商標拒絶査定不服審判
2024-001897
ヤマモトヤマコーゲンビール、ヤマモトヤマコーゲン、ヤマモトヤマ
- 審判番号
- 2024-001897
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2023-037904
- 請求日
- 2024年02月02日
- 審決日
- 2025年07月17日
- 公報発行日
- 2025年10月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社アグリたかの
- 【請求人代理人】黒田 勇治
- 【請求人代理人】黒田 隆史
- 審判長/審判官
- 審判長 高野 和行
- 審判官 小俣 克巳
- 審判官 目黒 潤
- 分類
- T18 .13 -Z (W3243) / T18 .272-Z (W3243)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号商標法4条1項16号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、商標法第4条第1項第16号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2023-37904拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和5年4月7日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和5年 8月10日付け:拒絶理由通知書
令和5年 9月28日 :意見書の提出
令和5年11月 2日付け:拒絶査定
令和6年 2月 2日 :審判請求書の提出
令和7年 4月17日付け:審尋
2 本願商標
本願商標は、「山本山高原ビール」の文字を普通に用いられる方法で横書きしてなり、第32類「クラフトビール,ビール」及び第43類「ビールを主とする飲食物の提供,飲食物の提供」を指定商品及び指定役務として登録出願されたものである。
3 原査定の拒絶の理由の要点
原審において、「本願商標は、「山本山高原ビール」の文字を普通に用いられる方法で、横書きしてなるところ、その構成中、「山本山高原」の文字は、「小千谷市中心部から約3km南にある、標高約336m山頂部分にある広さ77平方メートルの高原」を表すものであって、長岡・東山・山本山県立自然公園を構成する観光地の一つであることが広く一般に認識されている。また、本願の指定商品及び指定役務に係る「ビール」を取り扱う業界においては、いわゆる「地ビール」と呼ばれる、地域との関連性の強い商品が存在し、そのような商品にあっては、地名ないし地域名に「ビール」の文字を組み合わせてなる名称の商品が一般に広く製造、販売され、そのような地ビールが観光地において販売されることは、商取引上一般的に行われているといえる。以上のことから判断すると、本願商標は、「山本山高原のビール」程の意味合いを容易に認識させるものであり、本願商標をその指定商品に使用したときは、これに接する取引者、需要者は、「山本山高原周辺地域において製造又は販売されているビール・クラフトビール」であることを認識し、また、本願商標をその指定役務に使用したときは「山本山高原周辺地域において製造又は販売されているビールの提供」であることを認識するにすぎないから、本願商標は、商品の産地、販売地、品質及び役務の提供の場所、質を普通に用いられる方法で表示するものと判断するのが相当である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品及び役務以外の商品及び役務に使用するときは、商品の品質又は役務の質の誤認を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、拒絶したものである。
4 当審における審尋
当審において、令和7年4月17日付け審尋により、別掲1ないし別掲3に掲げる事実を提示した上で、本願商標が、その指定商品及び指定役務との関係において、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する旨の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、請求人に対し、意見を求めた。
請求人は、当該審尋に対し、指定した期間を経過するも、何ら回答していない。
5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本願商標は、「山本山高原ビール」の文字を普通に用いられる方法で横書きしてなるものである。
そして、その構成中「山本山高原」の文字は、原審提示の情報に加えて、別掲1の情報が示すとおり、「小千谷市中心部から約3km南にある、標高約336m山頂部分にある広さ77平方メートルの高原」を表すものであって、長岡・東山・山本山県立自然公園を構成する観光地の地名を指称する語として、広く一般に使用され、認識されているものである。また、「ビール」の文字は、本願の指定商品との関係において、商品の普通名称と理解される語である。
