商標拒絶査定不服審判
2024-004330
スイトール
- 審判番号
- 2024-004330
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2023-004658
- 請求日
- 2024年03月12日
- 審決日
- 2024年11月14日
- 公報発行日
- 2025年02月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】川上産業株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人大島・西村・宮永商標特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 大森 友子
- 審判官 小俣 克巳
- 審判官 田中 瑠美
- 分類
- T18 .13 -Z (W171920)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2023- 4658拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和5年1月19日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和5年 6月20日付け:拒絶理由通知書
令和5年 8月 2日 :意見書の提出
令和5年12月 5日付け:拒絶査定
令和6年 3月12日 :審判請求書の提出
令和6年 8月 1日付け:審尋
令和6年 9月17日 :回答書の提出
2 本願商標
本願商標は、「すいとーる」の文字を標準文字で表してなり、第17類「パネル状防音材,パネル状吸音材,パネル状遮音材,防音材,吸音材,遮音材,プラスチック基礎製品,板状プラスチック基礎製品」、第19類「プラスチック製壁板,プラスチック製天井板,プラスチック製間仕切り用パネル板,ガラス繊維製内装材,ガラス繊維製吸音材,吸音パネル(金属製のものを除く。),壁用パネル(金属製のものを除く。),建築用合成樹脂製吸音材,建築用繊維製断熱吸音材,発泡プラスチック製の建築用防音・断熱材,発泡プラスチック製の建築用又は構築用断熱パネル,発泡プラスチック製の建築用構築用防音・断熱材,可搬式防音ブース(金属製のものを除く。)」及び第20類「家具,間仕切り用家具,部屋の間仕切り用家具・つい立て,一人で持ち運び及び組み立てが可能な簡易室内用つい立て,自立型間仕切り(家具),自立式オフィスパーテーション,展示用・陳列用及び仕切り用の自立型パネル,展示用・陳列用及び仕切り用の壁取り付け用パネル」を指定商品として登録出願されたものである。
3 原査定の拒絶の理由(要旨)
本願商標は、「すいとーる」の文字を標準文字で表してなるところ、これは「液体・気体などを吸い込ませて取り除く」ことを意味する語である「吸い取る」を平仮名で表し、長音符号を付したものである。
そして、本願の指定商品を取り扱う分野において、吸音を特徴とする商品が販売され、吸音効果のある商品について、「(音を)吸い取る」の文字が使用されている実情に照らせば、本願商標を、本願に係る指定商品中「パネル状防音材」等の吸音を特徴とする商品に使用しても、これに接する需要者は、「音を吸い取る」という商品の品質を表したものと認識するにとどまるものであるから、本願商標は、単に商品の品質を表したものというべきである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
4 当審における審尋
当審において、令和6年8月1日付け審尋により、別掲に掲げる事実を提示した上で、本願商標が、その指定商品との関係において、商標法第3条第1項第3号に該当する旨の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、請求人に対し、意見を求めた。
5 審尋に対する請求人の意見(要旨)
請求人は、上記4の審尋に対し、令和6年9月17日に回答書を提出し、要旨以下(1)及び(2)のとおりの意見を述べた。
(1)「吸音」とは、ある素材を音が通過する際の摩擦によって「音エネルギー」から「熱エネルギー」に変換されて減衰する現象であって、「音を吸い取る」と認識することは誤りである。そして、別掲に挙げられたインターネット情報については、記事全体では正しく「減衰」と説明されているものも多いことから、吸音材の仕組みについての説明として、「音を吸いこませて取り除く」ことを意味する「(音を)吸い取る」の語が一般に使用されているとまで言い得るものではなく、むしろ、「減衰」の使用例の方が多いことからすれば、「吸い取る」は、単なる誤記又は誤用と捉えるべきである。また、新聞記事情報等において、「熱エネルギーの変換」や「音を減衰」と正しく表現している事例を示すべく、資料13ないし17を追加する。
(2)審尋において、かなり古い新聞記事情報も挙げられているところ、「スイトール」の片仮名からなる商標(登録第5565021号)が過去に登録されていたことに鑑みると、本願商標の識別力の判断に影響を受けるものではない。また、「スイトール」の片仮名を含む商標(登録第5867789号及び登録第6311571号)が「吸い取る」機能がある商品について登録されていることから、取引者又は需要者にとって、これより必ずしも「吸い取る」の意味が想起されるものではないと判断されたことがうかがえる。さらに、「〇〇トール」の態様(称呼)は、需要者が認知しやすい暗示的な造語商標として採択されやすく、登録例も多い(登録第6531795号、登録第6346790号)。そして、請求人は、災害時にも有用と注目されている気泡緩衝材について著名な「プチプチ」商標の権利者であるが(資料18)、特に災害や防災の緊急時には、需要者にとって、わかりやすい商標により手っ取り早く商品を入手できることが肝要であり、上記で挙げた登録商標と比較して、本願商標の有用性及び登録の必要性に疑問はない。
6 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、「すいとーる」の文字を標準文字で表してなるところ、本願商標の構成中の「ー」(以下「長音符号」という。)は、形容詞の本来の語意を強調するために、例えば「寒い」を「さむーい」、「大きい」を「おおきーい」のように、語尾近くに長音符号を挿入して表すこと、あるいはこれに従った発音をする表現が少なからず行われている実情がある。
