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商標異議申立

2023-900247

ナインワンエフ、ナインワン

審判番号
2023-900247
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2023-016573
登録番号
6731065
請求日
2023年11月01日
審決日
2024年04月19日
公報発行日
2024年05月31日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】藤山 朋子
  • 【異議申立人】奥田 幸子
  • 【異議申立人代理人】三雲 悟志
審判長/審判官
  • 審判長 大橋 良成
  • 審判官 大島 康浩
  • 審判官 小林 裕子
分類
T1651.251-Y (W35) / T1651.252-Y (W35) / T1651.253-Y (W35) / T1651.254-Y (W35) / T1651.255-Y (W35) / T1651.271-Y (W35) / T1651.272-Y (W35)
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第10号、商標法第4条第1項第16号、商標法第4条第1項第15号、商標法第1条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

登録第6731065号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6731065号商標の商標登録を維持する。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第6731065号商標(以下「本件商標」という。)は、「NINE ONE F」の文字を標準文字により表してなり、令和5年2月17日に登録出願、第35類「ペットの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として、同年7月21日に登録査定され、同年8月29日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は、次のとおりであり(以下、これらをまとめて「引用商標」という。)、いずれも申立人が「犬(パグ犬)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(以下「申立人役務」という。)について使用し、我が国における需要者の間に広く認識されているとするものである。 1 「NINE ONE」の欧文字からなる商標(以下「引用商標1」という。) 2 「ナイン・ワン」の片仮名からなる商標(以下「引用商標2」という。) 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同項第15号及び同項第16号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第16号証を提出した。 1 証拠について (1)甲第1号証は、引用商標を、1989年5月31日に申立人が犬舎名として一般社団法人ジャパンケネルクラブで登録した証明書である。 一般社団法人ジャパンケネルクラブは、日本の主要なケネルクラブであり、業務の1つとして血統書を発行する。その血統書には犬舎名が記載され、他の犬舎に対して識別力を有し、取引者は血統書及び犬舎名を確認する。血統書の犬舎名の後に「JP」が付く場合は、国際登録されている証拠であり、日本の犬舎名には「JP」が付されるが、この「JP」は識別力の無い部分である。 甲第1号証は、申立人が引用商標1を犬舎名として使用するために登録した証拠である。犬舎名は血統書に記載されるだけでなく、取引時に使用される。すなわち、犬舎名及び犬舎号などの犬舎の名称は屋号として使用されるため、犬の販売時に他の犬舎と識別するために利用される。 申立人は、引用商標1を犬舎名として犬(パグ犬)の販売時に使用している。 犬舎名は既存の犬舎名と同一のものは登録できないため、犬舎名として引用商標1を申立人のみが使用するものである。 また、甲第1号証の犬舎名は登録されてから現在まで変更されたことはなく、継続して使用されている。 (2)甲第2号証及び甲第3号証は、2006年9月1日に第一種動物取扱業者として登録を受けたものであり、申立人が事業所の名称を「ナイン・ワン」、第一種動物取扱業の種別を「販売業」と記載されている。 