商標異議申立
2023-900194
フィットビーイング
- 審判番号
- 2023-900194
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2023-000171
- 登録番号
- 6711593
- 請求日
- 2023年08月31日
- 審決日
- 2024年05月08日
- 公報発行日
- 2024年12月27日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】深▲せん▼小▲ちぇ▼科技有限公司
- 【異議申立人】グーグル エルエルシー
- 【異議申立人代理人】稲葉 良幸
- 【異議申立人代理人】田中 克郎
- 【異議申立人代理人】石田 昌彦
- 【異議申立人代理人】右馬埜 大地
- 審判長/審判官
- 審判長 山田 啓之
- 審判官 杉本 克治
- 審判官 青野 紀子
- 分類
- T1651.261-Y (W09) / T1651.262-Y (W09) / T1651.263-Y (W09) / T1651.271-Y (W09)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号商標法4条1項15号商標法43条の2商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第15号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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登録第6711593号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6711593号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第6711593号商標(以下「本件商標」という。)は、「Fitbeing」の文字を標準文字で表してなり、令和5年1月4日に登録出願、第9類「眼鏡型携帯情報端末,指輪型携帯情報端末,コンピュータソフトウェア用アプリケーション(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),腕時計型携帯情報端末,コンピュータプログラム(記憶されたもの),体重計,体重分析器用はかり,ヘッドホーン,遠隔通信用イヤホン,イヤホン」を指定商品として、同年6月6日に登録査定され、同月26日に設定登録されたものである。
第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議の申立ての理由に該当するとして引用する登録商標は、以下の1ないし4のとおりであり、いずれの商標権も、現に有効に存続しているものである。
1 国際登録第1094793号商標(以下「引用商標1」という。)は、「FITBIT」の欧文字を横書きした構成からなり、2011年(平成23年)5月25日に国際商標登録出願、第9類「Multifunctional electronic devices for displaying, measuring, and uploading to the Internet information including time, date, body and heart rates, global positioning, direction, distance, altitude, speed, steps taken, calories burned, navigational information, weather information, the temperature, wind speed, and the declination of body and heart rates, altitude and speed.」及び第44類「Providing information regarding nutrition, dieting, wellness, and health through a website.」を指定商品及び指定役務として、平成24年12月14日に設定登録されたものである。
2 国際登録第1117233号商標(以下「引用商標2」という。)は、「FITBIT」の欧文字を横書きした構成からなり、2012年(平成24年)3月1日に国際商標登録出願、第9類「Fitness equipment, namely scales and personal weighing scales; computer software for wireless data communication for receiving, processing, transmitting and displaying information relating to fitness, body fat, body mass index; computer software for managing information regarding tracking, compliance and motivation with a health and fitness program.」を指定商品として、平成26年5月16日に設定登録されたものである。
