商標拒絶査定不服審判
2024-006038
クラノスケ、ワ、カズ、ナゴミ
- 審判番号
- 2024-006038
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2023-032023
- 請求日
- 2024年04月09日
- 審決日
- 2025年04月08日
- 公報発行日
- 2025年06月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社OWN
- 【請求人代理人】福地 武雄
- 審判長/審判官
- 審判長 旦 克昌
- 審判官 真鍋 伸行
- 審判官 須田 亮一
- 分類
- T18 .261-Z (W43) / T18 .262-Z (W43) / T18 .263-Z (W43) / T18 .264-Z (W43)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2023-32023拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和5年3月27日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和5年10月2日付け :拒絶理由通知書
令和5年11月13日 :意見書の提出
令和5年12月20日付け:拒絶査定
令和6年4月9日 :審判請求書の提出
第2 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第43類「居酒屋における飲食物の提供」を指定役務として、登録出願されたものである。
第3 原査定の拒絶の理由(要旨)
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第4029722号商標(以下「引用商標」という。)は、「くらのすけ」の平仮名を横書きしてなり、平成6年7月13日登録出願、第42類「飲食物の提供」を指定役務として、同9年7月18日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号について
商標の類否は、対比される両商標が同一又は類似の役務に使用された場合に、役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが、それには、そのような役務に使用された商標がその外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべく、しかもその役務の取引の実情を明らかにし得る限り、その具体的な取引状況に基づいて判断するのを相当とする(最高裁昭和39年(行ツ)第110号同43年2月27日判決参照)。
また、複数の構成部分を組み合わせた結合商標については、商標の各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合していると認められる場合においては、その構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して類否を判断することは、原則として許されないが、その場合であっても、商標の構成部分の一部が取引者又は需要者に対し、役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与える場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じない場合などには、商標の構成部分の一部だけを取り出して、他人の商標と比較し、その類否を判断することが許されるものと解される(最高裁昭和37年(オ)第953号同38年12月5日判決、最高裁平成3年(行ツ)第103号同5年9月10日判決、最高裁平成19年(行ヒ)第223号同20年9月8日判決参照)。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本願商標
本願商標は、別掲のとおり、太さの異なる2種類の線で描かれた二重円の内部に、向き合った稲穂と思しき図形を配し、その間に、2本の直線を組み合わせてなるくの字型の図形の下に、4本の直線を平行に配し、さらにその下に大きさの異なる角丸四角形を複数配してなる図形(以下、これらをまとめて「本願図形部分」という。)の下に、「蔵之介」の漢字を毛筆体の書体で大きく横書きし、その下部には、「KURANOSUKE」の欧文字を横書きし、「蔵之介」の漢字の右側には、略正方形の内部に白抜きで「和」の漢字を表したものを配してなるところ(以下、「蔵之介」の漢字と「KURANOSUKE」の欧文字を合わせて「本願文字部分」という。)、本願図形部分は、特定の事物を表したもの、又は意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は認められないことから、特定の称呼及び観念は生じないものである。
次に、本願文字部分についてみると、「蔵之介」の文字は辞書等に掲載のないものであって、特定の意味合いを認識させるものではない。また、「KURANOSUKE」の文字は、「蔵之介」の文字の表音を欧文字で表したものと容易に理解できるものである。また、これらの文字は役務の質等を表示するものでもないから、自他役務の識別標識としての機能を十分に発揮し得るものといえる。
さらに、略正方形の内部に白抜きで「和」の漢字を表したものについては、「和」の文字は、「仲良くすること」の意味を有する語であるから、その構成文字に相応して、「ワ」又は「カズ」の称呼を生じ、「仲良くすること」の観念を生じるものである。
そして、本願図形部分、本願文字部分及び略正方形の内部に白抜きで「和」の漢字を表したものは、それぞれ重なり合うことなく、スペースを空けて配されており、図形と文字という構成要素を異にしていること、色彩の有無という差異があることから、これらはいずれも視覚的に分離して看取されるものである。
