特許拒絶査定不服審判
2024-010339
局部洗浄装置
- 審判番号
- 2024-010339
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2022-176481
- 請求日
- 2024年06月21日
- 審決日
- 2025年12月25日
- 公報発行日
- 2026年03月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社LIXIL
- 【請求人代理人】及川 周
- 【請求人代理人】川渕 健一
- 【請求人代理人】松本 将尚
- 審判長/審判官
- 審判長 居島 一仁
- 審判官 門 良成
- 審判官 殿川 雅也
- 分類
- P18 .121-Z (E03D)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項、特許法第29条第1項第3号、特許法第39条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2022-176481「局部洗浄装置」拒絶査定不服審判事件〔令和4年12月22日出願公開、特開2022-190089〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成30年5月10日に出願した特願2018-91476号の一部を令和4年11月2日に新たな特許出願(特願2022-176481号)としたものであって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。
令和5年 8月17日付け:拒絶理由通知書
同年10月16日 :意見書、手続補正書の提出
同年12月25日付け:拒絶理由通知書
令和6年 3月 6日 :意見書、手続補正書の提出
同年 3月21日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
(同月26日 :原査定の謄本の送達)
同年 6月21日 :審判請求書、手続補正書の提出
第2 令和6年6月21日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和6年6月21日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について
(1)本件補正前の請求項1に係る発明
本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、令和6年3月6日付けの手続補正書の特許請求の範囲に記載された、次のとおりのものである。
「 【請求項1】
開口部から進出させた局部洗浄ノズルから洗浄水を吐出させることで局部洗浄を行う局部洗浄装置であって、
前記開口部を開閉可能なシャッタと、
前記シャッタに水を流す洗浄部と、
を備え、
前記洗浄部は、前記局部洗浄ノズルの表面に水を吐出することで、前記開口部に対して回動可能に取り付けられた上端から下端に至る面である前記シャッタの背面に水を流し、前記シャッタの下端まで洗浄し、
前記洗浄部が吐出した水は、前記局部洗浄ノズルの表面を介して前記局部洗浄ノズルの前面に供給される、
ことを特徴とする局部洗浄装置。」
(2)本件補正後の請求項1に係る発明
本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、次のとおりである。なお、下線部は補正箇所を示す。
「 【請求項1】
開口部から進出させた局部洗浄ノズルから洗浄水を吐出させることで局部洗浄を行う局部洗浄装置であって、
前記開口部を開閉可能なシャッタと、
前記シャッタに水を流す洗浄部と、
を備え、
前記洗浄部は、前記局部洗浄ノズルの表面に水を吐出することで、前記開口部に対して回動可能に取り付けられた上端から下端に至る面である前記シャッタの背面に水を流し、前記局部洗浄ノズルの横幅より広い範囲において前記シャッタの背面を洗浄し、
前記洗浄部が吐出した水は、前記局部洗浄ノズルの表面を介して前記局部洗浄ノズルの前面に供給される、
ことを特徴とする局部洗浄装置。」
2 補正の適否
まず、本件補正後の請求項1が本件補正前の請求項1と対応関係にあることは明らかである。そして、本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明特定事項である、「洗浄部」が「シャッタの下端まで洗浄」する事項を削除し、「局部洗浄ノズルの横幅より広い範囲において前記シャッタの背面を洗浄」する事項を、新たに「洗浄部」を特定するための発明特定事項として追加する補正事項を含むものである。
