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商標拒絶査定不服審判

2024-010686

バイオ、ビオ、ビイアイオオ

審判番号
2024-010686
法域
商標
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
商願2022-141532
請求日
2024年06月27日
審決日
2025年08月12日
公報発行日
2025年09月26日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
  • 【請求人】コンパニ ジエルヴエ ダノン
  • 【請求人代理人】達野 大輔
  • 【請求人代理人】竹中 陽輔
  • 【請求人代理人】山頭 めぐみ
審判長/審判官
  • 審判長 高野 和行
  • 審判官 清川 恵子
  • 審判官 白鳥 幹周
分類
T18 .13 -WY (W29) / T18 .17 -WY (W29)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法3条1項3号商標法3条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第3条第1項第3号、商標法第3条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

商願2022-141532拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。

理由

理 由 1 手続の経緯 本願は、令和4年12月12日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和5年 3月13日 :刊行物等提出書の提出 令和5年 4月19日付け:拒絶理由通知書 令和5年10月19日 :意見書、手続補正書の提出 令和6年 3月25日付け:拒絶査定 令和6年 6月27日 :審判請求書、手続補正書の提出 令和7年 1月10日付け:審尋 令和7年 4月17日 :意見書の提出 2 本願商標 本願商標は、「BIO」の文字を標準文字で表してなり、第29類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として登録出願されたものである。 そして、本願の指定商品は、原審及び当審における上記1の手続補正書により、最終的に第29類「ヨーグルト」と補正されたものである。 3 原査定の拒絶の理由(要旨) (1)商標法第3条第1項第3号該当性について 本願商標は、「BIO」の文字を標準文字で表してなるところ、これは、フランス語等で「オーガニック(有機)」ほどの意味合いを有する語である。 そして、本願の指定商品を含む食品を取り扱う業界において、「BIO」の文字やその片仮名表記である「ビオ」の文字が、「オーガニック食品(有機農業で栽培された食品)」であることを表示するものとして、広く使用されている実情がある。 そうすると、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者又は需要者は、その商品が「オーガニック(有機)な商品」であること、すなわち、商品の品質を普通に用いられる方法で表示するものとして認識するにすぎないというのが相当である。 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。 (2)商標法第3条第2項の要件を具備しないことについて 出願人が提出した証拠を全体的に考察しても、本願商標が使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っていると認めることはできない。 したがって、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備しない。 4 当審における審尋 当審において、令和7年1月10日付け審尋により、別掲に掲げる事実を提示した上で、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであり、また、同条第2項の要件を具備しない旨の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、請求人に対し、意見を求めた。 5 審尋に対する請求人の意見(要旨) 請求人は、上記4の審尋に対し、令和7年4月17日に意見書を提出し、要旨以下のとおりの意見を述べた。 (1)商標法第3条第1項第3号該当性について ア 商品「ヨーグルト」について、「BIO」の文字やこれに通じる「ビオ」の文字が、その商品が「有機(オーガニック)なものであること」を表示するものとして、広く使用され、紹介されている実情は認められない。 イ 仮に、本願商標が「BIOLOGIQUE」の略語であったとしても、これを「バイオの、有機の」と即座に解釈できる需要者、取引者、さらにはそれが、「オーガニック」の意味であると瞬時に捉えることが出来るのは、フランス語に相当精通した者でも難しいというべきであり、一般的なヨーグルトの需要者が即座に理解できると解釈し得ない。また、ヨーグルトの需要者が「BIO」を「オーガニック」の意味として捉えているというべき証拠も見当たらない。請求人以外に「BIO」を「ヨーグルト」に使用している会社も無い。 