商標異議申立
2023-900099
ラダレブ、レーダーイイブイ、レーダー
- 審判番号
- 2023-900099
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2022-101315
- 登録番号
- 6674884
- 請求日
- 2023年05月02日
- 審決日
- 2024年01月25日
- 公報発行日
- 2024年03月29日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】浙江吉利控股集団有限公司
- 【権利者代理人】弁理士法人三枝国際特許事務所
- 【異議申立人】オムニ・ユナイテッド(エス)・ピーティーイー・リミテッド
- 【異議申立人代理人】中田 和博
- 【異議申立人代理人】青木 博通
- 【異議申立人代理人】片山 礼介
- 【異議申立人代理人】富所 英子
- 審判長/審判官
- 審判長 山田 啓之
- 審判官 鈴木 雅也
- 審判官 渡邉 あおい
- 分類
- T1651.261-Y (W12) / T1651.262-Y (W12) / T1651.263-Y (W12) / T1651.271-Y (W12)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号商標法4条1項15号商標法43条の2商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第15号、商標法第4条
- データ出所
- 審決公報(XML)
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登録第6674884号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6674884号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第6674884号商標(以下「本件商標」という。)は、「RADAREV」の欧文字を標準文字で表してなり、令和4年9月1日に登録出願、第12類「シャシー,トラック,電動式乗物,船舶、航空機、鉄道車輌、自動車、二輪自動車、自転車,陸上の乗物用のギヤボックス,自動車・二輪自動車用推進装置,陸上の乗物用ブレーキ,自動車,自動平衡機能付きスクーター」を指定商品として、令和5年1月18日に登録査定され、同年2月24日に設定登録されたものである。
第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議申立ての理由として引用する商標は、以下の5件の登録商標であり、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
1 登録第5409405号商標(以下「引用商標1」という。)は、「RADAR」の欧文字を標準文字により表してなり、平成22年3月24日に登録出願、第12類「トラック用ラジアルタイヤおよびチューブ,バス用ラジアルタイヤおよびチューブ,軽トラック用ラジアルタイヤおよびチューブ,乗用車用ラジアルタイヤおよびチューブ,オフロード用自動車用のラジアルタイヤおよびチューブ,乗用車用タイヤおよびチューブ,スポーツ多目的車用タイヤおよびチューブ,自動車用高性能タイヤ,農作業車用タイヤおよびチューブ,オフロード用自動車用のタイヤおよびチューブ,自動車並びにその部品及び附属品」を指定商品として、同23年4月28日に設定登録されたものである。
2 登録第6048669号商標(以下「引用商標2」という。)は、「RADAR」の欧文字を標準文字により表してなり、2017年1月5日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、平成29年4月4日に登録出願、第12類「自動車用車輪」を指定商品として、同30年6月1日に設定登録されたものである。
3 登録第5365786号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、2009年12月7日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、平成22年3月24日に登録出願、第12類「トラック用ラジアルタイヤ及びチューブ,バス用ラジアルタイヤ及びチューブ,軽トラック用ラジアルタイヤ及びチューブ,乗用車用ラジアルタイヤ及びチューブ,オフロード用自動車用のラジアルタイヤ及びチューブ,乗用車用タイヤ及びチューブ,スポーツ多目的車用タイヤ及びチューブ,自動車用高性能タイヤ,農作業車用タイヤ及びチューブ,オフロード用自動車用のタイヤ及びチューブ,自動車並びにその部品及び附属品」を指定商品として、同年11月5日に設定登録されたものである。
