、磁界強度を電気的なデータ(磁界強度情報)として取得するために必要な回路が挿入されている。
このように、磁界情報取得部202は、電極102が囲う測定対象者Xの特定の断層面と同一の断層面の周囲に配された磁気センサ103を介して、当該特定の断層面を囲う複数の位置における磁界の強度を示す磁界強度情報を取得する。」
エ 「[0035][検知部の動作原理]
図5は、第1の実施形態に係る電極及び磁気センサの機能を説明する図である。
交流電流入力部201が交流駆動回路201Aを制御して、ある隣接する一対の電極102の間に交流電流を流す場合を考える。交流電流の周波数が数MHzオーダーの場合、図5に示すように、隣接する電極102間において、空中に円弧状に広がるように交流電流が発生する。これにより、測定対象物Xの内部にも交流電流(交流電流I1、I2等)が入力される。測定対象物Xに入力される交流電流I1、I2等は、それぞれ、測定対象者Xの内部を伝わる経路に応じた値となる。
[0036] より具体的に説明すると、測定対象者Xに含まれる血液等は電解質であるため、測定対象者Xの内部の方が大気中に比べて電気インピーダンスが低い。したがって、両電極102間から大気中に放射される交流電流は、電気的な抵抗(電気インピーダンス)が低い測定対象者Xの内部の方を流れようとする。そうすると、例えば、交流電流I2、I3等は、測定対象者Xがその場に存在しない場合に比べ、存在する場合の方が全体として高い電流値となる。また、測定対象者Xの内部であっても、例えば、空気で満たされた肺野等を通る交流電流は、その分低い電流値となる。
以上のように、ある電極102間に生じる交流電流は、測定対象物Xの内部における電気インピーダンスの分布に応じた電流値となる。
[0037] また、図5に示すように、各交流電流(交流電流I1、I2等)の周囲には、磁界Hが発生する。磁界Hの強度は、発生した交流電流値に比例する。磁界情報取得部202は、ベース体101の周上に配列された各磁気センサ(センサセル、センサヘッド)103を介して、各々の位置において生じた磁界Hの強度を検知する。
後述する画像生成部203は、ここで磁界情報取得部202が取得した各磁気センサ103が検知した磁界Hの強度情報に基づいて、主に、電極102、磁気センサ103と同一面内に存在する断層面S(測定対象者Xの面A-A’(図3)についての断層面)の断層画像を生成する。
[0038] なお、入力する交流電流の周波数は、上述したように、人体を測定対象物とした場合において高精度な計測が可能となるように、数kHz~数MHzオーダーとしている(図11参照)。そのため、この交流電流に基づいて発生する磁界も同周波数で発振している。そこで、本実施形態においては、磁気センサ103として超高感度の光ポンピング原子磁気センサを用いることで、比較的高い周波数(数MHzオーダー)で発振する磁界であっても、その磁界強度を精度よく検知することが可能となっている。上記数値は一例であって本発明はこれに限定されない。
[0039] 磁気センサ103の態様は、光ポンピング原子磁気センサに限定されない。磁気センサ103として、好ましくは、いわゆる高感度磁気センサが用いられる。一例において、磁気センサ103は、少なくとも数kHzオーダーの磁界Hを高精度で検知可能である。上記数値は一例でありこれに限定されない。例えば、MIセンサ(磁気インピーダンス素子センサ)、超伝導量子干渉素子(Superconducting quantum interference device: SQUID)等の様々なタイプの中から選択されたものを磁気センサ103として用いることができる。」
オ 「[0043] ここで、ステップS14における断層画像の生成処理の手法について簡単に説明する。まず、従来のEIT測定の場合、通常、複数の電極は体表面に貼付される。そして、ある選択された電極間に定電流(一般に、数kHzオーダの交流電流)を流しながら、他の電極間に生じる電位差を順次計測することで、測定対象者の断層面における抵抗率分布を取得する。従来のEIT測定では、この抵抗率分布を基に、例えば、既知の逆投影法(Back projection method)を用いて断層画像を生成する。
・・・略・・・
[0050] となる。ここで、Fは、正規化感度行列を示し、Δgn=g/gref、Δc=c/crefで、ある基準値に対する変化率を示す。すなわち再構成される画像は、導電率の変化率分布を示す。なお、式(3)中の“+”の記号は、当該“+”が付される行列の疑似逆行列であることを示す。
電磁界系の逆問題を解くことは非常に困難であるため、本実施形態では、測定される磁場の変化率と導電率の変化率が比例関係にあることから、上記のEITにおける画像解析手法を利用した。
EITにおいて測定される電極間の電圧Vは、式(4)のように表される。
[0051]
[図:0001427646000001.jpg]
[0052] ここで、“σ”は測定対象物(測定対象者X)の導電率(単位:S/m、抵抗率ρ=1/σ)、“l”及び“s”は、測定対象物を直方体と考えたときの長さ(単位:m)及び断面積(単位:m2)、“I”は、測定対象物に流れる電流(単位:A)である。つまり、測定対象物のインピーダンスが測定中に変化しないものとすれば、電位差Vは、電流Iに比例する。
[0053] 一方、磁界強度“H”と、電流“I”とは、一般に、式(5)の関係を満たすことが知られている。
[0054]
[図:0001427646000002.jpg]
[0055] すなわち、電流Iの流れる方向から直角方向に距離“r”(単位:m)だけ離れた点における磁界強度H(単位:A/m)は式(5)のように求められ、これにより、磁界強度Hと電流Iとは比例関係にあることがわかる。
したがって、電位差Vと磁界強度Hも比例関係にあることから、既知の逆投映法において、「電位差V」についての入力をそのまま「磁界強度H」と置き換えても、同等の断層画像を取得することができる。
[0056] なお、画像生成部203が実行する断層画像生成処理は、上述したEIT測定に用いられる逆投影法を利用した手法に限定されることはなく、その他の手法を用いてもよい。例えば、取得した磁界強度情報に基づいて、電磁界系の逆問題を解く手法が用いられてもよい。
ステップS14にて断層画像を生成すると、画像生成部203は、生成した断層画像を画像表示部213に出力する。オペレータは、画像表示部213に表示された断層画像を視認しながら診断を行うことができる。
[0057] 一の断層画像の生成処理が完了すると、次に、駆動制御部204は、駆動部11の駆動制御を行う。具体的には、駆動制御部204は、測定対象者Xについての全ての断層画像を取得したか否かを判定する(ステップS15)。なお、断層画像を取得する断層面Sの位置や取得する回数などは、オペレータによる最初の設定入力の際に決定されるものとする。
そして、全ての断層画像を取得していない場合(ステップS15:NO)、駆動制御部204は、駆動部11に所定の指示信号を出力して、検知部10を上下方向に移動させ(ステップS16)。これにより、駆動部11は、検知部10の測定対象者Xに対する相対位置を変更する。
ステップS16にて、検知部10の測定対象者Xに対する相対位置の変更がなされると、交流電流入力部201、磁界情報取得部202及び画像生成部203は、上述したステップS10からステップS14までの処理を繰り返す。これにより、測定対象物Xの異なる断層面についての断層画像をさらに取得することができる。
ステップS16にて、予定されていた全ての断層画像の取得を終えると(ステップS15:YES)、CPU200は、処理を終了する。
[0058][作用効果]
上述したように、従来のEIT測定の場合、測定対象者Xの体表面に複数の電極を貼付する作業を必要とする。
一方、本実施形態に係る画像生成装置1は、図3~図5等を用いて説明したように、測定対象者Xに対し入力する交流電流の出力先となる複数の電極102と、その交流電流を磁界強度として検知する複数の磁気センサ(複数のセンサセル、複数のセンサヘッド)103と、がいずれも測定対象者Xから離れた位置に配されている。複数の電極102及び複数の磁気センサ(複数のセンサセル、複数のセンサヘッド)103が測定対象物Xの表面に対して非直接接触に配される。これにより、測定対象者Xと電極等とが完全に非接触な状態(非直接接触状態)としながら、測定対象者Xの所望の断層面についての断層画像を取得することができる。
これにより、オペレータによる電極の貼付作業の負担を軽減することができるばかりでなく、測定対象者Xに対する身体的な負担をも軽減することができる。「測定対象物Xの表面に対する非直接接触」は、電極102/磁気センサ103と測定対象者の体表面との間に別の物体が介在している状態を含み、例えば、測定対象者が着用している衣服の外面上に電極102/磁気センサ103が配された状態を含む。追加的に及び/又は代替的に、検知部10は、測定対象物(測定対象者)に対して装着タイプとすることができる。例えば、検知部10は、測定対象者が着用可能に形成されたベース体101に、電極102及び磁気センサ103の少なくとも一部が設けられた構成(例えば、バンドタイプ、キャップタイプ、ヘルメットタイプ等)を有することができる。
[0059] なお、本実施形態においては、図3等において、測定対象者Xが直立した状態で、かつ、測定対象者Xの周囲を囲う検知部10が鉛直方向に移動しながら測定が行われている例を示しているが、他の実施形態においてはこの態様に限定されない。例えば、画像生成装置1は、測定対象者Xが専用のベッド等に横たわった状態にあって、検知部10が測定対象者Xを囲んだ状態で検知部10が水平方向に移動する態様としてもよい。このようにすることで、測定対象者Xが身体を起こすことが困難な状況にあっても、測定対象者Xに身体的な負担を強いることなく断層画像を取得することができる。
