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商標拒絶査定不服審判

2024-011432

ヤクガクゼミナール

審判番号
2024-011432
法域
商標
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
商願2022-143524
請求日
2024年06月24日
審決日
2025年06月05日
公報発行日
2025年07月25日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
  • 【請求人】学校法人 医学アカデミー
  • 【請求人代理人】田中 秀樹
審判長/審判官
  • 審判長 大島 勉
  • 審判官 真鍋 伸行
  • 審判官 吉沢 恵美子
分類
T18 .13 -WY (W091641) / T18 .17 -WY (W091641)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法3条1項3号商標法3条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第3条第1項第3号、商標法第3条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

商願2022-143524拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。

理由

理 由 1 手続の経緯 本願は、令和4年12月2日に登録出願されたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和5年 6月14日付け:拒絶理由通知書 令和5年11月 6日受付:意見書 令和6年 3月14日付け:拒絶査定 令和6年 6月24日 :審判請求書 令和6年 9月13日受付:手続補正書 令和7年 1月16日付け:審尋 令和7年 3月24日受付:回答書 2 本願商標 本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第9類、第16類及び第41類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として登録出願されたものであり、その後、指定商品及び指定役務については、上記1の当審における手続補正書により、別掲2のとおりの商品及び役務に補正されたものである。 3 原査定の拒絶の理由の要旨 本願商標は、「薬学ゼミナール」の文字をややデザイン化されているものの普通に用いられる態様で横書きに書してなるところ、その構成中の「薬学」の文字は、「薬物の性質・作用・製造・分析およびその応用について研究する学問。」の意味を有する語であり、「ゼミナール」の文字は、「大学の教育方法の一つ。教員の指導の下に少数の学生が集まって特定の分野・テーマについて文献講読や発表・討論などを行うもの。演習。ゼミ。セミナー。」の意味を有する語であるから、本願商標は、その構成全体として「薬学に関する演習やセミナー」ほどの意味合いを、これを見る者に容易に理解、認識させる。 そして、教育分野に関する業界において、少人数で知識の教授等を行う演習やセミナーについて、「ゼミナール」の文字が使用されており、この「ゼミナール」形式の教育が薬学分野においても行われている実情が見受けられる。また、知識の教授やセミナー等の開催に際して、関連する書籍や講義映像等の提供が行われており、提供方法においても実際の現物の提供だけでなく、インターネットを通じてこれらの提供が行われている実情があることは経験則上明らかである。 そうすると、本願商標をその指定商品又は指定役務中、例えば、第9類「電子出版物」等、第16類の指定商品及び第41類の指定役務等に使用した場合、これに接する需要者は、「薬学に関する演習やセミナーに関する商品」や「薬学に関する演習やセミナーに関する役務」のように、商品の品質又は役務の質を表すものとして理解、認識するにすぎず、本願商標は、商品の品質又は役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標である。 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。 4 当審における審尋 当審において、上記1の審尋により、別掲3に掲げる事実を提示した上で、本願商標が、その指定商品及び指定役務との関係において、商標法第3条第1項第3号に該当し、また、同条第2項について、請求人によって提出された証拠(第1号証~第12号証。枝番を含む。)からは、本願商標を使用して全国に展開する教室の内訳及びその受講生数、模擬試験受験者数、国家試験合格者実績等が不明確で、業界におけるシェアなどが、必ずしも明らかではない旨の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、請求人に対し、意見を求めた。 