ところで、「すいとーる」の文字から長音符号を除いた「すいとる」の文字は、原審説示のとおり、「液体・気体などを吸い込ませて取り除く。」(出典:株式会社小学館「デジタル大辞泉」)ことを意味する語である「吸い取る」を平仮名で表したものであると認められるところ、当該「すいとーる」の文字は、上記と同様に「すいとる(吸い取る)」の語意を強調するために、語尾近くに長音符号を挿入して表した文字であると看取されるものである。
そして、原審提示の情報に加え、別掲の参考情報によると、本願の指定商品に関連する分野においては、吸音を特徴とする商品を紹介したり、吸音の仕組みを説明したりする際に、「(音を)吸い込ませて取り除く」ことを意味する「(音を)吸い取る」の語が一般に使用されていることが確認できる。
そうすると、本願商標をその指定商品中、「パネル状防音材,パネル状吸音材,パネル状遮音材,防音材,吸音材,遮音材,ガラス繊維製吸音材,吸音パネル(金属製のものを除く。),建築用合成樹脂製吸音材,建築用繊維製断熱吸音材,発泡プラスチック製の建築用防音・断熱材,発泡プラスチック製の建築用構築用防音・断熱材,可搬式防音ブース(金属製のものを除く。)」等に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、当該商品が「音を吸い取る商品」であること、すなわち、単に商品の品質を表示したものと認識するにとどまり、自他商品の識別標識としては認識し得ないというべきであるから、本願商標は、その商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標と判断するのが相当である。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、「吸音」とは、ある素材を音が通過する際の摩擦によって「音エネルギー」から「熱エネルギー」に変換されて減衰する現象であって、「音を吸い取る」と認識することは誤りであると述べ、別掲に挙げられたインターネット情報については、記事全体では正しく「減衰」と説明されているものも多いことから、吸音材の仕組みについての説明として、「音を吸いこませて取り除く」ことを意味する「(音を)吸い取る」の語が一般に使用されているとまで言い得るものではなく、むしろ、「減衰」の使用例の方が多いことからすれば、「吸い取る」は、単なる誤記又は誤用と捉えるべきであると主張し、新聞記事情報等において、「熱エネルギーの変換」や「音を減衰」と正しく表現している事例を示すべく、資料13ないし17を提出した。
しかしながら、上記(1)で述べたとおり、指定商品に関連する分野においては、吸音を特徴とする商品を紹介したり、吸音の仕組みを説明したりする際に、「(音を)吸い込ませて取り除く」ことを意味する「(音を)吸い取る」の語が一般に使用されていることが確認できる上、これらの使用例として提示した別掲の参考情報は、請求人も認めるとおり、「ある素材を音が通過する際の摩擦によって「音エネルギー」から「熱エネルギー」に変換されて減衰する現象」である「吸音」の仕組みについて正しく説明がなされているものである。
さらに、商標法第3条第1項第3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきであるところ(平成12年(行ケ)第76号判決)、たとえ、吸音の現象を表す言葉として「(音を)吸い取る」の語が厳密には用いられないものであるとしても、別掲の事実によれば、本願商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表すものと認められ、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものというべきである。
イ 請求人は、審尋において、かなり古い新聞記事情報も挙げられているところ、「スイトール」の片仮名からなる商標(登録第5565021号)が過去に登録されていたことに鑑みると、本願商標の識別力の判断に影響を受けるものではないと述べ、また、「スイトール」の片仮名を含む商標(登録第5867789号、登録第6311571号)が「吸い取る」機能がある商品について登録されていることから、取引者又は需要者にとって、これより必ずしも「吸い取る」の意味が想起されるものではないと判断されたことが窺えると主張する。さらに、「〇〇トール」の態様(称呼)は、需要者が認知しやすい暗示的な造語商標として採択されやすく、登録例も多い(登録第6531795号、登録第6346790号)旨主張する。そして、請求人は、災害時にも有用と注目されている気泡緩衝材について著名な「プチプチ」商標の権利者であるが(資料18)、特に災害や防災の緊急時には、需要者にとって、わかりやすい商標により手っ取り早く商品を入手できることが肝要であり、上記で挙げた既登録商標と比較して、本願商標の有用性及び登録の必要性に疑問はない旨主張する。
しかしながら、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであるか否かの判断は、当該商標登録出願の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様と指定商品又は指定役務との関係や、その商品又は役務の分野における取引の実情をも踏まえて、個別具体的に判断されるべきものであるところ、請求人が挙げる登録例とは、文字種、構成文字、指定商品等が異なり、商標全体の構成態様が異なるものである点において、本願とは、事案を異にするものというべきである。
さらに、本願商標は、「すいとる(吸い取る)」の語意を強調するために、語尾近くに長音符号を挿入して表した文字であると看取されるものであり、これに接する取引者、需要者をして、「音を吸い取る商品」、つまり、商品の品質を普通に用いられる方法で表すものと認められ、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないというのが相当であることは、上記(1)のとおりであって、過去の登録例が存在することをもって、上記判断が左右されるものではない。
ウ したがって、請求人の上記ア及びイの主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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