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商標異議申立

2023-900198

キキ、カンドンチョア、カンドン、チョア

審判番号
2023-900198
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2022-074001
登録番号
6713856
請求日
2023年09月06日
審決日
2024年04月22日
公報発行日
2024年05月31日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】有限会社日本SS
  • 【権利者代理人】笠原 英俊
  • 【異議申立人】株式会社 やる気
  • 【異議申立人代理人】広瀬 文彦
  • 【異議申立人代理人】末岡 秀文
審判長/審判官
  • 審判長 冨澤 武志
  • 審判官 馬場 秀敏
  • 審判官 小田 昌子
分類
T1651.25 -Y (W43) / T1651.261-Y (W43) / T1651.262-Y (W43) / T1651.263-Y (W43) / T1651.271-Y (W43) / T1651.222-Y (W43)
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第10号、商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第15号、商標法第4条第1項第19号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

登録第6713856号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6713856号商標の商標登録を維持する。

理由

理 由 1 本件商標 本件登録第6713856商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、令和4年6月27日に登録出願、第43類「韓国料理を主とする飲食物の提供,ケータリング(飲食物),飲食物の提供,宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,動物の宿泊施設の提供,保育所における乳幼児の保育,高齢者用入所施設の提供(介護を伴うものを除く。),会議室の貸与,展示施設の貸与,布団の貸与,まくらの貸与,毛布の貸与,家庭用電気式ホットプレートの貸与,家庭用電気トースターの貸与,家庭用電子レンジの貸与,業務用加熱調理機械器具の貸与,業務用調理台の貸与,業務用流し台の貸与,家庭用加熱器(電気式のものを除く。)の貸与,家庭用調理台の貸与,家庭用流し台の貸与,食器の貸与,カーテンの貸与,家具の貸与,壁掛けの貸与,敷物の貸与,おしぼりの貸与,タオルの貸与」を指定役務として、同5年6月28日に登録査定、同年7月4日に設定登録されたものである。 2 登録異議申立人が引用する商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する登録第5358864号商標(以下「引用商標」という。)は、「韓丼」の漢字を標準文字で表してなり、平成22年5月24日に登録出願、第43類「飲食物の提供」を指定役務として、同年10月8日に設定登録され、その商標権は現に有効に存続しているものである。 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第8号証を提出した。 (1)本件商標の特定 本件商標は、左側に赤い双喜紋を配置し、右側に丸みを帯びた書体からなる「韓どん」と「チョア」の用語を少しスペースを空けて横書きして配置した構成からなり、その文字構成から「カンドンチョア」の称呼が生じるが、「韓どん」と「チョア」とがスペースによって分離されていることや、「韓どん」が辞書等に掲載されていない造語であるのに対し、「チョア」が韓国語で「良い」という意味を有する用語として知られていることから(甲3、甲4)、「韓どん」部分が自他役務識別標識としての機能を発揮し、「良い」、「いいね!」という意味の「チョア」は「韓どん」の部分に付加された部分にとどまることから、「カンドン」の称呼が分離独立して生じる。 また、「韓」の用語が韓国に関するものを連想させ、「どん」が「丼物」などを想起させるのに対し、「チョア」が「良い」いう意味合いを有することから、商標全体としては「韓国製の丼物 いいね!」のような漠然とした意味合いを暗示させるだけであり、商標全体としては特定の固定的観念を生じるものではない。 (2)引用商標の特定 引用商標は、「韓丼」の漢字2文字を標準文字で横書きした構成であり(甲2)、その文字構成から「カンドン」の称呼が自然に生じ、引用商標を構成する漢字「韓丼」は辞書に掲載されていない造語であり、これより特定の観念が生じる事はないと考えられるが、その文字構成中「韓」の用語が韓国に関するものを想起させ、「丼」が「丼物」などを想起させる可能性があることから、全体として「韓国産品を主材料とする丼物」のような意味合いを暗示させる。 また、申立人が、平成22年頃から、引用商標を、役務「飲食物の提供」等に広く使用していたことから、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、「韓丼」は、役務「飲食物の提供」等に使用される商標として我が国内における申立人の商標として周知・著名であったといえる。 (3)「韓どん」の自他識別力について 本件商標を構成する用語中の「韓どん」の語は、辞書には掲載されておらず、飲食物の提供を行う分野において親しまれた用語でもなく、広く普通に用いられる品質・質表示用語でもない。 また、役務「飲食物の提供」との関係では、「韓どん」は、直接的、かつ、具体的にその役務を表すような用語ではない。「韓」の用語が韓国に関するものを想起させ、「どん」が「丼物」などを想起させる可能性があるが、これらを組み合わせた「韓どん」はその内容が特定された用語ではなく、どのような種類の丼物を表すのかも明確に特定することはできない。 すなわち、「韓どん」の用語からは役務の特定の質等が、具体的、かつ、直接的に認識されることはないため、自他役務識別標識としての機能を発揮する極めて顕著性の高い用語と評価できる。 すなわち、本件商標中の「韓どん」は、自他役務識別力を有する極めて顕著性の高い造語であり、本件商標の要部といえ、これに接する需要者・取引者は「韓どん」部分をもって取引に資することになる。 (4)本件商標の分離可能性 本件商標の「韓どん」部分は、自他役務識別標識としての機能を充分に発揮する、本件商標の要部と評価できると考えられる。 一方、付加された「チョア」の部分は、「チョア」が韓国語で 「良い」「いいね!」という意味を有する付加用語にとどまる(甲3)。近年の韓流ブームにより、我が国においても韓国語の理解は社会的に広まっており、「チョア」が「良い」「Good!」を意味する韓国語であると理解する需要者・取引者は相当数に上るといえる(甲4)。特に、本件商標が示す「韓国料理を主とする飲食物の提供」を受ける需要者・取引者としては、「チョア」を、韓国語で「良い」「Good!」のような役務の質に係る意味合いを想起すると言えるため、本件商標を構成する「チョア」部分は、「韓どん」と比べて商標としての自他役務識別力がない付加部分にすぎないと考えられる。 このように、「チョア」部分が、商標中の主要な要素として需要者・取引者に認識される事はないし、「チョア」が付加されることにより、顕著性・識別力に変化を生ずるとも言えない。 また、本件商標を構成する「韓どん」と「チョア」は、同じ大きさで書されているものの、スペースを挟んで配置されており、外観上漢字、ひらがな、片仮名がそれぞれ分離して認識される態様である。「韓どん」の顕著性の高さ、質表示用語又は掛け声のような「チョア」の自他役務識別力の低さ、及び両用語の上記配置を鑑みると、本件商標に接する需要者・取引者は、「韓どん」と「チョア」とを分離した上で、「韓どん」部分を商標として認識することになると評価できると考えられる。 通常の審査において、顕著性の低い用語同士は一体不可分として認識された上で取引に資されると判断されるが、本件商標のように自他役務識別力の高い造語と自他役務謀別力の低い用語とからなる商標は、自他役務識別力の低い部分は捨象された上で取引に資されると判断される。間に小さいスペースを挟む構成であるとともに「チョア」が片仮名である事からも、本件商標は、「韓どん」と「チョア」とに分離した上で取引に資されると判断されるべきである。 すなわち、本件商標のような文字構成からなる商標に接する需要者・取引者は、基本的には、造語部分に自他役務識別標識としての機能を見いだし、そこから生ずる称呼をもって取引に当たると判断するのが通常の審査であり、例外的に、顕著性に乏しい用語と認識される部分が他の用語と結合された場合であって、かつ結合する用語自体にも謀別力がない場合(又は乏しい場合)に、商標全体をもって一体不可分と認識されると判断される場合があると考えられるにすぎない。 また、用語「韓どん」と「チョア」とでは、自他役務識別力について明らかに軽重の差が認められるため、これに接する取引者、需要者が、本件商標の構成中、自他役務の識別標識として強く支配的な印象を受ける「韓どん」の文字部分の顕著性を無視して、「チョア」の文字の付加された商標を別商標と認識して取引に当たることはあり得ない。 