商標異議申立
2023-900241
ハイサイチキン、ハイサイ
- 審判番号
- 2023-900241
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2023-042587
- 登録番号
- 6729375
- 請求日
- 2023年10月30日
- 審決日
- 2024年03月28日
- 公報発行日
- 2024年05月31日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】ハイサイチキン株式会社
- 【異議申立人】株式会社 リシコン
- 【異議申立人代理人】西 良久
- 審判長/審判官
- 審判長 豊瀬 京太郎
- 審判官 板谷 玲子
- 審判官 白鳥 幹周
- 分類
- T1651.261-Y (W29) / T1651.262-Y (W29) / T1651.263-Y (W29) / T1651.271-Y (W29)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号商標法4条1項15号商標法43条の2商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第15号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
登録第6729375号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6729375号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第6729375号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、令和4年11月24日に登録出願、第29類「鶏肉製品,焼いた鶏肉,冷凍鶏肉」を指定商品として、令和5年7月26日に登録査定され、同年8月23日に設定登録されたものである。
第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議申立ての理由として引用する商標は、以下の(1)ないし(3)であり(以下、これらをまとめて「引用商標」ということがある。)、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第6585922号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:「ハイサイ」の片仮名及び「HAI-SAI」の欧文字を二段に横書きしたもの
指定商品:第29類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
登録出願日:令和 3年10月 8日
設定登録日:令和 4年 7月12日
(2)登録第6080101号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:「ハイサイ」の片仮名及び「HAI-SAI」の欧文字を二段に横書きしたもの
指定商品:第30類「調味料」
登録出願日:平成29年11月 1日
設定登録日:平成30年 9月14日
(3)登録第6220717号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成:「ハイサイ」の片仮名及び「HAI-SAI」の欧文字を二段に横書きしたもの
指定商品:第30類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
登録出願日:平成31年 1月23日
設定登録日:令和 2年 1月30日
第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同法第4条第1項第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、取り消されるべきものである旨申立て、その理由を以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第26号証(枝番号を含む。枝番号をまとめて引用するときは枝番号を省略する。また、表記に当たっては「甲○」(「○」部分は数字)のように省略して記載する。)を提出した。
1 商標法第4条第1項第11号について
本件商標の構成中の「ハイサイ」は、沖縄方言で時間帯に関係なく用いるあいさつの語として広く知られており、また、同構成中の「チキン」は「鶏の雛、その肉、転じて鶏肉の語」であることは広く知られている。
そして、本件商標の指定商品が、「鶏肉製品、焼いた鶏肉、冷凍鶏肉」であることから、本件商標の構成中の「チキン」は、日本語化されるほど日常化された英語であって、商品が「鶏肉製品、焼いた鶏肉、冷凍鶏肉」を直感させる自他商品識別力を有しない語として感得させるものであり、本件商標の要部は「ハイサイ」のみにあることが明らかである。
また、商標中の「チキン」の語に自他商品識別力が認められず、チキン以外の語にのみ自他商品識別力が留められた過去の審決例がある。
(a)無効2000-035218号(甲7)本件商標「チキンボンボン」と引用商標「BonBon」
(b)拒絶平成9年審判13630号(甲8)本願商標「プチプチ」と引用商標「プチプチチキン」
以上のように、商標中に使用される「チキン」部分は食品に関しては自他商品の識別機能のないものである。
さらに、本件商標において、「ハイサイチキン」と図形との間に観念的一体性は見受けられない。すなわち、本件商標中の図形は、特殊な雄鶏の図形であり、「ハイサイチキン」の文字と雄鳥との図形との間には全体からみて一体不可分となる関連性は全く見受けられない。
したがって、本件商標における「ハイサイチキン」の文字は、雄鳥の図形とは切り離された一連の文字として成立しており、「ハイサイチキン」を示す図形を需要者に感得させるものではないから、本件商標には、「ハイサイ」部分が要部として残っており、引用商標1に類似するものといわなければならない。