5 審尋に対する請求人の回答(要旨) 上記4の審尋に対して、審判請求人は、本願商標を用いて、日本全国の薬学生及び薬剤師国家試験受験のために、薬剤師国家試験受験対策予備校として、各種出版物及び薬剤師国家資格取得講座における知識の教授、薬剤師国家試験受験生のための模擬試験の企画・実施等を行っており、長年にわたる使用の結果、需要者である全国の薬学生及び薬剤師国家試験受験生の間では広く知られるに至っている旨を主張し、新たに第13号証ないし第21号証を提出した。 6 当審の判断 (1)商標法第3条第1項第3号該当性について 本願商標は、別掲1のとおり、「薬学ゼミナール」の文字をややデザイン化されているものの普通に用いられる方法の域を脱しない範囲で横書きしてなるところ、その構成中の「薬学」の文字部分は、「薬物の性質・作用・製造・分析およびその応用について研究する学問」の意味を、「ゼミナール」の文字部分は、「教員の指導の下に少数の学生が集まって特定の分野・テーマについて文献講読や発表・討論などを行うもの。演習。ゼミ。セミナー。」(いずれも、「広辞苑第七版」岩波書店参照)の意味を有する語だから、本願商標は、構成文字全体として「薬学に関するゼミナール(演習やセミナー)」の意味合いを認識させるものである。 そして、別掲3のとおり、本願指定商品及び指定役務を含む教育に関連する業界において、取り扱う学問を意味する語を冠して「○○ゼミナール」(○○には学問を意味する語が入る。)等と称し、当該学問に関する演習やセミナー、書籍等が取引されており、中には、薬学に関する内容も見受けられる。 そうすると、本願商標を、上記1の当審における手続補正書により補正された、その指定商品中「薬学生・薬剤師国家試験受験生のための学習参考書,薬学生・薬剤師国家試験受験生のための学習教材の内容を有する双書,薬学生・薬剤師国家試験受験生のための学習参考書の双書,薬学生・薬剤師国家試験受験生のための学習問題集,薬学生・薬剤師国家試験受験生のための印刷された教材,薬学生・薬剤師国家試験受験生のための学習教材用印刷物,薬学生・薬剤師国家試験受験生のための教材(印刷されたもの)」及び指定役務「薬剤師国家資格取得講座における教授,薬剤師国家試験受験生のための模擬試験の企画・実施及び試験結果の分析及び指導」(以下、「第3条第1項第3号該当指定商品及び指定役務」という。)について使用するときは、取引者及び需要者をして、いまだ「薬学に関するゼミナール(演習やセミナー)用の商品」及び「薬学に関するゼミナール(演習やセミナー)形式で提供される役務」であること、すなわち、本願商標は、商品の品質(用途)や役務の質(内容)を普通に用いられる方法で表示したものと認識するというのが相当である。 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。 (2)商標法第3条第2項に規定する要件を具備するか否かについて ア 事実認定 請求人は、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するとしても、長年の使用により、その需要者が請求人の業務に係る商品又は役務であることを認識することができるに至ったものである旨を主張し、証拠として第1号証ないし第21号証(以下、甲○と表示する。)を提出しているところ、上記証拠及び請求人の主張並びに職権による調査によれば、以下のとおりである。 (ア)請求人は、1977年創立から現在に至るまで約50年、薬剤師国家試験予備校の運営、MR(医療情報担当者)研修、書籍の出版、教育事業支援等の教育事業を行っていると主張しており、(少なくと1998年には、「薬学ゼミナール」の標章を使用して、各種事業を行っている事実が確認できる(甲4))、本願商標及び「薬学ゼミナール」の標章を使用して、薬剤師国家資格取得講座における知識の教授、模擬試験の企画・実施(甲8、甲10-1)及び薬剤師国家試験受験生のための学習教材用印刷物等の取扱いを行っている(甲9)。 (イ)請求人は、「薬学ゼミナール」の名称の下、日本全国(札幌、仙台、津田沼、川越、池袋、新宿、渋谷、市ヶ谷、横浜、名古屋、大阪、神戸、広島、福岡)に教室を展開している他、ライブ配信教室、オンデマンド教室等を通じて全国的に事業を行っている(請求人のHP、甲10-1、甲15)。 (ウ)請求人は、薬剤師国家試験受験生のうち、大学卒業生を対象として、薬学ゼミナール各教室において、全日制の薬剤師国家試験対策コースの講座を提供しており(「全日制」という講座の性質上、大学卒業生が対象)、2017年から2024年度の講座受講生数は、1.9千人から2.7千人程度(年度単位)(甲15)である。また、上記講座受講生のうち、2017年から2024年度の薬剤師国家試験合格者数は、1.6千人から1.8千人程度(年度単位)であるところ、大学卒業生の薬剤師国家試験合格者(既卒合格者)のうち、請求人の講座の受講生の占める割合は、72%から85%である(甲14)。 