[0060] また、従来のEIT測定の場合、体表面の状態(汗の有無など)によっては、その接触面における電気インピーダンスが変動してしまい、測定結果に誤差を生じさせてしまう場合が想定される。
その点、本実施形態に係る画像生成装置1によれば、電極102と測定対象者Xとの接触面(体表面)が存在しないため、その接触面の状態に応じた誤差要因を排除することができる。
[0061] また、本実施形態においては、上述したように、電極102が非磁性体材料で形成されている。これにより、電極102自身の存在が、磁気センサ103による磁界強度の検知に与える影響を最小限に抑制することができる。これにより、各磁気センサ103は、ベース体101における電極102との位置関係に依存せずに、その位置に発生した磁界の強度を精度よく検知することができる。
[0062] 以上、第1の実施形態に係る画像生成装置1によれば、対象物の断層画像をより簡易的かつ高精度に取得することができる。」
カ 「[0068] ここで、図5において、互いに隣接する電極102間に生じる交流電流は、その近傍では大きい電流が流れるが、当該電極102間から離れるほどその電流量は小さくなることが知られている。したがって、隣接する電極102間のみに交流電流を発生させた場合、測定対象物Xの体表面に近い側を流れる電流量に比べ、測定対象物Xの内部を流れる電流は微弱なものとなる。そのため、互いに隣接する電極102間に生じる交流電流のみに基づいて取得された断層画像は、断層面Sのうち、体表面に近い領域については高い精度で再現されているが、体表面から離れた深い領域については再現の精度が低下する場合がある。
[0069] そこで、図8に示すように、例えば、対向する電極102の対を順次選択しながら交流電流I1等を流すことで、測定対象者Xの体内の深い領域を通る電流量が増す。磁界情報取得部202は、このような電流分布に基づいて発生する磁界を取得することで、体表面から離れた深い領域をも精度よく再現することができる。
また、互いに隣接する電極102の対、または、対向する電極102の対のみならず、他の任意の2つの電極102の対の組み合わせによって交流電流を入力してもよい。」
キ 「図1
[図:0001427646000003.jpg]
」
ク 「図4
[図:0001427646000004.jpg]
」
ケ 「図5
[図:0001427646000005.jpg]
」
コ 「図8
[図:0001427646000006.jpg]
」
サ 「図11
[図:0001427646000007.jpg]
」
(2)引用発明
上記(1)から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、参考のため、認定の根拠となった主な箇所を括弧内に示す。
「電気インピーダンストモグラフィ測定では、電極を対象部位の周囲の体表面に貼付し、かつ、当該電極に対して個々に接続された信号ケーブルを引き回して、測定用回路に接続するため、測定作業者(オペレータ)に、少なからず一定の負担が生じ、測定対象者(被検者)によっては、電極の貼付の際に身体的な負担が強いられる場合もあることを鑑みて、対象物の状態をより簡易的かつ高精度に取得することを目的として(上記(1)ア)、
使用時において測定対象者Xの周囲を囲うように環状に形成されているベース体101と、当該ベース体101の周方向に沿って一定間隔ごとに取り付けられている複数の電極102及び複数の磁気センサ103とを備える検知部10と(上記(1)ウ)、
電極102が囲う測定対象者Xの特定の断層面と同一の断層面の周囲に配された磁気センサ103を介して、当該特定の断層面を囲う複数の位置における磁界の強度を示す磁界強度情報を取得する磁界情報取得部202(上記(1)ウ)と、
前記磁界情報取得部202が取得した各磁気センサ103が検知した磁界Hの強度情報に基づいて、測定対象者Xの断層面Sの断層画像を生成する画像生成部203とを備え(上記(1)エ)、
人体を測定対象物とした場合において、インピーダンスの変化が顕著となり、高精度な計測が可能となる数kHz~数MHzオーダーの高周波の交流電流を前記電極102間に出力することにより、電極102を測定対象者Xの体表面に直接貼付することなく、交流電流を測定対象者Xの内部に流し(上記(1)ウ、エ)、
その交流電流の周囲に発生する磁界Hの強度を複数の前記磁気センサ103が検知し(上記(1)エ)、
前記複数の電極102と、前記複数の磁気センサ103とがいずれも測定対象者Xから離れた位置に配されることにより、オペレータによる電極の貼付作業の負担を軽減し、測定対象者Xに対する身体的な負担をも軽減し(上記(1)オ)、
隣接する電極102間のみに交流電流を発生させた場合には、測定対象物Xの体表面に近い側を流れる電流量に比べて、測定対象物Xの内部を流れる電流は微弱なものとなり、断層画像の体表面から離れた深い領域の再現の精度が低下することから、対向する電極102の対に交流電流を流すものとして、測定対象者Xの体内の深い領域を通る電流量を増やして、体表面から離れた深い領域を精度よく再現する(上記(1)カ)、
画像生成装置。」
2 引用文献2
(1)原査定の拒絶の理由で引用された、本願出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である「Woo Chul Jeong. et al.,Focused Current Density Imaging Using Internal Electrode in Magnetic Resonance Electrical Impedance Tomography (MREIT)(当審訳:磁気共鳴電気インピーダンストモグラフィー(MREIT)における内部電極を用いた集束電流密度イメージング),IEEE Transactions on Biomedical Engineering,2014年02月21日,61,1938-1946」(以下「引用文献2」という。)には、次の事項が記載されている(下線は当審において付加した。引用文献2には、斜体及び下付文字の下付文字が存在するが、システムの制約のため、前者は、標準の書体で、後者は、通常の下付文字で表した。)。
ア 「Abstract―Magnetic resonance electrical impedance tomography (MREIT) is an imaging modality capable of visualizing cross-sectional current density and/or conductivity distributions inside an electrically conducting object. It uses an MRI scanner to measure one component of the magnetic flux density induced by an externally injected current through a pair of surface electrodes. For the cases of deep brain stimulation (DBS), electroporation, and radio frequency (RF) ablation, internal electrodes can be used to improve the quality of the MREIT images. In this paper, we propose a new MREIT imaging method using internal electrodes to visualize a current density distribution within a local region around them. To evaluate its performance, we conducted and analyzed a series of numerical simulations and phantom imaging experiments. We compared the reconstructed current density images using the internal electrodes with the obtained using only the external electrodes. We found that the proposed method using the internal electrodes stably determines the current density in the focused region with better accuracy.」
(当審訳:要旨-磁気共鳴電気インピーダンストモグラフィー(MREIT)は、導電性物体内部の断面電流密度および/または導電率分布を可視化できる画像診断法である。MRIスキャナを用いて、一対の表面電極を通して外部から注入された電流によって誘起される磁束密度の1つの成分を測定する。脳深部刺激(DBS)、エレクトロポレーション、および高周波(RF)アブレーションの場合、内部電極を用いることでMREIT画像の画質を向上させることができる。本稿では、内部電極を用いてその周囲の局所領域における電流密度分布を可視化する新しいMREIT画像診断法を提案する。その性能を評価するため、一連の数値シミュレーションとファントムイメージング実験を実施し、解析を行った。内部電極を用いて再構成された電流密度画像と、外部電極のみを用いて得られた画像を比較した。その結果、内部電極を用いた提案手法は、焦点領域の電流密度をより高い精度で安定的に決定できることが分かった。)
