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特許拒絶査定不服審判

2024-004460

アプリケータ

審判番号
2024-004460
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2021-540032
請求日
2024年03月13日
審決日
2025年06月24日
公報発行日
2025年12月26日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】エルテーエス ローマン テラピー-ジステーメ アーゲー
  • 【請求人代理人】河野 英仁
  • 【請求人代理人】河野 登夫
審判長/審判官
  • 審判長 井上 哲男
  • 審判官 佐々木 佳祐
  • 審判官 栗山 卓也
分類
P18 .121-Z (A61M)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第5項第4号、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項、特許法第29条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2021-540032「アプリケータ」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 7月23日国際公開、WO2020/148011、令和 4年 3月 9日国内公表、特表2022-517580〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2019年(令和元年)11月27日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2019年1月17日 DE)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和 5年 8月 1日付け 拒絶理由通知 令和 5年10月12日 手続補正書・意見書提出 令和 5年11月17日付け 拒絶査定 令和 6年 3月13日 審判請求書・手続補正書提出 第2 令和 6年 3月13日に提出された手続補正書による手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和 6年 3月13日に提出された手続補正書による手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正について(補正の内容) (1)本件補正後の特許請求の範囲の記載 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。) 「マイクロアレイの適用のためのアプリケータであって、 プランジャが線形移動のために内部に配置されている筐体と、 前記マイクロアレイを受けるための保持要素と、 前記保持要素が受けるマイクロアレイに作用すべく、前記プランジャを移動させるための圧力要素と、 前記マイクロアレイを適用する前に前記プランジャを保持して、作動要素の作動により前記プランジャを移動のために解放する前記作動要素と を備えており、 前記プランジャは、前記作動要素と協働する凹部を有しており、前記作動要素は、前記プランジャと協働する突起を有しており、 前記マイクロアレイを適用する前に前記プランジャの凹部が前記作動要素の突起と係合して前記プランジャを保持し、 前記プランジャの移動方向に直交する一方向に前記作動要素が手動により移動すると、前記作動要素の突起が前記プランジャの凹部から外れて前記プランジャを解放し、前記プランジャは前記圧力要素によって移動することを特徴とするアプリケータ。」 (2)本件補正前の特許請求の範囲の記載 本件補正前の、令和 5年10月12日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。 「マイクロアレイの適用のためのアプリケータであって、 プランジャが線形移動のために内部に配置されている筐体と、 前記マイクロアレイを受けるための保持要素と、 前記保持要素が受けるマイクロアレイに作用すべく、前記プランジャを移動させるための圧力要素と、 前記マイクロアレイを適用する前に前記プランジャを保持して、作動要素の作動により前記プランジャを移動のために解放する前記作動要素と を備えており、 前記プランジャは、前記作動要素と協働する凹部を有しており、前記作動要素は、前記プランジャと協働する突起を有しており、 前記マイクロアレイを適用する前に前記プランジャを保持するために前記プランジャの凹部が前記作動要素の突起と係合し、前記プランジャを解放するために前記プランジャの移動方向に直交する方向に前記作動要素が移動して前記作動要素の突起を前記プランジャの凹部から外すことを特徴とするアプリケータ。」 