商標異議申立
2023-900089
ジョイアリュール、ジョイ、ジェイオオワイ、アリュール、アリューア、アルア
- 審判番号
- 2023-900089
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2022-117655
- 登録番号
- 6672334
- 請求日
- 2023年04月21日
- 審決日
- 2024年06月04日
- 公報発行日
- 2024年07月26日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】株式会社アルビオン
- 【異議申立人】パルファン クリスチャン ディオール
- 【異議申立人代理人】曾我 道治
- 【異議申立人代理人】坂上 正明
- 審判長/審判官
- 審判長 高野 和行
- 審判官 豊瀬 京太郎
- 審判官 板谷 玲子
- 分類
- T1651.271-Y (W03)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項15号商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第15号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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登録第6672334号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6672334号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
1 本件商標
本件登録第6672334号商標(以下「本件商標」という。)は、「JOY ALLURE」及び「ジョイ アリュール」の文字を二段に書してなり、令和4年10月13日に登録出願、第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,香料,薫料,つけづめ,つけまつ毛」を指定商品として、同5年2月1日に登録査定され、同月15日に設定登録されたものである。
2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において引用する商標は、別掲のとおりの構成よりなり、申立人が商品「香水」に使用していると主張するものである(以下「引用商標」という。)。
引用商標と同一の構成からなる登録第6214054号商標は、平成31年1月29日に登録出願、第3類「香料、薫料及び香水類,メイクアップ用化粧品,化粧品」を指定商品として、令和2年1月7日に設定登録され、現に有効に存続している。
3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきである旨申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第28号証を提出した。
(1)引用商標の著名性
引用商標を使用した香水は、女性用フレグランスとして、2018年に誕生し、ファンを虜にし(甲3)、フレグランス部門のベストコスメを多数受賞している(甲4)。具体的には、「VoCE」、「MAQUIA」、「美的」において、2位以下を大きく引き離し、第1位を受賞した(甲16~18)。
また、申立人は、引用商標を使用した香水の雑誌広告を多く掲載してきた(甲5~24)。
香水の容器には、引用商標が表示されているが、広告には、「JOY by DIOR」、又は、単に「JOY」、「ジョイ」と表記されることがある。引用商標の構成中「DIOR」は、申立人のハウスマークであるから、需要者は、ディオールが販売する「JOY」ブランドの商品と認識し、「JOY」といえば、申立人を連想、想起するというのが自然である。
以上のとおり、引用商標は、我が国において長年にわたって幅広い商品に使用され、大々的に宣伝広告されてきたものであり、その結果、引用商標に接した需要者は「JOY」のブランドを連想するに至り、引用商標は、本件商標の登録出願時には既に、申立人の業務に係る香水を表示する商標として、我が国の取引者・需要者の間で広く認識されて周知・著名な商標となっており、それは、本件商標の登録出願時及びそれ以降も継続している。
(2)本件商標と引用商標との類似性の程度
本件商標は、「JOY ALLURE」の欧文字と「ジョイ アリュール」の片仮名を二段に書してなるところ、構成文字に相応して「ジョイアリュール」の称呼を生ずるものである。
本件商標の構成中、「JOY」は、「喜び、うれしさ」、「ALLURE」は、「誘う、誘惑する、おびき寄せる、魅惑する」を意味する英語であるものの、「JOY ALLURE」全体として、特定の意味合いを有する熟語ではない。また、「JOY」と「ALLURE」の間、「ジョイ」と「アリュール」の間には、スペースがあることから、「JOY」の語を分離抽出し、単に「ジョイ」と称呼することもありえる。
他方、引用商標は、その構成文字に相応して、「ジョイ」及び「ディオール」の称呼を生ずるものである。
このように、本件商標と引用商標は、「JOY」の文字及び「ジョイ」の称呼を共通とすることから、称呼及び外観において、相当程度、類似性が高いものである。
(3)本件商標の指定商品と引用商標を使用した商品の関連性・需要者の共通性
引用商標は、香水について使用されているのに対し、本件商標の指定商品には、香水の他、化粧品全般が含まれている。
したがって、引用商標が使用される商品と、本件商標の指定商品とは、商品の生産、販売部門、用途、流通経路、販売場所を共通にし、関連性が高いものである。また、いずれの商品についても、需要者は一般消費者である。
(4)本件商標の後半部について
本件商標の欧文字部分の後半部「ALLURE」と同一の商標が、シャネル エス アー エール エルによって、平成4年12月28日に登録出願、平成9年4月4日に設定登録され、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,かつら装着用接着剤,つけづめ,つけまつ毛,つけまつ毛用接着剤,歯磨き,家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用漂白剤,洗潅用でん粉のり,洗濯用ふのり,つや出し剤,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,靴クリーム,靴墨,塗料用剥離剤」を指定商品として、現在有効に存続している(登録第3274625号)(甲25)。
「ALLURE」は、1996年に発売され、世界的なベストセラーになったレディース向けの香水であり(甲26)、現在も継続して発売されている。「ALLURE Eau de Parfum」(アリュール オードゥ パルファム)は、1999年3月に発売され、2000年@cosmeベストコスメ大賞レディスフレグランス部門第3位となった(甲27)。あまりの人気からか、後にメンズ向けの「ALLURE HOMME」も発売された(甲26)。また、ボディクリーム、ボディエマルジョン、ヘアミスト、バスジェル等、他の化粧品にも、同一ブランドで展開している(甲28)。
