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商標拒絶査定不服審判

2024-005981

エンブンチャージ

審判番号
2024-005981
法域
商標
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
商願2023-028979
請求日
2024年04月09日
審決日
2025年07月04日
公報発行日
2025年08月29日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
  • 【請求人】カバヤ食品株式会社
  • 【請求人代理人】弁理士法人ととせ・ももとせ
  • 【請求人代理人】齊藤 整
  • 【請求人代理人】清水 三沙
  • 【請求人代理人】服部 京子
  • 【請求人代理人】徳永 弥生
審判長/審判官
  • 審判長 高野 和行
  • 審判官 小俣 克巳
  • 審判官 田中 瑠美
分類
T18 .13 -WY (W30) / T18 .17 -WY (W30)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法3条1項3号商標法3条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第3条第1項第3号、商標法第3条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

商願2023- 28979拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。

理由

理 由 1 手続の経緯 本願は、令和5年3月17日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和5年 6月 6日付け:拒絶理由通知書 令和5年 7月24日 :意見書、手続補正書の提出 令和5年12月25日付け:拒絶査定 令和6年 4月 9日 :審判請求書の提出 2 本願商標 本願商標は、別掲のとおり、白抜きの太字に黒色の縁取りが施された「塩分」の文字と「チャージ」の文字とを上下二段に書してなり、第30類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として登録出願され、その後、本願の指定商品は、上記1の手続補正書により、第30類「塩を含むタブレット状の菓子」に補正されたものである。 3 原査定の拒絶の理由(要旨) (1)商標法第3条第1項第3号該当性について 本願商標は、ややデザイン化された「塩分」の文字と「チャージ」の文字とを二段に書してなるところ、その構成中、「塩分」の文字部分は、「物の中に含まれている食塩の量。」を意味する語であり、「チャージ」の文字部分は、「充電。蓄電。自動車などに燃料油を入れること。」等を意味する語として広く使用されているものである。 そして、本願の指定商品を取り扱う業界において、熱中症予防対策として、「塩分補給」という意味合いで「塩分チャージ」の語が使用され、「塩分チャージゼリー」、「塩分チャージ水分補給ゼリー」、「静岡塩みかん飴 おいしく塩分チャージ」、「ポップキャンディ(塩分チャージ)」等と商品と組み合わせて使用され、製造・販売されている実情があるから、本願商標全体として、「塩分補給することができる商品」程度の意味合いを容易に理解、認識させるものである。 また、本願商標は、ややデザイン化された「塩分」及び「チャージ」の文字を書してなるものであるが、該文字は、最近の商業広告等では、文字をデザイン化する手法が用いられていることを考慮すると、普通に用いられる方法の域を脱していないものであるから、これをその補正後の指定商品について使用するときは、これに接する取引者、需要者は、「塩分補給することができる商品」程の意味を認識、理解するにとどまり、単に、商品の品質を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものというのが相当である。 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。 (2)商標法第3条第2項に規定する要件を具備するか否かについて 出願人の提出した証左をもってしては、本願商標が、その使用の結果、出願人の業務に係る商品を表示するものであると、需要者が認識することができるものになっているとはいえない。 したがって、出願人の主張は採用できず、本願商標は商標法第3条第2項の要件を具備するものとはいえない。 4 当審の判断 (1)商標法第3条第1項第3号該当性について 本願商標は、別掲のとおり、白抜きの太字に黒色の縁取りが施された「塩分」の文字と「チャージ」の文字とを上下二段に書してなるところ、本願商標を構成する要素(書体、色彩、縁取り、二段書き)は、取引上、普通に採択されている程度のものであるから、本願商標の態様は、普通に用いられる方法の域を脱しない方法で表示するものというのが相当である。 また、その構成中の「塩分」の文字は、「固体・液体に含まれる塩類の量。塩気。」を、「チャージ」の文字は、「充電。蓄電。自動車などに燃料油を入れること。」(以上、株式会社岩波書店「広辞苑 第七版」)等をそれぞれ意味するものとして一般に知られるものである。 