商標異議申立
2023-900229
グリーンブルドッグ、ブルドッグ
- 審判番号
- 2023-900229
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2022-044073
- 登録番号
- 6724674
- 請求日
- 2023年10月17日
- 審決日
- 2024年10月01日
- 公報発行日
- 2024年11月29日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】株式会社GREEN WAVE UNLIMITED JAPAN
- 【権利者代理人】坂口 信昭
- 【異議申立人】ダヴィデ カンパリ-ミラノ エン. フェー.
- 【異議申立人代理人】弁理士法人 津国
- 【異議申立人代理人】山村 大介
- 【異議申立人代理人】岡村 百佳
- 審判長/審判官
- 審判長 高野 和行
- 審判官 豊瀬 京太郎
- 審判官 小俣 克巳
- 分類
- T1652.25 -Y (W33) / T1652.261-Y (W33) / T1652.262-Y (W33) / T1652.263-Y (W33) / T1652.271-Y (W33) / T1652.222-Y (W33)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項10号商標法4条1項11号商標法4条1項15号商標法4条1項19号商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第10号、商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第19号、商標法第4条第1項第15号、商標法第4条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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登録第6724674号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6724674号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第6724674商標(以下「本件商標」という。)は、「グリーンブルドッグ」及び「GREEN BULLDOG」の文字を2段書きしてなり、令和4年4月15日に登録出願、別掲のとおりの商品を指定商品として、同5年5月24日に登録査定され、同年8月8日に設定登録されたものである。
第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標が商標法第4条第1項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するとして引用する商標は、国際登録第1141768号商標(以下「引用商標」という。)は、「BULLDOG」の文字を横書きしてなり、平成24年11月26日に国際登録出願、第33類「Alcoholic beverages, namely, gin.」を指定商品として、同26年10月31日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。
第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、その指定商品中、第33類「洋酒,果実酒,酎ハイ」(以下「申立てに係る商品」という。)について、商標法第4条第1項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に違反してされたものであるから、同法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきものである旨申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第7号証を提出した。
1 申立人及び引用商標権者
申立人及び引用商標権者は、リキュールに分類される酒の一種として知られる「カンパリ(CAMPARI)」を中心に、引用商標に係るジン(スピリッツ・蒸留酒)(以下「申立人の業務に係る商品」という。)等を製造し、世界中で販売するダヴィデ・カンパリ社(以下「カンパリ社」という。)である。
カンパリ社は、日本においては洋酒の輸入販売会社として同社が設立したCT Spirits Japan株式会社(以下「CT Spirits Japan社」という。)を通じてビジネス展開している。
(1)引用商標の周知性について
申立人の業務に係る商品は、2007年に二ューヨークで誕生し、今やプレミアムジン・クラフトジンカテゴリーとしてはトップクラスの売上げを誇り、世界55ヶ国で販売される一大ブランドとしての地位を確立している(甲3、甲4)。
