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商標異議申立

2023-900152

パオンネ、パオンヌ

審判番号
2023-900152
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2023-013958
登録番号
6691918
請求日
2023年06月28日
審決日
2024年02月27日
公報発行日
2024年03月29日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】株式会社Plan S
  • 【異議申立人】ヘンケル・アクチエンゲゼルシヤフト・ウント・コンパニー・コマンデイトゲゼルシャフト・アウフ・アクティーン
  • 【異議申立人代理人】弁理士法人三枝国際特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 高野 和行
  • 審判官 大森 友子
  • 審判官 板谷 玲子
分類
T1651.261-Y (W03) / T1651.262-Y (W03) / T1651.263-Y (W03) / T1651.271-Y (W03)
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第15号
データ出所
審決公報(XML)

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登録第6691918号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6691918号商標の商標登録を維持する。

理由

理 由 1 本件商標 本件登録第6691918号商標(以下「本件商標」という。)は、「PAONNE」の文字を標準文字で表してなり、令和5年2月13日に登録出願、第3類「化粧品,つけまつ毛用接着剤,つけまつ毛,せっけん類」を指定商品として、同年4月10日に登録査定、同月20日に設定登録されたものである。 2 申立人が引用する商標及び標章 (1)登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する商標は次のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである(以下、これらをまとめて「引用商標」という。)。 ア 登録第379100号商標(以下「引用商標1」という。) 商標の態様 「パオン」の片仮名と「PAON」の欧文字を、上下2段に書してなるもの 登録出願日 昭和23年1月22日 設定登録日 昭和24年10月15日 書換登録日 平成13年4月4日 指定商品 第3類「口紅,頬紅,その他の化粧用顔料,化粧用染料,靴クリーム,靴墨」 イ 登録第873586号商標(以下「引用商標2」という。) 商標の態様 PAON 登録出願日 昭和42年12月15日 設定登録日 昭和45年9月24日 書換登録日 平成22年11月17日 指定商品 第3類「歯磨き,化粧品,香料類」 ウ 登録第1418115号商標(以下「引用商標3」という。) 商標の態様 「PAON」の欧文字と「パオン」の片仮名を、上下2段に書してなるもの 登録出願日 昭和51年4月12日 設定登録日 昭和55年5月30日 書換登録日 平成22年6月2日 指定商品 第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類」 (2)申立人が、本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとして引用する標章は、「パオン」の片仮名を書してなり申立人の子会社であるヘンケルジャパン株式会社が白髪染めに使用して周知に至っていると申立人が主張するもの(以下「引用標章」という。)である。 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、その登録は、同法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきものであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第28号証を提出した。 (1)商標法第4条第1項第11号について ア 本件商標について 本件商標は、「PAONNE」を標準文字にて表したものであり、フランス語の辞書によれば「雌孔雀」を意味するが(甲5)、難解なフランス語であるため、我が国の需要者は、通常、本件商標を造語と認識すると言え、本件商標からは何ら特定の観念を生じない。 造語と認識される欧文字商標の場合、需要者は、馴染み深い英語やよく見聞きする固有名詞などの発音を参考に、これに倣って称呼するのが通常であり、本件商標にあっては、「PAO」の部分を「パオ」と、「NNE」の部分については馴染みのある既成語や固有名詞(甲6~甲17)に倣って「ン」と称呼するのが自然である。 よって、本件商標からは、その全体の構成に相応して、「パオン」の称呼が生ずることは明らかである。 イ 引用商標について 引用商標は、前記2(1)の構成に相応して、「パオン」の称呼が自然に生じる。 ウ 取引の実情 引用商標は、申立人の100%子会社であるヘンケルジャパン株式会社(甲18)のヘアカラー老舗ブランドである(甲19)。 「PAON/パオン」ブランドは、1956年に山発産業株式会社が発売を開始した一剤式粉末白髪染め「パオン 黒色」にはじまる(甲19)。2000年に、申立人が山発産業株式会社を買収し、ライオン株式会社の資本参加を受けて、日本に合弁会社「ヘンケル ライオン コスメティックス株式会社」を誕生させ、その後、社名変更や合併を経て、2016年にヘンケルジャパン株式会社となって、67年の歴史を有する老舗ブランド「PAON/パオン」は継続して使用されてきた(甲18、甲19)。 「PAON/パオン」は、戦後、特許技術を使用した業界初の一剤式粉末白髪染めの発売にはじまり(甲19、甲20)、67年間、新しい製品の開発・販売・宣伝広告を繰り返し(甲19、甲21~甲28)、現在も市場において確固たる地位を維持しており、それに伴い、引用商標も取引者・需要者において広く浸透するに至っている。 