商標異議申立
2023-900148
カーマイン、カーミン、カルミン
- 審判番号
- 2023-900148
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2022-119849
- 登録番号
- 6691260
- 請求日
- 2023年06月26日
- 審決日
- 2024年02月20日
- 公報発行日
- 2024年03月29日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】カーマイン株式会社
- 【異議申立人】アルタ サパテリア バレア ソシエダ リミターダ
- 【異議申立人代理人】弁理士法人フィールズ国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 冨澤 武志
- 審判官 馬場 秀敏
- 審判官 小田 昌子
- 分類
- T1651.261-Y (W25) / T1651.262-Y (W25) / T1651.263-Y (W25)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号商標法43条の2商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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登録第6691260号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6691260号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
1 本件商標
本件登録第6691260号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、令和4年10月19日に登録出願、第25類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同5年4月5日に登録査定され、同月19日に設定登録されたものである。
2 引用商標
商標異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する国際登録第1248600号商標(以下「引用商標」という。)は、「CARMINA」の欧文字を横書きしてなり、2014年8月20日にSpainにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、2015年(平成27年)2月19日に国際商標登録出願、第18類、第25類及び第35類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成29年2月3日に設定登録されたものであり、その商標権は現に有効に存続しているものである。
3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきものであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
(1)本件商標(甲1)について
本件商標は、小さい黒色丸が2つ並べられ、その下に両端上がりの弧線が描かれ、その弧線の一端が太い黒丸で丸められた図形であって、その外観からすれば、簡略化した目と口からなる笑顔を想起させる当該図形とともに、その図形の下に、「carmine」の欧文字を書してなるものである。
(2)引用商標(甲2)について
引用商標は、「CARMINA」の欧文字を横書きしてなるものである。
(3)本件商標と引用商標との対比
ア 本件商標は、図形と文字の結合商標であって、その図形部分は、簡略化した目と口からなる笑顔を想起させる図形といい得る。この図形部分は、笑顔を簡潔そして象徴的に表現したものと認識され、このようなありふれた笑顔をモチーフとした図柄は例示するまでもなく多種多様にあり、笑顔を表現したものであることが、特定の事物又は意味合いを示すものとして需要者に認識されておらず、商取引上、識別カを発揮する観念を生じさせるとは言えないため、当該図形部分からは、特定の称呼及び観念は生じない。
また、本件商標の文字部分は、「carmine」の欧文字よりなり、その構成文字に相応して、少なくとも「カルミン」、「カルミネ」、「カーミン」及び「カーマイン」の称呼が生じる。
本件商標の文字部分「carmine」は、赤色の一種であるカーマイン色を表す英単語であるから、このカーマイン色の観念を有すると考えることができるが、我が国における一般的な取引者及び需要者は、英単語の「carmine」の意味を理解しているとは言えない。例えば、日本人に必要な英単語8000を1000ずつ8つのレベルに分けて収録した書籍「「大学英語教育学会基本語リスト」に基づくJACET8000英単語」(桐原書店 2005年初版発行)にも当該英単語は掲載されていない。
したがって、一般的な取引者及び需要者にとって、当該欧文字「carmine」による文字列は、特段の意味合いを想起させるものでないことから、特定の観念は生じない。
本件商標の図形部分と文字部分とは、視覚上分離して認識されるものであって、図形部分と文字部分とを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分に結合しているものとはいえないものであり、両者を常に一体不可分のものとしてみなければならない特段の理由も見当たらない。
したがって、その結合の強度は弱く、それぞれの部分が独立して自他商品・役務の識別標識としての機能を果たし得るものと言えるが、視覚的には、特段の識別力を生じさせないありふれた笑顔のモチーフである図形部分よりも、文字部分に一般的な取引者及び需要者の注意は向けられるので、本件商標の識別標識としての機能は、その文字部分から生じていると考えられる。
イ 引用商標は、「CARMINA」の欧文字を横書きしてなる文字商標であり、この欧文字列「CARMINA」に相応して、少なくとも「カルミナ」及び「カーミナ」の称呼が生じ、当該欧文字は、特段の意味合いを想起させるものでないことから、特定の観念を生じない商標である。
