商標異議申立
2023-900131
ユメノオクリビト、ユメノ、ユメ、オクリビト
- 審判番号
- 2023-900131
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2022-076618
- 登録番号
- 6684147
- 請求日
- 2023年06月01日
- 審決日
- 2023年10月11日
- 公報発行日
- 2023年11月24日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】KI-YO-RA株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
- 【異議申立人】株式会社 おくりびとアカデミー
- 【異議申立人代理人】星野 裕司
- 審判長/審判官
- 審判長 冨澤 武志
- 審判官 大橋 良成
- 審判官 馬場 秀敏
- 分類
- T1651.261-Y (W4445) / T1651.262-Y (W4445) / T1651.263-Y (W4445) / T1651.22 -Y (W4445)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項7号商標法4条1項11号商標法43条の2商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第7号、商標法第4条第1項第11号、商標法第43条の2第1号、商標法第27条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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登録第6684147号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6684147号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第6684147号商標(以下「本件商標」という。)は、「夢のおくりびと」の文字を標準文字により表してなり、令和4年7月1日に登録出願、第44類「介護,介護に関する相談及び情報提供,介護施設の紹介及び情報の提供,医療情報の提供」及び第45類「通夜・葬儀・法要の執行に関する助言・情報の提供,通夜・葬儀・法要の執行の媒介又は取次ぎ,通夜・葬儀・法要の相談,通夜・葬儀・法要のための施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,通夜・葬儀・法要の予約,葬儀の生前予約,葬儀の生前企画,通夜・葬儀・法要に関するマナー及び返礼の助言,葬儀の執行の連絡,指定された者に対する入院・危篤・死亡の連絡,訃報の連絡,墓地又は納骨堂の提供に関する助言及び情報の提供,墓地又は納骨堂の提供の媒介又は取次ぎ,墓地又は納骨堂の管理,遺言の執行に関する情報の提供,遺言の整理,遺言書の保管,高齢者又は要介護者向けの遺言書の管理,要介護認定申請手続の代行,公的年金に関する情報の提供,身の上相談,高齢者又は要介護者向けの法律相談,その他の法律相談,祭壇及び葬祭用具の貸与の媒介又は取次ぎ及びそれらに関する情報の提供,高齢者及び身体障害者のための付き添い,個人の遺品整理の代行,社会保険に関する相談,後見,個人のニーズに合わせて手配や情報提供などを行うコンシェルジュの役務」を指定役務として、令和5年3月9日に登録査定され、同年3月27日に設定登録されたものである。
第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議申立ての理由として引用する登録第6534080号商標(以下「引用商標」という。)は、「おくりびと」の文字を標準文字により表してなり、令和2年8月27日に登録出願、「医療情報の提供,介護,介護に関する情報の提供」を含む第44類及び「葬儀の執行,葬儀の執行に関する相談,葬儀に関する情報の提供,葬儀の一環として行う埋葬,祭壇の貸与,葬祭用具の貸与(造花の花輪の貸与を含む。),墓地又は納骨堂の提供,墓地又は納骨堂に関する相談,納骨堂の管理,身の上相談,墓相・墓地相・家運に関する相談・診断及び指導,遺体の入浴・洗浄,納棺,納棺に関する相談,湯灌,湯灌に関する相談,遺体への死化粧の施術,冠婚葬祭の企画及び運営,墓参りの代行,ペットの葬儀の執行,ペットの葬儀・葬儀社・墓地・斎場・火葬場・納骨堂に関する情報の提供,ペットの葬儀に関する祭壇の貸与,家事の代行,遺品の整理,遺産分割書の作成及びこれに関する情報の提供,遺言の整理,遺言書の保管,遺言の執行に関する情報の提供,遺言に関するコンサルティング,相続手続に関する情報の提供」を含む第45類及び第35類、第36類並びに第41類ないし第43類に属する商標登録原簿記載のとおりの役務を指定役務として、同4年3月25日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。
第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同法第4条第1項第7号に該当するものであるから、商標法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきである旨申立て、その理由を以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標の分離観察の必要性について
本件商標の商標権者は、商標権者のホームページにおいて、「夢のおくりびと」のうち、「夢」の文字をピンク系の色で表し、その他の文字を黒系の色で表している(甲3、甲4)。
