商標拒絶査定不服審判
2024-007019
ニホンイサンソムリエ、ニッポンイサンソムリエ、ニホンイサン、ニッポンイサン、ソムリエ
- 審判番号
- 2024-007019
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2023-032859
- 請求日
- 2024年04月24日
- 審決日
- 2025年05月08日
- 公報発行日
- 2025年07月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】一般社団法人日本遺産普及協会
- 【請求人代理人】弁理士法人テックロー国際知財事務所
- 【請求人代理人】亀卦川 巧
- 【請求人代理人】木下 洋平
- 審判長/審判官
- 審判長 大島 康浩
- 審判官 小林 裕子
- 審判官 大塚 正俊
- 分類
- T18 .21 -Z (W41)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項6号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第6号、特許法第150条第5項、商標法第4条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2023-32859拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和5年3月28日の登録出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和5年9月15日付け:拒絶理由通知書
令和5年10月25日:意見書の提出
令和6年1月17日付け:拒絶査定
令和6年4月24日:審判請求書の提出
令和7年1月17日付け:証拠調べ通知書
令和7年2月18日:意見書の提出
第2 本願商標
本願商標は、「日本遺産ソムリエ」の文字を標準文字で表してなり、第41類「知識の教授,教育上の試験の実施,セミナーの企画・運営又は開催,シンポジウムの手配及び運営,インターネットを利用して行う映像の提供,映画の上映・制作又は配給,インターネットを利用して行う音楽の提供,演芸の上演,演劇の上演,音楽の演奏,植物の供覧,動物の供覧,庭園の供覧,洞窟の供覧,美術品の展示,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,書籍の制作,放送番組の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は開催,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),オンラインによるガイド付き仮想見学ツアーの提供,ガイド付き見学ツアーの実施,映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,興行場の座席の手配,写真の撮影,通訳,翻訳」を指定役務として登録出願されたものである。
第3 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、その構成中に、「日本遺産」の文字を有してなるが、「日本遺産」の文字は、様々な文化財群を総合的に活用する取組を支援することを目的として、2015年(平成27年)から文化庁が行っている施策に使用されている語である。そうとすると、本願商標は、我が国政府に係る上述の施策を表す著名な標章「日本遺産」と同一の文字を有してなるから、公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する著名な標章と同一又は類似のものである。したがって、この本願商標は、商標法第4条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第4 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第4条第1項第6号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを実施した結果、別掲1(1)ないし(5)及び別掲2(1)ないし(15)に示したとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、証拠調べの結果を通知した。
第5 証拠調べに対する請求人の意見の要点
請求人は、文化庁の日本遺産オフィシャルパートナーであり、本願商標「日本遺産ソムリエ」は、そのオフィシャルパートナーによる事業であると文化庁によって公示されているので、請求人による本願商標「日本遺産ソムリエ」の使用は、国等の権威、信用の尊重に影響を与えるものではない。
「日本遺産ソムリエ」の「ソムリエ」は、我が国における国家資格には存在せず、「日本遺産ソムリエ」が国等の施策であると需要者等に誤認されるおそれもなく、また、本願商標を保護することは、文化庁の施策「日本遺産」の活性化にもつながり、需要者の利益を保護するという公益保護を実現する。
第6 当審の判断
1 商標法第4条第1項第6号の趣旨
商標法4条1項6号は、同号に掲げる標章を一私人に独占させることは、同号所定の団体の信用や権威を損ない、国際信義に反することから、これを不登録事由としたと解される(知財高判平成30年4月11日(同29年(行ケ)第10208号))。
