商標異議申立
2023-900265
タイオン、ティオン
- 審判番号
- 2023-900265
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2023-033142
- 登録番号
- 6736867
- 請求日
- 2023年11月24日
- 審決日
- 2024年06月04日
- 公報発行日
- 2024年07月26日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】株式会社TYON
- 【権利者代理人】弁理士法人Smarca
- 【異議申立人】株式会社 D.O.N
- 【異議申立人代理人】弁理士法人みなとみらい特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 旦 克昌
- 審判官 大島 康浩
- 審判官 小林 裕子
- 分類
- T1651.261-Y (W093542) / T1651.262-Y (W093542) / T1651.263-Y (W093542) / T1651.271-Y (W093542)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号商標法4条1項15号商標法43条の2商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第15号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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登録第6736867号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6736867号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
1 本件商標
本件登録第6736867号商標(以下「本件商標」という。)は、「TYON」の欧文字を標準文字で表してなり、令和5年3月28日に登録出願、第9類、第35類、及び第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同年9月7日に登録査定、同年9月15日に設定登録されたものである。
2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立の理由において引用する登録商標(以下まとめていうときは「引用商標」という。)は、以下のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第6305818号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の態様:別掲のとおり
登録出願日:令和元年6月28日
設定登録日:令和2年10月20日
指定商品及び指定役務:第9類、第10類、第11類、第14類、第18類、第25類、第35類、第41類、第44類及び第45類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務
(2)登録第6310871号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の態様:別掲のとおり
登録出願日:令和元年6月28日
設定登録日:令和2年10月30日
指定商品及び指定役務:第9類、第35類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務
(3)登録第6605456号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の態様:別掲のとおり
登録出願日:令和3年7月27日
設定登録日:令和4年8月25日
指定商品及び指定役務:第1類、第3類、第5類、第35類及び第44類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務
3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第27号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標と引用商標の類否について
(ア)本件商標について
本件商標は、「TYON」の欧文字からなるところ、当該文字は、我が国において一般的に使用されている辞書等に載録されている語ではなく、また、特定の意味合いを有するものとして認識されているというような事情も見いだせないことから、一種の造語と理解されるものである。
そして、特定の意味を有しない欧文字は、一般に、我が国において親しまれた英語読み又はローマ字読みに倣って称呼される。例えば、一般に知られている平易な英単語「type(タイプ)」や「tying(タイイング)」の読みに倣い、本件商標は、「タイオン」の称呼を生じるものというのが相当である。
また、本件商標の権利者は、本件出願日より前から現在まで、権利者のホームページ上で「人の体温が感じられるコミュニケーション」「体温のあるコミュニケーション」のような記載をしており、「TYON」を「タイオン」ひいては「体温」を意味する語として使用していることが明らかである(甲5~甲6)。加えて、国税庁法人番号公表サイトにおいて権利者である「株式会社TYON」の情報を検索したところ、「商号又は名称(フリガナ)」欄には「タイオン」との表記があり、権利者が、「TYON」の語を「タイオン」と称呼して使用している実情が確認できる(甲7)。
以上のような商標権者の使用状況を鑑みると、本件商標からは「タイオン」の称呼が生じることは明らかである。
(イ)引用商標について
