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特許拒絶査定不服審判

2024-006634

集積電子パッケージを備えたカテーテルチップおよびそれを組み込んだカテーテル

審判番号
2024-006634
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2022-554730外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2024年04月18日
審決日
2025年09月29日
公報発行日
2026年03月27日
結論
請求不成立
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (A61B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2022-554730「集積電子パッケージを備えたカテーテルチップおよびそれを組み込んだカテーテル」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 9月16日国際公開、WO2021/183196、令和 5年 4月20日国内公表、特表2023-516812〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2020年(令和 2年)12月 9日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2020年(令和 2年) 3月10日(US)米国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯の概略は以下のとおりである。 令和 4年11月 7日 :翻訳文提出 令和 5年 8月29日付け:拒絶理由通知書 令和 5年12月 4日 :意見書、手続補正書の提出 令和 5年12月 8日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) (同月19日 :原査定の謄本の送達) 令和 6年 4月18日 :審判請求書、手続補正書の提出 第2 令和 6年 4月18日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和 6年 4月18日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正について(補正の内容) (1) 本件補正後の特許請求の範囲の記載 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。) 「【請求項1】 血管内カテーテルであって、 遠位部分を有するカテーテルシャフトと、 前記カテーテルシャフトの前記遠位部分内に配置された複数の磁気位置特定要素と、 前記カテーテルシャフトの前記遠位部分内に配置された集積電子パッケージであって、電源装置とプリアンプとマルチプレクサと画像化素子ドライバとを備える前記集積電子パッケージと、 を備え、 前記複数の磁気位置特定要素は、前記カテーテルシャフトの長手方向において、前記集積電子パッケージと同じ位置に配置されている、 血管内カテーテル。」 (2) 本件補正前の特許請求の範囲 本件補正前の、令和 5年12月 4日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。 「【請求項1】 血管内カテーテルであって、 遠位部分を有するカテーテルシャフトと、 前記カテーテルシャフトの前記遠位部分内に配置された複数の磁気位置特定要素と、 前記カテーテルシャフトの前記遠位部分内に配置された集積電子パッケージであって、電源装置とプリアンプとマルチプレクサと画像化素子ドライバとを備える前記集積電子パッケージと、 を備える、血管内カテーテル。」 2 補正の適否 本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「複数の磁気位置特定要素」について、「前記複数の磁気位置特定要素は、前記カテーテルシャフトの長手方向において、前記集積電子パッケージと同じ位置に配置されている」という限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。 (1) 本件補正発明 本件補正発明は、前記1(1)に記載したとおりのものである。 (2) 引用文献の記載事項 ア 引用文献1 (ア) 原査定の拒絶の理由で引用された本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特表2016-501678号公報(平成28年 1月21日国内公表。以下「引用文献1」という。)には、次の記載がある(下線は、当審で付した。)。 a 「[0001] 本発明は、概して血管内超音波(IVUS)画像化に関し、特に、ソリッドステートIVUS画像化システムに関する。様々な実施形態において、IVUS画像化システムは、送信/受信インターフェースコントローラによって制御される、圧電性ジルコン酸塩トランスデューサ(PZT)、静電型超音波マイクロトランスデューサ(CMUT)、および/または圧電型超音波マイクロトランスデューサ(PMUT)のような、超音波トランスデューサのアレイを含む。