エ 本件商標と引用商標の類否 本件商標と引用商標の全体の外観は相違し、その観念において対比できないが、その称呼においてみると、両者は「パオン」の称呼を生ずるものであるから、本件商標と引用商標とは、称呼を共通にする類似商標である。 仮に、フランス語に極めて精通した需要者を想定し、本件商標をフランス語の「paonne」と認識し得たとしても、フランス語の「paonne」は「パン」と称呼され「雌孔雀」の観念を生じる(甲5)一方、引用商標もフランス語「paon」に相当し「パー」と称呼され「孔雀」の観念を生じる(甲5)ことから、称呼も観念も相紛らわしい類似の商標と認識される。 したがって、本件商標と引用商標とは、互いに類似する商標である。 以上に加えて、本件商標と引用商標は、その指定商品において、各々相抵触するものである。 オ まとめ このように、本件商標は、引用商標に類似するものであり、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。 (2)商標法第4条第1項第15号について 白髪染めの取引者・需要者においては、引用商標のみならず、引用標章についても、広く知られるに至っている(甲18~甲28)。 そして、本件商標が「パオン」の称呼をもって取引に資され、引用標章と、その称呼において共通することから、本件商標と引用標章が類似することは明らかである。 そうすると、本件商標がその指定商品について使用された場合には、それがあたかも申立人あるいは申立人の子会社であるヘンケルジャパン株式会社に係る商品であると、もしくは、申立人やヘンケルジャパン株式会社と経済的・組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品であると、取引者・需要者において、誤認混同を生じる蓋然性が非常に高いものである。 したがって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものである。 4 当審の判断 (1)引用標章及び「PAON」の文字の周知性について ア 申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、次のとおりである。 (ア)1956年、一剤式粉末白髪染め「パオン 黒色」が、山発産業株式会社によって発売された。 当該「パオン 黒色」の包装箱には「PAON」の欧文字と「パオン」の片仮名が表示されている(甲19、甲20)。 (イ)山発産業株式会社は、2000年に申立人により買収され、その後、社名変更や合併を得て、現在の名称はヘンケルジャパン株式会社となっている。 また、現在、ヘンケルジャパン株式会社は、申立人の子会社である(甲18、申立人の主張)。 そして、「PAON」又は「パオン」の名称の白髪染め(以下「使用商品」という。)は、1956年から現在においても、山発産業株式会社から、引き継がれた企業によって販売が続けられており、現在はヘンケルジャパン株式会社によって販売されている(甲19、甲20)。 (ウ)現在販売されている使用商品の包装箱には、引用標章が表示されている(甲19、甲24~甲28)。 (エ)「PAON」の文字が付された使用商品は1983年に、「パオン」の文字が付された使用商品は1989年にテレビコマーシャルの放送がされたことはうかがえるが、その地域、放送回数等は不明である(甲21、甲23)。 イ 上記アより、使用商品は1956年に山発産業株式会社によって販売が開始され、本件商標の登録出願時及び登録査定時を超えて、現在においても請求人の子会社であるヘンケルジャパン株式会社によって販売が続けられており、使用商品の包装箱には引用標章が表示されている。 また、「PAON」の文字が表示された使用商品については1983年に、「パオン」の文字が表示された使用商品については1989年にテレビコマーシャルが放送されたことはうかがえるが、その地域、放送回数等は不明であり、本件商標の登録出願時及び登録査定時の頃におけるテレビコマーシャルの放送は認められない。 また、引用標章を付した使用商品の販売数、売上高、市場シェア等の具体的な販売実績を示す主張、証左は見いだせない。 その他、引用標章が、我が国における取引者、需要者において、どの程度認識されているかを客観的に把握できる証拠は提出されていない。 したがって、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用標章が、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国における取引者、需要者の間に広く認識されていたと認めることができない。 また、「PAON」の文字については、発売当初の1956年及び1983年に使用商品の包装箱に付されていたことはうかがえるものの、本件商標の登録出願時及び登録査定時における使用状況は不明であるから、当該文字も本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国における取引者、需要者の間に広く認識されていたと認めることができない。 (2)商標法第4条第1項第11号該当性について ア 本件商標 本件商標は、上記1のとおり、「PAONNE」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、仏和辞典に「雌孔雀」の意味を有する語として採録されているものの、我が国において親しまれた語とはいい難く、その意味まで知られた語ともいい難いものであるから、当該文字は特定の意味合いを理解させることのない一種の造語として認識されるものである。 そして、特定の語義を有しない欧文字からなる商標については、英語風又はローマ字風の発音をもって称呼されるのが一般的といえるから、本件商標は、その構成文字に相応して、「パオンネ」又は「パオンヌ」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。 これについて、申立人は、本件商標からは「パオン」の称呼が生じる旨主張するが、本件商標から生じる称呼は上記のとおりであるから、これを採用することはできない。 イ 引用商標 (ア)引用商標1 引用商標1は、上記2(1)アのとおり「パオン」の片仮名と「PAON」の欧文字を、上下2段に書してなるものであって、上段の片仮名は下段の欧文字の読みを表したものと無理なく認識できるものである。 