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商標異議申立

2023-900169

ナンギンカギ、ピイワイ、アアルワイ

審判番号
2023-900169
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2022-081923
登録番号
6700370
請求日
2023年07月25日
審決日
2023年12月25日
公報発行日
2024年02月22日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】軟銀科技株式会社
  • 【異議申立人】ソフトバンクグループ 株式会社
  • 【異議申立人代理人】弁理士法人酒井国際特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 大橋 良成
  • 審判官 大島 康浩
  • 審判官 小林 裕子
分類
T1651.22 -Y (W35) / T1651.261-Y (W35) / T1651.262-Y (W35) / T1651.263-Y (W35) / T1651.271-Y (W35) / T1651.222-Y (W35) / T1651.18 -Y (W35)
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第3条第1項、商標法第4条第1項第7号、商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第15号、商標法第4条第1項第19号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

登録第6700370号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6700370号商標の商標登録を維持する。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第6700370号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、令和4年7月14日に登録出願、第35類に属する別掲2のとおりの役務を指定役務として、同5年5月8日に登録査定され、同年5月23日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 商標登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件登録異議の申立ての理由において引用する登録第6374234号商標(以下「引用商標」という。)は、「軟銀」の文字を標準文字で表してなり、令和2年2月27日に登録出願、第35類及び第36類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務(別掲3)を指定役務として、同3年4月7日に設定登録されたものである。 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同項第11号、同項第15号、同項第19号に該当し、同法第3条第1項柱書の要件を具備しないものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第42号証(枝番号を含む。)を提出した。 1 申立人のハウスマーク「ソフトバンク」の中国語表記「軟銀」の著名性について 申立人であるソフトバンクグループ株式会社は、1981年にパソコン用パッケージソフトウエアの流通事業会社としてスタートした企業であり(甲3)、現在では国内・海外にグループ企業数1,891社を有する世界的に著名な企業である(甲4)。この著名な「ソフトバンク」というブランド名は、申立人の創業者が創作した造語であり、情報化社会のインフラストラクチャの役割を担う存在になるという決意をこめて、「ソフトウエアの銀行」を意味する社名を付けた(甲5)。 申立人は、世界各国で事業展開しているところ、中国においてこの著名なブランド名「ソフトバンク」は、「軟銀」(繁体字)又は「軟銀」(簡体字)と表記される。現に、申立人は中国において「軟銀」に関する登録商標及び出願中の商標を、101件所有している(甲6)。 また、「軟銀」は中国内でも広く知られており、中国内の裁判においても「軟銀」の著名性が認められている(甲7~甲12)。 さらに、多数ある申立人傘下の企業の1つに、「軟銀科技有限公司」がある(甲13)。同社は2009年に中国遼寧省大連市に設立され、2017年5月から現社名に変更している(甲14)。同社は大連ソフトウェアパークでは、日系企業として最大規模の企業の一つであり(甲15)、日本の需要者にも広く知られている(甲22~甲28)。 2 本件商標の商標法第4条第1項第7号該当性について 申立人のブランド名である「ソフトバンク」は、創業者が起業時に創作した造語であり、その中国語表記「軟銀」は中国内において著名であるうえ、「軟銀科技」は中国内に現存する申立人傘下の著名な企業名である(甲3~甲6、甲13~甲15)。中国における訴訟の経緯等を勘案すれば、被申立人は、軟銀」及び「軟銀科技」の存在を知った上で、更に申立人が日本でも商標「軟銀」を登録しているにもかかわらず、「軟銀科技」を含む本件商標を、剽窃的に出願したものと推認できるものである(甲7~甲12、甲16~甲20)。 このような行為に係る本件商標は、出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして、取り消されるべきものである。 また、このような商標の登録を認めることは、申立人と相紛らわしい社名を持つ被申立人が、日本に登録商標を持っていることを宣伝文句にして、中国で著名な「軟銀」の名声に便乗して活動することを認めることと同義である。