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商標異議申立

2023-900073

ニャンバランス

審判番号
2023-900073
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2022-065756
登録番号
6669617
請求日
2023年03月31日
審決日
2023年12月22日
公報発行日
2024年03月29日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】黒川 暢朗
  • 【異議申立人】ニュー バランス アスレティックス,インコーポレイテッド
  • 【異議申立人代理人】和田 信博
審判長/審判官
  • 審判長 豊田 純一
  • 審判官 杉本 克治
  • 審判官 小田 昌子
分類
T1651.22 -Y (W25) / T1651.261-Y (W25) / T1651.262-Y (W25) / T1651.263-Y (W25) / T1651.271-Y (W25) / T1651.222-Y (W25)
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第7号、商標法第4条第1項第15号、商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第19号
データ出所
審決公報(XML)

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登録第6669617号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6669617号商標の商標登録を維持する。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第6669617号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、令和4年5月26日に登録出願、第25類「被服,ガーター,靴下留め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴,帽子」を指定商品として、同5年1月4日に登録査定され、同年2月7日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由に該当するとして引用する登録商標は、以下の1ないし4のとおりであり、いずれの商標権も、現に有効に存続しているものである。 1 登録第1780306号商標(以下「引用商標1」という。)は、「NEW BALANCE」の欧文字を横書きした構成よりなり、昭和52年3月30日に登録出願、第22類に属する商標登録原簿記載の商品を指定商品として、同60年6月25日に設定登録され、その後、平成17年8月31日に指定商品を第25類「靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。)」及び第26類「靴ひも」とする指定商品の書換登録がされたものである。 2 登録第1983048号商標(以下「引用商標2」という。)は、「NEW BALANCE」の欧文字を横書きした構成よりなり、昭和60年2月18日に登録出願、第17類に属する商標登録原簿記載の商品を指定商品として、同62年9月21日に設定登録され、その後、平成20年11月5日に指定商品を第25類「洋服,コート」とする指定商品の書換登録がされたものである。 3 登録第4757957号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、平成15年4月10日に登録出願、第18類「スポーツバッグ,その他のかばん類,札入れ,その他の袋物」及び第25類「被服,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、同16年3月19日に設定登録されたものである。 4 登録第6053167号商標(以下「引用商標4」という。)は、「ニューバランス」の文字を標準文字で表してなり、平成29年10月6日に登録出願、第25類「被服,運動用特殊衣服」を指定商品として、同30年6月15日に設定登録されたものである。 なお、引用商標1ないし引用商標4をまとめていう場合は、以下「引用商標」という。 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第7号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に違反して登録されたものであるから、その登録は、同法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第14号証(枝番号を含む。)を提出した。 なお、証拠を表示する場合は、以下、「甲第1号証」を「甲1」のように省略して記載する。 1 商標法第4条第1項第11号該当性について (1)本件商標について 本件商標は、上段に、ジャンプから着地したような猫の図柄(以下「本件猫図形」という。)と、下段に、統一された書体の「nyan balance」の欧文字を配置した構成であるところ、このうち「nyan」の文字部分は、上段の本件猫図形と相まって、猫の鳴き声や幼児語的な呼び方である「ニャン」を表したものと看取され、本件商標よりは「ニャンバランス」の称呼を生じる。 (2)引用商標について 引用商標1及び引用商標2は、「NEW BALANCE」の欧文字よりなり、引用商標3は「new balance」の欧文字を横書きしたものと、その上段にその頭文字「NB」をデザイン化した図形(以下、当該図形を「NBロゴ」という。)を組み合わせた構成である。 また、引用商標4は、「ニューバランス」の文字よりなり、引用商標はいずれも「ニューバランス」の称呼と、「新しいバランス」といった観念を生じる。 (3)本件商標と引用商標との類否について 本件商標は、上段の本件猫図形と下段の文字部分からなる結合商標であるが、これらは視覚上分離して認識される態様であり、商取引の実際においては需要者らが「nyan balance」の文字部分のみをもって取引にあたることも考えられ、また、これを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分に強く結合しているものとも認められない。 