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商標異議申立

2023-900160

オリエントジャパン、オリエント

審判番号
2023-900160
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2022-062656
登録番号
6693329
請求日
2023年07月07日
審決日
2024年02月08日
公報発行日
2024年03月29日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】ORIENT JAPAN株式会社
  • 【異議申立人】タヤス ギダ サナイ ヴェ ティカレ アノニム シルケティ
  • 【異議申立人代理人】弁理士法人三枝国際特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 大森 友子
  • 審判官 小俣 克巳
  • 審判官 石塚 利恵
分類
T1652.25 -Y (W30) / T1652.271-Y (W30)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法4条1項10号商標法4条1項15号商標法43条の3第4項
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第10号、商標法第4条第1項第15号
データ出所
審決公報(XML)

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登録第6693329号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6693329号商標の商標登録を維持する。

理由

理 由 1 本件商標 本件登録第6693329号商標(以下「本件商標」という。)は、「ORIENT JAPAN」の欧文字を書してなり、令和4年5月19日に登録出願、第30類「アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,ホイップクリーム用安定剤,食品香料(精油のものを除く。),茶,ココア,氷,菓子(果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものを除く。),パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,みそ,ウースターソース,グレービーソース,ケチャップソース,しょうゆ,食酢,酢の素,そばつゆ,ドレッシング,ホワイトソース,マヨネーズソース,焼肉のたれ,角砂糖,果糖,氷砂糖(調味料),砂糖,麦芽糖,はちみつ,ぶどう糖,粉末あめ,水あめ(調味料),ごま塩,食塩,すりごま,セロリーソルト,うま味調味料,香辛料,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,コーヒー豆,穀物の加工品,チョコレートスプレッド,ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,弁当,ラビオリ,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,即席菓子のもと,パスタソース,食用酒かす,米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦」並びに、第3類、第5類、第10類、第25類及び第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同年12月19日に登録査定、同5年4月26日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する米国登録第88409159号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、2019年(平成31年)4月30日に米国出願し、第30類「Biscuits; Chocolate; Crackers; Wafers; Crystal sugar pieces.(ビスケット,チョコレート,クラッカー,ウエハース,氷砂糖(菓子))」を指定商品として、2020年(令和2年)12月1日に米国登録されたとされるものである。 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標はその指定商品及び指定役務中、第30類「全指定商品」(以下「申立てに係る商品」という。)について商標法第4条第1項第10号及び同項第15号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第7号証(枝番号を含む。以下、枝番号のすべてを示すときは、枝番号を省略する。)を提出した。 (1)引用商標 引用商標は、「東洋」を意味する英語「Orient」をデザイン化したものであって、その構成文字に相応して「オリエント」との称呼が生じ、「東洋」の意味合いが生じる。 申立人は、1965年創業のトルコを代表する老舗菓子メーカーであって、引用商標は、申立人のチョコレートを表すブランドロゴとして我が国の取引需要者の間で広く知られている。 申立人は、現在、1200人以上の従業員を擁しており、日本を含む世界136か国に商品を輸出している(甲1)。トルコ輸出業者会議(TIM)が作成する輸出国が多いトルコ企業ランキングでは毎年5位又は6位にランクインしており、今日におけるトルコ及び世界の最も重要な菓子・チョコレートメーカーの一つとなっている(甲1)。 