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商標異議申立

2023-900225

アローニードル、アロー

審判番号
2023-900225
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2023-027686
登録番号
6724929
請求日
2023年10月16日
審決日
2024年05月22日
公報発行日
2024年07月26日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】フォースエンジニアリング株式会社
  • 【異議申立人】アロー・インターナショナル・エルエルシー
  • 【異議申立人代理人】弁理士法人スズエ国際特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 大橋 良成
  • 審判官 杉本 克治
  • 審判官 渡邉 あおい
分類
T1651.261-Y (W10) / T1651.262-Y (W10) / T1651.263-Y (W10)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法4条1項11号商標法43条の2商標法43条の3第4項
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第11号
データ出所
審決公報(XML)

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登録第6724929号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6724929号商標の商標登録を維持する。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第6724929号商標(以下「本件商標」という。)は、「アローニードル」の文字を標準文字で表してなり、令和5年3月15日に登録出願、第10類「医療用機械器具」を指定商品として、同年8月1日に登録査定、同月8日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において引用する登録第4909865号の2商標(以下「引用商標」という)は、「ARROW」の文字を標準文字で表してなり、平成15年6月19日に登録出願、同17年11月18日に設定登録された登録第4909865号商標の商標権の分割に係るものであって、第10類「カテーテル,カテーテル用ガイドワイヤー,血管用医療器具,外科用ポンプ,注射器,注射針,輸液装置」を指定商品として、同18年2月8日に商標権の分割移転の登録がされ、この商標権は、現に有効に存続しているものである。 第3 登録異議申立ての理由 申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第45号証を提出した。 なお、甲各号証の表記にあたっては、「甲第1号証」を「甲1」のように省略して表示する場合がある。 1 具体的理由 (1)本件商標及び引用商標の指定商品の分野における「針(ニードル)」の取引実情について 本件商標の指定商品「医療用機械器具」及び引用商標の指定商品には、「針(ニードル)」を使用した器具が多く存在する。 このことは、以下の事実からも明らかである。 ア 「医療 針」でインターネット検索すると、注射針及び注射器が多数表示される(甲4)。 イ 点滴や薬剤の投与、麻酔、採血に使用する医療器具には、「針(ニードル)」が必要な製品が多い(甲5~甲7)。 ウ 医療用の「針(ニードル)」には、多様な製品が存在する(甲8~甲10)。 エ 「医療用機械器具」に含まれる引用商標の指定商品中「カテーテル」等の医療器具に、「針(ニードル)」は不可欠なものであり、その使用方法や製品案内において、当然に「針(ニードル)」を伴う説明がされている(甲11~甲13)。 オ 引用商標の指定商品中「カテーテル」等の医療機器セットには、「針(ニードル)」が付随している(甲4~甲15)。 以上よりすれば、本件商標及び引用商標の取引者、需要者は、「ニードル」の文字を、その指定商品又は「針(ニードル)」付の医療用機械器具など指定商品の品質等を表す語として認識、把握するにとどまり、当該指定商品の分野において、「ニードル」の文字の識別力は極めて低いものである。 (2)商標の類否判断における本件商標及び引用商標の要部について ア 商標の類否判断手法 商標法第4条第1項第11号に係る商標の類否は、対比される両商標が同一又は類似の商品に使用された場合に、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが、それには、そのような商品に使用された商標がその外観、観念、称呼等によって取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべく、しかも、その商品の取引の実情を明らかにし得る限り、その具体的な取引状況に基づいて判断しなければならない(最高裁昭和39年(行ツ)第110号、昭和43年2月27日第三小法廷判決参照)。 さらに、複数の構成部分を組み合わせた結合商標については、商標の構成部分の一部が取引者、需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合などには、商標の構成部分の一部だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することも、許されるものである(最高裁昭和37年(オ)第953号、昭和38年12月5日第一小法廷判決参照)。 