2 第4条第1項第15号について
(1)申立人の使用について
ア 申立人は、上記引用商標(いずれも申立人の所有である。)を使用して、調味料「ハイサイソース」「ハイサイペースト」の製造販売をしており、また、該調味料を使用したコラボ商品を開発し、コラボ相手方による販売が行われている(甲9、甲10)。
イ 申立人の調味料は、申立人自身のwebサイト(甲11)及び「Amazon」(ソース:甲12、ペースト:甲13)などで販売されており、「Amazon」の該当頁によれば、「ハイサイソース」は2019年(令和元年)7月29日から、ハイサイペーストは2020年(令和2年)5月19日より取り扱われており、現在も継続して販売されている。
ウ 「ハイサイソース」「ハイサイペースト」のパッケージやWEBにおける使用様態では「HAI-SAI」と「SAUCE」又は「PASTE」を2段に併記してなっているが、指定商品が食品である第29類及び第30類では「HI-SAI」となることが自明である。また、一部のパッケージ(コラボラベル、甲9)では「ハイサイ」の文字が大きく記載されている。WEBや紹介文などでは「ハイサイソース」「ハイサイペースト」が片仮名で記載されているが、要部は、同様に「ハイサイ」となる。
エ 「ハイサイペースト」は、「調味料選手権2020」の「万能調味料部門」で最優秀賞、及び、総合3位を受賞している(甲14の3)。「調味料選手権」とは、一般社団法人日本地方創生協会が主催し、一般社団法人日本野菜ソムリエ協会が協力する「調味料の日(11月3日)」記念イベントであって、2016年(平成28年)より毎年開催されており、テレビや新聞の取材も多数行われている(甲14の2)。
オ コラボ商品として、以下のものが販売された。
(ア)ジェフ(沖縄のバーガーチェーン)「ハイサイ旨辛チキンバーガー」(2021年(令和3年)7月1日から同年9月30日まで)(甲15)
(イ)DooWop(代官山のチキンバーガー専門店)「ハイサイチリRed」(チキンバーガー)(2021年(令和3年)10月1日から同年11月30日まで)(甲16)
(ウ)ステーキハウス88(沖縄ステーキの老舗)「ハイサイソースコラボラベル」(2022年(令和4年)4月から)(販売、及び、店舗の卓上調味料として設置)(甲17)
(エ)A&W(沖縄のハンバーガーチェーン)「ハイサイJr・チキンサンド」「ハイサイシュリンプサンド」「ハイサイZENバーガー」(2022年(令和4年)7月1日から同年9月30日まで)(甲18)
(オ)沖縄ファミリーマート 「ポテトチップ ハイサイソース味」(2023年(令和5年)7月18日から同年8月12日まで)(甲19)
カ 「ハイサイソース」「ハイサイペースト」は、WEBや新聞、TVなどでも取り上げられている(甲20ないし甲25)。
キ 上記アないしカより、申立人は「ハイサイソース」「ハイサイペースト」を調味料について広く利用しており、また、「ハイサイソース」「ハイサイペースト」を利用した食品、特に鶏肉を使用したバーガーもコラボ商品として流通していることが明らかである。さらに、コラボの特性上、使用例で挙げた食品以外にも使用される可能性は高く、本件商標との関係でも「鶏のから揚げ」「焼いた鶏肉」などが該当するおそれがある。
一方、本件商標の要部が「ハイサイ」となることは上記1(第4条第1項第11号)で述べたとおりである。
したがって、本件指定商品の分野の需要者は、「ハイサイ」を要部とする本件商標が、本件指定商品について使用された場合には、申立人の業務に係る商品と出所の混同を生ずるおそれがあることは明らかである。
(2)商標権者の不正使用について
本件商標権者は、取引の実情として、商標権者のホームページ(甲26)において、「ハイサイチキン」の文字のみを広告に使用しており、ギフトボックスにおいても、文字だけの「ハイサイチキン」を箱側面に表記している。
このような本件商標権者のホームページでの使用で「ハイサイチキン」の文字のみを使用する行為は、商品の出所の混同を生じさせている。
3 むすび
(1)第4条第1項第11号について
本件商標と引用商標1とは、「ハイサイ」の称呼、観念を共通にする類似の商標であり、また、その指定商品も同一又は類似のものである。したがって、本件商標登録は商標法第4条第1項第11号に違反してなされたものであるから、取り消されるべきである。
(2)第4条第1項第15号について
本件商標がその指定商品に使用された場合、その商品の需要者が、申立人の業務に係る商品と出所について混同するおそれがある。また、商標権者の使用様態の一部は不正使用であり、商品の出所の混同を生じさせる。したがって、本件商標登録は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反してなされたものであるから、取り消されるべきである。
第4 当審の判断
1 引用商標の周知性について
申立人の主張及び提出された証拠によれば、以下のとおりである。
(1)申立人の業務に係る調味料(「ソース」及び「ペースト状の調味料」。以下「申立人商品」という。)は、通販サイト(「Amazon」など)で販売されており、「ソース」(商品名「ハイサイソース」)は、2019年(令和元年)7月29日より、「ペースト状の調味料」(商品名「ハイサイペースト」)は2020年(令和2年)5月19日より取り扱われ、現在も継続して販売されている(申立人の主張、甲12、甲13)。
(2)2021年(令和3年)7月以降、申立人商品の調味料を使用したコラボ商品が複数開発され、沖縄のハンバーガー店(甲15、甲18)、沖縄のステーキ店(甲17)、沖縄のコンビニエンスストア(甲19)などのコラボ相手より販売されたり、コラボ相手の店舗の卓上に設置されたりしている(甲15ないし甲19)。
(3)申立人商品のうち「ハイサイペースト」は、「調味料選手権2020」において、「万能調味料部門」で最優秀賞、及び、総合第3位を受賞している(申立人の主張、甲14)。
(4)申立人商品は、他人のウェブサイトや新聞、TVなどで度々取り上げられている(甲20ないし甲25)。
