商標異議申立
2023-900216
シイシイ
- 審判番号
- 2023-900216
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2023-008762
- 登録番号
- 6718778
- 請求日
- 2023年09月28日
- 審決日
- 2024年07月16日
- 公報発行日
- 2024年11月29日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】宜春宝麗▲二▼商貿有限公司
- 【異議申立人】ベティ ブルー ソシエテ ペル アツィオーニ
- 【異議申立人代理人】青木 篤
- 【異議申立人代理人】外川 奈美
- 【異議申立人代理人】齋藤 宗也
- 審判長/審判官
- 審判長 板谷 玲子
- 審判官 鈴木 雅也
- 審判官 岩谷 禎枝
- 分類
- T1651.261-Y (W18) / T1651.262-Y (W18) / T1651.263-Y (W18) / T1651.271-Y (W18)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号商標法4条1項15号商標法43条の2商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第15号、商標法第43条の2第1号、商標法第4条第1項第19号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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登録第6718778号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6718778号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第6718778号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、令和5年1月31日に登録出願、第18類「財布,旅行用衣服かばん,旅行用トランク,皮革,傘,バックパック,買い物袋,ブリーフケース,登山用バッグ,キャンプ用バッグ,ハンドバッグ,旅行かばん,スポーツバッグ,バッグ,ペット用被服」(以下「異議申立商品」という。)を指定商品として、同年6月28日に登録査定、同年7月20日に設定登録されたものである。
第2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において引用する商標は、以下の2件の登録商標(以下、これらをまとめていうときは「引用商標」という。)であり、いずれも現に有効に存続しているものである。
1 国際登録第1051530号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:別掲2のとおり
国際商標登録出願日:2010年(平成22年)7月26日
優先権主張:2010年2月5日(EUIPO)
設定登録日:平成23年11月4日
指定商品及び指定役務:第18類「Leather and imitations of leather, and goods made of these materials and not included in other classes; animal skins, hides; trunks and travelling bags; umbrellas, parasols and walking sticks; whips, harness and saddlery.」並びに第3類、第9類、第14類、第25類及び第35類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務
2 国際登録第1093268号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:別掲3のとおり
国際商標登録出願日:2011年(平成23年)7月21日
優先権主張:2011年4月12日(Italy)
設定登録日:平成24年10月26日
指定商品及び指定役務:第18類「Leather and imitations of leather, and goods made of these materials and not included in other classes; animal skins, hides; trunks and travelling bags; umbrellas, parasols and walking sticks; whips, harness and saddlery.」並びに第3類、第9類、第14類、第25類及び第35類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務
第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第30号証を提出した。
なお、証拠の表記にあたっては、甲第1号証を「甲1」のように省略して記載する場合がある。
1 商標法第4条第1項第11号について
本件商標と引用商標は、外観において類似する商標であり、指定商品においても本件商標の指定商品の一部と引用商標の指定商品は同一又は類似するものであるから、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当する。
(1)商品の類否について
異議申立商品と引用商標の指定商品とは、同一又は類似の商品であることは明らかである。
(2)商標の類否について
ア 本件商標の外観について
本件商標は、太幅の略「コ」字状図形とそれを反転させた図形を左右対称に配し、両図形の中央を同じ幅の太線で結んでなる。
イ 引用商標の外観について
引用商標は、太幅の略「コ」字状図形とそれを反転させた図形を左右対称に配してなる。
ウ 取引の実情について
商標の類否判断は、商標が使用される商品の主たる需要者層その他商品の取引の実情を考慮し、需要者の通常有する注意力を基準として判断しなければならない。ここでいう「取引の実情」に引用商標の周知・著名性も含まれることは、例えば、東京高等裁判所平成13年(行ケ)第277号において明示されているとおり、経験則のみならず判決によっても認められるところであり、引用商標の周知・著名性は、具体的な取引状況の下では、出所の混同のおそれを増幅させるものとなる旨、判決においても説示されている(甲4)。
この点、申立人は、引用商標を商品「被服」、「かばん」等(以下「申立人商品」という。)に使用中である。
