審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
商標異議申立

2023-900196

フィットビーイング

審判番号
2023-900196
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2023-000173
登録番号
6722740
請求日
2023年08月31日
審決日
2024年05月23日
公報発行日
2024年12月27日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】深▲せん▼小▲ちぇ▼科技有限公司
  • 【異議申立人】グーグル エルエルシー
  • 【異議申立人代理人】稲葉 良幸
  • 【異議申立人代理人】田中 克郎
  • 【異議申立人代理人】石田 昌彦
  • 【異議申立人代理人】右馬埜 大地
審判長/審判官
  • 審判長 旦 克昌
  • 審判官 大島 勉
  • 審判官 阿曾 裕樹
分類
T1651.261-Y (W42) / T1651.262-Y (W42) / T1651.263-Y (W42) / T1651.271-Y (W42)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法4条1項11号商標法4条1項15号商標法43条の3第4項
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第15号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

登録第6722740号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6722740号商標の商標登録を維持する。

理由

理 由 1 本件商標 本件登録第6722740号商標(以下「本件商標」という。)は、「Fitbeing」の欧文字を標準文字で表してなり、令和5年1月4日に登録出願、第42類「技術的課題の研究,科学技術に関する研究,科学に関する実験及び研究,電子データの保存用記憶領域の貸与,オンラインによるアプリケーションソフトウェアの提供(SaaS),シングルサインオンの技術を利用したオンラインソフトウェアアプリケーションのためのユーザー認証,コンピュータソフトウェアプラットフォームの提供(PaaS),コンピュータソフトウェアの設計,コンピュータソフトウェアのバージョンアップ,クラウドコンピューティングに関する相談・指導・助言・コンサルティング又は情報の提供」を指定役務として、同年7月18日に登録査定、同年8月2日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由(商標法第4条第1項第11号、同項第15号)において引用する登録商標(以下、まとめて「引用商標」という場合がある。)は、以下のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。 (1)国際登録第1094793号商標(以下「引用商標1」という。) 商標の態様:FITBIT 国際商標登録出願日:2011年(平成23年)5月25日 設定登録日:平成24年12月14日 指定商品及び指定役務:第9類及び第44類に属する国際商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務 (2)国際登録第1117233号商標(以下「引用商標2」という。) 商標の態様:FITBIT 国際商標登録出願日:2012年(平成24年)3月1日 設定登録日:平成26年5月16日 指定商品:第9類に属する国際商標登録原簿に記載のとおりの商品 (3)国際登録第1218353号商標(以下「引用商標3」という。) 商標の態様:FITBIT 国際商標登録出願日:2013年(平成25年)12月20日 優先権主張:2013年(平成25年)12月3日(アメリカ合衆国) 設定登録日:平成27年6月19日 指定商品及び指定役務:第9類及び第44類に属する国際商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務 (4)登録第6104677号商標(以下「引用商標4」という。) 商標の態様:FITBIT(標準文字) 登録出願日:平成29年6月29日 設定登録日:平成30年12月7日 指定商品及び指定役務:第9類、第10類、第14類、第42類、第44類及び第45類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証から甲第16号証(枝番号を含む。以下、甲○と表記する。)を提出した。 (1)引用商標の周知・著名性について ア 「FITBIT」及び「フィットビット社」の概要 申立人は、人工知能、オンライン広告、検索エンジン技術、クラウドコンピューティング、コンピュータソフトウェア、量子コンピューティング、電子商取引、家庭用電化製品に重点を置いている米国のテクノロジー企業である。 引用商標に係る「FITBIT」は、ワイヤレス対応の身体装着可能な、最先端の技術を用いた商品、例えば、いわゆるスマートウォッチ(腕時計型携帯情報端末)、歩数計、心拍数、睡眠の質、階段の昇り具合など、人間の活動量をモニタリングし、測定する機能を備えたアクティビティトラッカー、及びスマートスケール(ワイヤレス対応の体重計、体組成計)、並びにそれら装置とともに用いるソフトウェア、及びそれらソフトウェアの提供、設計、開発に関連するサービスに使用される商標である(甲3)。 米国の調査会社IDCが調査したところによれば、2015年の第3四半期における、世界のウェアラブルデバイスの出荷台数は約2100万台であり、そのシェア1位は「FITBIT」の470万台であった(甲4)。 2021年1月、申立人は米国の家庭用電化製品及びフィットネス関連商品の製造を行うフィットビット,インコーポレイテッド(以下、「フィットビット社」又は「申立人の関連会社」という。)を買収した(甲5)。 フィットビット社は、2008年以来、ワイヤレス対応の身体装着可能な、最先端の技術を用いた商品、例えばいわゆるスマートウォッチ(腕時計型携帯情報端末)や、歩数計、心拍数、睡眠の質、階段の昇り具合など、人間の活動量をモニタリングし、測定する機能を備えたアクティビティトラッカー、スマートスケール(ワイヤレス対応の体重計、体組成計)、さらにそれら装置とともに用いるソフトウェアの製造、販売を行ってきた。 2008年、フィットビット社はTechCrunch50で次点に選ばれ、2009年には米国のCESで「イノベーション受賞者」と「ヘルス&ウェルネス部門最優秀賞」の両方に選ばれる快挙を成し遂げた。 2016年、フィットビット社はその年の最も革新的な米国企業50社中37位にランクインした。また、同年フィットビット社は、コンサルティング会社が行ったランキング「Fast 500 North America」の46位にランクインした。 フィットビット社は、本国アメリカのみならず、日本を含む海外でもめざましい成長を遂げている。 イ 「FITBIT」がフィットビット社の基幹ブランドであること 現在販売しているアクティビティトラッカー、スマートウォッチ、スマートスケール及び販売完了したほとんどすべての製品に、引用商標に係る「FITBIT」の商標が製品名の一部として使用されていることから、引用商標は、フィットビット社の主力製品であるスマートウォッチ(腕時計型携帯情報端末)、アクティビティトラッカー、スマートスケール及びそれらのソフトウェア、関連するサービスのブランド名として周知、著名となっている。 特に、リストバンド型アクティビティトラッカーやスマートウォッチとして、「FITBIT」は、日本を含む世界中で最も人気のある製品の一つである。 ウ 「FITBIT」がリストバンド型アクティビティトラッカーやスマートウォッチとして、最も人気のある製品の一つであること 我が国においては、大手総合小売店(NTTドコモ、丸井、ロフト、コストコ、アマゾン等)や、大手家庭電化用品販売店(ビックカメラ、ヨドバシ、ジョーシン、ケーズデンキ、ヤマダ電機、コジマ、ノジマ、カメラのキタムラ、エディオン等)で取り扱われている。 そして、スマートウォッチ又はリストバンド型アクティビティトラッカーである「FITBIT」は、新聞や雑誌、インターネット紹介記事で大きく取り上げられ、高い知名度を誇っている。 エ 「FITBIT」の紹介記事 スマートウォッチ又はリストバンド型アクティビティトラッカーである「FITBIT」は、新しいモデルが発表される度に、有力メディアによるインターネット記事において紹介されており(甲6~甲10)、着実に市場に浸透していった。 また、上記で説明したように、単に「FITBIT」の商標を付したスマートウォッチ又はリストバンド型アクティビティトラッカー等といえども、多数の機種、モデルが存在することから、これら「FITBIT」の各機種、モデルを比較し、対象としたモデルの性能、機能の解説を内容とする「FITBIT」を特集した記事も存在する(甲11、甲12)。 さらには、スマートウォッチ又はリストバンド型アクティビティトラッカーである「FITBIT」は、スマートウォッチ(腕時計型携帯情報端末)としての機能が高いのはもちろんのこと、歩数計・心拍数・睡眠の質、階段の昇り具合など、人間の活動量をモニタリングし、測定する機能を備えたアクティビティトラッカーとしての機能に大変優れていることが着目されて、健康増進、フィットネス、ダイエット等の美容に高い興味を持っている需要者間で人気の商品となっており、リストバンド型アクティビティトラッカーやスマートウォッチ「FITBIT」を用いた、健康増進、フィットネス、ダイエット等の美容法がインターネットを通じて紹介されている(甲13、甲15)。 