第一種動物取扱業は動物の販売(取次・代理を含む)、保管、貸出し、訓練、展示、競りあっせん、譲受飼養を業として行うものであり、2006年に申立人が登録したものである。 甲第2号証及び甲第3号証の内容として、申立人が引用商標2の名称で「動物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を行うことを含み、甲第1号証、甲第2号証及び甲第3号証は、申立人が正式に動物(犬)の販売等を行うために公に手続した証拠となる。 (3)甲第4号証は、1996年に申立人が作出したパグ犬がチャンピオン犬を取得したことを証明するものである。国際公認血統証明書の犬名は「NINE ONE JP ATOM&DONNAS ALTO」と記載されている。犬名の最初に犬舎名が表示され、引用商標1が犬舎名であり、他の証拠においても同じように、犬名の最初に犬舎名として引用商標1が表示されている。引用商標1の後の「JP」は国際登録された犬舎であることを示すものであり、日本ではすべて「JP」が付与される。 犬名の「INT.CH」は、FCIインターナショナルビューティーチャンピオンであること、「CH/94.1」はジャパンケネルクラブのチャンピオン犬であることを示している。 チャンピオンはドッグショーで優秀な成績を収め、規定を満たした犬を示すもので、チャンピオン犬を作出することは、ブリーダー業界の中で突出した業績を上げていることの表れである。 すなわち、本証拠は引用商標1の名がブリーダー業界で認められたことを示す証拠である。 引用商標1は犬舎名であり、血統書を確認すると犬舎名が記載されており、当該犬舎名の下でパグ犬の取引が行われている。チャンピオン犬を取得したことで、引用商標1の名の下で取引されるパグ犬は体形や骨格などが他の犬舎のパグ犬とは異なると需要者が想起するのが通常であり、ブリーダー業界においてパグ犬の取引で引用商標1は自他商品等識別力を有している。 甲第4号証は、本件商標登録が出願される以前に引用商標1が犬の繁殖・販売等の業界において著名になっていることを証明するものである。 (4)甲第5号証は、S社が出版した「愛犬の友(1998年1月号)」であり、646頁と647頁に引用商標1の表示、パグ専門犬舎として引用商標2と申立人の氏名及び住所が表示されている。これは、パグの販売等に関する広告になる。 甲第5号証は、本件商標が登録出願される以前から申立人により引用商標1及び引用商標2がパグの販売等に使用されていたことを証明するものである。 (5)甲第6号証ないし甲第9号証は、申立人が作出したパグ犬がチャンピオンに選出された証明書、家庭訓練試験の証明書及び国際公認血統証明書等である。 また、各証明書の犬名には引用商標1及び引用商標2が継続的に使用されている。なお、血統証明書はパグ犬の取引時(販売時)に確認される書類であり、その血統書に申立人が作出した多くの引用商標1のチャンピオン犬が記載されることで、引用商標1が業界内で著名になっていることが確認できる。 (6)甲第10号証は、2021年3月14日に開催された「JAPAN KENNEL CLUB2021 滋賀県クラブ連合会展」のチラシである。引用商標1及び「パグ専門犬舎」、そして、オーナーとして申立人である「Sachiko Okuda」が記載されている。また、犬名にチャンピオン犬であることを示す「CH」が付され、チラシにチャンピオン犬を利用することで、引用商標1の著名性を高めて販売等の宣伝が行われている。 (7)甲第11号証ないし甲第15号証は、申立人が2023年に一般社団法人ジャパンケネルクラブより受賞したBreeding Awardに関する証拠資料であり、甲第15号証は一般社団法人ジャパンケネルクラブの刊行物(https://www.jkc.or.jp/about_jkc/gazette)で発表されたものである。 本表彰は2002年から2022年まで多数のチャンピオン犬を作出した繁殖者を表彰したものであり、申立人が作出したチャンピオン犬の一部については、上記各甲号証に示されている。 表彰されたのは申立人であり、ブリーダーの主要団体である一般社団法人ジャパンケネルクラブに犬舎名(申立人の犬舎名は「NINE ONE」)を登録し、その名の下で血統書が発行されたチャンピオン犬を多数作出しなければならない。日本の犬舎数は9万ともいわれているが、甲第15号証に示すように、46の犬舎しか受賞していない。その中に申立人の名前があり、申立人が高い表彰を受けることで、申立人が使用する犬舎名「NINE ONE」も高い表彰を受けたことがわかる。 甲第15号証に記載があるように、申立人は2022年末(本件商標が出願される前)までの21年間に20頭のチャンピオン犬を作出している。平均すると1年約1頭のチャンピオン犬を作出しており、業界において常に著名性が維持されていることがわかる。 