意匠拒絶査定不服審判
2024-005256
包装用袋
- 審判番号
- 2024-005256
- 法域
- 意匠
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 意願2022-022593
- 登録番号
- 1803241
- 請求日
- 2024年03月28日
- 審決日
- 2025年06月05日
- 公報発行日
- 2025年07月25日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】株式会社コバヤシ
- 【請求人代理人】弁理士法人レガート知財事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 前畑 さおり
- 審判官 坂田 麻智
- 審判官 清野 貴雄
- 分類
- D18 .113-WY (F4-4)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 意匠法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 意匠法第3条第1項第3号、意匠法第4条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
意願2022- 22593「包装用袋」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、意匠法第4条第2項の規定(新規性の喪失の例外)の適用を受けようとする、令和4年(2022年)10月19日の意匠登録出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和5年(2023年) 8月24日付け:拒絶理由の通知
同年 10月11日 :意見書の提出
令和6年(2024年) 1月31日付け:拒絶査定
同年 3月28日 :審判請求書の提出
第2 本願の意匠
本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品を「包装用袋」とし、その形状、模様、若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状等」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)。
第3 原査定における拒絶の理由及び引用の意匠
原査定の拒絶の理由は、本願意匠が、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の意匠(以下「引用意匠」という。)に類似するものであるから、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものである。
引用意匠(別紙第2参照)
大韓民国意匠商標公報 2021年 1月20日
食品用包装材(登録番号30-1091864)の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第RH02449065号)
第4 当審の判断
1 本願意匠と引用意匠の対比
(1)本願意匠と引用意匠の意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は「包装用袋」であり、引用意匠の意匠に係る物品は「食品用包装材」であって、表記は異なるが、いずれも食品を包装するための袋であるから、本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は、一致する。
(2)両意匠の形状等
両意匠の形状等を対比すると、主として以下のとおりの共通点及び相違点が認められる。
なお、認定に際し、引用意匠の図の向きを、本願意匠の図の向きに合わせて、正面図における開口部を左側に90度回転させて認定する。
ア 共通点
(共通点ア)全体は、略横長長方形の透明と不透明な薄シートを2枚重ねてなる袋体であって、正面視左端を開口し、上下端及び右端に細幅の縁を設けている点、
(共通点イ)正面側シートに多数の小孔を格子状に配している点、
において共通する。
イ 相違点
(相違点ア)全体の縦横比について、本願意匠は約1:1.73であるのに対し、引用意匠は約1:1.21で、本願意匠の方が引用意匠より横長である点、
(相違点イ)正面側シートに配された多数の小孔の配列について、本願意匠は「斜め格子状」に配しているのに対し、引用意匠は「縦横格子状」に配している点、
(相違点ウ)小孔について、本願意匠は、シートの縁の内側左右にやや余地を残して配しているのに対し、引用意匠は、シート全体に配している点、
(相違点エ)開口部について、本願意匠は、正面側シートの横幅がやや短く、左端開口部に背面側シートの一部が正面視略細幅縦帯状に表れているのに対し、引用意匠は、2枚のシートが略同形同大であって、左端開口部が一直線状に重なっている点、
において相違する。
2 類否判断
以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に与える影響の評価に基づき、総合的に観察して、両意匠の類否を意匠全体として検討し、判断する。
(1)意匠に係る物品
両意匠の意匠に係る物品は一致するから、同一である。
(2)両意匠の形状等の共通点及び相違点の評価並びに類否判断
ア 共通点の評価
(共通点ア)及び(共通点イ)については、いずれもこの種物品分野において本願出願前からよく見られるものであり(例えば、共通点アについては下記の参考意匠1から参考意匠3まで参照、共通点イについては参考意匠4から参考意匠6まで参照。)、特に需要者が注意を引くものではないので、これらの共通点が両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
参考意匠1(別紙第3参照)
登録意匠第1324507号「薬袋」の意匠
参考意匠2(別紙第4参照)
特開平7-267256号の図1及び図3にあらわされた収納袋の意匠
参考意匠3(別紙第5参照)
実開昭59-66738号の第1図及び第2図にあらわされた片面透明な封筒及び包装袋の意匠
参考意匠4(別紙第6参照)
大韓民国意匠商標公報 1998年11月16日
農産物包装台(登録番号30-0227755)の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号HH14545163号)
参考意匠5(別紙第7参照)
意匠登録第1377503号「包装用袋」の意匠
参考意匠6(別紙第8参照)
大韓民国意匠商標公報 2001年6月15日
野菜用ビニール袋(登録番号30-0276578)の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号HH14608683号)
イ 相違点の評価
(相違点ア)については、本願意匠の方が横長な印象を生じているのに対し、引用意匠は僅かに横長ではあるものの、ほとんど正方形に近い印象を生じており、需要者に別異の美感を与えるものであって、両意匠の類否判断に与える影響は大きい。
(相違点イ)については、正面側シートに配された多数の小孔について、「斜め格子状」のものも(参考意匠6参照。)、「縦横格子状」に配されているものも(参考意匠4及び参考意匠5参照。)、この種物品では本願出願前からよく見られるものであり、特に需要者の注意をひくものではないので、両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
(相違点ウ)については、小孔を配さない余地部の有無は、水分や蜜等の漏れ防止などの機能的使い勝手に影響するため、左右いずれの領域における相違も需要者の注意を強くひくものであるから、両意匠の類否判断に与える影響は大きい。
(相違点エ)については、左端開口部に背面側シートの一部が正面視略細幅縦帯状に表れている点は、ごくわずかな面積であるため、両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
ウ 形状等の類否判断
両意匠の形状等における共通点及び相違点の評価に基づき、意匠全体として総合的に観察し判断した場合、共通点が両意匠の類否判断に与える影響は限定的である。一方で、相違点(イ)及び(エ)が、両意匠の類否判断に与える影響は小さいとしても、相違点(ア)及び(ウ)が、両意匠の類否判断に与える影響は大きい。
したがって、両意匠の形状等を全体として総合的に観察した場合、両意匠の形状等は、共通点に比べて、相違点が両意匠の類否判断に与える影響の方が大きいものであるから、両意匠の形状等は類似しない。
(3)小括
そうすると、両意匠は、意匠に係る物品は同一であるが、両意匠の形状等においては類似しないから、本願意匠は引用意匠に類似しない。
第5 むすび
以上のとおり、原査定の引用意匠をもって、本願意匠は、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから、原査定の拒絶の理由によって、本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。
また、当審において更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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