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商標異議申立

2023-900098

エイアイクリニック、アイクリニック

審判番号
2023-900098
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2022-118784
登録番号
6675030
請求日
2023年05月02日
審決日
2024年01月09日
公報発行日
2024年03月29日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】飯塚 聡介
  • 【異議申立人】池永 夏子
審判長/審判官
  • 審判長 大島 康浩
  • 審判官 阿曾 裕樹
  • 審判官 小林 裕子
分類
T1652.13 -Y (W44) / T1652.16 -Y (W44) / T1652.261-Y (W44) / T1652.262-Y (W44) / T1652.263-Y (W44) / T1652.272-Y (W44)
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第3条第1項第3号、商標法第3条第1項第6号、商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第16号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

登録第6675030号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6675030号商標の商標登録を維持する。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第6675030号商標(以下「本件商標」という。)は、「Aiクリニック」の文字を標準文字で表してなり、令和4年10月17日に登録出願、第41類及び第44類に属する別掲のとおりの役務を指定役務として、同5年2月9日に登録査定、同月24日に設定登録されたものである。 第2 登録異議申立人が引用する商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る異議申立ての理由において引用する登録第5385783号商標(以下「引用商標」という。)は、「iクリニック」の文字を標準文字で表してなり、平成22年6月29日に登録出願、第35類「広告」、第42類「ウェブサイトの作成又は保守,電子計算機用プログラムの提供」及び第44類「医業・医療・医療施設に関する情報の提供」を指定役務として、同23年1月21日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は、その指定役務中、第44類に属する指定役務(以下「申立役務」という。)について、商標法第3条第1項第3号、同法第4条第1項第16号、同法第3条第1項6号及び同法第4条第1項第11号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第18号証(枝番号を含む。なお、枝番号を有する証拠において、枝番号の全てを引用する場合は、枝番号の記載を省略する。)を提出した。 1 商標法第3条第1項第3号及び第4条第1項第16号違反について (1)はじめに 本件商標を構成する「Ai」を「エーアイ」と称呼し、それを「人工知能」の略語と全ての需要者が観念するかという点はさておき、令和4年12月28日付けの商標権者の意見書(以下「本件意見書」という。甲3)によれば、本件商標を構成する「Ai」の部分より、「artificial intelligence」(人工知能)等の観念が生じ、全体として「人工知能を用いた診療所」等を想起する旨述べられている。 そこで本項では、「Ai」が「AI」の略語を観念するという主張に立った場合、本件商標は商標法第3条第1項第3号及び商標法第4条第1項第16号に該当する商標であるということを詳述する。 (2)本件商標から生ずる観念について 商標権者は、本件商標を構成する「Ai(AI)」の部分より、「ar tificial intelligence」(人工知能)の観念の他にも「air interceptor」(空中迎撃機)や「activity index」(活動因子)など複数の意味合いが想起されると主張する。 しかしながら、近時の人工知能を用いた技術が進歩していることから、医療の分野においても「artificial intelligence」(人工知能)の観念が最優先で想起され、他の観念は通常の需要者には生じない(甲4)。また、過去の審査例や裁判例においても、「Ai(AI)」から「人工知能」以外の観念が生ずると認定されたケースはない(甲6、甲7)。 したがって、本件商標から「人工知能を用いた診療所」ほどの観念が生じ、その他の観念は生じない。 (3)本件商標の識別性について 上述したように本件商標から「人工知能を用いた診療所」ほどの観念が生ずる。そして、医療分野においても、その活用の研究や実践が行われているところである(甲4)。その他、規模の大小問わず、AI技術を用いた医療サービスを提供する医療機関が数多ある(甲4の5~30)。また、この中には病院やクリニックの他にも、医療情報を提供するシステムとしてのサービスも存在している(甲4の5、甲4の16)。 なお、少数ではあるものの「Ai」と表記して「人工知能」のことを指している用例も存在している(甲4の24)。 以上より、「人工知能を用いた診療所」や「人工知能を用いた医療情報の提供」は、現実に多数存在していることは明らかである。 