3 国際登録第1218353号商標(以下「引用商標3」という。)は、「FITBIT」の欧文字を横書きした構成からなり、2013年(平成25年)12月3日に米国においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、同年12月20日に国際商標登録出願、第9類及び第44類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成27年6月19日に設定登録され、その後、指定商品及び指定役務については、基礎出願又は基礎登録の効力の一部終了により、第9類「Pedometers; altimeters; scales and personal weighing scales; multifunctional electronic devices for displaying, measuring, and uploading to the Internet information including time, date, heart rate, global positioning, direction, distance, altitude, speed, steps taken, calories burned, navigational information, changes in heart rate, activity level, hours slept, quality of sleep, and silent wake alarm; computer software for wireless data communication for receiving, processing, transmitting and displaying information relating to fitness, body fat, body mass index; computer software for managing information regarding tracking, compliance and motivation with a health and fitness program.」及び第44類「Providing information regarding nutrition, fitness, dieting, wellness and health via a website.」となったものである。
4 登録第6104677号商標(以下「引用商標4」という。)は、「FITBIT」の文字を標準文字で表してなり、平成29年6月29に登録出願、第9類、第10類、第14類、第42類、第44類及び第45類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成30年12月7日に設定登録されたものである。
なお、引用商標1ないし引用商標4をまとめていうときは、以下「引用商標」という。
第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第16号証(枝番号を含む。)を提出した。
以下、証拠の記載については、甲1、甲2にように省略して記載する。
1 引用商標の周知・著名性について
(1)「FITBIT」及び「フィットビット社」の概要について
申立人は、人工知能、オンライン広告、検索エンジン技術、クラウドコンピューティング、コンピュータソフトウェア、量子コンピューティング、電子商取引、家庭用電化製品に重点を置いている米国のテクノロジー企業である。
引用商標に係る「FITBIT」は、ワイヤレス対応の身体装着可能な、最先端の技術を用いた商品、例えば、腕時計型携帯情報端末、歩数計・心拍数・睡眠の質、階段の昇り具合など、人間の活動量をモニタリングし、測定する機能を備えたアクティビティトラッカー、及びスマートスケール(ワイヤレス対応の体重計、体組成計)、並びにそれら装置とともに用いるソフトウェア、さらに、それらに関連する各種サービスに使用される商標である(甲3)。
米国の調査会社IDCが調査したところによれば、2015年の第3四半期における、世界のウェアラブルデバイスの出荷台数は約2100万台であり、そのシェア1位は「FITBIT」の470万台であった(米国アップル社のAppleWatchは2位。甲4)。
2021年1月、申立人は米国の家庭用電化製品及びフィットネス関連商品の製造を行うフィットビット,インコーポレイテッド(以下「フィットビット社」又は「申立人関連会社」という。)を買収した(甲5)。
フィットビット社は、2008年以来、ワイヤレス対応の身体装着可能な、最先端の技術を用いた商品、例えば、腕時計型携帯情報端末や、歩数計、心拍数、睡眠の質、階段の昇り具合など、人間の活動量をモニタリングし、測定する機能を備えたアクティビティトラッカー、スマートスケール(ワイヤレス対応の体重計、体組成計)、さらに、それら装置とともに用いるソフトウェアの製造、販売を行ってきた。