なお、薬剤師国家試験受験者のうち、2017年(第102回)ないし2024年(第109回)の大学卒業生の受験申込者数は、4.7千人から5.6千人程度(年単位)であり、既卒合格者数は、約2千人(年単位)である(甲14)。 (エ)全国統一模擬試験を毎年継続して実施しており、年3回、年総数3.5万人以上(2024年度)、直近の2024年第3回の実績では約1.25万人が当該模擬試験を受験している(甲13)。また、薬剤師国家試験について、2017年(第102回)ないし2024年(第109回)の受験申込者数は、いずれも1.4万人前後であり(甲14)、各年の薬剤師国家試験受験申込者数の8割以上の人数が、請求人が実施している薬剤師国家試験の統一模試試験に参加している。 (オ)請求人は、薬剤師国家試験対策各種参考書・問題集等の書籍を編集・出版しており、2008年約8万部から2024年約42万部に至るまで毎年出版を継続し、2008年から2024年の17年間で570万部以上、出版している(甲9、甲21)。 また、それら書籍は、薬学部を有する69の大学向け又は大学構内の書店に対しても出荷している(甲17)。なお、職権による調査によれば(文部科学省のウェブサイト「薬科大学(薬学部)学科別一覧2024年(令和6年)度」(https://www.mext.go.jp/content/20241204_mxt_igaku-100000058_01.pdf)参照)、薬学部を有する大学は、日本の国内で78大学である。 (カ)「薬事日報」等の業界紙及び医療従事者、薬剤師向けのウェブサイトにおいて、請求人に関する記事が「薬剤師国家試験対策とMRの教育研修で知られる薬学ゼミナール」「国試対策、特に低学力者対策を中心に多くの実績を持つ薬学ゼミナール」「薬剤師国家試験予備校大手の薬学ゼミナール」「薬剤師国家試験予備校大手「薬学ゼミナール」」等と取り上げられている(甲3~甲7、甲11、甲20)。 (キ)その他、テレビドラマにおける協力(甲1)実績がある。 イ 判断 (ア)上記ア(ア)ないし(キ)によれば、請求人は、約50年の長きにわたり(少なくとも1998年以降)、本願商標及び「薬学ゼミナール」の標章を、薬剤師国家資格取得講座における教授、薬剤師国家試験受験生のための模擬試験の企画・実施、薬学生・薬剤師国家試験受験生のための学習教材用印刷物等について使用している事実が伺える。 (イ)請求人による大学卒業生を対象とした講座の受講生数及びその薬剤師国家試験合格者数は、薬剤師国家試験受験者数及び合格者数との相対では、いずれも非常に多いものといえる。 (ウ)請求人の提供する模擬試験の受験者数は、薬剤師国家試験受験者数との相対では、8割以上に当たる数であり、極めて多くの薬剤師国家試験受験生が請求人の提供する模擬試験を受験していると推認される。 (エ)薬剤師国家試験受験生のための学習教材用印刷物等について、その需要者の範囲が、主として、薬学生、薬剤師国家試験受験生であり、毎年の薬剤師国家試験受験者数が約1.4万人程度であることを踏まえれば、その印刷部数(2024年は42万部)は、相当多いといえるものである。 (オ)薬学部を有する大学は、78大学あるところ、その大多数である69の大学向け又は大学構内の書店に、請求人の書籍が納品さており、大学に在籍する薬学生等に需要があったことが伺える。 (カ)業界紙「薬事日報」に少なくとも1998年から長年にわたり宣伝広告を継続して行っているほか、その他の業界紙及び医療従事者、薬剤師向けのウェブサイトにも宣伝広告を継続的に行い、「薬剤師国家試験予備校大手の薬学ゼミナール」等と紹介されている。 (キ)請求人の主張及び当審における職権調査によれば、本願商標の指定商品及び指定役務を取り扱う業界において、「薬学ゼミナール」の文字を使用しているのは、請求人のみである。 (ク)以上のことからすると、本願商標は、上記6(1)の第3条第1項第3号該当指定商品及び指定役務との関係において、その主たる取引者・需要者である薬学生、薬剤師国家試験受験生の間において、広く認識されているに至っているということができる。 したがって、本願商標は、請求人による長期継続的な使用の結果、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるものになっているといえ、商標法第3条第2項の要件を具備するものといえる。 (3)まとめ 以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものの、同条第2項に規定する要件を具備するものであり、商標登録を受けることができるものであるから、原査定は取消しを免れない。 その他、本願について拒絶の理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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