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特許拒絶査定不服審判

2024-004521

着用可能なエアバッグ装置

審判番号
2024-004521
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2021-532335
請求日
2024年03月14日
審決日
2025年06月09日
公報発行日
2025年11月28日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】アルパインスターズ リサーチ ソシエタ ペル アチオニ
  • 【請求人代理人】弁理士法人谷・阿部特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 土居 仁士
  • 審判官 丸山 高政
  • 審判官 寺谷 大亮
分類
P18 .121-Z (A41D)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2021-532335「着用可能なエアバッグ装置」拒絶査定不服審判事件〔令和2年6月11日国際公開、WO2020/115137、令和4年3月11日国内公表、特表2022-517905〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2019年(令和元年)12月4日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2018年12月5日(IT)イタリア)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯の概要は以下のとおりである。 令和 5年 2月28日付け 拒絶理由通知書 8月 1日 意見書・手続補正書 11月10日付け 拒絶査定 令和 6年 3月14日 審判請求書 以下では、令和5年11月10日付け拒絶査定を「原査定」という。 第2 本願発明 本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和5年8月1日の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものと認める。 なお、後の参照の便宜のため、請求項1に記号A1~D3を付して分説し、「発明特定事項A1」のようにして参照する。 【請求項1】 A1 衝撃および/または落下からユーザーを保護するために着用されるのに適した、着用可能なエアバッグ装置(100;1100)であって、 A2 その間にガス膨張可能体積(V)を画定する第1の側面(12;112)および第2の側面(14;114)を含む少なくとも1つの膨張式バッグ(10;110)であって、 A3 前記少なくとも1つの膨張式バッグ(10;110)は、前記第1の側面(12;112)および第2の側面(14;114)の間に画定された複数の気流通路(40;140)を備え、および、収縮状態にある静止構成と、膨張状態にある活動構成とを交互に取るように構成されている、少なくとも1つの膨張式バッグ(10;110)と、 B 膨張手段(30;130)であって、前記少なくとも1つの膨張式バッグ(10;110)と流体連通しており、前記膨張手段(30;130)は、所定量の膨張液を前記少なくとも1つの膨張式バッグ(10;110)内に導入するように構成されている膨張手段(30;130)と、 C ケーシング(20;120)であって、ユーザーによって着用され、前記少なくとも1つの膨張式バッグ(10;110)を収容して支持するように構成され、前記ケーシング(20;120)が、通気性のある材料で作られているケーシング(20;120)と、を備え、 D1 前記膨張手段(30;130)は、ユーザーの動きを絶えず監視する制御ユニットによって電気的に制御され、 D2 前記制御ユニットは、着用可能なエアバッグ装置(100;1100)に配置されたセンサーによって検出されたデータを、前記制御ユニット内に事前にロードされたアルゴリズムと一定の時間間隔で比較するのに適している D3 ことを特徴とする、着用可能なエアバッグ装置(100;1100)。 第3 原査定の概要 原査定の概要は、以下のとおりである。 (進歩性)この出願の請求項1~16に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の文献に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 1.特開2006-218971号公報 2.特開2012-130663号公報(周知技術を示す文献) 3.登録実用新案第3059127号公報(周知技術を示す文献) 4.米国特許第4242769号明細書(周知技術を示す文献) 5.米国特許出願公開第2012/0246788号明細書(周知技術を示す文献) 6.米国特許第3866241号明細書(周知技術を示す文献) 7.特表2004-508235号公報 第4 引用文献1について 原査定の拒絶の理由で引用された特開2006-218971号公報(以下「引用文献1」という。)の記載を、以下の1に摘記する。 また、引用文献1に記載された発明(以下「引用発明1」という。)を、以下の2のとおり認定する。 1 引用文献1の記載 引用文献1には以下の記載がある。なお、下線は強調のために当審で付した(以下同様)。 (1)「【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0003】 ところで、かかる着用式エアバッグ装置において、乗員がエアバッグを設けた着用物を着用し易くすると共に乗員への衝撃を効果的に緩衝できるようにすることが望ましく、かかる要望を充足する手段として、 (1) 乗員がエアバッグを設けた通常のジャケットなどの着用物を躊躇せずに気楽に着用できること。 【0004】 (2) エアバッグは、乗員の少なくとも胸部の全域を一様に覆うことができるようにすること。 【0005】 が考えられる。 【0006】 ところが、前記ジャケットなどの着やすい着用物は、図7に示すように、その前側の中央部に左右に前開きするための開き縁を備え、その開き縁を、スライドファスナー、釦、面ファスナーなどのファスナーにより開閉できるようにされているのが普通であるため、乗員の胸部を覆うべくこの着用物の前見頃にエアバッグを設けようとすれば、このエアバッグを、そのファスナーを避けて、着用物の前身頃の中央部にて左右に分割して設けざるをえず、乗員の胸部を一様に覆うことが難しいという課題がある。 【0007】 本発明はかかる実情に鑑みてなされたものであり、前記課題を解決した、新規な車両用エアバッグ装置を提供することを目的とするものである。」 (2)「【0017】 まず、図1~5を参照して本発明の第1実施例について説明するに、この第1実施例は、自動二輪車に、本発明エアバッグ装置を実施した場合であり、図1は、車両用エアバッグ装置を備えた自動二輪車の側面図、図2は、エアバッグ装置の全体図、図3は、エアバッグを備えたジャケットの斜視図、図4は、前開きした状態のジャケットの前面図、図5は、エアバッグ装置が作動した状態の自動二輪車の側面図である。 【0018】 図1において、自動二輪車は、その車体Bの前端のヘッドパイプ1に、前輪WFを軸架したフロントフォーク2が操向可能に支持され、このフロントフォーク2の上部に操向ハンドル3が設けられる。