そして、「局部洗浄ノズルの横幅より広い範囲において前記シャッタの背面を洗浄」する事項は、「シャッタ」の長さ方向についての洗浄領域を特定するものではないから、当該補正事項は、本件補正前の、「洗浄部」が「シャッタの下端まで洗浄」する事項を限定するものではい。
したがって、本件補正は、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当しない。
また、本件補正前の請求項1に記載された発明の「洗浄部は、前記局部洗浄ノズルの表面に水を吐出することで、前記開口部に対して回動可能に取り付けられた上端から下端に至る面である前記シャッタの背面に水を流し、前記シャッタの下端まで洗浄し、」との記載には、明りょうでない記載があるとはいえず、拒絶理由通知に係る拒絶の理由にも示されていないので、本件補正は、同項4号に規定する明りょうでない記載の釈明を目的とするものにも該当しない。
さらに、本件補正が、同項1号に掲げる「請求項の削除」や、同項3号に掲げる「誤記の訂正」を目的とするものに当たらないことも明らかである。
以上より、本件補正は、特許法17条の2第5項各号のいずれを目的とするものでもない。
3 むすび
以上より、本件補正は、特許法17条の2第5項に規定する要件に違反するものであり、同法159条1項で読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下されるべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本件補正は前記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、再掲すると、令和6年3月6日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定される次のとおりのものである。
「 【請求項1】
開口部から進出させた局部洗浄ノズルから洗浄水を吐出させることで局部洗浄を行う局部洗浄装置であって、
前記開口部を開閉可能なシャッタと、
前記シャッタに水を流す洗浄部と、
を備え、
前記洗浄部は、前記局部洗浄ノズルの表面に水を吐出することで、前記開口部に対して回動可能に取り付けられた上端から下端に至る面である前記シャッタの背面に水を流し、前記シャッタの下端まで洗浄し、
前記洗浄部が吐出した水は、前記局部洗浄ノズルの表面を介して前記局部洗浄ノズルの前面に供給される、
ことを特徴とする局部洗浄装置。」
2 原査定の拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由は、以下の拒絶理由を含むものである。
(進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
引用文献1:特開2010-116730号公報
3 引用文献、引用発明
(1)引用文献1に記載された事項
原査定で引用文献1として引用され、本願の出願前である平成22年5月27日に発行された特開2010-116730号公報(以下「引用文献1」という。)には、次の事項が図面とともに記載されている(下線は合議体が付した。以下同じ。)。
「【0014】
本実施形態のトイレ装置は、洋式腰掛便器(以下、単に「便器」と称す)100と、その後方上部に設けられたケーシング200と、を備える。ケーシング200の内部には、例えば、図示しない便座に座った使用者の「おしり」などの洗浄を実現する局部洗浄機能部などが内蔵されている。なお、図示しない便座および便蓋は、ケーシング200に設けられた軸支部211、213において、ケーシング200に対して開閉自在にそれぞれ軸支されている。
【0015】
ケーシング200の上部には、使用者が便座に座ったことを検知する着座センサ215が設けられている。着座センサ215が便座に座った使用者を検知している場合において、使用者が図示しないスイッチを操作すると、図1(b)に表したように、洗浄ノズル241を便器100のボウル101内に進出させることができる。洗浄ノズル241は、後に詳述するように、ケーシング200の開口部を貫通して進出する。このとき、洗浄ノズル241は、ケーシング200の開口部を開閉するシャッター230を押し上げてボウル101内に進出することができる。また、洗浄ノズル241の先端部には、ひとつあるいは複数の吐水口243が設けられている。