ところで、別掲2の情報にあるように、1994年の酒税法改正でビール製造量の下限が大幅に引き下げられたことで地域の特性を生かした地ビール造りが盛んに行われるようになり、また、2018年の酒税法改正で果実やハーブなどの副原料を添加しても、発泡酒ではなくビールと認められるようになったことで、より地域色豊かなビールを造ることが可能になったこともあって、近年、醸造所の数は増加が続き、地ビールやクラフトビールへの人気が高まっていることが確認できる。
そして、原審提示の情報や別掲3の情報にあるように、全国各地でその地名ないし地域名に「ビール(麦酒)」や「地ビール」、「クラフトビール」の文字を組み合わせてなる名称のいわゆる地ビールやクラフトビールが一般に広く製造、販売されている実情があり、さらに、原審説示のとおり、観光地において、「○○高原ビール」の語が使用され、また、「山本山高原」の周辺地域においても、ビールが製造、販売されている事実も確認できる。
そうすると、本願商標をその指定商品及び指定役務に使用しても、これに接する取引者、需要者は、その商品が「山本山高原周辺地域において製造又は販売されているビール・クラフトビール」であること、又は、その役務が「山本山高原周辺地域において製造又は販売されているビールの提供」であることを認識するにとどまり、本願商標は、単に商品の品質、産地、販売地又は役務の質、役務の提供の場所を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というのが相当である。
また、本願商標をその指定商品及び指定役務中の「山本山高原周辺地域において製造又は販売されているビール・クラフトビール」又は「山本山高原周辺地域において製造又は販売されているビールの提供」以外の商品及び役務に使用するときは、商品の品質又は役務の質の誤認を生ずるおそれがある商標というべきである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、コンサイス日本地名事典において、「山本山高原」の記載は全くなく、「山本山高原」が全国的又は一地方で広く知られているといえるほどの知名度もなく、原審提示の「山本山高原」の使用例をもって、商品(役務)の産地等を表す語として、取引において普通に用いられているものであると認識するのは不自然である旨主張している。
しかしながら、本願商標の構成中の「山本山高原」の文字が、コンサイス日本地名事典に載録されていないとしても、そのことのみをもって、当該文字が広く知られているといえないとはいえず、上記(1)のとおり、原審提示の情報に加えて、別掲1の情報が示すとおり、「山本山高原」の文字が、長岡・東山・山本山県立自然公園を構成する観光地の地名を指称する語として、広く一般に使用され、認識されている実情に照らせば、これに接する取引者、需要者によって、観光地の地名を表示するものとして一般に認識されるといえ、自他商品役務の識別力を欠くものというのが相当である。
イ 本願商標は、「山本山高原」と「ビール」に分離されて意味内容を判断すること自体、極めて不自然であり、商標の構成文字が多くて冗長なものであったり、商標の構成文字に軽重の差があったり、商標の要部と付記的部分とが存在する商標である場合はともかく、本願商標は、漢字5文字及び片仮名3文字からなる計8文字からなる分離不可能な構成であるところ、纏まりのある一つの造語商標と認定すべきである旨主張している。
しかしながら、本願商標の構成中の「山本山高原」の文字部分と「ビール」の文字部分は、それぞれ漢字と片仮名から構成されるものであるから、視覚的に分離して看取されるといえる。そして、上記(1)のとおり、「山本山高原」の文字が、長岡・東山・山本山県立自然公園を構成する観光地の地名を指称する語として、広く一般に使用され、認識されている実情が認められ、また、「ビール」の文字が、商品の普通名称と理解される語であることからすれば、本願商標をその指定商品及び指定役務に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、それが「山本山高原」の語と「ビール」の語を結合してなるものと容易に理解するといえる。
ウ 請求人は、本願商標と同様な構成からなる過去の商標登録例や審決例を挙げ、本願商標も自他商品役務の識別力が認められるべきである旨主張している。
しかしながら、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであるか否かの判断は、当該登録出願の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様と指定商品又は指定役務との関係や、その商品又は役務の分野における取引の実情をも踏まえて、個別具体的に判断されるべきものであるところ、請求人の挙げた登録例や審決例は、商標の構成態様が本願商標とは異なるものである点や、上記(1)のとおり、近年の地ビールやクラフトビールにおける取引の実情等において、本願とは事案を異にするものというべきであり、また、過去の登録例や審決例が存在することをもって、上記判断が左右されるものではない。
エ したがって、請求人の上記アないしウの主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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