商標異議申立
2023-900122
ビーナスヘーゼルナッツ、ビーナス
- 審判番号
- 2023-900122
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2021-151989
- 登録番号
- 6680705
- 請求日
- 2023年05月24日
- 審決日
- 2024年01月15日
- 公報発行日
- 2024年04月26日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【権利者】株式会社DANDAN
- 【異議申立人】フジッコ 株式会社
- 審判長/審判官
- 審判長 大橋 良成
- 審判官 冨澤 武志
- 審判官 小林 裕子
- 分類
- T1652.261-ZC (W2930) / T1652.262-ZC (W2930) / T1652.263-ZC (W2930) / T1652.264-ZC (W2930)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号商標法43条の3第2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号、商標法第43条の2第1号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
登録第6680705号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6680705号商標の指定商品及び指定役務中、第29類「菓子(果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものに限る)」及び第30類「菓子(果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものを除く。),パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ミートパイ」についての商標登録を取り消す。
本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品及び指定役務についての商標登録を維持する。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第6680705号商標(以下「本件商標」という。)は、「ビーナスヘーゼルナッツ」の片仮名を標準文字により表してなり、令和3年11月22日に登録出願、第29類「菓子(果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものに限る),加工野菜及び加工果実,豆乳,ふりかけ」、第30類「菓子(果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものを除く。),パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ミートパイ,穀物の加工品,ラビオリ,即席菓子のもと,パスタソース」、第31類「木,苗木,盆栽」及び第35類「広告業,経営の診断又は経営に関する助言,事業の管理,市場調査又は分析,商品の販売に関する情報の提供,新聞記事情報の提供,野菜の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,米穀類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,花及び木の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定商品及び指定役務として、同4年10月26日に登録査定され、同5年3月15日に設定登録されたものである。
第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件登録異議の申立てにおいて引用する登録商標は、以下に掲げるとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。
1 登録第6465882号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成 別掲1のとおり
指定商品 第29類及び第30類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
登録出願日 令和2年11月25日
設定登録日 令和3年11月4日
2 登録第6463538号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成 Beanus(標準文字)
指定商品 第29類及び第30類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
登録出願日 令和2年10月2日
設定登録日 令和3年10月29日
3 登録第5290349号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成 ビーナス(標準文字)
指定商品 第30類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
登録出願日 平成21年3月19日
設定登録日 平成21年12月25日
4 登録第4476075号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の構成 別掲2のとおり
指定商品 第30類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
登録出願日 平成12年1月25日
設定登録日 平成13年5月25日
5 登録第3103605号商標(以下「引用商標5」という。)
商標の構成 別掲3のとおり
指定商品 第29類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
登録出願日 平成4年12月25日
設定登録日 平成7年12月26日
以下、上記の引用商標1ないし5をまとめていうときは、単に「引用商標」という。
第3 登録異議申立ての理由の要点
申立人は、本件商標はその指定商品及び指定役務中、第29類「全指定商品」及び第30類「全指定商品」について、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により、取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第11号証を提出した(枝番号を含む。)。
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標と引用商標の類否について
本件商標は、「ビーナスヘーゼルナッツ」の片仮名文字を書してなり、その構成中の「ヘーゼルナッツ」の文字部分は商品の品質を表すから、本件商標からは「ビーナスヘーゼルナッツ」又は「ビーナス」の称呼が生ずることは明らかである。