また、車体Bの後部には、車体Bに支持したエンジン(図示せず)により駆動される後輪WRが懸架される。車体Bの後半部の上面には、二人乗り用のタンデムシート4が設けられる。このタンデムシート4上には、着用物、たとえばジャケット10(後に詳述)を着用した乗員Mが座乗する。」 (3)「【0020】 また、自動二輪車の車体Bの後部には、前記起動スイッチ23に近づけて電子制御ユニット25が設けられ、さらに、車体Bの前部には、車両に加わる衝撃力を検知して、その衝撃力の大きさに応じた検知信号を前記電子制御ユニット25に送る衝撃センサ26が設けられる。電子制御ユニット25は、衝撃センサ26の検知信号を受け、前記衝撃力が過大と判定したとき、出力信号を発するようにされており、そこから延びる出力信号線は、前記脱着式の起動スイッチ23に接続されている。」 (4)「【0023】 前記ジャケット10の裏側には、前記エアバッグ20が装着される。このエアバッグ20は、前部エアバッグ20Fと後部エアバッグ20Rとよりなる。前部エアバッグ20Fは、図2,4に示すように、前記開き縁13A,13Bを避けて、ジャケット10の前見頃10Aの裏面に、その略全域にわたり一体的に設けられており、着用者Mの胸部を略全面にわたり均等に覆うようにされている。また、後部エアバッグ20Rもジャケット10の後見頃10Rの裏面に、一体的に設けられており、着用者Mの背部を覆うようにされている。前記前後部エアバッグ20F,20Rは連通路20Cをもって相互に連通されており、前記インフレータ21からの高圧ガスにより略同時に膨張展開するようにされる。 【0024】 図3,4に示すように、ジャケット10は、その左右袖口15からその下縁に至るまで前後に分かれており、その前後の分かれ縁16,17間は、伸縮生地18により接続されている。この伸縮生地18は、通常は、前後の分かれ縁16,17を接近させる方向に付勢しており、エアバッグ20が膨張展開するとき、ジャケット20がそれに追従できるように前後方向に伸長される。」 (5)「【0028】 また、他の車両や障害物などとの衝突事故に遭遇すると、衝撃センサ26が衝撃力を検知して、その衝撃力の大きさに応じた検知信号を電子制御ユニット25に入力する。電子制御ユニット25では、その衝撃力が過大か否かを判定し、過大と判定したとき、その出力信号を起動スイッチ23に入力する。これにより、図5に示すように、脱着式の起動スイッチ23の連結が強制解除されてインフレータ12を作動し、エアバッグ20を膨張展開して障害物との衝突による乗員Mへの衝撃を吸収することができると共に乗員Mは車体Bから離れることができる。」 (当審注:上記「インフレータ12」は、【0023】及び図2の記載から、「インフレータ21」の誤記と認める。) (6)「【0035】 たとえば、前記実施例では、本発明を自動二輪車に実施した場合を説明したが、これを自動車三輪車などの他の車両にも実施できることは勿論である。また着用物としてジャケットの代わりに他の同効物を使用してもよい。」 (7)図1 [図:0001428664000001.jpg] (8)図2 [図:0001428664000002.jpg] 「図2は、エアバッグ装置の全体図」(【0017】)との記載及び図2によれば、エアバッグ装置は、少なくとも、ジャケット10と、エアバッグ20と、インフレータ21とを備える。 (9)図3 [図:0001428664000003.jpg] (10)図4 [図:0001428664000004.jpg] 2 引用発明1の認定 前記1の記載によれば、引用文献1には、次の引用発明1が記載されていると認められる。なお、後の参照の便宜のため、引用発明1をa~hの記号を付して分説し、「構成a」のようにして参照する。 〈引用発明1〉 a ジャケット10と、エアバッグ20と、インフレータ21とを備えるエアバッグ装置であって、(図2) b 自動二輪車の車体Bの後半部の上面には、タンデムシート4が設けられ、このタンデムシート4上には、ジャケット10を着用した乗員Mが座乗し、(【0018】) c 車体Bの前部には、衝撃センサ26が設けられ、(【0020】) d ジャケット10の裏側には、エアバッグ20が装着され、エアバッグ20は、前部エアバッグ20Fと後部エアバッグ20Rとよりなり、(【0023】) e 前後部エアバッグ20F,20Rは相互に連通されており、インフレータ21からの高圧ガスにより略同時に膨張展開し、(【0023】) f ジャケット10は、前後の分かれ縁16,17間は、伸縮生地18により接続され、(【0024】) g 衝突事故に遭遇すると、衝撃センサ26が衝撃力を検知して、その衝撃力の大きさに応じた検知信号を電子制御ユニット25に入力し、電子制御ユニット25では、その衝撃力が過大か否かを判定し、過大と判定したとき、その出力信号を起動スイッチ23に入力し、これにより、インフレータ21を作動し、エアバッグ20を膨張展開して障害物との衝突による乗員Mへの衝撃を吸収する、(【0028】) h エアバッグ装置。 第5 引用文献2について 原査定の拒絶の理由で引用された特開2012-130663号公報(以下「引用文献2」という。)には、以下の記載がある。 「【0020】 (実施形態1) 図1及び図2は、本願発明の実施形態1に係るスポーツ用保護具としてのシンガード1を示すものである。このシンガード1は、サッカーの競技者が脛当てとして使用するものであり、全体として脛の形状に沿うように湾曲した板状をなしている。なお、シンガード1の裏面を脛に当たる側の面とし、表面をその反対側の面とする。 【0021】 このシンガード1は、図1に示す表面側を構成する硬質板部10と、図2に示す裏面側を構成する衝撃吸収部20とを備えた2層構造である。硬質板部10は、例えば、ポリプロピレン、ナイロン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、または反応性硬化樹脂等の樹脂材を射出成形してなるものである。この硬質板部10の硬さは、競技中にスパイクシューズで蹴られた場合や、競技者の足同士がぶつかった場合等に脛をガードできる程度の硬さである。硬質板部10は、全体として脛の上下方向に長い形状で、上述のように湾曲している。図1に示すように、硬質板部10の上下左右の各縁部は、それぞれの中央部が内側に向けて湾曲するように構成され、また、上部側が下部側に比べて幅が広くなっている。硬質板部10の表面側には対角線状に略X字状の凸部11が形成され、略X字状の凸部11の中央部に上下2つの略三角形状の通気口12,12が形成され、上下左右の段部13には段部13の形状に沿った通気口14が形成されている。 【0022】 一方、衝撃吸収部20は、ウレタン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、軟質塩化ビニル等の柔軟性を有する樹脂で構成され、硬質板部10の裏面側に複数の空気袋21,22,23を形成するように設けられている。本実施形態では、左右の上下方向に大きめの空気袋21がそれぞれ3つずつと、中央部の上下方向に小さい空気袋22が3つ、上下端の左右に上記の中間の大きさの2つの空気袋23がそれぞれ形成されている。上端側の2つの空気袋23,23の間には、それらに連通部24を介して連通してボール用のハンドポンプで空気注入可能なボール用バルブ同様の空気注入孔25が形成されている。