イ 「I. INTRODUCTION
MAGNETIC resonance electrical impedance tomography (MREIT) is a recently developed MR-based impedance imaging technique to provide cross-sectional images of the conductivity and/or current density distributions inside an electrically conducting imaging object [1]-[15]. When we inject current into the imaging object through a pair of surface electrodes, it induces an internal distribution of the magnetic flux density B = (Bx, By, Bz). Using an MRI scanner with its main magnetic field aligned along the z direction, we can measure the z-component of B, Bz, in the form of a cross-sectional image. Since the measured data Bz is determined by the current density distribution and, therefore, by the conductivity distribution, conductivity image reconstructions from the measured data are possible in MREIT. Recent studies of in vivo animal and human imaging experiments have showed successful reconstructions of cross-sectional conductivity images [16]-[18].
However, the measured Bz data is contaminated with noise and the noise level is inversely proportional to the signal-to-noise ratio (SNR) of the MR magnitude image and the duration of current injection. Using a constant current source and thin carbon-hydrogel surface electrodes with a large contact area, we have injected current synchronized with an MR pulse sequence [22]-[24]. One may adopt a pulse sequence such as the multiecho injection current nonlinear encoding (ME-ICNE) to minimize the noise level in the measured Bz data [19]-[24]. For a given amount of current amplitude, the quality of reconstructed images depends primarily on the noise level in the Bz data.
The visualization of current density in the whole imaging region from the measured Bz by the externally injected current has been studied in Oh et al. [30]. Recently, the projected current density JP as the best approximation of the internal current density J from the measured Bz data was proposed by solving a two-dimensional Poisson’s equation with the Dirichlet condition determined by the relationship between the induced internal current density and the measured Bz data [31].
When we inject current through a pair of surface electrodes, it spreads all over the imaging object to produce a three-dimensional distribution of the internal current density. This usually results in a poor SNR of the recovered conductivity and/or current density images due to weak Bz signals inside the imaging area. Since the quality of the measured Bz data depends on the MR magnitude image SNR and the duration of injection current, the measured Bz data becomes very noisy in the local region where MR signal void occurs. To compute the projected current density JP, it is required to solve Poisson’s equation with the Laplacian of the noisy Bz data as its source term. Therefore, excessive amount of noise in a defective region may affect other regions through the noise propagation process.
For diagnostic as well as therapeutic purposes, electrodes can be inserted into the human body. For example, in electrical impedance tomography (EIT), a probe with multiple electrodes has been developed to inject currents and measure voltages inside the body for endo-tomography of an internal region of interest (ROI) [25]. In radio frequency (RF) ablation, an alternating current of several hundreds of kHz is delivered through an internal electrode to heat a target tissue [26]. Deep brain stimulation (DBS) electrodes are intended to stimulate specific areas of the brain to treat movement disorders including essential tremor and Parkinson’s disease [27], [28]. One may also use an internal electrode to apply a high electric field for electroporation to deliver pharmaceutical agents and drugs directly into cells [29]. If such an internal electrode is available, we may use it as well to inject current for MREIT imaging. Then, the Bz signal in a local region near the internal electrode becomes stronger since it is highly dependent on the current density at the same position.