また、申立人の業務に係る商品は、2020年度第7回ベルリン国際スピリッツコンペティション(世界19ヶ国から300以上の作品参加)(甲5。併せてhttps://www.bulldoggin.com/our-gin/参照)で銅賞及び2021年度東京ウイスキー&スピリッツコンペティション(TWSC2021)(甲6)で銀賞を受賞するなどしており、その名声・品質は、洋酒業界においてつとに知られている周知ブランドである。
なお、カンパリ社は、日本においては、洋酒の輸入販売会社として同社が設立したCT Spirits Japan社を通じてビジネスを展開しているが、同社のブランドアンバサダーとして2018年開催の「第1回カンパリカクテルコンペティション」でアジア日本チャンピオンに輝いた小川尚人氏を起用してマーケッティングを推進している(甲7)。
(2)本件商標と引用商標との類似性について
本件商標は、上記第1のとおり、上段に片仮名の「グリーンブルドッグ」、下段に欧文字の「GREEN BULLDOG」を書してなる。
一方、引用商標は、上記第2のとおり、欧文字「BULLDOG」を横一連に書してなるが、上述の如く、日本及びその他世界各国における酒類業者や洋酒嗜好者には周知である。
ここで、特許庁商標審査基準の第4条第1項第11号(先願に係る他人の登録商標)には、「需要者の間に広く認識された商標を構成中に含む場合:指定商品又は指定役務について需要者の間に広く認識された他人の登録商標と他の文字又は図形等と結合した商標は、その外観構成がまとまりよく一体に表されているもの又は観念上の繋がりがあるものを含め、原則として、その他人の登録商標と類似するものとする。」と規定されている。
そうだとすると、日本及び世界各国において周知である引用商標「BULLDOG」を構成中に含む結合商標としての本件商標は、他人の登録商標である引用商標と類似することになる。
以上より、本件商標と引用商標とは、全体として類似するといえるものである。
(3)商標法第4条第1項第10号該当性について
上記のとおり、引用商標は、本件商標権者とは他人であるカンパリ社に係るジンを表示するものとして周知な商標であるところ、本件商標はそれを含むことから引用商標に類似する商標であり、かつ、申立人の業務に係る商品と同一又は類似である申立てに係る商品について使用するものである。
したがって、商標法第4条第1項第10号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第11号該当性について
上記のとおり、本件商標は、その商標登録出願の日前の他人であるカンパリ社の商標登録出願に係る登録商標に類似する商標であって、その指定商品「ジン」と同一又は類似である申立てに係る商品について使用するものである。
したがって、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(5)商標法第4条第1項第15号の該当性について
上記よりして、引用商標が周知であり、かつ本件商標と引用商標とが類似することから、本件商標権者が、本件商標を申立てに係る商品に使用した場合には、当該指定商品の需要者が、それをカンパリ社の業務に係る商品であると誤認し、その出所について混同するおそれがあると考えられ、少なくとも、カンパリ社と経済的または組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品であると誤認し、商品の出所について混同するおそれがあると言える。
したがって、商標法第4条第1項第15局に該当する。
(6)商標法第4条第1項第19号該当性について
上記よりして、引用商標がカンパリ社の業務に係るジンを表示するものとして日本国内又は外国において周知であること及び本件商標と引用商標とが類似することから、本件商標権者が本件商標を申立てに係る商品に使用することは、引用商標の信用にただ乗り(フリーライド)するものであり、かつ、引用商標の出所表示機能を稀釈化させ、その名声を毀損するものである。
したがって、本件商標出願は、日本国内又は外国において周知な商標の信用や名声にただ乗り(フリーライド)する不正の目的でなされたものといえ、商標法第4条第1項第19号に該当する。
第4 当審の判断
1 引用商標の周知性について
(1)申立人及び引用商標権者について
申立人(引用商標権者)は、リキュールに分類される酒の一種としてつとに知られる「カンパリ(CAMPARI)」を中心に、申立人の業務に係る商品等を製造し、世界中で販売していると主張する(申立人の主張)。
(2)日本においては洋酒の輸入販売会社として申立人が設立した「CT Spirits Japan社」を通じてビジネスを展開している(申立人の主張)。
(3)甲第3号証は、CT Spirits Japan社のウェブサイト
の記事の写しであると主張するものであるところ、「取扱いブランド」として、商品「GIN」に「BULLDOG」の商標を付した商品の写真及び商品の紹介文として「2007年にニューヨークの起業家アンシュマン・ポーラ氏が創設・・(省略)・・・・世界55カ国で愛飲されている。」の記載がある。