2 補正の適否 本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「作動要素」について以下のように補正するものである。 まず、「前記マイクロアレイを適用する前に前記プランジャを保持するために前記プランジャの凹部が前記作動要素の突起と係合し」とあるのを「前記マイクロアレイを適用する前に前記プランジャの凹部が前記作動要素の突起と係合して前記プランジャを保持し」とする補正は、凹部と突起とが係合することによるプランジャの動作が明瞭でないため、凹部と突起とが係合することによりプランジャを保持することを明瞭にしていることから、特許法第17条の2第5項第4号の明瞭でない記載の釈明を目的とする補正に該当する。 次に、「前記プランジャを解放するために前記プランジャの移動方向に直交する方向に前記作動要素が移動して前記作動要素の突起を前記プランジャの凹部から外す」とあるのを「前記プランジャの移動方向に直交する一方向に前記作動要素が手動により移動すると、前記作動要素の突起が前記プランジャの凹部から外れて前記プランジャを解放し、前記プランジャは前記圧力要素によって移動する」とする補正は、突起が凹部から外れることによるプランジャの動きについて明瞭でないため、突起が凹部から外れることによりプランジャが解放され、圧力要素によって移動することを明瞭にしていることから、特許法第17条の2第5項第4号の明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当するとともに、作動要素の移動を手動とすることを限定するものであり、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものにも該当する。 そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。 (1)本件補正発明 本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。 (2)引用文献の記載事項及び引用発明 ア 引用文献1 (ア)原査定の拒絶の理由で引用された、本願の優先日前に頒布された引用文献である、特表2016-511679号公報(平成28年4月21日国内公表。以下「引用文献1」という。)には、次の記載がある。 「【0002】多くの装置が、マイクロニードル組立品を使用して、薬物およびその他の医薬品化合物の経皮的送達を行なうために過去に開発されている。マイクロニードルは、大きな従来型の針と比べて、患者に引き起こす痛みが少ないという利点がある。さらに、針を介した薬物の従来的皮下(しばしば、筋肉中)送達は、大量の薬物を一度に送達するように働き、それによって薬物の生物学的利用率のスパイクを生じることがよくある。特定の代謝プロフィールを持つ薬剤では、これは大きな問題ではない。しかし、多くの薬物は、患者の血流中で定常状態濃度を有することによって恩恵を受ける。かかる薬物の周知の例は、インスリンである。経皮的薬物送達装置は技術的に、長期間に渡って一定速度で薬物をゆっくりと投与することができる。従って、経皮的薬物送達装置は、従来的皮下薬物送達方法に対して、いくつかの利点を提供する。」 「【0018】一般的に、装置10のマイクロニードル組立品36は、例えば、適切な基質またはサポートから外向きに延長する複数のマイクロニードルを含むように構成するなどの、流体薬物製剤を使用者の皮膚18内へおよび/または使用者の皮膚18を通して送達するための、本技術分野で知られている任意の適切な構成を有する場合がある。例えば、適切なマイクロニードル組立品構成の1つの実施形態の部分断面図が図11に示されている。図のように、マイクロニードル組立品36は、上面44と底面46を画定するサポート42と、底面46から外向きに延長する複数のマイクロニードル48と、を含む場合がある。サポート42は、金属材料、セラミック材料、プラスチック材料、および/またはその他任意の適切な材料などの、硬質、半硬質、または柔軟な材料シートから一般的に作られる場合がある。さらに、サポート42は、その上面44と底面46との間に、薬剤製剤がその間を流れることができる1つ以上の開口部を画定する場合がある。例えば、図11に示されるように、単一開口部50が、サポート42の各マイクロニードル48の場所に画定され、薬物製剤を上面44からこのようなマイクロニードル48に送達できるようになる。しかし、その他の実施形態では、サポート42は、各マイクロニードル48の場所に、および/または各マイクロニードルから間隔を置いて位置付けられたその他の任意の数の開口部50を画定する場合がある。」 「【0027】戻って図1~4を参照すると、上述のように、開示された装置10は、マイクロニードル組立品36と流体連通しているレザバー38も含む場合がある。具体的には、図2および3に示されるように、レザバー38は、装置10の中央領域30内のマイクロニードル組立品36の上方に位置付けられる場合がある。いくつかの実施形態では、レザバー38は、マイクロニードル組立品36の一部に取り付けられるように構成される場合がある。