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特許拒絶査定不服審判

2024-003771

バルブおよび吸着式ヒートポンプ

審判番号
2024-003771
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-039037
請求日
2024年03月04日
審決日
2024年12月18日
公報発行日
2025年01月31日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
  • 【請求人】株式会社豊田中央研究所
  • 【請求人代理人】田邊 淳也
  • 【請求人】トヨタ自動車株式会社
  • 【請求人代理人】田邊 淳也
  • 【請求人】株式会社前川製作所
  • 【請求人代理人】田邊 淳也
審判長/審判官
  • 審判長 八木 誠
  • 審判官 河端 賢
  • 審判官 倉橋 紀夫
分類
P18 .121-WY (F16K)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条
データ出所
審決公報(XML)

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特願2020-39037「バルブおよび吸着式ヒートポンプ」拒絶査定不服審判事件〔令和3年9月16日出願公開、特開2021-139468、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、令和2年3月6日の出願であって、その手続の経緯は、概略以下のとおりである。 令和5年 9月21日付け:拒絶理由通知書(発送日:同年9月26日) 同年11月 2日 :意見書、手続補正書の提出 令和6年 1月 4日付け:拒絶査定(発送日:同年1月16日) 同年 3月 4日 :審判請求書の提出 第2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由の概要は、次のとおりある。 1 (進歩性) 本願請求項1-3に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記引用文献記載の発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 記 ・請求項 1 ・引用文献等 1-4 ・請求項 2 ・引用文献等 1-4 ・請求項 3 ・引用文献等 1-5 引用文献1:実願平5-30803号(実開平7-1364号)のCD-ROM 引用文献2:特開2017-155271号公報(周知技術を示す文献) 引用文献3:特開2008-38185号公報(周知技術を示す文献) 引用文献4:国際公開第2008/047790号(周知技術を示す文献) 引用文献5:特開2016-11821号公報 第3 本願発明 本願の請求項1-3に係る発明(以下それぞれ「本願発明1」-「本願発明3」という。)は、令和5年11月2日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1-3に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。 「 【請求項1】 バルブであって、 流体が流れる流路を形成する流路形成部と、 前記流路形成部に設けられて前記流路を開閉する弁体と、 を備え、 前記弁体は、本体部と、前記本体部の表面を覆う被覆部と、を有し、 前記本体部は、熱伝導率が0.6W/(m・K)以下の材料により形成され、 前記被覆部は、多孔質の金属で形成されている、バルブ。」 なお、本願発明2-3は、本願発明1を減縮した発明である。 第4 引用文献、引用発明等 1 引用文献1 (1) 引用文献1の記載事項(下線は当審が付与。以下同様。) 原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1には、図面とともに以下の事項が記載されている。 ア 「【考案の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本考案は、例えば高温流体用パイプラインに介在される開閉弁に関する。 【0002】 【従来の技術】 従来、この種の開閉弁の一例として図4及び図5に示すものがある。これはスルーコンジット弁であって、弁箱1内の中央部に該弁箱1を水平方向に貫通するようにして流路2が形成され、該流路2を開閉する弁体3が弁箱1の中央部に昇降自在に配設されており、弁体3に連結した弁棒4を押し下げることにより、同図に示すように、弁体3の上部に設けた板状流路閉鎖部3aが弁座5,5に接して、流路2を閉鎖し、前記弁棒4を引き上げることにより、弁体3の下部に開設した流路開放用開口部3bが流路2と連通して、流路2を開放することができるようになっている。 