たとえば、本開示のいくつかの実施形態は、ヒトの血管を画像化するのに特に適した送受信インターフェースコントローラを含むIVUS画像化システムを提供する。 [背景技術] [0002] 血管内超音波(IVUS)画像化は、介入性心臓病学において、治療の必要性を判定し、治療介入を誘導し、かつ/またはその有効性を評価するための、人体内の病変血管、特に動脈のための診断ツールとして広く使用されている。IVUS画像化研究を実施するために、1つまたは複数の超音波トランスデューサを組み込んでいるIVUSカテーテルが血管内に入れられ、画像化されるべき領域へと誘導される。トランスデューサは、対象の血管の画像を作成するために、超音波エネルギーを放出および受信する。超音波は、組織構造(様々な層の血管壁など)、赤血球、および対象の他の特徴から生じる不連続性によって特に反射される。反射波からのエコーがトランスデューサによって受信され、患者インターフェースモジュール(PIM)によってIVUSカテーテルに接続されているIVUS画像化システムに伝達される。画像化システムは、受信された超音波信号を処理して、デバイスが配置されている血管の断面画像を生成する。」 b 「[0025] 図1は、本開示の一実施形態による血管内超音波(IVUS)画像化システム100の概略図である。本開示のいくつかの実施形態において、IVUS画像化システム100は、圧電性ジルコン酸塩トランスデューサ(PZT)ソリッドステートIVUS画像化システムである。いくつかの実施形態において、システム100は、静電型超音波マイクロトランスデューサ(CMUT)、および/または圧電型超音波マイクロトランスデューサ(PMUT)を組み込んでいる。IVUS画像化システム100は、IVUSカテーテル102、患者インターフェースモジュール(PIM)104、IVUSコンソールもしくは処理システム106、および/またはモニタ108を含んでもよい。」 c 「[0027] PIM104は、スキャナアセンブリ110の動作を制御するために、IVUSコンソール106とIVUSカテーテル102との間の信号の通信を促進する。これは、スキャナを構成して送信機回路をトリガするための制御信号を生成することと、スキャナアセンブリ110によってキャプチャされるエコー信号をIUVSコンソール106に転送することとを含む。エコー信号に関して、PIM104は受信信号を転送し、いくつかの実施形態において、信号をコンソール106に送信する前に予備信号処理を実施する。そのような実施形態の例において、PIM104は、データの増幅、フィルタリング、および/または集約を実施する。一実施形態において、PIM104はまた、スキャナ110内の回路の動作をサポートするための高および低電圧DC電力をも供給する。 [0028] IUVSコンソール106は、PIM104によってスキャナ110からエコーデータを受信し、スキャナ110を取り巻く組織の画像を作成するためにデータを処理する。コンソール106はまた、画像をモニタ108に表示することもできる。 [0029] いくつかの実施形態において、IVUSカテーテルは、Volcano Corporationから市販されているEagleEye(登録商標)カテーテルおよび参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第7,846,101号明細書に開示されているもののような従来のソリッドステートIVUSカテーテルと同様のいくつかの特徴を含む。たとえば、IVUSカテーテル102は、デバイス102の遠位端にある超音波スキャナアセンブリ110と、デバイス102の長手方向本体に沿って延伸するケーブル112とを含む。ケーブル112は、デバイス102の近位端にあるコネクタ114において終端する。コネクタ114は、ケーブル112をPIM104に電気的に結合し、IVUSカテーテル102をPIM104に物理的に結合する。一実施形態において、IVUSカテーテル102は、ガイドワイヤ出口ポート116をさらに含む。したがって、いくつかの事例において、IVUSカテーテルは迅速交換カテーテルである。ガイドワイヤ出口ポート116は、デバイス102を血管120を通じて誘導するために、ガイドワイヤ118が遠位端に向かって挿入されることを可能にする。血管120は、画像化され得、たとえば、限定ではないが、肝臓、心臓、腎臓、胆嚢、膵臓、肺を含む臓器、ダクト、腸、脳、硬膜嚢、脊柱および末梢神経を含む神経系構造、尿路、ならびに身体の血液系または他の系内の弁を含むことができる生体内の天然および人口の両方の、流体を充填されたまたは流体に取り囲まれた構造を表す。天然構造の画像化に加えて、画像はまた、限定ではないが、心臓弁、ステント、シャント、フィルタおよび身体内に位置付けられる他のデバイスのような人口構造の画像化をも含んでもよい。一実施形態において、IVUSカテーテル102はまた、遠位先端付近の膨脹可能バルーン部分122をも含む。バルーン部分122は、IVUSカテーテルの長さをたどり、膨脹ポート(図示せず)において終端するルーメンに対して開いている。バルーン122は、膨脹ポートを介して選択的に膨脹および収縮され得る。」 