4 2020年(令和2年)12月10に事後指定が記録された国際登録第1474800号商標(以下「引用商標4」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、第12類「Tires; automobile tires; inner tubes for vehicle tires.」を指定商品として、令和4年10月7日に設定登録されたものである。
5 2021年(令和3年)8月5日に事後指定が記録された国際登録第1474800号商標(以下「引用商標5」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、第12類「Tires; automobile tires; inner tubes for vehicle tires.」を指定商品として、令和4年8月5日に設定登録されたものである。
上記の引用商標1ないし引用商標5をまとめて、以下、「引用商標」という場合がある。
第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、その登録は、同法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきである旨申立て、その理由を以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第36号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 前提事実
申立人は、シンガポールに本社を置くタイヤメーカーである。引用商標1及び2「RADAR」(レーダー)は、申立人が製造販売するタイヤのフラッグシップブランドであり、2006年に世界的に発売が開始された「RADAR」タイヤは、現在までに世界50か国以上で販売されている(甲3~甲5)。
2 引用商標1及び2の周知性について
我が国においては、タイヤ・ホイールの輸入販売を行っている株式会社オートウェイ(以下「オートウェイ社」という。)が、「RADAR」タイヤの独占的販売代理店として、2011年から「RADAR」商品を販売している(甲4、甲6)。
以下に、我が国における申立人の「RADAR」タイヤの宣伝広告や販売の状況について述べる。
(1)宣伝広告
オートウェイ社の2023年版タイヤカタログ(抜粋)には、申立人の「RADAR」ブランド及びそのタイヤが紹介されており(甲5)、オートウェイ社が運営するオンラインショップに当該デジタルカタログを掲載し、申立人の「RADAR」タイヤの宣伝広告を行っている他、自動車専門誌(甲7、甲8)に、定期的に広告やタイアップ記事を掲載する等して、「RADAR」商品の宣伝広告に努めている(甲9~甲12)。
(2)販売
上述のとおり、申立人の「RADAR」に係るタイヤは、2011年から、独占的販売代理店であるオートウェイ社が我が国において販売しており(甲15)、2010年から2021年の間に、申立人から約43億円超の「RADAR」タイヤを輸入し、申立人が販売した「RADAR」タイヤの2014年4月から2021年12月の本数累計は、895,558本であり、オートウェイ社は2014年4月以降、少なく見積もっても、約90万本弱の「RADAR」タイヤを販売した。
(3)「RADAR」タイヤの評判
アジアンタイヤ(アジアのメーカーにより製造販売される自動車用タイヤ)に関するネットニュースや記事において、「RADAR」タイヤが高く評価されている(甲16~甲19)。
(4)以上のとおり、申立人のタイヤ「RADAR」は、オートウェイ社により2011年から定期的に宣伝広告が行われ、現在までに、我が国においても相当程度の販売本数、売上額を有するアジアンタイヤの周知ブランドとなっていた。また、「RADAR」タイヤは、おすすめのアジアンタイヤとして、頻繁にその名が挙がるほど非常に高い性能と人気を誇っており、業界における評判も高い。
よって、引用商標1及び2「RADAR」は、本件商標の出願日である令和4年(2022年)年9月1日前に、「自動車用タイヤ」に関して、周知性を獲得している。
3 申立人の事業について