(5)上記(1)ないし(4)からすれば、申立人商品は、本件商標の登録出願の時及び登録査定時において、沖縄県内の取引者、需要者の間にある程度知られていることがうかがえる。
しかしながら、申立人提出の証拠からは、ウェブサイトや新聞、TVなどにおいて、「ハイサイソース」、「ハイサイペースト」、「HAI-SAI\SAUCE」、「HAI-SAI\PASTE」の文字からなる商標が、申立人商品やその広告、紹介などに使用されていることは確認できるものの、引用商標が単独で使用されていると認め得るものはほぼ見いだせない。
そして、申立人商品の販売数量、売上高、市場シェアなどの販売実績、宣伝広告の回数や宣伝広告の額などの広告実績等、周知性を具体的に立証する証拠の提出もない。
また、コラボ商品にしても、そのほとんどは沖縄県内での販売等に限られており、受賞歴についても、当該受賞が引用商標の周知著名性にどのように結びつくのかについて、明らかでない。
そうすると、引用商標は、本件商標の登録出願の時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されているものということはできない。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標について
本件商標は、別掲のとおり、黄色で塗りつぶした四角形内に赤色の雄鶏図形を表し、雄鶏図形の背の上部には湯気のごとき3本の赤色の波線が配されており、また、その雄鶏図形内の頸から尾の部分にかけて胴の膨らみに沿うように「ハイサイチキン」の片仮名を黄色で表した構成からなるところ、これらの構成要素は、それぞれがバランス良く配置されており、外観上、その構成全体がまとまりのある一体のものとして認識されるものである。
また、本件商標構成中の「ハイサイチキン」の文字は、同書、同大で、まとまりよく一体的に表されており、外観上、いずれかの文字が需要者に対し強く支配的な印象を与えるとはいえないばかりか、当該文字部分全体から生ずる「ハイサイチキン」の称呼も、よどみなく一連に称呼し得るものである。
そして、同「ハイサイチキン」の文字は、これ自体は辞書等に載録されている成語ではなく、また、そのうち「ハイサイ」の文字が「(沖縄の挨拶語)こんにちは。」を、「チキン」の文字が「鶏の雛。また、その肉。転じて、鶏肉。」などを、それぞれ意味する語であるとしても(出典:「広辞苑 第七版」株式会社岩波書店)、それらを結合させた「ハイサイチキン」の文字が直ちに何らかの意味合いを理解、認識させるものではないから、一種の造語として認識されるものである。
そうすると、本件商標のかかる構成態様においては、本件商標に接する取引者、需要者が、殊更、その構成中の「ハイサイ」の文字部分のみに着目するということはなく、その構成要素全体をもって把握するとみるのが相当である。
してみると、本件商標よりは、その構成中の「ハイサイチキン」の片仮名に相応した「ハイサイチキン」の称呼のみが生じ、また、特定の観念を生じないものというのが相当である。
(2)引用商標1について
引用商標1は、「ハイサイ」の片仮名及び「HAI-SAI」の欧文字を二段に横書きした構成からなるところ、上段に表された片仮名は、下段の欧文字の読みを表したものと理解されるものである。
そして、その構成中の「HAI-SAI」の文字は、一般の辞書等に載録がない語であるものの、「ハイサイ」の文字は、上記(1)のとおり、「(沖縄の挨拶語)こんにちは。」を意味する語である。
そうすると、引用商標1よりは、その構成文字に相応した「ハイサイ」の称呼が生じ、また、「ハイサイ」の文字部分より、「こんにちは」ほどの観念を理解させることもあり得るものである。
(3)本件商標と引用商標1の類否について
本願商標と引用商標1を比較するに、外観においては、図形の有無などによって明らかに異なるものであり、明確に区別できるものである。
そして、称呼においては、本願商標より生じる「ハイサイチキン」と、引用商標1より生じる「ハイサイ」とでは、後半の「チキン」の音の有無によって、明瞭に聴別できるものである。
また、観念においては、本願商標より特定の観念が生じないのに対し、引用商標1よりは「こんにちは」ほどの観念が生じ得るため、相紛れるおそれのないものである。
してみれば、本願商標と引用商標1とは、外観において明確に区別できるものであり、称呼において明瞭に聴別できるものであって、観念において相紛れるおそれのないものであるから、両商標が与える印象、記憶等を総合してみれば、商品の出所について誤認混同を生じるおそれのない、非類似の商標というのが相当である。
(4)小括
以上のとおり、本件商標と引用商標1とは、非類似の商標であるから、両商標の指定商品が同一又は類似するものであるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。
3 商標法第4条第1項第15号該当性について
引用商標は、上記1(5)のとおり申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されているものとはいえないものである。
そして、本件商標は、上記2(3)のとおり、引用商標1とは相紛れるおそれのない非類似の商標であるから、引用商標1と同じ文字綴りからなる引用商標2及び3とも類似しない別異の商標であり、本件商標と引用商標の類似性の程度は高いということはできない。
そうすると、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品との関連性の程度、需要者の共通性の程度などをあわせ考慮しても、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標が商品の出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものといえない。
4 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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