そこで、本件商標の構成中「nyan balance」の文字部分についてみると、引用商標1及び引用商標2の「NEW BALANCE」の欧文字、さらに引用商標3のうち「new balance」の欧文字部分とは、語頭の「N(n)」の文字及び後半の「BALANCE(balance)」の語が共通し、特に引用商標3の「new balance」とは同一の書体が用いられ、外観において相紛れるおそれがある。 また、本件商標より生じる「ニャンバランス」の称呼と、引用商標より生じる「ニューバランス」の称呼は、ともに6音からなり、語頭の「ニャ」と「ニュ」が近似するうえ、後半の4音「バランス」が共通するため、両商標が称呼され、聴覚されるときに極めて紛らわしい。 したがって、本件商標は、引用商標と、外観及び称呼において相紛らわしい類似商標というべきである。 また、本件商標は、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品に使用するものである。 (4)結語 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 2 商標法第4条第1項第15号該当性について (1)引用商標の著名性について 申立人は、引用商標において構成される「new balance」のブランド名で、1906年に米国ボストンで矯正靴の製造メーカーとして創業し、そのノウハウをもとに60年代にはカスタムメイドのランニングシューズの製造を開始、70年代後半に独創的なコンセプトのもと、発表したシューズは、ランナーから絶大な支持を獲得し、現在、ランニングをはじめ、ライフスタイル、テニス、ベースボール、フットボール/サッカー等のためのシューズとアパレルを幅広く展開している(甲6)。 我が国におけるスニーカーブランドやスポーツブランドの人気度の調査においても、「new balance」ブランドは、上位にランキングされており(甲7、甲8)、また、「英和商品名辞典」(株式会社研究社発行)にも掲載されている(甲9)。 以上のとおり、引用商標は、申立人が「被服,履物」等に使用する「new balance」(ニューバランス)ブランドの商標として、本件商標の登録出願前より取引者、需要者間に広く認識された著名な商標となっており(甲9)、このことは、申立人が引用商標とともに「new balance」ブランドのロゴとして使用しているNBロゴについても、無効2003-35219号の審決(甲10)において、著名性を認めていることからも明らかといえる。 (2)出所の混同のおそれについて 本件商標の構成中の「nyan balance」の文字部分は、申立人の著名商標である引用商標を含む「new balance」ブランドと、外観において相紛れるおそれがあり、また、称呼も極めて紛らわしいことから、本件商標と引用商標とは、類似の商標というべきである。 このような状況で、本件商標がその指定商品に使用された場合、取引者、需要者は共通し、当該商品が申立人とその著名な「new balance」ブランド又は申立人と組織的、経済的に何らかの関係を有する者の提供する商品であるかのように誤認し、その出所について混同を生ずるおそれがある。 (3)結語 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 3 商標法第4条第1項第19号該当性について (1)本件商標の権利者(以下「本件商標権者」という。)は、本件商標のほかに、申立人が「被服,履物」等に使用し「new balance」ブランドを表示するものとして著名な商標「NBロゴ」(登録第5201923号。甲11。)と類似する「NB」の文字とその左に本件商標と同様の猫の顔の図柄を組み合わせ、さらに下段に「NYAIKE」の文字を配置した構成からなる商標を令和4年5月26日付けで登録出願し(商願2022-65755)、同5年1月6日付けで拒絶理由通知を受けている(甲12)が、この拒絶理由通知において、当該出願商標が商標法第4条第1項第15号、同項第19号及び同項第11号に該当すると認定している。 これに対し、本件商標権者は、何らの応答をせず、少なくとも、申立人の著名な商標「NBロゴ」の顧客吸引力にただ乗りし、その著名性を利用して不正の利益を得る等の目的をもって使用をすると推認された点に反論していない。 (2)本件商標権者は、それ以前にも、商願2021-13307及び商願2022-58827について、当該出願商標が不正の目的をもって使用するものと推認せざるを得ず、商標法第4条第1項第19号に該当するなどと認定された拒絶理由通知に対して、何ら応答をしていない(甲13、甲14)。 (3)このように本件商標権者は、申立人の「new balance」ブランドを表示するものとして著名な「NBロゴ」をはじめ、「他人の周知・著名商標と類似で不正の目的をもって使用をするもの」(商標法第4条第1項第19号)と認定された商標を何件も登録出願し、この「不正の目的」との認定に対して反論していない。 本件商標の構成中の文字部分は、申立人が「被服,履物」等に使用し、需要者間に広く認識された「new balance」ブランドの表示、特に引用商標3の文字部分と同一の書体が用いられていることから、本件商標権者が本件商標を創案・採択するにあたり、偶然に書体が一致し、文字部分が酷似する結果になったとは考えにくく、むしろ、本件商標を意図的に「new balance」ブランドと相紛らわしい構成とすることによって、本件商標に接する取引者・需要者に「new balance」ブランドを連想、想起させ、「new balancee」ブランドに化体された業務上の信用と顧客吸引力にただ乗りし、その著名性を利用して不正の利益を得る等の目的をもって使用をするものと推認せざるを得ない。 (4)したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。 