したがって、本件商標中「韓どん」は、役務「韓国料理を主とする飲食物の提供,ケータリング(飲食物),飲食物の提供」との関係においては、十分に自他商品識別標識としての機能を発揮する語とみなされる一方、「チョア」(良い、いいね!、Good!)が役務の質を表す用語又は単なる付加要素と認識されることから、通常の審査においては、「韓どん」部分を分離独立した商標として認識した上で、他の商標との類否判断が行われることになる。 (5)申立人の商標の使用態様について 申立人は、平成22年頃から現在に至るまで、引用商標を役務「飲食物の提供」に使用し、現在は、全国に70店舗まで業務を拡大している(甲5)。すなわち、この実績は、申立人が「韓丼」の造語を役務「飲食物の提供」に商標として長期にわたって継続的に使用してきたものであり、申立人の保有する引用商標の識別力と引用商標の長期的な使用に基づく業務上の信用は保護されるべきである。 つまり、引用商標は、申立人が役務「飲食物の提供」において使用する商標として、需要者・取引者に広く認識されるようになっていると考えるのが妥当であり、申立人の業務に係る商標として、高い周知性を有する。 (6)本件商標の現実的な使用による出所混同及び商標の希釈化のおそれについて 引用商標についてインターネット検索を実施すると、引用商標の商標権者に係る業務が多数検索され(甲6)、引用商標の商標権者が広く行うサービスを認識させる造語商標として需要者・取引者に認識される用語である。また、引用商標は長年にわたって使用されており、業務上の信用が化体している。 このような状況下において、本件商標が「飲食物の提供」について使用されると、同一の称呼が生じる商標が重複的に使用されることとなり、本件商標に接する需要者・取引者は、引用商標の商標権者が新たなサービスを展開していると誤解する可能性が極めて高いと考えられ、また、「韓どん」のような顕著性の高い用語が広く使用されることとなると、商標の希釈化が生じ、「商標に化体した信用の保護」という商標法の目的にもとる結果となる。特に本件のように、極めて顕著性の高い「韓丼」に他の用語を付するだけで非類似になるという前例を作ると、本件商標と同様の商標登録が発生することとなり、申立人が苦労の末に築き上げた業務上の信用が容易に失われてしまうという不当な結果を招くおそれがある。 (7)商標法第4条第1項第11号違反について 本件商標は、左側に赤い双喜紋を配置し、右側に丸みを帯びた書体からなる「韓どん」と「チョア」の用語をスペースを空けて横書きして配置した構成からなり、「韓どん」部分が自他役務識別標識としての機能を発揮する部分であるから、「カンドン」の称呼が生じる。 一方、引用商標は、いずれも本件商標の商標登録出願日より前に登録されたものであり、その商標からは、その文字構成から「カンドン」の称呼が自然と生ずる。 両商標を対比すると、外観上は、赤い双喜紋や「チョア」の用語の有無や、「どん」と「丼」の違いという相違点があるが、商標の要部を構成する部分の称呼が「カンドン」で一致している。また、いずれも特段の観念が生じない商標であり、観念の対比はできないが、要部を構成する部分は、「韓国に関する丼物に係るサービス」のような意味合いを暗示させるものであり、極めて近似した印象を与えることになる。また、本件商標の指定役務と引用商標の指定役務は類似している。 すなわち、本件商標は、申立人の保有する引用商標と同一又は類似するものであるとともに、本件商標と引用商標との間で出所混同が生ずる可能性が極めて高い。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 (8)商標法第4条第1項第10号違反について 本件商標は、上述のとおり、引用商標と類似の関係にあり、また、引用商標は、長年にわたって使用されてきた実績があり、全国的に店舗を拡大しているという事実や、上記インターネットの検索結果より、引用商標は、申立人の提供する役務に係る商標として、需要者・取引者に広く認識されているものと推定することが可能である。 すなわち、本件商標は申立人が長期にわたり使用している商標と類似する関係にあるものであり、また、申立人が継続使用している引用商標は、本件商標の登録出願時及び査定時において、日本国内で周知であったと考えられる。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。 (9)商標法第4条第1項第15号違反について 申立人が使用する引用商標は、上述のように、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、需要者・取引者の間で周知・著名であったと考えられる。 