【0016】
続いて、洗浄ノズル241は、ボウル101内に進出した状態において、その先端部に設けられた吐水口243から水を噴射して、便座に座った使用者の「おしり」などを洗浄することができる。なお、本願明細書において「水」という場合には、冷水のみならず、加熱されたお湯も含むものとする。
【0017】
シャッター230は、ケーシング200に対して回動自在に軸支されており、ばねなどの付勢部材によりケーシング200の開口部を閉じる方向に付勢されている。そのため、シャッター230は、進出する洗浄ノズル241から力を受けることにより、図1(b)に表したように、上部を中心として回動し、ケーシング200の開口部を開けることができる。一方、洗浄ノズル241が後退した場合には、シャッター230は、洗浄ノズル241から力を受けなくなるため、付勢力により回動してケーシング200の開口部を閉じることができる。」
「【0024】
また、シャッター230は、閉じた状態において連通部103bおよび開口部223bに向かって延在した突出壁231を有する。すなわち、シャッター230は、連通部103bおよび開口部223bに対向する裏面に、突出壁231を有する。この突出壁231は、シャッター230が閉じている状態において、部分的に開口部223bに当接している。すなわち、突出壁231が開口部223bに部分的に当接することにより、シャッター230の閉止位置は決定される。」
「【0038】
したがって、シャッター230は、自ら開くことはできず、ボウル101に進出する洗浄ノズル241から力を受けることにより開く。つまり、シャッター230は、洗浄ノズル241から押されることにより、軸228を中心として開く。一方、洗浄ノズル241が後退してケーシング200内に収納されると、シャッター230は洗浄ノズル241から力を受けないため、付勢部材229からの付勢力により閉じる。つまり、シャッター230は、洗浄ノズル241が進出していない状態では、図1(a)に表したように閉じた状態となっている。これによれば、シャッター230は、使用者が排尿した小水あるいは水跳ねした封水などが開口部223bから洗浄ノズル241側に進入することを防止できる。
【0039】
図5は、本実施形態のシャッター近傍を拡大して眺めた断面模式図である。
なお、図5は、洗浄ノズルがケーシングから進出した状態を表しており、図1(b)に表したB-B断面図に相当する。
【0040】
洗浄ノズル241を有するノズルユニット240は、一端部にノズル洗浄室245を有する。ノズル洗浄室245は、その内部に設けられた吐水口から水を噴射することにより、洗浄ノズル241の外周表面を洗浄することができる。また、ノズル洗浄室245は、洗浄ノズル241の進退時において、外周表面の洗浄を行う洗浄水が飛散することを抑制できる。洗浄ノズル241は、このノズル洗浄室245を貫通して進出する。このとき、洗浄ノズル241は、図5に表したように、シャッター230を後方から押してボウル101内に進出する。」
「【0049】
図10は、本実施形態のシャッターの突出壁を拡大して眺めた断面模式図である。
なお、図10は、図9に表した範囲Eの拡大図に相当する。
シャッター230は、図2に関して前述したように、閉じた状態において開口部223bに向かって延在した突出壁231を有する。この突出壁231の外周面231aは、ケースプレート220の凹設部223の外周面223cよりも、距離Fだけトイレ装置の中央部側に配置されている。」
「【図5】
[図:0001432607000001.jpg]
」
「【図9】
[図:0001432607000002.jpg]
」
(2)引用文献1の記載より認定できる事項
ア 前記(1)【図5】から、洗浄ノズル241がシャッター230を後方から押してボウル101内に進出するとき、洗浄ノズル241は、その先端を下方に向けつつ、前方に進出することが看取できる。