【0003】 【考案が解決しようとする課題】 上記従来の構成では、流路2に高温流体を流通させた場合、流路閉鎖状態では弁体3の流路閉鎖部3aの表面が、また流路開放状態では開口部3bの内周面がそれぞれ局部的に急激に高温加熱されるため、弁体3の高温流体接触部分とそれ以外の部分との間に大幅な温度差が生じ、その結果、弁体3に熱歪みが生じて、弁体3が一方の弁座5に片当たりして部分的に磨耗されたり、高温流体の漏洩が生じやすいという難点がある。 【0004】 本考案は、上記難点に鑑み、弁体に熱歪みが生じないようにした開閉弁を提供することを目的としている。 【0005】 【課題を解決するための手段】 上記目的を達成するため、本考案は、弁箱内の流路に弁体が開閉自在に配設された開閉弁において、前記弁体の流路閉鎖部及び流路開放部の流体接触面に耐熱性断熱材が設けられていることを特徴とする。 【0006】 【作用】 上記構成において、流路に高温流体を流通させた場合、弁体の流路閉鎖部及び流路開放部の流体接触面がそれぞれ加熱されるが、その流体接触面に耐熱性断熱材を設けているので、弁体が局部的に急激に高温加熱されることがなく、高温流体接触部分とそれ以外の部分との間の温度差を小さくすることができる。従って、弁体に熱歪みが生じることがなくなり、従来のように、弁体が一方の弁座に片当たりして部分的に磨耗されたり、高温流体の漏洩が生じたりする虞れがない。 【0007】 【実施例】 以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。 図1は、スルーコンジット弁に適用した本考案の第1の実施例を示すものであって、図2に詳細に示すように、弁箱1内の流路2を開閉する弁体3の流路閉鎖部3aの表面及び流路開放用開口部3bの内周面に耐熱性断熱材7a,7bが設けられ、特に、流路開放用開口部3b側の耐熱性断熱材7bに耐磨耗性に優れた熱遮断板8が被覆されており、開口部3bを流通する高温流体によって耐熱性断熱材7bが損傷されないようにしている。なお、図2中、9は熱遮断板8を弁体3に一体連結するための連結杆である。 【0008】 上記構成において、流路2に高温流体を流通させた場合、図1に示す流路閉鎖状態では弁体3の流路閉鎖部3aの表面が、また図2に示す流路開放状態では開口部3bの内周面がそれぞれ加熱されるが、その流路閉鎖部3a及び開口部3bの流体接触面に耐熱性断熱材7a,7bを設けているので、弁体3が局部的に急激に高温加熱されることがなく、弁体3の高温流体接触部分とそれ以外の部分との間の温度差を小さくすることができる。従って、弁体3に熱歪みが生じることがなくなり、従来のように、弁体3が一方の弁座5に片当たりして部分的に磨耗されたり、高温流体の漏洩が生じたりする虞れがない。」 イ 「【0011】 【考案の効果】 本考案によれば、弁体の流路閉鎖部及び流路開放部の流体接触面に耐熱性断熱材が設けられているので、流路に高温流体を流通させた場合でも、弁体の高温流体接触面が局部的に急激に高温加熱されることがなく、弁体の高温流体接触部分とそれ以外の部分との間の温度差を小さくできる。従って、弁体に熱歪みが生じることがなくなり、従来のように、弁体が一方の弁座に片当たりして部分的に磨耗されたり、高温流体の漏洩が生じたりする虞れがない。」 ウ 「 [図:0001418135000001.jpg] 」(【図1】) エ 「 [図:0001418135000002.jpg] 」(【図2】) (2) 引用発明 上記(1)の記載事項からみて、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「 スルーコンジット弁であって、 高温流体を流通させる流路2が形成された弁箱1と、 弁箱1に配設されて流路2を開閉する弁体3と、 を備え、 弁体3は、流路閉鎖部3aと、流路閉鎖部3aの表面に設けられた耐熱性断熱材7aと、を有している、スルーコンジット弁。」 2 引用文献2 原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2には、以下の事項が記載されている。 ア 「【技術分野】 【0001】 本発明は、ポーラス構造体の製造中間体及びポーラス構造体の製造方法に関するものである。 【背景技術】 【0002】 内部に多数の気孔が形成されたポーラス金属が知られており、さらに内部に存在している気孔(ポア)を一方向に整列させるように形成した、ロータス金属等と称されるポーラス金属が知られている。このポーラス金属は、気孔が一方向に整列されるように形成されているため、軽量かつ高剛性という観点から、例えば自動車や航空機の構造材料として期待されている。また、ポーラス金属は、断熱材料や吸音材料などとしても注目されている。」 