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商標異議申立

2023-900233

フィルムメーカーズ

審判番号
2023-900233
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2023-015410
登録番号
6727120
請求日
2023年10月19日
審決日
2024年05月30日
公報発行日
2024年07月26日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】有限会社オムロ
  • 【権利者代理人】久野 能裕
  • 【異議申立人】株式会社 宮帯出版社
  • 【異議申立人代理人】遠山 大輔
審判長/審判官
  • 審判長 鈴木 雅也
  • 審判官 馬場 秀敏
  • 審判官 小田 昌子
分類
T1651.25 -Y (W16)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法4条1項10号商標法43条の2商標法43条の3第4項
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第10号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

登録第6727120号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6727120号商標の商標登録を維持する。

理由

理 由 1 本件商標 本件登録第6727120号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、令和5年2月15日に登録出願、第16類「雑誌(定期刊行物),雑誌,映画の分野での定期刊行物,定期刊行物」を指定商品として、同年8月2日に登録査定、同月16日に設定登録されたものである。 2 登録異議申立人が引用する商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議申立ての理由に該当するとして引用する商標は、申立人が「書籍」(以下「申立人商品」という。)に使用して需要者に広く認識されていると主張する「フィルムメーカーズ」の文字(以下「引用商標」という。)である。 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当するので、その登録を取り消されたいとし、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第17号証を提出した。 なお、証拠の記載に当たっては、以下「甲第○号証」を「甲○」のように記載する。 (1)「他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するもの」であること 申立人は、2019年以降、書籍「フィルムメーカーズ」シリーズを6号にわたり(18号から23号まで)出版・販売してきた。同シリーズは、映画作家の魅力を一人一冊のかたちで掘り下げて取り上げるものであり、各号の背の部分には、「フィルムメーカーズ」の文字があり、これは本件商標と同一である(甲1~甲6、甲15)。 なお、これは株式会社キネマ旬報社(以下「キネマ旬報社」という。)が2001年までに発行していた同シリーズを、約18年のブランクを経て、同社の了解の下に復刊させたものである(甲7、甲8、甲15、甲17)。 したがって、本件商標は、申立人の商品である書籍「フィルムメーカーズ」を表示するものであり、「他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するもの」に該当する。 (2)「需要者の間に広く認識されている商標」であること 申立人が出版・販売した上記シリーズの販売部数は、以下のとおりである(甲9)。 フィルムメーカーズ18 スティーヴン・スピルバーグ 1,400部 フィルムメーカーズ19 ギジェルモ・デル・トロ 1,200部 フィルムメーカーズ20 大林宣彦 2,000部 フィルムメーカーズ21 ジャン=リュック・ゴダール 1,550部 フィルムメーカーズ22 勅使河原宏 1,000部 フィルムメーカーズ23 熊井啓 760部 著名な映画雑誌であるキネマ旬報(1919年刊行)の発行部数が5万2,000部(甲10)、SCREEN(1946年刊行)の発行部数が3か月で約3万4,000部(甲11。2015年。)であることからすると、1人の映画作家について特化した書籍の発行部数としても多く、かつ、シリーズとして定着してもいる。 よって、「需要者の間に広く認識されている商標」に該当し、申立人の商品としての認識されていることも明らかである。 (3)「その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用するもの」であること 本件商標は、指定商品が「雑誌(定期刊行物)、雑誌、映画の分野での定期刊行物、定期刊行物」となっており、該当性は明らかである。 (4)背景 本件商標権者である有限会社オムロ(以下「オムロ社」という。)の代表取締役であるN氏は、申立人の従業員として同シリーズ18号から23号までの企画編集を担当していた者である。 