本件商標を第43類の役務「飲食物の提供」に使用した場合は、「韓どん」部分が商標中の要部として分離独立して認識されるため、あたかも、引用商標の商標権者が新しいサービスの展開を開始したと需要者・取引者が認識し、申立人またはその関連企業の業務に係る役務であるかのように誤って認識されるおそれがあり、申立人の業務に係る役務として、本件商標が使用される役務が存在するのではないかとの誤認・混同を生じさせるおそれが十分に考えられる。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 (10)商標法第4条第1項第19号違反について 引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国における需要者・取引者の間では周知・著名であったと考えられる。 また、本件商標権者は、申立人及びその保有する引用商標の存在を、出願以前に知り得たものと考えられる。すなわち、本件商標は、引用商標を長年使用していた実績を充分に承知の上で登録出願されたものであると考えられ、申立人が蓄積した「韓丼」商標の著名性にフリーライドする意図をもって登録出願したものであると考えざるを得ず、本件商標権者による不正の目的が推認される可能性がある。 実際にも「韓どんチョア」では、カルビ丼や焼肉丼などの韓国料理のファストフードを提供しており(甲7)、これは申立人が営む「韓丼」のメニューと酷似している(甲8)。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。 4 当審の判断 (1)引用商標の周知性について ア 申立人の主張及び提出された証拠によれば、以下のとおりである。 (ア)2023年9月1日出力の申立人のウェブサイト「韓丼【京都名物】カルビ丼とスン豆腐専門店」の1ページの左上方に「韓丼」の文字が表示されているが、同号証の3ページに、「店舗検索」の見出しの下、「全国70店舗/2023年09月01日現在」との記載があることから、当該ウェブサイトは、本件商標の登録査定後のものといえる(甲5)。 また、上記ウェブサイトにおいて、「韓丼の美味しいメニュー」の見出しの下、「カルビ丼」、「スン豆腐」などのメニューの写真が掲載されているが、当該ウェブサイトの掲載日は確認できない(甲8)。 (イ)インターネットによる「韓丼」の検索結果によれば、本件商標の登録出願前の日付けで、例えば「【韓丼】コスパ最強のカルビ丼なのにめっちゃ○○○」(2020年1月8日)、「韓丼(かんどん)カルビ丼とスン豆腐が人気のお店へ子供と・・・」(2022年5月20日)、「韓丼|LINE Official Account・・・カルビ丼とスン豆腐専門店2010年開業.韓丼」などの記載がある(甲6)。 イ 以上からすると、我が国において、本件商標の登録出願時に、申立人が飲食物の提供について「韓丼」の文字を使用していることはうかがえるものの、我が国における申立人の業務に係る役務の広告の範囲・方法、市場シェア等の具体的な証拠の提出がないことから、引用商標が申立人の業務に係る商標として、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の需要者の間に広く認識されていたとは認めることはできない。 (2)商標法第4条第1項第11号該当性について ア 本件商標について 本件商標は、別掲のとおり、赤色の双喜紋図形(以下「図形部分」という。)と丸みを帯びた「韓どん チョア」の文字を横書きしてなるところ、図形部分と「韓どん チョア」の文字部分とは、色彩において相違し、重なることなく間隔を空けて配置されており、分離して観察することが不自然であるほど不可分的に配されているとはいえず、分離して看取し得るものであり、また、図形部分は、特定の事物を表するものとして知られているものではないから、特定の称呼及び観念は生じない。 そうすると、本件商標は、その構成中の「韓どん チョア」の文字部分も独立して、需要者に対し商品の出所識別標識としての機能を果たし得るものとみるのが相当であるから、「韓どん チョア」の文字部分を要部(以下「本件要部」という。)として抽出し、他人の商標と比較して商標の類否を判断することが許されるというべきである。 そして、本件要部は、「韓どん」及び「チョア」の間にわずかにスペースを有するとしても、同じ大きさで外観上まとまりよく一体的に表されたものである。 また、本件要部の構成中の「チョア」の文字は、一般的な辞書等に載録がなく、本件商標の指定役務との関係において、特定の意味を表す語として一般に使用されているような特別な事情はないことから、需要者をして特定の意味を理解させることのない文字とみるのが相当である。 