商標異議申立
2023-900277
ミカサニンジャ、ミカサ、ニンジャ
- 審判番号
- 2023-900277
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2023-026774
- 登録番号
- 6741227
- 請求日
- 2023年12月07日
- 審決日
- 2024年07月10日
- 公報発行日
- 2024年08月30日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】株式会社三笠
- 【異議申立人】株式会社 ミカサ
- 【異議申立人代理人】長谷川 二美
- 【異議申立人代理人】松下 恵三
- 審判長/審判官
- 審判長 板谷 玲子
- 審判官 鈴木 雅也
- 審判官 小田 昌子
- 分類
- T1651.261-Y (W25) / T1651.262-Y (W25) / T1651.263-Y (W25) / T1651.271-Y (W25) / T1651.25 -Y (W25)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項10号商標法4条1項11号商標法4条1項15号商標法43条の2商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第10号、商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第15号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
登録第6741227号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6741227号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
1 本件商標
本件登録第6741227号商標(以下「本件商標」という。)は、「MIKASA NINJA」の文字を標準文字で表してなり、令和5年3月14日に登録出願、同年9月6日に登録査定、第25類「靴下,吸汗性ソックス,ソックス,レッグウォーマー,手袋,下着,保温用サポーター,ミトン,レギンス,スウェットパンツ,靴下留め,サスペンダー,ソックス留め,仮装用衣服,運動用特殊衣服,タイツ及びタイツストッキング,メリヤス下着、メリヤス靴下,ゲートル・靴用スパッツ・登山用スパッツ,ストッキング及びユニホーム用ストッキング,ガーター,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,被服」を指定商品として、同年10月2日に設定登録されたものである。
2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において引用する商標は、以下の4件の登録商標(これらをまとめて「引用商標」という場合がある。)であり、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
(1)登録第2024021号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:「みかさ」の平仮名と「三笠」の漢字を2段に書してなるもの
登録出願日:昭和61年4月18日
設定登録日:昭和63年2月22日
指定商品:第25類「被服」並びに第20類及び第24類に属する商標登録原簿に記載の商品(平成21年4月8日書換登録)
(2)登録第6178160号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:別掲のとおり
登録出願日:平成31年4月3日
設定登録日:令和元年9月6日
指定商品:第25類「被服」並びに第20類及び第24類に属する商標登録原簿に記載の商品
(3)登録第6183886号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成:別掲のとおり
登録出願日:平成31年4月3日
設定登録日:令和元年9月27日
指定商品:第25類「ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊靴,運動用特殊衣服」並びに第20類及び第32類に属する商標登録原簿に記載の商品
(4)登録第2204739号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の構成:MIKASA
登録出願日:昭和62年10月13日
設定登録日:平成2年1月30日
指定商品:第25類「ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト」並びに第18類及び第26類に属する商標登録原簿に記載の商品(平成23年2月16日書換登録)