イ 前記(1)【0017】の「シャッター230は、ケーシング200に対して回動自在に軸支されており、ばねなどの付勢部材によりケーシング200の開口部を閉じる方向に付勢されている。そのため、シャッター230は、進出する洗浄ノズル241から力を受けることにより、図1(b)に表したように、上部を中心として回動し、ケーシング200の開口部を開けることができる。」との記載、前記(1)【0024】の「シャッター230は、連通部103bおよび開口部223bに対向する裏面に、突出壁231を有する。」との記載、及び前記(1)【0040】の「洗浄ノズル241は、図5に表したように、シャッター230を後方から押してボウル101内に進出する。」との記載をふまえると、前記(1)【図5】から、洗浄ノズル241がシャッター230を後方から押してボウル101内に進出するとき、突出壁231を介してシャッター230の上部よりも下部が洗浄ノズル241に接近していることが看取できる。
(3)引用発明1
前記(1)、(2)から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。
「便器100と、その後方上部に設けられたケーシング200と、を備えるトイレ装置であって(【0014】)、
洗浄ノズル241は、ケーシング200の開口部を貫通してボウル101内に進出し(【0015】)、
洗浄ノズル241は、ボウル101内に進出した状態において、その先端部に設けられた吐水口243から水を噴射して、便座に座った使用者の「おしり」を洗浄し(【0016】)、
シャッター230は、ケーシング200に対して回動自在に軸支されており、進出する洗浄ノズル241から力を受けることにより、上部を中心として回動し、ケーシング200の開口部を開け、洗浄ノズル241が後退した場合には、回動してケーシング200の開口部を閉じ(【0017】)、
洗浄ノズル241を有するノズルユニット240は、一端部にノズル洗浄室245を有し、ノズル洗浄室245は、その内部に設けられた吐水口から水を噴射することにより、洗浄ノズル241の外周表面を洗浄し(【0040】)、
洗浄ノズル241がシャッター230を後方から押してボウル101内に進出するとき、洗浄ノズル241は、その先端を下方に向けつつ、前方に進出し((2)ア)、突出壁231を介してシャッター230の上部よりも下部が洗浄ノズル241に接近している((2)イ)、
トイレ装置。」
4 対比
本願発明と引用発明1を対比する。
(1)後者の「ケーシング200の開口部」は、前者の「開口部」に相当する。
(2)後者の「洗浄ノズル241」は、「その先端部に設けられた吐水口243から水を噴射して、便座に座った使用者の「おしり」を洗浄」するものであるから、前者の「局部洗浄ノズル」に相当する。
(3)後者の「シャッター230」は、「ケーシング200の開口部を開け」、かつ「ケーシング200の開口部を閉じ」るものであるから、前記(1)をふまえると、前者の「開口部を開閉可能なシャッタ」に相当する。
(4)後者の「ノズル洗浄室245」は、「その内部に設けられた吐水口から水を噴射することにより、洗浄ノズル241の外周表面を洗浄」するものであるから、前記(2)をふまえると、前者の「洗浄部」と後者の「ノズル洗浄室245」は、「局部洗浄ノズルの表面に水を吐出する洗浄部」である点で一致する。
(5)後者の「洗浄ノズル241」は、「ケーシング200の開口部を貫通してボウル101内に進出し」、「ボウル101内に進出した状態において、その先端部に設けられた吐水口243から水を噴射して、便座に座った使用者の「おしり」を洗浄」するものであるから、前記(2)~(4)をふまえると、前者の「局部洗浄装置」と後者の「「洗浄ノズル241」、「シャッター230」、及び「ノズル洗浄室245」」は、「開口部から進出させた局部洗浄ノズルから洗浄水を吐出させることで局部洗浄を行う局部洗浄装置であって、前記開口部を開閉可能なシャッタと、洗浄部と、を備える局部洗浄装置」である点で一致する。
(6)後者の「洗浄ノズル241」は、ボウル101内に進出するとき、「その先端を下方に向けつつ、前方に進出し」ていることから、「ノズル洗浄室245」が「その内部に設けられた吐水口から水を噴射する」ときには、「洗浄ノズル241の外周表面を洗浄」するとの目的からして、「洗浄ノズル241」の前方面にも「ノズル洗浄室245」の内部に設けられた「吐水口」から「噴射」されて「洗浄ノズル241」の外周表面を洗浄した「水」が届いているといえる。
(7)前記(4)~(6)をふまえると、前者の「局部洗浄装置」と後者の「「洗浄ノズル241」、「シャッター230」、及び「ノズル洗浄室245」」は、「前記洗浄部が吐出した水は、前記局部洗浄ノズルの表面を介して前記局部洗浄ノズルの前面に供給される」ものである点で一致する。