そして、本件商標は、第1の名詞部分「夢」と第2の名詞部分「おくりびと」とを助詞「は」(決定注:「の」の誤りと判断する。以下同じ。)で連結してなり、標準文字として出願・登録されたものである。
しかしながら、いかに標準文字として出願したとしても、取引者である商標権者自身が「夢」と「おくりびと」を分離して認識し、色彩を変えて使用しているのであるから、分離観察されるべきであることは明らかである。
また、ホームページを通して、需要者には分離して認識できるように使用しながら、意見書では分離して判断する理由がないと主張することは信義則に反するものである。
さらに、引用商標の「おくりびと」は、第45類役務「葬儀の執行,葬儀の執行に関する相談」等に関するサービスにおいて、映画「おくりびと」に並ぶくらい世の中に広く知られるに至っており、この引用商標「おくりびと」の周知性に鑑みても、たとえ本件商標が標準文字として出願されたものであるとしても、その商標構成中に、引用商標「おくりびと」が含まれていることを需要者は容易に認識できるので、分離観察されるべきである。
ちなみに、引用商標の商標権者の代表者(すなわち申立人の代表者)は、父親と共に映画「おくりびと」の制作に技術指導で参画しており、映画おくりびとのWikipediaのサイト(https://ja.wikipedia.org/wiki/おくりびと)の、「スタッフ」の見出しの下、納棺指導者の名前が記載されているが、これは引用商標の商標権者の代表者の父親の名前である。
映画「おくりびと」は、観客に感動を与える映画となり、日本国内のみならず世界的にも有名になった。また引用商標の商標権者は納棺等に関する技術の一般普及にも努め、その結果、引用商標が広く需要者に知られ、多大なる信用を獲得するに至ったのである。本件商標は、そのような引用商標の顧客吸引力にただ乗りし、その出所表示機能を希釈化させるものである。
(2)本件商標と引用商標との対比
上述のごとく、本件商標は分離観察されるべきものである。本件商標は、第1の名詞部分「夢」と第2の名詞部分「おくりびと」とを助詞「の」で連結して構成されたものであり、「夢」と「おくりびと」の2つの名詞部分に分離される。第2の名詞部分「おくりびと」は、引用商標の「おくりびと」と、外観、称呼、観念において共通する。
また、本件商標のうち、第44類「介護,介護に関する相談及び情報提供,介護施設の紹介及び情報の提供,医療情報の提供」、第45類「通夜・葬儀・法要の執行に関する助言・情報の提供,通夜・葬儀・法要の執行の媒介又は取次ぎ,通夜・葬儀・法要の相談,通夜・葬儀・法要のための施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,通夜・葬儀・法要の予約,葬儀の生前予約,葬儀の生前企画,通夜・葬儀・法要に関するマナー及び返礼の助言,葬儀の執行の連絡,指定された者に対する入院・危篤・死亡の連絡,訃報の連絡,墓地又は納骨堂の提供に関する助言及び情報の提供,墓地又は納骨堂の提供の媒介又は取次ぎ,墓地又は納骨堂の管理,遺言の執行に関する情報の提供,遺言の整理,遺言書の保管,高齢者又は要介護者向けの遺言書の管理,身の上相談,高齢者又は要介獲者向けの法律相談,その他の法律相談,祭壇及び葬祭用具の貸与の媒介又は取次ぎ及びそれらに関する情報の提供,高齢者及び身体障害者のための付き添い,個人の遺品整理の代行」は、引用商標の指定役務と同一又は類似するものである。
よって、本件商標は、引用商標と類似する。
2 商標法第4条第1項第7号について
拒絶理由通知書では、「本願商標を、当該映画作品の製作者などと関係を有する者とは認められない出願人が、自己の営利を目的とするために商標として採択、使用することは、社会の一般的道徳観念に反し、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあるものといえます。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当します。」と指摘している。
これに対して、商標権者は、意見書において、「映画作品の題名と同一の登録商標「おくりびと」ですら社会公共の利益を害することなく事業活動が行われていると認識できる」と述べるにとどまり、商標権者自身と映画「おくりびと」の製作者などとの関係を何ら明らかにしていない。また、甲第3号証、甲第4号証に示す上述した商標の使用態様から、本件商標を常に一体として認識しなければならないという理由もない。
したがって、審査段階で示された本号の拒絶理由が解消していないことは明らかである。
3 むすび
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標と引用商標とは、「おくりびと」の外観、称呼、観念を共通にする類似の商標であり、また、その指定役務についても同一又は類似のものを含む。したがって、本件商標登録は商標法第4条第1項第11号に違反してなされたものであるから、取り消されるべきである。
(2)商標法第4条第1項第7号について
本件商標を、著名な映画作品「おくりびと」の製作者などと関係を有する者とは認められない商標権者が、自己の営利を目的とするために商標として採択、使用することは、社会の一般的道徳観念に反し、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあるものといえる。したがって、本件商標登録は商標法第4条第1項第7号に違反してなされたものであるから、取り消されるべきである。
第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標について