他方、引用商標1及び引用商標2は、「Beanus」の英文字を書してなるもので、「ビーナス」の称呼が生じる。
また、引用商標3は、「ビーナス」の片仮名文字を書してなるもので、「ビーナス」の称呼が生じる。
引用商標4は、その構成中の「Beanus」の英文字部分から「ビーナス」の称呼が生じる。
引用商標5は、その構成中の「美ーなす」の文字部分から「ビーナス」の称呼が生じる。
そうすると、本件商標と引用商標は、「ビーナス」の称呼を共通にする類似のものである。
そして、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似する。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものである。
(2)本件商標と商標法第4条第1項第11号の基準について
本件商標を構成する文字のうち「ヘーゼルナッツ」は、カバノキ科の落葉高木で、その果実の味や用途はクルミに似ているものである(甲7)。そして食用に供される種実類(ナッツ)として日本でも広く知られ、そのまま素炒りで食されるだけでなく、様々な加工食品となって流通している。例えば、ヘーゼルナッツを使用したチョコレート菓子、アイススクリーム、ナッッスプレッド(ナッツバター)などが普通に販売されている。また、ヘーゼルナッツオイルやヘーゼルナッツを主原料とする調味料「デュカ」が発売されていたり、ヘーゼルナッツを使用する料理レシピが家庭料理のレシピサイト「オレンジページnet」(https://www.orangepage.net/)で紹介されているなど、甘味だけでなく鶏肉やパスタなどの様々な料理にヘーゼルナッツを使用することも広まりつつあるといえる(甲8の1~甲8の9)。
このように、ヘーゼルナッツは一般によく知られた食材であり、様々な料理や加工食品の原料として普通に使用されているという実態があるから、本件商標の指定商品のうち、第29類及び第30類に属するものに本件商標を使用した場合、需要者は「ヘーゼルナッツ」を商品の原材料またはフレーバーとして認識するものと考えられる。
本件商標を構成する文字のうち「ヘーゼルナッツ」の部分は識別性のない普通名称であって、出所表示機能を有するのは「ビーナス」の部分なので、本件商標からは「ビーナス」の称呼が生じる。
商標審査基準 十、第4条第1項第11号(先願に係る他人の登録商標)4.(2)(ア)1(審決注:「1」は丸付き数字)においては、「指定商品又は指定役務との関係から、普通に使用される文字、慣用される文字又は商品の品質、原材料等を表示する文字、若しくは役務の提供の場所、質等を表示する識別カを有しない文字を有する結合商標は、原則として、それが付加結合されていない商標と類似する。」と説明されており、この基準に従うと、本件商標と引用商標は、類似すると判断するのが妥当である。
令和4年6月1日付起案の本件商標の拒絶理由通知(甲9)の理由3で、第4条第1号第11号を挙げられており、その根拠とされている登録商標に引用商標が含まれている(甲2~甲6)。本件商標の拒絶理由通知に対し本件商標の出願人が提出した意見書(甲10)と手続補正書(甲11)には、拒絶の理由3が解消される根拠は見当たらない。
2 結論
上記1のとおり、本件商標は、引用商標と「ビーナス」の称呼を共通にする類似のものであり、また、その指定商品も同一又は類似のものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、商標法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきである。
第4 当審における取消理由の要旨
当審において、商標権者に対して、「本件商標の登録は、その指定商品及び指定役務中、結論掲記の指定商品について、引用商標3との関係において、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。」旨の取消理由を令和5年8月30日付けで通知し、相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与えた。
第5 商標権者の意見
商標権者は、上記第4の取消理由に対して、指定した期間内に意見を述べていない。
第6 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標について
本件商標は、前記第1のとおり、「ビーナスヘーゼルナッツ」の片仮名を標準文字で表してなるものである。
そして、本件商標構成中、「ビーナス」の文字は、「美と愛をつかさどる女神」の意味を有する語として、「ヘーゼルナッツ」の文字は、「セイヨウハシバミの実」であって「煎って食べたり、洋菓子のかざりや風味をつけるのに使う」ものを意味する語として(以上、三省堂国語辞典第8版)、それぞれ一般に広く知られていることからすると、本件商標は、「ビーナス」の文字と「ヘーゼルナッツ」の文字を結合した商標であると容易に認識することができるものである。
そして、上記意味を有する「ヘーゼルナッツ」は、食品業界においては、「洋菓子の飾りや風味をつけるのに使う」もの(改訂調理用語辞典)であって、例えば、菓子やパスタ等料理の原材料に使用されている(甲8の1~9)実情が認められる。
そうすると、本件商標構成中の「ヘーゼルナッツ」の文字部分は、本件商標の指定商品との関係においては、商品の品質や原材料等を表すなど、自他商品の識別標識として機能しないか、あるいは、その機能が極めて弱いというべきである。
してみれば、本件商標をその指定商品に使用するときは、その構成中の「ビーナス」の文字部分が、商品の出所識別標識として、需要者に対し、強く支配的な印象を与えるものであるから、当該文字部分を要部として抽出し、他人の商標と比較して、商標の類否を判断することが許されるというべきである。
したがって、本件商標は、構成文字全体に相応して生じる「ビーナスヘーゼルナッツ」の称呼のほかに、その構成中、独立して商品の出所識別標識としての機能を果たし得る「ビーナス」の文字部分に相応して、「ビーナス」の称呼が生じ、「美と愛をつかさどる女神」程の観念が生じるものである。
(2)引用商標3について
引用商標3は、「ビーナス」の片仮名を標準文字で表してなるところ、上記1と同様、「ビーナス」の称呼が生じ、「美と愛をつかさどる女神」程の観念が生じるものである。
(3)本件商標と引用商標3との類否について
まず、外観においては、本件商標の要部である「ビーナス」の文字部分と引用商標3の「ビーナス」の文字は同一であるから、両商標は、外観上極めて近似した印象を与えるものである。
また、称呼及び観念においては、本件商標の要部から生じる「ビーナス」の称呼及び「美と愛をつかさどる女神」の観念と、引用商標3から生じる「ビーナス」の称呼及び「美と愛をつかさどる女神」の観念は共に同一であるから、両商標は、互いに紛らわしいものといえる。
そうすると、本件商標と引用商標3との外観、称呼、観念等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合し全体的に考察すると、外観において近似した印象を与え、称呼及び観念において相紛らわしい両商標は、商品の出所について誤認混同を生じさせるおそれのある類似する商標と判断するのが相当である。