In this paper, we focus on the recovery of the internal current density J in the ROI around the internal electrode using the enhanced Bz data. We propose a new method to recover the focused current density JF in a local region around the internal electrode. Using numerical simulation results, we validate the proposed algorithm to stably determine the current density in the ROI. We compare the reconstructed internal current densities with and without the use of the internal electrode. To verify the proposed method in a real experiment, we design a conductivity phantom and perform imaging experiments using an internal electrode at the center of the phantom. The Results of the phantom imaging experiments reflect the advantage of the proposed method over conventional methods to recover a focused current density JF in a local region around the internal electrode.」
(当審訳:I. はじめに
磁気共鳴電気インピーダンス・トモグラフィー(MREIT)は、最近開発されたMRベースのインピーダンス・イメージング技術であり、導電性の撮像対象物の内部の導電率および/または電流密度分布の断面画像を提供する[1]-[15]。一対の表面電極を通して撮像対象物に電流を注入すると、磁束密度B = (Bx,By,Bz)の内部分布が誘起される。主磁場をZ方向に整列させたMRIスキャナを用いることで、BのZ成分Bzを断面画像の形で測定することができる。測定データBzは電流密度分布、ひいては導電率分布によって決定されるため、MREITでは測定データから導電率画像を再構成することができる。最近の動物およびヒトの生体内イメージング実験では、断面導電率画像の再構成に成功していることが示されている[16]-[18]。
しかし、測定されたBzデータはノイズに汚染されており、ノイズレベルはMR振幅画像の信号対雑音比(SNR)と電流注入時間に反比例する。定電流源と大きな接触面積を持つ薄いカーボンハイドロゲル表面電極を用いて、我々はMRパルスシーケンスと同期して電流を注入してきた[22]-[24]。測定されたBzデータのノイズレベルを最小限に抑えるために、マルチエコー注入電流非線形エンコード(ME-ICNE)などのパルスシーケンスを採用することができる[19]-[24]。与えられた電流振幅に対して、再構成画像の品質は主にBzデータのノイズレベルに依存する。
外部注入電流によって測定されたBzからイメージング領域全体の電流密度を可視化する方法は、Ohらによって研究されている[30]。最近、測定されたBzデータからの内部電流密度Jの最良近似値として、投影電流密度JPが提案されました。これは、誘起された内部電流密度と測定されたBzデータの関係によって決定されるディリクレ条件を備えた2次元ポアソン方程式を解くことによって得られます[31]。
一対の表面電極を通して電流を注入すると、電流は撮像対象物全体に広がり、内部電流密度の3次元分布を生成する。この結果、通常、撮像領域内のBz信号が弱いため、復元された導電率画像および/または電流密度画像のSNRが低下する。測定されたBzデータの品質は、MR振幅画像のSNRと電流注入期間に依存するため、MR信号が欠落する局所領域では測定されたBzデータに非常にノイズが多くなる。投影電流密度JPを計算するには、ノイズを含むBzデータのラプラシアンをソース項としてポアソン方程式を解く必要がある。したがって、欠陥領域における過剰なノイズは、ノイズ伝播プロセスを通じて他の領域に影響を及ぼす可能性がある。
診断だけでなく治療目的でも、電極を人体に挿入することができる。例えば、電気的インピーダンス・トモグラフィ(EIT)では、複数の電極を備えたプローブが開発されており、体内の電流注入と電圧測定を行い、興味のある内部領域(ROI)のエンドトモグラフィを行う[25]。高周波(RF)アブレーションでは、内部電極を通して数百kHzの交流電流を流し、標的組織を加熱する[26]。脳深部刺激(DBS)電極は、脳の特定の 領域を刺激し、本態性振戦やパーキンソン病などの運動障害を治療することを目的としている [27], [28]。また、内部電極を使用して高電界を印加し、エレクトロポレーションを行い、薬剤や薬物を細胞内に直接送達することもできる[29]。このような内部電極があれば、MREITイメージングのための電流注入にも使用できる。その場合、内部電極近傍の局所領域におけるBz信号は、同じ位置における電流密度に大きく依存するため、強くなる。
本論文では、拡張Bzデータを用いた内部電極周囲のROIにおける内部電流 密度 J の復元に焦点を当てる。われわれは、内部電極周辺の局所領域における 焦点電流密度 JF を復元する新しい方法を提案する。数値シミュレーション結果を用いて、ROIの電流密度を安定的に決定する 提案アルゴリズムを検証する。再構成された内部電流密度、内部電極を用いた場合と用いない場合を比較した。実際の実験において提案手法を検証するために、導電率ファントムを設計し、ファントムの中心に 内部電極を用いてイメージング実験を行った。ファントムイメージング実験の結果は、内部電極の周囲の局所領域に集中した電流密度JFを復元する従来の方法に対する提案手法の利点を反映している。)
ウ 「C. Numerical Simulation
We built a cylindrical model with a diameter of 110 mm and height of 140 mm using COMSOL (COMSOL Inc. USA) as shown in Fig. 1. We attached four electrodes around the middle surface of the model and placed one internal electrode at the center. Inside the model, we placed a cylindrical insulating barrier of 0.0001 Sm-1 and a conductive anomaly of 1.5 Sm-1 . The background saline had a conductivity of 1.0 Sm-1.
