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商標異議申立

2023-900156

ブイエスヘッド

審判番号
2023-900156
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2022-132761
登録番号
6693211
請求日
2023年07月03日
審決日
2024年01月30日
公報発行日
2024年03月29日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】株式会社ハヤブサ
  • 【権利者代理人】渥美 元幸
  • 【異議申立人】ヘッド、テクノロジー、ゲゼルシャフト、ミット、ベシュレンクテル、ハフツング
  • 【異議申立人代理人】水野 勝文
  • 【異議申立人代理人】和田 光子
  • 【異議申立人代理人】保崎 明弘
  • 【異議申立人代理人】鈴木 亜美
  • 【異議申立人代理人】竹山 尚治
審判長/審判官
  • 審判長 豊田 純一
  • 審判官 小田 昌子
  • 審判官 馬場 秀敏
分類
T1651.261-Y (W28) / T1651.262-Y (W28) / T1651.263-Y (W28) / T1651.271-Y (W28) / T1651.222-Y (W28) / T1651.23 -Y (W28)
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第15号、商標法第4条第1項第19号、商標法第4条第1項第8号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

登録第6693211号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6693211号商標の商標登録を維持する。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第6693211号商標(以下「本件商標」という。)は、「VSヘッド」の文字を標準文字で表してなり、令和4年11月21日に登録出願、第28類「釣り具」を指定商品として、同5年3月31日に登録査定され、同年4月25日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 1 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由として、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する登録商標は、以下の(1)及び(2)のとおりであり、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。 (1)登録第1070887号の1商標(以下「引用商標1」という。)は、「HEAD」の欧文字を横書きしてなり、昭和42年5月29日に登録出願、第24類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同49年6月10日に設定登録され、その後、平成17年3月2日に指定商品を第25類「運動用特殊衣服,運動用特殊靴」及び第28類「運動用具,釣り具」とする指定商品の書換登録がされ、同年7月15日に、指定商品中の「スキー競技用・スノーボード競技用・水泳競技用及びゴルフ競技用の運動用特殊衣服」については、登録第1070887号の2へ分割されている。 (2)登録第5555002号商標(以下「引用商標2」という。)は、「HEAD Japan」の文字を標準文字で表してなり、平成24年2月21日に登録出願、第28類「スキーワックス,運動用具,釣り具」、第9類、第18類及び第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成25年2月8日に設定登録されたものである。 なお、以下引用商標1及び引用商標2をまとめていう場合は、「11号引用商標」という。 2 申立人が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において、本件商標が商標法第4条第1項第15号及び同項第19号商標に該当するとして引用する商標は、「HEAD」の欧文字よりなる商標(以下「使用商標」という。)であり、同人が長年にわたり、継続的にスキー用具、スノーボード用品、テニス用品、その他運動用バッグ、ウェア、アクセサリー等について使用して需要者の間に広く知られていると主張するものである。 なお、以下、11号引用商標と使用商標をまとめていう場合は、「申立人商標」という。 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号、同項第19号及び同項第8号の規定に違反して登録されたものであるから、その登録は、同法第43条の2第1号の規定により、取り消されるべきものである旨申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第197号証(甲第135号証ないし甲第142号証は欠番。)