オ 小括 このように、本件商標の登録出願前から、引用商標に係る「FITBIT」は、いわゆるスマートウォッチ(腕時計型携帯情報端末)、歩数計、心拍数、睡眠の質、階段の昇り具合など、人間の活動量をモニタリングし、測定する機能を備えたアクティビティトラッカー、及びスマートスケール(ワイヤレス対応の体重計、体組成計)、並びにそれら装置とともに用いるソフトウェア、及びそれらソフトウェアの提供、設計、開発に関連するサービスの名称として、我が国の一般消費者等の需要者、商品の販売者等の取引者の間で広く知られており、我が国を含む世界的に周知又は著名な商標としての地位を獲得していた事実は疑いようがないのであり、本件商標の登録査定時においても継続してその周知著名性を維持していた。 (2)商標法第4条第1項第11号該当性 ア 本件商標と引用商標の類似性 (ア)本件商標は、「Fitbeing」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字に相応して「フィットビーイング」の称呼が生じる。 これに対して、引用商標は、「FITBIT」の欧文字からなり、その構成文字に相応して「フィットビット」の称呼が生じる。 称呼を比較すると、両者は、語頭音において、「フィットビ」の音が共通しており、しかも「フィ」と「ビ」が、ともに強い響きの音であるばかりでなく、これらの音にアクセントが置かれてより強く、明瞭に発音される。これに対して、語尾音においては、前者が「ーイング」、後者が「ット」となっているところ、語尾音は他の音に比べて明確さを欠く発声をもって発音されるのが通例であり、しかも「ー(長音)イング」と「ット」の音は、ともに前の「ビ」の音に吸収されて余韻として残る程度の極めて弱い音となって、明確に聴取し難く、その差異は一層薄れがちとなる。 むしろ、両称呼は、称呼の識別上重要な要素を占める語頭音を含む大部分の音である「フィットビ」を共通にしており、しかもこれらの音は印象の薄い語尾音とは異なって、強く響く音であるばかりでなく、アクセントが置かれて明瞭に強く発音されるので、両商標をそれぞれ一連に称呼するときは、その語調、語感が極めて近似したものとなり、互いに聞き誤るおそれがある。 (イ)本件商標に係る「Fitbeing」は、特定の観念を有しない造語というべきであるところ、「FIT」の文字は、「合う」「適する」の意味のほか、「体の調子が良い」「健康な」の語義を有するものとして我が国でも馴染まれている(ジーニアス英和辞典)。そして、英単語「FITNESS」にも通じており、取引界においては、「健康」を表すための造語を形成する接頭語として使用されている場合も少なくない。 そのため、本件商標は、「何か、健康に関するもの」のような、漠然とした観念が生じる場合もある。 これと同様に、引用商標を構成する「FITBIT」についても、特定の観念を有しない造語というべきであるところ、「FIT」の文字は、「合う」「適する」の意味のほか、「体の調子が良い」「健康な」の語義を有するものとして我が国でもなじまれているといえる(ジーニアス英和辞典)。そして、英単語「FITNESS」にも通じており、取引界においては、「健康」を表すための造語を形成するための接頭語として使用されている場合も少なくない。そのため、引用商標は、「何か、健康に関するもの」のような、漠然とした観念が生じる場合もある。 そうすると、本件商標と引用商標からは、ともに「何か、健康に関するもの」の観念を想起、連想する場合も少なくなく、この点において相紛らわしい。 (ウ)本件商標と引用商標は、その構成する文字の前半である「F」「I」「T」「B」において共通しており、外観上も近似したものとなっている。 (エ)そこで、異なる時間・場所を想定した離隔観察を行った場合、本件商標と引用商標は、外観、称呼及び観念において相紛らわしいものとなっており、腕時計として利用されることの多い、スマートウォッチやリストバンド型アクティビティトラッカーの利用者は、老若男女を含む一般消費者であることから、その注意力は決して高いものではなく、需要者等の通常の注意力のみをもってしては、本件商標と引用商標とを区別することは必ずしも容易ではない。 以上を総合すると、本件商標と引用商標とは、彼此紛れるおそれの高い類似の商標である。 イ 本件商標の指定役務は、引用商標4の指定役務と同一又は類似のものである。 さらに、審査基準によれば、本件商標の指定役務中「オンラインによるアプリケーションソフトウェアの提供(SaaS),コンピュータソフトウェアプラットフォームの提供(PaaS)」は、引用商標2から引用商標4に含まれる、各種コンピュータソフトウェアと類似する。 