Figs. 1(a) and (b) show the model and its finite element mesh, respectively. The mesh consists of 990854 tetrahedral elements and 85 938 triangular elements on its surface. We solved the following elliptic equation with total 27 345 610 degrees of
[図:0001427646000008.jpg]
」
(当審訳:C. 数値シミュレーション
図1に示すように、COMSOL (COMSOL Inc. USA) を用いて、直径 110 mm、高さ 140 mm の円筒形モデルを作成した。モデルの中央表面の周囲に4つの電極を取り付け、中央に1つの内部電極を配置した。モデル内部には、0.0001 Sm-1 の円筒形絶縁バリアと 1.5 Sm-1 の導電率異常を配置した。背景生理食塩水の導電率は 1.0 Sm-1 であった。
図1(a)と(b)はそれぞれモデルとその有限要素メッシュを示しています。メッシュは990,854個の四面体要素と、その表面に85,938個の三角形要素で構成されています。我々は、合計27,345,610度の楕円方程式を解いた。
自由度
[図:0001427646000009.jpg]
)
エ 「D. Phantom Experiment
We conducted a cylindrical acrylic phantom with a height of 140 mm and diameter of 110 mm to verify the proposed method in a real imaging experiment. An open-ended cylindrical insulating thin shell with 2-mm thickness was placed inside the phantom to create an obstacle to disturb the internal current flow. An anomaly with a diameter of 30 mm, made of agar gel (800 ml distilled water, 8 g NaCl, 1 g CuSO4 , and 15 g Agar), was also placed inside the phantom. The conductivity of the agar object was 1.5 Sm-1. We placed an acrylic rod with a height of 140 mm and diameter of 10 mm at the center of the phantom. We constructed an internal electrode by wrapping the middle part of the rod with a sheet of carbon (HUREV Co. Ltd., Korea). The phantom was subsequently filled with 1.0 Sm-1 saline (2 L of distilled water, 2 g CuSO4, 7 g NaCl). Figs. 3(a-c) show the phantom design; (a) shows the positions of the agar object, the open-ended thin shell object, and the internal electrode, (b) depicts the internal electrode, and (c) shows the phantom inside the RF coil. 」
(当審訳:D. ファントム実験
提案手法を実際の画像化実験で検証するため、高さ140 mm、直径110 mmの円筒形アクリルファントムを用いた。ファントム内部には、厚さ2mmの円筒形の絶縁体でできた開口型の薄いシェルを配置し、内部電流の流れを阻害する障害物とした。また、直径30mmの異常物体として、寒天ゲル(蒸留水800ml、NaCl 8g、CuSO4 1g、寒天15g)をファントム内部に配置した。寒天ゲルの導電率は1.5Sm-1であった。ファントムの中央に、高さ140mm、直径10mmのアクリル棒を配置した。棒の中央部分をカーボンシート(HUREV社製、韓国、10mm厚)で包むことで内部電極を構成した。ファントムは、その後、1.0 Sm-1の生理食塩水(蒸留水2 L、CuSO4 2 g、NaCl 7 g)で満たされた。図3(aーc)はファントムの設計を示す。(a)は寒天体、開口型薄殻体、および内部電極の位置を示し、(b)は内部電極を、(c)はRFコイル内のファントムを示す。)
オ 「III. RESULTS
A. Simulation Results
・・・略・・・
The level of the background region SNR was fixed at 100, 75, and 50 dB for three trials and the SNR at the target region of anomaly was set to two times higher than the level of the background noise. To generate a defective region, we added severe noise to the thin open-ended insulating shell.
Fig. 5 shows the x and y components of the recovered current density JF obtained using (8). Due to the presence of the cylindrical insulating obstacle, most of the internal current was shunted around the ROI R [see Fig. 5(a)] for the case of external injection current. Since the estimated JF did not lead to propagation of noise effects to the surrounding region, the severe noise in the insulating shell did not affect the estimated current density JF in the region R. For the external injection current case with increased noise levels, the recovered current density was almost indistinguishable in R due to the relatively weak signal of Bz as shown in Fig. 5(a). However, for the internal electrode case the recovered current density JF in R was not affected by the noise in the insulating shell, and it provided a sufficient resolution to distinguish the anomaly.」
(当審訳:III 結果
A. シミュレーション結果
・・・略・・・
背景領域のSNRレベルは、3回の試行で100、75、50 dBに固定し、異常領域におけるSNRは背景ノイズレベルの2倍に設定した。欠陥領域を生成するために、薄い開口端絶縁シェルに強いノイズを加えた。
図5は、式(8)を使用して得られた復元電流密度JFのx成分とy成分を示す。外部注入電流の場合、円筒状の絶縁障害物の存在により、内部電流の大部分はROI Rの周囲に分流した[図5(a)参照]。推定されたJFは周囲領域へのノイズ影響の伝播を招かなかったため、絶縁シェル内の激しいノイズは領域Rにおける推定電流密度JFに影響を与えなかった。ノイズレベルが増加した外部注入電流の場合、図5(a)に示すように、Bzの信号が比較的弱いため、Rにおける復元電流密度はほとんど判別不能であった。しかし、内部電極の場合、Rにおける復元電流密度JFは絶縁シェル内のノイズの影響を受けず、異常を判別するのに十分な分解能を提供した。)
カ 「B. Experimental Results
・・・略・・・
We measured the intensity of the recovered current density JF and the noise standard deviation within the local ROI of 5 × 5 pixels and these values were listed in Table II. The noise standard deviation sdIBz with NEX = 1 (NEX = 3) was smaller than sdEBz with NEX = 3 (NEX = 5). This clearly indicates the advantage of the internal electrode in terms of the SNR in the ROI. Moreover, the intensity of the recovered current density |JF|I obtained using the internal electrode was increased up to 38% in the region R compared to the values of |JF|E obtained using the external electrodes. The upper and lower rows in Fig. 8 show the characteristics of the recovered current density |JF| for the external and internal electrode cases, respectively, with NEX = 5. In the first column, e note that the use of the internal electrode produced concentrated current flows in the anomaly region R whereas externally injected current spread over the whole domain. Figs. 8(b) and (e) show the intensity of the reconstructed current density by using the external and internal injection currents, respectively. Figs. 8(c) and (f) show the magnified views of |JF| in the region including R corresponding to Figs. 8(b) and (e), respectively. Due to the concentration of the current density in the ROI R, the enhanced current density in Fig. 8(f) using the internal electrode provided a clear contrast compared to the recovered current density using the external electrodes as shown in Fig. 8(c).」
(当審訳:B. 実験結果
・・・略・・・
5×5ピクセルの局所ROI内で復元電流密度の強度|JF|とノイズ標準偏差を測定し、表IIに示した。NEX = 1(NEX = 3)の場合のノイズ標準偏差sdIBzは、NEX = 3(NEX = 5)の場合のsdEBzよりも小さかった。これは、ROI内のSNRに関して内部電極が優れていることを明確に示している。さらに、内部電極を用いた場合の復元電流密度|JF|Iの強度は、外部電極を用いた場合の|JF|E の値と比較して、領域Rにおいて最大38%増加した。図8の上段と下段は、NEX = 5の場合の、それぞれ外部電極と内部電極の場合の復元電流密度|JF|の特性を示している。最初の列では、内部電極の使用により、異常領域Rに集中した電流が流れたのに対し、外部注入電流は領域全体に広がったことがわかる。図8(b)および(e)は、それぞれ外部注入電流と内部注入電流を用いて再構成された電流密度の強度を示している。図8(c)および(f)は、それぞれ図8(b)および(e)に対応するRを含む領域のJFの拡大図を示している。ROIRにおける電流密度の集中により、図8(f)の内部電極を用いた増強された電流密度は、図8(c)に示す外部電極を用いた復元された電流密度と比較して明確なコントラストを与えている。)
キ 「IV. DISCUSSION
From the measured magnetic flux density Bz data, the projected current density JP = J0 + J* in (10) is the best approximation of the current density by injecting current, which reflects the measured Bz and the injected current simultaneously. When the current is transversely injected into a cylindrical imaging object, the recovered projected current density JP stably approximates the true current density J depending on the z component of J - J0 .
