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特許拒絶査定不服審判

2024-006444

内視鏡システム、及び内視鏡システムの作動方法

審判番号
2024-006444
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2022-505874
請求日
2024年04月16日
審決日
2025年06月09日
公報発行日
2025年08月29日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】富士フイルム株式会社
  • 【請求人代理人】弁理士法人小林国際特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 宮澤 浩
  • 審判官 藏田 敦之
  • 審判官 ▲高▼見 重雄
分類
P18 .121-Z (A61B) / P18 .55 -Z (A61B) / P18 .536-Z (A61B) / P18 .575-Z (A61B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第5項、特許法第36条第4項第1号、特許法第17条の2第6項、特許法第159条、特許法第29条、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2022-505874「内視鏡システム、及び内視鏡システムの作動方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 9月16日国際公開、WO2021/182048〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2021年(令和 3年) 2月17日(優先権主張 令和2年 3月13日)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。 令和 4年 9月21日 :手続補正書の提出 令和 5年10月11日付け:拒絶理由通知書 令和 5年11月16日 :意見書、手続補正書の提出 令和 6年 1月23日付け:拒絶査定 令和 6年 4月16日 :審判請求書、手続補正書の提出 令和 6年 5月 7日 :手続補正書(方式)の提出 第2 令和 6年 4月16日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和 6年 4月16日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正について(補正の内容) 本件補正は、特許請求の範囲の請求項1を以下のように補正するものである(下線部は補正箇所を示す。)。 (1)本件補正前 「互いに異なる波長帯域の光を発光する複数の半導体光源と、 複数の前記半導体光源の光強度比の組み合わせが互いに異なる複数種類の照明光のそれぞれを発光する制御を行う光源用プロセッサと、 画像用プロセッサとを備え、 前記画像用プロセッサは、 前記複数種類の照明光が含む第1照明光と第2照明光とにより照明された観察対象を撮影して得られる第1画像と第2画像とをフレーム毎に取得し、 取得した複数の前記第1画像と複数の前記第2画像とのそれぞれから選択した前記第1画像と前記第2画像とを保存する画像保存処理を行い、 前記画像保存処理を開始させるための処理開始操作が行われた際に、前記画像保存処理のために、前記処理開始操作が行われた時刻を含む対象期間を設定し、前記対象期間に取得した複数の前記第1画像と複数の前記第2画像とのそれぞれから、予め設定した選択条件を満たす前記第1画像と前記第2画像とを選択し、 前記光源用プロセッサは、 前記対象期間に、発光中の照明光の切替が無い場合には、1回、発光中の前記第1照明光及び前記第2照明光のうちの一方を他方に切り替えて発光する内視鏡システム。」 (2)本件補正後 「互いに異なる波長帯域の光を発光する複数の半導体光源と、 複数の前記半導体光源の光強度比の組み合わせが互いに異なる複数種類の照明光のそれぞれを発光する制御を行う光源用プロセッサと、 画像用プロセッサとを備え、 前記画像用プロセッサは、 前記複数種類の照明光が含む第1照明光と第2照明光とにより照明された観察対象を撮影して得られる第1画像と第2画像とをフレーム毎に取得し、 取得した複数の前記第1画像と複数の前記第2画像とのそれぞれから選択した前記第1画像と前記第2画像とを保存する画像保存処理を行い、 前記画像保存処理を開始させるための処理開始操作が行われた際に、前記画像保存処理のために、前記処理開始操作が行われた時刻を含む対象期間を設定し、前記対象期間に取得した複数の前記第1画像と複数の前記第2画像とのそれぞれから、予め設定した選択条件を満たす前記第1画像と前記第2画像とを選択し、 前記光源用プロセッサは、 前記第1照明光を続けて発光する第1期間と前記第2照明光を続けて発光する第2期間とを交互に繰り返すマルチ観察モードにおいては、前記対象期間では、前記第1期間と前記第2期間を交互に繰り返すことを停止し、且つ、1回、発光中の前記第1照明光及び前記第2照明光のうちの一方を他方に切り替えて発光し、 前記第1照明光と前記第2照明光のいずれかを発光するマルチ観察モード以外のモードにおいては、前記対象期間では、1回、発光中の前記第1照明光及び前記第2照明光のうちの一方を他方に切り替えて発光し、前記1回の発光の切り替えが行われた場合は、前記発光の切り替えを行わない内視鏡システム。」 2 補正の適否 (1)新規事項の追加について ア 当初明細書等に記載された事項 本願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、これらを「当初明細書等)という。)には、マルチ観察モードにおける、第1期間、第2期間の長さ及び対象期間について、以下の記載がある(下線は、当審で付した。以下同じ。)。 (ア)「[0036] 光源用プロセッサ21は、マルチ観察モードに設定されている場合には、特定の種類の照明光、例えば、第1照明光を続けて発光する第1期間と、第2照明光を続けて発光する第2期間とを交互に繰り返す。光源用プロセッサ21によるマルチ観察モードにおける発光制御を具体的に説明すると、第1照明光を発光する第1期間の後、第2照明光を発光する第2期間となり、その後再び第1期間となり、この周囲を繰り返す。本実施形態では、第1期間と第2期間とは、それぞれ20フレームである。」 (イ)「[0040] また、光源用プロセッサ21は、画像保存処理を開始させるための処理開始操作が行われた際に、処理開始操作が行われた時刻を含む対象期間に、発光中の第1照明光及び第2照明光のうちの一方を他方に切り替えて発光する制御を行う。したがって、対象期間において、照明光は少なくとも1回切り替わる。例えば、第1特殊観察モードにおいて画像保存処理を行った場合、光源用プロセッサ21は、対象期間中に発光中の第1照明光を第2照明光へ切り替える。第2特殊観察モードでは、対象期間中に発光中の第2照明光を第1照明光へ切り替える。また、マルチ観察モードでは、第1照明光を発光中の場合、第2照明光に切り替え、また、第2照明光を発光中の場合、第1照明光に切り替える。ただし、対象期間にマルチ観察モードとしての周期的な照明光の切り替えがあった場合は、さらに照明光を切り替えなくてよい。光源用プロセッサ21を以上のように構成することにより、複数種類の静止画を1回の指示により保存する。」 (ウ)「[0077] なお、光源用プロセッサ21は、第1照明光と第2照明光との発光を切り替えた時刻から始まる予め設定した期間の後に処理開始操作が行われた場合、処理開始操作前に発光していた第1照明光及び第2照明光のうちの一方を他方に切り替えて発光する制御を行ってもよい。第1照明光と第2照明光との発光を切り替えた時刻から始まる予め設定した期間を、切替後期間とする。第1照明光と第2照明光との発光の切り替えは、ユーザが観察モードを切り替えたことによるものでも、マルチ観察モードにおいて光源用プロセッサ21が周期的に照明光を切り替えたことによるものでも、理由は問わないが、照明光の発光を切り替えた時刻から始まる切替後期間の経過後に処理開始操作が行われた場合は、光源用プロセッサ21が処理開始操作により照明光を切り替えて発光する。したがって、この場合の対象期間taは、処理開始操作を基準として設定すればよい。 [0078] 具体的には、図17に示すように、時刻t3に第2照明光から第1照明光に切り替わった場合、時刻t3に切替後期間tbが始まり、例えば、切替後期間tbが3フレームであるため、時刻t1に切替後期間tbが終了する。静止画記録指示の時刻tfは、切替後期間tbが終了する時刻t1の経過後であるため、光源用プロセッサ21は、画像保存処理の処理開始操作前に発光していた第1照明光を、静止画記録指示により第2照明光に切り替えて発光する制御を行う。切替後期間tbは、例えば、対象期間taに、1つの種類の照明光に対して取得する内視鏡画像の個数に対応するフレーム数と同じかそれより長い期間とすることが好ましい。図17の場合では、対象期間taに1つの種類の照明光に対して取得する内視鏡画像の個数は3つであるため、切替後期間tbは3フレームとする。上記構成により、対応期間taにおいて照明光の切り替えが行われるため、選択対象とする第1画像及び第2画像とを、より時間差が少ないものとすることができる。 [0079] また、光源用プロセッサ21は、対象期間taが経過した際に、処理開始操作後に発光していた第1照明光及び第2照明光のうちの一方を他方に切り替えて発光する制御を行ってもよい。具体的には、図18に示すように、処理開始操作が静止画記録指示であるため、光源用プロセッサ21は、静止画記録指示後に発光していた第2照明光を、対象期間taの終点である時刻t2が経過した際に、静止画記録指示前に発光していた第1照明光に切り替えて発光する制御を行う。なお、対象期間taは、画像用プロセッサが、予め設定した複数個の第1画像と第2画像とをそれぞれ取得する期間であってもよいし、選択条件を満たす第1画像と第2画像とを取得する期間であってもよい。」 (エ)「[0084] また、光源用プロセッサ21は、第1照明光と第2照明光との発光を切り替えた時刻から始まる予め設定した期間に処理開始操作が行われた場合、処理開始操作前に発光していた第1照明光及び第2照明光のうちの一方を処理開始操作後も発光する制御を行ってもよい。すなわち、切替後期間tbの期間内に処理開始操作が行われた場合は、処理開始操作に伴って照明光の切替をせず、処理開始操作の際に発光していた照明光を延長する。この場合の対象期間taは、切替前の照明光の発光期間を含めればよい。 [0085] 具体的には、図20に示すように、光源用プロセッサ21が、例えば、マルチ観察モードにおける周期的な照明光の切り替えにより、時刻t4に照明光の切替を行った場合、時刻tfに静止画記録指示を行うと、切替後期間tbが時刻t4から時刻t2までの3フレームの期間に設定されているので、静止画記録指示が切替後期間tbの期間内に行われることになる。この場合は、光源用プロセッサ21は、静止画記録指示があっても照明光の切替を行わず、対象期間taは、時刻t4での照明光の切替を基準に設定する。したがって、保存制御部61は、対象期間taを、照明光の切替前の期間を含め、時刻t1から時刻t2と設定する。切替後期間tbは、上記したのと同様であり、3フレームとする。 [0086] 上記構成により、選択対象とする第1画像及び第2画像とを、より確実に時間差が少ないものとすることができる上、頻繁に照明光が切り替わることによるディスプレイ18に表示する画像のちらつきを抑え、光過敏の問題の発生を抑えることができる。」 (オ)「[0087] さらに、光源用プロセッサ21は、第1照明光と第2照明光との発光を切り替えた時刻から始まる予め設定した期間、すなわち、切替後期間tbが経過した後に、処理開始操作の際に発光していた第1照明光及び第2照明光のうちの一方を他方にに切り替えて発光する制御を行ってもよい。この場合の対象期間taは、第1照明光と第2照明光との発光を切り替えた時刻を基準として設定すればよい。 [0088] 具体的には、図21に示すように、画像保存処理の処理開始操作が静止画記録指示であるため、光源用プロセッサ21は、静止画記録指示の際に発光していた第2照明光を、第1照明光と第2照明光との発光を切り替えた時刻t4から始まる切替後期間tbが経過した時刻t2において、第1照明光と第2照明光との発光を切り替える前に発光していた第1照明光に切り替えて発光する制御を行う。切替後期間tbは、例えば、対象期間taに1種類の照明光に対して取得する内視鏡画像の個数に対応するフレーム数と同じかそれより長い期間とすることが好ましい。図21の場合では、対象期間taに1種類の照明光に対して取得する内視鏡画像の個数は3つであるため、切替後期間tbは3フレーム以上で長くすることが好ましい。したがって、図21の場合では、切替後期間tbを3フレームとした。」 (カ)「[0089] また、光源用プロセッサ21は、処理開始操作の時刻から始まる予め設定した期間、すなわち、処理開始操作後期間tcが経過した後に、処理開始操作の際に発光していた第1照明光及び第2照明光のうちの一方を他方にに切り替えて発光する制御を行ってもよい。この場合の対象期間taは、第1照明光と第2照明光との発光を切り替えた時刻を基準として設定すればよい。 [0090] 具体的には、図22に示すように、画像保存処理の処理開始操作が静止画記録指示であるため、光源用プロセッサ21は、静止画記録指示の際に発光していた第2照明光を、静止画記録指示の時刻tfから始まる処理開始操作後期間tcが経過した時刻t5において、第1照明光と第2照明光との発光を切り替える前に発光していた第1照明光に切り替えて発光する制御を行う。処理開始操作後期間tcは、例えば、対象期間taに1つの種類の照明光に対して取得する内視鏡画像の個数に対応するフレーム数と同じかそれより長い期間とすることが好ましい。図22の場合では、対象期間taに1つの種類の照明光に対して取得する内視鏡画像の個数は3つであるため、処理開始操作後期間tcはは3フレーム以上で長くすることが好ましい。したがって、図22の場合では、処理開始操作後期間tcを3フレームとした。 [0091] 上記構成により、例えば、マルチ観察モードで観察対象を観察している場合に、光源用プロセッサ21が静止画記録指示に関わらず自動的に照明光を切り替える場合であっても、頻繁に照明光が切り替わることによるディスプレイ18に表示する画像のちらつきを抑え、光過敏の問題の発生を抑えることができる。さらに、静止画記録指示を1回行うことにより、選択対象とする第1画像及び第2画像との異なる種類の静止画を、より確実に時間差が少ない状態で得ることができる。したがって、ユーザは、例えば、観察しているマルチ観察モードでの観察を続けながら、選択対象とする第1画像及び第2画像との異なる種類の静止画を、より確実に適切な状態で得ることができる。」 (キ)「[0107] 図26に示すように、マルチ観察モードにおいて、光源用プロセッサ21は、静止画記録指示の時刻tf1により、第1照明光を第2照明光に切り替え、対象期間ta1の終点である時刻t2が経過した際に、静止画記録指示前に発光していた第1照明光に切り替えて発光する。そして、光源用プロセッサ21の周期的な照明光の切替により、時刻t6において、第1照明光から第2照明光に切り替えられる。静止画記録指示の時刻tf2により、第2照明光を第1照明光に切り替え、対象期間ta2の終点である時刻t8が経過した際に、静止画記録指示前に発光していた第2照明光に切り替えて発光する。 [0108] 表示制御部57は、マルチ観察モードにおいて、照明光が第1照明光である期間は、第1画像をディスプレイ18に表示する。そして、静止画記録指示の時刻tf1により照明光が第1照明光から第2照明光に切り替わるが、対象期間ta1において第1画像を表示し続ける。対象期間ta1において表示する第1画像は、静止画記録指示により保存された第1画像a2とする。その後、照明光が第2照明光である期間は、第2画像をディスプレイ18に表示する。そして、静止画記録指示の時刻tf2により照明光が第1照明光から第2照明光に切り替わるが、対象期間ta2において第2画像を表示し続ける。 [0109] 対象期間ta2において表示する第2画像は、静止画記録指示により保存された第2画像b7とする。なお、対象期間ta1において表示する第1画像は、静止画記録指示の時刻tf1により照明光が第1照明光から第2照明光に切り替わる直前の第1画像である第1画像a4を延長して表示してもよいし、その他の第1画像を表示してもよい。また、保存された第1画像a2に加えて、保存された第2画像b2を、例えば並列して表示してもよい。また、対象期間ta2において表示する第2画像は、静止画記録指示の時刻tf2により照明光が第2照明光から第1照明光に切り替わる直前の第2画像である第2画像b7を延長して表示してもよいし、その他の第2画像を表示してもよい。また、保存された第2画像b7に加えて、保存された第1画像a6を、例えば並列して表示してもよい。」 (ク)図17 [図:0001425392000001.jpg] (ケ)図18 [図:0001425392000002.jpg] (コ)図20 [図:0001425392000003.jpg] (サ)図21 [図:0001425392000004.jpg] (シ)図22 [図:0001425392000005.jpg] (ス)図26 [図:0001425392000006.jpg] イ 当初明細書等の認定事項:当初明細書等に記載されたマルチ観察モードにおける対象期間及び照明光の切り替えについて 上記アによれば、当初明細書等には、第1照明光を続けて発光する第1期間と第2照明光を続けて発光する第2期間とを交互に繰り返すマルチ観察モードにおける対象期間、並びに、前記第1照明光及び前記第2照明光の切り替えについて、次の事項が開示されているものと認められる(括弧内に根拠とした箇所を示す。)。 (ア)第1照明光と第2照明光との発光を切り替えた時刻t3から始まる予め設定した期間(切替後期間tb)の後に処理開始操作(静止画記録指示)が行われた場合であって、対象期間taを、処理開始操作を基準として設定し、処理開始操作前に発光していた第1照明光及び第2照明光のうちの一方を他方に切り替えること(上記ア(イ)、(ウ)、(ク)、(ケ)) (イ)第1照明光と第2照明光との発光を切り替えた時刻t4から始まる予め設定した期間(切替後期間tb)内に処理開始操作(静止画記録指示)が行われた場合であって、対象期間taを、前記発光を切り替えた時刻t4を基準に、切替前(t4前)の期間を含めて設定し、処理開始操作に伴っての照明光の切替は行わず、処理開始操作の際に発光していた照明光を延長すること(上記ア(イ)、(エ)、(オ)、(コ)、(サ)) (ウ)上記ア(キ)及び(ス)には、第1照明光と第2照明光との発光を切り替えた時刻から始まる予め設定した期間(切替後期間tb)について言及、図示がないものの上記(ア)に準じた対象期間ta1、ta2及び照明光の切り替えが開示されているものと認められる。 (エ)上記ア(カ)及び(シ)には、第1照明光と第2照明光との発光を切り替えた時刻t4から始まる予め設定した期間(切替後期間tb)について言及、図示がないものの、上記(イ)に準じた対象期間ta及び処理開始操作の際に発光していた照明光の延長(処理開始操作に伴って照明光の切替をしないこと)が開示されているものと認められる。 ウ 本件補正後の請求項1に係る発明の技術的事項:マルチ観察モードにおける対象期間及び照明光の切り替えについて 上記1(2)の本件補正後の請求項1の記載によれば、対象期間とは、画像用プロセッサにより、画像保存処理を開始させるための処理開始操作が行われた際に、画像保存処理のために、前記処理開始操作が行われた時刻を含むように設定されるものであり、また、マルチ観察モードとは、第1照明光を続けて発光する第1期間と第2照明光を続けて発光する第2期間とを交互に繰り返すものであり、また、マルチ観察モードにおける前記対象期間では、光源用プロセッサにより、前記第1期間と前記第2期間を交互に繰り返すことを停止し、且つ、1回、発光中の前記第1照明光及び前記第2照明光のうちの一方を他方に切り替えて発光することが行われる。 