商標拒絶査定不服審判
2024-007085
オキャクサマノイチバンミジカナソンザイニ
- 審判番号
- 2024-007085
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2023-010543
- 請求日
- 2024年04月25日
- 審決日
- 2025年03月27日
- 公報発行日
- 2025年06月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】東京東信用金庫
- 【請求人代理人】樺澤 聡
- 【請求人代理人】山田 哲也
- 審判長/審判官
- 審判長 鈴木 雅也
- 審判官 小田 昌子
- 審判官 滝口 裕子
- 分類
- T18 .16 -Z (W36)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項6号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第6号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2023- 10543拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和5年2月3日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和5年8月18日付け:拒絶理由通知書
令和5年9月6日 :意見書、手続補正書の提出
令和6年1月24日付け:拒絶査定
令和6年4月25日 :審判請求書の提出
令和6年11月26日 :審尋
2 本願商標
本願商標は、「お客様の一番身近な存在に」の文字を標準文字で表してなり、第36類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として登録出願されたものであり、その指定役務は、上記1の手続補正書により、第36類「預金の受入れ(債券の発行により代える場合を含む。)及び定期積金の受入れ,資金の貸付け及び手形の割引,内国為替取引,債務の保証及び手形の引受け,有価証券の貸付け,金銭債権の取得及び譲渡,有価証券・貴金属その他の物品の保護預かり,両替,金融先物取引の受託,金銭・有価証券・金銭債権・動産・土地若しくはその定着物又は地上権若しくは土地の賃借権の信託の引受け,債券の募集の受託,外国為替取引,信用状に関する業務,信用購入あっせん,暗号資産の管理,暗号資産の売買又は他の暗号資産との交換,暗号資産の売買又は他の暗号資産との交換の媒介・取次ぎ又は代理,前払式支払い手段の発行,ガス料金又は電気料金の徴収の代行,商品代金の徴収の代行,有価証券の売買,有価証券指数等先物取引,有価証券オプション取引,外国市場証券先物取引,有価証券の売買・有価証券指数等先物取引・有価証券オプション取引及び外国市場証券先物取引の媒介・取次ぎ又は代理,有価証券市場における有価証券の売買取引・有価証券指数等先物取引及び有価証券オプション取引の委託の媒介・取次ぎ又は代理,外国有価証券市場における有価証券の売買取引及び外国市場証券先物取引の委託の媒介・取次ぎ又は代理,有価証券先渡取引・有価証券店頭指数等先渡取引・有価証券店頭オプション取引若しくは有価証券店頭指数等スワップ取引又はこれらの取引の媒介・取次ぎ若しくは代理,有価証券等清算取次ぎ,有価証券の引受け,有価証券の売出し,有価証券の募集又は売出しの取扱い,株式市況に関する情報の提供,商品市場における先物取引の受託,生命保険契約の締結の媒介,生命保険の引受け,損害保険契約の締結の代理,損害保険に係る損害の査定,損害保険の引受け,保険料率の算出,建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,建物又は土地の情報の提供,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,企業の信用に関する調査,紙幣・硬貨計算機の貸与,現金支払機の貸与,現金自動預け払い機の貸与」と補正されたものである。
3 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は「お客様の一番身近な存在に」の文字を標準文字で表してなるものであり、「お客様の一番身近な存在に」なることを目指すという企業理念や経営方針の一種であることを認識・理解させるものであって、本願指定役務を取り扱う業界において、「お客さまに一番身近に感じてもらえる会社」等が企業のイメージを訴える宣伝文句として使用されている実情が認められる。そうすると、本願商標をその指定役務に使用しても、これに接する取引者、需要者は単に企業のイメージを訴える宣伝文句・広告用の語句であると認識するにすぎないから、本願商標は需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標であり、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
4 当審における審尋及びそれに対する請求人の回答
当審において、令和6年11月26日付け審尋により、別掲1及び別掲2の事実を示した上で、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当する旨の合議体の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、請求人に対し、意見を求めた。
請求人は、当該審尋に対し、指定した期間を経過するも、何ら回答書(意見書)を提出していない。
5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第6号について
商標法は、「商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とする」ものであるところ(同法第1条)、商標の本質は、自己の業務に係る商品又は役務と識別するための標識として機能することにあり、この自他商品又は役務の識別標識としての機能から、出所表示機能、品質保証機能及び広告宣伝機能等が生じるものである。同法第3条第1項第6号が、「需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標」を商標登録の要件を欠くと規定するのは、同項第1号ないし第5号に例示されるような、識別力のない商標は、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、自他商品の識別力を欠くために、商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解すべきである(知財高裁平成25年1月10日判決(平成24年(行ケ)第10323号))。
(2)本願商標の商標法第3条第1項第6号の該当性について
本願商標は、「お客様の一番身近な存在に」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「お」は「尊敬する人に関係のある事物に冠する。」、「客」は「商売で、料金を払う側の人。」、「様」は「丁寧にいう語。」、「一番」は「最も。」、「身近」は「自分と関係の深いこと。」、「存在」は「ある、または、いること。」(いずれも「広辞苑 第七版」岩波書店)を意味する語として、いずれも広く一般に親しまれた語である。
また、別掲1によれば、指定役務を含む分野において、「身近な存在に」「身近な存在へ」「身近な存在として」等、述語が付加されない形で企業理念、経営方針等として多数使用されている実情がある。
さらに、別掲2によれば、指定役務を含む分野において、多数の会社等により、「お客様の一番身近な存在に」なるという企業理念や経営方針が掲げられている実情がある。
そうすると、本願商標の各構成文字の語義、及び指定役務を含む分野における取引の実情に照らせば、本願商標は、全体として「お客様の一番身近な存在に」なるという企業理念や経営方針の一種であることを認識させるにとどまるというべきであるから、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標というのが相当である。
加えて、前記のとおり、本願商標は、標準文字で表してなるものであるから、その態様上顕著な特徴は認められない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。
(3)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標の文言以外に付け加えられた述語があるからこそそれぞれ異なる意味合いを理解できるものであり、それらの文言があるからこそ、企業理念や経営方針として理解、認識できるものである旨主張する。
しかしながら、別掲1によれば、指定役務を含む分野において、「身近な存在に」「身近な存在へ」「身近な存在として」等、述語が付加されない形で企業理念、経営方針等として多数使用されている実情が見受けられることから、述語がなくとも企業理念や経営方針として理解、認識されるといえる。
イ 請求人は、本願商標は、その指定役務との関係においてこれらの役務の説明、優位性、品質、特徴等を簡潔に表すもの又は企業の特性や優位性を記述するものとはいえない点からも、直ちに役務の企業理念や経営方針を表示したものとして理解、認識されるものとはいい難い旨主張する。
しかしながら、別掲2によれば、指定役務を含む分野において、多数の会社等により、「お客様の一番身近な存在に」なるという企業理念や経営方針が掲げられている実情が見受けられることから、本願商標は、役務の分野における企業理念や経営方針を表示したものとして理解、認識されるといえる。
ウ したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。
(4)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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