3 引用文献3 原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献3には、以下の事項が記載されている。 ア 「【技術分野】 【0001】 この発明は多孔質金属の製造方法に関する。 【背景技術】 【0002】 多孔質金属は、その表面および内部に、小さいものでは数十nm、大きいものでは数mmの穴(気孔)が形成され、その体積に占める気孔の割合(気孔率)が大きくなるにつれて体積あたりの質量は低下し、例えば、気孔率が30%の体積あたりの質量は、気孔がないバルク金属の質量の70%となる。 【0003】 この多孔質金属の中の気孔は外部から衝撃が加わることにより押し潰され、その際に衝撃エネルギーを吸収する。そのため、この多孔質金属は軽量な衝撃吸収材として、自動車のバンパー等への適用が期待される。 【0004】 また、その気孔率を高めると、多孔質金属中に個々に独立していた気孔が接触し、それらが連結する。気孔が互いに連結すれば、その多孔質金属の一方から他方に流体を流動させることができる。この連結した気孔の内壁に触媒を担持させると、この気孔の中を流体が流動する間に触媒反応が生じ、いわゆる触媒フィルタとして機能させることができる。 【0005】 その他にも、防音防振材、断熱材への適用や、多孔質金属表面の凹凸による投錨効果を利用した材料間の密着性向上も期待されている。」 4 引用文献4 原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献4には、以下の事項が記載されている。 ア 「[0098] 図10及び図11に示す切削工具100の構成は、支持板109の環状の空気相空間が、環状の多孔質材料により構成されていること、支持板109が切削ブレード12の円孔11の周縁よりも内周側に延長されていること、そして支持板109がナット108を締め付けることにより切削ブレード12に固定されていること以外は図1及び図2に示す切削工具10と同様である。 [0099] この切削工具100の支持板109は、例えば、支持板109の内周側部分109aと外周側部分109bとの間に多孔質材料製のリング109cを配置して、これらを各々互いに溶接(あるいは接着など)することにより作製することができる。 [0100] すなわち、この切削工具100が備える支持板109の超音波反射面106は、多孔質材料製のリング109cの多数の気泡(空気相空間)105、105、~との界面からなる多数の反射面107、107、~から構成されている。 [0101] このように、本発明の切削工具においては、環状の空気相空間を、環状の多孔質材料から構成することもできる。 [0102] 多孔質材料の代表例としては、吸音材や断熱材として用いられる多孔質金属材料が挙げられる。前記の多孔質材料製のリング109cは、例えば、青銅、ステンレススチール、ニッケル、あるいはチタンなどの金属粉末(もしくは金属繊維)を圧縮成形して焼結することにより作製することができる。多孔質金属の各々の気泡の直径は、その製造方法にもよるが、一般に10nm~数mmの範囲内にある。 [0103] 多孔質材料製のリング109cの密度(かさ密度)は、支持板109の外周側部分109bの密度の5~75%の範囲内の値に設定することが好ましい。多孔質材料製リング109cの密度を、支持板109の外周側部分109bの密度の5%未満の値に設定すると支持板109の剛性が小さくなり、そして75%を超える値に設定すると超音波反射面106にて反射される超音波振動の量が少なくなる。 [0104] また、図11に示すように、支持板109が切削ブレード12の円孔11の周縁よりも内周側に延長されていると、超音波反射面106により、切削ブレード12から支持板109に伝わる超音波振動もブレード12の外周側に反射することができる。 [0105] このため、切削工具100は、各々の支持板109をその径方向に大きな振幅にて超音波振動させることができ、更に切削ブレード12から切削工具100を保持する回転軸への超音波振動の伝達(超音波振動の損失の発生)も抑制することができる。 [0106] 従って、切削工具100は、その切削ブレード12の刃先をブレード12の径方向に更に大きな振幅にて超音波振動させることができるため、加工対象物を極めて高い精度で切削することができる。」 イ 「 [図:0001418135000003.jpg] 」([図10]) ウ 「 [図:0001418135000004.jpg] 」([図11]) 5 引用文献5 原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献5には、以下の事項が記載されている。 ア 「【技術分野】 【0001】 本発明は、吸着式ヒートポンプシステム及び冷熱生成方法に関する。」 イ 「【0031】 図1には、本発明の実施形態に係る吸着式ヒートポンプ10が示されている。