申立人は、イタリアの著名なファッションブランド「ELISABETTA FRANCHI」を所有するものである。
「ELISABETTA FRANCHI」は1998年デザイナーのエリザベッタ・フランキにより創立され、品質やディテールまで配慮されたイタリアメイドをコンセプトとしたクラフトマンシップあふれるコレクションが特徴である。
創業から今日まで、世界中に1,100以上の取引先と、ミラノをはじめ、パリ、マドリード、モスクワ、香港、ドバイといった世界の主要都市に80の直営店を展開するまでに成長し、トップモデルや歌手、ハリウッドのセレブリティのレッドカーペットには欠かせないブランドとして知られるようになった。
近年は、ファッション業界の中で最も成功したネクストジェネレーションブランドの一つといわれている(甲5)。
高品質の素材を使い、細部にまでこだわったクラフトマンシップ溢れるモノづくりに定評があるが、イタリアンブランドらしいスタイリッシュでありながらもエレガントさを感じさせるデザインも魅力的とされているが、特にドレスは大人気で、繊細であり、優雅なデザインときれいなシルエットによってハリウッドセレブ、トップモデル、アーティストなどから愛され、レッドカーペットの定番ブランドとなっている(甲6)。
我が国においては、ファッション雑誌やインターネット等の各種媒体で頻繁に取り上げられている他、有名女優や有名モデルが好んで着用することが多く、その様子がインターネットを通じて拡散されることで取引者、需要者の注意をひいている(甲7~甲12)。
そして、引用商標は、こうした著名ブランド「ELISABETTA FRANCHI」を象徴するモノグラムとして同ブランドの商品の商品タグに付されるとともに(甲13~甲15)、その宣伝・広告において用いられている(甲16~甲22)。
さらに、引用商標そのものをモチーフとした被服、かばん、靴等も多数存在する(甲23~甲29)。
このように、引用商標は、我が国で周知・著名なものとなっており、こうした事情は、商標の類否判断において参酌されるべきものである。
(3)類否判断
以上の事実を踏まえて、本件商標と引用商標を対比する。
本件商標の外観と引用商標の外観を比べると、両商標とも太幅で書された略「コ」字状図形とそれを反転させた図形が左右対称に配されているという基本的構成が共通する。
「コ」字状の端部や中央の線の有無という相違はあるものの、こうした相違点は細部におけるささいな相違であって、取引者、需要者に強く印象付けられるのは、太幅で書された略「コ」字状図形とそれを反転させた図形が左右対称に配されているという基本的構成であることは明らかである。
よって、本件商標と引用商標は外観において共通の印象を与えるものである。
他方、本件商標も引用商標も図形商標であるので、特定の称呼、観念を生じるものではない。
さらに、前記のとおり、引用商標は、申立人商品において取引者、需要者間に周知・著名となっており、このような取引の実情を参酌するならば、本件商標と引用商標に係る商品出所の混同のおそれは、一層増幅させられるものである。
そうとすれば、本件商標と引用商標は、外観において共通の印象を与え、称呼及び観念において両者を区別することは不可能であるので、両商標は商品の出所において誤認混同を生じさせるおそれのある類似の商標である。
(4)小括
以上のとおり、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当する。
2 商標法第4条第1項第15号について
(1)引用商標の周知・著名性
前記のとおり、申立人は、引用商標を申立人商品に使用しており、我が国の取引者、需要者において相当程度の周知・著名性を獲得しているものである。
(2)引用商標の造語性、独創性
引用商標は、申立人によって独自に創作された図形商標であり、その独創性は、極めて高い。
(3)本件商標と引用商標の類似性
前記のとおり、本件商標の外観と引用商標の外観は、細部において違いはあれども、取引者、需要者に強く印象付けられるのは、太幅で書された略「コ」字状図形とそれを反転させた図形が左右対称に配されているという基本的構成にあり、該基本的構成が共通する以上、その類似性は、極めて高い。
(4)商品の関連性
申立人が引用商標を使用する申立人商品は、異議申立商品と同一又は類似の商品であるから、申立人商品と異議申立商品は、そのすべてにおいて強い関連性があることに疑いはなく、その需要者が共通することも明らかである。
(5)混同のおそれ
商標法第4条第1項第15号にいう「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」には、いわゆる狭義の混同のみならず、商品や営業の関連性を想起させる広義の混同が含まれる(甲30)。さらに、同号の目的からすれば、周知表示又は著名表示へのフリーライドや希釈化(ダイリューション)を防止することも重要であるとされている。
しかるところ、引用商標は著名性を有していること、申立人商品と異議申立商品は同一又は類似の商品であり、その取引者、需要者も一致すること等、その商品の提供者や取引者・需要者層の個別・具体的な関連性や共通性の実情等を総合的に考察すれば、本件商標が異議申立商品に使用された場合には、それがあたかも申立人の著名ブランドに係る申立人の提供する商品であるかのごとく誤認され、そうでなくとも、何らかの密接な営業上の関連性を想起させ、あたかも申立人のグループ会社か、あるいは許諾を受けた者に係る商品であるかのごとく誤認させ、商品又は営業上の出所混同を生じるおそれが極めて高いといえる。
(6)小括
以上のとおり、本件商標が異議申立商品について使用された場合は、申立人の著名商標に係る申立人商品と出所の混同を生ずるおそれが高いものであり、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当する。
3 むすび
本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号に違反して登録されたものであるから、その登録は、同法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきである。
第4 当審の判断
1 引用商標の周知・著名性について
(1)申立人の主張及び提出した証拠によれば、以下のとおりである。
(2)デザイナーであるエリザベッタ・フランキは、1998年に「Betty Blue S.p.a」を設立、オリジナルブランド「セリンべー(CELYN b.)」を発表、その後2012年にブランド名を「エリザベッタ・フランキ」(以下「申立人ブランド」という。)に変更、2020年に我が国に直営店をオープンした(甲5、甲6)。