2008年、フィットビット社は、TechCrunch50で次点に選ばれ、2009年には、米国のCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー、アメリカ合衆国ネバダ州ラスベガスで毎年1月に開催される電子機器の業界向け見本市)で「イノベーション受賞者」と「ヘルス&ウェルネス部門最優秀賞」の両方に選ばれる快挙を成し遂げた。
2016年、フィットビット社は、その年の最も革新的な米国企業50社中37位にランクインし、また、同年、フィットビット社は、コンサルティング会社デロイトが行ったランキング「Fast500 North America」の46位にランクインした。
(2)「FITBIT」がフィットビット社の基幹ブランドであること
フィットビット社が発売した製品(2008年から現在まで)のほとんど全ての製品に、引用商標に係る「FITBIT」の商標が製品名の一部として使用されていることから、引用商標「FITBIT」は、フィットビット社の主力製品である腕時計型携帯情報端末、アクティビティトラッカー、スマートスケール及びそれらのソフトウェア、関連するサービスのブランド名として周知、著名となっている。
特に、リストバンド型アクティビティトラッカーや腕時計型携帯情報端末として、「FITBIT」は、我が国を含む世界中で最も人気のある製品の一つである。
(3)「FITBIT」がリストバンド型アクティビティトラッカーや腕時計型携帯情報端末として、最も人気のある製品の一つであること
リストバンド型アクティビティトラッカーや腕時計型携帯情報端末「FITBIT」は、我が国でも、大手総合小売店(NTTドコモ、丸井、ロフト、コストコ、アマゾン等)や、大手家庭電化用品販売店(ビックカメラ、ヨドバシ、ジョーシン、ケーズデンキ、ヤマダ電機、コジマ、ノジマ、カメラのキタムラ、エディオン等)で取り扱われており、新聞や雑誌、インターネット記事で大きく取り上げられ、高い知名度を誇っている。
(4)「FITBIT」の紹介記事等
リストバンド型アクティビティトラッカーや腕時計型携帯情報端末「FITBIT」は、新モデルが発表される度に、有力メディアによるインターネット記事において紹介されており(甲6~甲10)、着実に市場に浸透していった。
また、上記(2)において説明したように、単に「FITBIT」の商標を付したリストバンド型アクティビティトラッカーや腕時計型携帯情報端末等といえども、多数の機種、モデルが存在することから、これら「FITBIT」の各機種、モデルを比較し、対象としたモデルの性能、機能の解説を内容とする、「FITBIT」を特集した記事も存在する(甲11、甲12)。
さらには、リストバンド型アクティビティトラッカーや腕時計型携帯情報端末「FITBIT」は、腕時計型携帯情報端末としての機能が高いのはもちろんのこと、歩数計・心拍数・睡眠の質、階段の昇り具合など、人間の活動量をモニタリングし、測定する機能を備えたアクティビティトラッカーとしての機能に大変優れていることが着目されて、健康増進、フィットネス、ダイエット等の美容に高い興味を持っている需要者間で人気の商品となっており、リストバンド型アクティビティトラッカーや腕時計型携帯情報端末「FITBIT」を用いた、健康増進、フィットネス、ダイエット等の美容法がインターネットを通じて紹介されている(甲13、甲15)。
(5)まとめ
このように、本件商標の登録出願前から、引用商標に係る「FITBIT」は、腕時計型携帯情報端末、歩数計・心拍数・睡眠の質、階段の昇り具合など、人間の活動量をモニタリングし、測定する機能を備えたアクティビティトラッカー、及びスマートスケール(ワイヤレス対応の体重計、体組成計)、並びにそれら装置とともに用いるソフトウェア、さらに、それらに関連する各種サービスの名称として、我が国の一般消費者等の需要者、商品の販売者等の取引者の間で広く知られており、我が国を含む世界的に周知又は著名な商標としての地位を獲得していた事実は疑いようがないのであり、本件商標の登録査定時においても継続してその周知著名性を維持していたと優に推認できるものである。
2 本件商標と引用商標の類似性について
(1)称呼について
本件商標は、「Fitbeing」の文字を標準文字にて表してなるところ、構成文字に相応して「フィットビーイング」の称呼が生ずるものである。
これに対して、引用商標は、「FITBIT」の欧文字からなるものであり、構成文字に相応して「フィットビット」の称呼が生じる。
そこで、本件商標より生ずる「フィットビーイング」と引用商標より生ずる「フィットビット」の称呼とを比較するに、両者は、語頭音において、「フィットビ」の音が共通しており、しかも「フィ」と「ビ」が、共に強い響きの音であるばかりでなく、これらの音にアクセントが置かれてより強く、明瞭に発音される。
これに対して、語尾音においては、前者が「ーイング」、後者が「ット」となっているところ、語尾音は他の音の比べて明確さを欠く発声をもって発音されるのが通例であり、しかも「ー(長音)イング」と「ット」の音は、共に前の「ビ」の音に吸収されて余韻として残る程度の極めて弱い音となって、明確に聴取し難く、その差異は一層薄れがちとなる。