他方、引用商標1ないし引用商標3は、一部デザイン化された「TAION」の欧文字からなるところ、当該文字は、わが国において一般的に使用されている辞書等に載録されている語ではなく、また、特定の意味合いを有するものとして認識されているというような事情も見いだせないことから、一種の造語として理解されるものであるが、下述のとおり引用商標からは「タイオン」の称呼が生じ、その読みから「体温」ほどの観念を生じる場合もあるといえる。
そして、特定の意味を有しない欧文字は、一般に、我が国において親しまれた英語読み又はローマ字読みに倣って称呼されることから、引用商標は、「タイオン」の称呼を生じるものというのが相当である。
(ウ)本件商標と引用商標の類否
そうすると、本件商標と引用商標とは、観念において比較することができないとしても、ともに「タイオン」の称呼を共通にするものであり、外観においても「T」「O」「N」の3文字が同一の文字構成からなり、その差異は称呼を共通にすることによる類似性を凌駕するほどの差異として認識されるとはいえないものであるから、取引者、需要者に与える影響、記憶、連想等を総合して全体的に考察すると、本件商標と引用商標とは、互いに相紛れるおそれのある類似の商標というべきである。
そして、本件商標と引用商標の指定商品・指定役務は、上記1及び2のとおりであるから、同一又は類似のものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
ア 引用商標の周知性について
本件異議申立人である「株式会社D.O.N」は、本件商標の出願前より、「TAION」の名称を用いて、ダウンウェアをはじめとする被服・かばん類等の自社ブランド商品を販売しており(甲8~甲10)、日本のみならず海外(中国、欧州、英国、韓国、米国、カナダ、香港、マカオ、台湾など)でも既に販売実績をもち、例えば、米国では30社以上、69店舗以上で取引・販売の実績を有し、欧州では販売代理店が400社を超える実績を有している(甲11~甲16)。
そして、海外での商品販売に際しては、既に、海外ブランドとの協業による商品販売も行っており(甲17)、目覚ましい世界進出で、販売代理店が増えている背景等を受け、世界的に進出しているアパレルブランド(GRAMCCI、PENDLETONなど)とのコラボレーション等も決まっている(甲18、甲19)。
さらに、日本内外の各種情報媒体でもその商品情報等は紹介され日本内外からの注目度も極めて高いものである(甲20~甲22)。
このようなグローバル展開に伴ったグローバルブランドとのタイアップ等の状況を鑑みて、日本のみならず既に海外の多数の国においても商標登録を行っている(甲23、甲24)。
以上より、引用商標は、本件商標の出願時において、「株式会社D.O.N」の業務に係る商品「被服」を表示するものとして需要者の間において広く認識されていた商標であるものとするのが相当である。
イ 商標法第4条第1項第15号該当性についての検討
上記のとおり、引用商標は、「株式会社D.O.N」の業務に係る商品「被服」を表示するものとして周知である。
また、「株式会社D.O.N」はプログラムやITを使用した商品役務について特許登録を行っており、将来的な事業拡大に備えて既に事業を実施している(甲25~甲27)。
ウ 小括
以上述べたとおり、「タイオン」の称呼が生じる本件商標が、本件指定商品・指定役務について使用された場合には、申立人の業務に係る商品・役務と出所の混同を生ずるおそれがあることは明らかである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものである。
4 当審の判断
(1)引用商標の周知性について
ア 申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、以下のとおりである。
(ア)申立人である「株式会社D.O.N」は、本件商標の登録出願前より、引用商標を付したダウンウェアをはじめとする被服、かばん類等(以下「申立人商品」という。)の販売を行っている(甲8、甲9)。
申立人は、2016年10月に日本発インナーダウンウェアブランド「TAION INNER DOWN WEAR」を立ち上げ、同ブランドのダウンウェアの日本国内卸販売を開始し、初年度は約4万枚のセールスを達成した。2018年9月以降、海外からのOEM別注、海外でのダウンウェアの販売が開始され、日本国内では、ダウンウェアの取扱店舗数が累計1000店舗に広がり、約20万枚以上のセールスを達成した。また、2021年ないし2022年では、日本国内の申立人商品の販売枚数が50万枚となっている(甲10)。
(イ)申立人は、日本をはじめ海外(中国、欧州、英国、韓国、米国、カナダ、香港、マカオ、台湾など)でも販売店舗をもち、米国においては、30社以上、69店舗以上で取引・販売の実績があり、欧州では販売代理店が400社を超えるとして、各国のショップリストを申立人のホームページに掲載している(甲11~甲16)。
(ウ)申立人は、申立人商品について、海外ブランド(Merci、GRAMICCI、PENDLETON)等とコラボレーションを行い、各店舗で販売(予定を含む。)しているとして申立人のホームページで公表している(甲17~甲19)。
(エ)申立人の商品情報が掲載されたとするウェブ媒体及び各種書籍等の情報が申立人のホームページに掲載されている(甲20~甲22)。
(オ)申立人の引用商標「TAION」は、日本のみならず海外においても商標登録が行われている(甲23~甲24)。
イ 上記アのとおり、申立人である「株式会社D.O.N」は、本件商標の登録出願前である2016年10月以降、ダウンウェアをはじめとする申立人商品に「TAION」の文字を使用し、販売を開始している。
そして、日本国内のダウンウェアの取扱店舗が1000店舗を超え、ダウンウェアの販売枚数も50万枚(2021年~2022年時点)となり、海外ブランドとも協業して申立人商品の販売を行っていることがうかがえるとしても、申立人が提出した証拠によっては、申立人商品の日本国内又は外国における売上高、当該業界全体の販売数量に占める申立人商品の割合(市場シェア)、広告宣伝の規模(広告宣伝費、回数)等について、その事実を客観的に把握することができる証拠は提出されていない。