また、同規定は、同号に掲げる団体の公共性にかんがみ、その権威を尊重するとともに、出所の混同を防いで需要者の利益を保護しようとの趣旨に出たものであり、同号の規定に該当する商標、すなわち、これらの団体を表示する著名な標章と同一又は類似の商標については、これらの団体の権威を損ない、また、出所の混同を生ずるものとみなして、無関係の私人による商標登録を排斥するものであると解される(知財高判平成21年5月28日(同20年(行ケ)第10351号)参照)。
2 本願商標の商標法第4条第1項第6号該当性について
(1)「日本遺産」の文字(以下「引用標章」ということがある。)が「公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章」であることについて
「日本遺産」とは、別掲1のとおり、様々な文化財群を総合的に活用する取組を支援することを目的として、2015年(平成27年)から文化庁が行っている施策に使用されている語である。
上記のような制度趣旨からしても、「日本遺産」は、公益に関する事業であって、営利を目的としないものであると認められる。
したがって、「日本遺産」は、「公益に関する事業であって営利を目的としないもの」に該当する。
(2)引用標章が「著名なもの」であることについて
「日本遺産」の文字は、別掲1のとおり、文化庁のウェブサイト等で、文化庁が実施する認定制度(公益事業)の名称を表す語として使用されている。
また、原審において示された事実及び当審における職権による調査によれば、別掲2のとおり、「日本遺産」の文字が、文化庁が実施する認定制度(公益事業)の名称を表示する語として、多数の新聞記事及びインターネット情報等に継続的に取り上げられ、広く情報発信されている事実が見受けられる。
以上を踏まえると、引用標章は、文化庁が実施する認定制度(公益事業)の名称を表示するものとして、広く一般に認識されるに至っているというべきである。
(3)本願商標が引用標章と同一又は類似の商標であることについて
ア 本願商標について
本願商標は、上記第2のとおり、「日本遺産ソムリエ」の文字を標準文字で表してなるところ、冒頭からの「日本遺産」の部分は、上記(2)のとおり、文化庁が実施する認定制度(公益事業)の名称を表示するものとして著名な「日本遺産」とその文字部分において文字構成を同じくするものであるから、当該部分は、看者に対して強く支配的な印象を与えるものといえる。
そうとすると、本願商標の構成中、「日本遺産」の部分が、強く支配的な印象を与えるといえるから、これを要部として抽出し、当該構成部分のみを引用標章と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきであり、「日本遺産」の文字に相応して「ニホンイサン」の称呼を生じ、「日本遺産」の観念が生ずるものである。
イ 引用標章について
引用標章は、「日本遺産」の文字からなるところ、その構成文字に相応して「ニホンイサン」の称呼が生じ、「日本遺産」の観念を生じるものである。
ウ 本願商標と引用標章の類否
本願商標の要部である「日本遺産」の文字と引用標章とを対比すると、いずれも「日本遺産」の文字からなる点で外観が類似であり、また、「ニホンイサン」の称呼が生じる点で、称呼が同一である。さらに、本願商標の要部及び引用標章は、ともに「日本遺産」の観念が生じることから、観念が同一である。
したがって、本願商標と引用標章は類似するというべきである。
以上からすれば、本願商標は、文化庁が実施する認定制度(公益事業)の名称を表示する著名な標章である引用標章と類似するものである。
エ 小括
以上のとおり、引用標章は、公益に関する事業であって、営利を目的としないものを表示する標章であって、我が国において著名なものである。
そして、本願商標は引用標章と類似するものである。
したがって、本願商標は商標法第4条第1項第6号に該当する。
3 請求人の主張について
ア 請求人は、文化庁の日本遺産オフィシャルパートナーであるから、本願商標「日本遺産ソムリエ」の使用は、国等の権威、信用の尊重に影響を与えるものではなく、むしろ「日本遺産ソムリエ」の文字を保護することは文化庁の施策「日本遺産」の活性化にもつながり、需要者の利益を保護するという公益保護を実現する旨主張する。
しかしながら、上記1のとおり、商標法第4条第1項第6号の趣旨は、その団体の公共性にかんがみ、その権威を尊重するとともに、出所の混同を防いで需要者の利益を保護しようとするものであり、「日本遺産」の文字を含む本願商標は、文化庁が実施する認定制度(公益事業)の名称を表す著名な「日本遺産」の標章と類似するものであって、その出所について混同を生じるおそれがあると判断するのが相当である。
イ 請求人は、過去の登録例や審決例を挙げ、それらと同様に本願商標も登録を認められるべきである旨主張する。
しかしながら、登録出願に係る商標が商標法第4条第1項第6号に該当するものであるか否かの判断は、当該商標登録出願の査定時又は審決時において、個別具体的に判断されるべきものであるところ、請求人の挙げた登録例や審決例は、いずれも商標の構成態様が本願商標とは異なるものである点において、本願とは、事案を異にするものというべきであり、また、過去の登録例が存在することをもって、上記判断が左右されるものではない。
ウ したがって、請求人の主張は、いずれも採用することができない。
4 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第6号に該当するから、これを登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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