以上を踏まえ、本件商標の要部認定の可否を検討する。 イ 本件商標の要部 本件商標は、「アローニードル」の片仮名を、同書同大同間隔に横一連に書してなるものであるが、その構成中「ニードル」の片仮名は、その指定商品との関係においては、「針、(注射器・レコードプレーヤー・手術用などの)針」等を意味する外来語として容易に認識できるものである(甲16、甲17)。 この点、上述のとおり、本件商標の指定商品「医療用機械器具」には、注射器やカテーテルなど「針(ニードル)」を使用した器具が多く存在することは、周知の事実である。してみると、本件商標の指定商品の分野においては、本件商標の構成中「ニードル」の文字部分は、指定商品又は「針(ニードル)」付きの医療用機械器具など、指定商品の品質等と認識され、本件商標は、その指定商品との関係においては、「アロー」と「ニードル」の片仮名を結合した結合商標と理解できる。 そして、本件商標の構成中「ニードル」の文字部分は、その指定商品の品質等と認識されるものであるから、その識別力は極めて低いものである。 他方、本件商標の構成中「アロー」の文字部分は、欧文字「ARROW」を片仮名表記したものと認識され、「矢、矢に似たもの、矢印」等の観念が生じる(甲18)。 してみると、「アロー」の片仮名は、その指定商品との関係において、「ニードル」の片仮名よりも識別力が高く、取引者、需要者に強く支配的な印象を与えるものである。 さらに、本件商標の「アロー」と「ニードル」は、その指定商品との関係において、分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものではない。 したがって、本件商標は、「アロー」と「ニードル」が分離して認識、把握されるものであり、取引者、需要者に対し強く支配的な印象を与える「アロー」部分を要部として、他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することも許される。 そうすると、本件商標は、その要部「アロー」の片仮名から、「アロー」の称呼が生じる。また、「アロー」の片仮名は、「ARROW」の欧文字に通じるものであるから、「矢、矢に似たもの、矢印」等の観念が生じる(甲18)。 ウ 引用商標 引用商標は、「ARROW」の欧文字を、同書同大同間隔に横一連に書してなり、「アロー」の称呼及び「矢、矢に似たもの、矢印」等の観念が生じる(甲18)。 (3)本件商標と引用商標との類否 ア 商標の類似 上記(2)イのとおり、本件商標は、その構成文字中「アロー」の文字部分を要部と認定することができる。 そこで、本件商標の要部及び引用商標を比較すると、両者は、片仮名と欧文字の文字種を相互に変換して表示したものにすぎず、その外観は極めて近似した印象を与えるものである。 また、当該文字部分から生じる称呼(「アロー」)及び観念(「矢、矢に似たもの、矢印」等)は同一である。 したがって、本件商標と引用商標は、その外観、称呼又は観念等によって需要者に与える印象、記臆、連想等を総合して全体的に観察すれば、出所混同のおそれのある類似の商標である。 イ 指定商品の類似 本件商標の指定商品は、「医療用機械器具」である。 一方、引用商標の指定商品は、「カテーテル,カテーテル用ガイドワイヤー,血管用医療器具,外科用ポンプ,注射器,注射針,輸液装置」であり、いずれも「医療用機械器具」の下位概念に属する商品である。 したがって、本件商標と引用商標の指定商品は、互いに同一又は類似するものである。 ウ 小括 以上より、本件商標は、引用商標と同一又は類似の商標であって、その商標登録に係る指定商品と同一又は類似の商品について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。 (4)引用商標の使用状況 引用商標の商標権者は、米国法人「アロー・インターナショナル・エルエルシー」であり、日本においては、その関連会社である「テレフレックスメディカルジャパン株式会社(旧名称:アロウジャパン株式会社)」が、主にその製品を取り扱っている(甲19)。 引用商標「ARROW」は、主に「カテーテル」及びその関連商品につき、少なくとも2003年以降、我が国において使用されており、その商品のほぼ全てに「針(ニードル)」が使用されている(甲20~甲31)。 そして、引用商標の製品は、医療専門誌において取り上げられ(甲32)、医療従事者が参照するウェブサイトにおいても言及されているものである(甲33)。 これよりすると、本件商標及び引用商標の指定商品の分野において、引用商標が「針(ニードル)」を使用する商品に使用されていることは広く認識されていると推認できる。 そうすると、本件商標をその指定商品「医療用機械器具」に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、本件商標を「針(ニードル)」を使用した商品に関する引用商標「ARROW」と誤認混同するおそれがあるものといえる。 したがって、本件商標は、引用商標と類似の商標であり、その指定商品も同一又は類似するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。 (5)各審決例における判断 本件商標と引用商標が類似することは、過去の審決からも明らかである(甲34~甲45)。 上記審決においては、商標の構成中に指定商品又は指定商品の品質(内容)等を表す語を含む商標は、それ以外の部分を要部として認定し、他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することも許されると判断されたものである。 