そして、原審説示のとおり、本願の指定商品を取り扱う業界においては、熱中症予防対策として、「塩分補給」という意味合いで「塩分チャージ」の語が使用されている実情があることから、本願商標全体として、「塩分補給することができる商品」程度の意味合いを容易に理解、認識させるものである。 そうすると、本願商標は、その指定商品「塩を含むタブレット状の菓子」との関係において、「塩分を補給する商品」程の意味合いを容易に認識させるものであって、これをその指定商品に使用したときは、これに接する取引者、需要者は、「塩分を補給する商品」程の意味合いを認識するにとどまり、本願商標は、単に、商品の品質を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものというべきである。 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。 (2)商標法第3条第2項に規定する要件を具備するか否かについて 請求人は、仮に、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとしても、同法第3条第2項の適用を受け得るものである旨主張し、その証拠方法として、当審において、資料1ないし資料300を提出している。 そこで、請求人の提出に係る資料について、以下に検討する。 ア 使用開始時期及び使用期間について 昨今、地球温暖化の影響により、熱中症予防のための水分及び塩分補給の重要性が高まる中、請求人は、2009年に、手軽かつ速やかに塩分を補給できる「塩を含むタブレット状の菓子」(以下「請求人商品」という。)を商品化し、販売を開始した(資料7)。2009年から2014年までは、当該商品の包装袋に「塩分チャージ」と横一列に記載した商標を使用していたが(資料7、24)、2015年3月より、本願商標を包装袋の中央に付した商品(以下「本件使用商品」という。)の販売を開始し(資料26、27)、現在に至るまで、その態様を変更せずに本件使用商品を継続的に販売している(資料26~36)。 イ 売上高、販売数量及び販売シェアについて 請求人は、スポーツドリンク味と塩レモン味の2種類の本件使用商品を全国展開している(資料14)。 販売開始1年目にあたる2009年の請求人商品の売上高は、2600万円であるが、2018年には、発売当初の約100倍にあたる25億6500万円に達し(資料37~39)、2019年には、年間売上高が31億2800万円に達したことが見て取れる(資料39)。 その後、2023年においては、約39億円の売上高があり(資料39)、請求人商品の1袋の平均単価が220円であることからすると、約1800万袋が販売されている計算となる(請求人の主張)。 これは、初年度の販売個数が約20万袋(資料40)であることと比較すると、14年間で販売個数が90倍となっている(請求人の主張)。 また、株式会社インテージSRI+の菓子における「塩分味・塩味市場 ブランド別シェアランキング」(金額)において、請求人商品は2017年9月ないし2018年8月で23.8%、2018年9月ないし2019年8月で25.3%、2019年9月ないし2020年8月で24.3%、2020年9月ないし2021年8月で25.0%、2021年9月ないし2022年8月で27.2%、2022年9月ないし2023年8月で33.7%のシェアを獲得しており、当該カテゴリーにおいて2017年以降連続してシェア1位を獲得しているだけでなく、シェアを年々伸ばしていることがわかる(資料44、45)。 さらに、2021年ないし2023年の3年間連続で日経POSの錠菓カテゴリー(塩分味・塩味市場に限られるものではない)においても、売上1位を獲得している(資料46~49)。 ウ 広告宣伝等の方法、期間、地域及び規模 請求人は、テレビCMやSNSでのキャンペーン、新聞・雑誌での広告掲載等の広告宣伝に加え、全国各地で請求人商品の無償配布を継続的に行っている。具体的には、マラソン大会やスポーツ大会等のイベント会場で請求人商品を配布している(資料150~193)。 また、請求人は、2018年より公益財団法人日本学校保健会(以下「日本学校保健会」という。)を通じて全国の幼稚園から高校までの学校に対して、請求人商品の無償配布を行っており(資料194~199)、その数は2022年までに累計1万7000校に及ぶものとなった。2023年にも、全国の5000校の幼稚園から高校までを対象とした学校現場に請求人商品の無償配布を行った(資料200~202)。 さらに、請求人商品は、日本学校保健会の推薦用品にも選ばれており(資料204~216)、学校以外にも、高齢者施設等へ無償配布され(資料217~219)、2015年以降、地震や水害の被災地に支援物資としても送付されている(資料9、300)。 その他、請求人は、一般財団法人日本気象協会の「熱中症ゼロへ」プロジェクトにオフィシャルパートナーとして参画しており、本件使用商品は、当該キャンペーンの公式アイテムとして紹介されている(資料220~225)。 加えて、請求人は、メールマガジンの配信(資料227~231)や、「塩分チャージ」の公式ツイッターアカウント等から、本件使用商品のキャンペーン情報の配信(資料232~237)を行っている。 