これらの空気袋23,23は連通部26,26を介して左右の空気袋21,21と連通している。また、左右の空気袋21は連通部27を介して中央の空気袋22と連通している。さらに、左右の一番下の空気袋21は連通部28を介して下端の左右の空気袋23と連通している。すなわち、空気注入孔25と全ての空気袋21,22,23が連通すると共に、各空気袋21,22,23が連通している。 【0023】 上記衝撃吸収部20は、硬質板部10の裏面の略全体を覆う形状で、硬質板部10に一体形成されている。衝撃吸収部20は、図1,図2に示すように、硬質板部10の裏面側から全体周縁部及び中央部の通気口12の周縁部を通って表側へ回り込み、表側全体周縁部と中央部の通気口周縁部を覆うように形成されている。従って、硬質板部10の全体周縁部と通気口12の周縁部は、全周が衝撃吸収部20により被覆された状態となっている。 【0024】 上記のように構成されたシンガード1を使用する際には、衝撃吸収部20を脛に直接当て、その上から靴下(図示せず)を履き、その靴下によりシンガード1を表側から覆って脛に保持する。このとき、空気袋21,22,23の空気圧をボール用ハンドボンプで好みのフィット感に調整できる。また、シンガード1の全体周縁部や通気口12の周縁部が衝撃吸収部20を構成する柔軟性を有する樹脂で構成されていることから、靴下に密着して滑り止めとなる。これにより、競技中にシンガード1が動いて位置ずれするのを抑制することができる。 【0025】 シンガード1の使用時に競技者が汗をかいた場合には、空気袋21,22,23間の隙間を通って排出される。また、熱気や湿気を帯びた空気も通気口12,14から外部に放出される。また、他の競技者のスパイクシューズがシンガード1に当たった場合には、複数の空気袋21,22,23から成る衝撃吸収部20が連通部24,26,27,28を介して連通しているので、衝撃が効率良く吸収分散されて緩和される。」 第6 引用文献3について 原査定の拒絶の理由で引用された登録実用新案第3059127号公報(以下「引用文献3」という。)には、以下の記載がある。 「 【0004】 【考案が解決しようとする課題】 本考案は上述のような事情に鑑み、競艇の選手が競技に際し外衣の中に着用すれば、衝突事故などに遭遇しても衝撃を緩和でき、また、その他、競輪,オートレースの選手や競馬の騎手、或いはモーターボート,オートバイを楽しむ者などが外衣の中に着用すれば、事故の発生時に負傷するのを未然に防止又は負傷してもそれを軽度に留めることのできるエアージャケットを提供することを、その課題とするものである。 【0005】 【課題を解決するための手段】 上記課題を解決することを目的として成された本考案エアージャケットの構成は、メッシュ地のような通気性の柔軟な生地により二重になった左右の前身頃及び後身頃を形成すると共に、前記各身頃の内部に適宜数の縦長の空気室を少なくともそれらの上部又は下部若しくは中間部において連通させて設け、後身頃と左右前身頃を連結してベスト状に形成する一方、左右の前身頃をファスナなどにより開閉自在に形成し、各身頃の上部側又は下端側に前記空気室に空気を給排する空気給排部材を取付けて成ることを特徴とするものである。 【0006】 なお、上記エアージャケットは、各身頃を形成する材料により各空気室を形成し、同様に形成した空気室を有する後身頃に連結帯を介して左右の前身頃を連結することにより、ベスト状に形成してもよい。また、各身頃には空気室を避けてスリットを設けるようにしてもよい。スリットを設けると、着心地が向上する。」 第7 周知技術の認定 引用文献2及び3を参照して周知技術を認定する。 1 引用文献2には、脛当てとして使用されるシンガード(【0020】)が、硬質板部と衝撃吸収部とを備えた2層構造であり、硬質板部には複数の通気口が形成され(【0021】)、衝撃吸収部は、硬質板部の裏面側に複数の空気袋を形成するように設けられ(【0022】)、汗をかいた場合には、空気袋の間の隙間を通って排出され、熱気や湿気を帯びた空気も通気口から外部に放出される(【0025】)技術が記載されている。 換言すれば、引用文献2には、脛当てとして使用されるシンガードであって、複数の空気袋により衝撃吸収部を形成し、汗、熱気及び湿気を帯びた空気は、空気袋の隙間及び硬質板部の通気口を通って外部に放出される技術が記載されている。 2 引用文献3には、衝突事故などに遭遇しても衝撃を緩和できるエアージャケットであって(【0004】)、左右の前身頃及び後身頃を形成すると共に、各身頃の内部に適宜数の縦長の空気室を設け(【0005】)、各身頃には空気室を避けてスリットを設けるようにすることで、着心地を向上させる(【0006】)技術が記載されている。 3 引用文献2に記載された技術で、汗、熱気及び湿気を帯びた空気を外部に放出することは、着け心地の向上につながると解される。 そうすると、引用文献2に記載された技術も、引用文献3に記載された技術も、共に、次に示す技術であると認められる。 人体に着用する防具において、衝撃を吸収ないし緩和するための複数の空気袋ないし空気室を設け、着け心地を向上させるために空気袋ないし空気室間に隙間を設ける技術。 そうすると、本願の優先日前には、上記技術(以下、単に「周知技術」という。)が周知であったと認められる。 第8 引用文献7について 原査定の拒絶の理由で引用された特開2004-508235号公報(以下、原査定の番号に合わせて「引用文献7」という。)の記載を、以下の1に摘記する。 また、引用文献7に記載された発明(以下「引用発明7」という。)を、以下の2のとおり認定する。 1 引用文献7の記載 引用文献7には以下の記載がある。 (1)「【0009】 したがって、本発明の基本的な課題は、簡単に実現可能な保護構造物を提供し、申し分のない安全性能を備えた信頼性の極めて高い保護衣を実現し、既述の従来技術に係わる欠点や短所が概して除去されるようにすることである。 したがって、本発明は、突発事故による転倒時に、モータバイク乗員を外傷や骨折から保護する多重装置を有する多部品保護衣を提供するものであり、該保護衣は、協働する次の部品を有している: -取外し可能な部品及び装置を収容しやすい形状に予め設えられたジャケット形式の保護衣。該ジャケットは、引裂き張力に対し特定の破断値を有するように予め設定された糸による縫合区画を有しており、その下の織物にはギャザーを付けて織物の自由な膨張を保証して、縫合区域の下に完全に重なるように整合されたポケットが内包され、モータバイク乗員が車両から突然に転落したり危険な転倒をした時には、ポケットが突発膨張して縫合区画の糸が破断され、乗員は好ましい保護装置により包み込まれる。 …(略)…」 (2)「【0013】 特に後者の解決策は、実際面でも快適性の面でも大きな利点を伴い、確実に好適な実施例を構成する。 更に、ジャケット3に組み込まれた電子ユニット5のディスプレイ2が、全保護構造物の状態をオンラインで表示し、情報を供与するため、又は各キー4を介して種々のオンライン機能をプログラミングするために、乗員の視野内に備えられている。ガス発生器1の電磁弁と電子ユニット5との間には、接続ケーブル7が配設されている。 更に、電子ユニット5は、ジャケット3及び/又はモータバイク(図示せず)に配置された複数加速センサからのパルスを受信し、ガス発生器1の電磁弁への電気信号を励起し、それにより乗員が激しい衝撃または事故による転倒に見舞われた瞬間に、即時にポケット9,12,15の突発膨張がトリガされる。