d 「[0031] 図2は、本開示の一実施形態による超音波スキャナアセンブリ110の簡略概略図である。従来の設計とは対照的に、この実施形態は、必要とされる信号線がより少ない、改善されたトランスデューサインターフェースを提供し、それによって、トランスデューサを操作するのに必要とされる導体の数が低減される。スキャナ110は6つの主要ブロック、すなわち、インターフェース復号器202と、送信コントローラ204と、受信コントローラ206と、ドライバおよびマルチプレクサアレイ208と、超音波トランスデューサ210と、エコー増幅器212とを含む。物理的実施態様において、スキャナ110の主要なブロックのいずれかは、1つまたは複数の別個の集積回路チップに分割されてもよい。 [0032] スキャナ110は4つの入力を受信する。高電圧信号が高電力ドライバ回路にDC電圧を供給し、高電力ドライバ回路は、送信モードにあるときに超音波トランスデューサ210に給電する。GND信号が、スキャナ回路の共通接地を提供する。残りの入力、すなわち、PIM+およびPIM-は、双方向性多目的信号の差動対である。いくつかの実施形態において、PIM+/-信号対は、(1)スキャナ110の回路を駆動するための低電圧DC電力(Vdd)を供給し、(2)送信コントローラ204、受信コントローラ206、およびマルチプレクサアレイ208の構成を可能にするためのシリアル通信チャネルとして動作し、(3)プログラム可能性およびステータス報告のような高度な機能をサポートするためのシリアル通信チャネルとして動作し、(4)スキャナ上に含まれる送信機およびタイミング回路を起動するためのPIM104からの平衡差動信号として送信トリガパルスを搬送し、(5)平衡出力信号をエコー増幅器212からPIM104へと誘導するのに使用される。」 e 「[0040] いくつかの実施形態において、PIM+/-対は、指定された受信トランスデューサ(複数の場合もあり)210によってキャプチャされたエコー信号を、スキャナ110からPIM104へと送信する。エコーから選択された受信トランスデューサによって生成される電気信号が、マルチプレクサアレイ208によってエコー増幅器212にルーティングされる。図示されている実施形態において、エコー増幅器212は差動増幅器であるが、他の増幅器タイプが企図されている。エコー増幅器212の出力はPIM+/-対に連結されている。PIM+/-ライン上の入来信号の完全性を保証するために、エコー増幅器212は、出力インピーダンスがケーブル終端抵抗214よりもはるかに高い高インピーダンス差動電流源出力段を有してもよい。エコーデータの歪みを回避するために、エコー増幅器212の入力もまた、高入力インピーダンスを有してもよい。いくつかの実施形態において、超音波トランスデューサ210が高インピーダンス負荷(増幅器入力など)を駆動するときに相当の電圧を生成することが可能であり得るため、エコー増幅器212は高電圧を生成する必要がない。しかしながら、たとえ1の電圧利得であっても、増幅器は、デバイス102の長さに沿って延伸するケーブル112の低(たとえば、約100Ω)特性インピーダンスに起因して相当の電力利得(たとえば、約16dB)をもたらす。」 f 図1「 [図:0001432530000001.jpg] 」 g 図2「 [図:0001432530000002.jpg] 」 (イ) 前記a~eの特に下線部の記載及びf~gの図面の記載からすれば、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「血管内に入れられるIVUSカテーテル102であって、 遠位端にある超音波スキャナアセンブリ110を含み、 超音波スキャナアセンブリ110が、ドライバ及びマルチプレクサアレイ208とエコー増幅器212とを含む、 IVUSカテーテル102。」 イ 引用文献2 (ア) 同じく原査定に引用され、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特表2001-520565号公報(平成13年10月30日国内公表。以下「引用文献2」という。)には、次の記載がある。 a 第7ページ第6行~第8行 「発明の分野 本発明は一般に医学診断及び処置のためのシステム、特にカテーテルの位置を検出できる医学カテーテルに関する。」 b 第21ページ第7行~第20行 「図1は本発明の好ましい態様に従うプローブシステム18を示す。システム18は、ヒトの身体に挿入するための細長いプローブ、好ましくはカテーテル20を具備する。下記の好ましい態様がカテーテルに関して説明されているが、本発明は他のタイプのプローブに同等に適用可能であることが理解されるであろう。 カテーテル20の遠位端22は、遠位チップ26に隣接した、診断的及び/又は治療的機能を遂行するための機能部分24を含む。機能部分24は、例えば、心臓の病気の区域の電気生理学的測定又は電気外科的切除のための電極(図には示されていない)を含んで成ることができる。替わるものとして又は追加的に、機能部分は他のタイプのセンサ又は光学的画像形成装置又は超音波画像形成装置を含んで成ることができる。 カテーテル20の遠位端22は、身体内のカテーテルの位置及び方位を決定するのに使用される信号を発生する装置28を更に含む。