上記審決例に倣うと、「針を使用する医療用機械器具」を指定商品に含む本件商標においても同様に、指定商品又は「針(ニードル)」付きの医療用機械器具など指定商品の品質等を表示する部分以外の部分である「アロー」の片仮名を要部として認定し、他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することも許されるものである。 したがって、その要部において「アロー」の称呼及び観念が共通する本件商標と引用商標は、互いに相紛れるおそれのある類似の商標である。 2 むすび 上述のとおり、本件商標は、引用商標の登録商標と類似のものであり、また、その指定商品も同一又は類似のものである。 よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。 第4 当審の判断 1 商標法第4条第1項第11号該当性について (1)本件商標について 本件商標は、上記第1のとおり、「アローニードル」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成は、各文字が同書、同大、等間隔でまとまりよく表されており、構成中のいずれかの文字部分が看者に強い印象を与えるような態様ではなく、その構成全体から生じる「アローニードル」の称呼も無理なく一連に称呼し得るものである。 そして、当該文字は、辞書等に載録されている成語ではなく、直ちに何らかの意味合いを理解させるものではないから、一種の造語として認識されるものである。 なお、申立人の主張するように、「ニードル」の語が「針」を示す場合があるとしても、上記のとおりまとまりよく一体に表された本件商標は、これに接する取引者、需要者が、殊更「ニードル」の文字部分のみを捉え、商品の品質等を表示したものと理解するというよりは、むしろ「アローニードル」の構成文字全体をもって一体不可分のものとして認識、把握されるものと判断するのが相当である。 そうすると、本件商標は、その構成要素全体をもって把握されるとみるのが相当であり、その他、本件商標の構成中の「アロー」の文字部分が、取引者、需要者に対し、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認めるに足りる事情は見いだせない。 したがって、本件商標からは、「アローニードル」の称呼のみを生じ、特定の観念を生じないものである。 (2)引用商標について 引用商標は、上記第2のとおり、「ARROW」の文字を標準文字で表してなり、当該文字に相応し「アロー」の称呼を生じ、「矢」の観念を生じるものである。 (3)本件商標と引用商標との類否について 本件商標は、「アローニードル」の片仮名からなり、他方、引用商標は、「ARROW」の欧文字からなるところ、両者は、文字種及び文字数において相違するものであるから、外観において相紛れるおそれはない。 次に、本件商標から生じる「アローニードル」の称呼と、引用商標から生じる「アロー」の称呼を比較すると、両者は、語尾における「ニードル」の音の有無及び構成音数において明らかな差異を有するから、称呼において相紛れるおそれはない。 さらに、観念においては、本件商標からは特定の観念を生じないのに対し、引用商標からは「矢」の観念を生じるから、両者は、観念において相紛れるおそれはない。 そうすると、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのない非類似の商標である。 なお、申立人は、引用商標が「針(ニードル)」を使用する商品に使用されていることは広く認識されていると推認でき、本件商標をその指定商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、本件商標を引用商標と誤認混同するおそれがある旨主張しているが、引用商標を表示した商品の売上高、販売量などの販売実績及び広告宣伝の期間・規模・頻度等など、その周知・著名性を数量的に判断し得る具体的な証拠は提出されていないから、引用商標が、需要者にどの程度認識されるに至ったかうかがい知ることはできず、その他、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、取引者、需要者の間で、申立人の業務に係る商品を表示するものとして広く認識されていたと認めるに足りる事実は見いだせない。 そうすると、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人に係る商品を表示するものとして、需要者に広く認識されていたものと認めることはできない。 よって、申立人の上記の主張は採用することができない。 (4)小括 上記(3)のとおり、本件商標と引用商標とは非類似の商標であるから、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品が同一又は類似であるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 2 むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するとはいえず、他にその登録が同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、その登録は、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。

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