吸着式ヒートポンプ10は、蒸発器12、高温蒸発器13、第1メイン吸着器14、第2メイン吸着器16、再生アシスト吸着器18、及び凝縮器20を備えている。 【0032】 吸着式ヒートポンプ10は、さらに制御部72(図2参照)を備えている。制御部72はCPU、メモリ、バルブを切り替えるドライバ等を含んで構成されている。制御部72は、予め記録されたプログラムに基づいて後述するバルブを切り替えることで、吸着式ヒートポンプ10を作動させる。 【0033】 蒸発器12は、内部に熱媒である流体を有し、熱媒を蒸発させ、その際の気化熱により外部からエネルギー(熱量)を吸収する動作(冷熱生成)を行うことが可能である。本実施形態では、熱媒として水を用いる。 【0034】 蒸発器12内には、配管PAが配設されており、配管PAは冷熱機器70に接続されている。配管PA内は熱交換用の流体(本実施形態では水)で満たされており、不図示のポンプによって配管PA内を熱交換流体が循環することにより、蒸発器12で生成した冷熱が冷熱機器70に供給される。 【0035】 凝縮器20は、送られてくる熱媒(気相状態)を凝縮させ、凝縮熱を外部に放出する動作(温熱生成)を行う。凝縮器20内には、配管PBが配設されており、配管PBは冷却部71に接続されている。配管PB内は熱交換用の流体(本実施形態では水)で満たされており、不図示のポンプによって配管PB内を熱交換流体が循環することにより、凝縮器20内を所定の温度に維持し、凝縮器20へ送られた蒸気を凝縮させる。 【0036】 凝縮器20は、蒸発器12及び高温蒸発器13と配管29を介して接続されている。配管29には、液バルブVLが設けられている。配管29の一端側は、凝縮器20に接続され、他端側は、蒸発器12側に接続される配管29Aと高温蒸発器13側に接続される配管29Bとに分岐されている。液バルブVLは、配管29の分岐部に対する凝縮器20側に設けられている。また、配管29Bには、ポンプPが設けられている。液バルブVLは、制御部72と接続され、適宜開閉されて、凝縮器20から蒸発器12、高温蒸発器13へ水を送出する。高温蒸発器13へ水を送出する際には、ポンプPも作動させる。 【0037】 高温蒸発器13内には、熱交換流体(本実施形態では水)が貯留されている。高温蒸発器13内の水は、不図示の熱源により加熱されて水蒸気が生成される。生成された水蒸気は、第1メイン吸着器14、第2メイン吸着器16へ適宜供給される。 【0038】 第1メイン吸着器14内には吸着材14A及び伝熱タンク14Bが配置され、第2メイン吸着器16内には吸着材16A及び伝熱タンク16Bが配置されている。吸着材14A、16Aは、熱媒として気相の水を吸着,脱離するものであり、例えば、活性炭、メソポーラスシリカ、ゼオライト等を用いることができる。吸着材14A、16Aは、後述する冷熱生成モード時には、蒸発器12からの熱媒を吸着し、第1、第2再生モード時には吸着した熱媒を脱離する。伝熱タンク14B、16Bは、吸着材14A、16Aとは隔壁を介して熱交換可能とされ、熱媒としての水を貯留可能とされている。 【0039】 再生アシスト吸着器18内にはアシスト吸着材18A及び伝熱タンク18Bが配置されている。アシスト吸着材18Aは、熱媒として気相の水を吸着/脱離するものであり、例えば、活性炭、メソポーラスシリカ、ゼオライト等を用いることができる。なお、アシスト吸着材18Aとしては、吸着材14A、16Aとは異なる吸着特性を有するものが選択される。アシスト吸着材18Aは、後述する第1再生モード時には吸着した熱媒を脱離する。また、第2再生モード時には、吸着材14A、16Aからの熱媒を吸着する。伝熱タンク18Bは、アシスト吸着材18Aとは隔壁を介して熱交換可能とされ、熱媒としての水を貯留可能とされている。 【0040】 蒸発器12は、第1メイン吸着器14の吸着材14Aが収容されている空間(以下、この空間を「吸着材空間14R」という)、及び、第2メイン吸着器16の吸着材16Aが収容されている空間(以下、この空間を「吸着材空間16R」という)と、配管22を介して接続されている。配管22は、第1メイン吸着器14と接続される配管22A、第2メイン吸着器16に接続される配管22Bに分岐されており、配管22AにはバルブV11が設けられており、配管22BにはバルブV12が設けられている。図2に「示されるように、バルブV11、V12は、制御部72と接続されており、制御部72によって開閉が制御されている。バルブV11、V12を開放することにより、蒸発器12から第1メイン吸着器14の吸着材空間14R、第2メイン吸着器16の吸着材空間16Rへの熱媒(気相状態)の移動が可能となる。 【0041】 高温蒸発器13は、第1メイン吸着器14の伝熱タンク14B、第2メイン吸着器16の伝熱タンク16Bと、配管T1で接続されている。