ウ よって、本件商標は、引用商標2から引用商標4との関係において、商標法第4条第1項第11号に該当する。 (3)商標法第4条第1項第15号該当性 ア 本件商標と引用商標の類似性 本件商標より生ずる称呼「フィットビーイング」と引用商標から生ずる称呼「フィットビット」は、印象の薄い語尾において、弱い音である「ー(長音)イング」と「ット」というわずかな違いがあるのみであり、むしろ、称呼の識別上重要な要素を占める語頭音において、強く響く音で、アクセントが置かれて明瞭に発音される「フィットビ」を共通にしているので、両者をそれぞれ一連に称呼するときは、語調、語感が極めて近似したものとなり、互いに聞き誤るおそれがある。 そして、両商標は、いずれも造語であるところ、「健康な」等のなじまれた観念を有する「FIT」を語頭部に配している関係で、「何か、健康に関するもの」のような共通した観念が生じる場合も少なくない。 さらに、本件商標は引用商標との関係においては、語頭部を含む構成文字の大半を共通にしており、外観上も紛れるおそれがある。 よって、本件商標と引用商標の類似性は高い。 イ 引用商標の周知、著名性及び独創性 引用商標に係る「FITBIT」の文字が、申立人の商標として国際的に著名であり、我が国においても、需要者、取引者間で広く知られるに至っている事実は前述したとおりである(甲6~甲15)。 しかも、引用商標の指定商品との関係では、「何か、健康に関するもの」の意味合いを示唆するものであるところ、既成語とは異なり、引用商標のような造語商標は、一般に、高い顕著性を有しているのであり、十分に独創的である。 ウ 本件商標と引用商標の指定役務の関連性の程度 引用商標の指定商品及び指定役務は、各指定商品の表示がそれぞれ表現が異なっているものの、概ね「スマートウォッチ(腕時計型携帯情報端末)、歩数計、心拍数、睡眠の質、階段の昇り具合など、人間の活動量をモニタリングし、測定する機能を備えたアクティビティトラッカー、及びスマートスケール(ワイヤレス対応の体重計、体組成計)、並びにそれら装置とともに用いるソフトウェア、及びそれらソフトウェアの提供、設計、開発に関連するサービス」に関するものであり、特に「スマートウォッチ」「リストバンド型アクティビティトラッカー」との関係で周知又は著名なものとなっている。 スマートウォッチ(腕時計型携帯情報端末)とは、腕時計と同じ要領で手首に装着して用いられるウェアラブルデバイスの総称であり、時計としての(時刻確認・計測)機能のほか、受話、メッセージ受信、音楽再生といったスマートデバイスの機能を兼ねた商品である。また、多くの製品は活動量計(アクティビティトラッカー)としての機能も備える。 上記機能はすべて、スマートウォッチに搭載されたオペレーションソフトウェアと各種アプリケーションソフトウェアがインストールされるとともに、通信機能を用いてインターネット又は他の電子機器と接続することによって実現されることから、「オペレーションソフトウェア」が何であるかによって特徴化されており、具体的には、申立人が提供する携帯機器向けのオペレーションソフトウェア「Android」と連携する「Wear OS」を搭載した商品と、米アップル社のApple Watchの2種類が存在する。 そして、スマートウォッチは、スマートフォンと連携して各種機能を発揮することができ、「Wear OS」に関しては、申立人又は申立人が提供している開発者用ソフトウェアを用いたソフトウェアベンダーにより開発、提供されているAIアシスタント用ソフトウェアや地図アプリケーションソフトなどが利用できるようになっている。 このように、スマートウォッチ(腕時計型携帯情報端末)が、ダウンロード可能又はダウンロード不可能なソフトウェアによってはじめて利用が可能になる器具であることに鑑みれば、引用商標に係る「スマートウォッチ(腕時計型携帯情報端末)と、ダウンロード可能又はダウンロード不可能なソフトウェア」と本件商標の指定役務は、関連性が非常に高い商品といえる。 そして、引用商標4に関しては、「スマートウォッチ(腕時計型携帯情報端末)と、ダウンロード可能又はダウンロード不可能なソフトウェア」のみならず「コンピュータハードウェア及びソフトウェアの設計及び開発,科学的及び技術的な研究開発に関する情報及びデータの提供,科学的及び技術的な研究開発,コンピュータハードウェア及びコンピュータソフトウェアの設計,コンピュータシステム・コンピュータデータベース及びコンピュータアプリケーションの開発に関する技術的支援及び助言」にも使用される商標である。 してみると、引用商標の指定商品及び指定役務と本件商標の指定役務は、同一の役務であるか、関連性の非常に高い役務となっている。 