3 登録異議申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号、同項第10号及び同項第15号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第30号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標は、「MIKASA」と「NINJA」の間はスペースで区切られており、それぞれ、「ミカサ」、「ニンジャ」の称呼を生ずる。本件商標中、「ニンジャ」から生ずる観念は「室町時代から江戸時代の日本で、諜報活動、破壊活動、浸透戦術、謀術、暗殺などを仕事としていた忍者と呼ばれる者」であり、忍者は、黒ずくめの独特な装束を身に着けていたことが知られている。「忍者」「NINJA」を第25類の商品(被服、靴下等)に使用した場合、それに接する需要者及び取引者は該商品が「忍者が身に着けていたような黒ずくめの被服や靴下」であると認識するにとどまるから、第25類について「NINJA」が持つ識別力は低い。
本件商標において文頭に配置された「MIKASA」は、より目立つ部分であり、かつ識別力も著しく高く、本件商標の要部は「MIKASA」であると考えられる。
イ 引用商標1は、「みかさ/三笠」を2行書きで表示したものであり、生ずる称呼は「ミカサ」のみである。また、引用商標2及び引用商標3は、英文字の「MIKASA」表記に星印を配置したデザインであり、これも、生ずる称呼は「ミカサ」のみである。引用商標4は、英文字の「MIKASA」表記であり、生ずる称呼は「ミカサ」のみである。引用商標は、共に「ミカサ」の自然な称呼をもって取引に資せられると考えられる。
ウ 指定商品について、本件商標の指定商品は、上記1のとおりであり、また、引用商標の指定商品は、上記2(1)ないし(4)のとおりであり、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品は、互いに同一又は類似関係にある商品である。
エ 商標の類否判断は、「商標の類否は、対比される両商標が同一又は類似の商品に使用された場合に、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが、それには、そのような商品に使用された商標がその外観、観念、称呼等によって取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべきであり、しかもその取引の実情を明らかにしうる限り、その具体的な取引状況に基づいて判断すべきものである」(最高裁昭和39年(行ツ)第110号昭和43年2月27日第3小法廷判決・民集22巻2号399号)と、されているから、本件商標と引用商標について、外観、観念、称呼について、具体的に考察する。
オ 外観について、本件商標と引用商標について両者の外観を比較する。本件商標は「MIKASA」と「NINJA」2つの文言からなり、本件商標の「MIKASA」部分と引用商標2、引用商標3及び引用商標4は同一であり、引用商標1は類似である。本件商標には「MIKASA」のほか、「NINJA」の文言もあるが、「NINJA」部分は、本件商標の指定商品である第25類の商品に使用された場合に「忍者が着用しているような黒色の被服や靴下」であることを示す記述にとどまり識別力は高くない。
したがって、本件商標の注意を引く部分、すなわち要部は「MIKASA」部分であると考えられる。
本件商標と引用商標の外観を比較すると、本件商標は「MIKASA」と「NINJA」の2つの文言からなるが、「MIKASA」の文言の方が識別力が高い文言であること、引用商標2ないし引用商標4は英文字表記の「MIKASA」、引用商標1は該英語表記を平仮名表記及び漢字表記にしたものであることを考えると、本件商標と引用商標の外観は類似であるといえる。
カ 観念について、本件商標は、その指定商品である第25類の商品に使用された場合、「MIKASA」の周知性に基づく強い識別力により、「MIKASA」からは、MIKASAブランドを直接想起させる。「NINJA」部分からは「忍者」や「忍者が着用する黒装束」を想起させるが、これらの観念は、第25類の靴下や被服においては、記述的な表記である面が高く、広く第25類の商品に使用されており、商標としての識別力はさほど高くない。上述のように、本件商標の要部は「MIKASA」部分であることから、本件商標と引用商標からは、直接、MIKASAブランドが想起されるものであり、両者から生ずる観念は同一である。
したがって、本件商標と引用商標の観念は互いに同一又は類似である。
キ 称呼について、本件商標と引用商標の全体の称呼を比較すると「ミカサニンジャ」と「ミカサ」であり半分が共通し半分が相違する。
しかしながら、称呼を聞いたとき、より印象に残るのは文頭の発音である。また、「ニンジャ」部分について、第25類の商品への使用に際しては、記述的であり識別力が高くない。本件商標の要部は「MIKASA」であるから、引用商標の称呼と同一である。
したがって、本件商標と引用商標の称呼は類似する。
ク 本件商標と引用商標について、称呼、外観、観念において類似するので、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第10号について
株式会社ミカサは、1917年に創業した企業であって、自社ブランド「MIKASA」を、ソックスや被服に広く使用して今日に至っている。株式会社ミカサは、「MIKASA」ブランドで、ソックス等の第25類の商品の販売を遅くとも1989年から現在まで継続している(甲6~甲9)。MIKASAブランドが表示されたシャツ、手袋、ソックス商品が掲載された1989年版の「MIKASA」ブランド商品カタログ(甲6)、MIKASAブランドが表示されたソックス商品が掲載された2017年版MIKASAカタログ(甲7)、2018年版MIKASAカタログ(甲8)、MIKASAブランドが表示されたソックス商品とタンクトップ商品が掲載された2023年版MIKASAカタログ(甲9)を証拠として提出する。
