商標拒絶査定不服審判
2024-005536
メンタイジュー
- 審判番号
- 2024-005536
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2023-052540
- 請求日
- 2024年04月03日
- 審決日
- 2025年03月18日
- 公報発行日
- 2025年05月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】元祖博多めんたい重株式会社
- 【請求人代理人】有吉 修一朗
- 【請求人代理人】森田 靖之
- 【請求人代理人】遠藤 聡子
- 審判長/審判官
- 審判長 高橋 幸志
- 審判官 小俣 克巳
- 審判官 鯉沼 里果
- 分類
- T18 .13 -Z (W30) / T18 .17 -Z (W30)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、商標法第3条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2023- 52540拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和5年5月16日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和5年 9月22日付け:拒絶理由通知書
令和5年10月30日 :意見書の提出
令和5年12月25日付け:拒絶査定
令和6年 4月 3日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和6年12月17日付け:審尋
2 本願商標
本願商標は、「めんたい重」の文字を標準文字で表してなり、第30類に属する願書記載の商品を指定商品として登録出願されたものである。
その後、本願の指定商品は、当審における上記1の手続補正書により第30類「弁当」に補正されたものである。
3 原査定の拒絶の理由(要旨)
本願商標は、「めんたい重」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「めんたい」の文字は「明太子の略。」を意味し、また、「重」の文字は、例えば、食品業界においては、重箱の中に御飯を入れ鰻の蒲焼を載せた料理を「うな重」と称し、鶏肉を載せた料理を「鶏重」、牛肉を載せた料理を「牛肉重」、天ぷらを載せた料理を「天重」及びいわしを載せた料理を「いわし重」などと称しているように、特定の食材を冠した「○○重」の構成からなる文字が、重箱の中に御飯を入れて特定の食材を載せた料理を表す語として使用されている実情がある。
また、同業界では、だし巻き卵やウィンナーなど副菜を主材として御飯の上に載せて重箱に入れたものがあり、そのような料理のレシピの紹介や、商品の取引がされている実情もある。
さらに、同業界において、うな重や鶏重などが弁当として販売されている実情も伺える。
そうすると、「めんたい重」の文字が、辞書類に載録の無いという意味での造語であり、また、「めんたい重」そのものの使用例がないとしても、上述の取引の実情と、本願商標の指定商品とを併せ考慮するならば、主材である明太子の意味を有するめんたいの文字を「重」の文字に結合させた構成からなる本願商標に接した取引者、需要者は、「重箱の中に御飯を入れ明太子を載せた料理の弁当,それに用いる商品」であることを直接的かつ具体的に認識するのが相当である。
したがって、本願商標をその指定商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、その商品が「重箱の中に御飯を入れ明太子を載せた料理の弁当,それに用いる商品」であることを認識するにすぎないものといえるから、本願商標は、商品の品質、原材料を普通に用いられる方法で表示するものといえる。
なお、請求人は、本願商標の使用の実績及び本願商標が需要者等に十分に知られたことを示す事例をあげ、本願商標は十分に自他商品の識別標識としての機能を有する旨主張しているものの、提出された証拠からは、詳細な実情が不明確であって、「めんたい重」が使用された弁当等の商品が十分に知られているものとは認めることができない。
よって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。
4 当審における審尋
当審において、上記1の審尋により、別掲1ないし3に掲げる事実を記載した上で、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当し、同条第2項の要件を具備するものとは認められないとの暫定的見解を示し、期間を指定した上で請求人に対し意見を求めたが、請求人は、応答期間において、当該審尋に対する意見を提出していない。