配管T1は、伝熱タンク14Bと接続される配管T1A、第2メイン吸着器16に接続される配管T1Bに分岐されており、配管T1AにはバルブV2が設けられており、配管T1BにはバルブV1が設けられている。バルブV1、V2は、制御部72と接続されており(図2参照)、制御部72によって開閉が制御されている。バルブV1、V2を開放することにより、高温蒸発器13から第1メイン吸着器14の伝熱タンク14B、第2メイン吸着器16の伝熱タンク16Bへの熱媒(気相状態)の移動が可能となる。 【0042】 第1メイン吸着器14の吸着材空間14R、及び、第2メイン吸着器16の吸着材空間16Rは、配管24を介して再生アシスト吸着器18の吸着材18Aが収容されている空間(以下、この空間を「吸着材空間18R」という)と接続されている。配管24は、一端が吸着材空間18Rに接続されており、中間部で吸着材空間14Rに接続される配管24Aと、吸着材空間16Rに接続される配管24Bに分岐されている。配管24AにはバルブV3が設けられ、配管24BにはバルブV4が設けられ、配管24A、24Bが合流した配管24にはバルブV5が設けられている。バルブV3?5は、制御部72と接続されており、制御部72によって開閉が制御されている。 【0043】 第1メイン吸着器14の伝熱タンク14B、及び、第2メイン吸着器16の伝熱タンク16Bは、配管T2を介して再生アシスト吸着器18の伝熱タンク18Bと接続されている。配管T2は、一端が伝熱タンク18Bに接続されており、中間部で伝熱タンク14Bに接続される配管T2Aと、伝熱タンク16Bに接続される配管T2Bに分岐されている。配管T2AにはバルブV6が設けられ、配管T2BにはバルブV7が設けられている。バルブV6、V7は、制御部72と接続されており、制御部72によって開閉が制御されている。 【0044】 配管24のバルブV3及びV4とバルブV5の間には、配管26の一端が接続されている。配管26の他端は、凝縮器20と接続されている。配管26には、バルブV8が設けられている。バルブV8は、制御部72と接続されており、制御部72によって開閉が制御されている。 【0045】 再生アシスト吸着器18の吸着材空間18Rは、配管28を介して凝縮器20と接続されている。配管28には、バルブV10が設けられている。バルブV10は、制御部72と接続されており、制御部72によって開閉が制御されている。 【0046】 再生アシスト吸着器18の伝熱タンク18Bは、配管T3を介して凝縮器20と接続されている。配管T3には、バルブV9が設けられている。バルブV9は、制御部72と接続されており(図2参照)、制御部72によって開閉が制御されている。 【0047】 本実施形態では、上記のように、蒸発器12と再生アシスト吸着器18の間に、第1メイン吸着器14と第2メイン吸着器16が並列的に配置されている。したがって、第1メイン吸着器14を冷熱生成用に用いている時に第2メイン吸着器16を再生し、第2メイン吸着器16を冷熱生成用に用いているときに第1メイン吸着器14を再生することにより、連続した冷熱生成を行うことができる。 【0048】 なお、本実施形態において、冷却部71で冷却される熱交換流体の温度は常温Tmとする。また、高温蒸発器13で生成されて送出される水蒸気の温度は60℃?90℃程度が想定されており、この温度が吸着材14A、16Aを再生する際のメイン再生温度Thとなる。本実施形態では、常温Tmを35℃程度、冷熱温度Tlを20℃程度、メイン再生温度Thを80℃程度とする。 【0049】 ここで、第1メイン吸着器14内の吸着材14A、第2メイン吸着器16内の吸着材16Aによる熱媒の吸着と脱離について説明する。 【0050】 図3には、相対圧φ(吸着材の圧力と飽和蒸気圧の比)と吸着材の吸着量qとの関係(吸着特性)の一例を示すグラフ(吸着等温線)が示されている。吸着材による吸着量は、相対圧φによって変化するので、この相対圧φを変化させることにより、吸着材による熱媒の吸着、及び吸着材からの熱媒の脱離を行うことができる。相対圧φの変化に対応する吸着材による吸着量の差Δqが大きいほど、効率的に冷熱生成を行うことができる。 【0051】 上記の相対圧φは、温度に依存するため、熱媒を脱離させるときの温度(再生温度Th)が低いと、吸着量差Δqが小さくなる。図4には、図3の吸着特性を有する吸着材の再生温度を80℃から5℃ずつ低下させたときの吸着量差Δqをプロットしたグラフが示されている。図4に示されるように、再生温度が低下すると、吸着量差Δqが小さくなり、冷熱生成を効率よく行うことが難しい。一方、吸着材の再生に工場やその他各種の排熱を用いることが効率的な冷熱生成には求められる。 【0052】 冷熱生成モードの間、上記の特性を有する吸着材14A(または「吸着材16A」、以下、括弧内に第2メイン吸着器16に対応するものを併記している)を備えた第1メイン吸着器14の吸着材空間14R(第2メイン吸着器16の吸着材空間16R)は、蒸発器12と連通され、蒸発器12から蒸発した熱媒を吸着している。