Unlike the conventional external electrode case, the current density J using the internal electrode was highly concentrated and rapidly changed around the internal electrode.
The recovered current density JF in (8) instead of JP, which reduces noise propagation from defective regions to their surrounding regions, may include a relatively large difference compared to the JP corresponding to the transversally injected current through the external electrode. The recovered current density JF in the local region R ⊂ Ω in (8) can be applicable to any size of region and it can be used instead of JP by solving (11). In this paper, we focused on the recovery of current density in a local region around the internal electrode. If there is no defective area in the imaging region, the projected current density JP = J0 + J* can remove side artifacts BIz in (7) by the external lead wires because the harmonic term ∇2Bz cancels the effect of BIz by taking ∇2BIz (r)=0 in the imaging region [39].」
(当審訳:IV.考察
測定された磁束密度Bzデータから、式(10)の投影電流密度JP = J0 + J*は、注入電流による電流密度の最良近似値であり、測定されたBzと注入電流を同時に反映する。円筒状の撮像対象物に電流を横方向に注入した場合、復元された投影電流密度JPは、J - J0のz成分に依存して、真の電流密度Jを安定して近似する。
従来の外部電極の場合とは異なり、内部電極を用いた場合の電流密度Jは、内部電極の周囲に集中して急激に変化する。
JPの代わりに式(8)で復元された電流密度JFは、欠陥領域から周囲領域へのノイズ伝播を低減するが、外部電極を通して横方向に注入された電流に対応するJPと比較して、比較的大きな差を含む可能性がある。(8)式の局所領域R ⊂ Ωにおける復元電流密度JFは、任意の大きさの領域に適用でき、(11)を解くことでJPの代わりに使用できる。本稿では、内部電極周囲の局所領域における電流密度の復元に焦点を当てた。撮像領域に欠陥領域がない場合、投影電流密度JP = J0 + J*は、(7)式の外部リード線によるサイドアーティファクトBIzを除去できる。これは、撮像領域で∇2BIz (r) = 0とすることで、高調波項∇2BzがBIzの効果を打ち消すためである[39]。)
ク 「V. CONCLUSION
In this paper, we suggested a new method to visualize the internal current density within a local region around the internal electrode in MREIT imaging. The conventional MREIT technique suffers from poor SNR of the recovered conductivity and/or current density due to weak Bz signal by externally injected current. In combination with the use of the internal electrode, the MREIT technique can be applied to conventional clinical devices using the internal electrode and provide useful information regarding the electrical properties in a local region by enhancing the magnetic flux density. Results from numerical simulations and phantom imaging experiments demonstrated the feasibility of the proposed algorithm that stably determined and enhanced the current density in the local region. To test the proposed method, the reconstructed internal current density was compared to that obtained from the conventional method through a saline agar-gel phantom experiment.」
(当審訳:V. 結論
本稿では、MREITイメージングにおいて内部電極周辺の局所領域内の内部電流密度を可視化する新しい方法を提案した。従来のMREIT法では、外部注入電流によるBz信号が弱いため、復元した導電率および/または電流密度のSNRが低いという問題があった。内部電極の使用と組み合わせることで、MREIT法は従来の内部電極を用いた臨床機器に適用でき、磁束密度を高めることで局所領域の電気的特性に関する有用な情報を提供できる。数値シミュレーションとファントムイメージング実験の結果は、局所領域の電流密度を安定的に決定して強化する提案アルゴリズムの実現可能性を実証した。提案手法を検証するために、再構成された内部電流密度を、生理食塩水寒天ゲルファントム実験で従来の方法で得られたものと比較した。)
ケ 「図1
[図:0001427646000010.jpg]
」
コ 「Fig. 1. Setup for the numerical simulation. (a) Three-dimensional model and (b) its finite element mesh. (c) Conductivity distribution at the center slice and (d) axial view of the simulation model. For the external electrode case, the current flows from ∂F1 to ∂F’1 , whereas for the internal electrode case, the current flows from ∂F1 to ∂F20 which is a part of the internal electrode. (e) Three-dimensional configuration of the internal electrode. (f) R denotes a region including the anomaly to measure the relative L2-error for the recovered current density JF .」’
(当審訳:図1. 数値シミュレーションの準備。(a)3次元モデルと(b)有限要素メッシュ。(c)中心片における導電率分布、(d)シミュレーションモデルの軸方向図。外部電極の場合、電流は∂F1から∂F'1へ流れるが、内部電極の場合、電流は∂F1から内部電極の一部である∂F02へ流れる。(e)内部電極の三次元配置。(f) R は、回復された電流密度 JF の相対 L2誤差を測定するための、異常を含む領域を示す。)
サ 「図2
[図:0001427646000011.jpg]
」