申立人は、環境問題に対して高い関心と意識を有しているところ、電気自動車市場(Electric Vehicles/EV)のニーズを満たす製品の開発に取り組んでおり、2023年にEV対応のタイヤを、その後EV専用のタイヤを、「RADAR」ブランドにおいて展開していくことを予定している(甲20、甲21)。
4 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標について
本件商標の前半部「RADAR」は、「レーダー,電波探知機」等を意味する英単語(甲22)であり、また、「レーダー」の語は、「カタカナ語辞典」(甲23)、「カタカナ外来語・略語辞典」(甲24)、「広辞苑」(甲25)にも掲載されている語であるから、我が国においてはほぼ日本語と同様に認識・理解されているといえる。
一方、本件商標後半部「EV」は、「電気自動車」(Electric Vehicles)の略語として、遅くとも約20年前から、我が国のみなならず、世界的に広く定着している(甲26~甲30)。
また、申立人は、EV対応及び専用のタイヤを製造・販売する予定があり(甲20、甲21)、本件商標権者もEVの製造・販売に参入している(甲31~甲33)。
以上の点を考慮すると、本件商標「RADAREV」は、スペースなく横一連に書されているものの、取引者・需要者においては、よく知られた語「RADAR」と、「電気自動車」を表す「EV」の結合からなる商標であると認識される可能性が高いと考えられ、後半部「EV」については、本件商標の指定商品との関係で、これらが「電気自動車」に係るものであることを表す記述的な語といえるから、当該部分は自他商品識別標識として機能せず、自他商品識別標識としての称呼は生じない。
以上を前提とすると、本件商標からは、「ラダレブ」の称呼の他、「レーダー」のみの称呼、「レーダー、電波探知機」の観念が生じる。
(2)引用商標について
引用商標1及び引用商標2は、標準文字による欧文字「RADAR」からなり、「レーダー」の称呼、「レーダー、電波探知機」及び観念が生じ、引用商標3は、筆記体のようななめらかな書体で書された欧文字「Radar」からなり、「レーダー」の称呼、「レーダー、電波探知機」の観念が生じる。引用商標4及び引用商標5は、グレー地の横長長方形の中に、一部が簡略化されて書された欧文字「RADAR」の文字を白抜きで書してなる態様で、「レーダー」の称呼、「レーダー、電波探知機」の観念が生じる。
(3)商標の類似性について
本件商標からは、「ラダレブ」及び「レーダー」の称呼、「レーダー、電波探知機」の観念が生じ、外観は、欧文字「RADAREV」からなる。
一方、引用商標1ないし5からも、「レーダー」の称呼、「レーダー、電波探知機」の観念が生じる。
そうすると、本件商標及び引用商標1ないし5は、称呼及び観念が共通することから、両者は相紛らわしい類似の商標と認められる。
また、引用商標1及び2「RADAR」の周知性、さらに、申立人及び本件商標権者双方が、EV事業に参入しているという取引の実情や、EVへの世界的な関心の高さをも考慮すれば、本件商標「RADAREV」に接した取引者・需要者は、申立人に係る「自動車用タイヤ」の周知商標である「RADAR」を想起し、申立人の商品であるとの出所混同を生じるおそれがあることから、本件商標は、引用商標1及び2と出所混同を生じるほどに紛らわしい類似商標である。
(4)商品の類似性について
ア 本件商標の指定商品中「シャシー,トラック,電動式乗物,船舶、航空機、鉄道車輌、自動車、二輪自動車、自転車,自動車」について
本件商標の上記指定商品は、「自動車」、及びこれを含む表示である。
一方、引用商標1及び3は、主として「(各種)自動車用のタイヤ及びタイヤチューブ」、「自動車並びにその部品及び附属品」を指定しており、引用商標2は「自動車用車輪」を指定しており、引用商標4及び5は「automobile tires(自動車用タイヤ)」を指定している。
そうすると、まず上記の本件商標の指定商品は、引用商標1及び引用商標3の指定商品「自動車」と同一又は類似するといえる。
また、本件商標のこれらの指定商品は、乗物としての自動車(完成品)、及びこれを含む指定商品であるところ、引用商標1及び3の「自動車用のタイヤ及びタイヤチューブ」、引用商標2の「自動車用車輪」、引用商標4及び5の「自動車用タイヤ」はいずれも乗物としての自動車に使用される部品(附属品)であるから、両者は完成品と部品の関係にある。
さらに、両商品はいずれも自動車を乗る者・自動車を必要とする者が需要者である点で、需要者の範囲が一致する。加えて、部品である「タイヤ」は自動車に組み込まれて販売され、また自動車のディーラーによって販売されることもあるため、両者は販売場所が一致するといえる。