そして、上記のようなまとまりのよい構成においては、本件商標に接する需要者は、「チョア」の文字を捨象して、「韓どん」の文字部分のみに着目するというよりは、むしろ「韓どん チョア」の構成文字全体をもって、特定の観念を生じない一体不可分の造語を表したものとして認識、把握するとみるのが相当である。 さらに、本件要部に相応して生じる「カンドンチョア」の称呼も無理なく称呼し得るものである。 したがって、本件商標は、その構成文字に相応して「カンドンチョア」の称呼のみを生じ、特定の観念は生じない。 なお、申立人は、「チョア」の文字は、韓国語で「良い」という意味を有する語として知られている旨主張している(甲3、甲4)が、これのみをもって「チョア」の文字が我が国の需要者に一般に親しまれているとはいい難い。 イ 引用商標について 引用商標は、「韓丼」の漢字を標準文字で表してなるところ、その構成文字に相応して「カンドン」の称呼を生じ、当該文字は、辞書等に掲載が認められないから、特定の観念は生じない。 ウ 本件商標と引用商標との類否について 本件商標と引用商標は、上記ア及びイのとおり、図形部分の有無、「どん チョア」及び「丼」の文字の差異を有するものであるから、外観において、両者は明確に区別し得るものである。 また、称呼においては、本件商標から生じる「カンドンチョア」の称呼と引用商標から生じる「カンドン」の称呼とは、語尾に位置する「チョア」の音の有無に差異を有するところ、該差異音は、6音及び4音という短い音構成において、両称呼に及ぼす影響は大きく、それぞれを一連に称呼するときは、語調、語感が相違し、称呼上、明瞭に聴別し得るものである。 さらに、観念においては、本件商標及び引用商標は、いずれも特定の観念を生じないから、観念において比較することができない。 そうすると、本件商標と引用商標は、外観及び称呼において明確に区別及び明瞭に聴別し得るものであり、観念において比較することができないものであるから、両者の外観、称呼、観念等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標である。 したがって、本件商標と引用商標の指定役務が同一又は類似であるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 (3)商標法第4条第1項第10号該当性について 上記(1)のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の需要者の間に広く認識されていたとは認めることができないものであり、上記(2)のとおり、本件商標と引用商標は、非類似の商標である。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号を適用するための要件を欠くものといわざるを得ないから、同号に該当しない。 (4)商標法第4条第1項第15号該当性について 本件商標は、上記(2)のとおり、引用商標とは非類似の商標であるから、その類似性の程度は低いものであって、引用商標は、上記(1)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の需要者の間に広く認識されていたとは認めることができないから、本件商標に接する需要者が申立人の業務に係る引用商標を連想、想起するものということはできない。 そうすると、本件商標は、本件商標権者がこれをその指定役務について使用しても、需要者が、その役務について他人(申立人)あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であると誤認し、その役務の出所について混同を生じさせるおそれはないものである。 その他、本件商標について、出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 (5)商標法第4条第1項第19号該当性について 本件商標は、上記(2)のとおり、引用商標とは、非類似の商標であり、引用商標は、上記(1)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の需要者の間に広く認識されていたとはいえないものである。 また、申立人が提出した証拠からは、本件商標権者が本件商標を不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって使用するものと認めるに足りる具体的事実は見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。 (6)むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。

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