商標拒絶査定不服審判
2024-001014
ラムコーヒー、ラム
- 審判番号
- 2024-001014
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2023-048604
- 請求日
- 2024年01月22日
- 審決日
- 2024年11月26日
- 公報発行日
- 2025年02月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】高野 慎也
- 【請求人代理人】岩田 康利
- 【請求人代理人】松浦 喜多男
- 【請求人代理人】山本 優
- 審判長/審判官
- 審判長 大島 康浩
- 審判官 小林 裕子
- 審判官 大塚 正俊
- 分類
- T18 .13 -Z (W3043) / T18 .272-Z (W3043)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号商標法4条1項16号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、特許法第150条第5項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2023-48604拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和5年4月18日の登録出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和5年6月27日付け:拒絶理由通知書
令和5年8月21日:意見書、手続補正書の提出
令和5年10月12日付け:拒絶査定
令和6年1月22日:審判請求書の提出
令和6年8月8日付け:証拠調べ通知書
令和6年9月28日:意見書の提出
第2 本願商標
本願商標は、「ラム珈琲」の文字を標準文字で表してなり、第30類及び第43類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として登録出願され、その後、本願の指定商品及び指定役務については、前記1の手続補正書により、第30類「コーヒー,コーヒー豆」及び第43類「アルコール分を含まないコーヒーを主とする飲食物の提供」に補正されたものである。
第3 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、「本願商標は、「ラム珈琲」の文字を標準文字で表示してなるところ、その構成中の「ラム」の文字は「サトウキビの糖蜜または絞り汁を発酵させて作った蒸留酒」等の意味を、「珈琲」の文字は「コーヒー豆を煎って挽き粉としたもの。また、それを湯で浸出した褐色の飲料。」の意味をそれぞれ有する語である。そして、本願商標は、「ラム」と「珈琲」の語を組み合わせた語として容易に理解させることに加え、食品業界において「生豆をお酒に漬け、お酒の風味を生豆に移した後に焙煎したコーヒー豆」及び「当該豆を使用したノンアルコールのコーヒー」を、例えば「ワイン珈琲」「ブランデー珈琲」のように「○○珈琲(コーヒー)」(○○には酒名が入る。)と称して取引を行うことが一般的に行われている実情がみられ、その中には「ラム珈琲」及びこれと同義とみられる「ラムコーヒー」の文字が用いられている例もみられる。また、アルコール飲料業界において、「ラム珈琲」及び「ラムコーヒー」の文字は「コーヒーにラム酒を加えたカクテル」の意味合いで用いられている実情が認められる。そうすると、本願商標は、全体として「生豆をラム酒に漬け、ラム酒の風味を生豆に移した後に焙煎したコーヒー豆」若しくは「当該コーヒー豆を使用したノンアルコールのコーヒー」、又は「コーヒーにラム酒を加えたカクテル」の意味合いを生ずる。そのため、本願商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、当該商品が「生豆をラム酒に漬け、ラム酒の風味を生豆に移した後に焙煎したコーヒー豆」又は「当該コーヒー豆を使用したノンアルコールのコーヒー」であること、すなわち、商品の品質(原材料)を表示したものとして、また、その指定役務に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、当該役務が「生豆をラム酒に漬け、ラム酒の風味を生豆に移した後に焙煎したコーヒー豆を使用したノンアルコールのコーヒー」又は「コーヒーにラム酒を加えたカクテルを主とする飲食物の提供」であること、すなわち、役務の質を表示したものとして認識するとみるのが相当である。また、本願商標を上記商品及び役務以外の商品及び役務に使用するときは、商品の品質(役務の質)の誤認を生じさせるおそれがある。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第4 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを実施した結果、別掲1(1)ないし(7)及び別掲2(6)に示したとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、証拠調べの結果を通知した。
第5 証拠調べに対する請求人の意見の要点
(1)ラム酒の風味や香りを加味したノンアルコールのコーヒー飲料やコーヒー豆については、その製法は様々で、統一されていないことから、仮に、本願商標の構成中の「ラム」の文字が「ラム酒」の意味合いと認識されるとしても、需要者は、どのような製法で製造されたものか、具体的な品質を特定することはできず、本願商標を特定の商品や役務を示すものと認識せず、造語として理解する。
(2)「ラム」の文字は多義語であるため、本願指定商品の分野において、蒸留酒のラムであることを需要者に理解させるのには、「ラム酒」でなく「ラム」では不十分である。