申立人が出版・販売する上記シリーズの最新号である23号は、令和5年3月31日に発行されている(甲6)が、本件商標の出願日が同年2月15日であるにもかかわらず、同号の発行に対してN氏や本件商標権者からは何のクレームもなかったところ、同年6月30日、本件商標権者は申立人に無断で書籍「フィルムメーカーズ24 ホン・サンス」を出版・販売した(甲12、甲13)。これに対して、申立人は、同日付で上記書籍を映画上映に伴って展示販売する各劇場に販売中止を求め(甲16)、さらに、令和5年7月25日付で代理人を通じ厳重に抗議している(甲14)。 上記の経過から明らかなとおり、本件商標の出願は、申立人の元従業員が申立人の商標を無断で登録しようとしてのものである。 不正競争防止法違反であることも明らかであり、本件商標を存置させることは公平な取引を害する。 4 当審の判断 (1)引用商標の周知性について ア 申立人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、以下のとおりである。 (ア)申立人は、2001年までキネマ旬報社が発行していた書籍「フィルムメーカーズ」シリーズ(甲7、甲8)を、2019年から2023年にかけて、申立人商品(18号~23号)として復刊させ、本件商標権者であるオムロ社の代表取締役であるN氏は、同シリーズ18号から23号までの企画編集を担当していた(甲1~甲6、甲17)。 (イ)申立人商品(18号~23号)の販売部数は、760部ないし2,000部の間で推移している(甲9)。 (ウ)2023年6月30日に、本件商標権者が「フィルムメーカーズ24 ホン・サンス」を発行した(甲12、甲13)。 イ 上記アによれば、我が国において、2019年から2023年の5年間にかけて、申立人商品である書籍「フィルムメーカーズ」シリーズが発行されていたことが認められる。 しかしながら、申立人が主張する申立人商品の販売部数を裏付ける証拠はなく、また、当該販売部数は、書籍の販売実績としてさほど多いとはいえず、さらに、引用商標を付した申立人商品の市場シェア、宣伝広告の方法、期間、地域及び規模など、引用商標の周知性を判断するための証拠も提出されていない。 よって、申立人提出の証拠からは、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標が申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者にどの程度認識されているのかを客観的に把握、評価することができない。 したがって、提出された証拠によっては、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。 なお、申立人は、本件商標権者の代表取締役であるN氏が申立人の従業員として、申立人商品(18号~23号)の企画編集を担当していた者であること、本件商標の出願日が申立人商品(23号)の発行前にもかかわらず、N氏や本件商標権者からはクレームがなかったにもかかわらず、本件商標権者が「フィルムメーカーズ24 ホン・サンス」を発行したなどの経緯から、本件商標の出願は、申立人の元従業員が申立人の商標を無断で登録しようとしたものである旨主張しているが、上記のとおり、引用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたと認められないものであり、申立人の主張する申立人商品に係る経緯等が需要者の認識に直接影響を与えるとはいい難いことから、かかる事情によっては上記判断を覆し得ない。 (2)商標法第4条第1項第10号該当性について 本件商標は、別掲のとおり、黒い縦長の長方形内に「フィルムメーカーズ」の文字を縦書きしてなるところ、本件商標の構成中、図形部分は、その形状から特定の意味合いを理解させるものとはいい難いから、特定の称呼及び観念を生じない。 そして、本件商標の構成中の「フィルムメーカーズ」の文字は、「映画製作者[監督]」(「プログレッシブ英和中辞典 第5版」小学館発行)の意味を有する「filmmaker」の複数形である「filmmakers」の片仮名表記と理解できるから、当該文字部分からは「映画製作者[監督]たち」の観念を生じる。 そうすると、本件商標は、その構成文字に相応して「フィルムメーカーズ」の称呼を生じ、「映画製作者[監督]たち」ほどの観念を生じる。 他方、引用商標は、上記2のとおり、「フィルムメーカーズ」の文字を表してなるところ、同じ構成文字からなる本件商標と同様に、その構成文字に相応して「フィルムメーカーズ」の称呼を生じ、「映画製作者[監督]たち」の観念を生じる。 そうすると、本件商標と引用商標は、称呼及び観念を共通にし、外観において近似する類似の商標というべきである。 しかしながら、上記(1)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたと認めることはできないものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。 (3)まとめ 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号に違反してされたものではなく、ほかに同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。

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