4 商標法第4条第1項第7号該当性について 本件商標権者は、引用商標を含む「new balance」ブランドが著名商標であることを知りつつ、猫の図柄とともに「new balance」の「new」の部分を猫の鳴き声や幼児語的な呼び方である「nyan」に置き換えて、本件商標を意図的に「new balance」ブランドと相紛らわしい構成とすることによって、本件商標に接する取引者・需要者に「new balance」ブランドを連想、想起させ、これに化体した業務上の信用、名声及び顧客吸引力にただ乗りする不正な目的で採択・登録出願し、設定登録を受けたものである。 そうすると、申立人と何ら関係のない本件商標権者が、本件商標を自己の商標として採択し、その指定商品に使用することは、「new balance」ブランド又は引用商標の出所表示機能を希釈化し、これに化体した信用、名声及び顧客吸引力、ひいては申立人の業務上の信用を毀損するおそれがある行為であり、公正な商取引の秩序を乱すおそれがあるとともに、社会公共の利益及び国際信義に反するものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。 第4 当審の判断 1 引用商標の周知著名性について 申立人の主張及び同人が提出した全証拠によると、申立人は、1906年に米国ボストンで矯正靴の製造メーカーとして創業し、現在、ランニングをはじめ、ライフスタイル、テニス、ベースボール、フットボール(サッカー)等のためのシューズとアパレルを幅広く展開していること、我が国におけるスニーカーブランドやスポーツブランドの人気度の調査において、「new balance」ブランドは、上位にランキングされていること、「英和商品名辞典」にも掲載されていることは、確認できる(甲6~甲9)。 しかしながら、引用商標を使用した商品(以下「申立人商品」という。)の現在の売上高や使用開始後から現在に至るまでの推移、申立人商品に関する宣伝広告の方法やその提供手段、広告宣伝費等、引用商標の周知著名性を数量的に判断することができる証拠は提出されていない。 そうすると、申立人の主張及び申立人の提出した証拠によっては、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人商品を表示するものとして、我が国及び外国の需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。 2 本件商標と引用商標の類似性及びその程度について (1)本件商標について 本件商標は、別掲1のとおり、左向きで、手足及び尾を伸ばし、構成全体として「レ」の形状に模った猫様図形(以下「猫様図形」という。)と、猫様図形の下に「nyan balance」の欧文字を配した構成よりなる結合商標であるところ、猫様図形と「nyan balance」の欧文字は、重なることなく配されており、それぞれが、視覚上、分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分に結合しているとはいえないものである。 そして、本件商標の構成中の猫様図形は、抽象的であって、我が国において特定の事物又は意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は認められないため、これよりは、特定の称呼及び観念は生じないものである。 また、本件商標の構成中の「nyan balance」の欧文字は、一般の辞書等に載録された特定の意味合いを有する語とは認められず、我が国において特定の事物又は意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は認められないものである。 さらに、本件商標の構成中の「nyan balance」の欧文字より生じる「ニャンバランス」の称呼は、よどみなく一連に称呼し得るものである。 そうすると、本件商標は、その構成中の猫様図形と「nyan balance」の欧文字とが、外観上不可分に結合しているとはいえず、猫様図形と「nyan balance」の欧文字は、いずれも特定の観念は生じないものであり、これらが構成全体として、何らかの特定の意味合いを生じるものではないことから、本件商標は、引用商標との類否を判断するに当たり、その構成全体はもとより、猫様図形のみ又は「nyan balance」の欧文字のみを本件商標の要部として抽出し、これらの部分のみを引用商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである。 したがって、本件商標は、その構成全体又はその構成中の「nyan balance」の欧文字のみを要部と認定した場合は、「ニャンバランス」の称呼が生じ、特定の観念が生じないものであり、その構成中の猫様図形を要部と認定した場合は、特定の称呼及び観念が生じないものである。 (2)引用商標について ア 引用商標1及び引用商標2について 引用商標1及び引用商標2は、上記第2の1及び2のとおり、「NEW BALANCE」の欧文字を横書きしてなるところ、その構成は、「NEW」の欧文字と「BALANCE」の欧文字との間に1文字程度のスペースを有するとしても、同じ書体、同じ大きさで、まとまりよく一体に表されているものであり、「NEW BALANCE」の欧文字に相応して生じる「ニューバランス」の称呼は、よどみなく一連に称呼し得るものである。 また、「NEW BALANCE」の欧文字が、一般の辞書等に載録された特定の意味合いを有する語とは認められず、我が国において特定の事物又は意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は認められないものである。 したがって、引用商標1及び引用商標2は、その構成文字に相応して「ニューバランス」の称呼が生じ、特定の観念は生じないものである。 イ 引用商標3は、別掲2のとおり、欧文字の「NB」をデザイン化したとおぼしき図形(以下「NB図形」という。)を配し、その下に「new balance」の欧文字を横書きした構成よりなるところ、NB図形と「new balance」の欧文字は、重なることなく配されており、それぞれが、視覚上、分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分に結合しているとはいえないものである。 そして、引用商標3の構成中のNB図形は、我が国において特定の事物又は意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は認められないため、これよりは、特定の称呼及び観念は生じないものである。 