エ 需要者、取引者の共通性その他の取引の実情 上記で詳述したように、引用商標に係る「FITBIT」は、スマートウォッチ(腕時計型携帯情報端末)、歩数計、心拍数、睡眠の質、階段の昇り具合など、人間の活動量をモニタリングし、測定する機能を備えたアクティビティトラッカー、及びスマートスケール(ワイヤレス対応の体重計、体組成計)、並びにそれら装置とともに用いるソフトウェア、及びそれらソフトウェアの提供、設計、開発に関連するサービスに使用される商標として、我が国を含む世界各国で周知、著名なものとなっている。 申立人の行った調査によれば、本件商標権者は、申立人の商品と同じ「スマートウォッチ、アクティビティトラッカー、それらのソフトウェア」の製造、販売を行っており、スマートウォッチ、アクティビティトラッカーの機能にとって大変重要な位置を占める「(ダウンロード可能又はダウンロード不可能な)アプリケーションソフトウェア」について本件商標を使用している(甲16)。 すなわち、本件商標権者の取扱う商品、役務は、「スマートウォッチ、アクティビティトラッカー、それらのソフトウェア、それらに関連するサービス」であり、いずれも申立人と関連会社の提供する「スマートウォッチ、アクティビティトラッカー、それらのソフトウェア、それらに関連するサービス」と競合する商品、役務ばかりであって、完全に同一の商品といっても過言ではない。 そして、本件商標権者の取引者・需要者は、紛れもなく「スマートウォッチ、アクティビティトラッカー、並びにそれら装置とともに用いるソフトウェア、及びそれらソフトウェアの提供、設計、開発に関連するサービス」の利用者となり、両商標の取引者、需要者は完全に同じとなる。 このような事情のもと、申立人及び関連会社とは何らの経済的・組織的関係を有しない本件商標権者により、申立人及び関連会社の周知著名商標「FITBIT」と相紛らわしい本件商標を用いて、引用商標の指定商品及び指定役務と関連性の高い本件商標の指定役務が提供された場合、あたかも、申立人又は関連会社により提供される前記役務であるかのように、誤認を生じさせるおそれがある。 なお、本件商標権者の需要者等は、腕時計として利用されることの多い、スマートウォッチやリストバンド型アクティビティトラッカーの利用者であり、老若男女を含む一般消費者であるから、その注意力の程度は決して高くはない。 オ 小括 以上の事情を総合的に勘案すれば、本件商標は、これに接する需要者・取引者に対して、引用商標を連想させ、商品の出所について、あたかも申立人又は申立人と経済的、組織的に関係する者により提供される役務であるかのように誤認を生じさせ、その登録を認めた場合には、引用商標の持つ顧客吸引力ヘのただ乗りや、その希釈化を招くという結果を免れない。 よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 4 当審の判断 (1)引用商標の周知性について ア 申立人の主張及び提出証拠によれば、以下のとおりである。 (ア)申立人が2019年に買収した関連会社が製造販売する「fitbit」は、大型ディスプレイ、Googleのスマート機能、詳細な健康管理機能などを備える「スマートウォッチ」及び心拍数を記録する多用途の「フィットネスリストバンド」(以下「申立人商品」という。)である(甲3の1、甲5、甲6)。 申立人商品の我が国での販売開始は、2013年である(甲8)。 (イ)申立人商品は、米IDCによる調査によれば、2015年第3四半期の世界のウェアラブルデバイス市場において、470万台の出荷台数があり、シェア1位であったとされる(甲4)。 なお、我が国における申立人商品の販売実績や市場シェアなどを具体的に示す証拠はない。 (ウ)申立人商品は、インターネット上の記事情報(2015年以降)において商品紹介記事が掲載されている(甲6~甲15)。 上記記事中、「東洋経済ONLINE」の「「Fitbit」はアップルウォッチと何が違うのか」の見出しの記事情報(2019年9月19日付け)には、「腕時計型端末「スマートウォッチ」の品ぞろえが充実してきた。最も有名で売れているのはアメリカのアップルが展開する「アップルウォッチ」だが、女性からじわりと人気を集めているのが同じくアメリカのフィットビットだ。日本ではまだメジャーとはいえないブランドだが、欧米では人気が高く、日本でも9月24日に主力となる新製品を投入し、知名度向上に躍起だ。」(甲8)の記載がある。 イ 以上によれば、申立人商品は、世界における市場シェアが高いウェアラブルデバイスであり、2013年以降に我が国でも継続して販売され、インターネット等を通じて商品紹介等もされている実情はある。 しかしながら、提出証拠からは、我が国における申立人商品の販売規模や市場シェア、また、メディアを利用した積極的な広告宣伝実績などの存在は具体的に把握できず、さらに、2019年時点において我が国においてメジャーとはいえないブランドとも評されている。 