ケーブル7に代えて、ファイバ光学系又はファイバ光学センサを繊維複合材料の内側の予め定められた区域に配置するのが好ましい場合もある。」 (3)「【0017】 突発事故により、多少の差はあれ激しい転倒時及び/又は種々の性質や形状の傷害物への危険な衝突時に、即座に加速センサが、差し迫った危険を検知し、数ミリ秒以内にガス源1の電磁弁を電気パルスでトリガする。これにより、ガス源は、ポケット9,12,15の膨張させる。ポケットは、モータバイク乗員を取り囲み、危険な状況で保護動作を発揮することで、傷害物に対する人体の衝撃を緩衝する。 背部プロテクタ16,19が事実上剛性の構造物であることで、急激な膨張時に乗員の身体に加わる危険な圧縮力を制限できる。 更に、膨張可能なポケット9,12,15は、弾性的かつ低比重の固有の性質に加えて、有効な特質として或る一定の多孔度を有しているので、好ましくは不活性のガスが、衝撃発生中に流出することができ、衝撃を緩衝し、発生した膨張が或る一定時間後に除去される。」 2 引用発明7の認定 前記1の記載によれば、引用文献7には、次の引用発明7が記載されていると認められる。 〈引用発明7〉 突発事故による転倒時に、モータバイク乗員を外傷や骨折から保護する多部品保護衣であって、ジャケットを有し、ジャケットは、モータバイク乗員が車両から突然に転落したり危険な転倒をした時には、ポケットが突発膨張して乗員は好ましい保護装置により包み込まれ、(【0009】) ジャケット及び/又はモータバイクに配置された複数加速センサからのパルスを受信し、それにより乗員が激しい衝撃または事故による転倒に見舞われた瞬間に、即時にポケットの突発膨張がトリガされる、(【0013】) 多部品保護衣。 第9 本願発明と引用発明1との対比 以下、本願発明と引用発明1とを対比する。 1 発明特定事項A1及びD3について 発明特定事項A1は「衝撃および/または落下からユーザーを保護するために着用されるのに適した、着用可能なエアバッグ装置(100;1100)であって、」というものであり、発明特定事項D3は「ことを特徴とする、着用可能なエアバッグ装置(100;1100)。」というものである。 引用発明1の「エアバッグ装置」(構成a)は、本願発明の「エアバッグ装置」に相当する。 引用発明1の「エアバッグ装置」は、「ジャケット10と、エアバッグ20と」を備え(構成a)、「ジャケット10の裏側には、エアバッグ20が装着され」(構成d)、乗員Mは「ジャケット10を着用」する(構成b)から、「エアバッグ20」が装着された「ジャケット10」、すなわち「エアバッグ装置」は、着用可能なものであると解される。 引用発明1の「乗員M」は、「自動二輪車」に「座乗」する者である(構成b)から自動二輪車のユーザーであると解される。 そして、引用発明1は、「衝突事故に遭遇すると」「エアバッグ20を膨張展開して障害物との衝突による乗員Mへの衝撃を吸収する」(構成g)から、引用発明1は、「衝突」から「乗員M」を保護するために着用されるのに適したものと解される。 以上によれば、本願発明と引用発明1とは、「衝撃および/または落下からユーザーを保護するために着用されるのに適した、着用可能なエアバッグ装置(100;1100)であ」る点で一致する。 2 発明特定事項A2について 発明特定事項A2は「その間にガス膨張可能体積(V)を画定する第1の側面(12;112)および第2の側面(14;114)を含む少なくとも1つの膨張式バッグ(10;110)であって、」というものである。 (1)本願発明の「その間に」は、文脈から、「第1の側面」及び「第2の側面」の間に、の意味であると解される。 (2)引用発明1の「エアバッグ20」は、衝突事故に遭遇した際に「膨張展開」するもの(構成g)であるから、本願発明の「膨張式バッグ」に相当する。 (3)引用発明1の「エアバッグ20」は、「ジャケット10の裏側には、エアバッグ20が装着され」る(構成d)ものであり、図2及び図4も参照すると、「エアバッグ20」のうち「ジャケット10の裏側」に当接する部分は面を成していると解され、当該面を「第1の側面」と呼ぶことは任意である。 また、引用発明1の「エアバッグ20」には、前記「第1の側面」とは別の面が存在することは明らかであり、当該面を「第2の側面」と呼ぶことは任意である。 そして、前記「第1の側面」及び前記「第2の側面」により「エアバッグ20」が構成されているから、これらの面の間に膨張可能な体積が画定されることは明らかである。 (4)引用発明1の「エアバッグ20」を構成する「前部エアバッグ20F」及び「後部エアバッグ20R」(構成d)は、「高圧ガスにより」「膨張展開」する(構成e)から、前記(3)の「膨張可能な体積」は、ガス膨張可能体積であるといえる。 なお、以下では、「前部エアバッグ20F」及び「後部エアバッグ20R」の総称として「エアバッグ20」との語を用いることがある。 (5)以上によれば、本願発明と引用発明1とは、「その間にガス膨張可能体積(V)を画定する第1の側面(12;112)および第2の側面(14;114)を含む少なくとも1つの膨張式バッグ(10;110)であ」る点で一致する。 3 発明特定事項A3について 発明特定事項A3は「前記少なくとも1つの膨張式バッグ(10;110)は、前記第1の側面(12;112)および第2の側面(14;114)の間に画定された複数の気流通路(40;140)を備え、および、収縮状態にある静止構成と、膨張状態にある活動構成とを交互に取るように構成されている、少なくとも1つの膨張式バッグ(10;110)と、」というものである。 (1)引用発明1は、本願発明の「気流通路(40;140)」に対応する構成の有無が不明である。 (2)引用発明1の「エアバッグ20」は、「衝突事故に遭遇すると」「膨張展開」するもの(構成g)であり、膨張展開した状態は、「障害物との衝突による乗員Mへの衝撃を吸収する」(構成g)ために「エアバッグ20」が活動している状態であると解される。 よって、「エアバッグ20」が「膨張展開」した状態は、本願発明の「膨張状態にある活動構成」に相当する。 (3)引用発明1の「エアバッグ20」が衝突事故に遭遇する前の状態は、「膨張展開」した状態ではないのだから、収縮した状態であると解される。 「エアバッグ20」が収縮した状態であるときは、「障害物との衝突による乗員Mへの衝撃を吸収」できないことは明らかであるから、この状態を、前記(2)の「活動構成」に対する構成として「静止構成」と呼ぶことは任意である。 よって、「エアバッグ20」が収縮した状態は、本願発明の「収縮状態にある静止構成」に相当する。 (4)引用発明1の「エアバッグ20」は、前記(3)の「静止構成」から、「高圧ガス」(構成e)の流入によって前記(2)の「活動構成」に変化すると解される。 また、「活動構成」にある「エアバッグ20」の内部のガスを排出することにより、「静止構成」へと変ずることは明らかである。 そうすると、引用発明1の「エアバッグ20」は、「静止構成」と「活動構成」とを交互に取るように構成されているといえる。 (5)以上によれば、本願発明と引用発明1とは、「収縮状態にある静止構成と、膨張状態にある活動構成とを交互に取るように構成されている、少なくとも1つの膨張式バッグ(10;110)」を備える点で共通するものの、本願発明では「前記少なくとも1つの膨張式バッグ(10;110)は、前記第1の側面(12;112)および第2の側面(14;114)の間に画定された複数の気流通路(40;140)を備え」るのに対し、引用発明1では「エアバッグ20」が気流通路を備えるか否かが明らかでない点で相違する。 