商標拒絶査定不服審判
2024-010375
コイアーモンドミルク
- 審判番号
- 2024-010375
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2023-087293
- 請求日
- 2024年06月24日
- 審決日
- 2025年08月21日
- 公報発行日
- 2025年10月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】筑波乳業株式会社
- 【請求人代理人】菊池 徹
- 【請求人代理人】菊池 新一
- 【請求人代理人】松本 英俊
- 審判長/審判官
- 審判長 豊瀬 京太郎
- 審判官 清川 恵子
- 審判官 目黒 潤
- 分類
- T18 .13 -Z (W29)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2023- 87293拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和5年8月4日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和5年12月13日付け:拒絶理由通知書
令和6年 1月24日 :意見書の提出
令和6年 3月19日付け:拒絶査定
令和6年 6月24日 :審判請求書の提出
令和7年 4月14日付け:審尋
令和7年 5月27日 :回答書の提出
2 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第29類「アーモンドミルク,料理用アーモンドミルク,アーモンドミルクを主原料とする飲料」を指定商品として、令和5年8月4日に登録出願されたものである。
3 原査定の拒絶の理由(要旨)
原審において、「本願商標は、「濃い」の文字と「アーモンドミルク」の文字とを二段に書してなるところ、その構成中の「濃い」の文字部分は、「においや味などが強い。」や「液体の中に溶けている物質の割合が高い。」等を意味する語であり、また、「アーモンドミルク」の文字部分は、「漂白したアーモンド、砂糖、水の混合乳液」を意味する語で商品の普通名称として使用されているものである。そして、指定商品を取り扱う業界において、味が濃いことや、アーモンドをたっぷり使用して風味が強いことを謳ったアーモンドミルクが取引されている実情があるので、本願商標全体として、「味が濃いアーモンドミルク」程度の意味合いを容易に理解、認識させるものである。そうすると、本願商標は、「濃い」、「アーモンドミルク」の文字を普通に書してなるにすぎないものであるから、これをその指定商品について使用するときは、「味が濃いアーモンドミルク、味が濃いアーモンドミルクを使用した商品」というほどの意味合いを表現したものと需要者に容易に理解、認識させるものであって、単に該商品の品質を表示するにすぎないものである。したがって、この商標登録出願に係る商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、拒絶したものである。
4 当審における審尋(要旨)
当審において、令和7年4月14日付け審尋により、別掲2に掲げる事実を提示した上で、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当する旨の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、請求人に対し、意見を求めた。
5 審尋に対する請求人の回答(要旨)
請求人は、上記4の審尋に対し、令和7年5月27日に回答書を提出し、要旨以下のとおりの意見を述べた。
(1)審尋で提示のインターネット情報のうち、商標登録を受けているものがあり、この事実は、これらの表示の使用者が、これらの表示の態様を単なる一般的な内容表示ではなく、他人の商品と識別するための識別標識として採択して用いると認識していることを意味し、また、これらの商標登録は、文字部分の配列や大きさ等の外観構成も含めて、他者の商品と識別できる表示であると判断された結果であるといえ、請求人の主張を裏付ける一つの証左ということができる。
(2)審尋で提示のインターネット情報において、大きく表示されている文字は、そのほとんどが、「濃厚」、「特濃」、「濃」といったそれ自体単独で意味をなす「体現」(審決注:「体言」の誤記と思われる。)であり、それ以外の文字との関係では元々相互に関連がなく、本来は別々に表示すべき2つの異なる文字であり、別々に表示すべき2つ以上の文字については、配列や大きさを、それ以外の文字部分と変えて表示することは、用いられる手法であるかもしれないが、本願商標は、「濃い」が形容詞であり、全体で1つの観念を有するものとして横一連で表示すべきものであって、それをあえて、上下二段に分割し、かつ、殊更「濃い」のみを大きく表示することは、取引上、一般的に行われている手法とはいえない。
(3)需要者の立場に立って考察した場合、現実の取引では、以前に本願商標が付された商品を購入した需要者が再び同じ商品を購入しようとする場合、最も目につく「濃い」の文字のみが極端に大きく表示され、かつ、「アーモンドミルク」の文字と上下二段に分割されたデザインの記憶を手掛かりに、同じ大きさや配置の文字が付されたアーモンドミルクを探して選択することになるから、そのこと自体が、取引上普通に用いられる方法とはいえない。
6 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、別掲1のとおり、大きく表示された「濃い」の文字を上段に、これに比して小さく表示された「アーモンドミルク」の文字を下段に、中心をそろえて二段に表してなるものである。
そして、本願商標の構成中、「濃い」の文字は「液体の濃度が高い。(味・香・化粧などが)淡泊でない。濃厚である。」等(出典:「広辞苑第七版」株式会社岩波書店)を意味する語として一般に親しまれた語といえるものである。