また、引用商標3の構成中の「new balance」の欧文字は、一般の辞書等に載録された特定の意味合いを有する語とは認められず、我が国において特定の事物又は意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は認められないものである。 さらに、引用商標3の構成中の「new balance」の欧文字より生じる「ニューバランス」の称呼は、よどみなく一連に称呼し得るものである。 そうすると、引用商標3は、その構成中のNB図形と「new balance」の欧文字とが、外観上不可分に結合しているとはいえず、NB図形と「new balance」の欧文字は、いずれも特定の観念は生じないものであり、これらが構成全体として、何らかの特定の意味合いを生じるものではないことから、引用商標3は、本件商標との類否を判断するに当たり、その構成全体はもとより、NB図形のみ又は「new balance」の欧文字のみを引用商標3の要部として抽出し、これらの部分のみを本件商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである。 したがって、引用商標3は、その構成全体又はその構成中の「new balance」の欧文字のみを要部と認定した場合は、「ニューバランス」の称呼が生じ、特定の観念が生じないものであり、その構成中のNB図形を要部と認定した場合は、特定の称呼及び観念が生じないものである。 ウ 引用商標4は、上記第2の4のとおり、「ニューバランス」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字に相応して生じる「ニューバランス」の称呼は、よどみなく一連に称呼し得るものである。 また、「ニューバランス」の文字は、一般の辞書等に載録された特定の意味合いを有する語とは認められず、我が国において特定の事物又は意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は認められないものである。 したがって、引用商標4は、その構成文字に相応して「ニューバランス」の称呼が生じ、特定の観念は生じないものである。 (3)本件商標と引用商標の類似性とその程度について ア 本件商標と引用商標1及び引用商標2の類似性とその程度について (ア)外観について 本件商標の構成全体及び要部「猫様図形」と引用商標1及び引用商標2の外観は、図形の有無などの明確な差異により容易に区別し得るものである。 また、本件商標の要部「nyan balance」の欧文字と、引用商標1及び引用商標2を構成する「NEW BALANCE」の欧文字のつづりの比較においても、両者は前半部において「nyan」と「NEW」という文字の差異を有し、この差異が両者の外観全体の視覚的印象に与える影響は大きく、両者を離隔的に観察しても相紛れるおそれのないものとみるのが相当である。 (イ)称呼について 本件商標の構成全体又はその構成中の「nyan balance」の欧文字より生じる「ニャンバランス」の称呼と、引用商標1及び引用商標2より生じる「ニューバランス」の称呼を比較すると、両者は語頭部において「ニャン」と「ニュー」の音の差異を有し、この差異が両称呼全体の語調語感に及ぼす影響は大きく、両者をそれぞれ一連に称呼しても、聞き誤るおそれのないものと判断するのが相当である。 (ウ)観念について 本件商標と引用商標1及び引用商標2は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念を比較することができない。 (エ)小括 上記(ア)ないし(ウ)のとおり、本件商標と引用商標1及び引用商標2は、観念において比較できないとしても、外観及び称呼において相紛れるおそれがないものであるから、これらの外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、これらは相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。 イ 本件商標と引用商標3の類似性とその程度について (ア)外観について 本件商標の要部「猫様図形」と引用商標3の要部「NB図形」は、態様の差異などにより容易に区別し得るものである。 また、本件商標の要部「nyan balance」の欧文字と、引用商標3の要部「new balance」の欧文字は、前半部において「nyan」と「new」という文字の差異を有し、この差異が両者の外観全体の視覚的印象に与える影響は大きく、両者を離隔的に観察しても相紛れるおそれのないものとみるのが相当である。 さらに、本件商標の構成全体と引用商標3の構成全体の外観は、上記の差異などにより容易に区別し得るものである。 (イ)称呼について 本件商標の構成全体又はその構成中の「nyan balance」の欧文字より生じる「ニャンバランス」の称呼と、引用商標3の構成全体又はその構成中の「new balance」の欧文字より生じる「ニューバランス」の称呼を比較すると、両者は語頭部において「ニャン」と「ニュー」の音の差異を有し、この差異が両称呼全体の語調語感に及ぼす影響は大きく、両者をそれぞれ一連に称呼しても、聞き誤るおそれのないものと判断するのが相当である。 (ウ)観念について 本件商標と引用商標3は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念を比較することができない。 (エ)小括 上記(ア)ないし(ウ)のとおり、本件商標と引用商標3は、観念において比較できないとしても、外観及び称呼において相紛れるおそれがないものであるから、両商標の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、これらは相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。 ウ 本件商標と引用商標4の類似性とその程度について (ア)外観について 本件商標の構成全体及び要部「猫様図形」と引用商標4の外観は、図形の有無などの明確な差異により容易に区別し得るものである。 また、本件商標の要部「nyan balance」の欧文字と、引用商標4を構成する「ニューバランス」の文字は、構成する文字種の差異により、容易に区別し得るものである。 (イ)称呼について 本件商標の構成全体又はその構成中の「nyan balance」の欧文字より生じる「ニャンバランス」の称呼と、引用商標4より生じる「ニューバランス」の称呼を比較すると、両者は語頭部において「ニャン」と「ニュー」の音の差異を有し、この差異が両称呼全体の語調語感に及ぼす影響は大きく、両者をそれぞれ一連に称呼しても、聞き誤るおそれのないものと判断するのが相当である。 (ウ)観念について 本件商標と引用商標4は、いずれも特定の観念を生じないものであるから比較することができない。 (エ)小括 上記(ア)ないし(ウ)のとおり、本件商標と引用商標4は、観念において比較できないとしても、外観及び称呼において相紛れるおそれがないものであるから、両商標の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、これらは相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。 (4)まとめ 上記(1)ないし(3)のとおり、本件商標と引用商標は、観念において比較できないとしても、外観及び称呼において相紛れるおそれがないものであるから、両者の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。 その他、本件商標と引用商標が類似するというべき事情は見いだせない。 したがって、本件商標は、引用商標とは相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。 3 商標法第4条第1項第11号該当性について 上記2のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標である。 したがって、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品が同一又は類似するものであるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 4 商標法第4条第1項第15号該当性について 上記1のとおり、申立人の主張及び申立人の提出した証拠によっては、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人商品を表示するものとして、我が国及び外国の需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。 また、仮に、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているとしても、上記2のとおり、本件商標と引用商標は、相紛れるおそれのない非類似の商標であって別異の商標というべきものであるから、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品が同一又は類似するものであり、これらが密接な関連性を有しているとしても、本件商標権者が本件商標をその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして引用商標及び申立人商品を連想又は想起させることはなく、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。 その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 5 商標法第4条第1項第7号及び同項第19号該当性について 上記1のとおり、申立人の主張及び申立人の提出した証拠によっては、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人商品を表示するものとして、我が国及び外国の需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。 また、仮に、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているとしても、上記2のとおり、本件商標は、引用商標とは相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものであり、上記4のとおり、本件商標権者が本件商標をその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして引用商標及び申立人商品を連想又は想起させることはなく、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはない。 そして、本件商標は、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、きょう激若しくは他人に不快な印象を与えるものではないことは明らかである。 また、申立人が提出した全証拠を確認しても、本件商標が引用商標及び申立人商品に化体した信用、名声及び顧客吸引力にただ乗りする不正な目的で採択・登録出願されたものであるとすべき具体的事情を証明するところはなく、本件商標権者が本件商標を不正の目的をもって使用するものと認めることはできない。 さらに、本件商標が、国際信義に反する又はその出願及び登録の経緯に社会的相当性を欠くなど、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標というべき事実は見当たらず、本件商標をその指定商品について使用することが、社会の一般道徳観念に反し、商取引の秩序を乱すものともいえない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同項第19号のいずれにも該当しない。 6 むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するものではなく、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。

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2023-900073

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