甲第4号証に示すとおり、本表彰以前にもチャンピオン犬を作出している。申立人は、ブリーダーの主要団体である一般社団法人ジャパンケネルクラブから表彰されることで、ブリーダー業界において確固たる地位を築いている。 甲第5号証及び甲第10号証に示すとおり、犬舎名である引用商標1はパグ犬の販売等の広告で商標として使用しており、取引時に使用される血統書には引用商標1と付している。また、血統書及び広告の犬名のところに引用商標1とともに複数の「CH」が付されていることにより、チャンピオン犬が多数作出されている犬舎であることがわかり、引用商標1が業界内で著名になっている。 以上のように、甲第11号証ないし甲第15号証は、申立人がパグ犬の作出及び販売に使用する引用商標1及び引用商標2がブリーダー業界において著名になっており、その著名性が維持されていることを示すものである。 (8)甲第16号証は、2023年5月14日に開催された2023FCI近畿インターナショナルドッグショーのチラシであり、写真にあるパグの犬名の表示として犬舎名の引用商標1が含まれており、ブリーダーとして「Sachiko Okuda(申立人)」が表示されている。なお、犬名の引用商標1の前にある「JKC CH」は一般社団法人ジャパンケネルクラブでチャンピオンに選出されたことを示すものである。 甲第4号証ないし甲第15号証によって、2022年末までに申立人が使用する引用商標1及び引用商標2はブリーダー業界で著名になっていることを証明されているが、甲第16号証によってその後も宣伝広告活動を行っており、著名性が維持されていることが示されている。広告にチャンピオン犬(甲第9号証と同一犬)の写真を利用しており、さらに著名性を高められるように努めている。 2 証拠のまとめ 証拠はいずれも申立人に関する刊行物等である。 申立人は、1989年に引用商標1を犬舎名として登録し、パグ犬の作出及び販売を開始している。上記証拠に示したように、引用商標1を付した血統書及び広告によって2023年まで継続して使用されている。 さらに、証拠は申立人の作出したパグ犬が2022年末までに多数チャンピオン犬に選出され、その功績によって申立人が表彰されている。表彰団体である一般社団法人ジャパンケネルクラブは日本を代表するケネルクラブであり、日本在住のほとんどのブリーダーが所属している。すなわち、申立人が表彰されたことは、申立人が日本のトップブリーダーの一人であり、申立人がパグ犬の作出及び販売に使用する引用商標1は日本のブリーダー業界の中で著名になっていることを証明するものである。また、チャンピオン犬になった犬名には、引用商標1と共に「CH」が付されており、引用商標1の名を業界内で著名にしている。 表彰後においても甲第16号証などによって引用商標1の名称の著名性は維持されており、申立人の引用商標1及び引用商標2の著名性が失われる事情もない。本件商標の出願時に引用商標1は、ブリーダー業界で著名になっているものである。 3 本件商標と引用商標との比較 (1)両商標について 本件商標は「NINE ONE F」の文字からなり、指定役務は第35類「ペットの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」である。そして、出願日は2023年2月17日である。 また、引用商標は「NINE ONE」又は「ナイン・ワン」の文字からなるところ、申立人役務は「販売業」であり、甲第1号証から1989年に犬舎名が登録され、1996年にはチャンピオン犬が作出されている。ここで、「販売業」については一般社団法人ジャパンケネルクラブに引用商標1を犬舎登録しており、血統書に引用商標1を表示していることから、犬、特にパグ犬の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供に関する業務となる。 ア 外観について 本件商標の外観は「NINE ONE F」の文字からなり、引用商標の外観は「NINE ONE」及び「ナイン・ワン」の文字からなるものである。本件商標の外観は引用商標1「NINE ONE」に「F」を追加しただけである。 引用商標1の「NINE ONE」は7文字であり、最後に1文字追加しただけでは、外観上区別できない。 本件商標の「F」に意味はなく、商標の要部が「NINE ONE」であることを考えると、本件商標の要部と引用商標の外観は同一になり、本件商標の「F」は最後に配置されているため、引用商標と見分けがつきにくくなっている。 イ 称呼について 本件商標の称呼は「ナインワンエフ」または「ナインワン」(J-PlatPatの称呼(参考情報))、引用商標の称呼は「ナインワン」である。 