商標拒絶査定不服審判
2024-008659
シゴクノボロネーゼ、シゴクノ、シゴク
- 審判番号
- 2024-008659
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2023-072205
- 請求日
- 2024年05月24日
- 審決日
- 2025年03月14日
- 公報発行日
- 2025年05月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社ニップン
- 【請求人代理人】涌井 謙一
- 【請求人代理人】山本 典弘
- 【請求人代理人】鈴木 一永
- 【請求人代理人】工藤 貴宏
- 【請求人代理人】三井 直人
- 審判長/審判官
- 審判長 高野 和行
- 審判官 小俣 克巳
- 審判官 田中 瑠美
- 分類
- T18 .16 -WZ (W30)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項6号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第6号、商標法第3条第1項第3号、商標法第4条第1項第16号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2023- 72205拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和5年6月29日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和5年12月19日付け:拒絶理由通知書
令和6年 2月 5日 :意見書の提出
令和6年 2月26日付け:拒絶査定
令和6年 5月24日 :審判請求書の提出
令和6年10月24日付け:拒絶理由通知書
令和7年 1月17日 :意見書の提出
令和7年 1月30日 :上申書の提出
2 本願商標
本願商標は、「至極のボロネーゼ」の文字を標準文字で表してなり、第30類「パスタ用調味料,調味料,パスタ用香辛料,香辛料,パスタ,パスタの麺,穀物の加工品,パスタを主材とする惣菜,パスタを主材とする凍結乾燥した惣菜,調理済みパスタ,調理済み冷凍パスタ,調理済みパスタを含む冷凍弁当,パスタソース,食用粉類」を指定商品として登録出願されたものである。
3 原査定の拒絶の理由(要旨)
本願商標は、「至極のボロネーゼ」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「至極」の文字は、「この上ないこと。最上。」の意味を有する語であり、「ボロネーゼ」の文字は、「ミートソースであえたパスタ料理。」の意味を有する語である。
そして、本願の指定商品を含む食品分野において、「至極の○○」(「○○」には商品名が入る。)の文字が、「最上の○○」程の意味合いで広く使用されている実情が見受けられる。
そうすると、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、その商品が「最上のミートソースであえたパスタ料理に係る商品」であることを認識するにすぎないから、本願商標は、単に商品の品質等を普通に用いられる方法で表示したものというのが相当である。
また、本願商標をその指定商品中、上記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるというべきである。
したがって、本願商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というべきであるから、商標法第3条第1項第3号に該当し、上記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。
4 当審における拒絶の理由(要旨)
当審において、請求人に対し、令和6年10月24日付け拒絶理由通知書により、別掲1及び別掲2のとおりの事実を示した上で、本願商標は、商標法第3条第1項第6号及び同法第4条第1項第16号に該当する旨の拒絶の理由を通知し、相当の期間を指定して、これに対する意見を求めた。
5 当審における拒絶の理由に対する請求人の意見(要旨)
請求人は、上記4の拒絶理由通知書に対し、令和7年1月17日に意見書及び同30日に上申書を提出し、要旨以下の(1)ないし(3)のとおりの意見を述べ、証拠方法として甲第14号証ないし甲第17号証を提出した。
(1)飲食物の提供に係る分野で、ボロネーゼを紹介する際の名称や提供する際のメニュー名として、「至極のボロネーゼ」の文字が採択され、使用されている実情も見られるとして6件の例が挙げられているが、これらはいずれも、役務の分野における使用例であって、商品の区分における使用例とはいえないため、本願商標がその指定商品との関係で識別力を欠くことの直接的な根拠になるとまでは考えられない。さらに、各ウェブサイトの記載をみると、飲食店において提供されるメニュー名として「至極のボロネーゼ」が使用されている例が多く、これが単に料理の特性や優位性を表すものとして使用されているのか、飲食店において提供されるメニューの目印として商標的に使用されているのかも判然としないところである。
(2)挙げられた使用例は、「至極の○○」ではあっても、「至極のボロネーゼ」の使用例ではなく、この点、本願商標の構成中の「至極」が「この上ないこと。最上」程度の意味合いを生ずる語であるとしても、本願商標は「至極」と「ボロネーゼ」を助詞の「の」で結合した「至極のボロネーゼ」が一連一体に表示されたものであり、かつ、食品の区分に係る商品について「至極のボロネーゼ」の語が普通に使用されているとはいえない状況であること等もふまえれば、本願商標は、漠然と「この上ないボロネーゼ」程度の意味合いを暗示することはあったとしても、その商品の特性や優位性を明確に表しているとまではいえない。
(3)請求人は、本願商標を使用した商品並びに、その他「至極の○○」の構成からなるシリーズ商品を2023年秋に販売開始し、現在に至るまで販売を継続しており、本願商標を使用した商品のみで、2023年8月から2024年12月までに、約200万食、売り上げにして約4億9千5百万円の出荷実績があるとおり、本願商標は十分に自他商品の識別標識としての機能を果たしているものと認識している(甲14~甲17)。
6 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第6号該当性について