また、本願商標全体、本願文字部分と本願図形部分、本願文字部分と略正方形の内部に白抜きで「和」の漢字を表したもの、本願図形部分と略正方形の内部に白抜きで「和」の漢字を表したものは、それぞれ全体として親しまれた意味合いを表す熟語等を表したものとはいえず、他に、本願商標全体、本願文字部分と本願図形部分、本願文字部分と略正方形の内部に白抜きで「和」の漢字を表したもの、本願図形部分と略正方形の内部に白抜きで「和」の漢字を表したものをそれぞれ不可分一体のものとして把握しなければならない事情も見いだせないことからすると、本願文字部分、本願図形部分及び略正方形の内部に白抜きで「和」の漢字を表したものは、それぞれ分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものではない。
以上からすると、本願文字部分、本願図形部分及び略正方形の内部に白抜きで「和」の漢字を表したものは、そのいずれもが、役務の質等を表すものではなく、それぞれが独立して役務の出所識別標識としての機能を果たし得るものであって、本願商標の構成において目をひく部分であり、これらはいずれも取引者又は需要者に対し、自他役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるといえる。
してみると、本願商標は、その構成中の本願文字部分だけを取り出して、他の商標と比較し、その類否を判断することが許されるというべきものである。
したがって、本願商標は、その構成中の本願文字部分の構成文字に相応して「クラノスケ」の称呼が生じ、特定の観念が生じないものである。
(2)引用商標
引用商標は、上記第3のとおり、「くらのすけ」の平仮名を横書きしてなるところ、当該文字は、辞書等に掲載のないものであって、特定の意味合いを認識させるものではない。
したがって、引用商標は、その構成文字に相応して、「クラノスケ」の称呼が生じ、特定の観念が生じないものである。
(3)本願商標と引用商標との類否
本願商標は図形部分と文字部分からなるのに対して、引用商標は文字のみからなること等から、両商標は、その構成全体の比較において外観上相違するものであって、本願文字部分と引用商標との比較においても、両者の外観は、文字種及び書体における差異、欧文字で表した表音の有無という差異を有するものの、両者の構成文字はいずれも「蔵之介」又は「くらのすけ」を表したものと容易に理解できる書体で表されており、格別特異な書体で表されたものではないことに加え、商標の使用においては、商標の構成文字を同一の称呼を生じる範囲内で文字種を相互に表記することが一般に行われている取引の実情があることに鑑みれば、これらの外観上の差異が看者に対し、強い印象を与えるとまではいえない。
そして、両者は、ともに「クラノスケ」の称呼を生じるから、称呼を共通にするものである。
さらに、両者はともに特定の観念を生じないから、観念においては比較することができない。
以上によれば、本願文字部分と引用商標は、観念において比較することができないとしても、称呼を共通にするものであって、外観上の相違は、上記のとおり強い印象を与えるものとはいえず、称呼の同一性をしのぐほどの差異として需要者に認識されるものとはいえないことから、その外観、称呼及び観念が、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合すれば、本願商標と引用商標は、役務の出所について誤認混同を生ずるおそれのある類似の商標と判断するのが相当である。
(4)本願の指定役務と引用商標の指定役務との類否について
本願の指定役務は、引用商標の指定役務に含まれる役務である。
(5)小括
本願商標と引用商標とは、相紛れるおそれのある類似の商標であり、かつ、本願の指定役務は、引用商標の指定役務と同一又は類似のものである。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
3 請求人の主張について
請求人は、本願商標は、各構成要素がいずれも密接に配置され、かつ全体として蔵をイメージし、統一されたデザインとして視覚上まとまりよく一体的に表されているから、本願商標は文字と図形が一体不可分として認識されうる旨を主張している。
しかしながら、上記1のとおり、複数の構成部分を組み合わせた結合商標については、商標の各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合していると認められる場合においては、その構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して類否を判断することは、原則として許されないが、その場合であっても、商標の構成部分の一部が取引者又は需要者に対し、役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与える場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じない場合などには、商標の構成部分の一部だけを取り出して、他人の商標と比較し、その類否を判断することが許されるものと解される。
そして、本願商標は、上記2(1)のとおり、その構成中の本願文字部分を抽出して、他人の商標と比較し、その類否を判断することが許されるというべきである。
したがって、請求人の主張は、採用できない。
4 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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