商標拒絶査定不服審判
2024-006309
キンユーショーヒントリヒキギョーキソシケン、キンユーショーヒントリヒキギョーキソ、キンユーショーヒントリヒキギョー
- 審判番号
- 2024-006309
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2023-017573
- 請求日
- 2024年04月12日
- 審決日
- 2025年03月31日
- 公報発行日
- 2025年06月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】日本証券業協会
- 【請求人代理人】弁理士法人秀和特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 大島 康浩
- 審判官 小林 裕子
- 審判官 大塚 正俊
- 分類
- T18 .13 -Z (W41)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、商標法第4条第1項第16号、特許法第150条第5項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2023-17573拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和5年2月20日の登録出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和5年9月6日付け:拒絶理由通知書
令和5年10月24日:意見書、手続補正書の提出
令和6年1月5日付け:拒絶査定
令和6年4月12日:審判請求書の提出
令和6年11月22日付け:証拠調べ通知書
令和7年2月12日:意見書の提出
2 本願商標
本願商標は、「金融商品取引業基礎試験」の文字を標準文字で表してなり、第41類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として登録出願され、その後、本願の指定役務については、前記1の手続補正書により、第41類「金融商品取引法の規定に基づく金融商品取引業に関する資格試験の実施,金融商品取引法の規定に基づく金融商品取引業に関する資格試験の実施に関する情報の提供,金融商品取引法の規定に基づく金融商品取引業に関する資格取得に関する知識の教授,金融商品取引法の規定に基づく金融商品取引業に関する資格取得に関するセミナーの企画・運営又は開催」に補正されたものである。
3 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、「本願商標は、「金融商品取引業基礎試験」と標準文字で表してなるところ、この構成中、「金融商品取引業」の文字は、金融商品取引法に規定された投資性のある金融商品を取り扱う業務を指し、有価証券の販売・勧誘、引受け、デリバティブ取引、資産管理、投資助言・代理、投資運用などを行うことを意味する語であり、「基礎」の文字は、「それを前提として事物全体が成り立つような、もとい」の意味を有する語であり、「試験」の文字は「問題や課題を出して回答・実行させ、学習・訓練の成果・習得度や及第・合否・採否を評価・判定すること」の意味を有する語である。そして、金融商品取引業の分野においては様々な試験が行われており、その中でも基礎的な能力を判断する試験や検定が行われている実情が見受けられる。また、本願指定役務を取り扱う分野において、「基礎試験」の文字は、基礎的な力を測る試験を意味する文字として使用されている。そうとすると、本願商標は、この構成全体から、「金融商品取引業に関する基礎的な試験」程の意味合いを容易に認識するものといえる。以上を踏まえると、本願商標をその指定役務に使用しても、これに接する需要者・取引者は、「金融商品取引業に関する基礎的な試験」に係る役務と認識するにすぎず、単に役務の質を普通に用いられる方法で表示するものと判断するのが相当である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
4 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを実施した結果、別掲2及び別掲3(1)ないし(10)に示したとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、証拠調べの結果を通知した。
5 証拠調べに対する請求人の意見の要点
(1)本願商標の構成中の「金融商品取引業」という語は、法令(金融商品取引法)上の定義に基づく法律用語であり、「金融商品取引業」を営むにあたっては、その法的適正さを担保するための「一定の資質」が必要である。そしてその資質を備えているか否かを検証するための基礎的試験の名称を、当該試験の実施者として法令上最も適任とされ、かつ、その実施の独占が法令上も許容されていると目すべき請求人が、当該資質の公益性確保のため、その独占的使用権取得のために行ったのが本件商標登録出願である。
(2)このような公益的実情があるにもかかわらず、本願商標が自他役務の識別標識としては機能し得ないことを示すために証拠調べ通知書において証拠を提示しているが、そこに示された各先例には、法律で定義された法令用語としての「業」に係る記述が一切含まれていないだけでなく、「金融商品取引業」という文字列に一致するものが一つもない。よって、これらの証拠をもって、本願商標の識別力を否定することには何ら合理性がない。
6 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号の趣旨
商標法第3条第1項第3号に掲げる商標が、商標登録の要件を欠くとされているのは、このような商標は、指定商品又は指定役務との関係で、その商品の品質、その役務の質等その他の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品又は自他役務の識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解される。