むしろ、両称呼は、称呼の識別上重要な要素を占める語頭音を含む大部分の音である「フィットビ」を共通にしており、しかもこれらの音は印象の薄い上記語尾音とは異なって、強く響く音であるばかりでなく、アクセントが置かれて明瞭に強く発音されるので、両商標をそれぞれ一連に称呼するときは、その語調、語感が極めて近似したものとなり、互いに聞き誤るおそれがある。
(2)観念について
本件商標に係る「Fitbeing」は、特定の観念を有しない造語というべきものであるころ、「FIT」の文字は、「合う」、「適する」の意味の他、「体の調子が良い」、「健康な」の語義を有するものとして我が国でもなじまれているといえる(ジーニアス英和辞典)。
そして、英単語「FITNESS」にも通じており、取引界においては、「健康」を表すための造語を形成するための接頭語としても使用されている場合も少なくない。
そのため、本件商標からは、「何か、健康に関するもの」のような、漠然とした観念が生じる場合もあるといえる。
これと同様に、引用商標を構成する「FITBIT」についても、特定の観念を有しない造語というべきものであるところ、「FIT」の文字は、「合う」、「適する」の意味の他、「体の調子が良い」、「健康な」の語義を有するものとして我が国でもなじまれているといえる(前掲書)。
そして、英単語「FITNESS」にも通じており、取引界においては、「健康」を表すための造語を形成するための接頭語としても使用されている場合も少なくない。
そのため、本件商標からは、「何か、健康に関するもの」のような、漠然とした観念が生じる場合もあるといえる。
そうすると、本件商標と引用商標からは、共に「何か、健康に関するもの」の観念を想起、連想する場合も少なくなく、この点において相紛らわしいといえる。
(3)外観について
本件商標と引用商標は、その構成する文字の前半である「F」、「I」、「T」及び「B」において共通しており、外観上も近似したものとなっている。
(4)まとめ
そこで、異なる時間・場所を想定した離隔観察を行った場合、本件商標と引用商標は、外観、称呼及び観念において相紛らわしいものとなっており、腕時計として利用されることの多い、リストバンド型アクティビティトラッカーや腕時計型携帯情報端末の利用者は、老若男女を含む一般消費者であることから、その注意力は決して高いものではなく、需要者等の通常の注意力のみをもってしては、本件商標と引用商標とを区別することは必ずしも容易ではない。
以上を総合すると、本件商標と引用商標とは、かれこれ紛れるおそれの高い類似の商標である。
3 商標法第4条第1項第11号について
上記詳述したとおり、本件商標は、引用商標と類似する商標である。
また、本件商標の指定商品、第9類の「眼鏡型携帯情報端末,指輪型携帯情報端末,コンピュータソフトウェア用アプリケーション(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),腕時計型携帯情報端末,コンピュータプログラム(記憶されたもの),体重計,体重分析器用はかり,ヘッドホーン,遠隔通信用イヤホン,イヤホン」は、引用商標の、第9類の指定商品と同一又は類似のものである。
よって、本件商標は、引用商標との関係において、商標法第4条第1項第11号に該当する。
4 商標法第4条第1項第15号について
(1)本件商標と引用商標との類似性について
商標法第4条第1項第15号は、同じく混同防止規定の趣旨に出た同項第10号ないし同項第14号の規定と異なり、「類似」を法文上の要件からあえて外すことにより、個別具体的な状況下で出所の混同のおそれがあると認められる商標の登録をより広く排除する趣旨に出たものであるから、同項第15号の該当性を考慮するに当たって「類似性の程度」を他の判断基準よりも過度に重視すべきではない。
つまり、対比される商標が、商標法第4条第1項第11号にいわれる「類似」には該当しないからといって、直ちに同項第15号への該当性が否定されるべきではない。
したがって、商標法第4条第1項第15号は、(1)商標が同一又は類似で、商品又は役務が非類似である場合のみならず、(2)商標が非類似で、商品又は役務が同一又は類似である場合、(3)商標が非類似で商品又は役務が非類似である場合の各類型においても適用され得るものである。
すなわち、たとえ商標法第4条第1項第11号の意味で商標が非類似であっても、引用商標が周知・著名である等のため広義の混同のおそれがある場合に同項第15号に該当することがある(平成12年7月11日最高裁判例に関する「最高裁判所判例解説」法曹時報第54巻第6号187頁)。
以上に述べたところを踏まえて、本件商標と引用商標の類似性の程度を以下のとおり検討する。
上記2で詳述したように、本件商標より生ずる称呼「フィットビーイング」と引用商標から生ずる称呼「フィットビット」は、印象の薄い語尾において、弱い音である「ー(長音)イング」と「ット」という僅かな違いがあるのみであり、むしろ、称呼の識別上重要な要素を占める語頭音において、強く響く音で、アクセントが置かれて明瞭に発音される「フィットビ」を共通にしているので、両者をそれぞれ一連に称呼するときは、その語調、語感が極めて近似したものとなり、互いに聞き誤るおそれがある。