本件商標は、前記第1のとおり、「夢のおくりびと」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成は、同じ書体及び同じ大きさをもって等間隔に、視覚上、全体としてまとまりよく一体的に表されているものであり、構成文字全体から生じる「ユメノオクリビト」の称呼も格別冗長ではなく無理なく一連に称呼し得るものである。
そうすると、本件商標は、まとまりよく一体的な構成であって、「夢の」の文字部分を省略し、「おくりびと」の文字部分のみをもって取引に資されるとはいい難く、かつ、その構成文字のいずれかが強く支配的な印象を有するとすべき特段の事情も見いだせないことから、一連一体の語として認識し、把握されるとみるのが自然である。
他に構成中の「おくりびと」の文字部分のみが独立して認識されるとみるべき特段の事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、その構成文字全体に相応して、「ユメノオクリビト」のみの称呼を生じ、また、一般の辞書類に載録された既成語ではなく、特定の意味を有するものとして一般に親しまれている語でもないから、特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標について
引用商標は、前記第2のとおり、「おくりびと」の平仮名を標準文字により表してなり、これよりは、「オクリビト」の称呼を生ずるものである。
そして、当該文字は、「見送りの人」の意味(広辞苑第七版参照)を有するものである。
したがって、引用商標は、「オクリビト」の称呼を生じ、「見送りの人」の観念を生ずるものである。
(3)本件商標と引用商標の類否について
ア 外観について
本件商標と引用商標は、上記(1)及び(2)のとおりの構成よりなるものであるから、「夢の」の文字の有無において、明らかに相違するものであって、本件商標と引用商標の外観は、互いに紛れるおそれはない。
イ 称呼について
本件商標から生じる「ユメノオクリビト」の称呼と引用商標から生じる「オクリオビト」の称呼とは、語頭における「ユメノ」音の有無において相違するから、明瞭に聴別し得るものである。
ウ 観念について
本件商標からは、特定の観念を生じない一方、引用商標からは「見送りの人」の観念が生じるものであるから、両商標は、観念上、相紛れるおそれはない。
エ 小括
以上のとおり、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても、相紛れるおそれのないことが明らかなものであるから、非類似の商標であって、別異のものというのが相当である。
その他、本件商標と引用商標とが類似するというべき特段の事情は見いだせない。
上記のとおり、本件商標と引用商標とは、非類似の商標であって、別異の商標というべきものであるから、両商標の指定役務が同一又は類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。
なお、申立人は、本件商標の商標権者は、商標権者のホームページにおいて、「夢のおくりびと」のうち、「夢」の文字をピンク系の色で表し、その他の文字を黒系の色で表しており(甲3、甲4)、商標権者自身が「夢」と「おくりびと」を分離して認識し、色彩を変えて使用しているのであるから、分離観察されるべきである旨主張している。
しかしながら、上述のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であると判断するのが相当であることに加え、「登録商標の範囲は、願書に記載した商標に基づいて定めなければならない。」(商標法第27条第1項)と規定されていることからすると、商標の類否については、願書に記載されたそれぞれの商標に基づいて判断すべきと解するのが相当であるから、商標権者のホームページにおいて、「夢」と「おくりびと」の文字の色を変えて使用しているとしても、そのことが本件商標と引用商標の類否判断に影響を及ぼすことはない。
したがって、申立人の上記主張は採用することができない。
2 商標法第4条第1項第7号該当性について
本件商標は、上記1(1)のとおりの構成からなるところ、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、きょう激又は他人に不快な印象を与えるような文字からなるものではない。
また、本件商標は、これをその指定役務に使用することが、社会公共の利益や社会の一般的道徳観念に反するものではなく、さらに、その使用が他の法律によって禁止されているもの、外国の権威や尊厳を損なうおそれがあって、国際信義に反するものでもない。
加えて、申立人の主張及び同人の提出に係る甲各号証を総合してみても、本件商標の登録出願の経緯に社会的妥当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合に該当すると認めるに足る具体的事実は見いだせず、その他、本件商標が公の秩序又は善良の風俗を害するおそれのある商標であると認めるに足りる証拠も見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
3 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号及び同項第11号のいずれにも該当するものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するという事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
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