5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、「めんたい重」の文字を標準文字で表してなるものであるところ、その構成中、「めんたい」の文字は「明太子の略。」を、「重」の文字は「重箱の略。」をそれぞれ意味する語(いずれも出典:広辞苑 第七版 株式会社岩波書店)である。また、本願の指定商品を含む食品を取り扱う分野において、「重」の文字は、原審において提示したとおり、重箱又はその代用品(以下「重箱など」という。)の中にご飯を入れ、そのご飯の上に鶏肉をのせた料理が「鶏重」、そのご飯の上に天ぷらをのせた料理が「天重」等のように称されているように、重箱などに入れたご飯の上にのせる食材を「重」の文字に冠して「○○重」のように表した語が料理名として一般に使用されているのみならず、当該「○○重」が弁当として販売されている実情がある(別掲1)。
そして、食品を取り扱う分野において、本願商標である「めんたい重」やこれに通じる「明太重」の文字が、「重箱などの中にご飯を入れ、そのご飯の上に明太子をのせた料理」を表示するものとして一般に使用されている実情が確認できるものである(別掲2)。
そうすると、本願商標をその指定商品に使用した場合には、取引者、需要者は、当該商品が、「重箱などの中にご飯を入れ、そのご飯の上に明太子をのせた料理からなる弁当」であることを示したものと理解するというのが相当である。
さらに、本願商標は、「めんたい重」の文字を標準文字で表してなるものであるから、普通に用いられる方法で表してなるものである。
してみると、本願商標は、その指定商品に使用したときには、その商品の品質(内容)を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものというのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)商標法第3条第2項に規定する要件を具備するか否かについて
請求人は、本願商標は、請求人により使用された結果、請求人の業務に係る商品の識別標識としての機能を果たしている旨主張し、証拠方法として、当審において第1号証ないし第15号証(枝番号を含む。以下、枝番号のすべてを示すときは、枝番号を省略する。)を提出している。
そこで、請求人の主張及び同人の提出にかかる甲各号証に基づいて、本願商標が商標法第3条第2項に規定する要件を具備するものであるか否かについて、以下検討する。
ア 本願商標と使用商標の同一性について
本願商標は、上記2のとおり「めんたい重」の文字を標準文字で表してなるものである。
他方、請求人が販売する「めんたい重と称する弁当」(以下「本件商品」という。)の包装用紙や紙袋等、本件商品に表示されている標章は、赤で塗りつぶされた背景に毛筆風の書体で縦書きされた「めんたい重」の文字と白抜きで印章様に表された「元祖博多」の文字よりなるロゴ(以下「印章様ロゴ」という。)を組み合わせた標章及び「元祖博多めんたい重」の文字であるところ(甲6、甲10等、別掲3、以下これらの標章を「使用商標」という。)、使用商標は、印章様ロゴの有無又は「元祖博多」の文字の有無において本願商標と相違することからすれば、使用商標と本願商標は、その構成態様が異なるものといえるものであるから、同一のものとは認められない。
そして、「めんたい重」の文字のみの使用例は、店舗で使用されているメニューに記載された毛筆体の表示(甲9)及び公式SNSにおける投稿記事内への表示(甲1-10、甲1-11、甲12等)であるところ、これら表示のうち、本願商標と同一と認められるものは、公式SNSにおける投稿記事内への表示のみである上、これら公式SNSの投稿記事内におけるほとんどの「めんたい重」の表示は、請求人が飲食物の提供も行っていることからすると(請求人主張)本願の指定商品(弁当)について使用されたものであるかどうかは不明である。
イ 商品の同一性について
本件商品は、明太子を用いた弁当であるから、本願の指定商品(弁当)に包含されるものである。
ウ 本願商標の使用実績について
請求人は2011年から福岡県福岡市内において本件商品の販売を行っており、2024年時点で本件商品を取り扱う店舗は同市内に2店舗あり、期間限定の催事等の販売は2022年と2023年に同市内において各1回ずつ行われている(甲7、甲8)。
エ 広告宣伝の方法
請求人による広告宣伝は、請求人の公式ホームページと複数の請求人の公式SNSにおいて行われている(甲12)。
オ 第三者による紹介