そして、両商標は、いずれもが造語であるところ、「健康な」等のなじまれた観念を有する「FIT」を語頭部に配している関係で、「何か、健康に関するもの」のような、共通した観念が生じる場合も少なくない。
さらに、本件商標は、引用商標との関係においては、語頭部を含む構成文字の大半を共通にしており、外観上も紛れるおそれがある。
よって、本件商標と引用商標の類似性は高いといわなければならない。
(2)引用商標の周知、著名性及び独創性について
引用商標に係る「FITBIT」の文字が、申立人の商標として国際的に著名であり、我が国においても、需要者、取引者間で広く知られるに至っている事実は前述したとおりである(甲6~甲15)。
しかも、引用商標は、その指定商品との関係では、「何か、健康に関するもの」の意味合いを示唆するものであるところ、既成語とは異なり、引用商標のような造語商標は、一般に、高い顕著性を有しているのであり、十分に独創的であるといえる。
(3)本件商標の指定商品と引用商標の指定商品の関連性の程度について
引用商標の指定商品は、各引用商標の指定商品の表示について、それぞれ表現が異なっているものの、おおむね「腕時計型携帯情報端末、歩数計・心拍数・睡眠の質、階段の昇り具合など、人間の活動量をモニタリングし、測定する機能を備えたアクティビティトラッカー、スマートスケール(ワイヤレス対応の体重計、体組成計)、ヘッドホーン、及びそれら装置とともに用いるソフトウェア」であるところ、特に、「リストバンド型アクティビティトラッカーや携帯情報端末」との関係で、引用商標は、周知又は著名なものとなっている。
これに対して、本件商標の指定商品は、「眼鏡型携帯情報端末,指輪型携帯情報端末,コンピュータソフトウェア用アプリケーション(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),腕時計型携帯情報端末,コンピュータプログラム(記憶されたもの),体重計,体重分析器用はかり,ヘッドホーン,遠隔通信用イヤホン,イヤホン」であり、引用商標の指定商品とは全く「同一」の商品といっても過言ではない。
(4)需要者・取引者の共通性その他の取引の実情について
上記1において詳述したように、引用商標に係る「FITBIT」は、腕時計型携帯情報端末、歩数計・心拍数・睡眠の質、階段の昇り具合など、人間の活動量をモニタリングし、測定する機能を備えたアクティビティトラッカー、及びスマートスケール(ワイヤレス対応の体重計、体組成計)、並びにそれら装置とともに用いるソフトウェア、さらに、それらに関連する各種サービスに使用される商標として、我が国を含む世界各国で周知、著名なものとなっている。
申立人の行った調査によれば、本件商標の商標権者(以下「本件商標権者」という。)は、申立人の商品と同じ「腕時計型携帯情報端末、アクティビティトラッカー、それらのソフトウェア」の製造、販売を行っており、腕時計型携帯情報端末、アクティビティトラッカーの機能にとって大変重要な位置を占める「アプリケーションソフトウェア」について本件商標を使用している(甲16)。
すわなち、本件商標権者の取り扱う商品、サービスは、「腕時計型携帯情報端末、アクティビティトラッカー、それらのソフトウェア、それらに関連するサービス」であり、いずれも申立人と申立人関連会社の提供する「腕時計型携帯情報端末、アクティビティトラッカー、それらのソフトウェア、それらに関連するサービス」と競合する商品、役務ばかりであって、完全に同一の商品、役務といっても過言ではない。
そうして、本件商標の取引者・需要者は、紛れもなく、「腕時計型携帯情報端末、アクティビティトラッカー、それらのソフトウェア、それらに関連するサービス」の利用者となり、両商標の取引者・需要者は完全に同じとなる。
このような事情の下、申立人及び申立人関連会社とは何らの経済的・組織的関係を有しない本件商標権者により、申立人及び申立人関連会社の周知著名商標「FITBIT」と相紛らわしい本件商標を用いて、「眼鏡型携帯情報端末,指輪型携帯情報端末,コンピュータソフトウェア用アプリケーション(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),腕時計型携帯情報端末,コンピュータプログラム(記憶されたもの),体重計,体重分析器用はかり,ヘッドホーン,遠隔通信用イヤホン,イヤホン」が提供された場合、あたかも、申立人又は申立人関連会社により提供される上記商品であるかのように、誤認を生じさせるおそれがある。
なお、上記したように、本件商標権者の需要者等は、腕時計として利用されることの多い、リストバンド型アクティビティトラッカーや腕時計型携帯情報端末の利用者は、老若男女を含む一般消費者となり、その注意力の程度は決して高くはない。
(5)まとめ
以上の事情を総合的に勘案すれば、本件商標は、これに接する需要者・取引者に対して、引用商標を連想させて役務の出所について、あたかも、申立人又は申立人と経済的、組織的に関係する者により提供される役務であるかのように誤認を生じさせ、その登録を認めた場合には、引用商標の持つ顧客吸引力へのただ乗り(いわゆるフリーライド)や、その希釈化(いわゆるダイリューション)を招くという結果を免れない。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号にいう「混同を生ずるおそれがある商標」に当たるというべきである。
