商標拒絶査定不服審判
2024-006426
ヤキニクヤカズチャン、ヤキニクケカズチャン、ヤキニクカカズチャン、カズチャン、カズ
- 審判番号
- 2024-006426
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2023-107774
- 請求日
- 2024年04月16日
- 審決日
- 2025年02月26日
- 公報発行日
- 2025年05月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社Dining Innovation Investment
- 【請求人代理人】Authense弁理士法人
- 審判長/審判官
- 審判長 旦 克昌
- 審判官 真鍋 伸行
- 審判官 須田 亮一
- 分類
- T18 .261-Z (W43) / T18 .262-Z (W43) / T18 .263-Z (W43) / T18 .264-Z (W43)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2023-107774拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和5年9月27日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和5年11月16日付け:拒絶理由通知書
令和5年12月15日 :意見書の提出
令和6年1月12日付け :拒絶査定
令和6年4月16日 :審判請求書、手続補正書の提出
第2 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第43類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として、登録出願されたものであり、その後、指定役務については、上記第1の手続補正書により、第43類「焼肉の提供,焼肉のケータリング,焼肉に関するレビューの提供(焼肉店で提供される焼肉に関する情報の提供)」とされた。
第3 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第6237020号商標(以下「引用商標」という。)は、「かずちゃん」の文字を標準文字で表してなり、令和元年6月12日登録出願、第30類「たいやき,菓子,パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,たい焼きのもと,即席菓子のもと,食品香料(精油のものを除く。),茶,コーヒー,ココア,調味料,香辛料,穀物の加工品,チョコレートスプレッド,ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,弁当,ラビオリ,食用グルテン,食用粉類」及び第43類「たい焼きを主とする飲食物の提供,飲食物の提供」を指定商品及び指定役務として、同2年3月17日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
第4 原査定の拒絶の理由(要旨)
本願商標と引用商標とは、観念においては比較できず、全体の外観においては差異を有するとしても、本願商標の構成中「かずちゃん」の文字と引用商標との比較においては、これらの外観は類似し、「カズチャン」の称呼を共通するものであるから、本願商標と引用商標とは相紛れるおそれのある類似の商標というべきである。
また、本願の指定役務は、引用商標の指定役務と同一又は類似するものを含む。
以上からすれば、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
第5 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号について
商標の類否は、対比される両商標が同一又は類似の役務に使用された場合に、役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが、それには、そのような役務に使用された商標がその外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべく、しかもその役務の取引の実情を明らかにし得る限り、その具体的な取引状況に基づいて判断するのを相当とする(最高裁昭和39年(行ツ)第110号同43年2月27日判決参照)。
また、複数の構成部分を組み合わせた結合商標については、商標の各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合していると認められる場合においては、その構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して類否を判断することは、原則として許されないが、その場合であっても、商標の構成部分の一部が取引者又は需要者に対し、商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与える場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じない場合などには、商標の構成部分の一部だけを取り出して、他人の商標と比較し、その類否を判断することが許されるものと解される(最高裁昭和37年(オ)第953号同38年12月5日判決、最高裁平成3年(行ツ)第103号同5年9月10日判決、最高裁平成19年(行ヒ)第223号同20年9月8日判決参照)。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本願商標