ウ 本件商標と引用商標は、図形部分の有無の差異等から、外観の点において異なり、全体としては、外観上区別できるものである。しかしながら、上述のとおり、本件商標の図形部分が識別標識としての機能を果たしていないことを考慮すると、商標の類否を総合的観察により判断する上で、外観上の相違に対する類否判断の重み付けは非常に低いと考えるのが合理的である。
次に、観念について検討すると、本件商標と引用商標は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念において比較することはできない。
続いて、称呼について検討すると、本件商標から生じうる称呼「カルミン」及び「カルミネ」と、引用商標から生じうる称呼「カルミナ」は、「商標審査基準(改定第15版)」による基準に照らしてみると、その称呼において類似している。
両商標は、語尾の1音が相違し、その相違する1音は弱音であり、また、両商標ともにそのアクセントは語頭の「カ」であることから、「商標審査基準(改定第15版)」の少なくとも、「第3 第4条第1項及び第3項(不登録事由)」「十 第4条第1項第11号(先願に係る他人の登録商標)」「3.外観、称呼、観念の類否について」「(2)称呼の類否について」における「(ア)音質(母音、子音の質的きまりから生じる音の性質)に関する判断要素」の「2 相違する音の子音を共通にしているか、子音が近似しているか」及び「(ウ)音調(音の強弱及びアクセントの位置)に関する判断要素」の「2 相違する音がともに中間又は語尾に位置しているか」「3 語頭又は語尾において、共通する音が同一の強音(聴覚上、ひびきの強い音)であるか」「4 欧文字商標の称呼において強めのアクセントがある場合に、その位置が共通するか」という判断要素において、両商標の称呼は類似すると判断される(決定注:文中の「2」「3」及び「4」の文字は、いずれも丸数字である。)。
さらに、同じく「(2)称呼の類否について」における「(カ)上記(ア)から(オ)に該当する場合であっても、全体的印象が近似しないと認められる要素」のいずれにも該当しない。
また、本件商標から生じうる称呼「カーミン」と、引用商標から生じうる称呼「カーミナ」についても、上記と同様の理由により、その称呼において類似する。
(4)まとめ
本件商標と引用商標の類否判断においては、上述のとおり、外観、観念の観点からの類否判断の重み付けが小さく、称呼の類似が与える影響が極めて大きく、本件商標と引用商標を全体的及び総合的に観察した上で、両商標は互いに類似する。
そして、本件商標と引用商標の指定商品は同一又は類似のものである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
4 当審の判断
(1)本件商標
本件商標は、別掲のとおり、二つの点と左端が円状に丸められた両端上がりの曲線(以下「本件図形部分」という。)を描き、その下に「carmine」の欧文字(以下「本件文字部分」という。)を書してなるところ、本件図形部分と本件文字部分とは、重なることなく配されており、視覚上分離して看取できるものであって、両者を分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとはいえないものであるから、それぞれが独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものである。
そして、本件商標の構成中の本件図形部分は、特定の事物又は意味合いを示すものとして認識されているものではなく、また、本件文字部分「carmine」は、「深紅色(の)」(「ジーニアス英和辞典 第5版」大修館書店発行)の意味を有する語であるものの、一般に親しまれた語とまではいえないから、特定の意味合いを理解させない造語とみるのが相当である。
そうすると、本件商標は、本件文字部分に相応して「カーマイン」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標
引用商標は、上記2のとおり「CARMINA」の欧文字を横書きしてなるところ、該文字は、辞書等に載録のない語であり、特定の意味合いを有するものとして認識されているものでもないから、特定の意味合いを有しない造語とみるのが相当である。
そうすると、引用商標は、その構成文字に相応して「カーミナ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(3)本件商標と引用商標の類否
本件商標と引用商標の類否を検討すると、両者の全体の外観は、本件図形部分の有無の差異により、容易に区別し得るものである。
また、本件文字部分「carmine」と引用商標「CARMINA」の文字の比較においては、両者は小文字と大文字の差異を有する上、語尾における「e」と「A」の文字の差異を有するところ、それらの差異が共に7文字というさほど多いとはいえない文字構成からなる両者の外観全体から受ける視覚的印象に与える影響は小さくなく、両者を離隔的に観察しても、相紛れるおそれのないものと判断するのが相当である。
次に、本件商標から生じる「カーマイン」の称呼と引用商標から生じる「カーミナ」の称呼を比較すると、両者は後半部において「マイン」と「ミナ」という音の差異を有し、その差異が5音及び4音という短い音構成における両称呼全体に与える影響は大きく、両者をそれぞれ一連に称呼しても語調語感が相違し、相紛れるおそれのないものと判断するのが相当である。
さらに、観念においては、両商標は共に特定の観念を生じないものであるから比較することができない。
そうすると、本件商標と引用商標は、観念において比較できないとしても、外観及び称呼において相紛れるおそれがないものであるから、両者の外観、観念、称呼等によって需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
その他、本件商標と引用商標が類似するというべき事情は見いだせない。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であるから、両商標の指定商品及び指定役務が同一又は類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものといえない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
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