商標拒絶査定不服審判
2024-002599
ジイイイエフ、ジェフ、ゲフ
- 審判番号
- 2024-002599
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2023-015335
- 請求日
- 2024年02月14日
- 審決日
- 2025年05月08日
- 公報発行日
- 2025年07月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社Green Energy Frontier
- 【請求人代理人】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 大島 康浩
- 審判官 小林 裕子
- 審判官 大塚 正俊
- 分類
- T18 .21 -Z (W3539)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項6号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第6号、特許法第150条第5項、商標法第4条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2023-15335拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和5年2月15日の登録出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和5年7月18日付け:拒絶理由通知書
令和5年8月30日:意見書の提出
令和5年11月24日付け:拒絶査定
令和6年2月14日:審判請求書の提出
第2 本願商標
本願商標は、「GEF」の文字を標準文字で表してなり、第35類「経営の診断又は経営に関する助言,事業の管理,市場調査又は分析,商品の販売に関する情報の提供,燃料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」及び第39類「ガスの供給,電気の供給,熱の供給」を指定役務として登録出願されたものである。
第3 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、「GEF」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、世界銀行、国連環境計画、国連開発計画が共同で運営し、開発途上国が環境問題に取り組むための支援を行う「地球環境ファシリティー(Global Environment Facility)」の略称として著名な標章「GEF」と同一又は類似のものである。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第4 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第4条第1項第6号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを実施した結果、別掲1及び別掲2に示したとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、証拠調べの結果を通知した。
第5 職権証拠調べに対する請求人の意見
上記第4の「証拠調べ通知」に対して、請求人からは何らの意見、応答もなかった。
第6 当審の判断
1 商標法第4条第1項第6号の趣旨
商標法4条1項6号は、同号に掲げる標章を一私人に独占させることは、同号所定の団体の信用や権威を損ない、国際信義に反することから、これを不登録事由としたと解される(知財高判平成30年4月11日(同29年(行ケ)第10208号))。
また、同規定は、同号に掲げる団体の公共性にかんがみ、その権威を尊重するとともに、出所の混同を防いで需要者の利益を保護しようとの趣旨に出たものであり、同号の規定に該当する商標、すなわち、これらの団体を表示する著名な標章と同一又は類似の商標については、これらの団体の権威を損ない、また、出所の混同を生ずるものとみなして、無関係の私人による商標登録を排斥するものであると解される(知財高判平成21年5月28日(同20年(行ケ)第10351号)参照)。
2 本願商標の商標法第4条第1項第6号該当性について
(1)「GEF」の文字(以下「引用標章」ということがある。)が「公益に関する団体であって営利を目的としないものを表示する標章」であることについて
「GEF」の文字は、別掲1によれば、開発途上国及び市場経済移行国が地球規模の環境課題に対応するためのプロジェクトの実施にあたり追加的に必要な費用を提供する機関である「地球環境ファシリティ(Global Environment Facility)」の略称を表すものである。そして、地球環境ファシリティ(GEF)は、生物多様性条約、気候変動枠組条約、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPS条約:Stockholm Convention on Persistent Organic Pollutants)、砂漠化対処条約、水銀に関する水俣条約、国家管轄権外区域における海洋生物多様性(BBNJ:Biological Diversity of Areas Beyond National Jurisdiction)協定の6つの国際環境条約の資金メカニズムとして活動していることが確認できる。
上記のような活動内容からしても、地球環境ファシリティ(GEF)は、開発途上国及び市場経済移行国が地球規模の環境課題を解決するための活動であり、公益に関する団体であって、営利を目的としないものであると認められる。
したがって、地球環境ファシリティ(GEF)は、「公益に関する団体であって営利を目的としないもの」に該当する。
(2)引用標章が「著名なもの」であることについて