例えば、図2および3に示されるように、接着層60が、マイクロニードル組立品36をレザバー38に固定するために、レザバー38の底面62とマイクロニードル組立品36の上面との間(すなわち、サポート42の上面44)に配置される場合がある。」 「【0033】引き続き図1~4を参照すると、装置10は、レザバー38のすぐ上方に位置付けられたプランジャー72も含む場合がある。一般的に、プランジャー72は、ハウジング12内に含まれるさまざまな構成要素が、(マイクロニードル組立品36の底部がハウジング下部16の底面20と概して整列しているかまたは底面に対して引っ込んでいる)非作動位置(図2)と、(マイクロニードル組立品36がハウジング下部16の底面20を超えて外向きに延長し、それによって組立品36のマイクロニードル48が使用者の皮膚18を貫通できるようにする)作動位置(図3)との間で移動する際、ハウジング12に対して移動するように構成される場合がある。図2~4に示されるように、一つの実施形態では、プランジャー72は、ハウジング12に画定された対応する開口部76内にスライド可能に受け入れられるように構成される円筒形の頂部74と、レザバー38と係合するかまたはその他の方法でレザバーにすぐ隣接して位置付けられるように構成される平らな底部部分78と、を一般的に含む場合がある。このような実施形態では、プランジャー72がハウジング12に対して下向きに移動する時、プランジャー72の底部部分78は、マイクロニードル組立品36を使用者の皮膚18の中に下向きに押し込む力をレザバー38に対して加える場合がある。」 「【0034】さらに、上述のように、開示された装置10は、装置10の中央領域30内に配置された双方向押し要素40も含む場合がある。一般的に、押し要素40は、装置10を通して使用者の皮膚18に連続的な双方向力(下向きの成分と上向きの成分の両方を持つ)を加えるように構成される任意の適切なバイアス機構および/または力を加える手段としてもよい。例えば、図示される実施形態に示されるように、押し要素40は、ハウジング12とプランジャー72との間に圧縮されたバネを備える。従って、使用中に装置10が作動位置へと移動する時(図3)、バネは、ハウジング12およびプランジャー72に対して、装置10を通して使用者の皮膚18に伝達される連続的な双方向力を加えるように構成される場合がある。具体的には、組立品36のマイクロニードル48が使用者の皮膚18内に押し込まれ、その中に維持されるように、力の下向きの成分(図3の矢印84によって示される)は、装置10の中央領域30を通して(すなわち、プランジャー72およびレザバー38を通して)マイクロニードル組立品36へと下向きに伝達される場合がある。同様に、力の上向きの成分(図3の矢印86によって示される)は、装置30の中央領域30を通ってハウジング12へと上向きに伝達される場合があり、それによって使用者の皮膚18から遠ざかるようにハウジング12を押す場合がある。しかし、ハウジング12は、その外側周縁の周りで(すなわち、装置10の外側領域32で)使用者の皮膚18に取り付けられるので、このような上向きの力は、上向きの緊張力を使用者の皮膚18に提供するために、ハウジング12および接着層22を通して一般的に伝達される場合がある。したがって、マイクロニードル48が使用者の皮膚18内に下向きに押されると、使用者の皮膚18は同時に、装置10の周縁の周りで上向きに引っ張られる場合があり、それによってマイクロニードル組立品36の周りの皮膚18を引き締め、そこでマイクロニードル48を使用者の皮膚18内に挿入し皮膚18内に維持する場合があるのを容易にする。」 「【0035】いくつかの実施形態では、装置10は、装置10が使用されていない時、装置構成要素を非作動位置に維持するように構成されるロック機構も含む場合がある。例えば、図1に示されるように、ロックピン80を、ハウジング上部14の反対側と係合し、それによってバネを圧縮または非作動状態に維持するように、プランジャー72内に画定された開口部82を通して延長するように構成する場合がある。しかし、ロックピン80が取り外された時、連続的な双方向の力が装置10を通して使用者の皮膚18に伝達されるように、バネは圧縮開放される場合がある。代替的実施形態では、ロック機構は、その他任意の適切な構成を有し、かつ/または装置10のその他任意の適切な構成要素と関連しり場合がある。」 「【0036】当然のことながら、バネ/ロックピン80の配設の代替として、プランジャー72は、当技術分野で知られているその他任意の適切な配設および/または構成を使用して、非作動位置と作動位置の間で移動する場合がある。例えば、別の実施形態では、ハウジング上部14の頂部を越えて外向きに延長するプランジャー72の頂部74は、プランジャー72を作動位置に手動で下向きに押すための押しボタンとして使用される場合がある。このような実施形態では、バネ40がプランジャー72を非作動位置へと付勢するように、バネ40の底部は、例えばプランジャー72に結合される場合がある。」 