そうすると、本件商標は、これをその指定役務中の「医療情報の提供,医業,栄養の指導,医療用機械器具の貸与,介護,健康評価,健康管理に関する指導及び助言,代替医療による治療」に使用するときは、これに接する取引者、需要者に「人工知能を用いた診療所」を想起させ、クリニック等の医療機関で行われる役務、すなわち「人工知能を用いた医業・栄養の指導・介護・健康評価・健康管理に関する指導及び助言・代替医療による治療」を認識させたり、「人工知能を用いた診療所に関する情報や医療情報の提供」や「人工知能を用いた診療所における医療用機械器具の貸与」を認識させるにとどまり、役務の用途、質を表示するにすぎないものといわざるを得ない。 なお、医療機関において、栄養士が「栄養の指導」を行うサービスは現実に存在し(甲5の1)、また、介護機能と医療機能を併せ持つ「介護医療院」(甲5の2)が存在しているため、申立役務中「栄養の指導,介護」も診療所で行われる役務に該当する。さらに、在宅医療患者に向けた医療機器の貸し出しを医療機関が提供することもある(甲5の3)ので、申立役務中「医療用機械器具の貸与」も診療所で行われる役務に該当する。その他の役務は証左するまでもなく、医療機関で提供される役務である。 したがって、本件商標は、「人工知能を用いた医業」等の役務について使用する時は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の申立役務に使用するときは、役務の質の誤認を生ずるおそれがあるため、同法第4条第1項第16号に該当する。 (4)過去の審査例や裁判例について 上記申立人の主張を裏付けるものとして、過去の裁判例や審査例を提出する(甲6、甲7)。 (5)小括 以上より、本件商標から「人工知能を用いた診療所」の意味合いを認識できるのであれば、申立役務のうち、「人工知能を用いた医業」等の役務との関係においては、役務の用途、質を表示するにすぎない。 したがって、「Ai」が「AI」の略語を観念するという主張に立った場合、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、「人工知能を用いた医業」等の役務以外の申立役務に使用するときは、役務の質の誤認を生ずるおそれがあるため、同法第4条第1項第16号に該当する。 2 商標法第3条第1項第6号違反について (1)本件商標から優先的に生ずる称呼について 本件商標を構成する「Ai」は、「A」が大文字で「i」が小文字であるため、「人工知能」を意味する「AI(エーアイ)」と認識する需要者よりも、むしろローマ字読みの「アイ」を想起する需要者も相当数存在するものと推測される。また、「アイ」という称呼は、「愛」という医療機関において頻繁に使用される語(例えば、「友愛クリニック」等)の表音表記であるという事情も併せて考慮すれば、需要者にとって「アイ」と称呼することはむしろ自然である。なお、商標権者も、本件意見書において「Ai」の部分は「愛」等の意味合いから「アイ」の称呼が生ずることは認めている。 なにより、実際に商標権者も、その使用態様において「アイクリニック」というフリガナを付して商標を使用している(甲8)。 以上からすれば、本件商標からは第一に「アイクリニック」の称呼が生ずる。 (2)「アイクリニック」の称呼を構成要素とするクリニック名について 商標法第3条第1項第6号に該当する例として、特許庁作成の商標審査基準には「商標が、指定役務において店名として多数使用されていることが明らかな場合」が挙げられている。 厚生労働省の施策である「医療機能情報提供制度(医療情報ネット)」に基づいて各都道府県で作成された医療機関情報データベースから抽出した医療機関情報の写し(甲9、甲11)においては、全国の医療機関で「アイクリニック」の称呼を構成要素に含むクリニックを列挙している。なお、「アイ」は「Eye」を想起させることから、医療機関の中でも「眼科」のクリニック名に使用されることが多いが、上述したとおり「愛」などの意味合いを想起させる場合もあるため、必ずしも眼科に限られるものではない。 また、上記データベースには全てのクリニック情報は掲載されていないため、「眼科」以外が主な診療科目のクリニックであって、「Ai クリニック」等がクリニック名の構成要素になっていたり、英語表記やドメイン名に「Ai Clinic」等が使用されているクリニックを列挙したものを提出する(甲10)。 甲第11号証は、「眼科」が主な診療科目のクリニックである。なお、「眼科」を英語で表すと「ophthalmological clinic」であり、「アイクリニック(eye clinic)」は、英語の語義から慣用的に使用されているものである(甲12)。 正式名称が「あいクリニック」「アイクリニック」の表記のクリニックでも、英語表記やドメイン名などで「Ai clinic」を自身のクリニック名の構成要素として使用しているクリニックは非常に多い。 クリニック名の英語(ローマ字)表記やドメイン名を使用することも、商標の使用に該当する場合があることは当然であるし、また商標権の効力は類似範囲まで及ぶものである。すなわち、本件商標が存在することにより、上記の280件以上のクリニックが本件商標の商標権者から権利侵害を主張されるおそれがあるということになる。 このことから、本件商標が商標法第3条第1項第6号に該当するか否かを検討するにあたり、必ずしも正式名が「Aiクリニック」のものだけではなく「アイクリニック」の称呼が生ずるものも考慮しなければ、独占適応性・公益性の観点から適切ではない。この点は、異議事件(甲13の1)においても裏付けられている。 そして、「アイ(あい・Ai)クリニック●●」や「△△アイ(あい・Ai)クリニック」のように「アイ(あい・Ai)クリニック」の語を含んだクリニック名が多数存在していることが、判決(甲13の2)からも、本件商標の識別力の有無を判断する考察要素の1つになることには相違ない。 