を提出した(以下、甲号証の証拠については、甲1、甲2のように表示する。)。 1 商標法第4条第1項第11号に該当する点について (1)本件商標は、欧文字と片仮名という文字種の異なる文字の組み合わせよりなるところ、欧文字2文字は商品の品番、型番などとして判断されるものであり、この部分には特徴を認められないから、本件商標は「品番VSのヘッド」と認識される。 そのため、本件商標の要部は「ヘッド」の片仮名であり、「VSヘッド」全体のみならず、識別力のない部分を捨象した「ヘッド」の片仮名のみも自然に認識され、取引されるものである。 よって、本件商標は、「ブイエスヘッド」の称呼のほか、「ヘッド」の称呼が生じる。 観念については、「VS型の頭」や、「VS型の申立人の著名商標(HEAD)」が生じる。 (2)引用商標1は、「HEAD」の欧文字を横書きしてなる商標である。 引用商標2は、「HEAD Japan」の文字を標準文字で表してなる商標である。 引用商標2の構成中の「HEAD」の文字は、申立人の著名商標である一方、「Japan」の文字よりは「日本」や「日本法人」ほどの意味合いを看取させるにすぎず、その識別力は極めて弱いものであり、また、「HEAD」の文字及び「Japan」の文字は、分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものではないから、引用商標2の要部は「HEAD」の文字である。 そのため、11号引用商標は、「ヘッド」の称呼、「頭」及び「申立人の著名商標(HEAD)」の観念が生じる。 (3)申立人は、オーストリア国ケンネルバッハに本社を置くオーストリア法人であり、1950年の創業以来、スキー用具、スノーボード用品、テニス用品、その他運動用バッグ、ウェア、アクセサリー等を世界中で販売し(甲5、甲6)、使用商標を、これら多岐にわたる商品に大々的に使用してきた。これにより、使用商標は申立人を直接的に表す一流スポーツブランドとして世界的に著名となり、高い信頼と名声を獲得し、世界中の人々に支持されてきた。 そうすると、本件商標の後半に位置する「ヘッド」の片仮名は、一般的には英語「HEAD」に該当する片仮名表記であって、「頭」の観念を有するが、申立人の出所を示す著名商標としても、これに接する取引者・需要者に認識されるものである。 したがって、本件商標の構成中「ヘッド」の片仮名が、取引者・需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えることは明らかである。 さらに、本件商標の前半に位置する「VS」の欧文字は、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章に該当し、さらに実際に本件商標の指定商品「釣り具」の属する業界においても品番記号として一般的に使用されているから(甲10~甲15)、本件商標は、「ヘッド」の片仮名のみが分離されるものである。 以上のとおり、本件商標の構成中の「ヘッド」の片仮名は、指定商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものであり、その構成中の「VS」の欧文字は本件商標に係る指定商品との関係において単に品番記号と捉えられ識別力を有しないものであるから、出所識別標識としての称呼、観念は生じないものである。 したがって、本件商標は、その構中の「ヘッド」の片仮名を本件商標の要部として抽出し、当該文字のみを引用商標と比較して商標そのものの類否が判断されるものである。 そうすると、本件商標は、構成全体より生じる「ブイエスヘッド」の称呼のほか、本件商標の要部である「ヘッド」の片仮名より、「ヘッド」の称呼、「頭」及び「申立人の著名商標」の観念が生じるものである。 一方、11号引用商標は、いずれもその文字に相応した「ヘッド」の称呼、「頭」及び「申立人の著名商標」の観念が生じるものである。 本件商標の要部である「ヘッド」の片仮名と11号引用商標を対比すると、称呼及び観念については、「ヘッド」の称呼、「頭」及び「申立人の著名商標」の観念を共通にする。 外観については、両者は欧文字と片仮名の相違はあるものの、本件商標は平易な英語「HEAD」を片仮名で表示したにすぎないから、その外観の相違が与える印象の差はほぼないといえる。 そして、本件商標の構成中の「VS」の欧文字は商品の品番記号等として一般的に、また本件商標の指定商品の業界において使用されていることなどを総合的に勘案し、時と場所を異にして指定商品の需要者が通常有する注意力を基準として判断すれば、本件商標と11号引用商標は相紛れるおそれの高い類似の商標である。 また、本件商標の指定商品である第28類「釣り具」は、引用商標1に係る指定商品中、第28類「釣り具」、引用商標2に係る指定商品中、第28類「釣り具」と同一の商品である。 以上のことから、本件商標と11号引用商標は、類似すると判断されるべきである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 2 商標法第4条第1項第15号に該当する点について 仮に、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当しないとしても、以下の理由により、同項第15号に該当するものである。 (1)申立人は、使用商標を長年にわたり継続的にスキー用具、スノーボード用品、テニス用品、その他運動用バッグ、ウェア、アクセサリー等について使用しており、使用商標は申立人を直接的に表す一流スポーツブランドとして世界的に著名となり、高い信頼と名声を獲得し、世界中の人々に支持されてきた(甲18~甲192)。 (2)全世界におけるHEADブランドの商品の売上げは、過去3年間、毎年350億円以上あり、2020年は約372億円、2021年は約443億円、2022年は約648億円である。 また、申立人はこれらの売上の10%以上を広告宣伝に費やしており、我が国においても、HEADブランドの商品の売上は毎年20億円以上あり、2021年は約21億円、2022年は約27億円以上であり、我が国における広告宣伝に毎年平均1億円程度費やしている。 さらに、2022年テニスラケットのヨーロッパにおけるマーケットシェアは第2位、約30%であり、我が国においては第5位、約13.1%である(甲193)。 2022年スキー板のヨーロッパにおけるマーケットシェアは第2位、約19%であり、我が国においては第3位、約8.3%を誇る(甲194)。 したがって、使用商標は申立人の業務に係るスポーツ用品や被服、履物等に関する出所識別標識として、本件商標の登録出願時及び登録査定時において著名であり、その著名性の程度は極めて高いものである。 (3)上記1のとおり、11号引用商標と本件商標は類似するものであるから、これと同様に、使用商標と本件商標は類似するものである。 そうすると、申立人と何ら関係のない本件商標の権利者(以下「商標権者」という。)等が、本件商標をその指定商品について使用すると、申立人の業務に係る商品と混同され、その出所につき誤認されるおそれがあることは明白である。 以上のことを総合的に勘案すれば、仮に本件商標と使用商標が類似しないとしても、申立人と何ら関係のない商標権者等が本件商標を、その指定商品について使用するときは、あたかも申立人の系列会社等の緊密な営業上の関係にある営業主の業務に係る商品であると、取引者、需要者に誤信されるおそれが多分に存するものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 3 商標法第4条第1項第19号に該当する点について 使用商標が我が国及び外国における需要者の間に広く認識されており(甲18~甲194)、また、本件商標と使用商標が類似する商標であり、加えて、商標権者は、不正の目的をもって、本件商標をその指定商品に使用するものと容易に推認することができる。 すなわち、本件商標の構成中の「ヘッド」の片仮名は、その著名性の高さ故にgoogleやyahooなどの検索エンジンで検索すれば常に上位に表示され、使用商標がスポーツ用品、関連用品などに関する申立人の著名商標であることを容易に把握することができる(甲196、甲197)。 そうすると、商標権者が申立人の「HEAD」ブランドを全く知らなかったとは考えにくく、むしろ、著名な使用商標に化体した信用、名声、顧客吸引力等にフリーライドする意図を持って本件商標を採択したと考えるのが自然であり、本件商標がその指定商品に使用されれば、著名な使用商標に化体した信用や名声等を毀損させるおそれが多分に存するものである。 以上のことを総合的に勘案すれば、商標権者は、不正の目的をもって本件商標をその指定商品に使用をするものと容易に推認することができる。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。 4 商標法第4条第1項第8号に該当する点について 申立人は1950年に創業したオーストリア国ケンネルバッハに本社を置くオーストリア法人であり、その名称「Head Technology GmbH(ヘッド、テクノロジ一、ゲゼルシャフト、ミット、ベシュレンクテル、ハフツング)」の略称「HEAD」でブランド展開をし、現在、ヘッド・グループはヨーロッパ、アメリカを中心に世界80か国以上に販売網を持つに至っている(甲4)。 そして、申立人は「HEAD」の認知度向上に努め、本件商標の登録出願時においては、既に申立人を指し示す略称としても世界中の人々に受け入れられているものである(甲18~甲194)。 他方、本件商標の構成中「VS」の欧文字は品番記号として実際に本件商標の指定商品「釣り具」について使用されている。 そうすると、本件商標の構成中の「ヘッド」の片仮名は、申立人の著名な略称「HEAD」の表音を片仮名で表したものと、判然と認識されることから、本件商標に接する取引者、需要者は、本件商標を全体で一体の造語商標と認識する、若しくは、申立人の著名な略称「ヘッド」が埋没して認識しないとは考えらず、本件商標は、明らかに申立人の著名な略称を含む商標である。 そして、商標権者は本件商標を登録出願することについて申立人の承諾を得ていない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当する。 