そして、下段の「PAON」の文字は、仏和辞典に「孔雀」の意味を有する語として採録されているものの、我が国において親しまれた語とはいい難く、その意味まで知られた語ともいい難いものであるから、当該文字は特定の意味合いを理解させることのない一種の造語として認識されるものである。 また、上記(1)のとおり、「パオン」及び「PAON」の文字は、使用商品(白髪染め)を表示する文字として、我が国における取引者、需要者の間に広く認識されていたと認めることができない。 そうすると、引用商標1は、その構成全体より「パオン」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。 (イ)引用商標2 引用商標2は、上記2(1)イのとおり「PAON」の欧文字を書してなるものであるところ、当該文字は上記(ア)と同様に一種の造語として認識されるものであって、また、上記(1)のとおり、使用商品(白髪染め)を表示する文字として、我が国における取引者、需要者の間に広く認識されていたと認めることができない。 そうすると、引用商標2は、英語風又はローマ字風の発音をもって称呼されるのが一般的といえるから、その構成文字に相応した「パオン」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。 (ウ)引用商標3 引用商標3は、上記2(1)ウのとおり「PAON」の欧文字と「パオン」の片仮名を、上下2段に書してなるものであって、下段の片仮名は上段の欧文字の読みを表したものと無理なく認識できるものである。 そして、上段の「PAON」の文字は、上記(ア)と同様に一種の造語として認識されるものであって、また、上記(1)のとおり、「パオン」及び「PAON」の文字は、使用商品(白髪染め)を表示する文字として、我が国における取引者、需要者の間に広く認識されていたと認めることができない。 そうすると、引用商標3は、その構成全体より「パオン」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。 ウ 本件商標と引用商標の類否について 本件商標と引用商標は、それぞれ上記ア及びイのとおりの構成からなるところ、本件商標と引用商標1及び引用商標3とは、片仮名の有無において顕著な相違があり、本件商標と引用商標1及び引用商標3の欧文字部分並びに引用商標2を比較しても語尾における「NE」の文字の有無という差異があるところ、当該差異は6文字と4文字という比較的短い文字構成からなる両者の外観の視覚的印象に与える影響は小さいものといえないから、本件商標と引用商標を比較しても、外観において両者は相紛れるおそれのないものとみるのが相当である。 次に、称呼についてみるに、本件商標から生じる「パオンネ」又は「パオンヌ」の称呼と引用商標から生じる「パオン」の称呼とは、語頭から3音までの「パオン」の音を共通にし、語尾の「ネ」又は「ヌ」の音の有無において相違するところ、4音又は3音と短い音構成からなる両称呼においては、相違音が称呼全体に及ぼす影響は決して小さいものとはいえず、それぞれを一連に称呼するときは語調、語感が異なることから、両者は、称呼上、明瞭に聴別し得るものである。 そして、観念においては、両商標からは特定の観念は生じないものであるから、比較することはできない。 そうすると、本件商標と引用商標は、観念において比較することはできないが、外観において相紛れるおそれはなく、称呼においても明瞭に聴別し得るものであるから、両者の外観、称呼及び観念によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は、非類似の商標というべきである。 したがって、本件商標は、その指定商品が引用商標の指定商品と同一又は類似であるとしても、商標法第4条第1項第11号に該当するものといえない。 (3)商標法第4条第1項第15号該当性について ア 本件商標と引用標章の類似性の程度について 本件商標は上記(2)のとおり「パオンネ」又は「パオンヌ」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。 これに対し、引用標章は「パオン」の文字を書してなるものであるところ、当該文字は、辞書等に採録されておらず造語と認められるものである。 そうすると、引用標章は、その構成文字に照応した「パオン」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。 そして、本件商標と引用標章とは、外観上は欧文字と片仮名の顕著な相違があり、称呼においても、上記(2)ウと同様に、明瞭に聴別し得るものであって、観念においては比較することはできないから、これらを総合して全体的に考察すれば、両者は、相紛れることのない非類似の商標というべきである。 イ 商標法第4条第1項第15号該当性について 引用標章は、上記(1)イのとおり、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されているものではなく、また、上記アのとおり、本件商標は、引用標章とは相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。 そうとすると、本件商標は、その指定商品と引用標章に係る商品との関連性にかかわらず、これに接する取引者、需要者が引用標章を連想又は想起するものということはできない。 してみれば、本件商標は、その指定商品について使用しても、これに接する取引者、需要者をして引用標章を連想又は想起させることはなく、その商品が他人(申立人)又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 (4)むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも該当するものではないから、その登録は、同法第4条第1項に違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。

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