(4)甲第4号証は、グーグル検索の「Liquor Page」と称するウェブサイトより抜粋した記事と主張するものであるところ、「2020/8/8 ジン」、「世界的なクラフトジン「ブルドッグ/BULLDOG」がついに日本上陸!特徴を簡単解説」の見出しのもと、「今や世界には6000種類以上のジンが流通しており、日本未上陸のジンはまだまだたくさんあります。その中でも、特に有名なジンの一つがニューヨーク発のプレミアムジン「ブルドッグ/BULLDOG」。2007年に誕生したこのジンは、世界的スピリッツメーカーであるカンパリ・グループの傘下に入り、プレミアムジン・クラフトジンカテゴリーとしてはトップクラスの売り上げを誇るブランドですが、ついに日本でも正式展開されることに!」、「ブルドッグは、世界的に有名な投資銀行JPモルガン出身の企業家アンシュマン・ポーラによって、ニューヨークの地で設立されました。」、「まだ“クラフトジン”というカテゴリーが存在しなかった2007年に発売されると、スムースで洗練された味わいが人気を呼び、本拠地ニューヨークを筆頭に、世界中に広がりを見せました。その品質の高さが評価され、2017年にはイタリアが誇る世界的スピリッツメーカーであるカンパリ・グループの傘下に。現在では55もの国々で展開される一大ブランドへと成長しました。」の記載がある。
(5)甲第5号証は、グーグル検索の「Bulldog London Dry Gin」と称するウェブサイトより抜粋した記事であると主張するものであるが、外国語の記載であり、日本語の翻訳文の提出はないものの、申立人の主張によれば、2020年第7回ベルリン国際スピリッツコンペティションと称するイベントで申立人に係る商品が銀賞を受賞したとする記事である。
(6)甲第6号証は、グーグル検索の「東京ウイスキー&スピリッツコンペティション-TWSC」と称するウェブサイトより抜粋した記事であると主張するものであり、「GIN」の項目に、多数の商品のうちの一つとして、「【GIN】/ブルドッグロンドン/ドライジン/Bulldog London Dry/Gin」の記載とともに商品の写真が掲載されている。
(7)甲第7号証は、ブライダル産業新聞のウェブサイトより抜粋したと主張する記事であり、「カクテルコンペで優勝【小川尚人氏】」の見出しに、「CT Spirits Japan(東京都渋谷区)は、イタリア・ミラノのCAMPARI GROUPが設立した洋酒の輸入販売会社だ。160年の歴史を持つリキュール【カンパリ】を始めとする15種類のブランドを取扱い、日本市場でのさらなる発展を目指している。2018年開催の『第1回カンパリカクテルコンペティション』でアジア日本チャンピオンに輝いた同社ブランドアンバサダー・小川尚人氏に、カンパリの魅力、ブライダルカクテルの可能性について聞いた。」の記載がある。
しかしながら、記事には「3月21日号」の記載があるが年の記載はない。
(8)上記(1)ないし(7)によれば、申立人は、リキュールに分類される酒の一種として知られる「カンパリ(CAMPARI)」を中心に、申立人の業務に係る商品等を製造し、外国及び日本で販売しており、また、日本においては洋酒の輸入販売会社として申立人が設立したCT Spirits Japan社を通じてビジネスを展開していることは推認できる。
しかしながら、引用商標の使用開始日を裏付ける証拠や申立人の業務に係る商品を販売している国(外国)が不明である。
また、外国及び我が国における売上高、販売数量についての販売実績を示す客観的な裏付け資料並びに宣伝広告の回数や費用等の広告実績など、その周知性を数量的に判断し得る客観的、かつ、具体的事実に関する証拠は何ら見いだせない。
さらに、上記(5)の2020年第7回ベルリン国際スピリッツコンペティションと称するイベントがどのような内容のイベントであるか不明であり、そのイベントで受賞したことをもって、直ちに引用商標の認知度、周知性を推し量ることはできない。
そうすると、申立人の提出した証拠及び同人の主張のみによっては、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国及び外国の需要者の間に、広く認識されていたと認めることはできない。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標
本件商標は、上記第1のとおり、上段に「グリーンブルドッグ」の片仮名、下段に「GREEN BULLDOG」の欧文字を2段書きしてなるところ、上段片仮名は下段の欧文字の読みを表したものと無理なく認識できるものであるから、称呼については、構成全体から「グリーンブルドッグ」の称呼を生ずるものである。
また、観念については、「GREEN」の文字は「(1)緑。緑色。(2)草地。緑地。芝生。(3)ゴルフコースで、芝を特に短く刈ってある、パットを行う区域。(4)自然環境の保護に関する意を表す。」、「BULLDOG」の文字は「イヌの一品種。」(いずれも「広辞苑 第七版」株式会社岩波書店)を意味するものであり、両者を一連に表した文字からは「緑のブルドッグ」の観念を生じるものである。