第4 当審の判断
1 引用商標の周知性について
(1)申立人の主張及び提出された証拠によれば、以下のとおりである。
ア 申立人は、人工知能、オンライン広告、検索エンジン技術、クラウドコンピューティング、コンピュータソフトウェア、量子コンピューティング、電子商取引、家庭用電化製品に重点を置いている米国のテクノロジー企業であり、引用商標に係る「FITBIT」は、ワイヤレス対応の身体装着可能な、最先端の技術を用いた商品、例えば、腕時計型携帯情報端末、歩数計・心拍数・睡眠の質、階段の昇り具合など、人間の活動量をモニタリングし、測定する機能を備えたアクティビティトラッカー、及びスマートスケール(ワイヤレス対応の体重計、体組成計)、並びにそれら装置とともに用いるソフトウェア、さらに、それらに関連する各種サービスに使用される商標である(申立人の主張、甲3)。
イ 2023年12月1日に出力したSBクリエイティブ株式会社の「ビジネス+IT」のウェブサイトによれば、「フィットビットはなぜアップルを上回れたのか?ウェアラブルの隠れた王者の戦略とは」の見出しの下、「米IDCが12月に発表した調査によれば、2015年第3四半期の世界のウェアラブルデバイス市場の出荷台数は2100万台で、シェア1位はフィットビットの470万台となりました(アップル社は2位で390万台)」の記載(甲4)、及び「日刊工業新聞」のウェブサイトによれば、2019年9月12日付けの記事として、「日常の健康状態を手元でスマートに管理する「fitbitフィットビット」。TiCTAC全店にて販売スタート!」の見出しの下、「「fitbit」は、世界規模で集計・蓄積される巨大なデータベースをもとに多様なニーズに応える機能を開発し続けており、販売台数9,000万台、87ヶ国で2,760万人のアクティブユーザーという世界トップのシェアを確立しています。」との記載がある(甲7)。
ウ 「東洋経済オンライン」のウェブサイトにおいて、2019年9月19日付けの記事として、「「Fitbit」はアップルウォッチと何が違うのか」の見出しの下、「腕時計型端末「スマートウォッチ」の品ぞろえが充実してきた。最も有名で売れているのはアメリカのアップルが展開する「アップルウォッチ」だが、女性からじわりと人気を集めているのが同じくアメリカのフィットビットだ。日本ではまだメジャーとはいえないブランドだが、欧米では人気が高く、日本でも9月24日に主力となる新製品を投入し、知名度向上に躍起だ。」の記載がある(甲8)。
エ 申立人は、2021年1月に、フィットビット社を買収した(甲5)。
オ フィットビット社は、2008年以来、ワイヤレス対応の身体装着可能な、最先端の技術を用いた商品、例えば、「腕時計型携帯情報端末」や、「歩数計、心拍数、睡眠の質、階段の昇り具合など、人間の活動量をモニタリングし、測定する機能を備えたアクティビティトラッカー」、「スマートスケール(ワイヤレス対応の体重計、体組成計)」、さらに、それら装置とともに用いるソフトウェアの製造、販売を行ってきたことがうかがわれる(申立人の主張、甲6、甲8~甲12)。
ただし、「2008年」であるかどうかは、提出された証拠からは明らかではない。
カ フィットビット社は、2008年、TechCrunch50で次点に選ばれ、2009年には、アメリカ合衆国ネバダ州ラスベガスで毎年1月に開催される電子機器の業界向け見本市である「CES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)」において、「イノベーション受賞者」と「ヘルス&ウェルネス部門最優秀賞」の両方に選ばれたとされる(申立人の主張)が、それらを裏付ける証拠の提出はない。
キ 2016年、フィットビット社は、その年の最も革新的な米国企業50社中37位にランクインし、また同年、フィットビット社は、コンサルティング会社デロイト社が行ったランキング「Fast500 North America」の46位にランクインしたとされる(申立人の主張)。
もっとも、申立人が挙げる上記数値については、その数値を裏付ける具体的な証拠は提出されていない。
ク フィットビット社の主力製品である腕時計型携帯情報端末、アクティビティトラッカー等の製品は、我が国においては、大手総合小売店(NTTドコモ、丸井、ロフト、コストコ、アマゾン等)や、大手家庭電化用品販売店(ビックカメラ、ヨドバシ、ジョーシン、ケーズデンキ、ヤマダ電機、コジマ、ノジマ、カメラのキタムラ、エディオン等)で取り扱われていることがうかがえる(申立人の主張)。
ケ リストバンド型アクティビティトラッカーや腕時計型携帯情報端末「FITBIT」は、新モデルが発表される度にインターネット記事において紹介され(甲6~甲12)、健康増進、フィットネス、ダイエット等の美容法もインターネットを通じて紹介されている(甲13、甲15)。
(2)判断