また、MIKASAブランドは、スポーツ用ソックス以外に、タウンファッション用のアパレル商品も積極的に展開している。映画化もなされた大人気アニメ「ハイキュー!!」とコラボしたデザインのMIKASAソックスやパーカー等の被服類は人気商品である(甲10~甲14)。これら商品の具体的な販売数量等については公開できないところ、同社の事業規模から相当量の販売が現在までなされているものである。
さらに、申立人の「MIKASA」ブランドは、TikTokでは1,000万人を超えるフォロワー数を持つホリプロデジタルエンターテイメント所属の人気モデルKプロデュースの被服(甲15~甲18)も展開し、スポーツシーンのみならず、タウンカジュアル、ティーンズ向けファッションとして人気が高いことに加え、タレントWプロデュースのKUMATANとのコラボ商品であるゲームジャケットの販売も行う等(甲19)、アパレル商品について、芸能人やタレントを起用し、販促活動を積極的に展開している。
本件商標と引用商標を比較すると、本件商標は「MIKASA」と「NINJA」の2つの構成要件からなるが、第25類の商品に使用された場合、「MIKASA」文字部分からは、株式会社ミカサのブランド「MIKASA」が直接想起される。「NINJA」文字部分については、「NINJA」は、「忍者」「忍者が着用する黒装束」「黒い忍者服」を想起するから、第25類の商品との関係では記述的かつ識別力が著しく低い。
したがって、本件商標の識別力を有する部分は、専ら「MIKASA」文字部分にあると考えられる。
そうすると、「MIKASA」を要部とする本件商標と、同一の英文字「MIKASA」からなる引用商標2、引用商標3及び引用商標4と、該英文字を平仮名表記と漢字表記に変換した「みかさ/三笠」からなる引用商標1は、相互に、商標が類似するといえる。
次に、指定商品を比較する。株式会社ミカサが「MIKASA」ブランドで製造販売するソックスや被服商品と、本件商標の指定商品である第25類の商品は、互いに同一又は類似の商品である。
本件商標は、株式会社ミカサの商標として、広く一般に知られている商標と類似する商標であり、指定商品も互いに類似するから、本件商標は、その指定商品との関係において、商標法第4条第1項第10号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第15号について
申立人のブランド「MIKASA」のスポーツ用ボールは、我が国のみならず全世界で周知なブランドである(甲20~甲22)。MIKASAブランドのバレーボールは、1969年、国際バレーボール連盟(FIVB)に、公式球として採用されたことを皮切りに、1972年のオリンピック(ミュンヘン大会)で公式球に採用され、1980年以降は、全てのオリンピック(1980年モスクワ大会、1984年ロサンゼルス大会、1988年ソウル大会、1992年バルセロナ大会、1996年アトランタ大会、2000年シドニー大会、2004年アテネ大会、2008年北京大会、2012年ロンドン大会、2016年リオデジャネイロ大会、2021年東京大会)で公式球として採用されている(甲23、甲24)。
「MIKASA」のスポーツ用ボールの著名性は、テレビ番組等で数えきれないほど取り上げられている(甲25)。また、「MIKASA」ブランドの水球は、国際水泳連盟の公式球に選定され、世界各国でMIKASAブランドの水球が公式戦の場で使用されている(甲26)。また、MIKASAブランドのサッカーボールは、全国高校サッカー選手権大会の公式試合球に選定されている(甲27)。ビーチバレーボールも国際バレーボール連盟(FIVB)の公式球に選定されており世界各国の公式戦で使用されている(甲28)。MIKASAブランドのフットサルボールも、日本フットサルトップリーグとのオフィシャルボール契約が締結され、2023-2024シーズンの日本フットサルリーグ(Fリーグ)及び女子フットサルリーグの公式球として使用されることが決定している(甲29、甲30)。
スポーツ用ボールにおいては、「MIKASA」ブランドのスポーツボールは、日本のみならず世界中で使用されており、公式リーグやオリンピックの公式球に採用され、テレビ中継やメディア露出されているから、スポーツ用品の分野において「MIKASA」は著名商標といえる。
本件商標の指定商品である靴下や被服類は、スポーツシーンに不可欠の商品である。申立人のカタログは、1989年以来、スポーツブランドとして、ボールだけでなく、スポーツシーンで必要となるソックス等の小物や被服等のアパレル商品、手袋やゲームジャケット等を、網羅的に、継続して販売している(甲6~甲9)。
申立人のスポーツ用ボールの著名性はさることながら、申立人は、「MIKASA」ブランドで、広く、スポーツシーンに関連した商品、アパレル商品まで積極的に展開している状況であり、本件指定商品の分野の需要者及び取引者は、「MIKASA」の文字を含む本件商標が、本件指定商品について使用された場合、申立人の業務に係る商品又は申立人の関連会社の業務に係る商品であると誤認し、出所混同を引き起こすことが明らかである。
