商標拒絶査定不服審判
2024-005368
フクゴーカコーキケンテー、フクゴーカコーキ
- 審判番号
- 2024-005368
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2023-033457
- 請求日
- 2024年04月01日
- 審決日
- 2025年02月07日
- 公報発行日
- 2025年04月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】中村留精密工業株式会社
- 【請求人代理人】大谷 嘉一
- 審判長/審判官
- 審判長 鈴木 雅也
- 審判官 滝口 裕子
- 審判官 小田 昌子
- 分類
- T18 .13 -Z (W41)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、特許法第150条第5項、商標法第6条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2023- 33457拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和5年3月29日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和5年10月5日付け :拒絶理由通知書
令和5年11月10日 :意見書、手続補正書の提出
令和5年12月26日付け:拒絶査定
令和6年4月1日 :審判請求書の提出
令和6年10月21日付け:証拠調べ通知書
令和6年12月5日付け :意見書、手続補正書の提出
2 本願商標
本願商標は、「複合加工機検定」の文字を標準文字で表してなり、第41類「工作機械に関する知識・技術の検定,工作機械に関する知識・技術の教授及び訓練」を指定役務として登録出願されたものであり、その後、本願の指定役務については、上記1の手続補正により、最終的に第41類「中村留精密工業株式会社製複合加工機に関する知識・技術の検定,中村留精密工業株式会社製複合加工機に関する知識・技術の教授及び訓練」(以下「最新の補正後指定役務」という。)に補正されたものである。
3 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は「複合加工機検定」の文字を標準文字で表してなるところ、本願の指定役務に関する業界において、いろいろな加工を行う機械について「複合加工機」の文字が用いられている実情があるとともに、様々な機械や機器の検定試験が実際に行われていることから、本願商標をその指定役務に使用したときは「複合加工機に関する検定試験に関する役務」であると需要者に認識させるにすぎない。したがって、本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
4 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、別掲1及び別掲2の事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、上記1のとおり、証拠調べ通知書によって通知し、相当の期間を指定してこれに対する意見を求めた。
5 証拠調べ通知に対する請求人の意見(要旨)
複合加工機は、機械加工できる加工の種類が製造メーカーにより様々であるから、請求人は、自社が製造している複合加工機の操作知識やその技術のレベルの検定と、訓練指導を行うことを目的に指定役務を明確にしたため、再度審理の上、登録すべきである。
6 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号について
商標法第3条第1項第3号に掲げる商標が、商標登録の要件を欠くとされているのは、このような商標は、指定役務との関係で、その役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途その他の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他役務の識別力を欠くものであることによるものと解される。
そうすると、商標が、指定役務について役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるというためには、商標が指定役務との関係で、役務の質を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、当該商標が当該指定役務に使用された場合に、取引者、需要者によって、将来を含め、役務の質を表示したものとして一般に認識されるものであれば足りるものであって、必ずしも当該商標が現実に当該指定役務に使用されていることを要しないと解される(知財高裁令和4年5月19日判決(令和3年(行ケ)第10100号))。
(2)本願商標の商標法第3条第1項第3号の該当性について
本願商標は、上記2のとおり、「複合加工機検定」の文字を標準文字で表してなるところ、加工機械の分野においては、別掲1のとおり、「複合加工機」の文字が「複数の機能を兼ね備える工作機械」ほどの意味合いで使用されている実情があり、「検定」の文字は、「検定試験の略。」(「広辞苑 第七版」岩波書店)を意味することから、本願商標は、その構成文字から「複合加工機に関する検定試験」の意味合いを容易に理解させるものである。
そして、検定試験の分野においては、別掲2のとおり、様々な機械や機器の検定試験が行われている実情が多数見受けられることからすれば、本願商標を最新の補正後指定役務に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「複合加工機に関する検定試験に係る役務」であることを認識するにすぎない。
また、上記2のとおり、本願商標は、標準文字で表してなるものであるから、その態様上顕著な特徴は認められない。
したがって、本願商標は、その指定役務との関係で、役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものというのが相当であるから、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(3)請求人の主張について
ア 請求人は、上記1の原審における意見書において、本願商標「複合加工機検定」の文字も「複合加工機」の文字も、辞書等に記載されておらず、審査官が「複合加工機」と「検定」とを分離し、それぞれの文字に識別力がないと判断したことに承服できず、本願商標が暗に「複合加工機」に関連する検定であることを示唆したものであったとしても、それは間接的であって、決して直接的ではない旨主張する。
しかしながら、上記(2)のとおり、各語の語義及び別掲1及び別掲2の取引の実情に鑑みれば、本願商標は、「複合加工機に関する検定試験」の意味を容易に認識させるというべきである。
イ 請求人は、上記1の審判請求書において、複合加工機の技能に関する検定を通じて、知識・技術の教授及び訓練は業界初であり、他に行われているとの事実も見当たらない旨主張する。
しかしながら、上記(1)のとおり、商標法第3条第1項第3号は、取引者、需要者に指定役務の質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、当該表示態様が役務の質等を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解されることからすれば、本願商標からは「複合加工機に関する検定試験」の意味合いが一般に認識されるというべきであるから、複合加工機の技能に関する検定を通じて、知識・技術の教授及び訓練が業界初であるとしても、本願商標が同号に該当しないとはいえない。
ウ 請求人は、過去の登録例から見ても本願商標は、登録すべきものであり、審査官がこれらの登録例を参考にせず、単に個別的案件と認定したことにも承服しかねる旨主張する。
しかしながら、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであるか否かの判断は、当該商標登録出願の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様と指定商品及び指定役務との関係や、その商品及び役務の分野における取引の実情をも踏まえて、個別具体的に判断されるべきものであるところ、請求人の挙げた登録例は、商標の構成文字が異なるものであり、取引の実情も異なる点において、本願商標とは、事案を異にするものというべきであるから、過去の登録例が存在することをもって、本願商標の登録の適否の判断基準とするのは必ずしも適切ではない。
加えて、審決時の別掲1及び別掲2の取引の実情を考慮すれば、本願商標からは、「複合加工機に関する検定試験」の意味合いが理解、認識されるというべきである。
エ 請求人は、上記1のとおり、当審において手続補正書を提出して指定役務を最新の補正後役務に補正し、複合加工機は機械加工できる加工の種類が製造メーカーにより様々であるため、請求人は自社が製造している複合加工機の操作知識やその技術のレベルの検定と訓練指導を行うことを目的に指定役務の対象商品を明確にした旨主張する。
しかしながら、最新の補正後指定役務との関係においてもなお、本願商標「複合加工機検定」よりは、「複合加工機に関する検定試験」の意味が容易に認識されるというのが相当である。
なお、最新の補正後指定役務は、その表示中に「中村留」の文字が用いられているところ、当該文字は登録商標(登録第3062899号商標、登録第3091909号商標及び登録第3186089号商標)の構成文字として自他商品・役務の識別標識となり得るものであり、これを指定商品又は指定役務の表示に用いることは商品又は役務の内容や範囲を明確に表しているとはいえないため、商標法第6条第1項の要件を具備しないものである。
オ したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。
(4)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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