また、構成中、「アーモンドミルク」の文字は「漂白したアーモンド、砂糖、水の混合乳液」(出典:「ランダムハウス英和大辞典【DVD版】第2版」株式会社小学館)を意味する語であって、本願の指定商品との関係では商品の普通名称又は原材料を表す語である。
そして、原審提示の情報にあるように、本願の指定商品を取り扱う業界において、味が濃いことや、アーモンドをたっぷり使用して風味が強いことを謳ったアーモンドミルクが取引されている実情が確認できる。
そうすると、本願商標をその指定商品に使用するときは、それに接する取引者、需要者は、「(アーモンド含有量の多い)濃い味のアーモンドミルク、(アーモンド含有量の多い)濃い味のアーモンドミルクを使用した商品」であること、すなわち、商品の品質を表したものとして理解、認識するにとどまり、商品の出所を表示する標識又は自他商品の識別標識として認識することはないとみるのが相当である。
また、別掲2のインターネット情報によれば、本願の指定商品を含む飲料業界において、本願商標と同様に、商品の品質等を表す文字を、商品の普通名称等を表す文字に比して大きく顕著に表示することは、一般的に行われているといえるから、本願商標の構成態様は、殊更特異なものとはいえないものであり、普通に用いられる方法の域を脱しない方法で表示するものといえる。
したがって、本願商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示するにすぎず、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、上記5(1)のとおり、審尋で提示のインターネット情報のうちの一部が、商標登録を受けており、この事実は、これらの表示の使用者が、これらの表示の態様を単なる一般的な内容表示ではなく、他人の商品と識別するための識別標識として採択して用いると認識していることを意味し、また、これらの商標登録は、文字部分の配列や大きさ等の外観構成も含めて、他者の商品と識別できる表示であると判断された結果である旨主張し、甲第2号証及び甲第3号証を提出している。
しかしながら、上記商標登録における商標(甲2、甲3)は、その構成中に識別標識として機能すると考えられる図形や文字を含むものである点において本願商標とは事案を異にするものであり、また、仮にこれらの案件の使用者が、当該態様をもって、他人の商品と識別するための識別標識として商標を採択していたとしても、本願商標において問題となるのは、本願商標に接した取引者・需要者が、これを自他商品の識別標識として認識するのか否かということであって、これらの表示の使用者がどのように商標を採択したかによって決せられるものではない。
イ 請求人は、上記5(2)のとおり、審尋で提示のインターネット情報において、大きく表示されている文字は、そのほとんどが、「濃厚」等といったそれ自体単独で意味をなす「体現」(審決注:「体言」の誤記と思われる。)であり、それ以外の文字との関係では元々相互に関連がないが、本願商標は、「濃い」が形容詞であるから全体で1つの観念を有するものとして横一連で表示すべきものであって、それを上下二段に分割し、「濃い」のみを大きく表示することは、取引上、一般的に行われている手法とはいえない旨主張している。
しかしながら、本願商標が、普通に用いられる方法で表示されているかどうかは、その表示の書体や全体の構成等が、一般的に使用する範囲にとどまらない特殊なものである場合に、「普通に用いられる方法で表示する」には該当しないとされるところ、請求人が主張するような構成文字全体で1つの観念を有するものを横一連ではなく、上下二段に表し、「濃い」を大きく表示したことをもって、格別特殊な態様で表されたものということはできない。そして、本願の指定商品を含む飲料業界において、商品の品質表示等を商品の普通名称等に比して大きく顕著に表示することが、一般に行われていることから、本願商標の構成態様は、普通に用いられる方法の域を脱しない方法で表示するものというべきであることは、上記(1)のとおりである。
ウ 請求人は、上記5(3)のとおり、需要者の立場に立って考察した場合、現実の取引では、以前に本願商標が付された商品を購入した需要者が再び同じ商品を購入しようとする場合、最も目につく「濃い」の文字のみが極端に大きく表示され、かつ、「アーモンドミルク」の文字と上下二段に分割されたデザインの記憶を手掛かりに、同じ大きさや配置の文字が付されたアーモンドミルクを探して選択することになるから、そのこと自体が、取引上普通に用いられる方法とはいえない旨主張している。
しかしながら、上記アでも述べたとおり、本願商標において問題となるのは、本願商標に接した取引者・需要者が、これを自他商品の識別標識として認識するのかということであって、大きく表された「濃い」の文字と、小さく表された「アーモンドミルク」の文字とが上下二段に表されているとしても、これらの文字からなる本願商標は、上記(1)のとおり、「(アーモンド含有量の多い)濃い味のアーモンドミルク,(アーモンド含有量の多い)濃い味のアーモンドミルクを使用した商品」であること、すなわち、商品の品質を表したものとして理解、認識するにとどまり、商品の出所識別標識とは認識しないというのが相当である。そして、その構成態様も、殊更特異なものとはいえず、普通に用いられる方法の域を脱しない方法で表示するものであるから、本願商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示するにすぎないというのが相当である。
エ したがって、請求人の上記アないしウの主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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