したがって、本件商標は、申立人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがあり、仮に、商標法第4条第1項第10号に該当しないとしても、商標法第4条第1項第15号に該当する。
4 当審の判断
(1)申立人の使用に係る商標の周知・著名性について
ア 申立人の主張及び提出した証拠によれば、以下のとおりである。
(ア)申立人は、1917年に創業した、競技用ボールを中心に製造する企業であり(甲23)、申立人の1989年、2017年、2018年及び2023年のカタログの表紙には、引用商標2及び引用商標3と同一の構成態様で表された商標(以下「申立人商標1」という。)が表示され、これらカタログには、バレーボール競技用ボールを中心とした商品が掲載され、一部にバレーボール競技用の「スポーツソックス」も掲載されている(甲6~甲9)。
(イ)2021年に、申立人がアニメーション「ハイキュー!!」とコラボした、靴下、長袖パーカーを販売したことがインターネットで紹介されており、上記商品には申立人商標1と同一の構成態様で表された商標が表示され、当該インターネットには「MIKASA×ハイキュー!!」及び「MIKASA(ミカサ)×ハイキュー!!」の記載がある(甲10~甲14)。
(ウ)申立人のバレーボール競技用ボールは、1969年に国際バレーボール連盟(FIVB)に公式球として採用され、1972年のミュンヘンオリンピック大会及び1980年のモスクワオリンピック大会以降のオリンピック大会において公式球に選定され、モスクワ、ソウル、バルセロナ、北京の各大会のものには、申立人商標1と同一の構成態様で表された商標が表示されている(甲23)。
(エ)申立人の水球競技用ボールは、2022年の世界選手権で国際水泳連盟の公式球として使用され、サッカー用ボールは、2021年度の全国高校サッカー選手権大会の公式試合球に選定されるなどし、これら商品には、申立人商標1と同一の構成態様で表された商標が表示されている(甲26、甲27等)。
(オ)「SPODGE」に係るウェブサイト(2021年1月22日付け)には、表題中に、「MIKASAのボールで世界を笑顔に!」の記載があり、また、当該記事中には、「バレーボールを中心に、世界中の競技用ボールを作る株式会社ミカサの代表取締役社長。」「『MIKASA』ブランド」、「『MIKASA』のボール」などの記載がある(甲24)。
(カ)インターネット記事によれば、申立人が、2020年より、アパレルブランド「MIKASA STAR」を開始したことがうかがえるが、当該ブランドの商品には、引用商標と同一の構成態様で表された商標は見いだせない(甲15~甲17)。
イ 上記アの事実を総合して判断するに、申立人は、バレーボールを主とする競技用ボールの製造企業であり、申立人商標1を表示したバレーボール競技用ボールが1980年以降のオリンピック大会で公式球に採用されており、バレーボール競技を中心とする競技用の公式球にも選定されていること、及びバレーボール競技を題材とするアニメーションとのコラボ商品の紹介等において、申立人商標1及び申立人商標1を構成する「MIKASA」の文字(以下「申立人商標2」といい、これと「申立人商標1」をまとめて「申立人商標」という。)が使用されていることなどからすれば、申立人商標は、申立人の業務に係るバレーボール競技用ボールを表すものとして、我が国のバレーボールの競技者を中心とした当該商品の需要者の間において、一定程度知られていると認めることができる。
しかしながら、申立人商標を表示した競技用ボール並びに靴下及び被服等の商品の売上高、販売量などの販売実績及び広告宣伝の期間、規模、頻度等など、その周知・著名性を数量的に判断し得る具体的な証拠は見いだせないから、申立人商標が、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国における取引者、需要者にどの程度認識されるに至ったかを客観的に認定することはできない。
その他、申立人商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたと認めるに足りる事実は見いだせない。
したがって、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人商標が、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されているものと認めることができない。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は、上記1のとおり、「MIKASA NINJA」の欧文字を標準文字で表してなるところ、その構成は、「MIKASA」の文字と「NINJA」の文字との間に一文字程度の空白を有するものの、同じ大きさ、同じ書体をもって、外観上まとまりよく一体的に表されているものである。
また、本件商標の構成全体から生じる「ミカサニンジャ」の称呼は、格別冗長なものではなく、よどみなく一連に称呼し得るものである。
さらに、本件商標の構成中「MIKASA」の文字は、上記(1)のとおり、申立人商標が本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されているものということができず、ほかに、当該「MIKASA」の文字部分のみが独立して認識されるとみるべき特段の事情を認めることはできない。