4 発明特定事項Bについて 発明特定事項Bは「膨張手段(30;130)であって、前記少なくとも1つの膨張式バッグ(10;110)と流体連通しており、前記膨張手段(30;130)は、所定量の膨張液を前記少なくとも1つの膨張式バッグ(10;110)内に導入するように構成されている膨張手段(30;130)と、」というものである。 (1)本願発明は「膨張液」という発明特定事項を備えるものの、発明の詳細な説明には膨張式バッグを膨張させるための液体についての記載はない。 ここで、「エアバッグ装置」である本願発明が、「エア」ではなく液体によって膨張すると解するのは、社会通念及び技術常識に反する。加えて、膨張したエアバッグの内部が液体で充填されている場合、衝突の衝撃の吸収を十分には行えないと予想される。 これらを踏まえ、本願の発明の詳細な説明を参照すると、発明の詳細な説明の「膨張手段30は、例えば、ダクト34によってオンオフバルブ36に接続され、膨張式バッグ10に固定された圧縮ガスカートリッジ32を含み、これにより、膨張式バッグ10内に圧縮ガスを導入することができる。」(【0035】)との記載によれば、本願発明の膨張式バッグの膨張は、液体を導入するのではなく、圧縮ガスを導入することにより実現されると解される。 以上によれば、本願発明の「膨張液」は、文字通り液体であると解するよりは、「圧縮ガス」などの気体であると解するのが自然である。 (2)引用発明1の「エアバッグ20」は、「インフレータ21からの高圧ガスにより略同時に膨張展開」する(構成e)から、引用発明1の「インフレータ21」は、「高圧ガス」を「エアバッグ20」内に導入するように構成されていると解され、引用発明1の「インフレータ21」及び「高圧ガス」は、それぞれ本願発明の「膨張手段」及び「膨張液」に相当する。 このとき、引用発明1の「エアバッグ20」内に導入される「高圧ガス」が所定量であることは、当然のことである。 また、引用発明1の「エアバッグ20」が「インフレータ21からの高圧ガスにより」膨張展開する以上、「インフレータ21」と「エアバッグ20」とが流体連通していることは明らかである。 したがって、本願発明と引用発明1とは、「膨張手段(30;130)であって、前記少なくとも1つの膨張式バッグ(10;110)と流体連通しており、前記膨張手段(30;130)は、所定量の膨張液を前記少なくとも1つの膨張式バッグ(10;110)内に導入するように構成されている膨張手段(30;130)」を備える点で一致する。 5 発明特定事項Cについて 発明特定事項Cは「ケーシング(20;120)であって、ユーザーによって着用され、前記少なくとも1つの膨張式バッグ(10;110)を収容して支持するように構成され、前記ケーシング(20;120)が、通気性のある材料で作られているケーシング(20;120)と、を備え、」というものである。 引用発明1の「ジャケット10」は、「乗員M」が「着用」するもの(構成b)であり、かつ、「ジャケット10の裏側には、エアバッグ20が装着され」る(構成d)から、「ジャケット10」は、「乗員M」の着用時に、「エアバッグ20」を収容して支持するように構成されていると解され、これを「ケーシング」と呼ぶことは任意である。 よって、本願発明と引用発明1とは、「ケーシング(20;120)であって、ユーザーによって着用され、前記少なくとも1つの膨張式バッグ(10;110)を収容して支持するように構成され」る「ケーシング(20;120)と、を備え」る点で共通するものの、本願発明では「前記ケーシング(20;120)が、通気性のある材料で作られている」のに対し、引用発明1の「ジャケット10」の材質は不明である点で相違する。 6 発明特定事項D1について 発明特定事項D1は「前記膨張手段(30;130)は、ユーザーの動きを絶えず監視する制御ユニットによって電気的に制御され、」というものである。 引用発明1の「電子制御ユニット25」は、本願発明の「制御ユニット」に相当する。 引用発明1は、「衝突事故に遭遇すると、衝撃センサ26が衝撃力を検知して、その衝撃力の大きさに応じた検知信号を電子制御ユニット25に入力し、電子制御ユニット25では、その衝撃力が過大か否かを判定し、過大と判定したとき、その出力信号を起動スイッチ23に入力し、これにより、インフレータ21を作動」するもの(構成g)であるから、「電子制御ユニット25」は、「衝撃センサ26」からの検知信号がないか、絶えず監視していると解され、また、「インフレータ21」は、「電子制御ユニット25」によって「起動スイッチ23」を介して電気的に制御されていると解される。 そうすると、本願発明と引用発明1とは、「前記膨張手段(30;130)は、」「絶えず監視する制御ユニットによって電気的に制御され」る点で共通するものの、本願発明の「制御ユニット」が監視するのは「ユーザーの動き」であるのに対し、引用発明1の「電子制御ユニット25」が監視するのは「衝撃センサ26の検知信号」である点で相違する。 7 発明特定事項D2について 発明特定事項D2は「前記制御ユニットは、着用可能なエアバッグ装置(100;1100)に配置されたセンサーによって検出されたデータを、前記制御ユニット内に事前にロードされたアルゴリズムと一定の時間間隔で比較するのに適している」というものである。 (1)本願発明は「データを、前記制御ユニット内に事前にロードされたアルゴリズムと一定の時間間隔で比較する」という発明特定事項を備えるが、「データ」は「立論・計算の基礎となる、既知のあるいは認容された事実・数値」を意味し(広辞苑)、「アルゴリズム」は「問題を解決する定型的な手法・技法。コンピューターなどで、演算手続きを指示する規則。算法」を意味する(広辞苑)から、数値である「データ」と、算法である「アルゴリズム」とを「比較する」というのは、明らかに不合理であり、発明特定事項Dを文言どおりに解釈することはできない。 そこで、発明の詳細な説明を参照すると、アルゴリズムに関して以下の記載がある。 「【0037】 膨張手段30は、オートバイ乗員の動きを絶えず監視する制御ユニット(図示せず)によって電気的に制御することができる。 【0038】 より具体的には、制御ユニットは、例えば着用可能なエアバッグ装置100のケーシング20またはオートバイに配置された適切なセンサ(図示せず)によって検出されたデータを、その内部に事前にロードされたアルゴリズムと一定の時間間隔で比較することができる。このアルゴリズムに基づいて、センサーによって検出されたデータが、オートバイ乗員が乗っているオートバイの制御の喪失またはその他の異常を示している場合、制御ユニットは、1つまたは複数の膨張手段30に膨張式バッグ10を膨張させるための起動コマンドを送信する。結果として、膨張式バッグ10は、その静止構成からそのアクティブまたは膨張構成に移行する。」 上記記載によれば、「ケーシング20またはオートバイに配置された適切なセンサ」「によって検出されたデータを、その内部に事前にロードされたアルゴリズムと一定の時間間隔で比較する」ことは、「アルゴリズムに基づいて、センサーによって検出されたデータが、オートバイ乗員が乗っているオートバイの制御の喪失またはその他の異常を示している」か否かを判断することであると解される。 