シ 「Fig. 2. Voltage distributions at the center slice for (a) the external electrode case and (e) the internal electrode case. The streamline superimposed on the voltage potential image shows the direction of current flow. (b) and (c) ((f) and (g)) The x and y components, respectively, of the true current density J for the external (internal) electrode case. Bz images for (d) the external and (h) internal electrode cases.」
(当審訳:図2. (a)外部電極の場合と(e)内部電極の場合の中央スライスでの電圧分布。電圧ポテンシャル画像に重ねた流線が電流の流れる方向を示す。(b)と(c) ((f)と(g)) 外部電極(内部電極)の場合の真の電流密度Jのx成分とy成分。(d)外部電極の場合と(h)内部電極の場合の Bz画像。)
ス 「図3
[図:0001427646000012.jpg]
」
セ 「Fig. 3. Setup for the phantom imaging experiment. (a) Image of the phantom showing the position of the agar object, acrylic insulation shell and the internal electrode. (b) Acrylic cylinder wrapped in a carbon electrode placed at the middle of the phantom for the internal electrode case. (c) Preparation of phantom inside the eight-channel RF head coil. (d) Schematic diagram of the multispin-echo MREIT pulse sequence.」
(当審訳:図3. ファントム画像実験の準備。(a) 寒天物体、アクリル絶縁シェル、内部電極の位置を示すファントムの画像。(b)内部電極ケースとしてファントムの中央に置かれたカーボン電極を包んだアクリル円筒。(c)8チャンネルRFヘッドコイル内のファントムの準備。(d)マルチスピンエコーMREITパルスシーケンスの模式図。)
ソ 「図5
[図:0001427646000013.jpg]
」
タ 「Fig. 5. Comparison of the current densities JF at the center slice for different levels of background SNR. (a) and (b) The x and y components, respectively, of the current density JF . The upper and lower rows show the external and internal electrode cases, respectively. Columns from left to right represent the recovered current density at each level of the background SNR = ∞, 100, 75,and 50 dB.」
(当審訳:図5. 背景SNRのレベルを変えた場合の中央片の電流密度JFの比較。(a)と(b) それぞれ電流密度JFのx成分とy成分。上段と下段はそれぞれ外部電極と内部電極の場合を示す。左から右への列は、背景SNR=∞、100、75、50dBの各レベルにおける復元電流密度を表す。)
チ 「TABLE II
INTENSITY OF THE RECOVERED CURRENT DENSITY IN THE LOCAL ROI OF 5 × 5 PIXELS DEPENDING ON THE NUMBER OF AVERAGES
[図:0001427646000014.jpg]
」
(当審訳:表II
平均回数に応じた5×5ピクセルの局所ROIにおける復元電流密度の強度
・・・略・・・
sdEBZとsdIBZ(|JF|Eと|JF|I)の項目は、それぞれ、外部電極の場合と内部電極の場合のノイズの標準偏差(復元電流密度の強度)を表す。)
(2)認定事項
ア 上記(1)ウ、オ、ケ、コ、サ、シ、ソ及びタより、円筒形モデルを作成し、その中央表面の周囲に4つの電極を取り付け、中央に1つの内部電極を配置して、外部電極の場合には、円筒形モデルを挟んで対向する一対の電極の間で電流を流し、内部電極の場合には、前記内部電極と前記中央表面の周囲に配置された電極の一つとの間で電流を流す数値シミュレーションを行ったことが明らかである。
イ 上記(1)イの「表面電極」、上記ウの「モデルの中央表面の周囲に」「取り付け」られる「4つの電極」のいずれも、「内部電極」とは異なり、撮像対象物あるいはモデルの外側に配置された電極であるから、「外部電極」と言い得るものである。
ウ 上記(1)イの「一対の表面電極を通して撮像対象物に電流を注入する」、上記(1)オの「外部注入電流の場合」、上記(1)キの「従来の外部電極の場合」、上記(1)クの「従来のMREIT法」における「外部注入電流」のいずれも、対向する一対の外部電極の間で電流を流すものであることが当業者に明らかである。
エ 上記(1)及び上記ア~ウから、引用文献2には、次の技術的事項が記載されていると認められる。なお、参考のため、認定の根拠となった主な箇所を括弧内に示す。
「撮像対象物に電流を注入すると励起される磁束密度BのZ成分Bzを測定して、撮像対象物内部の導電率および/または電流密度分布の断面画像を提供する磁気共鳴電気インピーダンス・トモグラフィー(MREIT)技術において(上記(1)イ)、
外部電極を用いた場合、すなわち、対向する一対の外部電極を通して電流を注入した場合には、内部電流は撮像対象物全体に広がり、大部分は興味のある内部領域(ROI R)の周囲に分流して、断面画像のSNRが低下するのに対して(上記(1)イ、オ、(2)ア~ウ)、
内部電極を用いることで、すなわち、内部電極と外部電極との間で電流を流す場合には、電流密度Jが内部電極の周囲に集中して(上記(1)キ、(2)ア、イ)、復元電流密度の強度が外部電極を用いた場合の値と比較して増加し(上記(1)カ)、復元電流密度JFがノイズの影響を受けず、磁束密度を高め、異常を判別するのに十分な分解能を提供すること(上記(1)オ、ク)。」
第5 対比
1 本願発明と引用発明とを対比する。
(1)引用発明における「測定対象者X」及び「測定対象者Xについての断層面の断層画像」は、それぞれ、本願発明における「生体」及び「前記生体の内部画像」に相当する。
(2)引用発明において、「数kHz~数MHzオーダーの高周波の交流電流を」「出力することにより」「交流電流を測定対象者Xの内部に流」す「電極102」は、本願発明の「前記医療デバイスの先端に設けられ、前記生体内において前記生体に高周波を流す先端電極」と、「前記生体に高周波を流す」「電極」である点で共通する。
(3)引用発明における「使用時において測定対象者Xの周囲を囲うように環状に形成されているベース体101」は、「測定対象者X(生体)」の外側に配置されたものといえるから、「当該ベース体101の周方向に沿って一定間隔ごとに取り付けられている」「複数の磁気センサ103」も、「測定対象者X」の外側に配置されたものである。
また、「複数の磁気センサ103」が「検知」する「磁界Hの強度」は、「数kHz~数MHzオーダーの高周波の交流電流を前記電極102間に出力することにより」「測定対象者Xの内部」を流れる「交流電流の周囲に発生」したものである。
よって、引用発明における「使用時において測定対象者Xの周囲を囲うように環状に形成されているベース体101」「の周方向に沿って一定間隔ごとに取り付けられ」、「数kHz~数MHzオーダーの高周波の交流電流を前記電極102間に出力することにより」「測定対象者Xの内部に流」れる「交流電流の周囲に発生する磁界Hの強度を」「検知する」「複数の磁気センサ103」は、本願発明における「前記生体の外側に配置され」「電極から前記生体に流された高周波によって発生する磁界を検出する磁気センサ」に相当する。
(4)引用発明における「前記磁界情報取得部202が取得した各磁気センサ103が検知した磁界Hの強度情報」は、「各磁気センサ103」から「前記磁界情報取得部202」へ出力されたものであるから、本願発明における「前記磁気センサから出力された磁界情報」に相当する。