申立人は、本件商標の構成中「NINJA」の文字は、第25類の商品との関係において「忍者」「忍者が着用する黒装束」「黒い忍者服」を想起するから、識別力が低い旨主張しているが、これを裏付ける具体的な証拠の提出はなく、直ちにかかる主張を認めることはできない。
そうすると、本件商標は、まとまりよく一体的な構成であって、その構成文字のいずれかが強く支配的な印象を与えるとすべき特段の事情も見いだせないことから、一連一体の一種の造語として認識され把握されるものとみるのが自然である。
したがって、本件商標は、その構成文字に相応して、「ミカサニンジャ」の称呼のみを生じ、特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標
引用商標1は、「みかさ」の平仮名と「三笠」の漢字を2段に書してなるものであり、また、引用商標2及び引用商標3は別掲のとおり「MIKASA」の欧文字(構成中「I」の上部には星の図形が配されている。以下同じ。)からなり、引用商標4は「MIKASA」の欧文字からなるものであって、いずれもその構成文字に相応し、「ミカサ」の称呼を生じるものである。
また、引用商標を構成する各文字は、取引者、需要者に特定の意味を想起させるものとして親しまれているとはいえず、引用商標は特定の観念を生じないものである。
ウ 本件商標と引用商標の類否
本件商標と引用商標の類否を検討すると、本件商標と引用商標は上記ア及びイのとおりの構成よりなるところ、外観については、本件商標と引用商標1とは構成文字及び文字種において相違し、本件商標と引用商標2ないし引用商標4とは「NINJA」の文字の有無において相違するものであるから、判然と区別し得るものである。
次に、称呼については、本件商標から生じる「ミカサニンジャ」の称呼と引用商標から生じる「ミカサ」の称呼とは、「ニンジャ」の音の有無の差異により、明瞭に聴別できるものである。
さらに、観念については、本件商標と引用商標は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念において比較することはできない。
以上よりすると、本件商標と引用商標は、観念において比較できないとしても、外観において判然と区別し得るものであり、称呼においても明瞭に聴別できるから、これらが需要者に与える印象、記憶、連想等を総合してみれば、両商標は、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
その他、本件商標と引用商標とが類似するというべき特段の事情は見いだせない。
したがって、本件商標と引用商標とは非類似の商標というべきものである。
エ 小括
以上のとおり、本件商標と引用商標とは、非類似の商標であるから、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品が同一又は類似するものであるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第10号該当性について
申立人商標は、上記(1)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されていたと認めることができないものであって、「MIKASA」の構成文字からなる申立人のブランド「MIKASA」についても、同様に、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されていたと認めることができない。
また、本件商標は、上記(2)ウのとおり、引用商標とは非類似の商標であるから、「MIKASA」の構成文字からなる申立人のブランド「MIKASA」についても、同様に、非類似の商標である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
(4)商標法第4条第1項第15号該当性について
「MIKASA」の構成文字からなる申立人のブランド「MIKASA」は、上記(3)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されていたと認めることができない。
また、上記(3)のとおり、本件商標と申立人のブランド「MIKASA」とは、非類似の商標であるから、類似性の程度は高くなく、別異の商標である。
そうすると、本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品「バレーボール競技用ボール」「バレーボール競技用ソックス」等との関連性の程度、需要者の共通性の程度などを合わせ考慮しても、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用した場合、取引者、需要者をして申立人のブランド「MIKASA」を連想又は想起させることはなく、その商品が他人(申立人)又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号及び同項第15号に違反してされたものとはいえず、ほかに、同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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2023-900277