このとき、蒸発器12では冷熱生成が行われている。第1メイン吸着器14(第2メイン吸着器16)内の温度を常温Tmとし、蒸発器12内の冷熱温度を常温Tmよりも低い冷熱温度Tlとすると、第1メイン吸着器14(第2メイン吸着器16)の相対圧φ2は、式1で表わされる。 【0053】 φ2 = 温度Tlでの飽和蒸気圧/温度Tmでの飽和蒸気圧 …(式1)」 ウ 「 [図:0001418135000005.jpg] 」(【図1】) エ 「 [図:0001418135000006.jpg] 」(【図2】) オ 「 [図:0001418135000007.jpg] 」(【図3】) 第5 対比・判断 1 本願発明1について (1) 対比 ア 本願発明1と引用発明とを対比すると、後者の「高温流体」は前者の「流体」に相当することから、後者の「高温流体を流通させる」ことは前者の「流体が流れる」ことに相当し、これより、「流路2」は「流路」に相当し、さらには、後者の「流路2が形成された」ことは「流路を形成する」ことに相当する。 そうすると、後者の「高温流体を流通させる流路2が形成された弁箱1」は前者の「流体が流れる流路を形成する流路形成部」に相当する。 イ 後者の「弁箱1に配設されて」いることは前者の「流路形成部に設けられて」いることに相当し、同様に、「流路2を開閉する」ことは「流路を開閉する」ことに相当する。 そうすると、後者の「弁箱1に配設されて流路2を開閉する弁体3」は前者の「流路形成部に設けられて流路を開閉する弁体」に相当する。 ウ 後者の「流路閉鎖部3a」は前者の「本体部」に相当する。また、後者の「流路閉鎖部3aの表面」は前者の「本体部の表面」に相当することから、後者の「流路閉鎖部3aの表面に設けられた」ことは前者の「本体部の表面を覆う」ことに相当し、そうすると、後者の「流路閉鎖部3aの表面に設けられた耐熱性断熱材7a」は前者の「本体部の表面を覆う被覆部」に相当する。 エ 後者の「スルーコンジット弁」は、上記アないしウの限りにおいて前者の「バルブ」に一致する。 コ そうすると、両者は、 「 バルブであって、 流体が流れる流路を形成する流路形成部と、 流路形成部に設けられて流路を開閉する弁体と、 を備え、 弁体は、本体部と、本体部の表面を覆う被覆部と、を有している、バルブ。」 において一致し、以下の各点で相違すると認められる。 <相違点1> 「本体部」について、本願発明1における「本体部」は、「熱伝導率が0.6W/(m・K)以下の材料により形成され」ているものであるのに対して、引用発明における「流路閉鎖部3a」(本体部)の熱伝導率は不明であり、本願発明1のような材料により形成されたものであるか不明である点。 <相違点2> 「被覆部」について、本願発明1における「被覆部」は、「多孔質の金属で形成されている」ものであるのに対して、引用発明における「耐熱性断熱材7a」(被覆部)は、どのような材料で形成されているものであるのか不明であり、本願発明1のような材料で形成されたものであるか不明である点。 (2) 判断 事案に鑑みて、相違点1及び2についてまとめて検討する。 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2-5には、上記「第4 引用文献、引用発明等」の「2 引用文献2」-「5 引用文献5」に記載したとおりの技術的事項が記載されている。 しかしながら、引用文献2-5のいずれにおいても、相違点1及び2に係る本願発明1のように、弁体が有している「本体部は、熱伝導率が0.6W/(m・K)以下の材料により形成され、被覆部は、多孔質の金属で形成されている」ことは記載も示唆もされていないことから、当業者といえども、引用発明及び引用文献2-5に記載された技術的事項から、相違点1及び2に係る本願発明1の発明特定事項に容易に想到することはできない。 よって、本願発明1は、引用発明及び引用文献2-5に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 2 本願発明2-3について 本願発明2-3も本願発明1と同じ発明特定事項を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-5に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 第6 むすび 以上のとおり、本願発明1-3は、引用発明及び引用文献2-5に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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2024-003771

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