商標拒絶査定不服審判
2024-003650
- 審判番号
- 2024-003650
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2023-002564
- 請求日
- 2024年03月01日
- 審決日
- 2024年11月14日
- 公報発行日
- 2025年03月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】鎌松 亮
- 【請求人代理人】山本 龍郎
- 【請求人代理人】中西 康裕
- 【請求人代理人】山本 彰司
- 審判長/審判官
- 審判長 大森 友子
- 審判官 小俣 克巳
- 審判官 田中 瑠美
- 分類
- T18 .13 -Z (W20)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、商標法第3条第1項、商標法第2条第1項、商標法第4条第1項第18号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2023- 2564拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和5年1月13日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和5年 6月12日付け:拒絶理由通知書
令和5年 7月24日 :意見書の提出
令和5年11月24日付け:拒絶査定
令和6年 3月 1日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和6年 8月22日付け:審尋
第2 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの立体的形状よりなるところ、第6類及び第20類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、立体商標として登録出願され、その後、本願の指定商品は、当審における令和6年3月1日付け提出の手続補正書により、第20類「陳列台」に補正されたものである。
第3 原査定の拒絶の理由(要旨)
原査定は、要旨以下のとおり認定、判断し、本願を拒絶したものである。
1 商標法第3条第1項柱書について
本願商標は、別掲1のとおりの立体的形状であるところ、その指定商品との関係において商品の形状として想定することが困難なものであって、かつ、商品の広告としての使用も当然に想定し得ないことから、本願商標を出願人が自己の業務に係る商品について使用するものとは認められない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項柱書の要件を具備しない。
2 商標法第3条第1項第3号について
本願商標は、別掲1のとおりの立体商標であるところ、その指定商品との関係から、これに接する取引者、需要者が指定商品に採用し得る形状の一形態を表したものと容易に認識するにとどまる立体的形状のみからなるものといえる。
そうすると、本願商標は、その指定商品に使用しても、単に商品の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であって、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
第4 当審における審尋
当審において、令和6年8月22日付け審尋により、別掲2に掲げる事実を提示した上で、本願商標が、その指定商品との関係において、商標法第3条第1項第3号に該当する旨の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、請求人に対し、意見を求めた。
請求人は、当該審尋に対し、指定した期間を経過するも、何ら回答していない。
第5 当審の判断
1 商標法第3条第1項柱書について
本願の指定商品は、上記第2のとおりに補正された結果、本願商標がその指定商品との関係において商品の形状として想定することが困難なものではなくなった。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項柱書の要件を具備しないとした原査定の拒絶の理由は、解消した。
2 商標法第3条第1項第3号について
(1)立体商標における商品の形状について
商標法は、商標登録を受けようとする商標が、立体的形状(文字、図形、記号若しくは色彩又はこれらの結合との結合を含む。)からなる場合についても、所定の要件を満たす限り、登録を受けることができる旨規定する(商標法第2条第1項、同法第5条第2項参照)。
しかしながら、以下の理由により、立体商標における商品等の形状は、通常、自他商品の識別機能を果たし得ず、商標法第3条第1項第3号に該当するものと解される。