以上、上記(1)からすれば、申立人又はフィットビット社の業務に係る商品(腕時計型携帯情報端末、アクティビティトラッカー等の製品)は、我が国において、少なくとも2019年(令和元年)には、製造、販売され、ウェブサイトやウェブ記事で紹介され、宣伝広告されていることがうかがえることから、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、需要者の間にある程度は知られていたといえる。
しかしながら、引用商標を使用した申立人又はフィットビット社の業務に係る商品の我が国における売上高や市場シェア等の販売実績などを裏付ける証拠並びに引用商標に係る広告宣伝の費用、回数及び期間等、その事実を客観的に把握できる具体的な証拠の提出はないから、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人又はフィットビット社の業務に係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標について
本件商標は、上記第1のとおり、「Fitbeing」の文字を標準文字で表した構成からなるものである。
そして、当該文字は、辞書等に載録されている成語ではなく、直ちに何らかの意味合いを理解させるものでもないから、一種の造語として認識されるものである。
そうすると、本件商標は、その構成文字に相応して、「フィットビーイング」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標について
引用商標は、上記第2のとおり、「FITBIT」の欧文字を横書きした構成からなるところ、その構成文字に相応して、「フィットビット」の称呼を生じ、当該文字は、一般の辞書等に載録がない語であることから、特定の観念を生じないものである。
(3)本件商標と引用商標の類否について
ア 外観について
本件商標は、上記(1)のとおりの構成からなり、また、引用商標は、上記(2)のとおりの構成からなるところ、両商標の構成は、本件商標は、大文字と小文字からなるものであって、8文字であるのに対し、引用商標は、大文字のみからなり、6文字である。
さらに、両商標の5音目以降の文字が、本件商標は「eing」、引用商標は「IT」と相違するから、両者の外観は、判然と区別し得るものであり、互いに紛れるおそれはない。
イ 称呼について
本件商標から生じる「フィットビーイング」の称呼と引用商標から生じる「フィットビット」の称呼とは、本件商標が8音、引用商標が6音という音数が相違し、かつ、両者は、語頭を含む前半部における「フィットビ」の音を共通にするものの、その後に続く中間音が「ー」(長音)か、「ッ」(促音)かで相違し、後半部は、本件商標は「イング」、引用商標は「ト」の音の差異があり、8音あるいは6音という比較的少ない音数からなる両商標の称呼において、該差異音の影響は少なくないから、称呼において、相紛れるおそれはないものといえる。
ウ 観念について
本件商標と引用商標は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、両者は、観念上、比較することができない。
エ 小括
以上のとおり、本件商標と引用商標は、観念において比較することができないとしても、外観及び称呼において相紛れるおそれのないものであって、これらを総合して全体的に考察すれば、両商標は非類似の商標であって、別異のものというのが相当である。
その他、本件商標と引用商標とが類似するというべき特段の事情は見いだせない。
上記のとおり、本件商標と引用商標とは、非類似の商標であって、別異の商標というべきものであるから、両商標の指定商品が同一又は類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第15号該当性について
引用商標は、上記1(2)のとおり申立人又はフィットビット社の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものとは認められないものである。
そして、本件商標と引用商標とは、上記2(3)のとおり、相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものであるから、本件商標と引用商標の類似性の程度は高いとはいえない。
そうすると、本件商標の指定商品と申立人又はフィットビット社の業務に係る商品との関連性の程度、需要者の共通性の程度などを併せ考慮しても、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく、その商品が他人(申立人若しくはフィットビット社)又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものといえない。
4 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するとはいえず、他にその登録が同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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2023-900194