そうすると、本件商標の上記第12類の指定商品は、引用商標1ないし引用商標5の第12類の指定商品と、類似しているといえる。
イ 本件商標の指定商品中「電動式乗物,船舶、航空機、鉄道車輌、自動車、二輪自動車、自転車,自動平衡機能付きスクーター」について
引用商標4及び5の指定商品「Tire; inner tubes for vehicle tires」(タイヤ,航空機・自動車・二輪自動車・自転車用タイヤ用のチューブ)は、上記の本件商標の指定商品に含まれる各種「乗物(航空機、自動車、二輪自動車、自転車、スクーター)」用のタイヤ及びそのタイヤ用チューブであるから、両者は「完成品と部品」の関係にある。また、両商品はいずれもこれらの乗物を乗る者・必要とする者が需要者である点で、需要者の範囲が一致する。さらに、部品である「タイヤ」や「タイヤチューブ」は乗物に組み込まれて販売され、また乗物のディーラー(販売者)によって販売されることもあるため、両者は販売場所が一致するといえる。
そうすると、本件商標の上記第12類の指定商品は、引用商標4及び5の第12類の指定商品と、類似しているといえる。
(5)以上のとおり、本件商標は、引用商標1ないし引用商標5に類似し、本件商標の第12類の上記指定商品「シャシー,トラック,電動式乗物,船舶、航空機、鉄道車輌、自動車、二輪自動車、自転車,自動車,自動平衡機能付きスクーター」は、引用商標1ないし5の第12類の指定商品と同一又は類似であるから、本件商標は上記第12類については商標法4条1項11号に該当し、登録を受けられないものである。
5 商標法第4条第1項第15号について
(1)上述のとおり、申立人の自動車用タイヤ「RADAR」は、オートウェイ社により2011年から定期的に宣伝広告が行われ、現在までに、我が国においても相当程度の販売本数、売上額を有するアジアンタイヤの周知ブランドとなっていた。また、「RADAR」タイヤは、おすすめのアジアンタイヤとして、頻繁にその名が挙がるほど非常に高い性能と人気を誇っており、業界における評判も高い。よって、引用商標1及び2「RADAR」は、本件商標の出願日である令和4年(2022年)9月1日より以前に、「自動車用タイヤ」に関して、周知性を獲得している。
(2)本件商標と引用商標1及び引用商標2の類似性
本件商標「RADAREV」と、引用商標1及び2「RADAR」の類似性については上述のとおりであり、本件商標は、引用商標1及び2と類似する。また、両商標は、同じ欧文字のつづりからなり(同じ欧文字「RADAR」を含み)、称呼及び観念が共通するため、その類似性は極めて高い。
(3)本件商標の指定商品と、引用商標1及び引用商標2が周知となっている商品「自動車用タイヤ」の関連性
ア 本願の上記第12類の指定商品中、「シャシー,トラック,電動式乗物,船舶、航空機、鉄道車輌、自動車、二輪自動車、自転車,自動車,自動平衡機能付きスクーター」について
本件商標の上記指定商品は、いずれも人間や貨物の移動・運送手段である乗物である。
一方、上述のとおり、引用商標1及び2「RADAR」は、申立人の「自動車用タイヤ」について周知となっているところ、「自動車用タイヤ」は「自動車」(乗物)に使用される部品であり、一般的に、完成品としての「乗物」と、そのタイヤの間には密接な関連性があるということができ、タイヤの需要者は、完成品としての「乗物」の需要者でもあるので、タイヤと乗物の間には、需要者の共通性もある。
イ 本件商標の第12類の指定商品中、「陸上の乗物用のギヤボックス,自動車・二輪自動車用推進装置,陸上の乗物用ブレーキ」について
本件商標の上記指定商品は、いずれも、自動車を含む陸上の乗物に使用される部品である。そうすると、これらの指定商品は、「自動車用タイヤ」とは、乗物の部品という点で用途が共通し、かつ需要者も共通している(いずれも、自動車の需要者である)。
ウ 取引の実情
上述のとおり、申立人は、EV対応及び専用のタイヤを製造・販売する予定があり、既にそのことを公表している(甲20、甲21)。一方、本件商標権者についても、上述のとおり2022年に、本件商標「RADAR」の下で、EVピックアップトラックの製造・販売が発表されている(甲31~甲33)。このように、本件商標権者及び申立人双方が、EV事業に参入している(参入を予定している)。
(4)他人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれ
上述のとおり、本件商標と引用商標1及び2は、極めて類似性の高い商標であり、また、引用商標1及び2は、本件商標の出願日前に、「自動車用タイヤ」について、周知性を有しており、さらに、昨今、自動車用タイヤのメーカーが、自動車以外の乗物のタイヤを製造販売したり、自動車以外の乗物(完成品)を製造販売している等の実情から、多角経営の可能性があるといえる。加えて、上述のとおり、完成品としての「乗物」と、その「タイヤ」とは、商品の関連性が高く、「乗物」の需要者と、「タイヤ」の需要者は、共通(重複)しており、かつ本件商標権者及び申立人双方が、「EV(電気自動車)」又は「EV用タイヤ」の製造販売を予定しており、EV事業へ参入している(参入を予定している)という取引の実情が存在する。
以上から、本件商標は、申立人に係る「自動車用タイヤ」を表示するものとして本件商標の出願前から広く知られている引用商標1及び2を容易に認識させるものであり、本件商標を第12類の指定商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、当該商品があたかも申立人の業務に係る商品、又は同社と経済的・組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるといえる。
(5)以上のとおり、本件商標は、第12類の全指定商品「シャシー,トラック,電動式乗物,船舶、航空機、鉄道車輌、自動車、二輪自動車、自転車,陸上の乗物用のギヤボックス,自動車・二輪自動車用推進装置,陸上の乗物用ブレーキ,自動車,自動平衡機能付きスクーター」について、商標法4条1項15号にいう「他人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標」に該当するから、その登録は取り消されるべきである。
第4 当審の判断
1 引用商標の周知性について
(1)申立人の主張及び提出された証拠によれば、以下のとおりである。
ア 申立人は、シンガポールに本社を置くタイヤメーカーであり、2006年に発売が開始された「RADAR」タイヤは、現在までに世界50か国以上で販売されているとされる(甲3~甲5、申立人の主張)。
もっとも、その発売開始日や販売国を裏付ける具体的な証拠の提出はない。
イ 我が国においては、オートウェイ社が、「RADAR」タイヤの独占的販売代理店として、2011年から「RADAR」商品を販売している(甲4、甲6)。
ウ オートウェイ社の2023年版タイヤカタログ(抜粋)には、申立人の「RADAR」ブランド、及びそのタイヤが紹介されており(甲5)、また、オートウェイ社は、自身が運営するオンラインショップに当該デジタルカタログを掲載、申立人の「RADAR」タイヤの宣伝広告を行っている他、自動車専門誌(甲7、甲8)に、広告やタイアップ記事を掲載している(甲9~甲11)。
エ オートウェイ社は、2010年から2021年の間に、申立人から約43億円超の「RADAR」タイヤを輸入し、また、申立人が販売した「RADAR」タイヤの2014年4月から2021年12月の本数累計は、895,558本であり、オートウェイ社は2014年4月以降、少なく見積もっても、約90万本弱の「RADAR」タイヤを販売したとされる(申立人の主張)。
もっとも、申立人が挙げる上記の各数値については、その数値を裏付ける具体的な証拠が提出されておらず、また、それらの数値の多寡について、同業他社の数値等、比較すべき客観的な証拠の提出はない。
オ アジアンタイヤ(アジアのメーカーにより製造販売される自動車用タイヤ)に関するネットニュースや記事において、「RADAR」タイヤが紹介されている(甲16~甲19)。
もっとも、これらの記事へのアクセス数は不明である。
(2)判断
上記(1)によれば、申立人の業務に係る商品(自動車用タイヤ)は、我が国において2011年(平成23年)から販売され、雑誌やウェブサイトで相当程度紹介され、宣伝広告されていることがうかがえることから、本件商標の登録出願の時及び登録査定時において、需要者の間にある程度は知られていたといえる。
しかしながら、引用商標の我が国での実際の使用開始時期や申立人の業務に係る商品(自動車用タイヤ)の売上高を裏付ける具体的な証拠や市場シェア等の販売実績及び引用商標に係る広告宣伝の費用、回数及び期間など、その事実を量的に把握することができる具体的な証拠は見いだせないから、引用商標は、本件商標の登録出願の時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているものと認めることはできないものである。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標について