よって、本件補正後の請求項1に係る発明のマルチ観察モードにおける対象期間は、画像用プロセッサにより、画像保存処理を開始させるための処理開始操作が行われた際に、画像保存処理のために、前記処理開始操作が行われた時刻を含むように設定されるものであり、当該対象期間における前記第1照明光及び前記第2照明光の切り替えは、第1照明光を続けて発光する第1期間と第2照明光を続けて発光する第2期間とを交互に繰り返すためのものは停止され(行われず)、且つ、当該対象期間において、1回、発光中の前記第1照明光及び前記第2照明光のうちの一方を他方に切り替えることが行われるものと認められる。 エ 判断:本件補正後の請求項1に係る発明のマルチ観察モードにおける対象期間及び照明光の切り替えと、当初明細書等に記載されたマルチ観察モードにおける対象期間及び照明光の切り替えについて (ア)上記イ(ア)及び(ウ)に記載したとおり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面には、設定された対象期間において、処理開始操作前に発光していた第1照明光及び第2照明光のうちの一方を他方に切り替えることが開示されているが、第1照明光を続けて発光する第1期間と第2照明光を続けて発光する第2期間とを交互に繰り返すために行われる照明光の切り替えを停止ことが開示されていたとはいえない。 (イ)上記イ(イ)及び(エ)に記載したとおり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面には、対象期間taが、時刻tfの処理開始操作(静止画記録指示)の前に行われた、時刻t4の第1照明光と第2照明光との発光の切り替えを含むことが開示されており、この発光の切り替えは、マルチ観察モードにおける「前記第1期間と前記第2期間を交互に繰り返すこと」に相当する。よって、上記イ(イ)及び(エ)の対象期間は、「前記第1期間と前記第2期間を交互に繰り返すこと」を含むものであり、「前記対象期間では、前記第1期間と前記第2期間を交互に繰り返すことを停止」しないものと認められる。 (ウ)上記(ア)及び(イ)から、上記アの記載事項は、「前記光源用プロセッサは、前記第1照明光を続けて発光する第1期間と前記第2照明光を続けて発光する第2期間とを交互に繰り返すマルチ観察モードにおいては、前記対象期間では、前記第1期間と前記第2期間を交互に繰り返すことを停止」することを開示するものとは認められない。 (エ)「前記光源用プロセッサは、前記第1照明光を続けて発光する第1期間と前記第2照明光を続けて発光する第2期間とを交互に繰り返すマルチ観察モードにおいては、前記対象期間では、前記第1期間と前記第2期間を交互に繰り返すことを停止」することは、当初明細書等の上記アの記載事項以外に開示されているものとも、当初明細書等の記載から当業者にとって自明のことであるとも認められない。 (オ)してみれば、本件補正の「前記光源用プロセッサは、前記第1照明光を続けて発光する第1期間と前記第2照明光を続けて発光する第2期間とを交互に繰り返すマルチ観察モードにおいては、前記対象期間では、前記第1期間と前記第2期間を交互に繰り返すことを停止」する特定は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものである。したがって、本件補正は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてするものとはいえず、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。 (2)独立特許要件について ア 本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「光源用プロセッサ」について、本件補正前、「前記対象期間に、発光中の照明光の切替が無い場合には、1回、発光中の前記第1照明光及び前記第2照明光のうちの一方を他方に切り替えて発光する」としていたものを、本件補正後、「前記第1照明光を続けて発光する第1期間と前記第2照明光を続けて発光する第2期間とを交互に繰り返すマルチ観察モードにおいては、前記対象期間では、前記第1期間と前記第2期間を交互に繰り返すことを停止し、且つ、1回、発光中の前記第1照明光及び前記第2照明光のうちの一方を他方に切り替えて発光し、 前記第1照明光と前記第2照明光のいずれかを発光するマルチ観察モード以外のモードにおいては、前記対象期間では、1回、発光中の前記第1照明光及び前記第2照明光のうちの一方を他方に切り替えて発光し、前記1回の発光の切り替えが行われた場合は、前記発光の切り替えを行わない」とすること、すなわち、「光源用プロセッサ」について限定を付加することを含むものであり、かつ、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。 イ 本件補正発明の光源用プロセッサは、「前記第1照明光を続けて発光する第1期間と前記第2照明光を続けて発光する第2期間とを交互に繰り返すマルチ観察モードにおいては、前記対象期間では、前記第1期間と前記第2期間を交互に繰り返すことを停止し、且つ、1回、発光中の前記第1照明光及び前記第2照明光のうちの一方を他方に切り替えて発光」するものである。 ウ 前記光源用プロセッサは、前記第1照明光を続けて発光する第1期間と前記第2照明光を続けて発光する第2期間とを交互に繰り返すマルチ観察モードにおいては、前記対象期間では、前記第1期間と前記第2期間を交互に繰り返すことを停止」することは、本願の発明の詳細な説明及び図面のいずれにも記載されておらず、かつ、このことは、本願の発明の詳細な説明及び図面の記載から当業者にとって自明のことであるとも認められない。 エ 本願の発明の詳細な説明には、上記(1)エ(イ)にて述べたように、マルチ観察モードにおける対象期間taであって、時刻tfの処理開始操作(静止画記録指示)の前に行われた、時刻(t4)の第1照明光と第2照明光との発光の切り替えを含んでおり、「前記対象期間では、前記第1期間と前記第2期間を交互に繰り返すことを停止」しないものが開示されている。 そもそも、既に行われた第1期間と第2期間とを交互に繰り返すための時刻t4の照明光の切り替えを含むように対象期間taを定めて後、過去に遡って照明光の切り替えを停止すること(時刻t4の照明光の切り替えをなかったことにすること)は、現実には不可能である。 オ 以上のとおりであるから、本願の発明の詳細な説明の記載は、「前記第1照明光を続けて発光する第1期間と前記第2照明光を続けて発光する第2期間とを交互に繰り返すマルチ観察モードにおいては、前記対象期間では、前記第1期間と前記第2期間を交互に繰り返すことを停止」することについて、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されたものでなく、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていないから、本件補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 (3)結び 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであり、また、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定にも違反する。したがって、特許法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記「補正の却下の決定の結論」のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 令和 6年 4月16日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和 5年11月16日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~16に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記「第2[理由]1(1)」に記載のとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1~16に係る発明は、本願の優先権主張の日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1~4に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 引用文献1:国際公開第2019/130964号 引用文献2:国際公開第2019/093256号 引用文献3:特開2015-47402号公報 引用文献4:特開2013-188364号公報 3 引用文献の記載事項 (1)引用文献1 ア 記載事項 原査定の拒絶の理由で引用された、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である国際公開第2019/130964号(令和 元年 7月 4日国際公開。以下「引用文献1」という。)には、次の事項が記載されている。 (ア)「技術分野 [0001] 本発明は内視鏡画像取得システム及び方法に係り、特に内視鏡画像を診断する学習アルゴリズムを学習させるための学習用画像を収集する技術に関する。 背景技術 [0002] 内視鏡画像上の病変をコンピュータによって自動検出又は自動鑑別して診断するAI(Artificial Intelligence)技術が知られている。特に、ニューラルネットワーク等の学習アルゴリズムを用いることで、精度の高い診断が可能となる。その一方、学習アルゴリズムの開発においては、学習用画像の収集が必須となる。 [0003] また、内視鏡診断では、通常行われる白色光観察の他にNBI(Narrow Band imaging、登録商標)、BLI(Blue Laser Imaging、登録商標)等の特殊光観察も存在する。 [0004] これらの学習用画像を収集するためには、一つの病変に対して複数の光源モードで画像を撮影する必要がある。このため、医師は、病変を発見する度に光源の切替操作と撮影操作とを繰り返すことになる。その結果、医師の負担が増加し、検査時間が増加するという問題点があった。 [0005] このような問題点に対し、特許文献1には、光源部からの帯域光の被写体における反射光を撮影する反射光撮像部と、2以上の帯域光のそれぞれにより発生する異なる帯域の複数の蛍光を撮影する蛍光撮像部と、を備え、反射光と蛍光とを同時に撮影する蛍光観察装置が開示されている。 先行技術文献 特許文献 [0006] 特開2016-202411号公報 発明の概要 発明が解決しようとする課題 [0007] 特許文献1に記載の蛍光観察装置は、1フレーム毎に異なる帯域の蛍光画像を表示部に表示させている。しかしながら、表示上の色が頻繁に変化すると、医師による画像観察が困難になるという問題点があった。 [0008] 本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、画像を収集する際に画像観察を容易にする内視鏡画像取得システム及び方法を提供することを目的とする。 課題を解決するための手段 [0009] 上記目的を達成するために内視鏡画像取得システムの一の態様は、患者の体腔内の被観察領域に照射光を照射する照射部と、被観察領域からの戻り光を受光して被観察領域の画像を撮影する撮影部と、撮影した画像を表示部に順次表示させる表示制御部と、照射光又は戻り光の波長パターンを変更する波長パターン変更部と、画像の取得指示を受け付ける受付部と、観察用の波長パターンの画像を一定のフレームレートで撮影させる撮影制御部であって、取得指示を受け付けると、それぞれ異なる複数の波長パターンの画像を順次撮影させる撮影制御部と、それぞれ異なる複数の波長パターンの画像を記憶部に記憶させる記憶制御部と、を備え、表示制御部は、観察用の波長パターン以外の波長パターンの画像を非表示とする内視鏡画像取得システムである。 [0010] 本態様によれば、観察用の波長パターンの画像を一定のフレームレートで撮影させ、取得指示を受け付けると、それぞれ異なる複数の波長パターンの画像を順次撮影させる際に、それぞれ異なる複数の波長パターンの画像を記憶部に記憶させ、観察用の波長パターン以外の波長パターンの画像を非表示とするようにしたので、それぞれ異なる複数の波長パターンの画像を収集することができ、かつ画像観察を容易にすることができる。 [0011] 表示制御部は、観察用の波長パターン以外の波長パターンの画像の表示に代えて、すでに撮影した観察用の波長パターンの画像のうち最新の画像又は最新の画像よりも一定数以前に撮影した画像を表示することが好ましい。これにより、観察用の波長パターンの画像のみが表示されるので、画像観察を容易にすることができる。」 (イ)「[0030] <第1の実施形態> 図1は、第1の実施形態に係る内視鏡システム10(内視鏡画像取得システムの一例)を示す外観図である。図1に示すように、内視鏡システム10は、内視鏡12、光源装置14、プロセッサ装置16、表示部18、及び入力部20を備えている。 [0031] 内視鏡12は、光源装置14と光学的に接続される。また、内視鏡12は、プロセッサ装置16と電気的に接続される。 [0032] 内視鏡12は、患者の体腔内に挿入される挿入部12A、挿入部12Aの基端部分に設けられた操作部12B、挿入部12Aの先端側に設けられた湾曲部12C及び先端部12Dを有している。 [0033] 操作部12Bには、アングルノブ12E及びモード切替スイッチ13Aが設けられている。また、操作部12Bには、取得指示入力部13B(図2参照)が設けられている。 [0034] アングルノブ12Eを操作することにより、湾曲部12Cが湾曲動作する。この湾曲動作によって先端部12Dが所望の方向に向けられる。 [0035] モード切替スイッチ13Aは、観察モードの切り替え操作に用いられる。内視鏡システム10は、照射光の波長パターンがそれぞれ異なる複数の観察モードを有している。医師は、モード切替スイッチ13Aを操作することにより、所望の観察モードに設定することができる。内視鏡システム10は、波長パターンと画像処理との組み合わせによって、設定された観察モードに応じた画像を生成して表示部18に表示する。 [0036] 内視鏡システム10は、所望の位置の静止画を取得することができる。本実施形態では、診断レポートの作成に用いる診断用画像と、学習アルゴリズムを学習させる学習用画像を取得することができる。取得指示入力部13B(受付部の一例)は、医師が静止画の取得指示を入力するためのインターフェースである。取得指示入力部13Bは、静止画の取得指示を受け付ける。取得指示入力部13Bにおいて受け付けた静止画の取得指示は、プロセッサ装置16に入力される。 [0037] プロセッサ装置16は、表示部18及び入力部20と電気的に接続される。表示部18は、観察対象の画像及び観察対象の画像に関連する情報等を出力表示する表示デバイスである。入力部20は、内視鏡システム10の機能設定及び各種指示等の入力操作を受け付けるユーザインターフェースとして機能する。 (ウ)[0038] 図2は、内視鏡システム10の機能を示すブロック図である。図2に示すように、光源装置14は、第1レーザ光源22A、第2レーザ光源22B、及び光源制御部26を備えている。 [0039] 第1レーザ光源22Aは、中心波長445nmの青色レーザ光源である。第2レーザ光源22Bは、中心波長405nmの紫色レーザ光源である。第1レーザ光源22A及び第2レーザ光源22Bとして、レーザダイオードを用いることができる。第1レーザ光源22A及び第2レーザ光源22Bの発光は、光源制御部26により個別に制御される。第1レーザ光源22Aと第2レーザ光源22Bとの発光強度比は変更自在になっている。 [0040] また、図2に示すように、内視鏡12は、光ファイバ28A、光ファイバ28B、蛍光体30、拡散部材32、撮像レンズ34、撮像素子38、及びアナログデジタル変換部40を備えている。 [0041] 第1レーザ光源22A、第2レーザ光源22B、光ファイバ28A、光ファイバ28B、蛍光体30、及び拡散部材32によって、照射部が構成される。 [0042] 第1レーザ光源22Aから出射されるレーザ光は、光ファイバ28Aによって、内視鏡12の先端部12Dに配置された蛍光体30に照射される。蛍光体30は、第1レーザ光源22Aからの青色レーザ光の一部を吸収して緑色~黄色に励起発光する複数種の蛍光体を含んで構成される。これにより、蛍光体30から出射する光は、第1レーザ光源22Aからの青色レーザ光を励起光とする緑色~黄色の励起光L11と、蛍光体30に吸収されずに透過した青色のレーザ光L12とが合わされて、白色(疑似白色)の光L1となる。 [0043] なお、ここで言う白色光とは、厳密に可視光の全ての波長成分を含むものに限らない。例えば、R、G、B等、特定の波長帯域の光を含むものであればよく、緑色から赤色にかけての波長成分を含む光、又は青色から緑色にかけての波長成分を含む光等も広義に含むものとする。 [0044] 一方、第2レーザ光源22Bから出射されるレーザ光は、光ファイバ28Bによって、内視鏡12の先端部12Dに配置された拡散部材32に照射される。拡散部材32は、透光性を有する樹脂材料等を用いることができる。拡散部材32から出射する光は、照射領域内において光量が均一化された狭帯域波長の光L2となる。 [0045] 図3は、光L1及び光L2の強度分布を示すグラフである。光源制御部26(波長パターン変更部の一例)は、第1レーザ光源22Aと第2レーザ光源22Bとの光量比を変更する。これにより、光L1と光L2との光量比が変更され、光L1と光L2との合成光である照射光L0の波長パターンが変更される。したがって、それぞれ特性の異なる照射光L0を照射することができる。 [0046] 前述のように、内視鏡システム10は、複数の観察モードを有している。ここでは、モードMA、モードMB、及びモードMCの3つの観察モードを有するものとする。なお、観察モードの数は3つに限定されるものではない。 [0047] モードMAにおける第1レーザ光源22Aの出射光と第2レーザ光源22Bの出射光との光量比は、1:0である。この光量比から生成される照射光L0の波長パターンを、波長パターンPAと呼ぶ。モードMAでは、白色照明画像を取得することができる。 [0048] モードMBにおける第1レーザ光源22Aの出射光と第2レーザ光源22Bの出射光との光量比は、1:4である。この光量比から生成される照射光L0の波長パターンを、波長パターンPBと呼ぶ。モードMBでは、生体組織表層の血管及び構造を強調した画像を取得することができる。 [0049] モードMCにおける第1レーザ光源22Aの出射光と第2レーザ光源22Bの出射光との光量比は、7:1である。この光量比から生成される照射光L0の波長パターンを、波長パターンPCと呼ぶ。モードMCでは、中遠景までの血管及び表面構造を強調した画像を取得することができる。」 [0050] なお、各波長パターンPA、PB、PCにおける照射光L0の光量は、それぞれ適宜調整される。」 (エ)「[0051] 図2の説明に戻り、撮像レンズ34、撮像素子38、及びアナログデジタル変換部40によって、撮影部が構成される。撮影部は、内視鏡12の先端部12Dに配置される。 [0052] 撮像レンズ34には、照射光L0の被観察領域からの反射光、及び/又は被観察領域からの自家蛍光、を含む戻り光が入射する。撮像レンズ34は、入射した光を撮像素子38に結像させる。撮像素子38は、受光した光に応じたアナログ信号を生成する。撮像素子38としては、CCD(Charge Coupled Device)型イメージセンサ、又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型イメージセンサが用いられる。撮像素子38から出力されるアナログ信号は、アナログデジタル変換部40によりデジタル信号に変換され、プロセッサ装置16に入力される。 [0053] また、図2に示すように、プロセッサ装置16は、撮影制御部42、画像処理部44、表示制御部48、記憶制御部58、及び記憶部60を備えている。 [0054] 取得指示入力部13Bにおいて受け付けた静止画の取得指示は、撮影制御部42に入力される。撮影制御部42は、光源装置14の光源制御部26、内視鏡12の撮像素子38及びアナログデジタル変換部40、プロセッサ装置16の画像処理部44を制御する。撮影制御部42は、内視鏡システム10による動画及び静止画の撮影を統括制御する。 [0055] 画像処理部44は、内視鏡12のアナログデジタル変換部40から入力されたデジタル信号に画像処理を施し、画像を示す画像データ(以下、画像と表記する)を生成する。画像処理部44は、撮影時の照射光の波長パターンに応じた画像処理を施す。 [0056] 表示制御部48は、画像処理部44によって生成された画像を表示部18に順次表示させる。 [0057] また、記憶制御部58は、静止画の取得指示に従って撮影された画像及び画像に関連する情報等を記憶部60に記憶させる。記憶部60は、例えばハードディスク等のストレージ装置である。なお、記憶部60は、プロセッサ装置16に内蔵されたものに限定されない。例えば、プロセッサ装置16に接続される不図示の外部記憶装置であってもよい。外部記憶装置は、ネットワークを介して接続されていてもよい。 [0058] このように構成された内視鏡システム10は、通常は一定のフレームレートで動画撮影を行い、撮影した動画を表示部18に表示する。また、取得指示入力部13Bから静止画の取得指示が入力されると、静止画を撮影し、記憶部60に記憶する。」 (オ)「[0059] <第1の実施形態> 内視鏡システム10における第1の実施形態に係る学習用画像収集方法について説明する。ここでは、静止画の取得指示に応じて、3つの波長パターンPA、PB、PCの照射光L0をそれぞれ照射して撮影した静止画を取得する。また、観察モードの照射光L0と同じ波長パターンの画像を診断用画像、観察モードの照射光L0とは異なる波長パターンの画像を学習用画像として記憶する。 [0060] 図4は、動画観察時における学習用画像収集方法(内視鏡画像取得方法の一例)の処理を示すフローチャートである。また、図5は、学習用画像収集方法の処理を説明するタイミングチャートである。図5において、時間TNから時間TN+1(N=0~15)までの時間は画像撮影のフレームレートを示し、それぞれ1/30秒である。 [0061] 動画観察を開始するためには、ステップS1において、医師が入力部20(波長パターン選択部の一例)を用いてモードMA、モードMB、及びモードMCの中から動画撮影用の観察モード(観察用の波長パターン)を選択する。ここでは、例としてモードMAを選択する。なお、動画撮影用の観察モードは、動画撮影中であっても適宜変更可能である。また、動画撮影用の観察モードは予め定められていてもよい。 [0062] 次に、患者の体腔内に内視鏡12の挿入部12Aを挿入する。内視鏡12の挿入後に動画撮影用の観察モードの選択を行ってもよい。 [0063] 続いて、ステップS2において、ステップS1で選択された観察モードによって動画の撮影及び表示を行う。即ち、光源制御部26は、第1レーザ光源22Aの出射光と第2レーザ光源22Bの出射光とを、ステップS1で選択された観察モードに対応する光量比に設定する。これにより、患者の体腔内の被観察領域に所望の波長パターンの照射光L0を照射する(照射工程の一例、波長パターン変更工程の一例)。 [0064] また、撮影制御部42は、撮像素子38、アナログデジタル変換部40、及び画像処理部44を制御し、被観察領域からの戻り光を受光した被観察領域の画像を取得する(撮影工程の一例)。また、表示制御部48は、画像処理部44において生成された画像を表示部18に表示する(表示制御工程の一例)。 [0065] 図5に示す例では、時間T0から時間T1までの間に画像VA1を撮影している。また、続く時間T1から時間T2までの間に画像VA1を表示し、かつ次の画像VA2を撮影している。さらに、続く時間T2から時間T3までの間に画像VA2を表示し、かつ次の画像VA3を撮影している。 [0066] このように、一定のフレームレートで画像を撮影する。また、撮影した画像を1フレーム分遅れたタイミングで表示部18に表示する。 [0067] 以下のステップS3~S13の処理は、ステップS2における動画撮影の割り込み処理として実行される。 [0068] ステップS3では、動画観察の終了指示が入力されたか否かを判定する。医師は、入力部20を用いて動画観察の終了指示を入力することができる。終了指示が入力された場合は、本フローチャートの処理を終了する。 [0069] 動画観察の終了指示が入力されない場合は、ステップS4に移行する。ステップS4では、撮影制御部42は、静止画取得指示が入力されたか否かを判定する。前述したように、医師は、取得指示入力部13Bから静止画の取得指示を入力することができる。取得指示の入力が無い場合は、ステップS2に戻り、同様の処理を繰り返す。即ち、動画撮影を継続する。また、静止画取得指示が入力されたと判断した場合は(受付工程の一例)、ステップS5に移行する。 [0070] ステップS5以降では、静止画の取得を行う。ここでは、波長パターンPAでの静止画を1枚撮影、波長パターンPBでの静止画を1枚撮影、波長パターンPCでの静止画を1枚撮影、の処理を3回繰り返して、計9枚の静止画を取得する場合について説明する。 [0071] 図5に示す例では、時間T2から時間T3までの間に、静止画取得指示が入力されている。この時間T2から時間T3までの間は、撮影制御部42により画像VA3を撮影している。したがって、次の撮影開始タイミングである時間T3から静止画の取得処理を開始する。 [0072] まず、ステップS5において、光源制御部26は、波長パターンを設定する。ここでは、1枚目の静止画は波長パターンPAの静止画である。したがって、光源制御部26は、第1レーザ光源22Aの出射光と第2レーザ光源22Bの出射光とを波長パターンPAの光量比に設定する。これにより、波長パターンPAの照射光L0を照射する。 [0073] 次に、ステップS6において、静止画の撮影を行う。即ち、撮影制御部42は、撮像素子38、アナログデジタル変換部40、及び画像処理部44を制御し、被観察領域の画像SA1を撮影する(撮影制御工程の一例)。また、表示制御部48は、この時点での最新の撮影画像である画像VA3を表示部18に表示する。 [0074] 続いて、ステップS7において、表示制御部48は、ステップS6で撮影した画像SA1がステップS1で選択した観察モードと同じ波長パターンの画像であるか否か、即ち画像SA1の照射光L0の波長パターンとステップS1で選択した観察モードの照射光L0の波長パターンとが同一であるか否かを判定する。ここでは、画像SA1は波長パターンPAの画像である。また、ステップS1で選択した観察モードはモードMAであり、モードMAの波長パターンはPAである。このように、両者の波長パターンが同一であるため、YES判定となり、ステップS8に移行する。 [0075] ステップS8では、表示制御部48は、ステップS6で撮影した画像SA1を表示画像に設定する。また、続くステップS9において、記憶制御部58は、画像SA1と画像SA1を撮影した際の照射光L0の波長パターンPAの情報とを関連付けて、記憶部60の診断用画像を記憶するための領域である第1の記憶領域に記憶させる(記憶制御工程の一例)。第1の記憶領域とは、例えば、記憶部60の複数のドライブのうちの1つのドライブ、又は複数のフォルダのうちの1つのフォルダである。 [0076] 次に、ステップS12において、静止画取得が終了したか否かを判定する。ここでは、まだ終了していないため、ステップS5に戻る。 [0077] ここでは、2枚目の静止画(モードMBでの1枚目の静止画)を時間T4から撮影する。即ち、ステップS5において、第1レーザ光源22Aの出射光と第2レーザ光源22Bの出射光とを波長パターンPBの光量比に設定する。そして、ステップS6において、画像SB1を撮影する。また、前回のステップS8において画像SA1を表示画像に設定したため、表示制御部48は、時間T4から画像SA1を表示部18に表示する。 [0078] 続いて、ステップS7において、表示制御部48は、ステップS6で撮影した画像SB1がステップS1で選択した観察モードと同じ波長パターンの画像であるか否か、即ち画像SB1の照射光L0の波長パターンとステップS1で選択した観察モードの照射光L0の波長パターンとが同一であるか否かを判定する。ここでは、画像SB1は波長パターンPBの画像である。また、ステップS1で選択した観察モードはモードMAであり、モードMAの波長パターンはPAである。このように、両者の波長パターンは異なるため、NO判定となり、ステップS10に移行する。 [0079] ステップS10では、表示制御部48は、ステップS6で撮影した画像SB1を非表示に設定する。また、続くステップS11において、記憶制御部58は、画像SB1と画像SB1を撮影した際の照射光L0の波長パターンPBの情報とを関連付けて、記憶部60の学習用画像を記憶するための領域である第2の記憶領域に記憶させる(記憶制御工程の一例)。第2の記憶領域とは、例えば、記憶部60の複数のドライブのうちの1つのドライブ、又は複数のフォルダのうちの1つのフォルダであり、第1の記憶領域とは異なる領域である。記憶部60を第1の記憶領域とし、記憶部60とは異なるストレージ装置を第2の記憶領域としてもよい。 [0080] 次に、ステップS12において、静止画取得が終了したか否かを判定する。ここでは、まだ終了していないため、ステップS5に戻る。 [0081] ここでは、3枚目の静止画(モードMCでの1枚目の静止画)を時間T5から撮影する。即ち、ステップS5において、第1レーザ光源22Aの出射光と第2レーザ光源22Bの出射光とを波長パターンPCの光量比に設定する。そして、ステップS6において、画像SC1を撮影する。 [0082] なお、前回のステップS10において画像SB1を非表示に設定したため、表示制御部48は、画像SB1は表示部18に表示しない。ここでは、画像SB1に代えて、時間T4から表示している画像SA1を引き続き表示部18に表示する。 [0083] 続いて、ステップS7において、表示制御部48は、ステップS6で撮影した画像SC1がステップS1で選択した観察モードと同じ波長パターンの画像であるか否か、即ち画像SC1の照射光L0の波長パターンとステップS1で選択した観察モードの照射光L0の波長パターンとが同一であるか否かを判定する。ここでは、画像SC1は波長パターンPCの画像である。また、ステップS1で選択した観察モードはモードMAであり、モードMAの波長パターンはPAである。