さらに、本件意見書においては、本件商標「Aiクリニック」を構成する「Ai」の部分が複数の意味を生ずるから当該部分に特徴が有り全体として識別性があるという趣旨の意見が述べられている。 しかしながら、「アイ(あい・Ai)」を特徴とするクリニック名は枚挙に暇が無い(甲14)。したがって、本件商標の「Ai」部分が特徴部分であるとするならば、甲第14号証のクリニック名の存在を考慮することになり、なおさら、本件商標には識別すべき部分が存在しないことになる。 (3)商標法第3条第1項第6号の該当性について 以上より、「アイ(あい・Ai)クリニック」を構成要素とするクリニックは全国で多数存在している。 そして、申立役務は、上記1(3)において述べたとおり、通常、クリニックや病院において行われているものである。 そうとすると、本件商標をその指定役務に使用しても、取引者、需要者が特定の者の業務に係る「Aiクリニック」のみを認識させるものとはいえず、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができないものというべきである。 (4)小括 以上より、「アイクリニック」の称呼が生ずる本件商標については、申立役務との関係において独占適応性がないことになり、商標法第3条第1項第6号に違反して登録されたものである。 3 商標法第4条第1項第11号違反について 仮に本件商標が自他役務識別力を発揮する商標であるという場合でも、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。 (1)本件商標について 本件商標はアルファベットの「Ai」と片仮名の「クリニック」の語を一連に書してなる標準文字商標であって、「アイクリニック」の称呼が第一に生ずる。 (2)引用商標について 引用商標(甲15)は、本件商標の出願日よりも前に商標登録出願されたものである。 引用商標の構成中の「i」は「iPhone」や「iモード」などの用例から明らかなように、アルファベットの発音通り「アイ」と称呼されることが一般的であるから、引用商標全体からは「アイクリニック」の称呼が生ずる。 (3)本件商標と引用商標の対比 本件商標から優先的に生ずる称呼は「アイクリニック」であり、引用商標 から生ずる称呼と同一である。 また、外観においては本件商標の語頭の「A」の有無が相違するのみであり、その他の「iクリニック」の部分を共通にしており、外観においても類似している。 そうとすると、本件商標と引用商標とは、観念においてはともかく、称呼を共通にし、外観において類似するものであるから、両商標は類似する商標である。 そして、申立役務中「医療情報の提供,医業,健康評価,健康管理に関する指導及び助言,代替医療による治療」と引用商標の指定役務「医業・医療・医療施設に関する情報の提供」は、同一又は類似する役務である。 したがって、本件商標は、引用商標と類似する商標であって、その引用商標に係る指定商品・役務と類似の商品・役務について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。 (4)過去の裁判例や審査例について 上記申立人の主張は、過去の裁判例や審査例によっても裏付けられている(甲16、甲17)。 (5)商標権者の本件意見書における主張について 商標権者は、引用商標の存在を理由として本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当する旨の拒絶理由通知に対して、本件意見書において非類似を主張しているが、失当である。 近年、インターネット等で情報収集が容易になったことは否定しないが、多くの需要者は、検索サイトを利用して情報を収集する際、通常は、そのクリニック名の称呼に基づく平仮名や片仮名での検索も一般に行うことは明らかである。 この点、判決(甲18)でも認定・判断されているように、昨今の高度に進んだ情報社会においては、インターネット等による情報収集が極めて容易になった現在だからこそ、かえって称呼の重要性は増しており、外観や観念のみを重視するといった実情はない。 なお、医業の役務の提供を受けるに当たって慎重に判断する需要者は存在するが、一方で、体調に不調をきたした需要者が、医業に関わる情報を収集する場合、他の分野と同様に、インターネット等で検索をして情報を収集することもまた日常的に行われている。 そうとすると、医業に関わる役務だからといって、初動の情報収集において、需要者の注意力が著しく変わるとは必ずしもいえない。 次に、商標権者が本件意見書において提出した併存例も、本件商標とは構成が異なるものがほとんどであるから、これらの多くはその裏付けとはならない。むしろ、本件により近い構成態様の案件(甲17の6)では拒絶査定が通知されているのであるから、原査定は証拠の採否や認定を誤って登録されたものといわざるを得ない。 以上より、商標権者の本件意見書で述べられた主張は、拒絶理由に示された引用商標と非類似というには十分なものではない。 (6)小括 以上から明らかなとおり、商標権者の意見も、引用商標と非類似を認めるには足りず、また過去の裁判例や審査例には、本件商標と同様の対比において、類似と判断している事例が多数存在している。 したがって、称呼を共通にし、外観において互いに類似する本件商標と引用商標とは類似するものであって、その指定役務も同一又は類似するものであるから、申立役務中「医療情報の提供,医業,健康評価,健康管理に関する指導及び助言,代替医療による治療」については商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。 