ア 商品の形状は、多くの場合、商品に期待される機能をより効果的に発揮させたり、商品の美感をより優れたものとするなどの目的で選択されるものであって、商品の出所を表示し、自他商品を識別する標識として用いられるものは少ないといえる。このように、商品の製造者、供給者の観点からすれば、商品の形状は、多くの場合、それ自体において出所表示機能ないし自他商品識別機能を有するもの、すなわち、商標としての機能を有するものとして採用するものではないといえる。また、商品の形状を見る需要者の観点からしても、商品の形状は、文字、図形、記号等により平面的に表示される標章とは異なり、商品の機能や美感を際立たせるために選択されたものと認識し、出所表示識別のために選択されたものとは認識しない場合が多いといえる。
そうすると、商品の形状は、多くの場合に、商品の機能又は美感に資することを目的として採用されるものであり、客観的に見て、そのような目的のために採用されたと認められる形状は、特段の事情のない限り、商品の形状を普通に用いられる方法で使用する標章のみからなる商標として、商標法第3条第1項第3号に該当すると解するのが相当である。
イ また、商品の具体的形状は、商品の機能又は美感に資することを目的として採用されるが、一方で、当該商品の用途、性質等に基づく制約の下で、通常は、ある程度の選択の幅があるといえる。しかし、同種の商品について、機能又は美感上の理由による形状の選択と予測し得る範囲のものであれば、当該形状が特徴を有していたとしても、商品の機能又は美感に資することを目的とする形状として、商標法第3条第1項第3号に該当するものというべきである。その理由は、商品の機能又は美感に資することを目的とする形状は、同種の商品に関与する者が当該形状を使用することを欲するものであるから、先に商標出願したことのみを理由として当該形状を特定の者に独占させることは、公益上の観点から必ずしも適切でないことにある。
ウ さらに、商品に、需要者において予測し得ないような斬新な形状が用いられた場合であっても、当該形状が専ら商品の機能向上の観点から選択されたものであるときには、商標法第4条第1項第18号の趣旨を勘案すれば、商標法第3条第1項第3号に該当するというべきである。その理由として、商品が同種の商品に見られない独特の形状を有する場合に、商品の機能の観点からは発明ないし考案として、商品の美感の観点からは意匠として、それぞれ特許法・実用新案法ないし意匠法の定める要件を備えれば、その限りにおいて独占権が付与されることがあり得るが、これらの法の保護の対象になり得る形状について、商標権によって保護を与えることは、商標権は存続期間の更新を繰り返すことにより半永久的に保有することができる点を踏まえると、特許法、意匠法等による権利の存続期間を超えて半永久的に特定の者に独占権を認める結果を生じさせることになり、自由競争の不当な制限に当たり公益に反することが挙げられる。
以上、知的財産高等裁判所、平成18年(行ケ)第10555号 同19年6月27日判決、平成19年(行ケ)第10215号 同20年5月29日判決及び平成22年(行ケ)第10253号 同23年6月29日判決参照のこと。
(2)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、別掲1のとおり、(ア)X字状の左右一対の脚部材の互いに対応する上端部同士の間に前後二本の梁部材が差し渡され、これら二本の梁部材同士の間に天幕が張設されており、(イ)前後二本の梁部材は左右一対の脚部材から左右外方へと突出し、(ウ)左右一対の脚部材の間には、中央の枢軸部より下側に棚があり、当該棚は、天幕が覆っている範囲内で左右一対の脚部材の前方へ延び出ている上、(エ)当該棚は、後部が開口したコ字状の棚枠と、この棚枠の前端部から後方へほぼ3分の2の領域まで延在する棚板とで構成され、この構成により、棚板の後方が開放されており、(オ)左右一対の脚部材の下部の前面同士の間に前板(目隠し板)が固定され、当該前板が棚の下方に位置している立体的形状よりなるものである。
そして、別掲2に挙げるとおり、本願の補正後の指定商品「陳列台」及び商品陳列、販売用の「屋台」を取り扱う分野においては、二本の梁部材同士の間に天幕又は天板が張設され、左右一対の脚部材の間に商品を陳列するための棚があり、後方部分が開放されている立体的形状で、本願商標の上記(ア)ないし(オ)の一部又は概ね全てを備えている商品「陳列台」が取引に資されている実情が確認できる。
上記実情を踏まえて本願商標に係る立体的形状を考察すると、当該立体的形状は、指定商品「陳列台」に採用し得る形状の一形態を表したものと容易に認識されるものであり、これに接する取引者、需要者が、その商品の機能又は美感上の理由による形状の選択と予測し得る範囲のものであるというべきであって、商品の機能又は美感に資することを目的とするために採用されたものと認められる。
そうすると、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、指定商品「陳列台」に採用し得る形状の一形態を表したものとして理解するにとどまり、本願商標は、商品の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であって、自他商品を識別するための標識としては認識し得ないものと判断するのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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