そうすると、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するというためには、本件審決時において、本願商標がその指定商品又は指定役務との関係で、商品の品質、役務の質等その他の特性を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、本願商標がその指定商品又は指定役務に使用された場合に、将来を含め、指定商品又は指定役務の取引者、需要者によって商品又は役務の上記特性を表示したものと一般に認識されるものであれば足りると解される(最高裁昭和53年(行ツ)第129号判決、平成26年(行ケ)第10056号判決、平成27年(行ケ)第10107号判決、平成27年(行ケ)第10232号判決参照)。
(2)本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、前記2のとおり、「金融商品取引業基礎試験」の文字を標準文字で表してなるところ、この構成中、「金融商品取引業」の文字は、別掲1のとおり、金融商品取引法に規定された投資性のある金融商品を取り扱う業務を指し、有価証券の販売・勧誘、引受け、デリバティブ取引、資産管理、投資助言・代理、投資運用などを行うことを意味する語として、「基礎」の文字は、「それを前提として事物全体が成り立つような、もとい。」(出典:「広辞苑」株式会社岩波書店、第7版)の意味を有する語として、「試験」の文字は「問題や課題を出して回答・実行させ、学習・訓練の成果・習得度や及第・合否・採否を評価・判定すること。」(前掲書)の意味を有する語として、いずれも広く一般に親しまれている語であるから、本願商標は、「金融商品取引業」「基礎」「試験」の各文字を結合してなるものと容易に理解させる。
そして、原審において示された事実及び当審における職権による調査によれば、本願の指定役務に関する分野において、金融に関する専門的な試験が行われており、その中でも基礎的な能力を判断する試験や検定が行われている事実(別掲2)に加え、様々な分野において、専門的な試験や検定などが行われており、その中でも基礎的な能力を判断する試験や検定が行われている事実(別掲3)が見受けられる。
このような実情を踏まえると、本願商標は、これをその指定役務に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「金融商品取引業に関する基礎的な試験」の意味合いを認識するにすぎず、当該役務が、「金融商品取引業に関する基礎的な試験」に関する役務であること、すなわち、役務の質を表示したものと一般に認識するというべきである。
そうとすると、本願商標は、その指定役務との関係において、役務の質を表示したものとして一般に認識されるものであって、特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当ではなく、自他役務の識別力を欠くというべきである。
したがって、本願商標は、役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(3)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標の構成中の「金融商品取引業」という語は、法令(金融商品取引法)上の定義に基づく法律用語であり、「金融商品取引業」を営むにあたっては、その法的適正さを担保するための「一定の資質」が必要であり、その資質を備えているか否かを検証するための基礎的試験の名称を、当該試験の実施者として法令上最も適任とされ、かつ、その実施の独占が法令上も許容されていると目すべき請求人が、当該資質の公益性確保のため、その独占的使用権を取得すべきである旨主張する。
しかしながら、上記(1)のとおり、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するというためには、審決時において、本願商標が、その指定役務との関係で、その役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途その他の特性を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、本願商標がその指定役務に使用された場合に、取引者、需要者によって、将来を含め、役務の上記特性を表示したものと一般に認識されるものであれば足りると解される。
そして、本願商標は、これをその指定役務に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「金融商品取引業に関する基礎的な試験」であると認識するにすぎず、当該役務が、「金融商品取引業に関する基礎的な試験」に関する役務であること、すなわち、役務の質を表示したものと一般に認識するというべきであることは、上記(2)のとおりである。
イ 請求人は、過去の登録例、及び過去の審決例を挙げて、本願商標も登録されるべき旨主張する。
しかしながら、登録出願に係る商標がその指定役務との関係において、自他役務の識別標識として機能し得るか否かは、当該商標の構成態様と指定役務との関係や取引の実情をも踏まえて個別具体的に判断されるべきものであるところ、請求人の示す登録例と本願商標とは、構成態様や指定役務が異なり、事案を異にするものであり、本願商標が自他役務の識別力を欠くものであることは、上記(2)のとおりであるから、登録例や審決例があるからといって、その判断が左右されることはない。
ウ したがって、請求人による上記主張は、いずれも採用することができない。
(4)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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