また、FASHION PRESSのウェブサイトには、「創業から今日まで世界中に1,100以上の取引先と、ミラノをはじめ、パリ、マドリード、モスクワ、香港、ドバイといった世界の主要都市に80の直営店を展開するまでに成長。」の記載がある(甲5)。
そして、申立人ブランドの被服が2019年ないし2023年に雑誌及びウェブサイトに掲載されていることが認められ、女優やモデルが申立人ブランドの被服を着用している画像が通信ネットワークを介して提供されていることがうかがわれる(甲7~甲11)。
さらに、申立人ブランドの「被服」が紹介されている本件商標の登録出願前のウェブサイトには引用商標1が表示されている(甲18、甲20、甲22)。
(3)しかしながら、申立人ブランドの取引先及び直営店の数については、ウェブサイトの記事が1件あるのみで、その詳細は明らかではなく、我が国の直営店も2020年にオープンしたことがうかがえるにすぎないものである。
また、申立人ブランドが掲載された雑誌については、他の商品とともに紹介されているものがほとんどであり、申立人ブランドの商品が殊更着目され、認識されるものとはいい難く、さらに通信ネットワークを介して提供された画像によっては、その閲覧数が定かでなく、これらがどの程度の数の需要者の目に触れたのか不明である。
そして、その他、引用商標を付した申立人商品の売上高などの販売実績、広告宣伝の方法、規模、広告宣伝費など、その事実を客観的に把握することができる証拠は提出されていない。
(4)したがって、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標が申立人の業務に係る商品を表示するものとして、需要者の間で広く認識されていたものと認めることはできない。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標
本件商標は、別掲1のとおり、両端部の上下を突出させ四角様に角張った形状にした「C」字状図形(以下「C字状図形」という。)を左右対称に相当程度の間隔を空け配し、その中央部に左右のC字状図形と接する同じ太さの横線を配した構成からなるものである。
そして、上記構成からなる本件商標は、特定の事物等を表すものとして認識されるというべき事情は見いだせないから、これより特定の称呼及び観念は生じないものである。
(2)引用商標
ア 引用商標1は、別掲2のとおり、片仮名の「コ」字状図形を左右対称にわずかな隙間を空けて配し、その下部に「ELISABETTA FRANCHI」の文字を書した構成からなるものであり、上記の構成からすれば、引用商標1の図形部分と文字部分とが、視覚上分離して看取され、それぞれ単独で出所識別標識として機能し得る要部といえる。
そして、引用商標1の図形部分は、特定の事物等を表したものとして認識されるというべき事情は認められないから、当該図形部分から特定の称呼及び観念は生じないものである。
イ 引用商標2は、別掲3のとおり、片仮名の「コ」字状図形を左右対称にわずかな隙間を空けて配してなるものである。
そして、上記構成からなる引用商標2は、特定の事物等を表すものとして認識されるというべき事情は見いだせないから、これより特定の称呼及び観念は生じないものである。
(3)本件商標と引用商標との類否
ア 本件商標と引用商標1の図形部分とを比較すると、本件商標は、左右の「C」字状図形の間に相当程度の間隔を有するのに対し、引用商標1の図形部分は、左右の「コ」字状図形の間にわずかな隙間しかないこと及び中央部の太線の有無の差異より、両者は、全体としての構成態様において明らかに相違し、構成全体から異なる印象を与えるものであり、また、比較的簡潔な構成からなるこれらの図形においては、当該差異が看者に与える影響は、決して小さいものとはいえず、外観において相紛れるおそれはないものである。
また、称呼及び観念においては、いずれも特定の称呼及び観念を生じないから、比較できないものである。
そして、本件商標と引用商標1の構成全体又は文字部分との比較においても、両者は、判然と区別できるものである。
したがって、本件商標と引用商標1とは、相紛れるおそれのない非類似の商標というのが相当である。
イ 上記(2)イのとおりの構成からなる引用商標2は、引用商標1の図形部分と同一のものであるから、上記アのとおり、本件商標と引用商標1の図形部分とが非類似の商標であることからすれば、本件商標と引用商標2も同様に相紛れるおそれのない非類似の商標である。
(4)小括
上記(3)によれば、本件商標と引用商標とは、非類似の商標であるから、異議申立商品と引用商標の指定商品が同一又は類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第15号該当性について
引用商標は、上記1のとおり申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものであり、また、本件商標は、上記2のとおり引用商標と非類似の商標であって、引用商標とは別異の商標というべきものであるから、本件商標と引用商標との類似性の程度は決して高いとはいえない。
そうすると、異議申立商品と申立人商品との関連性の程度、需要者の共通性の程度などを合わせ考慮しても、本件商標は、商標権者がこれを異議申立商品について使用した場合、取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく、その商品が他人(申立人)又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、商品の出所について混同を生じるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
なお、申立人は、登録異議申立書の(1)申立ての理由の「エ むすび」の項目において、「以上から明らかなように、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第19号の規定に該当するにもかかわらず商標登録されたものであるから、その登録は、商標法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきである。」と述べているが、申立人は、本件商標が商標法第4条第1項第19号に該当する理由及びその根拠を何ら示していない。
4 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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