本件商標は、「RADAREV」の欧文字を標準文字により表してなるところ、その構成は、各文字が同書、同大、等間隔でまとまりよく表されており、その構成中のいずれかの文字部分が強調されて表現されているものではなく、その構成全体から生じる「ラダレブ」の称呼も、無理なく一連に称呼し得るものである。
そして、当該文字は、辞書等に載録されている成語ではなく、直ちに何らかの意味合いを理解させるものではないから、一種の造語として認識されるものである。
そうすると、本件商標のかかる構成及び称呼においては、本件商標に接する取引者、需要者が、殊更、その構成中の「RADAR」の文字部分のみに着目するということはなく、構成要素全体をもって把握するとみるのが相当である。
したがって、本件商標からは、「ラダレブ」の称呼のみを生じ、特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標について
ア 引用商標1及び引用商標2は、前記第2の1及び2のとおり、「RADAR」の欧文字を標準文字により表してなるところ、該文字は、「レーダー、電波探知機」等の意味を有する英語(甲22~甲25)であるから、これよりは、「レーダー、電波探知機」の観念を生じ、「レーダー」の称呼を生ずる。
イ 引用商標3ないし引用商標5は、別掲1及び別掲2のとおり、ややデザイン化されているものの、「Radar」又は「RADAR」の欧文字を表したものと容易に看取されるものであり、その構成文字は、引用商標1及び引用商標2のつづりと同じであるから、これよりは「レーダー、電波探知機」の観念を生じ、「レーダー」の称呼を生ずる。
(3)本件商標と引用商標の類否について
ア 外観について
本件商標と引用商標とを比較すると、外観においては、両商標は、「EV」の文字の有無の差異を有するところ、この差異は、7文字又は5文字という比較的短い文字構成からなる両商標の外観全体の視覚的印象に与える影響は小さくなく、外観上、紛れるおそれはないものとみるのが相当である。
イ 称呼について
本件商標から生じる「ラダレブ」の称呼と引用商標から生じる「レーダー」の称呼とは、音構成が明らかに相違するから、明瞭に聴別し得るものである。
ウ 観念について
本件商標は、特定の観念を生じないものであるのに対し、引用商標は、いずれも「レーダー、電波探知機」の観念を生じるから、本件商標と引用商標とは、観念上、紛れるおそれはないものである。
エ 小括
以上のとおり、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念において、互いに紛れるおそれのないことが明らかなものであるから、非類似の商標であって、別異のものというのが相当である。
その他、本件商標と引用商標とが類似するというべき特段の事情は見いだせない。
上記のとおり、本件商標と引用商標とは、非類似の商標であって、別異の商標というべきものであるから、両商標の指定商品が同一又は類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第15号該当性について
引用商標は、上記1のとおり申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものであり、また、本件商標は、上記2のとおり引用商標と非類似の商標であって別異の商標というべきものであるから、類似性の程度は高いとはいえない。
そうすると、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品との関連性の程度、需要者の共通性の程度などを合わせ考慮しても、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用した場合、取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく、その商品が他人(申立人)又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
4 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するとはいえず、他にその登録が同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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