請求人は、無償配布による広告宣伝活動を行う一方で、2018年7月6日ないし15日の間に全国で2,619本のテレビCMを放映し(資料238、239)、2023年にも64本のテレビCMを放映したほか(資料240~242)、新聞・雑誌にも広告を掲出している(資料243~244)。 エ 請求人以外の者による紹介記事 本件使用商品は、多くの新聞、あらゆる層を対象とした雑誌等において、熱中症対策商品の一つとして紹介されている(資料248~285)。 また、熱中症対策に関する記事のみならず、本件使用商品が塩分補給菓子の分野において、シェア第1位を獲得したこと等も紹介されている(資料42、250、285~287、290)。 オ アンケート調査について 2019年から2022年に株式会社マクロミルが実施したインターネット調査によれば、「塩分を補給する菓子商品で知っているもの(選択肢あり)」という質問において、2019年は38.8%、2020年は43.6%、2021年は49.2%、2022年は49.3%、2023年は56.3%の人が「塩分チャージ」と回答した(資料295、296)。また、「塩分補給に適するキャンディ又はタブレット菓子と聞いて思い浮かべる商品」については、年代及び性別別において、15ないし19歳の57.9%(男性:44.6%、女性71.8%)が、「塩分チャージ」と回答した(資料297)。 2021年に実施されたバイヤー調査では、本件使用商品がタブレット菓子の分野において、総合評価で首位を獲得した(資料298)。 さらに、2023年8月24日から28日に株式会社インテージが実施した、15ないし79歳の男女でキャンディまたはタブレット菓子を、直近3ヶ月以内に月1以上の頻度で購入した者及び指定ブランド(本件使用商品を含むいずれも塩分味・塩味菓子)の商品を直近3ヶ月以内に購入した者に実施した定点調査によると、本件使用商品は、「認知」「理解」「購入意向」「3ヶ月以内購入」においてトップである(資料299)。特に、認知度においては、56.3%であり、2位以下の認知度が20%台であることと比較すると、本件使用商品の認知度はこれらの約3倍にあたることが見て取れる(資料299の11頁)。男女別の年代ごとの認知度では、女性の15-19歳においては87.8%あり、女性においては60歳以上を除いて約7割以上の認知度がある一方、男性15-19歳では74.3%の認知度があり、20-59歳でも平均54%以上の認知度があることが見て取れる(資料299の13頁)。 カ 小括 上記アないしオによれば、請求人は、2009年に請求人商品の販売を開始し、2015年3月より、請求人商品に本願商標の使用を開始し、現在に至るまで、その態様を変更せずに継続的に使用している。 そして、本件使用商品は全国で販売され、2017年以降、塩分味・塩味市場の菓子カテゴリーにおいて、市場シェア1位を維持しているとともに、2021年から2023年の3年間連続で錠菓カテゴリー(塩分味・塩味市場に限られるものではない)においても、売上1位を獲得している。 また、請求人は、テレビCMやSNSでのキャンペーン、新聞・雑誌での広告掲載等に加え、全国各地のイベント会場、学校現場、高齢者施設や被災地等において、無償配布による宣伝広告活動を継続的に行っているほか、本件使用商品は、新聞、あらゆる層を対象とした雑誌等、種々の媒体において、第三者により、請求人の取扱いに係る商品として多数紹介されている。 加えて、2023年に実施したインターネット調査によれば、「塩分を補給する菓子商品で知っているもの(選択肢あり)」という質問において、56.3%の人が「塩分チャージ」と回答し、2021年に実施されたバイヤー調査では、本件使用商品がタブレット菓子の分野において、総合評価で首位を獲得した。 さらに、2023年8月24日から28日に実施したアンケート調査によると、本件使用商品の認知度は、56.3%であり、特に、女性においては60歳以上を除いて約7割以上の認知度があるなど、請求人商品は需要者において、相当程度知られていると認められる。 以上を総合的に考察すれば、本願商標は、請求人の業務に係る商品(「塩を含むタブレット状の菓子」)を表示するものとして、我が国の需要者の間において、広く認識されているとみるのが相当である。 また、職権による調査によれば、本願商標と同一又は類似する標章を、本願の指定商品を取り扱う業界において、他人が使用している事実は発見できなかった。 そうすると、本願商標は、その指定商品について、請求人により継続的に使用をされた結果、需要者が何人か(請求人)の業務に係る商品を表示する商標として認識するに至ったものとみるのが相当である。 したがって、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備するものというべきである。 (3)まとめ 以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものの、同条第2項の要件を具備するものであり、商標登録を受けることができるものであるから、原査定は取消しを免れない。 その他、本願について拒絶の理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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