第4 当審の判断 1 使用商標の周知著名性について 申立人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、申立人は、1950年に米国で創業し、現在はオーストリア国ケンネルバッハに本社を置くオーストリア法人であり、アメリカを中心に世界80か国以上で事業を展開しているスポーツ用品メーカーであり(申立人主張、甲4)、申立人の取り扱うスキー板及びスキーブーツ等のスキー用品、テニスラケット及びテニス用バッグ等のテニス用品に使用商標が使用されていることが、1996年ないし2023年の各種雑誌等に掲載された記事により確認できること(甲5、甲6、甲18~甲38、甲77、甲86~甲93 ほか)、株式会社矢野経済研究所の「2023年版 スポーツ産業白書」によれば、使用商品の国内出荷数量・金額は、2020年、2021年、2022年(見込)及び2023年(予測)において、いずれも上位5位以内となっていること(甲193、甲194)、申立人は、テニス等の人気選手との専属契約し(甲69、甲70)、国際的なテニス大会での宣伝広告を行ったこと(甲41、甲42)から、使用商品に使用されている使用商標「HEAD」は、本件商標の登録出願前から、登録査定日はもとより現在においても継続して、申立人の取り扱うスキー板及びスキーブーツ等のスキー用品、テニスラケット及びテニス用バッグ等のテニス用品を表示するものとして、我が国及び外国の需要者の間に広く認識されているものと推認できる。 しかしながら、「HEAD」の文字は「頭」を意味する(出典 株式会社大修館書店 ジーニアス英和辞典 第5版)我が国で親しまれた英単語であり、その独創性が高いとはいえないことに加え、使用商標は、主にスキー板及びスキーブーツ等のスキー用品、テニスラケット及びテニス用バッグ等のテニス用品に使用されているものであり、これらの商品に関しては、我が国及び外国の需要者の間に広く認識されているといい得るものの、これらの商品以外の運動用具について、我が国及び外国の需要者の間に広く認識されているとはいい難いことから、使用商標の周知著名性は、スキー板及びスキーブーツ等のスキー用品、テニスラケット及びテニス用バッグ等のテニス用品に限定されると判断するのが相当である。 2 本件商標と申立人商標の類似性及びその程度について (1)本件商標について 本件商標は、「VSヘッド」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「VS」の欧文字と「ヘッド」の片仮名の文字種が相違するとしても、当該文字は、同じ大きさで同じ間隔で、構成全体としてまとまりよく一体的に表されているというべきである。 そして、本件商標の構成中の「VS」の欧文字は、「対~、と対比して」等の意味を有する「versus」の略語(出典:前書と同じ。)として一般に知られており、また、その構成中「ヘッド」の片仮名は「頭、頭部」等の意味(出典 岩波書店 広辞苑第7版)を有し、英語「HEAD」(出典 株式会社大修館書店 ジーニアス英和辞典 第5版)を片仮名で表示したものとして広く知られているとしても、これらを組み合わせた「VSヘッド」の文字は、一般の辞書等に載録された語ではなく、また、これが、直ちに特定の意味合いを理解するとはいい難いものであるから、造語として理解されるというのが相当である。 さらに、本件商標の構成文字に相応して生じる「ブイエスヘッド」の称呼は、無理なく一連に称呼し得るものである。 したがって、本件商標は、「ブイエスヘッド」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。 (2)11号引用商標について ア 引用商標1は、「HEAD」の欧文字を横書きにしてなるものであるから、その構成文字に相応して、「ヘッド」の称呼を生じ、「頭」の観念が生じるものである。 イ 引用商標2は、「HEAD Japan」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「Japan」の文字は、「日本」を意味する英語(出典 前書と同じ。)であり、商品の産地や販売地などを表示する語として認識されるため、出所識別標識としての機能を有しないものといえる。 そうすると、引用商標2は、その構成中の「Japan」の文字を捨象し、「HEAD」の文字のみが需要者、取引者をして、強く支配的な印象を与えるものと認められる。 したがって、引用商標2は、その構成中の「HEAD」の文字に相応して、「ヘッド」の称呼及び「頭」の観念が生じるものである。 (3)使用商標について 使用商標は、「HEAD」の欧文字よりなるものであるから、その構成文字に相応して、「ヘッド」の称呼を生じ、「頭」の観念が生じるものである。 (4)本件商標と申立人商標との類否について ア 本件商標と11号引用商標の類似性及びその程度について 本件商標と11号引用商標は、本件商標が欧文字と片仮名を結合した構成よりなるものであり、11号引用商標は、欧文字のみで構成されるものであるから、これらは外観において、判然と区別し得るものである。 また、本件商標の構成文字より生じる「ブイエスヘッド」の称呼と引用商標1及び引用商標2の要部より生じる「ヘッド」の称呼とは、音数が明らかに相違するものであるから、これらの称呼は、明瞭に聴別し得るものである。 