第4 当審の判断 1 商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について 本件商標は、前記第1のとおり、「Aiクリニック」の文字を標準文字で表してなるところ、これらの文字は、同じ大きさ、等間隔で、視覚上まとまりよく一体に表されているものであり、その構成文字に相応して生じる「アイクリニック」又は「エーアイクリニック」の称呼も無理なく一連に称呼し得るものである。 そして、本件商標の構成中前半の「Ai」の文字は、一般の辞書類に採録されている語ではなく、後半の「クリニック」の文字は、「診療所」の意味を有する語(株式会社岩波書店 広辞苑第七版)であるが、これらを結合した本件商標は、構成全体として、特定の意味合いを認識させることのない一種の造語として把握されるというのが相当である。 なお、申立人は、本件商標から「人工知能を用いた診療所」ほどの観念が生ずるとし、医療分野において、AI(人工知能)の活用の研究や実践が行われ、AI技術を用いた医療サービスを提供する医療機関が存在する証拠(甲4)を提出して、本件商標が、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当すると主張する。 しかしながら、これらの証拠においては、本件商標を構成する「Aiクリニック」の文字が、申立役務との関係において、具体的な役務の質を表示するものとして一般に使用されている事実を見いだすことはできない。 そうすると、本件商標は、その申立役務との関係において、役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものとはいえず、自他役務の識別標識としての機能を果たし得るものであって、かつ、役務の質の誤認を生じさせるものでもないと判断するのが相当である。 したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当しない。 2 商標法第3条第1項第6号該当性について 本件商標は、前記第1のとおり、「Aiクリニック」の文字を標準文字で表してなるところ、申立人の提出に係る証拠(甲9~甲11)によれば、本件商標の申立役務を取り扱う分野において、「Aiクリニック(Ai CLINIC、Ai clinic)」の文字が診療所の名称として使用されていることがうかがえる証拠は、本件商標の登録査定後のもの及び使用時期が不明なものを含めても10件程度であり、当該文字が、本件商標の申立役務との関係において、診療所名等として多数使用されているものであるとはいい難い。 なお、申立人は、本件商標の商標法第3条第1項第6号該当性の検討にあたり、「アイクリニック」の称呼が生ずるものも考慮すべき旨主張し、証拠(甲9~甲14)を提出しているが、たとえ、その読みを「アイクリニック」とする診療所が相当数存在するとしても、そのことをもって直ちに、本件商標の構成文字が、診療所名等として多数使用されているということにはならないから、その主張は採用できない。 その他、本件商標に接する需要者が、何人かの業務に係る商標であることを認識できないものというべき事情も見当たらない。 したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第6号に該当しない。 3 商標法第4条第1項第11号該当性について (1)本件商標 本件商標は、前記第1のとおり、「Aiクリニック」の文字を標準文字で表してなるところ、上記1のとおり、その構成文字に相応して「アイクリニック」又は「エーアイクリニック」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。 (2)引用商標 引用商標は、前記第2のとおり、「iクリニック」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字に相応して、「アイクリニック」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。 (3)本件商標と引用商標の類否 本件商標と引用商標を比較するに、外観においては、両者の文字数が異なる上、外観の識別上重要な要素である語頭において「A」の文字の有無の差異を有するものであって、これらの差異が、比較的短い7文字又は6文字からなる両商標の外観全体の視覚的印象に与える影響は決して小さいとはいえず、外観上、判然と区別し得るものである。 また、称呼においては、「アイクリニック」の称呼を共通にする可能性はあるとしても、本件商標のその他の称呼「エーアイクリニック」と引用商標の称呼「アイクリニック」とは、音数及び音構成において明らかに異なり、明瞭に聴別できるものである。 そして、観念においては、いずれも特定の観念は生じないから、比較することができない。 そうすると、本件商標と引用商標とは、本件商標より複数生じる称呼の一において共通する場合があるとしても、その他の称呼において明瞭に聴別できるものであって、観念において比較できないものであり、外観においては明確に区別できるものであるから、両商標が与える印象、記憶、連想等を総合してみれば、両者は相紛れるおそれのない、非類似の商標というのが相当である。 (4)小括 したがって、本件商標と引用商標とは相紛れるおそれのない非類似の商標であるから、本件商標の申立役務と引用商標の指定役務が類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 4 むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項第3号、同項第6号、同法第4条第1項第11号及び同項第16号のいずれにも該当するとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。

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