装置28は機能部分24に隣接しているのが好ましい。装置28、チップ26及び部分24の間に一定の位置的及び方位的関係があるのが好ましい。」 c 第22ページ第24行~第23ページ第6行 「本発明の好ましい態様に従うカテーテル20の遠位端22の詳細図を示す図2をここで参照する。装置28はPCT特許公開番号WO96/05768に記載のような3つの非同軸コイル60、62及び64を含んで成る。PCT特許公開番号WO96/05768の開示は参照により本明細書に組み込まれる。この装置は外部から印加された磁界に関する6次元(six-dimensions)の位置及び方位情報の連続的な発生をイネーブルする。コイル60、62及び64はそれぞれの軸線66、68及び70を有し、これらは好ましくはそれぞれ図2に示されたように直行カーテシアン軸(orthogonal Cartesian axes)Z、X及びYを規定する。図2においてZ軸はカテーテルの長さの軸に平行であり、X軸及びY軸はそれに垂直な面を規定する。コイルは各々お互いに関して一定の位置及び方位を有する。」 d 第26ページ第23行~第27ページ第2行 「レセプタクル33は好ましくはコイルワイヤ72により運ばれた位置及び方位信号を増幅する1個以上の増幅器80を含んで成る。これらの信号は一般に非常に弱く、それ故信号を生成するコイル60、62及び64にできるかぎり近くに増幅器80を配置することが重要である。しかしながら、増幅器80をカテーテル20内に配置しないことが有利である。何故ならば増幅器80はカテーテルのコスト及び複雑性をはなはだしく増加させるからである。好ましくは、レセプタクル33は更に、増幅器80からのアナログ信号をディジタル形態に変換する1個以上のアナログーディジタル(A/D)変換器82を含んで成る。」 e 図1「 [図:0001432530000003.jpg] 」 f 図2「 [図:0001432530000004.jpg] 」 (3) 引用発明との対比 ア 本件補正発明と引用発明とを対比する。 (ア) 引用発明の「IVUSカテーテル102」は、血管内に入れられるものであるから、本件補正発明の「血管内カテーテル」に相当する。 (イ) 引用発明の「IVUSカテーテル102」は、遠位端に超音波スキャナアセンブリ110を有するから、「遠位部分を有するカテーテルシャフト」を備えることは自明である。 (ウ) 引用発明の「超音波スキャナアセンブリ110」は、ドライバ及びマルチプレクサアレイ208とエコー増幅器212という複数の電子部品を含み、アセンブリとしたものであるから、本件補正発明の「集積電子パッケージ」に相当する。 前記(イ)のように、引用発明の「超音波スキャナアセンブリ110」は、IVUSカテーテル102の遠位端にある。 前記(2)ア(ア)gの図2の記載から、符号208が付された「エミッタドライバ及びマルチプレクサスイッチ」が「超音波トランスデューサ210」に接続されることが看取され、前記(2)ア(ア)dの記載から、「ドライバ及びマルチプレクサアレイ」に符号208が付されるとともに、高電圧信号が高電力ドライバ回路にDC電圧を供給し、高電力ドライバ回路が、送信モードにあるときに超音波トランスデューサ210に給電することから、引用発明の「ドライバ及びマルチプレクサアレイ208」は、送信モードにあるときに超音波トランスデューサ210に給電し、当然に駆動する。また、前記(2)ア(ア)aの記載から超音波トランスデューサが画像化のための素子として機能する。そうすると、引用発明の「ドライバ及びマルチプレクサアレイ208」は、本件補正発明の「電源装置」、「マルチプレクサ」及び「画像化素子ドライバ」に相当する。 前記(2)ア(ア)eの記載から、エコー増幅器212の出力はPIM+/-対に連結されてPIM104へと送信され、また、前記(2)ア(ア)cの記載から、PIM104はエコー信号をIUVSコンソール106に転送する前にデータの増幅、フィルタリング、および/または集約を実施する。そのため、引用発明の「エコー増幅器212」は、PIM104が増幅等を実施する前に増幅を行うから、本件補正発明の「プリアンプ」に相当する。 してみれば、引用発明の「遠位端にある超音波スキャナアセンブリ110を含み、超音波スキャナアセンブリ110が、ドライバ及びマルチプレクサアレイ208とエコー増幅器212とを含む」ことは、本件補正発明の「前記カテーテルシャフトの前記遠位部分内に配置された集積電子パッケージであって、電源装置とプリアンプとマルチプレクサと画像化素子ドライバとを備える前記集積電子パッケージと、を備え」ることに相当する。 イ 以上のことから、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。 [一致点] 「血管内カテーテルであって、 遠位部分を有するカテーテルシャフトと、 前記カテーテルシャフトの前記遠位部分内に配置された集積電子パッケージであって、電源装置とプリアンプとマルチプレクサと画像化素子ドライバとを備える前記集積電子パッケージと、 を備える、 血管内カテーテル。」 [相違点] 本件補正発明は、「前記カテーテルシャフトの前記遠位部分内に配置された複数の磁気位置特定要素」を備え、「前記複数の磁気位置特定要素は、前記カテーテルシャフトの長手方向において、前記集積電子パッケージと同じ位置に配置されている」のに対し、引用発明は、そのような特定がない点。 (4) 判断 ア 以下、相違点について検討する。 前記(2)イ(ア)a~dの特に下線部の記載及びe~fの図面の記載からすれば、引用文献2には、次の技術(以下「引用文献2記載の技術」という。)が記載されていると認められる。 「カテーテル20の遠位端22が、機能部分24及び装置28を含み、 機能部分24(画像化を行う限りにおいて本件補正発明の「集積電子パッケージ」に相当。)が超音波画像形成装置を含み、 装置28が3つの非同軸コイル60、62及び64(本件補正発明の「複数の磁気位置特定要素」に相当。)を含み、身体内のカテーテルの位置及び方位を決定するのに使用される信号を発生すること。」 引用発明及び引用文献2記載の技術は、いずれも身体内で使用する超音波画像形成装置を備えるカテーテルの技術分野に属するものである。そして、一般に身体内で使用するカテーテルにおいては、カテーテルの位置は外部から観察できないから、身体内のカテーテルの位置及び方位を決定することは、引用発明においても当然考慮すべき内在する課題である。 そうすると、引用発明において、引用文献2記載の技術を適用し、複数の磁気位置特定要素を設けることは、当業者が容易になし得た事項である。そして、引用発明の「超音波スキャナアセンブリ110」は、カテーテルシャフトの遠位部分内に配置されるから、引用発明において、引用文献2記載の技術を適用し、前記相違点に係る本件補正発明の事項とすることは、当業者にとって容易である。 また、本件補正発明の作用効果は、引用発明及び引用文献2記載の技術から当業者が予測しうる程度のものであって、格別のものとはいえない。 イ なお、請求人は、審判請求書において、「引用文献2は、複数の磁気位置特定要素を増幅器80とともにカテーテルシャフトの遠位部分内に配置することを否定している」と主張する。 しかし、引用文献2に記載のものにおいて、3つの非同軸コイル60、62及び64をカテーテル20の遠位端22に配置しなければ、カテーテル20の位置を決定し得ないことから、3つの非同軸コイル60、62及び64をカテーテル20の遠位端22に配置していることは明らかである。また、前記(2)イ(ア)dの記載のように、引用文献2には、カテーテルのコスト及び複雑性をはなはだしく増加させるにせよ、信号が一般に非常が弱く、それ故信号を生成するコイル60、62及び64とできるかぎり近くに増幅器80を配置することが重要である旨記載されているところ、引用文献2に接した当業者は増幅器80とともにコイル60、62及び64をカテーテル20の遠位端に配置することの重要性を当然に認識する。 そうすると、引用文献2は、複数の磁気位置特定要素を増幅器80とともにカテーテルシャフトの遠位部分内に配置することを否定しているとはいえず、請求人の前記主張は採用できない。 ウ したがって、本件補正発明は、引用発明及び引用文献2記載の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 3 本件補正についてのむすび よって、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 令和 6年 4月18日にされた手続補正は、前記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和 5年12月 4日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~20に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1~20に係る発明は、本願の優先権主張の日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された事項に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 引用文献1:特表2016-501678号公報 引用文献2:特表2001-520565号公報 3 引用文献 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1~2及びその記載事項は、前記第2の[理由]2(2)に記載したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、「前記複数の磁気位置特定要素は、前記カテーテルシャフトの長手方向において、前記集積電子パッケージと同じ位置に配置されている」という限定事項を削除したものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由]2(3)、(4)に記載したとおり、引用発明及び引用文献2記載の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由で引用発明及び引用文献2記載の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2024-006634

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