本願商標は、「至極のボロネーゼ」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中、「至極」の文字は、「この上ないこと。最上。」を、「ボロネーゼ」の文字は、「ミートソースであえたパスタ料理。」を、それぞれ意味する語として、我が国において一般に知られるものである(いずれも出典は「広辞苑第七版」株式会社岩波書店)。
そして、別掲1の参考情報にあるように、本願の指定商品に関連する食品業界においては、上質な材料をふんだんに使用した、あるいは、使用する食材や調理方法にこだわった食品(料理名を含む。)について、通常の商品に対して優位性のある商品であることを訴求するために、「至極の○○(○○には食品名や料理名が入る。以下同じ。)」と称して、その商品の特性や優位性を示す手法が行われている実情が確認できる。
また、別掲2の参考情報によると、本願の指定商品に関連する飲食物の提供に係る分野においては、実際に、上記の手法により、ボロネーゼを紹介する際の名称や提供する際のメニュー名として、「至極のボロネーゼ」の文字が採択され、使用されている実情も見られる。
そうすると、本願商標は、その指定商品との関係において、例えば、「使用する食材や調理方法にこだわった最上のボロネーゼ」であること、すなわち、その商品の特性や優位性を示す語の一類型であることを理解させるにとどまるものであるから、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ず、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標といわざるを得ない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、飲食物の提供に係る分野で、ボロネーゼを紹介する際の名称や提供する際のメニュー名として、「至極のボロネーゼ」の文字が採択され、使用されている実情も見られるとして6件の例が挙げられているが、これらはいずれも、役務の分野における使用例であって、商品の区分における使用例とはいえないため、本願商標がその指定商品との関係で識別力を欠くことの直接的な根拠になるとまでは考えられないと述べ、さらに、各ウェブサイトの記載をみると、飲食店において提供されるメニュー名として「至極のボロネーゼ」が使用されている例が多く、これが単に料理の特性や優位性を表すものとして使用されているのか、飲食店において提供されるメニューの目印として商標的に使用されているのかも判然としない旨主張する。
しかしながら、上記(1)で述べたとおり、本願の指定商品分野における「至極の○○」の使用例に加え、飲食物(パスタ)の提供に係る分野と本願の指定商品は需要者層を共通にする場合があるから、飲食物の提供に係る分野において、実際に、通常のボロネーゼよりも優位性があることを訴求するために、「至極のボロネーゼ」の文字が、料理名やメニュー名として採択、使用されている実情が見られることよりすれば、本願商標の需要者をして、その商品の特性や優位性を示す語の一類型であることを理解させるにとどまるものであって、本願商標は、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ず、何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものというべきである。
イ 請求人は、挙げられた使用例は、「至極の○○」ではあっても、「至極のボロネーゼ」の使用例ではなく、この点、本願商標の構成中の「至極」が「この上ないこと。最上」程度の意味合いを生ずる語であるとしても、本願商標は「至極」と「ボロネーゼ」を助詞の「の」で結合した「至極のボロネーゼ」が一連一体に表示されたものであり、かつ、食品の区分に係る商品について「至極のボロネーゼ」の語が普通に使用されているとはいえない状況であること等もふまえれば、本願商標は、漠然と「この上ないボロネーゼ」程度の意味合いを暗示することはあったとしても、その商品の特性や優位性を明確に表しているとまではいえない旨主張する。
しかしながら、上記(1)で述べたとおり、本願商標の構成中の「至極」の文字は、「この上ないこと。最上。」を、「ボロネーゼ」の文字は、「ミートソースであえたパスタ料理。」を、それぞれ意味する語として、我が国において一般に知られるものであることに加え、本願の指定商品に関連する食品業界においては、通常の商品に対して優位性のある商品であることを訴求するために、「至極の○○」と称して、その商品の特性や優位性を示す手法が行われている実情が確認でき、その上さらに、本願の指定商品と需要者層を共通にする場合がある飲食物の提供に係る分野において、当該手法により、ボロネーゼを紹介する際の名称や提供する際のメニュー名として、「至極のボロネーゼ」の文字が採択され、使用されている実情も見られることに鑑みれば、本願商標は、その商品の特性や優位性を示す語の一類型であることを理解させるものといわざるを得ない。
ウ 請求人は、本願商標を使用した商品並びに、その他「至極の○○」の構成からなるシリーズ商品を2023年秋に販売開始し、現在に至るまで販売を継続しており、本願商標を使用した商品のみで、2023年8月から2024年12月までに、約200万食、売り上げにして約4億9千5百万円の出荷実績があるとおり、本願商標は十分に自他商品の識別標識としての機能を果たしている旨主張する。
しかしながら、提出された資料からは、本願商標を付した請求人取扱いに係る商品(以下「請求人商品)という。)が実際に販売されていることはうかがえるものの、請求人商品の使用状況、売上高、販売数、広告費、広告宣伝の方法・回数、市場シェア等について確認することができず、具体的な使用事実に基づいて使用状況を把握し、その周知性の程度を客観的に推し量ることができない。また、本願商標が、請求人商品を表すものとして、我が国の取引者、需要者に広く認識されていたと認めるに足りる事情を見いだすこともできないから、本願商標は、請求人の業務にかかる商品を表すものとして、自他商品の識別標識としての機能を果たしているということはできない。
エ したがって、請求人の上記アないしウの主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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