本件商標は引用商標に「エフ」を追加しただけであり、上記のように本件商標の要部は「ナインワン」であり、本件商標の要部は引用商標と同じ称呼となる。J-PlatPatでは「ナインワン」の称呼も記載されており、引用商標の称呼と同じである。 本件商標と引用商標の称呼は最後の「エフ」の有無が異なるだけであり、称呼の区別がつきにくい。 ウ 観念について 本件商標の観念について、「NINE ONE」の部分は「91」であり、「F」の部分に意味はない。上記のように「NINE ONE」が商標の要部であると考えると、本件商標の観念は「91」となる。 引用商標の観念は、「NINE ONE」の文字からなり「91」となる。これは本件商標の要部と同じ観念になる。 エ 指定役務について 本件商標の指定役務は「ペットの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」であり、引用商標の申立人役務は「犬(パグ犬)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」に該当し、いずれも類似群コードが33D02、35K21であり、同一となる。 本件商標と引用商標の指定役務と申立人役務は同一又は類似する。 オ まとめ 本件商標の商標と引用商標は外観、称呼、観念のいずれもが類似しており、両商標の指定役務と申立人役務は同一又は類似している。 4 取消理由 (1)商標法第4条第1項第10号について 本件商標の出願人と引用商標の使用者は異なる。本件商標が出願される以前から引用商標が「犬(パグ犬)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」に使用されていた。申立人は引用商標を使用してパグ犬の作出及び販売を行うことで、申立人が作出したパグ犬は日本の犬舎の最大団体である一般社団法人ジャパンケネルクラブで表彰され、さらに国際的なチャンピオン犬に選出されている。本件商標の出願時に引用商標は申立人の名称として日本のブリーダー業界において著名になっており、その後もその需要者の間に広く認識されている。 したがって、本件商標は上記証拠から明らかなように、商標法第4条第1項第10号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号によって取り消されるべきものである。 (2)商標法第4条第1項第15号について 上記のように日本のブリーダー業界において引用商標は著名になっており、本件商標と申立人の引用商標とが混同を生じるおそれがある。 したがって、本件商標は上記証拠から明らかなように、商標法第4条第1項第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号によって取り消されるべきものである。 (3)商標法第4条第1項第16号について 上記のように日本のブリーダー業界において、引用商標の名称はチャンピオン犬を多数作出し、表彰されるまでになったものである。商標権者と申立人との間でパグ犬の毛並み、骨格、肉付きなどで大きく差が出ることとなり、引用商標に類似する本件商標「NINE ONE F」を第三者が使用することになれば、需要者に対して商品の品質又は役務の質の誤認を生じるおそれがある。 したがって、本件商標は上記証拠から明らかなように、商標法第4条第1項第16号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号によって取り消されるべきものである。 5 申立人が築き上げた信用について 申立人は多数のチャンピオン犬を作出しているが、単なる偶然ではない。 申立人は日々愛情をもってパグ犬と接してきている。海外から1頭約350万円のパグ犬を3頭輸入するなど、パグ犬のために費用を惜しまず、日本におけるパグ犬のために尽力している。 そして、申立人は長年にわたり引用商標をパグ犬の繁殖及び販売に使用しており、多数のチャンピオン犬を作出することで、申立人がパグ犬の作出及び販売で使用する引用商標はブリーダー業界において著名になっており、申立人が築き上げた大きな信用がある。 今回、本件商標が登録されたことによって申立人の築き上げた業務上の信用が脅かされるおそれがあり、商標法第1条の法目的に反するおそれがある。 ブリーダー業界において犬舎名は大変重要であり、長年の使用によって大きな信用が蓄積された犬舎名が他人によって商標登録されると業界内で混乱をきたし、需要者の利益を保護できなくなる。 6 むすび 以上詳述したとおり、本件商標は取消理由を有しており、本件商標を取消す旨の決定をすべきである。 第4 当審の判断 1 引用商標の周知・著名性について 申立人の主張及び提出された証拠によれば、以下のとおりである。 (1)一般社団法人ジャパンケネルクラブで登録した「犬舎名登録証明書」によると、申立人の犬舎名は、「NINE ONE JP」及び「ナイン ワン JP」であり、その登録日は1989年5月31日である(甲1)。 (2)一般社団法人ジャパンケネルクラブが2001年9月21日に発行した国際公認血統証明書の犬名には「ナイン ワン ジェイピー アトム アンド ドナズ アルト」、「NINE ONE JP ATOM & DONNAS ALTO」及び「INT.CH,CH/94.1」、「犬種」には「パグ」、「PUG」、そして「繁殖者」には、「SACHIKO OKUDA SHIGAKEN」の記載がある(甲4)。 そして、犬名に記載のある「INT.CH」は、FCIインターナショナルビューティーチャンピオンであること、また、「CH/94.1」は、社団法人ジャパンケネルクラブのチャンピオン犬であることを表している。 (3)S社が出版した「愛犬の友(1998年1月号)」と題する雑誌には、申立人のパグ専門犬舎の紹介がされている(甲5)。 また、甲第10号証は、2021年3月14日に開催された「JAPAN KENNEL CLUB2021 滋賀県クラブ連合会展」のチラシであり、引用商標1及び「~パグ専門犬舎~」、オーナーとして申立人である「Sachiko Okuda」の文字が記載されている。 甲第15号証は、一般社団法人ジャパンケネルクラブ発行の雑誌「JKC Gazette 6月号」(令和5年5月20日発行)であり、17頁には2002年から2022年までの21年間において、チャンピオン犬を20頭以上作出した繁殖者として申立人が掲載されている。 甲第16号証は、2023年5月14日に開催された2023FCI近畿インターナショナルドッグショーのチラシであり、写真にあるパグの犬名の表示として犬舎名の引用商標1が含まれており、ブリーダーとして、申立人である「Sachiko Okuda」の文字が表示されている。 (4)甲第6号証ないし甲第9号証は、申立人が作出したパグ犬がチャンピオンに選出された証明書、家庭訓練試験の証明書及び国際公認血統証明書等である。 (5)甲第11号証ないし甲第14号証は、一般社団法人ジャパンケネルクラブ主催の「The 17th JKC Breeding Award 2023」において申立人が受賞した証拠である。 (6)上記によれば、申立人の業務に係る引用商標を使用した犬舎において販売されるパグ犬が継続的にチャンピオン犬になり、雑誌等で紹介されているものの、業界内において、申立人の引用商標に係る役務について我が国における市場シェア(内、申立人が占める割合等)、売上高、新聞・雑誌(全国誌)等の紹介記事・掲載回数及び広告の頒布範囲・回数・金額等の周知性等を裏付ける客観的な証拠の提出がない。 また、申立人は、血統証明書はパグ犬の取引時(販売時)に確認される書類であり、その血統書に申立人が作出した多くの「NINE ONE」のチャンピオン犬が記載されることで、引用商標1が業界内で著名になっている旨主張している。しかしながら、「NINE ONE」の文字が血統書に記載されることで、引用商標1が業界内において著名となったといえる具体的な証拠の提出がないこと、また、例えば、申立人の引用商標1を犬名に使用したパグ犬が同業者と比較して多数販売され、その取扱いに占める割合が相当程度となっている等の客観的な証拠の提出がない。 そうすると、申立人の提出に係る証拠からは、引用商標が申立人の役務について使用する商標として、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたとは認めることができない。 2 商標法第4条第1項第10号該当性について (1)本件商標と引用商標の類否について ア 本件商標 本件商標は、上記第1のとおり、「NINE ONE F」の文字を表してなるところ、その構成文字に相応して、「ナインワンエフ」の称呼が生じ、また、本件商標を構成する文字は容易な英単語からなるものであるが、これらを結合した本件商標が、全体で具体的な意味合いを生じるものとはいい難いから、これよりは特定の観念は生じないものである。 イ 引用商標 引用商標は、上記第2のとおり、「NINE ONE」又は「ナイン ワン」の文字からなるところ、これより「ナインワン」の称呼が生じ、また、引用商標を構成する英単語又は片仮名から「9」と「1」を理解させるとしても、これらを結合した引用商標が、それぞれ全体で具体的な意味合いを生じるものとはいい難いから、これよりは特定の観念は生じないものである。 