ウ 以上のことからすると、本願商標は、「ヨーグルト」において品質表示等に該当することはなく、充分に本来的な自他商品等識別力を有する商標といえるから、商標法第3条第1項第3号に該当しない。 (2)商標法第3条第2項に規定する要件を具備するか否かについて ア 請求人は、その会社名Compagnie Gervais Danoneの著名な略称である「DANONE/ダノン」の名称で親しまれている会社であり、ダノンは、我が国でよく知られているブランドであって、一般の日本の需要者が「ダノン」と聞けば、ヨーグルトのブランド名であると十分に判断し得る。よって、「ダノンBIO」のように「ダノン」と「BIO」が並んで、あるいは隣接した場所で表示されている場合があるとしても、消費者や取引者は、「ダノン」と「BIO」を切り離して、「BIO」をヨーグルトの商標として認識する。 イ 請求人の業務に係る商品上に付した「BIO」は、「B」の文字において若干の違いがあるものの、その若干の違いは本願の標準文字と同一性を損なわない程度に酷似するというべきである。新聞記事においても、実際にヨーグルトについて標準文字と同一視される「BIO」がその称呼「ビオ」と共に、または単独で、若しくは商品の写真上にて、或いは「ダノンビオ(BIO)」、「ダノンビオ BIO」、「ダノンBIO(ビオ)」という形で紹介されることが多い。 ウ 本願商標は、請求人により2002年に販売が開始され、20年以上に亘りヨーグルトに使用されてきたブランドである。請求人の「BIO」は2002年から積極的にTVコマーシャルを展開しており、その放映地域も関東を含んでいる。関東で放送されるものが日本全国の各地域でも放映されることが多いことから、当該TVコマーシャルが全国に及んでいると優に推認できる。 エ 請求人は、2016年1月から2025年3月に至るまで、売上高・売上個数を堅調に伸ばしており、マーケットシェア率についても、2.7%から4%で推移している。これらの販売実績を見ても、「BIO」がヨーグルトの需要者の間で十分に消費されていることが分かる。 オ この度、ヨーグルトの需要者を対象に、「ダノン『BIO』文字商標の認識度に関するアンケート調査」を新たに行った。このアンケート調査結果によって、本願商標「BIO」は、使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係るヨーグルトであることを認識することができるものということができる。 カ 以上のことからすると、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を満たす商標であって、登録されるべきものである。 6 当審の判断 (1)商標法第3条第1項第3号該当性について 本願商標は、「BIO」の文字を標準文字で表してなるところ、これはフランス語で「有機の」(出典:「ロワイヤル仏和中辞典 第2版」株式会社旺文社)などの意味を有する語である。 そして、原審提示の情報にあるように、本願の指定商品を含む飲食料品を取り扱う分野においては、「BIO」の文字やこれに通じる「ビオ」の文字が、その商品が「有機(オーガニック)なものであること」を表示するものとして、広く使用され、紹介されている実情が認められる。 また、別掲の情報にあるように、本願の指定商品「ヨーグルト」を取り扱う分野において、「その商品又は原材料が有機(オーガニック)なものであること」をうたう商品が製造、販売されている実情も認められる。 そうすると、本願商標を、その補正後の指定商品「ヨーグルト」に使用しても、これに接する取引者、需要者において、それが「有機(オーガニック)な商品」であるという、商品の品質を表したものと容易に理解、認識されるというべきであるから、本願商標は、その商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標といえる。 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。 (2)商標法第3条第2項に規定する要件を具備するか否かについて 請求人は、本願商標は、その指定商品の分野において使用された結果、需要者が請求人の業務に係る商品であることを認識することができるに至ったものである旨主張し、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第1757号証(枝番号を含む。以下、枝番号のすべてを示すときは、枝番号を省略する。また、表記に当たっては「甲○」(「○」部分は数字)のように省略して記載する。)を提出しているところ、上記証拠及び請求人の主張並びに職権による調査によれば、以下のとおり判断できる。 ア 使用商標について 請求人は、請求人の業務に係る商品「ヨーグルト」(以下「請求人商品」という。)の包装、商品パンフレットや(甲177ほか)、請求人商品の販売場所のレイアウトやのぼり(甲148ほか)などに、「BIO」の文字を表した商標を使用しているところ(以下、これらの商標を「使用商標」という。)、そのほとんどが「緑地に白抜きで、ややデザイン化された書体の「BIO」の文字が表されている商標」であるなど、本願商標と外観上厳密には一致するものではない。 しかしながら、使用商標は、その使用時期に応じて文字の書体、デザインが変遷しているものであるところ(例えば、甲148においては丸みを帯び、やや立体的に見える書体、デザインで「BIO」の文字が表されているが、甲177においてはゴシック体様の書体で同文字が表されている。)