よって、本願発明の「データを、前記制御ユニット内に事前にロードされたアルゴリズムと一定の時間間隔で比較する」という発明特定事項は、アルゴリズムに基づいて、データが、オートバイ乗員が乗っているオートバイの制御の喪失またはその他の異常を示しているか否かを判断することを少なくとも含むと解釈される。 (2)引用発明1は、「衝突事故に遭遇すると、衝撃センサ26が衝撃力を検知して、その衝撃力の大きさに応じた検知信号を電子制御ユニット25に入力し、電子制御ユニット25では、その衝撃力が過大か否かを判定し、過大と判定したとき、その出力信号を起動スイッチ23に入力し、これにより、インフレータ21を作動し、エアバッグ20を膨張展開して障害物との衝突による乗員Mへの衝撃を吸収する」もの(構成g)であるから、引用発明1の「電子制御ユニット25」は、「衝撃センサ26」によって検出された「検知信号」が、「衝突事故に遭遇」したか否かを判断していると解される。そして、当該判断をするためには、その判断のためのアルゴリズムが当然に必要であるし、当該判断を十分に短い一定の時間間隔で行う必要があることも当然である。 そして、引用発明1における「衝突事故に遭遇」することは、前記(1)の「オートバイ乗員が乗っているオートバイの制御の喪失またはその他の異常」に相当するから、前記(1)の解釈によれば、本願発明と引用発明1とは、「前記制御ユニットは、」「配置されたセンサーによって検出されたデータを、前記制御ユニット内に事前にロードされたアルゴリズムと一定の時間間隔で比較するのに適している」点で共通するものの、本願発明の「センサー」が配置されるのは「着用可能なエアバッグ装置(100;1100)」であるのに対し、引用発明1の「衝撃センサ26」が配置されるのは「車体Bの前部」(構成c)である点で相違する。 8 一致点及び相違点 前記1~7によれば、本願発明と引用発明1との一致点及び相違点は、以下のとおりである。 〈一致点〉 「衝撃および/または落下からユーザーを保護するために着用されるのに適した、着用可能なエアバッグ装置(100;1100)であって、その間にガス膨張可能体積(V)を画定する第1の側面(12;112)および第2の側面(14;114)を含む少なくとも1つの膨張式バッグ(10;110)であって、収縮状態にある静止構成と、膨張状態にある活動構成とを交互に取るように構成されている、少なくとも1つの膨張式バッグ(10;110)と、 膨張手段(30;130)であって、前記少なくとも1つの膨張式バッグ(10;110)と流体連通しており、前記膨張手段(30;130)は、所定量の膨張液を前記少なくとも1つの膨張式バッグ(10;110)内に導入するように構成されている膨張手段(30;130)と、 ケーシング(20;120)であって、ユーザーによって着用され、前記少なくとも1つの膨張式バッグ(10;110)を収容して支持するように構成されるケーシング(20;120)と、を備え、 前記膨張手段(30;130)は、絶えず監視する制御ユニットによって電気的に制御され、前記制御ユニットは、配置されたセンサーによって検出されたデータを、前記制御ユニット内に事前にロードされたアルゴリズムと一定の時間間隔で比較するのに適していることを特徴とする、着用可能なエアバッグ装置(100;1100)。」である点。 〈相違点1〉 本願発明では「前記少なくとも1つの膨張式バッグ(10;110)は、前記第1の側面(12;112)および第2の側面(14;114)の間に画定された複数の気流通路(40;140)を備え」るのに対し、引用発明1では「エアバッグ20」が気流通路を備えるか否かが明らかでない点。(発明特定事項A3) 〈相違点2〉 本願発明では「前記ケーシング(20;120)が、通気性のある材料で作られている」のに対し、引用発明1の「ジャケット10」の材質は不明である点。(発明特定事項C) 〈相違点3〉 本願発明の「制御ユニット」が監視するのは「ユーザーの動き」であるのに対し、引用発明1の「電子制御ユニット25」が監視するのは「衝撃センサ26の検知信号」である点。(発明特定事項D1) これに伴い、本願発明の「センサー」が配置されるのは「着用可能なエアバッグ装置(100;1100)」であるのに対し、引用発明1の「衝撃センサ26」が配置されるのは「車体Bの前部」(構成c)である点。(発明特定事項D2) 第10 相違点についての判断 前記第9、8に示した相違点1~3について判断する。 1 相違点1及び2について 相違点1及び2の容易想到性について検討する。 (1)引用発明1の「エアバッグ20」は、「前部エアバッグ20Fと後部エアバッグ20Rとよりな」る(構成d)ので、「前部エアバッグ20F」と「後部エアバッグ20R」との間には隙間がある。当該隙間は「ジャケット10」の「前後の分かれ縁16,17間」の「伸縮生地18」(構成f)により覆われていると解される。 伸縮生地としては、ニット生地、メッシュ生地など通気性を有するものが常用されているから、前記隙間は、体表面からジャケット10の外表面までの気流通路となることは明らかである。 よって、相違点1は実質的な相違点とは認められない。 また、引用発明1の「ジャケット10」の少なくとも一部分は、通気性を有する「伸縮生地18」によって作られているから、相違点2も実質的な相違点とは認められない。 (2)仮に、前記(1)の隙間が気流通路ではないとしても、以下のとおりである。 人体に着用するものの着け心地を良くすることは、当然に追求されるべき課題であり、引用発明1のような着用可能なエアバッグ装置においても追求すべき課題となることは明らかである。このことは、引用発明1が解決すべき課題として、「乗員がエアバッグを設けた通常のジャケットなどの着用物を躊躇せずに気楽に着用できること」(【0003】)が挙げられていることとも整合する。 よって、引用発明1においても、着け心地を良くするために、周知技術(前記第7)のように、エアバッグ20を構成する前部エアバッグ20F及び後部エアバッグ20Rのそれぞれを、複数の空気室で構成し、それら空気室間に隙間を設けることは、当業者が容易になし得たことと認められる。 その際、ジャケット10の材質を通気性のある材料とすることは、着け心地の向上において熱気や湿気を帯びた空気を外部に放出することが必要である点に鑑み、当然のことと認められる。 (3)相違点1及び2について、請求人は、概略、以下のアのように主張する。当該主張についての判断は、以下のイのとおりである。 ア 請求人の主張の概要 請求人は、審判請求書及び意見書にて、以下を主張する。 〈審判請求書8~9頁の主張の概要〉 引用発明1の解決しようとする課題は、着用式エアバッグ装置において、乗員がエアバッグを設けた着用物を着用し易くすると共に乗員への衝撃を効果的に緩衝できるようにすることが望ましく、かかる要望を充足する手段として、乗員がエアバッグを設けた通常のジャケットなどの着用物を躊躇せずに気楽に着用できることであり、エアバッグは、乗員の少なくとも胸部の全域を一様に覆うことができるようにする、というものである(【0003】)。 引用発明1では、エアバッグは、少なくとも乗員の胸部を一体的に覆うものである(【0008】、【0029】)。さらには、引用発明1のプロテクターは、ハードプロテクターである(【0032】、【0033】)。 すると、当業者であれば、エアバッグに開口部を設けることを想到しなかっただろうし、また、引用文献1では、ジャケットが提供する保護(エアバッグによる乗員への衝撃の緩衝)を改善することのみに焦点を合わせており、ジャケット自体の通気性についての示唆はない。 