なお、申立人の引用商標「TAION」が、日本をはじめ複数の国において、商標登録又は出願中であったとしても、諸外国で商標登録されている事実が直ちに、我が国及び外国における引用商標の周知著名性に結びつくものではない。
よって、申立人提出の証拠からは、引用商標が我が国及び外国の需要者の間にどの程度認識されているのか把握、評価することができない。
そうすると、引用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国又は外国の需要者の間に広く認識されていたとは認めることができない。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性
ア 本件商標
本件商標は、上記1のとおり、「TYON」の欧文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は辞書に載録された語ではないことから、特定の意味を有しない造語と理解されるものである。
そして、特定の意味を有しない造語にあっては、我が国において広く親しまれているローマ字読み又は英語読みに倣って発音されるのが自然であるところ、英語の「type」が「タイプ」、「typical」が「ティピカル」と発音されることに照らせば、本件商標は、英語読み風に「タイオン」又は「ティオン」の称呼を生ずるとみるのが相当である。
そうすると、本件商標は、「タイオン」又は「ティオン」の称呼を生じ、特定の観念は生じない。
イ 引用商標について
引用商標は、別掲のとおり、「TAION」の欧文字を横書きしてなり、構成中の「A」の文字はやや図案化してなるものである。
そして、当該「TAION」の文字は辞書に載録された語ではなく、特定の意味を有しない造語と理解されるものである。
そして、特定の意味を有しない造語にあっては、我が国において広く親しまれているローマ字読み又は英語読みに倣って発音されるのが自然であるところ、引用商標は、そのつづりからすれば、ローマ字読み風に発音されるのが自然であるから、「タイオン」の称呼が生じる。
そうすると、引用商標は、「タイオン」の称呼を生じ、特定の観念は生じない。
ウ 本件商標と引用商標の類否
本件商標と引用商標の類否を検討すると、両者はそれぞれ上記ア及びイのとおりの構成からなるところ、外観においては、両商標は構成文字数において4文字と5文字の違いがあり、また、構成文字も本件商標の2文字目が「Y」の文字であり、一方、引用商標は2文字目が「A」と3文字目が「I」の文字であることからすると、両商標は、その構成文字数及び構成文字において明らかに相違し、両者の外観全体から受ける視覚的印象に与える影響は大きく、両者を離隔的に観察しても、外観上、区別し得るものであるから、外観において相紛れるおそれはない。
次に、称呼においては、本件商標は「タイオン」又は「ティオン」の称呼を生ずるのに対し、引用商標は、「タイオン」の称呼を生ずるところ、両者の称呼は、「タイオン」の称呼を共通にする場合があるものの、「ティオン」と「タイオン」の称呼を比較すると、両者は語頭において「ティ」と「タ」の音の相違を有するものであり、短い音構成における該差異音が称呼全体に与える影響は大きく、両者をそれぞれ一連に称呼しても語調語感が相違し、相紛れるおそれはない。
そして、観念においては、本件商標と引用商標は、特定の観念は生じないから、両商標は、観念において比較することはできない。
そうすると、本件商標と引用商標とは、観念において比較することはできないものの、外観については判然と区別し得るものであり、称呼において、本件商標から生じ得る複数の称呼のうち、「タイオン」の称呼において共通又は類似する場合があるとしても、「ティオン」の称呼においては、本件商標の称呼と明瞭に聴別できるものであるから、これらが取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合的に勘案すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
その他、両商標が類似するというべき事情は見いだせない。
エ 小括
以上のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であるから、本件商標の指定商品及び指定役務と引用商標の指定商品及び指定役務が同一又は類似する商品及び役務であるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性
上記(1)のとおり、引用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時に、我が国における需要者の間に広く認識されているものと認められない。
また、本件商標と引用商標とは、上記(2)のとおり、類似しない別異の商標であるから、その類似性の程度は低いものである。
そうすると、本件商標に接する取引者、需要者が申立人の業務に係る引用商標を連想、想起するものということはできない。
以上からすると、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品及び指定役務について使用しても、取引者、需要者が、その商品及び役務が申立人あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品及び役務であると誤認し、その商品及び役務の出所について混同を生じさせるおそれはないものである。
その他、本件商標について、出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するとはいえず、他にその登録が、同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
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