地球環境ファシリティ(Global Environment Facility)」は、自らのウェブサイト等で、自らの略称として「GEF」の文字を使用している。
また、「GEF」の文字は、別掲2のとおり、我が国における全国紙を含む新聞記事やウェブサイトにおいて、例えば、地球環境ファシリティの活動等が紹介される中で、当該機関を表示するものとして、使用されている事実がある。そして、その中には、例えば、別掲2のように、記事の概要を簡潔に伝える役割を持つ見出しにおいて、引用標章が「地球環境ファシリティ(Global Environment Facility)」の文字を伴わない形で、地球環境ファシリティの略称を表示するものとして使用されている例も存在する。
以上を踏まえると、引用標章は、地球環境ファシリティや当該機関が実施する活動等を紹介する新聞記事やウェブサイトにおいて、当該機関の略称を表示するものとして広く一般に使用されているものである。そして、その新聞記事は全国紙を含む各種新聞におけるものであって、さらに、近年、環境問題に対する関心に高くなっていることも踏まえれば、引用標章は、地球環境ファシリティの略称を表示するものとして、広く一般に認識されるに至っているというべきである。
(3)本願商標が引用標章と同一又は類似の商標であることについて
ア 本願商標について
本願商標は、上記第2のとおり、「GEF」の文字を標準文字で表してなるところ、該文字は、上記(2)のとおり、「地球環境ファシリティ(Global Environment Facility)の略称」を表示する標章として著名な引用標章と構成文字を同一にするものであるから、当該文字部分は、「地球環境ファシリティ(Global Environment Facility)」程の意味合いを理解させるものである。
したがって、本願商標は、その構成文字に相応して、「ジイイイエフ」の称呼及び「地球環境ファシリティ(Global Environment Facility)」の観念を生じるものといえる。
イ 引用標章について
引用標章は、上記(2)のとおり「GEF」の文字からなるところ、上記アと同様に、その構成文字に相応して「ジイイイエフ」の称呼が生じ、「地球環境ファシリティ(Global Environment Facility)」の観念を生じるものである。
ウ 本願商標と引用標章の類否
本願商標と引用標章を比較すると、両者はその構成文字を同じくするものであるから、外観においては同一である。
また、称呼及び観念においては、両者とも「ジイイイエフ」の称呼及び「地球環境ファシリティ(Global Environment Facility)」の観念を生じるから、称呼及び観念は同一である。
そうすると、両者は、外観、称呼及び観念のいずれにおいても同一のものであるから、本願商標と引用標章は、その外観、称呼、観念等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して、その役務に係る取引の実情を踏まえつつ全体的に考察すれば、両者は類似するものというべきである。
エ 小括
以上からすれば、本願商標は、「地球環境ファシリティ(Global Environment Facility)」の略称を表示する著名な標章である引用標章と類似するものである。
(4)まとめ
以上のとおり、引用標章は、公益に関する団体であって、営利を目的としないものである地球環境ファシリティの略称を表示するものであるから、「公益に関する事業体であって営利を目的としないものを表示する標章」であって、我が国において広く一般に知られた「著名なもの」である。
そして、本願商標は引用標章と類似するものである。
したがって、本願商標は商標法第4条第1項第6号に該当する。
3 請求人の主張について
請求人は、外務省のウェブサイトや日本経済新聞に「GEF」が掲載されている事実があるが、「GEF」が「地球環境ファシリティ」の英語表記である「Global Environment Facility」の略称であると認識される態様で記載されているものであり、「GEF」の文字が単独で記載されているわけではない旨主張する。
しかしながら、上記1(2)のとおり、新聞における見出しに、引用標章が「地球環境ファシリティ(Global Environment Facility)」の文字を伴わない形で、地球環境ファシリティの略称を表示するものとして使用されていることからすれば、検索結果の見出しにおいて、「GEF」の文字が単独で表示されていない例や「GEF」の文字が表示されていない例があるとしても、そのような例の存在によって、直ちに、「GEF」の文字が「地球環境ファシリティの略称」を表示するものとして著名なものではないとはいえないから、引用標章は「地球環境ファシリティ(Global Environment Facility)」の略称を表示する著名な標章であるという判断を左右するものではない。また、請求人の主張に基づけば、引用標章が「地球環境ファシリティ(Global Environment Facility)」の文字を伴わない形で、地球環境ファシリティの略称を表示するものとして使用されていれば、引用標章が「地球環境ファシリティ(Global Environment Facility)」の略称を示すものであると読者や閲覧者が認識できるといえるところ、かえって、請求人の主張は、「GEF」の文字が「地球環境ファシリティの略称」を表示するものとして著名なものであることの裏付けとなるものともいえることから、請求人の主張は、採用することができない。
4 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第6号に該当するから、これを登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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