すなわち、仮に、空気の封入されたバッグを備え、衝撃からユーザーを保護するために着用することができる装置として、着用時のバッグを通る気流を改善するために、バッグの第1の側面および第2の側面の間に画定された複数の気流通路を形成することは、従来周知の技術であったとしても、引用発明1に適用した場合、ユーザーの胸部に提供される保護機能を低下させることになる。さらに、引用発明1の好ましい実施形態の場合、胸部プロテクターを設けると、通気性の観点から、バッグに通気通路を設けることが効果的でなくなる。実際、衣服に当たる通気は、胸部プロテクターによって妨げられる。 前記のように、胸部プロテクターの提供は、引用発明1のジャケットを「通気性のあるケーシング」に置き換えることを妨げるものである。また、この場合、胸部プロテクターは、ジャケットの外層と使用者の身体との間に胸部プロテクターを介在させることとなるので、通気性ケーシングの提供が効果的でなくなる。さらには、引用文献1の段落【0035】に記載の、「また着用物としてジャケットの代わりに他の同効物を使用してもよい。」との記載の「他の同効物」は、ケーシングに通気性素材を使用することを示唆しているのではなく、ジャケットが提供する保護(エアバッグによる乗員への衝撃の緩衝)に関連した「同効物」であるものと思料する。 〈意見書4~5頁の主張の概要〉 引用発明1を見てみると、前部エアバッグ20Fは、ジャケット10の前見頃10Aの裏面に、その略全域にわたり一体的に設けられており、着用者Mの胸部を略全面にわたり均等に覆うようにされている(段落【0023】、図4)。また、後部エアバッグRは、ジャケット10の後見頃10Rの裏面に、一体的に設けられており、着用者Mの背部を覆うようにされている(段落【0023】、図4)。すなわち、引用発明1のエアバッグは、一体的に設けられたものであり、本願発明のように複数の気流通路(40;140)」を備えることはできないものである。 また、引用文献1には、一切、着用物10(ジャケット10)が通気性のある材料で作られているという記載はない。 当業者であれば理解できるように、オートバイライダーの一般的なジャケットは、ライダーを風の影響から守るために、風を通さない材料で作られており、夏季など気温が高い場合に対応して、特別にメッシュ生地で作られることがある。すると、着用物10が、例えばメッシュ生地で作成されているとの記載があれば格別、そうでなければ、着用物10は、通気性のある材料で作られてはいないことが、当業者であれば理解できるものと思料する。 また、本願発明のケーシング(20;120)は、「エアバッグが防護服に組み込まれている場合、ケーシングは、例えば、革などの耐摩耗性材料で作られた防護服の外層と衣服の内張りとの間に画定することができる。あるいは、ケーシングは、外側の保護衣服に結合されるように設計された下着の、必ずしも耐摩耗性材料でできているとは限らない2つの薄い層の間に画定することができる。」との記載にあるように(段落【0005】)、防護服(引用文献1のジャケット10に対応)の下に着用される着用可能なエアバッグ装置のケーシングであることから、防護服自体であるジャケット10とは異なるものである。 イ 請求人の主張に対する判断 引用発明1の課題は、「乗員がエアバッグを設けた通常のジャケットなどの着用物を躊躇せずに気楽に着用できること」(【0003】)及び「エアバッグは、乗員の少なくとも胸部の全域を一様に覆うことができるようにすること」(【0004】)の2点であると認められる。 (ア)請求人は、上記2点の引用発明1の課題を認めながらも、引用文献1では、ジャケットが提供する保護(エアバッグによる乗員への衝撃の緩衝)を改善することのみに焦点を合わせていると主張するが、前記のとおり、引用発明1は、衝撃の緩衝のみならず、「気楽に着用できること」をも課題とし、該課題にも焦点を当てていると認められるので、引用発明1が衝撃の緩衝のみに焦点を合わせていることを根拠とする請求人の主張は採用できない。 (イ)また、請求人は、引用文献1の【0032】及び【0033】の記載を根拠に、引用発明1がハードプロテクターであることを主張するが、引用発明1はハードプロテクターに限定されない。引用文献1に記載された第2実施例(【0030】~)はハードプロテクターではあるが、第1実施例(【0017】~)はハードプロテクターではない。 そして、本願発明と対比する引用発明1として認定したものは、ハードプロテクターであるか否かを特定するものではない。 したがって、引用発明1がハードプロテクターであることを根拠とする請求人の主張は採用できない。 (ウ)また、請求人は、引用発明1のエアバッグが少なくとも乗員の胸部を一体的に覆うものであるので、引用発明1に気流通路を形成すると、ユーザーの胸部に提供される保護機能を低下させることになると主張するが、多少の気流通路を形成したところで、胸部の保護機能が実用に耐えないほど低下するとは評価できない。 そして、前述のように、引用発明1は「気楽に着用できること」をも課題としているから、着け心地の改善をも課題としていることは明らかである。そうすると、着け心地の改善を図るために、熱気や湿気を帯びた空気を外部に放出する気流経路を、保護機能の極度な低下を招かない範囲で設けることは、当業者の通常の創作能力の発揮に過ぎないと認められる。 引用発明1は、「ジャケットなどの着やすい着用物は、図7に示すように、その前側の中央部に左右に前開きするための開き縁を備え、…(略)…開閉できるようにされているのが普通であるため、乗員の胸部を覆うべくこの着用物の前見頃にエアバッグを設けようとすれば、このエアバッグを、そのファスナーを避けて、着用物の前身頃の中央部にて左右に分割して設けざるをえず、乗員の胸部を一様に覆うことが難しいという課題がある。」(【0006】)として、エアバッグが中央部にて左右に分割されることを問題視してはいるものの、中央部で左右に分割されることが問題であれば、気流経路を、例えば、エアバッグの横方向に伸びるように設ければ良いことは明らかであり、この程度の設計変更は、具現化の過程で当然に行われるべきことと認められる。 (エ)また、請求人は、引用発明1の「ジャケット10」が、オートバイライダーの一般的なジャケットであると主張するが、引用文献1には、「本発明を自動二輪車に実施した場合を説明したが、これを自動車三輪車などの他の車両にも実施できることは勿論である。」(【0035】)と記載されていることから、引用発明1の「ジャケット10」をオートバイライダーの一般的なジャケットに限定して解釈する理由はない。 また、引用文献1の「着用物としてジャケットの代わりに他の同効物を使用してもよい。」(【0035】)との記載は、着用物であればどのようなものでもよい旨を説明していると解されるものであり、請求人が主張するように「同効物」を衝撃の緩衝の効果を有するものと限定的に解釈する理由はない。 (オ)請求人は、引用発明1の「ジャケット10」が通気性のある材料で作られているという記載はないと主張するが、前記(1)で触れたように、「ジャケット10」の少なくとも一部は「伸縮生地18」で作られており、「伸縮生地18」は通気性を有すると解される。 「伸縮生地18」が通気性を有しないとしても、引用発明1の着け心地を向上するために、「ジャケット10」を熱気や湿気を帯びた空気を外部に放出できるよう通気性を有するものとすることは、当業者が容易になし得たと認められる。 (カ)請求人は、本願発明の「ケーシング(20;120)」が、防護服(引用文献1のジャケット10に対応)の下に着用される着用可能なエアバッグ装置のケーシングであると主張するが、本願発明は、防護服の下に着用されるものであることを発明特定事項として特定していない。 加えて、引用発明1の「ジャケット10」を「防護服」と限定的に解釈する理由もない。 (キ)以上によれば、請求人の前記アの主張は、採用できない。 2 相違点3について 相違点3の容易想到性について検討する。 (1)引用発明1の「衝撃センサ26」で検知する「衝撃力」は、「衝突事故に遭遇」したかを判断するためのものである(構成g)。 他方、引用発明7は、モータバイク乗員の保護衣であって、突発事故に遭遇したか否かを、ジャケット又はモータバイクに配置された複数の加速センサからの信号により判断するものである(前記第8)。すなわち、引用発明7は、事故から乗員を保護する保護衣の分野にて、事故に遭遇したか否かを検出するセンサを、乗員が着用するジャケットに配置しても、乗員が乗車するバイクに配置しても良いことを示唆するものである。 そして、引用発明1も引用発明7も、共に、ジャケットを備える保護衣であって、事故に遭遇したことをセンサによって判断するものであるから、引用発明1のセンサを、引用発明7のようにジャケットに配置することは、当業者が容易に想到し得たことと認められる。 (2)相違点3について、請求人は、概略、以下のアのように主張する。当該主張についての判断は、以下のイのとおりである。 ア 請求人の主張の概要 請求人は、審判請求書及び意見書にて、以下を主張する。 〈審判請求書10~11頁の主張の概要〉 しかし、引用文献1の段落【0020】の記載から、引用発明1の目的は、オートバイに作用する衝撃を検出することであり、使用者の身体を監視することではないことが理解できる。 すなわち、仮に、引用文献7に前記のような記載があったとしても、引用発明1の衝撃センサ26をオートバイからジャケットに移動させることはできない。引用文献7に記載の電子ユニットを引用発明1に適用する根拠というのは、本願発明が開示された今だからこそ可能な事後分析の結果である。 従って、本願発明の、「前記膨張手段(30;130)は、ユーザーの動きを絶えず監視する制御ユニットによって電気的に制御され、前記制御ユニットは、着用可能なエアバッグ装置(100;1100)に配置されたセンサーによって検出されたデータを、前記制御ユニット内に事前にロードされたアルゴリズムと一定の時間間隔で比較するのに適している」という特徴事項を有する点について、引用発明1に引用文献7に記載のセンサーおよび電子ユニットを適用することはできず、当業者が容易に想到できるものでは無いものと思料する。 〈意見書5頁の主張の概要〉 引用発明7は、膨張手段(高圧ガス源)が、着用可能なエアバッグ装置(ジャケット3)に配置されたセンサー(加速度センサ)によって検出されたデータを検出するのに適した制御ユニット(電子ユニット)によって電気的に制御されたものを備えてはいる。 しかし、引用発明7の制御ユニットは、加速度センサが、激しい転倒時及び/又は種々の性質や形状の傷害物への危険な衝突時に、差し迫った危険を検知するものであることから(段落【0017】)、本願発明のごとく「ユーザーの動きを絶えず監視する」ものではない。また、「センサーによって検出されたデータを、前記制御ユニット内に事前にロードされたアルゴリズムと一定の時間間隔で比較する」ものでもない。 そして、引用文献1および7には、「前記膨張手段(30;130)は、ユーザーの動きを絶えず監視する制御ユニットによって電気的に制御され、前記制御ユニットは、着用可能なエアバッグ装置(100;1100)に配置されたセンサーによって検出されたデータを、前記制御ユニット内に事前にロードされたアルゴリズムと一定の時間間隔で比較する」点について一切示唆ないし教示はないことから、当業者が本願発明1の構成を引用文献1および7の記載から容易に想到しうるものでもない。 イ 請求人の主張に対する判断 請求人の主張について判断すると、以下のとおりである。 (ア)請求人は、引用発明1の目的は、オートバイに作用する衝撃を検出することであり、使用者の身体を監視することではないと主張するが、引用発明1の目的は、「乗員がエアバッグを設けた通常のジャケットなどの着用物を躊躇せずに気楽に着用できること」(【0003】)及び「エアバッグは、乗員の少なくとも胸部の全域を一様に覆うことができるようにすること」(【0004】)であって、オートバイに作用する衝撃を検出することは、引用発明1の目的ではない。 それはおくとしても、引用発明1の「衝撃センサ20」は、「衝突事故に遭遇」したことを検知するために「衝撃力」を出力するものである(構成g)。 引用発明1では、衝突事故に遭遇した際の衝撃力を車体に設けた衝撃センサ20で検出しているが、衝突事故に遭遇した際の衝撃力は、車体でなければ検出できないものではなく、当然、乗員においても検出できる。実際、引用発明7は、加速センサをジャケットに配置してもモータバイクに配置しても良いとしており(前記(1))、引用発明7における加速センサは、衝撃力を検出するセンサであると解される。 したがって、引用発明1に引用発明7を適用することは、事後分析の結果を利用せずに、当業者が容易に想到し得たことであり、請求人の主張は採用できない。 (イ)請求人は、本願発明は「ユーザーの動きを絶えず監視する」ものであるのに対し、引用発明7は、加速度センサが、激しい転倒時及び/又は種々の性質や形状の傷害物への危険な衝突時に、差し迫った危険を検知するものであると主張する。 しかしながら、引用発明7において、激しい衝撃又は事故による転倒を適時に検出するためには、乗員又はモータバイクの加速度を絶えず監視する必要があり、これは、本願発明でいう「ユーザの動きを絶えず監視する」ことに他ならない。 したがって、請求人の主張は採用できない。 (ウ)本願発明の「データを、前記制御ユニット内に事前にロードされたアルゴリズムと一定の時間間隔で比較する」点については、前記第9、7に示したように、相違点とはならない。 なお、本願発明において「電子制御ユニット25」の配置位置は特定されていない。 (エ)以上によれば、請求人の主張は採用できない。 第11 効果について 本願発明の効果は、引用発明1、引用文献2及び3に示される周知技術並びに引用発明7と比較して、格別のものとは認められない。 請求人は、本願発明の効果について、より高い通気性を有利に提示し、ユーザにより高い快適さを提供し、実際、気流通路のおかげで膨張式バッグはより柔軟になる、という高い効果を提供することができる旨(審判請求書11頁)、主張する。 しかしながら、引用発明1に周知技術を適用することにより、より高い通気性とより高い柔軟性が得られ、結果としてより高い快適さを提供できることは、明らかである。よって、請求人の主張は採用できない。 第12 むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、当業者が引用発明1、引用文献2及び3に示される周知技術並びに引用発明7に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2024-004521

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