(8)そうすると、本願発明と引用発明1は、
[一致点]
「開口部から進出させた局部洗浄ノズルから洗浄水を吐出させることで局部洗浄を行う局部洗浄装置であって、
前記開口部を開閉可能なシャッタと、
洗浄部と、
を備え、
前記洗浄部は、前記局部洗浄ノズルの表面に水を吐出し、
前記洗浄部が吐出した水は、前記局部洗浄ノズルの表面を介して前記局部洗浄ノズルの前面に供給される、
局部洗浄装置。」
で一致し、以下の点で相違する。
[相違点]
本願発明の「洗浄部」が、「シャッタに水を流す」ものであって、「前記局部洗浄ノズルの表面に水を吐出することで、前記開口部に対して回動可能に取り付けられた上端から下端に至る面である前記シャッタの背面に水を流し、前記シャッタの下端まで洗浄」するのに対し、引用発明1は、「ノズル洗浄室245」から噴射された水が、「シャッター230」の背面を下端まで洗浄しているか不明である点。
5 判断
(1)前記相違点について
ア 引用発明1の「シャッター230」は、「ケーシング200に対して回動自在に軸支されており、進出する洗浄ノズル241から力を受けることにより、上部を中心として回動し、ケーシング200の開口部を開け」るものであるから、「シャッター230」の「進出する洗浄ノズル241」と対向する面は、本願発明の「開口部に対して回動可能に取り付けられた上端から下端に至る面である前記シャッタの背面」に相当する。
イ 引用発明1の「シャッター230」は、「洗浄ノズル241」がボウル101内に進出するとき、「突出壁231」を介して、上部よりも下部が「洗浄ノズル241」に接近しており、その下部が「洗浄ノズル241」に接触していることはいえないものの、引用発明1の「ノズル洗浄室245」は、水を噴射することにより「洗浄ノズル241」の外周表面を洗浄するためのものであるから、「洗浄ノズル241」の外周表面を確実に洗浄できる程度に水の量、強さが調整されているといえる。
ウ そうすると、引用発明1の「ノズル洗浄室245」から噴射される水を、「シャッター230」の「進出する洗浄ノズル241」と対向する面の下部が洗浄される程度の量、強さに制御することにより、相違点に係る本願発明の構成とする程度のことは、当業者が容易に想到し得ることである。
また、本願発明の効果も、引用発明1から当業者が予測し得る程度のものといえる。
(2)令和6年3月6日に提出された意見書の主張について
ア 審判請求人の主張の概要
審判請求人は、前記意見書の(4)において、概略次の主張をしている。
「引用文献1は、本願請求項1に係る発明の「洗浄部が吐出した水は、局部洗浄ノズルの表面を介して局部洗浄ノズルの前面に供給される」という特徴を何ら開示していません。」
イ 審判請求人の主張についての見解
(ア)前記4(6)、(7)のとおりであるから、審判請求人の前記主張は採用できない。
(3)なお、令和6年3月21日付けの拒絶査定において、「理由2(特許法第29条第1項第3号)」として「[0040]及び[図5]より、洗浄部から噴射された水は局部洗浄装置の外周表面を洗浄し、その際上端から下端に至る面であるシャッタの背面にも水が流れ、シャッタの下端まで洗浄されるものと認められる。」と説示される一方で、「理由3(特許法第29条第2項)」として「上記「●理由2(特許法第29条第1項第3号)について」参照。」と説示されていることから、「理由3(特許法第29条第2項)」では、「洗浄部から噴射された水は局部洗浄装置の外周表面を洗浄し、その際上端から下端に至る面であるシャッタの背面にも水が流れ、シャッタの下端まで洗浄されるもの」と認められないとしても、この点は容易に想到し得るものであると説示していると解される。
そうすると、拒絶査定の理由3の判断と前記5(1)の判断は実質的に同じものであるといえる。
6 まとめ
以上のとおり、本願発明は、引用発明1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
7 付記
本件補正後の請求項3に係る発明は、同日出願された特願2018-91476号(特許7209477号)の請求項3に係る発明と同一と認められるから、特許法第39条第2項の規定によっても特許を受けることができない。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2024-010339