2013年以降のSNSやブログ等に、本件商品に関する著名人や需要者による投稿記事が掲載されている(甲1、甲4)。また、インターネット上のグルメ情報サイト、新聞社のウェブサイト、旅行者向けの情報サイト(以下「インターネットの情報サイト」という。)において本件商品を紹介した記事が掲載されている(甲5、甲13)。
カ 請求人以外の者による本願商標と同一又は類似する標章の使用の有無及び使用状況
上記(1)のとおり、「めんたい重」やこれに通じる「明太重」の文字が、「重箱などの中にご飯を入れ、そのご飯の上に明太子をのせた料理」を表示するものとして、別掲2のとおり、請求人以外の者により使用されている事実がある。
キ 判断
上記アないしカによれば、本件商品は、明太子を用いた弁当として、2011年に販売開始され、今日まで継続的に製造、販売されていることがうかがわれる。
しかしながら、上記アのとおり、公式SNSにおける投稿記事に記載されている「めんたい重」の文字が本願商標と同一の文字からなるとしても、実際に商品の包装等に使用されている標章(使用商標)は本願商標と、その構成態様を異にし、本願商標と同一のものとは認められない。
また、本件商品を取り扱う店舗は、期間限定の店舗も含め、福岡県福岡市内のみと限定された地域にとどまるものである。
さらに、請求人による本件商品の広告宣伝は、請求人の公式ホームページと公式SNSのみのインターネットを経由して宣伝する方法に限定されており、その規模が大きいものとは認められない。
そして、インターネットの情報サイト、著名人及び需要者によるSNSによる紹介記事が存在するとしても、これらの記事は、そもそもインターネットを通じた情報発信であり、記事を能動的に閲覧しようと思わなければ閲覧できないこと、インターネットを利用していない需要者層に有効な広告宣伝活動ではなく、さらに、SNSを通じた情報発信は、SNSを利用する者に限定されることからすれば、本願の指定商品の需要者の間における本件商品の知名度を高める効果は限定的である。
なお、インターネットの情報サイトに本件商品を紹介した記事が掲載される際には、その傍らのほとんどに、請求人の商号の略称を表す「元祖博多めんたい重」の文字が使用されている。
加えて、上記(1)のとおり、本願商標である「めんたい重」やこれに通じる「明太重」の文字が、「重箱などの中にご飯を入れ、そのご飯の上に明太子をのせた料理」を表示するものとして一般に使用されている事実が認められる。
以上からすれば、本件商品又はその宣伝広告に接した需要者が、「めんたい重」の文字部分(本願商標)のみを自他商品識別標識として認識する事情は見当たらず、使用商標の構成中の「めんたい重」の文字部分(本願商標)のみが他の文字等から独立し、その指定商品に使用された結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを全国的に認識することができるに至っていると認めることはできない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備しない。
(3)請求人の主張について
請求人は、本願商標と同一の構成よりなる「めんたい重」の登録(2件)を請求人が有していること及び請求人とは無関係の第三者が本願商標「めんたい重」の文字を多数使用している事実がないことから、本願商標は十分に自他商品識別機能を有するものである旨主張する。
しかしながら、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであるか否かの判断は、当該登録出願の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様と指定商品との関係や、その商品の分野における取引の実情をも踏まえて、個別具体的に判断されるべきものであるところ、請求人の挙げた登録例は、商標の構成態様を本願商標と同一にするものの、その指定商品又は指定役務が異なることから、これら過去の登録例が存在することをもって、本願商標の上記判断が左右されるものではなく、また、上記(1)のとおり、昨今の食品を取り扱う分野において、「めんたい重」やこれに通じる「明太重」の語が一般に使用されている実情が確認できることからすれば、取引者、需要者は、当該商品が、「重箱などの中にご飯を入れ、そのご飯の上に明太子をのせた料理からなる弁当」であると理解するというのが相当である。
したがって、請求人の主張は採用することができない。
(4)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであって、また、同条第2項に規定する要件を具備するものともいえないから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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