日本では、「ISM Japan/国際菓子専門見本市」といった国際的な菓子見本市に出展するなど積極的なプロモーション活動を行い、販売代理店を通じて商品を販売している(甲2、甲3)。そして、申立人は、2006年から今日に至るまで15年以上にわたり、「Orient」のブランド名のチョコレート(以下「本件商品」という場合がある。)を製造販売しており、本件商品は国際市場で注目されるロングセラー商品となっている。 また、引用商標は、本件商品の代表的なブランドロゴであり、商品のパッケージやカタログなどの目立つ位置に表示されている(甲4)。 日本では、遅くとも2017年1月から今日に至るまで6年以上にわたって本件商品は販売されており、その美味しさとリーズナブルな価格によって人気を博し、引用商標と共に第三者のインターネットサイトで紹介されている(甲5)。一部の本件商品の請求書から明らかなとおり、日本の販売店への輸出額は、2019年7月から2022年10月までの約3年間で少なくとも約3180万円にも上る(甲7)。そのため、引用商標は、遅くとも本件商標の登録出願時において、我が国の取引需要者の間において申立人のチョコレートを表す商標として広く知られていたと考えられる。 (2)本件商標 本件商標は、「東洋」を意味する英語「ORIENT」と「日本」を意味する英語「JAPAN」の組み合わせで構成されている。ここで、「JAPAN」の英語は、我が国で広く使用されており、特に菓子などの食品を取り扱う業界においては、商品の産地や販売地を表示するものとして一般に使用されている(甲6)。 そうすると、食品である本件の指定商品との関係において、本件商標の構成中「JAPAN」の文字部分は単に商品の産地や販売地を表すものと認識されるに留まり、商品の出所識別標識とは認識されない。 他方、本件商標の構成中「ORIENT」の文字部分は、「東洋」の意味合いで理解される場合があるとしても、東洋の具体的な場所を一義的に把握できず、かつ、我が国において商品の産地や販売地を表示するものとして一般に使用されていない。そのため、本件の指定商品との関係において、「ORIENT」の文字部分は、商品の特定の内容を想起させず、商品の出所識別標識として十分に機能する。その結果、本件商標の構成において、「JAPAN」の文字が識別力を有しない一方、「ORIENT」の文字が識別力を発揮するため、「ORIENT」の文字部分が取引需要者に対して強い訴求力を有し、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与える。 よって、最高裁判決(つつみのおひなっこや事件)などの判旨に照らし、本件商標では、「ORIENT」の文字部分が要部となり、その構成文字に相応して、引用商標と同様に「オリエント」の称呼及び「東洋」の観念が生じる。 (3)本件商標と引用商標の類否 本件商標の要部「ORIENT」と引用商標は、ともに「ORIENT」の構成文字からなり、書体に違いがあるものの、我が国では文字の書体をデザイン化して表記することが一般的に行われているため、取引需要者に同一の出所表示として認識されると考えられる。 よって、本件商標と引用商標は外観において類似する。また、本件商標の要部と引用商標は「オリエント」の称呼及び「東洋」の観念が共通する。 そうすると、本件商標と引用商標は、外観において類似し、称呼及び観念を共通にすることから、両商標の外観、称呼及び観念によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両商標が商品の出所について誤認混同を生ずるおそれがある類似の商標であることは明らかである。 (4)商標法第4条第1項第10号 引用商標は、本件商標の登録出願時において、我が国における取引需要者の間で、少なくとも「チョコレート」についての申立人の商標として広く知られていたと考えられ、本件商標と引用商標は互いに類似する。 また、本件商標の指定商品中、第30類「菓子(果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものを除く。),パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ」は、申立人の使用に係る商品「チョコレート」と類似群コード(30A01)が共通し、同一又は類似である。 したがって、本件商標は、その登録出願時において、我が国で周知の引用商標と同一又は類似する商標であって、その指定商品も申立人の業務に係る商品と同一又は類似するものであるため、商標法第4条第1項第10号に該当する。 (5)商標法第4条第1項第15号 上述のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時において、我が国における取引需要者の間で、少なくとも「チョコレート」についての申立人の商標として広く知られていたと考えられ、本件商標は、引用商標と類似である。また、引用商標を構成する「Orient」の文字は、申立人が本件商品のために独自に採択した言葉であり、食品を取り扱う分野において一般に採択されている言葉ではない。そのため、「Orient」の文字が造語でないとしても、本件商標の指定商品との関係では造語と同等の特異な印象を取引需要者に抱かせるものである。さらに、申立人は、チョコレート以外の菓子も提供しており、本件商標の指定商品は、申立人が取り扱う菓子と同じ食品の部類に属し、商品の取引需要者が一致する。 これらのことを考えると、本件商標の登録出願時において、本件商標権者によって本件商標が使用された場合には、その商品に接する取引需要者は、取引上要求される一般的な注意をもってしても、その商品が申立人の商品であるとか、申立人と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であると誤認し、商品の出所について混同を生ずる可能性は十分に予想され、需要者がその出所について混同を生じることは明らかである。 