そして、本件商標の指定商品及び指定役務中、第29類「菓子(果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものに限る)」及び第30類「菓子(果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものを除く。),パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ミートパイ」と、引用商標3の第30類「菓子及びパン」は、互いに類似するものである。
したがって、本件商標は、引用商標3との関係において、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
2 請求人の主張について
請求人は、本件商標が、引用商標1、引用商標2、引用商標4及び引用商標5との関係においても、商標法第4条第1項第11号に該当する旨主張するので、以下検討する。
(1)引用商標1及び引用商標2について
引用商標1は、別掲1のとおり、「Beanus」の欧文字を横書きしたもの(「u」と「s」の各文字の上には傍点が付されている。)であり、引用商標2は、「Beanus」の欧文字を標準文字で表してなるところ、これら欧文字は、一般的な辞書等に載録されておらず、それぞれの指定商品との関係において直ちに何らかの意味合いを理解させるものでもないから、特定の意味合いを有しないものと認識されるといえる。そして、このように特定の意味合いを有しない欧文字については、我が国で親しまれた英語又はローマ字読みに倣って称呼するのが自然といえるから、引用商標1及び引用商標2は、その構成文字に相応して、「ビーナス」の称呼が生じ、特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標4について
引用商標4は、別掲2のとおり、斜め左方に傾いた黒色楕円形図形(以下「図形部分」という。)の右側に「Beanus」の欧文字を横書きし、同文字中の「eanus」の文字列の直上に、その幅に収まるように「More Beautiful & Healthy!」の欧文字及び記号(以下、記号も含めて「文字部分」ということがある。)を小さく横書きした構成よりなるところ、図形部分と各文字部分は、視覚的に分離して把握されるものである。
そして、図形部分は、特定の事物を表すものと認識されている事情を見いだすことができないから、特定の称呼及び観念を生じないものとみるのが相当である。また、「Beanus」の文字部分は、上記(1)のとおり、その構成文字に相応して、「ビーナス」の称呼が生じ、特定の観念を生じないものである。さらに、「More Beautiful & Healthy!」の文字部分は、「モア」と称呼し「もっと」を意味する「More」の欧文字、「ビューティフル」と称呼し「美しい」を意味する「Beautiful」の欧文字、「アンド」と称呼し「そして」を意味する「&」の記号、「ヘルシー」と称呼し「健康によい」を意味する「Healthy」の欧文字及び「感嘆符」を表す「!」の記号を横書きしてなるものであるから(以上「ジュニアクラウン中学英和辞典第14版」)、それぞれの構成文字及び記号に相応して、「モアビューティフルアンドヘルシー」の称呼が生じ、「もっと美しくそして健康に」程の観念が生じるものである。
以上から、引用商標4の構成中、図形部分と各文字部分は、視覚的に分離して把握されることに加え、観念的な関連性も見いだすことはできないから、これらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとはいい難く、それぞれが独立して商品の出所識別標識としての機能を果たし得るとみるのが相当である。
そうすると、引用商標4の構成態様においては、大きく顕著に表された「Beanus」の文字部分を要部として分離、抽出し、他人の商標と比較して、商標の類否を判断することも許されるといえる。
してみれば、引用商標4の要部である「Beanus」の文字部分(以下「引用商標4の要部」という。)からは、上記(1)のとおり、その構成文字に相応して、「ビーナス」の称呼が生じ、特定の観念を生じないものである。
(3)引用商標5について
引用商標5は、別掲3のとおり、「美―なす」の文字を縦書きにしてなり(「美」の左横には「び」の平仮名が小さく付されている。)、当該文字は一般的な辞書等に載録されていないから、特定の意味合いを有しないものと認識されるものである。そうすると、引用商標5は、その構成文字に相応して、「ビーナス」の称呼が生じ、特定の観念を生じないものである。
(4)本件商標と、引用商標1、引用商標2、引用商標4の要部及び引用商標5(以下「引用各商標」という。)との類否について
まず、外観においては、本件商標の要部である「ビーナス」の文字部分と引用各商標とは、明らかに異なる構成態様であり、明確に区別できるから、外観上相紛れるおそれはない。
そして、称呼においては、本件商標の要部から生じる「ビーナス」の称呼と、引用各商標から生じる「ビーナス」の称呼は同一であるから、互いに紛らわしいものといえる。
また、観念においては、本件商標の要部から「美と愛をつかさどる女神」の観念が生じる一方、引用各商標からは特定の観念は生じないから、観念上相紛れるおそれはない。
そうすると、本件商標と引用商標1、引用商標2、引用商標4及び引用商標5とは、たとえ称呼において相紛らわしいものであるとしても、外観及び観念において相紛れるおそれはないものであるから、外観、称呼、観念等によって需要者に与える印象、記憶、連想等を総合し全体的に考察すると、これらは、商品の出所について誤認混同を生じさせるおそれのある類似する商標ということはできない。
してみれば、本件商標の指定商品と、引用商標1、引用商標2、引用商標4及び引用商標5の指定商品とが同一又は類似するものであるとしても、商標は非類似であるから、本件商標は、引用商標1、引用商標2、引用商標4及び引用商標5との関係においては、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(5)したがって、請求人の主張は採用することができない。
3 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、その指定商品及び指定役務中、「結論掲記の指定商品」については、引用商標3との関係において、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。
そして、本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品及び指定役務については、その登録を取り消す理由がないから、同第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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