さらに、本件商標は、特定の観念を生じないものであるから、「頭」の観念を生じる引用商標1及び引用商標2の要部とは、観念において相紛れるおそれはない。 したがって、本件商標は、引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても、相紛れるおそれのない非類似の商標であり、別異の商標というべきである。 イ 本件商標と使用商標の類似性及びその程度について 本件商標と使用商標は、本件商標が欧文字と片仮名を結合した構成よりなるものであり、使用商標は、欧文字のみで構成されるものであるから、これらは外観において、判然と区別し得るものである。 また、本件商標の構成文字より生じる「ブイエスヘッド」の称呼と使用商標より生じる「ヘッド」の称呼とは、音数が明らかに相違するものであるから、これらの称呼は、明瞭に聴別し得るものである。 さらに、本件商標は、特定の観念を生じないものであるから、「頭」の観念を生じる使用商標とは、観念において相紛れるおそれはない。 したがって、本件商標は、使用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても、相紛れるおそれのない非類似の商標であり、別異の商標というべきである。 3 商標法第4条第1項第11号該当性について 上記2(4)アのとおり、本件商標と11号引用商標は、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきものである。 したがって、本件商標の指定商品と11号引用商標の指定商品が類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 4 商標法第4条第1項第15号該当性について 上記1のとおり、使用商標の周知著名性は、スキー板及びスキーブーツ等のスキー用品、テニスラケット及びテニス用バッグ等のテニス用品に限定されること、上記2(4)イのとおり、本件商標は、使用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても、相紛れるおそれのない非類似の商標であり、別異の商標というべきであること、使用商標である「HEAD」は、「頭」を意味する我が国で親しまれた英単語であり、その独創性が高いとはいえないことからすれば、本件商標は、これに接する需要者が、申立人又は使用商標を連想、想起することはないと判断するのが相当である。 そうすると、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、需要者が、申立人又は使用商標を連想又は想起させることはなく、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。 その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 5 商標法第4条第1項第19号該当性について 商標法第4条第1項第19号は、「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。以下同じ。)をもって使用をするもの(前各号に掲げるものを除く。)」と規定しているところ、上記1のとおり、使用商標の周知著名性は、スキー板及びスキーブーツ等のスキー用品、テニスラケット及びテニス用バッグ等のテニス用品に限定されること、上記2(4)イのとおり、本件商標は、使用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても、相紛れるおそれのない非類似の商標であり、別異の商標というべきであることに加え、申立人が提出した証拠からは、商標権者が、不正の利益を得る目的、他人(申立人)に損害を加える目的、その他の不正の目的をもって本件商標を登録出願し、登録を受けたと認めるに足りる具体的事実を見いだすこともできない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。 6 商標法第4条第1項第8号該当性について 申立人が提出した全証拠を確認するも、本件商標の構成中の「ヘッド」の片仮名が、我が国において申立人の略称を表示するものとして使用され、一般に広く認識されているとは認められないため、当該文字が申立人の著名な略称を表示するものではない。 そうすると、本件商標は、その構成中に他人(申立人)の著名な略称を含む商標ではない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当しない。 7 むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第8号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも違反してされたものではなく、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。

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2023-900156

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