本願商標は、別掲のとおり、角の取れた白色の長方形の上に、複数の黒色長方形を内部に有する長方形を配し、さらにその上に髪の長い人の上半身と思しきイラスト及び朱色の六面体を配してなる図形(以下「本願図形部分」という。)の下部に、「かずちゃん」の平仮名(「かず」の文字は、「ちゃん」の文字よりも大きく表されている。)を大きく横書きし、当該文字部分の「か」の文字の左側に「焼肉家」の漢字を小さく縦書きしてなる(以下「かずちゃん」の文字と「焼肉家」の文字を合わせて「本願文字部分」という。)ところ、本願図形部分は、特定の事物を表したもの、又は意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は認められないことから、特定の称呼及び観念は生じないものである。
また、本願文字部分についてみると、「焼肉家」の文字は辞書等に掲載のないものであるものの、本願の指定役務を取り扱う業界においては、原審で示した例のとおり、「焼肉を提供する店」程の意味合いで広く一般に使用されているものであるから、当該文字は自他役務の出所識別標識としての機能がないか、希薄な部分である。他方、「かずちゃん」の文字は、辞書等に掲載のないものであって特定の意味合いを認識させることのないものであり、役務の質等を表示するものでもないから、自他役務の出所識別標識としての機能を十分に発揮し得るといえるものである。
そして、本願図形部分と本願文字部分とは、重なり合うことなく、スペースを空けて上下に配されており、図形と文字という構成要素を異にしていることから、両者は視覚的に分離して看取されるものである。
また、本願文字部分については、「焼肉家」の文字と「かずちゃん」の文字は、重なり合うことなく、スペースを空けて左右に配されている上、縦書きと横書きで異なること、文字種及び文字の大きさも異なることから、これらも視覚的に分離して看取されるものである。
そして、本願商標又は本願文字部分は、全体として親しまれた意味合いを表す熟語等を表したものとはいえず、他に、本願商標又は本願文字部分を不可分一体のものとして把握しなければならない事情も見いだせないことからすると、本願図形部分と本願文字部分、及び「焼肉家」の文字と「かずちゃん」の文字は、それぞれ分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものではない。
以上からすると、本願図形部分及び「かずちゃん」の文字部分は、大きく目立つように表されて、自他役務の識別標識としての機能を十分に発揮し得る部分であって、本願商標の構成において目をひく部分といえる一方、「焼肉家」の文字部分は他の部分に比較して小さく表されていることに加え、当該部分は、「焼肉を提供する店」程の意味合いで広く一般に使用され、本願の指定役務との関係においては役務の質を表示するものといえ、自他役務の出所識別標識としての機能がないか希薄な部分であるから、本願商標の構成において目をひく部分とはいえない。
そうすると、本願商標は、その構成中、本願図形部分及び「かずちゃん」の文字部分が取引者又は需要者に対し自他役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるといえる。
してみると、本願商標は、その構成中「かずちゃん」の文字部分だけを取り出して、他人の商標と比較し、その類否を判断することが許されるというべきである。
したがって、本願商標は、その構成中「かずちゃん」文字部分の構成文字に相応して「カズチャン」の称呼が生じ、また、特定の観念が生じないものである。
(2)引用商標
引用商標は、上記第3のとおり、「かずちゃん」の文字を標準文字で表してなるところ、上記(1)のとおり、当該文字は辞書等に掲載のないものであって、特定の意味合いを認識させることのないものである。
したがって、引用商標は、その構成文字に相応して、「カズチャン」の称呼が生じ、特定の観念が生じないものである。
(3)本願商標と引用商標との類否
上記(1)のとおり、本願商標は、その構成中の「かずちゃん」の文字部分だけを取り出して、他人の商標と比較し、その類否を判断することが許されるというべきであるから、「かずちゃん」の文字部分と引用商標とを比較すると、両者は、文字のつづりを共通にするため、外観において相紛らわしいものであり、また、「カズチャン」の称呼を共通にするものである。そして、両者はともに特定の観念を生じないから、観念において比較することはできない。
以上によれば、本願商標と引用商標とは、観念において比較することができないとしても、外観において相紛らわしく、称呼を共通にするものであるから、両者の外観、称呼及び観念等によって、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、本願商標と引用商標は相紛れるおそれのある類似の商標と判断するのが相当である。
(4)本願の指定役務と引用商標の指定商品及び指定役務との類否について
本願の指定役務中、第43類「焼肉の提供,焼肉のケータリング,焼肉に関するレビューの提供(焼肉店で提供される焼肉に関する情報の提供)」は、引用商標の指定商品及び指定役務中、43類「たい焼きを主とする飲食物の提供,飲食物の提供」と同一又は類似の役務である。
(5)小括
本願商標と引用商標とは、相紛れるおそれのある類似の商標であり、かつ、本願の指定役務は、引用商標の指定役務と同一又は類似のものである。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