【図1】 [図:0001429505000001.jpg] 【図2】 [図:0001429505000002.jpg] (イ)図1から、ロックピン80は手動により移動することが明らかである。また、図2及び段落【0035】の記載から、プランジャー72の移動方向は、図面上下の方向であり、ロックピン80の移動方向は、誌面垂直方向であるから、プランジャー72の移動方向に直交する一方向にロックピン80が移動する。 (ウ)上記(ア)及び(イ)から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。 「流体薬物製剤を使用者の皮膚18内へ送達するマイクロニードル組立品36を有する装置10であって、マイクロニードル組立品36のマイクロニードル48が使用者の皮膚18内に押し込まれるものであり、 プランジャー72がハウジング12に画定された対応する開口部76内にスライド可能に受け入れられるように構成され、 接着層60が、マイクロニードル組立品36をレザバー38に固定するために、レザバー38の底面62とマイクロニードル組立品36の上面との間に配置され、 ハウジング12およびプランジャー72に対して、装置10を通して使用者の皮膚18に伝達される連続的な双方向力を加えるように構成される押し要素40であるバネと、 装置10が使用されていない時、装置構成要素を非作動位置に維持するように構成されるロック機構を含み、ロック機構は、ロックピン80を、ハウジング上部14の反対側と係合し、それによってバネを圧縮または非作動状態に維持するように、プランジャー72内に画定された開口部82を通して延長するように構成され、ロックピン80が取り外された時、連続的な双方向の力が装置10を通して使用者の皮膚18に伝達されるように、バネは圧縮解放されるロック機構を有し、プランジャー72の移動方向に直交する一方向にロックピン80が手動により移動する装置10。」 (3)引用発明との対比 ア 本件補正発明と引用発明とを対比する。 (ア)引用発明の「マイクロニードル組立品36」は、流体薬物製剤を使用者の皮膚内へ送達するものであることから、その機能から見て本件補正発明の「マイクロアレイ」に相当し、引用発明の「装置10」は、マイクロニードル組立品36のマイクロニードル48が使用者の皮膚18内に押し込まれるものであることから、本件補正発明の「マイクロアレイの適用のためのアプリケータ」に相当する。 (イ)引用発明の「プランジャー72が」その「開口部76内にスライド可能に受け入れられる」「ハウジング12」は、本件補正発明の「プランジャが線形移動のために内部に配置されている筐体」に相当する。 (ウ)引用発明の「レザバー38の底面62」は、「マイクロニードル組立品36をレザバー38に固定するために、」「マイクロニードル組立品36の上面との間に」「接着層60」が配置されるから、本件補正発明の「前記マイクロアレイを受けるための保持要素」に相当する。 (エ)引用発明の「押し要素40であるバネ」は、「プランジャー72に対して」「力を加えるように構成される」とともに、「マイクロニードル組立品36のマイクロニードル48」を「使用者の皮膚18内に押し込」む構成であることから、本件補正発明の「保持要素が受けるマイクロアレイに作用すべく、プランジャを移動させるための圧力要素」に相当する。 (オ)引用発明の「装置10が使用されていない時、」「ハウジング上部14の反対側と係合し、それによってバネを圧縮または非作動状態に維持するように、プランジャー72内に画定された開口部82を通して延長」し、「ロックピン80が取り外された時、連続的な双方向の力が装置10を通して使用者の皮膚18に伝達されるように、バネは圧縮解放される」「ロックピン80」は、図1、2を参照すると、装置10が使用されていないとき、プランジャー72を保持して、ロックピン80が取り外されたとき、バネを圧縮解放し、プランジャー72を移動可能とするから、本件補正発明の「前記マイクロアレイを適用する前に前記プランジャを保持して、作動要素の作動により前記プランジャを移動のために解放する前記作動要素」に相当する。そして、引用発明の「ハウジング12およびプランジャー72に対して」「押し要素40であるバネ」により「装置10を通して使用者の皮膚18に伝達される連続的な双方向力を加えるように構成される」ことは、プランジャー72が押し要素40であるバネによって移動することであるから、本件補正発明の「前記プランジャは前記圧力要素によって移動する」ことに相当する。 イ 以上のことから、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。 【一致点】 「マイクロアレイの適用のためのアプリケータであって、 プランジャが線形移動のために内部に配置されている筐体と、 前記マイクロアレイを受けるための保持要素と、 前記保持要素が受けるマイクロアレイに作用すべく、前記プランジャを移動させるための圧力要素と、 前記マイクロアレイを適用する前に前記プランジャを保持して、作動要素の作動により前記プランジャを移動のために解放する前記作動要素と、 を備えており、 前記プランジャの移動方向に直交する一方向に前記作動要素が手動により移動すると、前記プランジャは前記圧力要素によって移動するアプリケータ。」 