このように、両者の波長パターンは異なるため、NO判定となり、ステップS10に移行する。 [0084] ステップS10では、表示制御部48は、画像SC1を非表示に設定する。また、続くステップS11において、記憶制御部58は、画像SC1と画像SC1を撮影した際の照射光L0の波長パターンPCの情報とを関連付けて、記憶部60の第2の記憶領域に記憶させる。 [0085] 次に、ステップS12において、静止画取得が終了したか否かを判定する。ここでは、まだ終了していないため、ステップS5に戻る。 [0086] 同様に、4枚目の静止画(モードMAでの2枚目の静止画)である画像SA2を時間T6から波長パターンPAの照射光L0で撮影する(ステップS5、S6)。また、前回のステップS10において画像SC1を非表示に設定したため、表示制御部48は、画像SC1は表示部18に表示しない。ここでは、画像SC1に代えて、時間T4から表示している画像SA1を引き続き表示部18に表示する。 [0087] ここでは、画像SA2はステップS1で選択した観察モードと同じ波長パターンの画像である。したがって、ステップS7においてYES判定となり、ステップS8に移行する。 [0088] ステップS8では、画像SA2を表示画像に設定する。また、ステップS9において、画像SA2と画像SA2を撮影した際の照射光L0の波長パターンPAの情報とを関連付けて、記憶部60の第1の記憶領域に記憶する。 [0089] 次に、ステップS12において、静止画取得が終了したか否かを判定する。ここでは、まだ終了していないため、ステップS5に戻る。 [0090] 同様に、5枚目の静止画(モードMBでの2枚目の静止画)である画像SB2を時間T7から波長パターンPBの照射光L0で撮影する(ステップS5、S6)。また、前回のステップS8において画像SA2を表示画像に設定したため、表示制御部48は、表示部18に画像SA2を表示する。 [0091] ここでは、画像SB2はステップS1で選択した観察モードと同じ波長パターンの画像ではない。したがって、ステップS7においてNO判定となり、ステップS10に移行する。 [0092] ステップS10では、表示制御部48は、画像SB2を非表示に設定する。また、続くステップS11において、記憶制御部58は、画像SB2と画像SB2を撮影した際の照射光L0の波長パターンPBの情報とを関連付けて、記憶部60の第2の記憶領域に記憶させる。 [0093] 次に、ステップS12において、静止画取得が終了したか否かを判定する。ここでは、まだ終了していないため、ステップS5に戻る。 [0094] 以下、6~9枚目の静止画、即ち波長パターンPCでの2枚目の静止画である画像SC2、波長パターンPAでの3枚目の静止画である画像SA3、波長パターンPBでの3枚目の静止画である画像SB3、波長パターンPCでの3枚目の静止画である画像SC3を順に撮影する。 [0095] 全ての静止画の撮影が終了すると、ステップS12において静止画取得が終了したと判断され、ステップS13に移行する。 [0096] ステップS13では、照射光L0の波長パターンをステップS1で選択された観察モードの波長パターンに戻す。ここでは、波長パターンPAに戻す。そして、ステップS2へ戻り、同様の処理を繰り返す。 [0097] なお、最後に撮影された画像SC3は、ステップS10において非表示と設定される。したがって、ステップS2へ戻って動画撮影を再開する際は、画像SC3は表示部18に表示しない。ここでは、画像SC3に代えて、時間T10から表示されている画像SA3を引き続き表示部18に表示させる。 [0098] なお、時間T13以降は、1フレーム前に撮影された画像が表示部18に表示される。 [0099] 以上のように学習用画像収集を行うことにより、学習用の静止画を撮影し、記憶することができる。また、選択された観察モードの照射光L0の波長パターンとは異なる波長パターンの静止画の表示タイミング(観察用の波長パターン以外の波長パターンの画像の表示タイミングの一例)において、選択された観察モードの照射光L0の波長パターンと同じ波長パターンの画像のうち最新の画像(すでに撮影した観察用の波長パターンの画像のうち最新の画像の一例)を表示することで、静止画取得中の表示色が動画撮影中の表示色と同じ色で一定となり、表示部18による観察が容易となる。」 (カ)「[0100] <第2の実施形態> 取得する静止画の取得順序及び取得枚数は、第1の実施形態で説明した例に限定されない。 [0101] 例えば、医師が入力部20を用いて取得枚数を指定してもよい。第1の実施形態では各波長パターンでの静止画を3枚ずつ取得したが、2枚ずつ、あるいは4枚以上ずつ取得することができる。このように、必要な枚数だけ撮影を行うことができる。 [0102] また、医師が入力部20(順序選択部の一例)を用いて取得順序を選択してもよい。第1の実施形態では、波長パターンPA、波長パターンPB、波長パターンPCの順に静止画を取得したが、例えば、波長パターンPB、波長パターンPC、波長パターンPAの順、波長パターンPC、波長パターンPA、波長パターンPBの順、波長パターンPC、波長パターンPB、波長パターンPAの順、等のように所望の順序で静止画を取得することができる。 [0103] また、同じ波長パターンの画像を複数枚連続して取得させてもよい。例えば、図6に示すタイミングチャートの例では、波長パターンPAでの静止画を連続3枚撮影、波長パターンPBでの静止画を連続3枚撮影、波長パターンPCでの静止画を連続3枚撮影して、計9枚の静止画を取得している。なお、この例では、時間T6から時間T12までの間に、波長パターンPAでの最新の画像SA3を表示している。 [0104] さらに、連続撮影処理を複数回繰り返してもよい。例えば、波長パターンPAでの静止画を連続3枚撮影、波長パターンPBでの静止画を連続3枚撮影、波長パターンPCでの静止画を連続3枚撮影、の処理を2回繰り返して計18枚の静止画を取得する等の順序としてもよい。 [0105] 内視鏡画像の撮影では、撮像レンズ34への汚れの付着、撮影アングルの維持の困難性等から、撮影指示が入力されてからの経過時間が長くなると所望の画像を取得することが困難になると予測される。したがって、重要と考えられる波長パターンの画像を先に撮影させるために、撮影する波長パターンの順序を指定させることが好ましい。 [0106] また、医師が入力部20を用いて静止画を取得する波長パターンを選択してもよい。例えば、波長パターンPBでの静止画が不要であれば、波長パターンPAでの静止画及び波長パターンPCでの静止画のみを撮影することができる。」 (キ)図2 [図:0001425392000007.jpg] (ク)図6 [図:0001425392000008.jpg] イ 認定事項 上記「ア(カ)」及び上記「ア(ク)」から、引用文献1には、静止画の取得指示が入力され、静止画を取得する際に、同じ波長パターンの画像を複数枚連続して取得してもよいこと、図6に示すタイミングチャートでは、波長パターンPAでの静止画を連続3枚撮影し、波長パターンPBでの静止画を連続3枚撮影し、波長パターンPCでの静止画を連続3枚撮影して、計9枚の静止画を取得することが開示されており、さらに、医師が入力部20を用いて静止画を取得する波長パターンを選択してもよいこと、図6に示すタイミングチャートにおいて、波長パターンPBでの静止画が不要であれば、波長パターンPAでの静止画及び波長パターンPCでの静止画のみを撮影するものとなすことが開示されている。 これらのことから、引用文献1には、第2の実施形態として、波長パターンPAでの静止画を連続3枚撮影し、波長パターンPCでの静止画を連続3枚撮影して、計6枚の静止画を取得するものが開示されているものと認められる。 ウ 引用発明 上記ア、イから、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、参考のため、認定の根拠となった主な箇所を括弧内に示す。 「内視鏡12、光源装置14、プロセッサ装置16、表示部18、入力部20、及び、医師が静止画の取得指示を入力するためのインターフェースである取得指示入力部13Bを備える内視鏡システム10であって(上記ア(イ)、(キ))、 前記光源装置14は、レーザダイオードを用いた中心波長445nmの青色レーザ光源である第1レーザ光源22A、同じくレーザダイオードを用いた中心波長405nmの紫色レーザ光源である第2レーザ光源22B、及び光源制御部26を備えており、当該光源制御部26が、前記第1レーザ光源22Aと前記第2レーザ光源22Bとの光量比を変更することにより、合成光である照射光L0の波長パターンを変更して、それぞれ特性の異なる照射光L0を照射することができるものであって(上記ア(ウ)、(キ))、 当該内視鏡システム10の観察モードは、 前記第1レーザ光源22Aの出射光と前記第2レーザ光源22Bの出射光との光量比を1:0として、この光量比から生成される、波長パターンPAの照射光L0により、白色照明画像を取得するモードMAと、 前記第1レーザ光源22Aの出射光と前記第2レーザ光源22Bの出射光との光量比を1:4として、この光量比から生成される、波長パターンPBの照射光L0により、生体組織表層の血管及び構造を強調した画像を取得するモードMBと、 前記第1レーザ光源22Aの出射光と前記第2レーザ光源22Bの出射光との光量比を7:1として、この光量比から生成される、波長パターンPCの照射光L0により、中遠景までの血管及び表面構造を強調した画像を取得するモードMCの3つであって(上記ア(エ))、 前記プロセッサ装置16は、撮影制御部42、画像処理部44、表示制御部48、記憶制御部58、及び記憶部60を備えており、 前記取得指示入力部13Bにおいて受け付けた静止画の取得指示が前記撮影制御部42に入力されると、当該撮影制御部42は、光源装置14の光源制御部26、内視鏡12の撮像素子38及びアナログデジタル変換部40、プロセッサ装置16の画像処理部44を制御して、内視鏡システム10による動画及び静止画の撮影を統括制御して、画像処理部44は、内視鏡12のアナログデジタル変換部40から入力されたデジタル信号に撮影時の照射光の波長パターンに応じた画像処理を施して、画像を示す画像データ(以下、「画像」と表記する)を生成し、表示制御部48は、画像処理部44によって生成された画像を表示部18に順次表示し、前記記憶制御部58は、前記静止画の取得指示に従って撮影された画像及び画像に関連する情報等を記憶部60に記憶させるものであって(上記ア(エ)、(キ))、 取得する静止画の取得順序及び取得枚数は、波長パターンPAで連続3枚撮影される静止画と、波長パターンPCで連続3枚撮影される静止画の計6枚の静止画である 内視鏡画像取得システム(上記ア(カ)、(ク)及びイ)。」 (2)引用文献2 ア 引用文献2の記載事項 原査定の拒絶の理由で引用された、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である国際公開第2019/093256号(令和 元年 5月16日国際公開。以下「引用文献2」という。)には、次の事項が記載されている。 (ア)「技術分野 [0001] 本発明は、複数種類の照明光によるブレの少ない画像を効率的に表示することができる内視鏡システムに関する。」 (イ)「発明の概要 発明が解決しようとする課題 [0006] 特許文献2に示すように、静止画を保存する場合には、色ずれやブレが少ない静止画を保存しておくことが求められる。また、複数の観察モードに対応した複数の観察モードの画像をそれぞれ静止画として保存しておく場合にも、各観察モードの画像について色ずれやブレ量を算出して、算出した色ずれ量が最も小さい画像を静止画として保存することが求められる。しかしながら、各観察モードで得られる画像は、それぞれ画像的特徴量が異なっている場合が多いことがあるため、各観察モードの画像に対して、同じような色ずれ算出処理やブレ算出処理を行う場合には、色ずれやブレ量を正確に算出することができない場合がある。 [0007] 本発明は、複数の照明光を切り替えて照明し、各照明光に対応する画像を取得する場合において、各画像についてブレ量を正確に算出することによって、ブレ量が少ない画像を静止画として保存することができる内視鏡システム及びその作動方法を提供することを目的とする。」 (ウ)「発明の効果 [0019] 本発明によれば、複数の照明光を切り替えて照明し、各照明光に対応する画像を取得する場合において、各画像についてブレ量を正確に算出することによって、ブレ量が少ない画像を静止画として保存することができる。」 (エ)「[0029] 光源制御部21は、いずれの観察モードにおいても、V-LED20a、B-LED20b、G-LED20c、及びR-LED20dを点灯する制御を行う。また、光源制御部21は、通常観察モード時には、紫色光V、青色光B、緑色光G、及び赤色光R間の光強度比がVc:Bc:Gc:Rcとなる通常光を発光するように、各LED20a~20dを制御する。なお、本明細書において、発光比率とは、各半導体光源の光強度比をいい、光強度比は0(ゼロ)の場合を含む。したがって、各半導体光源のいずれか1つまたは2つ以上が点灯しない場合を含む。例えば、紫色光V、青色光B、緑色光G、及び赤色光R間の光強度比が1:0:0:0の場合のように、半導体光源の1つのみを点灯し、他の3つは点灯しない場合も、発光比率を有するものとする。 [0030] また、光源制御部21は、マルチ観察モードにセットされている場合、表層血管を強調した第1血管を取得するために、紫色光V、青色光B、緑色光G、及び赤色光R間の光強度比がVs1:Bs1:Gs1:Rs1となる第1照明光を発光する制御を行う。第1照明光は、表層血管を強調するために、400nm以上440nm以下にピークを有することが好ましい。そのため、第1照明光は、図4に示すように、紫色光Vの光強度が、その他の青色光B、緑色光G、及び赤色光Rの光強度よりも大きくなるように、光強度比Vs1:Bs1:Gs1:Rs1が設定されている(Vs1>Bs1、Gs1、Rs1)。また、第1照明光には、赤色光Rのような第1の赤色帯域を有しているため、粘膜の色を正確に再現することができる。さらに、第1照明光には、紫色光V、青色光B、緑色光Gのように第1の青色帯域及び第1の緑色帯域を有しているため、上記のような表層血管の他、腺管構造や凹凸など各種構造も強調することができる。 [0031] また、光源制御部21は、マルチ観察モードの場合、深層血管を強調して第2画像を取得するために、第2観察モード時の発光比率としては、紫色光V、青色光B、緑色光G、及び赤色光R間の光強度比がVs2:Bs2:Gs2:Rs2となる第2照明光を発光する制御を行う。第2照明光は、深層血管を強調するために、第1照明光に対して、460nm、540nm、または630nmのうち少なくともいずれかの強度比を大きくすることが好ましい。」 (オ)「[0045] 表示制御部62は、画像処理が施されたRGB画像信号に基づいて、各観察モードに対応する画像をモニタ18に表示する制御を行う。表示制御部62は、通常観察モードの場合には、通常光の発光に基づいて得られる通常画像をモニタ18に表示する制御を行う。表示制御部62は、マルチ観察モードの場合には、第1照明光の発光に基づいて得られる第1画像と第2照明光の発光に基づいて得られる第2画像を、特定の表示順序または表示時間を含む表示条件に従って、切り替えてモニタ18に表示する制御を行う。」 (カ)「[0051] 図11に示すように、ブレ量算出部72は、ブレ量算出処理部78とアルゴリズム切替部80とを有する。ブレ量算出処理部78は、静止画取得指示が行われた場合に、静止画取得指示のタイミングを含む特定の静止画取得指示期間Tpに取得した複数の画像に対して、ブレ量を算出するブレ量算出処理を行う。本実施形態では、特定の静止画取得指示期間Tpに得られる画像の全てに対して、ブレ量算出処理を行う。」 (キ)「[0060] 静止画保存制御部76による静止画の保存制御について、図13を用いて説明する。静止画取得指示がタイミングT1で行われると、タイミングT1からタイミングTn(nは2以上の自然数)までの期間Tpが特定の静止画取得指示期間Tpとして設定される。特定の静止画取得指示期間Tpは、上記したように、4セット分の画像セット(1の画像セットは4フレーム分の画像からなる)、即ち16フレーム分の画像を取得することができる期間である。したがって、特定の静止画取得指示期間Tpは、タイミングT1からT16までとなる。」 (ク)「[0065] なお、本実施形態では、静止画保存制御部74は、画像セット単位でブレ量(代表ブレ量)を算出し、代表ブレ量が最も小さい画像セットを保存用静止画として選択しているが、この方法には限られない。例えば、特定の静止画取得指示期間Tpに得られる複数の画像のうち、第1画像について最もブレ量が小さい第1画像と、第2画像について最もブレ量が小さい第2画像とを、それぞれ保存用静止画として選択するようにしてもよい。」 (ケ)図13 [図:0001425392000009.jpg] イ 引用文献2に記載された技術的事項/周知技術 上記記載から、引用文献2には、次の技術が記載されていると認められる(以下「引用文献2に記載の技術的事項」という。)。なお、参考のため、認定の根拠となった主な箇所を括弧内に示す。 「光源制御部21により各LED20a~20dの光強度比を異ならせて、通常光、第1照明光及び第2照明光を切り替えて発光する制御を行う内視鏡システムにおいて(上記ア(ウ)、(エ)、(オ))、 静止画取得指示が行われると、特定の静止画取得指示期間Tpを設定し(上記ア(カ)、(キ)、(ケ))、当該特定の静止画取得指示期間Tpに得られる、前記第1照明光の発光に基づく複数の第1画像と、前記第2照明光の発光に基づく複数の第2画像とを取得して(上記ア(オ)、(カ)、(キ)、(ケ))、取得した画像の全て対してブレ量を算出して、前記第1画像について最もブレ量が小さい第1画像と、前記第2画像について最もブレ量が小さい第2画像とを、それぞれ保存用静止画として選択して、これを保存することにより(上記ア(カ)、(ク))、ブレ量が少ない画像を静止画として保存することができること(上記ア(ウ)、(ク)、(ケ))。」 ウ 引用文献2に記載された周知技術 上記ア(カ)、(キ)及び(ケ)の記載事項に例示されるように、本願の優先日前に、内視鏡の技術分野において次の周知技術があったものと認められる(以下「周知技術」という。)。 「内視鏡システムにおいて、静止画取得指示が行われたタイミングを含めて静止画取得指示期間が設定されること」 4 引用発明との対比 ア 本願発明と引用発明とを対比する。 (ア)複数の半導体光源について 引用発明の「レーザダイオードを用いた中心波長445nmの青色レーザ光源である第1レーザ光源22A、同じくレーザダイオードを用いた中心波長405nmの紫色レーザ光源である第2レーザ光源22B」は、本願発明の「互いに異なる波長帯域の光を発光する複数の半導体光源」に相当する。 (イ)光源用プロセッサについて 引用発明における「光源制御部26」は、「前記第1レーザ光源22Aと前記第2レーザ光源22Bとの光量比を変更することにより、合成光である照射光L0の波長パターンを変更して、それぞれ特性の異なる照射光L0を照射することができる」ものであるから、本願発明における「複数の前記半導体光源の光強度比の組み合わせが互いに異なる複数種類の照明光のそれぞれを発光する制御を行う光源用プロセッサ」に相当する。 (ウ)画像保存処理を開始させるための処理開始操作と画像用プロセッサについて 引用発明において、「前記取得指示入力部13Bにおいて受け付けた静止画の取得指示が前記撮影制御部42に入力されると、当該撮影制御部42は、光源装置14の光源制御部26、内視鏡12の撮像素子38及びアナログデジタル変換部40、プロセッサ装置16の画像処理部44を制御して、内視鏡システム10による動画及び静止画の撮影を統括制御して、画像処理部44は、内視鏡12のアナログデジタル変換部40から入力されたデジタル信号に撮影時の照射光の波長パターンに応じた画像処理を施して、画像を示す画像データ(以下、「画像」と表記する)を生成し、表示制御部48は、画像処理部44によって生成された画像を表示部18に順次表示し、前記記憶制御部58は、前記静止画の取得指示に従って撮影された画像及び画像に関連する情報等を記憶部60に記憶させる」ことから、引用発明における「取得指示入力部13Bにおいて受け付ける『静止画の取得指示』の入力」並びに「撮影制御部42、画像処理部44及び記憶制御部58」は、それぞれ、本願発明における「画像保存処理を開始させるための処理開始操作」並びに「画像用プロセッサ」に相当する。 (エ)照明光と画像について 引用発明は、「波長パターンPAの照射光L0により、白色照明画像を取得するモードMA」と「波長パターンPBの照射光L0により、生体組織表層の血管及び構造を強調した画像を取得するモードMB」の観察モードを有している。引用発明における「波長パターンPAの照射光L0」及び「波長パターンPBの照射光L0」は、それぞれ、本願発明における「第1照明光」及び「第2照明光」に相当する。そして、引用発明における「波長パターンPAで連続3枚撮影される静止画と、波長パターンPCで連続3枚撮影される静止画」は、本願発明における「前記複数種類の照明光が含む第1照明光と第2照明光とにより照明された観察対象を撮影して得られる第1画像と第2画像」に相当する。 また、引用発明における「波長パターンPAで連続3枚撮影される静止画と、波長パターンPCで連続3枚撮影される静止画」は、連続して順次撮影されるものであるから、本願発明の第1画像及び第2画像と同様に「フレーム毎に取得」されるものである。 よって、引用発明における「撮影制御部42、画像処理部44及び記憶制御部58」(画像用プロセッサ)は、本願発明における「画像プロセッサ」の「前記複数種類の照明光が含む第1照明光と第2照明光とにより照明された観察対象を撮影して得られる第1画像と第2画像とをフレーム毎に取得し、取得した複数の前記第1画像と複数の前記第2画像と・・・を保存する画像保存処理を行」う点で共通する。 (オ)対象期間と、照明光の切り替えについて 引用発明では、光源装置14の光源制御部26、内視鏡12の撮像素子38及びアナログデジタル変換部40、プロセッサ装置16の画像処理部44を制御して、内視鏡システム10による動画及び静止画の撮影を統括制御する撮影制御部に、前記取得指示入力部13Bにおいて受け付けた静止画の取得指示が入力されると、「波長パターンPAで連続3枚撮影される静止画と、波長パターンPCで連続3枚撮影される静止画の計6枚の静止画」の撮影が行われるものであるから、引用発明における「波長パターンPAで連続3枚撮影される静止画と、波長パターンPCで連続3枚撮影される静止画の計6枚の静止画」の撮影期間は、本願発明の「対象期間」と、「前記画像保存処理を開始させるための処理開始操作が行われた際に、前記画像保存処理のために、画像用プロセッサにより設定される期間」である点で共通するものの、本願発明では、対象期間が「前記処理開始操作が行われた時刻を含む」ものであるのに対して、引用発明では、含まない点で相違する。 また、引用発明における「波長パターンPAで連続3枚撮影される静止画と、波長パターンPCで連続3枚撮影される静止画の計6枚の静止画」の撮影期間(対象期間)における照明光は、波長パターンPAの照射光L0から波長パターンPCの照射光L0へ、1回、切り替えが行われるものであるところ、当該1回の照明光の切り替えは、本願発明の「前記対象期間に、発光中の照明光の切替が無い場合には、1回、発光中の前記第1照明光及び前記第2照明光のうちの一方を他方に切り替えて発光する」ことに相当する。 (カ)画像の選択について 本願発明では、画像用プロセッサが、前記対象期間に取得した複数の前記第1画像と複数の前記第2画像とのそれぞれから、予め設定した選択条件を満たす前記第1画像と前記第2画像とを選択するが、引用発明では、そのようなことは行われていない。 イ 一致点・相違点 以上の対比結果を踏まえると、本願発明と引用発明との一致点・相違点は、次のとおりである。 (ア)一致点 「互いに異なる波長帯域の光を発光する複数の半導体光源と、 複数の前記半導体光源の光強度比の組み合わせが互いに異なる複数種類の照明光のそれぞれを発光する制御を行う光源用プロセッサと、 画像用プロセッサとを備え、 前記画像用プロセッサは、 前記複数種類の照明光が含む第1照明光と第2照明光とにより照明された観察対象を撮影して得られる第1画像と第2画像とをフレーム毎に取得し、 取得した複数の前記第1画像と複数の前記第2画像とを保存する画像保存処理を行い、 前記画像保存処理を開始させるための処理開始操作が行われた際に、前記画像保存処理のために、対象期間を設定し、 前記光源用プロセッサは、 前記対象期間に、発光中の照明光の切替が無い場合には、1回、発光中の前記第1照明光及び前記第2照明光のうちの一方を他方に切り替えて発光する内視鏡システム。」 (イ)相違点 <相違点1> 本願発明においては、対象期間が、処理開始操作が行われた時刻を含んで設定されるものであるのに対して、引用発明では、そのように設定されない点。 <相違点2> 本願発明においては、画像用プロセッサが、「前記対象期間に取得した複数の前記第1画像と複数の前記第2画像とのそれぞれから、予め設定した選択条件を満たす前記第1画像と前記第2画像とを選択」するものであるのに対して、引用発明では、これを行わない点。 4 判断 (1)相違点1について 上記相違点1について検討する。 ア 引用発明において、静止画の取得指示の入力は、操作者が、表示部に表示された画像を確認して行うものであるところ、操作者に、静止画の取得指示の入力を判断させるに至った表示画像は、操作者が、保存対象と判断する際に考慮する要件を満たすものである。そうすると、静止画の取得指示を行った時点で表示部に表示されている画像を保存対象に含めること、すなわち、画像を取得する対象期間を、静止画の取得指示がなされた時点を含むものとなすことには動機がある。 イ 前記3(2)ウに記載したとおり、「内視鏡システムにおいて、静止画取得指示が行われたタイミングを含めて静止画取得指示期間が設定されること」は、本願の優先日前の周知技術であるといえる。 ウ 上記アからして、引用発明に、内視鏡の技術分野における「静止画取得指示が行われたタイミングを含めて静止画取得指示期間が設定される」周知技術(上記3(2)ウ)を採用し、本願発明の相違点1に係る構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。 (2)相違点2について 上記相違点2について検討する。 ア 引用発明における、波長パターンPAで連続3枚撮影される静止画と、波長パターンPCで連続3枚撮影される静止画とは、複数の観察モードのそれぞれに対応した複数の画像である。 よって、引用発明は、「複数の観察モードに対応した複数の観察モードの画像をそれぞれ静止画として保存しておく場合にも、各観察モードの画像について色ずれやブレ量を算出して、算出した色ずれ量が最も小さい画像を静止画として保存することが求められる」という引用文献2に記載の課題(上記2(2)ア(イ))を内在するものといえる。 イ 上記アの内在する課題の解決のために、引用発明において、各観察モードの画像について色ずれやブレ量を算出して、算出した色ずれ量が最も小さい画像を(選択して)保存する構成を採用することは、当業者であれば引用文献2に記載の技術的事項に基づいて容易に想到し得たことである。 ウ 上記イのように構成した発明において、保存される画像は、波長パターンPAで連続3枚撮影される静止画の中で、算出した色ずれ量が最も小さいという条件、波長パターンPCで連続3枚撮影される静止画の中で、算出した色ずれ量が最も小さいという条件を満たすものであるから、上記相違点2に係る構成を備えている。 (3)効果について 本願発明の奏する効果は、引用発明の奏する効果、引用文献2に記載の技術的事項及び周知技術からして、当業者であれば容易に予測することができた程度のものである。 (4)請求人の主張について ア 請求人は、審判請求書の請求の理由において、次の主張をしている。 「(2)特許要件について 本願請求項1は、第1照明光を続けて発光する第1期間と第2照明光を続けて発光する第2期間とを交互に繰り返すマルチ観察モードにおいては、処理開始操作が行われた時刻を含めて設定された対象期間では、第1期間と第2期間を交互に繰り返すことを停止し、且つ、1回、発光中の第1照明光及び第2照明光のうちの一方を他方に切り替えて発光し、 第1照明光と第2照明光のいずれかを発光するマルチ観察モード以外のモードにおいては、対象期間では、1回、発光中の第1照明光及び第2照明光のうちの一方を他方に切り替えて発光し、1回の発光の切り替えが行われた場合は、発光の切り替えを行わないことを特徴とします。 一方、引用文献1の図6には、動画で、波長パターンPAのみで撮影することが記載されています。しかしながら、本願において、対象期間に1回行うのは、異なる照明光の切替であり、1回の発光ではありません。加えて、本願では、マルチ観察モードの場合と、マルチ観察モード以外のモードに分けて、対象期間の発光の切替を行っています。 具体的には、マルチ観察モードの場合は、対象期間では、第1期間と第2期間を交互に繰り返すこと(照明光の切替)を停止し、且つ、1回、発光中の第1照明光及び第2照明光のうちの一方を他方に切り替えて発光します。一方、マルチ観察モード以外のモードでは、対象期間で発光の切替が1回行われた場合には、その後は、発光の切替を行いません。以上のように、マルチ観察モードの場合と、マルチ観察モード以外のモードとで、対象期間の発光の切替態様を異ならせていることについては、引用文献1に記載及び示唆がありません。 その他の引用文献2~4についても、本願請求項1に関する記載及び示唆はありません。 以上から、本願請求項1は、引用文献1~4に対して進歩性を有します。その他の本願請求項2~16については、請求項1の特徴を有しますので、当然に進歩性を有します。」 イ しかしながら、上記「第2 令和 6年 4月16日にされた手続補正についての補正の却下の決定」のとおり、本件補正は、却下されたのであるから、当該主張は、特許請求の範囲の記載に基づかないものであり、採用することはできない。 (5)判断のむすび 以上のとおりであるから、本願発明は、当業者が引用発明、引用文献2に記載の技術的事項、周知技術及び常套手段に基づいて容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2024-006444

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