3 請求人の主張について
(1)請求人は、本願文字部分と本願図形部分とで「焼肉」という観念上のつながりが見て取れ、さらには両部分がバランスよく一体的な構成であることや、本願図形部分が焼肉を示す図形要素であり、これが「焼肉家」の文字と「かずちゃん」の文字の一体性を示し、「かずちゃん」ではなく、「焼肉家かずちゃん」と一体で看取されることなどを述べ、本願商標は構成全体が不可分的に結合した商標と捉えるのが相当である旨を主張している。
しかしながら、上記2(1)のとおり、本願文字部分も特定の観念が生じないものであるし、本願図形部分も、特定の事物を表したもの、又は意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は認められないものであるから、本願文字部分と本願図形部分とで観念上のつながりがあるとはいえない。
そして、本願商標は、その構成中、本願図形部分及び「かずちゃん」の文字部分は、それぞれが取引者又は需要者に対し役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるといえ、その構成中「かずちゃん」の文字部分だけを取り出して、他人の商標と比較し、その類否を判断することが許されるというべきであることも上記2(1)のとおりである。
(2)請求人は、本願商標の構成中「かずちゃん」の文字部分について、本願の指定役務「飲食物の提供」等を取り扱う業界においては「かずちゃん」という店名は全国各地で多数採用されているから、「カズチャン」の称呼のみをもって事業者を特定することは不可能であり、「かずちゃん」の文字部分のみでは、需要者が何人かの業務に係る役務であるかを認識することができない商標と判断するのが相当である旨などを述べ、本願文字部分は、本願の指定役務との関係において、自他役務の識別標識としての機能が比較的弱い文字「焼肉家」及び「かずちゃん」を結合してなるものであり、各構成要素間にその一部をあえて要部として抽出すべきほどの識別力の軽重があるとはいえない旨を主張している。
しかしながら、「かずちゃん」の文字は、本願の指定役務を取り扱う業界において、店名やその一部として使用される例が散見されるとしても、そのことだけをもって、本願商標の構成中「かずちゃん」の文字部分が自他役務の識別標識としての機能を発揮し得ないということはできない。
そして、上記2(1)のとおり、大きく目立つように表された「かずちゃん」の文字部分は、本願の指定役務との関係において、役務の質等を表示するものではなく、自他役務の識別標識としての機能を十分発揮し得る部分であって、本願商標の構成において目をひく部分といえる一方、小さく表された「焼肉家」の文字部分は、本願の指定役務との関係において、自他役務の識別標識としての機能がないか希薄な部分であって、目をひく部分とはいえないから、本願商標の構成中、「かずちゃん」の文字部分は取引者又は需要者に対し役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与える部分といえる。
(3)請求人は、過去における登録例を挙げて、本願商標も登録されるべき旨を主張している。
しかしながら、商標の類否の判断は、査定時又は審決時における取引の実情を勘案し、その指定役務の需要者の認識を基準に対比される商標について個別具体的に判断されるべきものであるところ、本願商標と請求人が挙げる登録例における商標とは商標の構成が異なるものであって、本願とは事案を異にするものであるから、請求人が挙げる審決例及び登録例によって、直ちに本願の判断が左右されるものではない。
(4)請求人は、引用商標権者が提供する商品はたい焼きに限られており、また提供態様もテイクアウト(持ち帰り)のみであるとし、請求人が想定する焼肉屋のように店舗内で実際に肉を焼き(あるいは需要者自身に肉を焼かせ)、提供することが一般的である店舗と、引用商標権者のたい焼き屋のように、屋台的にたい焼きをふるまう店舗とでは、現実の出所混同は生じない旨などを述べ、本願商標に係る「焼肉の提供」等と引用商標に係る指定役務「たい焼きを主とする飲食物の提供」等とは非類似である旨を主張している。
しかしながら、商標の類否判断に当たり考慮すべき取引の実情は、当該商標が現に、当該指定役務に使用されている特殊的、限定的な実情に限定して理解されるべきではなく、当該指定役務についてのより一般的、恒常的な実情、例えば、需要者層、商標の使用状況等を総合した取引の実情を含めて理解されるべきであるところ(最高裁昭和47年(行ツ)33号 昭和49年4月25日判決、知財高裁平成20年(行ケ)10285号 平成20年12月25日判決参照)、上記主張に係る取引の実情は、現時点において請求人や引用商標権者が商標を実際に使用している具体的な役務についての取引の実情にすぎないから、本願商標と引用商標の類否の判断に当たり考慮すべき一般的、恒常的な取引の実情とは到底いえない。
また、引用商標の指定商品及び指定役務中第43類「飲食物の提供」は、本願の指定役務中第43類「焼肉の提供」を含むものであって、これらの役務は同一又は類似の役務といえるから、少なくともこの点において、本願の指定役務は引用商標の指定役務と同一又は類似の役務を含むものというべきである。
(5)したがって、請求人の主張は、いずれも採用できない。
4 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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