ウ 本件商標と引用商標の類否について 本件商標と引用商標1を比較すると、外観については、両者とも「NINE ONE」の文字を共通にし、本件商標の語尾に「F」の有無に差異を有するが、比較的短い文字構成にあって当該文字の有無が、視覚に与える影響は決して小さいとはいえないから、外観上、明確に区別し得るものである。また、引用商標2については、本件商標の構成中「NINE ONE」の欧文字と片仮名の差異があり、商標の構成文字を同一の称呼が生じる範囲内で文字種を相互に変換して表記することが一般的に行われていることがあるとしても、前記のとおり本件商標の語尾に「F」の文字があることから、外観上、明確に区別し得るものである。 次に称呼については、本件商標から生じる「ナインワンエフ」の称呼と引用商標から生じる「ナインワン」の称呼は、「ナインワン」の音を共通にしているとしても、後半において「エフ」の音の有無に顕著な差異があるため、構成音及び構成音数の差異により、称呼上、明確に区別し得るものである。 さらに、観念については、本件商標及び引用商標は、共に特定の観念を有しないものであるから、観念において比較することができない。 そうすると、本件商標と引用商標とは、観念において比較することができないとしても、外観及び称呼において相紛れるおそれがなく、両者の外観、観念、称呼によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標である。 その他、本件商標と引用商標とが類似するというべき事情は見いだせない。 また、引用商標は、上記1のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたと認めることができない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。 3 商標法第4条第1項第15号該当性について 引用商標は、上記1のとおり、申立人の業務に係る役務を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたと認めることができない。 また、本件商標と引用商標とは、上記2のとおり、非類似の商標である。 そうすると、本件商標の商標権者が、本件商標をその指定役務について使用をした場合、これに接する取引者、需要者は、引用商標を連想、想起し、申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係のある者の業務に係る役務であると誤認し、その役務の出所について混同を生じさせるおそれはないものである。 その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 4 商標法第4条第1項第16号該当性について 申立人は、引用商標の名称が付されたチャンピオン犬を多数作出し、表彰されるまでになった。そうすると、申立人のパグ犬と商標権者が取り扱うパグ犬とは大きく異なり、引用商標に類似する本件商標が使用されることになれば、需要者に対して商品の品質又は役務の質の誤認を生じるおそれがある旨主張する。 そこで、以下検討する。 商品の品質又は役務の質(以下では、商品についてのみ述べる。)の誤認を生ずるおそれがある商標については、公益に反するとの趣旨から、商標登録を受けることができない旨規定されている(商標法第4条第1項第16号)。同趣旨に照らすならば、商品の品質の誤認を生ずるおそれがある商標とは、指定商品に係る取引の実情の下で、取引者又は需要者において、当該商標が表示していると通常理解される品質と指定商品が有する品質とが異なるため、商標を付した商品の品質の誤認を生じさせるおそれがある商標を指すものというべきである(平成20年11月27日知的財産高等裁判所判決、平成20年(行ケ)第10086号参照)。 そして、上記2のとおり、かかる構成態様からなる本件商標にあっては、そもそも、構成全体又はその一部に役務の質等を表すといった文字を有していないのであるから、役務の質等の誤認を生じさせるおそれはないというべきである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当しない。 5 むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同項第15号及び同項第16号に該当するとはいえず、他にその登録が同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。

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2023-900247

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