特に、申立人の本社は日本に所在し、申立人傘下の「軟銀科技有限公司」が中国に現存していることに鑑みれば、被申立人の「軟銀科技株式会社」が本件商標を使用すれば、日本にいる中国人や中国内の需要者が、申立人と何らかの関係のある企業であると誤認混同することに疑いの余地はない。従って、本件商標は、国際信義に反するものとして、取り消されるべきものである。 3 商標法第4条第1項第11号該当性について 本件商標の要部は漢字で「軟銀」と書したものであるのに対し、引用商標も漢字の標準文字で「軟銀」と書したものである。文字態様において多少の差異はあるものの、いずれも外観において近似した印象を与えるものである。また、本件商標の要部も引用商標も、同一の称呼「ナンギン」を生じ、かつ、いずれも申立人の著名なブランド名「ソフトバンク」の観念を生じる。 よって、両商標は類似であるといえる。 また、本件商標が指定する役務の一部は、本件商標の指定する役務に類似するものである。 以上のことから、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するため、取り消されるべきものである。 4 商標法第4条第1項第15号該当性について 申立人の傘下企業である「軟銀科技有限公司」の名称は、相当数の日本人が知っていることは容易に推認される(甲13~甲15、甲22~甲28)。申立人は国内・海外にグループ企業1,891社を有する世界的に著名な企業であり、「軟銀科技有限公司」はそのグループ企業の1つである。これらグループ企業の中には、本件商標が指定している役務と類似する広告業や小売等の役務を提供している企業も多くある(甲29~甲37)。 そうすると、本件商標をその指定役務に使用されたとき、需要者は、申立人の「軟銀」及び「ソフトバンク」を連想、想起し、本件商標を使用した役務が、申立人と経済的・組織的に何らかの関係がある者の業務に係る役務であるかの如く、その役務の出所について混同を生ずるおそれがあるといわざるを得ない。 以上のことから、本件商標は申立人傘下の企業名「軟銀科技有限公司」及び申立人の中国語名の要部「軟銀」と混同を生ずるおそれがあるため、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当し、取り消されるべきである。 5 商標法第4条第1項第19号該当性について 申立人の著名な中国語のブランド名「軟銀」及び申立人傘下企業名「軟銀科技」を、当初中国に住所を置いていた被申立人の代表取締役「沈衛国」氏(甲19、甲20)が知らずに、本件商標を出願したとは考え難い。 被申立人による本件商標の出願及び登録は、中国で著名な「軟銀」及び「軟銀科技」の顧客吸引力を利用して、自己の事業の収益を図るためにされたものであるのみならず、申立人の名声を毀損させることをも念頭に置いてされたものであると推認できる。 以上のことから、申立人の役務を表示するものとして、外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の本件商標を、不正の目的をもって使用するものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当するため、取り消されるべきである。 6 商標法第3条第1項柱書違反について 被申立人の会社の実態はおろか、本件商標を使用している形跡もない(甲39~甲41)。また、被申立人が本件商標の出願審査において提出した事業予定に沿った活動も確認できない(甲42)。 従って、被申立人にはそもそも「自己の業務に係る商品又は役務」が存在しておらず、申立人の名声にただ乗りしたりする以外に、本件商標を使用する意思はないことは明らかである。 以上のことから、本件商標は、商標法第3条第1項柱書に違反するため、取り消されるべきである。 第4 当審の判断 1 申立人引用商標の著名性について (1)申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、次のとおりである。 ア 申立人の提出に係る甲第3号証及び甲第4号証によれば、1981年9月、株式会社日本ソフトバンクを設立し、パソコン用パッケージソフトの流通事業を開始する。そして、2023年3月末には、申立人のグループ企業(子会社、関連会社、共同支配企業数)は、1,891社となっている。 イ 申立人は、中国において「軟銀」(繁体字)又は「軟銀」(簡体字)の文字からなる登録商標及び出願中の商標を、101件所有している(甲6)。 ウ 申立人は、中国において商標権侵害及び不正競争の紛争に係る裁判を行い、申立人が所有する登録商標が比較的に高い知名度と影響力があると判示されている(甲7~甲12)。 エ 申立人の中国におけるグループ企業「軟銀科技有限公司」(第13)は、大連ソフトウェアパークにおいて、日系企業として最大規模の企業の一つであり(甲15)、2018年12月3日付けのJETRO地域・分析レポートによれば、大連市は、世界都市別日系企業数において世界第3位の日系企業拠点数となっている(甲22)。また、大連市を訪れる日本人観光客・出張者などの短期滞在者は、コロナ禍による入国制限以前は年間延べ約33万人(中国側統計)であった(甲23)。 さらに大連市において、「コンシェルジュ大連」という日本人向けのフリーマガジンが発行されており、当該雑誌の表紙見開きページに、「軟銀科技有限公司」は広告を出稿している(甲24)。 オ 申立人は、2017年から毎年、大連市より「アウトソーシングサービス企業トップ10」認定(2017年度から2019年度)、「アウトソーシングサービス企業ベスト10」認定(2020年度)、「デジタルサービス企業ベスト10」認定(2021年度)及び「オフショア・アウトソーシング優秀企業」認定(2022年度)を取得していることから、当地では業界をリードしている著名企業の1つとなっている(甲25~甲28)。 (2)判断 ア 上記(1)の事実によれば、申立人の引用商標である「軟銀」の文字について、提出された証拠において使用されていることが明確に確認できるものは、申立人のグループ企業の1つである「福岡ソフトバンクホークス」の中国語ウェブサイト(甲33の2)のみであって、それ以外は、申立人の中国におけるグループ企業「軟銀科技有限公司」のホームページにおける「軟銀」(簡体字)の文字(甲13~甲15)や、企業名称としての「軟銀科技有限公司」一連の使用である。 そして、上記「福岡ソフトバンクホークス」の中国語ウェブサイトにしても、引用商標がいつから使用され、どの程度の者の目にとまったのかが明らかではなく、中国語の「軟銀」(簡体字)の文字や企業名称について、需要者が当該文字を申立人の商標として把握しているか確認できない。 イ また、申立人が中国において「軟銀」の文字についての商標登録を、出願中の案件も含め101件(甲6)所有していること、また、中国において商標権侵害及び不正競争の紛争に係る裁判を行い、申立人が所有する登録商標が比較的に高い知名度と影響力があると判示されていること(甲7~甲12)については、申立人の引用商標及びその業務に係る役務との関係において、我が国及び中国における周知性の度合いを客観的に判断し得る証拠(例えば、役務の提供実績、市場占有率、広告宣伝費等)は確認できないことから、これらの事実のみをもって、引用商標についての需要者の認識の程度を把握することができない。 ウ なお、大連市における日本人向けのフリーマガジン「コンシェルジュ大連」に広告を出稿している(甲24)と主張する点については、その表紙見開きページに、「Softbank Solutions China」の文字の下部に「軟銀科技有限公司」の文字及び当該企業の住所、URL等が記載されているところ、構成中の「軟銀」の文字部分が自他役務の識別性を強く認識させる構成態様とはいえず、中国の一企業名と理解されるものとみるのが相当である。加えて、申立人による当該役務についての我が国及び中国における広告宣伝の回数やその費用など、周知・著名性を数量的に判断するための具体的な証拠は提出されておらず、それがどの程度の数の需要者の目に触れたのかなど不明であることから周知性について認めることができない。 エ 申立人の中国におけるグループ企業が大連市において著名な企業の1つとなっている(甲25~甲28)と主張する点については、著名な企業であることが申立人の引用商標の周知性を判断するにあたり考慮要件の1つであるとしても、申立人の引用商標がその指定役務に使用され、それが役務の提供実績や市場占有率などを含め周知性を認めるための証拠が立証されることにより判断することとなるため、大連市において著名な企業であるからといって、引用商標が周知性を得ていると認めることはできない。 オ そうすると、申立人の提出に係る証拠によっては、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る役務を表示するものとして、我が国及び外国の需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。 2 商標法第4条第1項第11号該当性について (1)本件商標 本件商標は、別掲1のとおり、赤色の太字で表された「P」と「y」の欧文字を組み合わせたモノグラム(以下「モノグラム」という。)とおぼしき図形を大きく配し、その図形の下部にやや小さく「軟銀科技」の文字を書してなるところ、当該モノグラムと「軟銀科技」の文字部分とは、視覚的に分離して看取され、それぞれが自他役務の識別標識として機能するというべきである。 また、構成中のモノグラムは、直ちに特定の略語等を表したものとはいえないことから、特定の称呼及び観念は生じないものである。 そして、構成中の「軟銀科技」の文字部分については、その構成全体をもって特定の意味を有しない一種の造語として認識し把握されるとみるのが自然であるから、その構成文字に相応して「ナンギンカギ」の称呼が生ずるというのが相当であり、これより特定の観念は生じないものである。 (2)引用商標 引用商標は、上記第2のとおり、「軟銀」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字に相応して「ナンギン」の称呼を生じ、観念については、該文字から特定の意味を有しない一種の造語とみるのが相当であるから、これより特定の観念は生じないものである。 (3)本件商標と引用商標の類否について 本件商標の文字部分と引用商標を比較すると、外観については、両者とも「軟銀」の文字を共通にするが、本件商標の文字部分「科技」の有無の差異が生じるものであるから、外観上、明確に区別し得るものである。 次に称呼については、本件商標の文字部分から生じる「ナンギンカギ」の称呼と引用商標から生じる「ナンギン」の称呼は、「ナンギン」の音を共通にしているとしても、後半において「カギ」の音の有無に顕著な差異があるため、構成音及び構成音数の差異により、称呼上、明確に区別し得るものである。 さらに、観念については、本件商標及び引用商標は、共に特定の観念を有しない造語であるから、観念において比較することができない。 そうすると、本件商標は、観念において比較することができないとしても、外観及び称呼において相紛れるおそれがなく、両者の外観、観念、称呼によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標である。 その他、本件商標と引用商標とが類似するというべき事情は見いだせない。 したがって、本件商標の指定役務と引用商標の指定役務とが類似するものであるとしても、本件商標と引用商標は、非類似の商標であるから商標法第4条第1項第11号に該当しない。 