したがって、本件商標は、本件商標の登録出願時において、申立人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがあり、商標法第4条第1項第15号に該当する。 3 当審の判断 (1)商標法第商標法第4条第1項第10号該当性 ア 引用商標の周知性について 申立人の主張及び提出された証拠によれば、以下のとおりである。 (ア)申立人は、1965年にトルコで創業し、日本を含む世界136カ国に商品を輸出しており、トルコ輸出業者会議(TIM)が作成する輸出国が多いトルコ企業ランキングでは、毎年5位又は6位にランクインする菓子・チョコレートメーカーである(甲1)。 (イ)「www.yodobashi.com」のURLに係るウェブサイトには、引用商標が商品の包装容器に付された「タヤス オリエントチョコアソート250g」について、販売開始日:2019年12月27日(販売終了商品)と記載されている(甲3の1)。また、同商品について、2019年12月18日に「www.facebook.com」のURLに係るウェブサイトの「SJ KOBE」のページに掲載(甲3の2)、2017年1月9日に「wshinchan-next.blog.jp」のURLに係るブログに掲載されている(甲5)。 それ以外のインターネット記事は、掲載日が不明である(甲3の3~甲3の5、甲4) (ウ)申立人は、「ISM Japan 2023」に出展したとされるが、当該展示会は、2023年4月12日ないし同月14日に開催されたものであって(職権調査)、当該日付は、本件商標の登録出願及び登録査定後であり、また、当該展示会における具体的な商標の使用は確認できない(甲2)。 (エ)申立人は、日本の販売店への輸出額は、2019年7月から2022年10月までの約3年間で少なくとも約3180万円である(甲7)と主張しているが、我が国におけるチョコレートに関する売上高、市場シェアは不明である。 (オ)上記(ア)ないし(エ)によれば、引用商標は、我が国において、遅くとも2019年頃には、申立人の製造に係るチョコレートに付され、当該チョコレートは、我が国に輸入され、通信販売されていたことがうかがえるとしても、当該商品についての我が国における広告の範囲・方法、売上額、市場シェア等の具体的な証拠の提出がないことから、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品(チョコレート)を表示するものとして我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたとは認めることができないというべきである。 イ 小括 以上のとおり、引用商標は我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたとは認めることができないから、他の要件を判断するまでもなく、本件商標は、商標法第4条第1項第10号を適用するための要件を欠くものといわざるを得ない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。 (2)商標法第4条第1項第15号該当性 ア 引用商標の周知性 上記(1)ア(オ)のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたとは認められないものである。 イ 引用商標の独創性の程度について 引用商標は、別掲のとおり、筆記体で表した「Orient」の文字よりなるところ、該「Orient」の文字は、我が国では「東洋」を意味する英単語(広辞苑第7版 株式会社岩波書店)として広く知られている成語であることからすれば、独創性の程度は低いものといえる。 ウ 本件商標の申立てに係る商品と申立人の業務に係る商品の関連性及び需要者の共通性 本件商標の申立てに係る商品中「菓子(果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものを除く。)」と「申立人の業務に係る商品(チョコレート)」は、ともに菓子であることから、商品の関連性は高く、その需要者も共通にするものである。 エ 出所の混同のおそれ 引用商標は、上記アのとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたとは認められないものであって、周知性を備えていないものであり、その独創性の程度は低いものといえるものであるから、たとえ、本件商標の申立てに係る商品に申立人の業務に係る商品と商品の関連性が高く、その需要者も共通にする商品が含まれているとしても、本件商標と引用商標の類似性の程度に関わらず、本件商標に接する取引者、需要者が一般的に申立人の業務に係る引用商標を連想、想起するものということはできない。 そうすると、本件商標は、商標権者がこれを申立てに係る商品について使用しても、取引者、需要者が、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であると誤認し、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものである。 その他、本件商標について、出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 (3)むすび 以上のとおり、本件商標は、申立てに係る商品について、商標法第4条第1項第10号及び同項第15号に該当するとはいえず、他に同法の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。

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