【相違点】 本件補正発明は、「前記プランジャは、前記作動要素と協働する凹部を有しており、前記作動要素は、前記プランジャと協働する突起を有しており、前記マイクロアレイを適用する前に前記プランジャの凹部が前記作動要素の突起と係合して前記プランジャを保持し、」「前記作動要素の突起が前記プランジャの凹部から外れて前記プランジャを解放」するのに対し、引用発明は、「装置10が使用されていない時、装置構成要素を非作動位置に維持するように構成されるロック機構を含み、ロック機構は、ロックピン80を、ハウジング上部14の反対側と係合し、それによってバネを圧縮または非作動状態に維持するように、プランジャー72内に画定された開口部82を通して延長するように構成され、ロックピン80が取り外された時、連続的な双方向の力が装置10を通して使用者の皮膚18に伝達されるように、バネは圧縮解放されるロック機構を有し、プランジャー72の移動方向に直交する一方向にロックピン80が手動により移動する」点。 (4)判断 以下、相違点について検討する。 ア 相違点について 経皮的薬物送達の技術分野において、プランジャが作動要素と協働する凹部を有しており、前記作動要素は、前記プランジャと協働する係合部分を有しており、前記プランジャの凹部が前記作動要素の前記係合部分と係合してプランジャを保持し、前記作動要素の前記係合部分が前記プランジャの凹部から外れて前記プランジャを解放する構成は、本願の優先日前に周知技術であった(必要であれば、原査定の拒絶の理由で引用された引用文献4(特表2017-514576号公報)の段落【0070】、【0076】、【0094】、図13-14、18-19、引用文献5(特表2000-508189号公報)の第5頁第9行-第26行、第7頁第3行-第16行、第8頁第27行-第9頁第20行、図1-2、引用文献6(特表2007-512929号公報)の段落【0024】-【0031】、図1-2を参照。)。 そして、引用発明は、プランジャー72の移動方向に直交する一方向に手動により移動するロックピン80によりプランジャー72の保持及び解放を行うものであり、引用発明におけるプランジャー72及びロックピン80の構成に代えて、上記周知技術を用いることは、当業者が容易に想到し得たことであり、係合部分を突起とすることに格別な困難性はない。 イ そして、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明及び周知技術から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。 ウ したがって、本件補正発明は、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 3 本件補正についてのむすび よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 令和 6年 3月13日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1~16に係る発明は、令和 5年10月12日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~16に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1に係る発明は、本願の優先権主張の日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明及び周知技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 引用文献1.特表2016-511679号公報 3 引用文献 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1の記載事項は、前記第2の[理由]2(2)に記載したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、前記第2の[理由]2で検討したとおり本件補正発明から、実質的に作動要素の移動及び作動要素の移動に伴うプランジャの移動に係る限定事項を削除したものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由]2(3)、(4)に記載したとおり、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、同じ理由で本願発明も、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2024-004460

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