そうすると、申立人商品「fitbit」及び引用商標「FITBIT」は、本件商標の登録出願時(2023年1月4日)において、商品「スマートウォッチ」や「フィットネスリストバンド」などのウェアラブルデバイスと関連して、一部需要者の間においてある程度認知されていた可能性は考えられるものの、我が国における需要者の間に広く認識されていた商標とは認められず、その周知性の程度は高いものとは評価し難い。 (2)商標法第4条第1項第11号該当性 ア 本件商標と引用商標の類否 (ア)本件商標について 本件商標は、上記1のとおり、「Fitbeing」の欧文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字は、同じ大きさ及び書体で、字間なく、横一列にまとまりよく一連一体の語を表してなるが、これは辞書等に掲載された成語ではない。 そうすると、本件商標は、その構成文字に相応して、「フィットビーイング」の称呼を生じるが、特定の観念は生じない。 (イ)引用商標2から引用商標4について 引用商標2及び引用商標3は、「FITBIT」の文字を横書きし、引用商標4は、「FITBIT」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は辞書等に掲載された成語ではなく、また、上記(1)のとおり、我が国における需要者の間に広く認識されている商標ではない。 そうすると、引用商標2から引用商標4は、それぞれの構成文字に相応して、「フィットビット」の称呼を生じるが、特定の観念は生じない。 (ウ)本件商標と引用商標の比較 本件商標と引用商標2から引用商標4を比較すると、外観においては、語頭「Fitb」(FITB)の構成文字を共通にするとしても、それに続く構成文字の差異により、全体としては異なる語を表してなるから、判別は容易である。 また、称呼においては、語頭の「フィットビ」の4音を共通にするが、それに続く構成音の差違により、音数や全体の語調、語感は明らかに相違するから、聴別は容易である。 さらに、観念においては、いずれも特定の観念は生じないから、比較できない。 そうすると、本件商標と引用商標2から引用商標4は、観念において比較できないとしても、外観及び称呼において判別又は聴別は容易だから、それらによって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない別異の商標であり、非類似の商標と認められる。 イ 小括 以上のとおり、本件商標は、引用商標2から引用商標4とは類似する商標ではないから、それら指定商品及び指定役務を比較するまでもなく、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 (3)商標法第4条第1項第15号該当性 ア 引用商標「FITBIT」は、上記(1)のとおり、ウェアラブルデバイスと関連して、一部需要者の間においてある程度認知されていた可能性があるとしても、その周知性の程度は高いとはいえない。 イ 本件商標と引用商標は、上記(2)ア(ウ)のとおり、相紛れるおそれのない別異の商標であり、類似性の程度は低い。 ウ 本件商標の指定役務は、上記1のとおり、科学研究所や情報処理・提供サービス業者などが提供するサービスであるところ、申立人商品である「スマートフォン」や「フィットネスリストバンド」などのウェアラブルデバイスは、情報通信機械器具製造業者が製造、販売する商品であるから、それら商品及び役務には同一の営業主が製造、販売又は提供するような密接な関連はなく、関連性の程度は低い。 エ 以上のとおり、引用商標の周知性の程度は高くないこと、本件商標と引用商標とは別異の商標であること、本件商標の指定役務と申立人商品との関連性の程度は低いことを踏まえると、本件商標をその指定役務について使用しても、需要者をして引用商標を連想又は想起させることは考えにくく、その役務が他人(申立人)あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であると誤認し、その役務の出所について混同を生じさせるおそれはない。 したがって、本件商標は、他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標ではないから、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 (4)むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれの規定にも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2023-900196

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存