3 商標法第4条第1項第15号該当性について 上記1(1)のとおり、申立人は国内・海外にグループ企業1,891社を有する世界的に著名な企業であり、申立人の中国におけるグループ企業である「軟銀科技有限公司」が大連市ソフトウェアパークにおいて、日系企業として最大規模の企業の一つであるとしても、引用商標が、申立人の業務に係る役務を表示するものとして、我が国及び外国の需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。 そして、上記2のとおり、本件商標は、引用商標とは非類似の商標であり、別異の商標と認められるというのが相当である。 そうすると、本件商標に係る指定役務の取引者、需要者において普通に払われる注意力を基準として、総合的に判断すれば、本件商標権者が、本件商標をその指定役務について使用をしても、これに接する取引者、需要者をして、引用商標を連想、想起することはなく、その役務が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の取扱いに係る役務であるかのように、その役務の出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。 その他、本件商標が引用商標と出所の混同を生ずるおそれがあるというべき事情は見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 4 商標法第4条第1項第19号該当性について 上記1(1)のとおり、申立人は国内・海外にグループ企業1,891社を有する世界的に著名な企業であり、申立人の中国におけるグループ企業である「軟銀科技有限公司」が大連市ソフトウェアパークにおいて、日系企業として最大規模の企業の一つであるとしても、引用商標は、申立人の業務に係る役務を表示するものとして、我が国及び外国の需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。 そして、上記2のとおり、本件商標は、引用商標等とは相紛れるおそれのない非類似の商標であって、引用商標を連想又は想起させることのないものである。 また、申立人は、「本件商標権者が申立人の著名な中国語のブランド名「軟銀」及び申立人の中国におけるグループ企業「軟銀科技」が中国にあること、さらに、上記1(1)ウの中国における訴訟の経緯を知っていたと思われる本件商標権者の代表取締役が知らずに、本件商標を出願したとは考え難い」と主張する点については、具体的に、本件商標権者が申立人の事業の遂行を妨害するなど、本件商標権者が不正の目的をもって本件商標を使用するものと認めるに足りる具体的事実は見いだせない。 そうすると、本件商標は、引用商標等の信用、名声等を毀損するなど不正の目的をもって使用をするものと認めることはできない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。 5 商標法第4条第1項第7号該当性について 上記3のとおり、本件商標は、引用商標と相紛れるおそれのない非類似の商標であって、引用商標を連想又は想起させるものでもない。 また、上記4のとおり、本件商標は、不正の目的をもって使用するものと認めることはできないものである。 そして、本件商標は、その構成自体が、非道徳的、きょう激、卑わい、差別的又は他人に不快な印象を与えるようなものではなく、その構成自体がそのようなものではなくとも、それを指定役務に使用することが社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反するものともいえない。 その他、本件商標が公の秩序又は善良の風俗を害するおそれのある商標であると認めるに足りる事情は見いだせない。 そうすると、本件商標は、その登録を維持することが商標法の予定する秩序に反し、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれのある商標に該当するとはいえないものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。 6 商標法第3条第1項柱書該当性について 商標法第3条第1項柱書にいう「自己の業務に係る商品又は役務について使用する」とは、現に行っている業務に係る商品又は役務について、現に使用している場合に限らず、将来行う意思がある業務に係る商品又は役務について将来使用する意思を有する場合も含むと解されることから、仮に、本件商標権者が、現在、本件商標の指定役務に係る業務を行っていないとしても、当該業務を将来行う意思があれば足りるといえる。 そこで、本件商標についてみると、たとえ、上記第3の6のとおり、本件商標権者の会社の実態はおろか、本件商標を使用している事実は確認することができないとしても、本件商標権者が、本件商標について、将来使用する意思及び予定がなかったということはできない。 したがって、本件商標が商標法第3条第1項柱書の要件を具備しないということはできない。 7 まとめ 以上のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項柱書の要件を具備しないということはできず、また、同法第4条第1項第7号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも該当するものではないから、その登録は、同条第1項の規定に違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。

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2023-900169

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