、これらはいずれも「BIO」の文字を表してなる点において共通しており、使用商標に接する需要者においては、それが「「BIO」の文字からなる商標」であることが継続して印象付けられているといえるものである。 加えて、請求人商品について触れている新聞記事においては、上述のごときデザインが施されていない「BIO」の文字が使用されている事実も認められる(甲240、甲241ほか)。 そうすると、上述のごとき実情を踏まえれば、使用商標と本願商標とは、「BIO」の文字からなる商標としての同一性を損なわないものと認められるから、請求人は、下記イ(ア)の範囲において、本願商標を使用しているものというのが相当である。 イ 需要者の認識度を推し測る事実について (ア)商標の広告宣伝の規模等、及び、商標の使用数量等について 請求人は、請求人商品について、2002年からTVコマーシャルを放映しており、2016年から2024年の間でも1万回以上、関東、関西及び名古屋地域の放送局によって、TVコマーシャルが放映されている(甲1752、甲1753)。 また、請求人商品は、2016年1月から2025年3月に至るまで、毎月6百万個から1千万個が販売され、12億円から20億円の売上げがあり、マーケットシェア率についても、2.7%から4%で推移しているものである(甲1756)。 (イ)請求人以外の者による標章の使用の使用状況等について 当審による職権による調査においては、請求人以外の者が、「BIO」の文字からなる標章を、商品「ヨーグルト」について、上記(1)に述べた意味内容において、広く一般的に使用しているという事実を認めることはできない。 (ウ)需要者の商標の認識度を調査したアンケートの結果について 請求人は、「BIO」の文字からなる商標に係る認識度に関するアンケート調査を行った。その調査内容及び調査結果は、おおむね以下のとおりである(甲1757)。 a 調査者 NERA(National Economic Research Associates)(登記名:オリバーワイマングループ株式会社)。 b 調査対象者 日本在住の20歳ないし79歳の男女であって、ヨーグルト(又は乳酸菌飲料)を1ヶ月に1回以上購入する人(1,168人)。男女比は均等割付、年齢比は人口比に合わせて割付、居住地域も人口分布に合わせて割付されている。 c 調査方法 インターネット調査(一度回答すると前の画面に戻ることができない。)。 d 調査結果 (a)単一出所想起の質問(Q4「「BIO」はヨーグルトに関して使用されている言葉(文字列)です。「BIO」を見たり聞いたりすると、どんなヨーグルトが思い浮かびますか。あてはまるものをお選びください。」)の回答において、「BIO」について、「特定のブランド/メーカーのヨーグルトが思い浮かぶ」とした人が58.3%であった。 (b)一般名称と考えられる文字からなる標章と、ブランド名と考えられる文字からなる標章を複数挙げ、「一般名称か」、「ブランド名か」、を回答させる問い(Q5)に対して、そのうち「BIO」については58.9%の人が「ブランド名」と回答し、16.9%の人が「一般名称」と回答した。 (c)ヨーグルトの商品ブランド/シリーズに係る標章を列挙し、それぞれ知っているかを回答させる問い(Q6)に対して、そのうち「BIO」については61.2%の人が「知っている」と回答した。 ウ 上記ア及びイによれば、請求人は、20年以上の長きにわたり、本願商標又はこれと同一性を損なわないと考えられる商標を、商品「ヨーグルト」について使用しており、また、長期継続的に広告宣伝を行ってきたものであり、相当程度の商品の販売数量、売上げがあったものといえ、また、その広告宣伝の規模や商品の販売数量等からすれば、商標の使用地域は日本全国に及んでいると推認できるものである。 そして、他人が「BIO」の文字からなる標章を、商品「ヨーグルト」について、上記(1)に述べた意味内容において、広く一般的に使用しているという事実は認められない。 さらに、請求人が第三者に依頼して行った需要者の商標の認識度を調査したアンケートの結果によれば、「BIO」の文字が商品「ヨーグルト」に使用された場合には、6割近い回答者が特定のブランドを想起する旨、及び、これが「ブランド名」であると考える旨回答しており、また、6割を超える回答者がヨーグルトの商品ブランド/シリーズとしての「BIO」を知っていると回答している。また、当該調査の内容、方法等に、著しく不合理な点があるともいえない。 以上のことからすると、本願商標は、その指定商品との関係において、我が国の需要者の間において、広く認識されているに至っているということができる。 したがって、本願商標は、その指定商品「ヨーグルト」について、請求人により長期継続的に使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものになっているといえ、商標法第3条第2項の要件を具備するものといえる。 (3)まとめ 以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものの、同条第2項に規定する要件を具備するものであり、商標登録を受けることができるものであるから、原査定は取消しを免れない。 その他、本願について拒絶の理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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