(3)ウイスキーに浸漬した後に焙煎したコーヒー豆や、ウイスキー樽に寝かせた後に焙煎したコーヒー豆が販売されている実情があるところ、「ウイスキーコーヒー」の商標登録が認められていることからも、審査の公平性の観点から、本願商標は自他識別力を認められるべきである。
第6 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号について
商標法第3条第1項第3号に掲げる商標が商標登録の要件を欠くとされているのは、このような商標は、商品の産地、販売地その他の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解すべきである(昭和53年(行ツ)第129号判決参照)。
また、上記第3号の趣旨からすれば、商標登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号にいう「役務の提供場所及び質を普通に用いられる方法で表示する商標」に該当するというためには、(中略)、需要者又は取引者によって、当該指定役務が当該商標の表示する地名及び特性を提供場所及び質としているであろうと一般に認識され得ることをもって足りるというべきである(同項第3号にいう「商品の産地又は販売地を普通に用いられる方法で表示する商標」につき同旨、昭和60年(行ツ)第68号判決参照)。
2 本願商標の商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号の該当性について
本願商標は、前記第2のとおり、「ラム珈琲」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「ラム」の文字は、「サトウキビの糖蜜または絞り汁を発酵させて作った蒸留酒。」(出典:「広辞苑 第七版」岩波書店)の意味を、「珈琲」の文字は、「焙煎したコーヒー豆や、それを挽き粉としたもの。また、後者を湯で浸出した褐色の飲料。」(前掲書)の意味をそれぞれ有する語である。
また、原審において示された事実及び当審における職権調査によれば、本願の指定商品及び指定役務を取り扱う分野において、別掲1のとおり、ラムの風味や香りを加味した珈琲が製造、販売及び提供されており、また、別掲2のとおり、「ラム珈琲(コーヒー)」の文字が、「ラムの風味や香りを加味した珈琲」程の意味合いで使用されている事実が認められる。
そうとすると、本願商標を、その指定商品及び指定役務に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、ラムの風味や香りを加味した珈琲(コーヒー、コーヒー豆)又はラムの風味や香りを加味した珈琲(コーヒー)を提供していること、すなわち、単に商品の品質及び役務の質(内容)を普通に用いられる方法で表示したものとして認識し、本願商標を「ラムの風味や香りを加味したコーヒー及びコーヒー豆」以外の商品及び「ラムの風味や香りを加味したコーヒーの提供」以外の役務に使用するときは、商品の品質及び役務の質(内容)の誤認を生じさせるおそれがあるというのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
3 請求人の主張について
(1)請求人は、ラム酒の風味や香りを加味したノンアルコールのコーヒー飲料やコーヒー豆については、その製法は様々で統一されていないことから、仮に、本願商標の構成中の「ラム」の文字が「ラム酒」の意味合いと認識されるとしても、需要者は、どのような製法で製造されたものか、具体的な品質を特定することはできず、本願商標を特定の商品や役務を示すものと認識せず、造語として理解する旨、また、「ラム」の文字は多義語であるから、本願指定商品の分野において、蒸留酒のラムであることを需要者に理解させるのには、「ラム」では不十分である旨主張する。
しかしながら、たとえ請求人が主張するように「ラム珈琲」の製法が必ずしも統一されておらず、「ラム」の文字が多義語であるとしても、上記2のとおり、本願の指定商品及び指定役務を取り扱う分野において、ラムの風味や香りを加味した珈琲が製造、販売及び提供されており、かつ、「ラム珈琲(コーヒー)」の文字が、「ラムの風味や香りを加味した珈琲」程の意味合いで使用されている事実があることに照らせば、本願商標は、「ラムの風味や香りを加味したコーヒー及びコーヒー豆」であるという商品の特性(品質)及び役務の質(内容)を表示記述するものとして一般に認識され、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものといえ、また、このような商標は、商品又は役務の取引者、需要者によって一般に使用される標章であって、商標としての機能を果たし得ないものというべきであることは、上記1のとおりである。
(2)請求人は、過去における登録例を挙げて、本願商標も登録されるべき旨を主張する。
しかしながら、登録出願に係る商標がその指定商品及び指定役務との関係において、自他商品及び自他役務の識別標識として機能し得るか否かは、当該商標の構成態様と指定商品及び指定役務との関係や取引の実情をも踏まえて個別具体的に判断されるべきものであるところ、請求人の示す登録例と本願商標とは、構成態様や指定商品及び指定役務が異なり、事案を異にするものであり、本願商標が自他商品及び自他役務の識別力を欠くものであることは、上記2のとおりであるから、登録例があるからといってその判断が左右されることはない。
(3)したがって、請求人による上記主張は、いずれも採用することができない。
4 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、これを登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2024-001014