以上のことから、本件商標は、申立人の著名商標「JOY」とシャネルの商標「ALLURE」が結合されたものであり、両者によって共同制作されたものとしても、需要者によって認識され得るというのが相当である。
(5)出所の混同を生ずるおそれ
上記によると、引用商標は、申立人の業務に係る商品を表すものとして著名であり、本件商標と引用商標とはある程度の類似性があり、引用商標の独創性及び本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品の関連性の高さ、需要者の共通性の程度、需要者において普通に払われる注意力を考慮すると、本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、引用商標を使用している申立人を連想、想起し、該商品が申立人又は申立人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものというべきである。
4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 引用商標の周知性について
引用商標を使用した商品「香水」について、2018年に販売が開始されたこと(甲3)、同年に複数の雑誌においてベストコスメ賞を受賞したこと(甲4、甲16~22)、同年から2019年にかけて各種雑誌に商品情報が掲載されたこと(甲5~15、甲23、甲24)はうかがえる。
しかしながら、受賞歴については、その賞の選定方法などが不明であり、商品情報の掲載(広告)についても、多数掲載された商品の一つとみられるものであるから、本件商標の登録出願時及び登録査定時における、引用商標の周知性を立証する証拠としては不十分なものである。
また、引用商標を使用した商品の販売数量、売上高、市場シェアなどの販売実績、宣伝広告の回数や宣伝広告の額などの広告実績等、周知性を具体的に裏付ける証拠の提出はない。
したがって、申立人の提出に係る証拠によっては、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標が申立人の業務に係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているものとは認めることができず、「JOY」の文字から申立人を連想・想起するともいえない。
イ 本件商標と引用商標の類似性について
本件商標は、前記1のとおり、「JOY ALLURE」及び「ジョイ アリュール」の文字を二段に書してなるところ、下段に書された「ジョイ アリュール」の片仮名は、上段の欧文字部分の読みを特定していると無理なく認識し得るものであって、当該「ジョイアリュール」の称呼は、格別冗長なものではなく、無理なく一連に称呼し得るものである。
また、その構成中「JOY」の文字は「喜び」などを、「ALLURE」の文字は「誘う」などを、それぞれ意味する語であるが、これらの語を結合してなる本件商標全体よりは特定の意味合いが生じるとはいえないものである。
そして、本件商標は、上記各語の間に半角分程度のスペースを有するものの、すべてゴシック体で書されているものであって、外観上いずれかの文字部分だけが独立して看者の注意を引くものではなく、また、本件商標の構成中いずれかの部分が自他商品の識別標識として強く支配的な印象を与える部分であるというべき事情も見当たらないものである。
そうすると、本件商標は、構成全体をもって、一種の造語として認識されるものとみるのが相当である。
したがって、本件商標は、「ジョイアリュール」の一連の称呼のみを生じ、特定の観念を生じないものである。
そこで、本件商標と引用商標との類似性についてみるに、引用商標は、前記2(別掲)のとおり、「JOY」の文字を書し、当該「O」の文字の内部に「DIOR」の文字を配してなるものであるところ、上記の構成からなる本件商標とは、「ALLURE」の文字の有無等、その構成文字が顕著に相違するものであり、相紛れるおそれのないものというのが相当である。そして、前記アのとおり、引用商標が申立人の業務に係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているものとは認めることができず、「JOY」の文字から申立人を連想・想起するともいえないことからすれば、本件商標と引用商標とが、いずれもその構成中に「JOY」の文字を有するとしても、当該共通点について、高く評価することは妥当でない。
そうすると、本件商標と引用商標とは、それぞれの構成の相違により相紛れるおそれのないものというのが相当であり、その構成文字の相違から、称呼及び観念によって両商標の類似性の程度が高くなるものでもない。
したがって、両商標は、相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
ウ 出所の混同のおそれについて
引用商標は、前記アのとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているとは認められないものであり、周知性を備えていないものであって、本件商標と引用商標とは非類似の商標であり、別異の商標というべきものであるから、本件商標に接する取引者、需要者が、一般的に申立人の業務に係る引用商標を連想又は想起するものということはできない。
そうすると、本件商標の指定商品には、引用商標を使用する商品「香水」が含まれることから、両者は商品の関連性を有し、需要者を共通にする場合があるとしても、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者が、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標について、出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(2)申立人の主張について
申立人は、「本件商標は、申立人の著名商標「JOY」とシャネルの商標「ALLURE」が結合されたものであり、両者によって共同制作されたものとしても、需要者によって認識され得る」旨主張する。
しかしながら、前記(1)アのとおり、引用商標は申立人の業務に係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているものとは認めることができず、「JOY」の文字から申立人を連想・想起するともいえないため、本件商標に接する需要者が、これを使用した商品について、上記両者の共同制作によるものであると認識するとはいえず、申立人の提出する証拠をもっては、上記主張を採用することはできない。
(3)まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものでなく、その登録は、同法第4条第1項の規定に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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