また、引用発明における「前記磁界情報取得部202が取得した各磁気センサ103が検知した磁界Hの強度情報に基づいて」「生成」される「測定対象者Xの断層面Sの断層画像」は、本願発明における「前記磁気センサから出力された磁界情報を用いて」「生成」される「前記生体の内部画像」に相当する。
よって、引用発明における「前記磁界情報取得部202が取得した各磁気センサ103が検知した磁界Hの強度情報に基づいて、測定対象者Xの断層面Sの断層画像を生成する画像生成部203」は、本願発明における「前記磁気センサから出力された磁界情報を用いて、前記生体の内部画像を生成する画像生成部」に相当する。
(5)引用発明における「画像生成装置1」は、上記(2)にて述べた電極と、上記(3)にて述べた磁気センサと、上記(4)にて述べた画像生成部を有し、測定対象者Xについての断層面の断層画像(生体の内部画像)を生成するものであるから、本願発明における「医療システム」に相当する。
2 上記「1」から、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
<一致点>
「医療システムであって、
前記生体に高周波を流す電極と、
前記生体の外側に配置され、前記電極から前記生体に流された高周波によって発生する磁界を検出する磁気センサと、
前記磁気センサから出力された磁界情報を用いて、前記生体の内部画像を生成する画像生成部と、を備える、
医療システム。」
<相違点>
本願発明が、生体内に挿入される医療デバイスを備えており、前記生体に高周波を流す電極が、前記医療デバイスの先端に設けられ、前記生体内において前記生体に高周波を流すものであるのに対して、引用発明は、生体内に挿入される医療デバイスを備えておらず、前記生体に高周波を流す電極は、前記医療デバイスの先端に設けられた先端電極ではなく、前記生体内において前記生体に高周波を流すものではない点。
第6 判断
上記相違点について検討する。
1 引用発明では、交流電流を流す電極の位置に応じて、測定対象物の内部を流れる電流が変化し、断層画像の再現の精度が変化することに着目して、対向する電極の対に交流電流を流し、測定対象者の体内の深い領域を通る電流量を増やして、体表面から離れた深い領域を精度よく再現するものである。
2 引用文献2に記載の技術的事項(上記「第4 2(2)エ」参照)によれば、磁束密度BのZ成分Bzを測定して、撮像対象物内部の断面画像を提供する磁気共鳴電気インピーダンス・トモグラフィー(MREIT)技術において、対向する一対の外部電極を通して電流を注入する場合よりも、内部電極を用いる場合の方が、すなわち、内部電極と外部電極との間で電流を流す場合の方が、内部電極の周囲に電流密度Jが集中し、復元電流密度の強度が増加して、ノイズの影響を受けず、磁束密度を高めて、異常を判別するのに十分な分解能が提供されるものとなる。
3 引用発明と引用文献2に記載の技術的事項は、生体に交流電流を流し、発生した磁界を検出して生体の内部画像を生成する装置に関するものである点で、共通する技術分野に属するものである。
また、上記「1」、「2」より、引用発明と引用文献2に記載の技術的事項は、電極の位置の工夫で、測定対象物の内部を流れる電流を大きくすることを課題とする点でも共通するものでもあるから、引用発明において交流電流を流す電極(の位置)として、対向する電極対とする構成に代えて、引用文献2に記載の技術的事項の、一方の電極を内部電極とする構成を採用することは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
また、カテーテルや内視鏡などの生体内に挿入される医療デバイスにおいて、機能部位をその先端部に設けることは、文献を挙げるまでもなく慣用技術であるから、引用発明において、「電極102」の一つを、引用文献2記載の技術事項を適用して生体内に設ける際に、生体内に挿入される医療デバイスの先端に設けた先端電極とすることは、当業者が適宜なし得たことである。
よって、引用発明において、上記相違点に係る構成となすことは、当業者であれば引用文献2に記載の技術的事項に基づいて容易に想到し得たことである。
4 本願発明によってもたらされる効果は、引用文献1、2の記載事項から当業者が予測し得る程度を超えるものとはいえない。
5 請求人の主張について
(1)請求人は、審判請求書において、引用文献2における表面電極のペアを介して被写体に電流を注入する旨の記載を摘記して、「従って、引用発明に対して、引用文献2に記載された技術、すなわち、内部電極を被写体の内部に接触させて電流を注入させる技術を組み合わせようとした場合、電極を体表面に接触させる構成となり、測定対象者の身体的な負担を軽減させるという課題を解決することができなくなります。従って、引用発明に対して、引用文献2に記載された技術を組み合わせることには技術的な阻害要因が存在します。」と主張する。
当該主張について検討する。
引用文献2に記載の技術的事項において、撮像対象物(測定対象者)の内部領域において電流密度を集中させ、強度を増加させ、磁束密度を高めることは、電極を体表面に接触させるか否かによるものではなく、内部電極と外部電極との間で電流を流すことによるものであるのだから、引用発明において、引用文献2の当該効果を発揮させるための構成として、電極を体表面に接触させることは必須とは認められず、内部電極の構成を適用することに阻害要因はない。
また、仮に、引用文献2に記載の技術的事項において、内部電極と測定対象者(被検者)の体表面に接触させる外部電極とが一体不可分であって、内部電極のみを抽出して引用発明に適用することが当業者が容易に想到し得ることとはいえないと解釈したとしても、引用発明は、外部電極を体に貼り付ける態様を従来技術として認知した上で、測定作業者(オペレータ)に、少なからず一定の負担が生じ、測定対象者(被検者)によっては、電極の貼付の際に身体的な負担が強いられることから、より簡易的かつ高精度に測定を行うことを目的として、電極と磁気センサとを測定対象者から離れた位置に配したものであるから、引用発明に引用文献2の内部電極と測定対象者(被検者)の体表面に接触させる外部電極との構成を適用した際に、外部電極を体から離すように変更することは、当業者であれば適宜なし得たことである。
(2)さらに、請求人は、審判請求書において、『拒絶査定では、本願発明の構成を知った上で、本願発明の進歩性を否定するために引用文献2に記載された技術を恣意的に上位概念化してこれを引用発明に組み合わせています。すなわち、拒絶査定では、引用文献2の記載された技術から「磁気共鳴電気インピーダンストモグラフィ(MREIT)に関する技術であること」や「MRIを使用すること」や「外部電極が被写体の表面に配置されること」を捨象し、「生体の内部から外部に通電し、その磁界を生体外部にて測定する」という上位概念化された構成のみを抽出しています。引用文献2において、この抽出された構成は、「磁気共鳴電気インピーダンストモグラフィ(MREIT)に関する技術であること」や「MRIを使用すること」や「外部電極がモデルの表面に配置されること」と一体不可分であり、このような恣意的な抽出は本願発明の進歩性を否定するための後知恵であるため認められません。』と主張する。
当該主張について検討する。
引用発明及び引用文献2に記載の技術的事項は、ともに生体内部のインピーダンス分布を内部電流に基づき画像化するものであり、ともに電極の位置の工夫で、測定対象物の内部を流れる電流を大きくするものであって、測定対象物の内部を流れる電流を大きくすることに関しては、当該電流の測定原理の違いによらず、共通する課題であるといえる。そして、引用文献1には、電極と磁気センサを、生体外に配置することに加えて、生体内部に配置することも開示されており、引用文献2に記載のように生体の内部から外部に通電し、その磁界を生体外部にて測定するといった態様に変更することも当業者であれば容易に想到し得た事項である。
よって、上記3で示したように、引用発明において、電極の配置に関して引用文献2記載の事項を適用することは、恣意的な上位概念化によるものとはいえず、後知恵であるともいえない。
よって、当該主張を採用することはできない。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用発明及び引用文献2に記載の技術的事項に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
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2024-012627