そうすると、本件商標は、構成文字に相応して「グリーンブルドッグ」の称呼、「緑のブルドッグ」の観念を生ずるものである。
(2)引用商標
引用商標は、上記第2のとおり、「BULLDOG」の欧文字を横書きしてなるところ、該文字に相応して「ブルドッグ」の称呼を生じ、観念については、上記(1)と同様に、「イヌの一品種。」である「ブルドッグ」の観念を生ずるものである。
(3)本件商標と引用商標の類否について、
本件商標は、上記(1)のとおり、上段に「グリーンブルドッグ」の片仮名、下段に「GREEN BULLDOG」の欧文字を2段書きしてなり、引用商標は、上記(2)のとおり、「BULLDOG」の欧文字を横書きしてなるところ、両者は、「GREEN」及び「グリーンブルドック」の文字の有無及び2段書きと1段書きの相違があるから、外観上は明確に区別できるものである。
また、称呼において、本件商標から生ずる「グリーンブルドッグ」の称呼と引用商標から生ずる「ブルドッグ」の称呼とは、称呼を識別するうえで重要な要素である語頭において「グリーン」の音の有無及び称呼全体の構成音数に明確な差異を有しているから、明瞭に聴別できるものである。
さらに、観念において、本件商標から生ずる「緑のブルドッグ」の観念と引用商標から生ずる「ブルドッグ」の観念は相違する。
そうすると、本件商標と引用商標は、外観において明確に区別できるものであり、称呼において明瞭に聴別できるものであり、観念において相違することからすれば、これらを総合的に勘案すると、両商標は、互いに相紛れるおそれのない非類似の商標といえるものである。
その他、本件商標と引用商標が類似する理由を見いだすことはできない。
したがって、本件商標の指定商品中、申立てに係る商品と引用商標の指定商品が同一又は類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第10号該当性について
上記1のとおり、引用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の需要者の間に広く認識されていたと認めることはできないものであり、上記2(3)のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であるから、申立てに係る商品と申立人の業務に係る商品が同一又は類似するとしても、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
4 商標法第4条第1項第15号該当性について
上記1のとおり、引用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の需要者の間に広く認識されていたと認めることはできないものであり、また、上記2(3)のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であるから類似性の程度は低いものである。
そうすると、本件商標は、これを申立てに係る商品に使用した場合、これに接する需要者は、当該商品を他人(申立人)又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係がある者の取扱いに係る商品であるかのように誤認し、その商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるものとはいうことはできない。
その他、本件商標について、商品の出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。
したがって、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
5 商標法第4条第1項第19号該当性について
本号は、「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。以下同じ。)をもって使用をするもの」と規定されている。
そうすると、引用商標は、上記1のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国及び外国の需要者の間で、申立人の業務に係る商品を表すものとして、広く認識されていたとは認められないものであり、上記2(3)のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標である。
その他、申立人の提出する甲各号証を勘案してみても、本件商標が不正の利益を得る目的、他人たる申立人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって使用するものであることを認めるに足る具体的事実を見いだすことができない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
6 まとめ
以上のとおり、本件商標は、その指定商品中、申立てに係る商品について、商標法第4条第1項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2023-900229